タイトル : 恋神 ‐ラブカミ‐
ブランド : PULLTOP


シナリオ : ★★★★☆ [4/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★★ [5/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★★☆ [4/5]
(総プレイ時間 : 13h)

キャラクター・シナリオ
全国各地で神様が一斉に出現し混乱する中、最高神・アマテラスによって提唱された「カミサマ教育法」を元に神様が人間と一緒に教育を受けることとなる。今作はそうした世界の中でカミサマ教育特区となった神早坂を舞台に、神様によって巻き起こされるトラブルでドタバタの学園生活を描いたハートフルコメディ作品となっている。

作品自体は「和」をテーマに、現代を舞台としつつも、しっかりと日本神話の話を絡めた新旧の融合を実現した話となっていた。

シナリオは各章に分けて描かれており、序章から1章と2章が共通√となっており、各ヒロイン√として3章から10章までが用意されている。
各章の中では合間にアイキャッチが挿入されている他に、各章の間にもSD絵を使用した次回予告がショートストーリーの形で挿入され、加えてストーリ―の中では「教えて神様」という次回予告同様にSD絵によるショートストーリーを交えて設定を解説するTIPS機能も存在している。
この「教えて神様」の機能に関しては後半に行くにつれて存在感が薄くなっていたが、ともかく、こうした特性もあり各ストーリーは多少ぶつ切りになっており、いくつかの話から一つの物語が編み上げられている印象が強かった。

上記にもある通りドタバタラブコメディを主体としている中盤まではともかく、時代的な変遷もあるのか恋愛シーンに関してはどうしてもキャラクター自体の押しが弱く感じ、中だるみと感じられるシーンもある。
一方で終盤に向けての準備として考えるならば十二分。
中盤から終盤にかけてのシリアスシーンから、主人公の熱意と努力で逆転してハッピーエンドを迎えるという形はどのヒロイン√でも同じ流れで、王道でそれゆえに鉄板なので外れが無い。
終盤の怒涛の演出もシナリオと合致していて、単体のヒロインを主体としつつも他のキャラクター達の出番が用意された絆を感じる展開は、手に汗握るようなシーンも相まって高揚感があった。

賑やかな日常シーンや心温まるようなハートフルストーリーに彩られた今作、ヒロインはもちろん何より主人公を好きになれる作品であり、最後には爽快感を得られるシナリオに仕上げられている。


共通√【 ★★★★☆ 】  2.5h
プロローグとなる序章に加え、1章と2章の合計3章から成っており、主に『神様』という存在が現世に現れた後の混乱や、学園生活を営む中で発生するトラブルをメインに描かれている。
多少特殊な設定ではあるものの、全体的にはラブコメ風に纏められたシーンがテンポよく展開してゆくのが持ち味である。
序章は舞台となる世界の説明や各ヒロインとの出会いが中心となっているが、1章以降は『神様』と『人間』の友和というテーマを中心に、各ヒロインとのイベントを交えつつも登場する全キャラクターを絡めた賑やかな物語として作り上げられている。
加えて、そうした中で垣間見える主人公の善性も見ていて気持ちが良く、ストーリーの盛り上がりにも大きく寄与していた。

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月詠 ウサギ√【 ★★★★☆ 】  2.5h
主人公の家に居候する元気いっぱいなへっぽこ神様。
明るい性格で日々を自由奔放に過ごす女の子なのだが、実は最高神アマテラスの妹神。
しかしながら能力は弱く、何かと主人公の事を助けてくれようとはするものの、能力不足故に空回りしてしまう事が多く、やさぐれてしまう事も。
主人公の妹である『みこと』とは会ってすぐに意気投合し、無二の親友となっている。
過去に主人公と会った事が有るらしいが、何故かその事にはあまり触れようとしない。

個別ではカミサマ委員としてを活動する主人公とツクヨミの様子が主体となって描かれている。
一緒に過ごす中で発露するツクヨミの恋心と彼女自身の持つコンプレックスを絡めたシナリオとなっており、素直になれないツクヨミとそれに対し真っすぐ向き合おうとする主人公の熱い姿勢が印象的。
後半は『ツクヨミノミコト』としての話を絡めた展開に、話のスケールも今作ではもっとも大きい。ツクヨミはもちろん彼女以外の登場人物も活躍する展開となっててい、盛り上がりは中々の物で、シーン演出の勢いもあって、思わずぐっと来てしまうことも。


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佐久沙 いつき√【 ★★★★☆ 】  2.5h
主人公の姉を自称する幼馴染。
八重垣神社の巫女であるためか昔からカミサマが見えていたのだが、その影響もあってカミサマの事を嫌っている。
弟扱いしている主人公とは同い年でクラスメイトでもあるのだが、元々面倒見の良い性格をしていて何かと世話を焼きたがっている。それは人間に限らず苦手な神様であっても何だかんだと言いつつ助けてしまう。

本作のヒロインにおいて唯一の人間であるいつき。
個別シナリオの序盤から中盤にかけては、いつきの家に居候しているスサノオのスセリにまつわる事件が中心となっていて、そうしたイベントを切っ掛けとして素直になれずにいたいつきの心や意識し合う二人の様子を描く。
後半ではそうした部分を伏線としたさまざまな絆やいつきの過去についてがメインに。
物語としては中だるみを少し感じてしまうが、後半における展開は王道となっていて、予想していても思わず涙しそうになるほどで、心が暖められる良い内容となっていた。


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豊草 イナリ√【 ★★★☆☆ 】  2.5h
豊穣の神、狐耳と尻尾を持つ稲荷神。
学園にはとある夢を叶えるためにやってきたが、そのまま流れで園芸部に所属することとなった。
明るく陽気な性格をしており基本的には自由奔放なのだが、情が厚く頼られることが好きなため、面倒見の良いタイプ。
高天原のセックスシンボルを自称しているものの、初心で恥ずかしがり屋でもあるため、そちらの方面の知識は全くない。

個別シナリオでは、とある目的の為に神様たちのトラブルシューターとして活動していたイナリとカミサマ委員として活動する主人公たちの行動が合致することで、お互いを意識し合う事となる。
イナリ自身の初心な恋愛観がメインとなっており、特に彼女と付き合うまでのドタバタはラブコメ物の定番といえ、恥ずかしがるイナリの姿はそれまでの快活な姿とのギャップもあって、魅力は一層高まっていたといえる。
また作中では恋のライバルとして主人公のクラスメイトであり、イナリの所属する園芸部部長「米持 ひなた」の登場シーンも多く、特に盛り上がるラストシーンにおいてはその内容は勿論のこと、彼女を絡めた展開も見所で、ヒロイン以外の広がりを感じさせたという点でも高く評価している。


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富士宮 サクヤ√【 ★★★★☆ 】  2.5h
花を操る可憐な女の子、木花咲耶姫。
その美麗な見た目と気品ある喋り方とは対照的にプライドが高く、特に人間に対しては見下すような発言をすることも多い。
常に人と距離を保つような振る舞いを見せているものの、姉である岩長姫には心を許しており、いつも一緒にいる。

個別シナリオでは以前開催されたお祭りに参加できなかったアマテラスから、気まぐれで再度お祭りを開催することを命じられることから物語が始まる。
序盤から中盤あたりは同じ時間を過ごすごとに仲良くなる二人の様子や、とある事情により素直になれないサクヤ、それを乗り越えようとする主人公の奮闘が描かれている。
ツンデレと言っても良いサクヤがデレたときは、振り切っていて可愛さもあるのだが、個人的に推したいのはやはりクライマックスに至るまでの後半部分。
後半では前半の伏線を踏まえつつ、がっつりと本来ある神話の話を絡めた展開になっているのだが、そのテーマや裏にある神話を交えたストーリーは純粋に素晴らしい物といえる。
展開自体はやはり王道ではあるのだが、主人公の熱意が伝わるシーンは切れ味も鋭く、暖かく心動かされるシーンに仕上がっていた。
ネタバレになるため注意が必要だが、この√で取り扱われた「木花咲耶姫」と「岩長姫」に纏わる神話自体が本当に素晴らしいので、攻略後にぜひどこかのサイト等で一読してほしい。



[主人公]北里 颯太
少しお調子者だけれど土壇場になると気風が良い性格の持ち主。
基本的にはお人好しで面倒見が良いので、困っている人は放っておけず、そのため多くのトラブルを抱えることもあり、そういったところは苦労人ともいえるだろう。
一度決めたら一直線のまっすぐで明るく正しいのその気質は皆から好かれており、特に神からも良い幸魂が集まると評されている。


【推奨攻略順:イナリ→いつき→サクヤ→ツクヨミ】
攻略順に指定やロック等はないためどの順番で攻略しても良いだろう。


CG



音楽
BGM25曲、Vo曲3曲(OP/ED/挿入歌)という構成。
楽曲数が比較的豊富なBGMではあるが、作品風景に合わせて全体的に和風テイストに纏められた楽曲が多く、「ゆずれないもの」や「日は昇り、月は満ちて―」などは特に秀逸。
Vo曲は原田ひとみさんの「春調-はるいろ-」や茶太さんの歌うED「彩-にじいろ-」も好きなのだが、中でも最も良かったのはRitaさんの歌う挿入歌「二藍-あいいろ-」。
力強くカッコいいイントロと力強い声で歌い上げられる純粋な恋。和テイストの楽曲は作風ともあっており、最高としか表現できない。


お勧め度
2010年発売の作品という事で、ゲームのアスペクト比が4:3であることをはじめ、どうしても古さを感じてしまう部分はある。
シナリオに関してもそこまで深いロジックなどはないものの、後半における挿入歌の使い方は効果的であり、しっかりと盛り上がってはいた。
各要素に興味を持った方は勿論だが、物語として純粋にハッピーエンドが好きな人は楽しめる作品となっているため、そうした人にお勧めしやすい。またスピンオフ作品もでているのだが、そうした作品をプレイする予定がある方にはぜひ原作となる此方のプレイは推奨しておきたい。


総合評価
絵や音楽に関しては時代相応、シナリオは序盤から中盤にかけての中だるみはあるが、終盤の盛り上がりは見事で、結果的に温かみのある笑顔を生む佳作へと仕上げられている。


【ぶっちゃけコーナー】
本作品からの派生としてスピンオフの「LoveKamiシリーズ」がとして下記
・『Love Kami -Trouble Goddess-』
・『Love Kami -Trouble Goddess-』
・『Love Kami -Pureness Harem-』
が発売されている。
上記作品は海外先行としてSteamからの配信となっているが(タイトルは別)、今回セットのカタチでシリーズの抱き合わせ販売もなされており、今作はそれに付属する特典の作品にもなっている。

今作をプレイしなくても上記作品のプレイには問題ないそうだが、それでも多くの名作を送ってくれたPULLTOP作品という事もあって興味をもってプレイしてみた。

だからこそ期待感はそこまでなかったのだが、結論から言うと思わぬ掘り出し物という印象。
上記のストーリー感想部分にも書いたが、ラブコメ部分に関しては正直印象が薄い。
それでも端々から感じられる心温まる人と神のやり取り、そしてなにより好感持てる主人公が描かれている影響は大きく、時折心動かされるようなシーンもあった。
なにより後半の盛り上がりは流石という他なく、攻略ヒロインのうち半数以上で思わず泣かされてしまう程。
正直、挿入歌を始めとした演出頼りであった事は否めず、音楽の力強さを感じる作品であったと言い換えることもできる。
ただこうした演出はもちろん、心温まる優しい話などは個人的に好きな部類に入り、地盤にあるテーマや各ヒロイン√における雰囲気づくりなどにも確かに評価すべき部分はある。
各種にマイナス要素もあるので、もろ手を挙げて賞賛こそできないものの、個人的にはもう少し評価を高くしても良いのではないかと思ったほどに悩んだ作品であった。

ゲームを始めたばかりの人よりは昔の作品が好きな人にプレイしてほしい気がする。