タイトル : パルフェリメイク
ブランド : 戯画


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   :       [-/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★★ [5/5]
(総プレイ時間 : 11h)

2005年に戯画から発売された『パルフェ~ショコラsecond brew~』(以下原作)のリメイク作品。
原作からの変更点としては、立ち絵やイベントCGがすべて刷新されているのみであり、その他シナリオにPS2版部分の追加も無く、音楽や各ヒロインの声に関しても原作からそのまま流用されている。

そういう意味ではリメイクとしての評価をすべきなのかもしれないが、更新点が少なすぎるため、評価が難しく、そのため今回は純粋な作品評価というよりは再評価という形でレビューをしている。

↑当初の攻略時の感想も文字を変えずにそのまま置いているので、参考の一助となればよい。(評定のみは変更済み)


キャラクター・シナリオ
戯画作品の中でも指折りの名作として語られることがあるパルフェ、それは時代を経ても変わらず、むしろ内容をより深く理解できるようになったため、今回再度プレイしてさらに評価が上がったわけだが、そんな今作のシナリオを担当したのは丸戸史明さん。
今なお、多くの名作を世に生み出している巨匠であるが、今作は特に丸戸シナリオの良さが詰まった名作中の名作といえるだろう。

パルフェ自体は同会社、同ライターが制作した『ショコラ ~maid cafe "curio"~』の世界観を引き継いで描かれた作品であり、今作でも舞台となったのは喫茶店である。
物語の始まりでは、本店が焼けすべてがゼロとなった状態で、とある話が舞い込んだことから主人公が奔走し、新規開店するショッピングモールのブリックモールで新生『ファミーユ』を立ち上げる所からとなっている。

喫茶店を舞台としたラブコメ風味の作品、というのが里伽子√をプレイするまで、基本的に多くのプレイヤーが抱く感想だろう。
特にキャラクターのカトレア―花鳥玲愛―、シナリオの里伽子との呼び声も高い今作において、「ツンデレクイーン」の名前をほしいままにするカトレアの存在は象徴的といえる。
もちろんそれぞれ個別シナリオにはハートフルで心温まるシナリオがあるのだが、何より魅力的なキャラクターを描くという事の難しさは語るまでも無いだろう。
そうした中で、重くなりがちなシリアス展開を混ぜつつ、巧なセリフ表現や小さな行動描写でたまらなく愛しさを掻き立てる、その手腕は見事という他なく、これこそ萌えの元祖といっても過言ではないのだろうか。

そして何より、シナリオについて触れるのならば今作と里伽子の存在は切っても切れないだろう。
主人公の事を想っているようで、近寄ろうとすると見せる拒絶、その二律背反の複雑なキャラクターというのが初見での印象だったのだが、その理由も斯くやあらん。
今まであったラブコメ展開を一気にひっくり返すような真相や、全ルートを跨いで伏線を描き、その集大成として描く感動巨編のシナリオはその構成からして秀逸という他ない。
純粋な悪役が存在せず、皆が誰かの幸せを考えながら行動している中、小さな偶然と心の機微の差でボタンの掛け違いが起こってしまう。
だからこそ運命を呪う他ない切ない展開、根底にあるシナリオロジックを解説するだけでは表現しえない、本当に愛するからこそ、切なく胸を苛むような物語こそ丸戸シナリオの真骨頂ともいえる。

また悲劇的な物語でありながら、その締め方をありがちな奇跡という手法ではなく、ひたむきな努力で乗り越えていく姿にも魅力を感じざるを得ない。
泥臭く生きていくからこそ、手に入れた未来は何よりも輝かしく、そうした過程描かれているからこそ今作をプレイして最大のカタルシスを得る事ができるのではないだろうか。

プレイしていると当時は理解できなかった部分や憶えている所が次々に蘇り、色々な感情に包まれる、深く人の心に残り続けるような歴史に残るゲームであり、今なお色褪せず輝き続けている不朽の名作であることを再確認できた。


共通√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
今となっては珍しいMAP選択によるシナリオ分岐を採用しており、その選択如何によって攻略ヒロインが変化する方式となっている。
物語が始まる10月から年末まではそうした部分が占めている為、純粋な共通ルートといえる部分はオープニング付近までと少なくなっている。
分量的にここ単体での評価が難しく、加えて当方としては1度プレイした内容であるため、懐かしい気持ちが先行してしまうが、おそらく未プレイの人がプレイしても、日常シーンやギャグシーンが豊富な中で時折はいるシリアスなシーンで全体的にキュッと締められており、読者を世界に引き込む力は確かで、展開のテンポが良いのでストレスなく読むことができる。


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風美 由飛√【 ★★★★☆ 】  1.5h
ブリックモール店に開店した新生ファミーユの新人店員。
なんとなくで行動する感覚派の天然少女で、物怖じせずに行動する所は魅力なのだが、適当な性格が災いしてか、ミスオーダーや食器を割ったりと店員としては役立たず。
良く周囲を呆れさせ、怒らせているのだが、最終的には持ち前のカリスマ性と笑顔でごまかされることが多い。

今作のセンターヒロインであり、主人公と由飛が出会ったからこそ、ファミーユの運命が大きく変わったと言っても過言ではない。
そんな彼女とのシナリオは序盤、恋愛シーンをメインに描かれた展開を一言で纏めるなら「甘酸っぱい」という言葉が相応しく、自身の感情に無頓着だった由飛らしい展開は、その後に描かれる甘い日々と合わせてまるで喫茶店で出てくる甘いデザートの様でした。
そして彼女の個別√において本領ともいえるのは後半、由飛の性格からは想像がつかない程に壮絶なシナリオはやはり衝撃的で、だからこそ終盤の展開には思わず涙が浮かんでしまうシーンも多い。
由飛自身もなのだが、同時に玲愛や主人公の魅力が詰まったシナリオでもあるため、そのあたりも高く評価したい。


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花鳥 玲愛√【 ★★★☆☆ 】  1h
ファミーユのライバル店であるキュリオ3号店のチーフウェイトレス。
意地っ張りで高飛車、いつも強気で自分にも他人にも厳しく、どんなことでも全力で取り組もうとする真面目な性格をしている。
そんな彼女にとって何もかもが中途半端なファミーユはどうしても気になるようで、店長である主人公とは作中でも何度もぶつかっているものの、同時にアドバイスを与えてくれることも。
また本名から『カトレア』という愛称で呼ばれることが多いが、本人は嫌がっている。

パルフェにおける一番人気のキャラクターと言っても過言ではない、ツンデレの代表との呼び声も高い玲愛。
そんな彼女シナリオは一部において由飛√と流れが共通となっており、その関係もあってかボリューム自体は短い。しかしながら、玲愛と主人公の恋愛にのみ焦点を置いた内容となっているため、不足感は感じにくく、なにより一つ一つが丁寧に描かれたセリフや描写は精緻の一言に尽きる。
溢れてしまった愛しさ、それゆえに行動は唐突で本能的、だからこそ本心でお互いを欲していることが分かってしまうなど、玲愛の愛がストレートに伝わるシナリオはただひたすらに甘い。
甘さの中にちょっぴりビターな部分があるチョコレートのようなシナリオは、由飛や里伽子の動きなどにも見どころがあり、全体的に見ても綺麗に纏まった良質なシナリオだったといえる。


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雪乃 明日香√【 ★★★★☆ 】  1.5h
ファミーユでフロア担当として働く高校2年生のアルバイト。
店内では最年少ということもあり店でもマスコット的存在として愛されいる、素直で可愛い女の子。
しかし本店があったころからアルバイトとして働いていたため経験は豊富で、またその傍らで主人公には家庭教師をしてもらっていたため、店では「てんちょ」家庭教師の時は「せんせ」と呼び慕ってくれるほどに主人公との距離は近く、時には他の女性にヤキモチを焼く子供っぽい所も見せてくれる。
一方で無邪気ながらも小悪魔のような面も持ち合わせており、そんな明日香に主人公は翻弄されることが常となっている。

ファミーユ復活に際し、最初に主人公に手を差し伸べた少女であり、
事あるごとに”琴線に触れる”可愛い女の子。
特筆すべき秀逸なエピソードのうちの一つは文化祭についてで、個別√突入前に描かれており、結果的に主人公の株が上がるシーンであるものの、その経緯などを鑑みると、明日香の献身的ともいえる真っすぐな愛情が垣間見えるエピソードとなっていた。
もう一つはやはり終盤のシーンで、その爆発力たるや、展開や流れが分かっていても思わず涙が出てしまう程に感動的で、明るく爽快感もある内容になっていた。
店員として、生徒として、恋人として、そして、、、シナリオが進む毎に変わる関係性、見せてくれる表情の変化は明日香自身の成長と合わせても魅力的でした。


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涼波 かすり√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
ファミーユでキッチンを担当するノリの良い女の子。
人手不足の際にはフロア担当したりとマルチに働いてくれるかすり。
実家は有名な老舗和菓子屋であり、以前はお菓子修行のために家で同然でファミーユで働いてい居たのだが、本店が出火した際に田舎に連れ戻されていたところ、主人公に迎えに来た事で再びファミーユで働くこととなった。

今作では主人公の悪友としての立ち位置が強いかすりは、主人公に対しても好意をもってはいるものの、あくまで友人として動く事が多く、主人公を中心として巻き起こるラブコメに対し、その絶妙なボケやツッコミで、さらに油を注ぐように本作をにぎやかに彩ってくれたキャラクターといえる。
彼女自身の個別シナリオについても、男女のすれ違いなど少し大人っぽい要素もありつつ、基本的にはドタバタとしたコメディ色が強い内容となっていて、特に終盤には驚きの展開があることもあって、終始楽しく読むことができる。


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杉澤 恵麻√【 ★★★★★  2h
主人公の義姉でファミーユのパティシエであり総店長。
寝起きが悪かったりとかなりマイペースな性格で、重度のブラコンでもあるため主人公の事を人目も憚らずに溺愛している。
主人公の兄と入籍後すぐに夫を亡くし、昔からの趣味であるお菓子作りが高じて夫と開店する予定だった喫茶店が軌道に乗った後に焼失するなど、不幸の連続を体験している。

ネタバレを考えると一切の詳細を語る事ができないものの、個別√に入るまでにも紆余曲折があり精神をゴリゴリと削られ、里伽子と切っても切り離せない恵麻とのお話は序盤から終盤に至るまで一片たりとも無駄な部分がない。
完成されたシナリオというのはこういうものではないだろうか、と思わせるほどに特筆すべき点を挙げるほうが逆に難しいのだが、ともあれシナリオのメインテーマになっていたのは二人関係。
『禁断の関係』と文字にするのは簡単だが、その関係に落ち着くまでには長い苦難と苦悩が待ち受けており、このシナリオではそうした部分の一端を味わうことができる。
様々に変化してゆく登場人物たちの気持ちが、時に荒々しく時に訥々と綴られており、そうした色々な感情が渦巻く中、切なさが、悲しさが、飢餓感が甘い背徳感で満たされていく。
恋愛物にありがちな狭い世界観のシナリオでとどめる事なく、広い世界観で明るく描こうとするからこその選択は、辛さも確かにあったのだけれど、それを乗り越えて見える未来の姿には雨上がりの空のような気持ちよさを感じることができた。


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夏海 里伽子√【 EX  2h
主人公と同じ大学に通う同級生で、焼失前のファミーユではフロアチーフを務めていた女の子。
愛想がないため客からの人気はイマイチだったが、その明晰な頭脳を使いファミーユの店の雰囲気をガラリと変えたり主人公や恵麻に足りない経営戦略部分の多くを担い、人気店へと導いていた。
新装開店したファミーユには就職活動のため唯一参加していない。

情に流されるとロクなことにならない」が口癖になのに、主人公が困っていると「しょうがないなぁ、仁は」と言って助け、全てを包み込んでくれる聖母のような存在であり、ファミーユにとっても裏参謀のような頼もしいキャラクターの里伽子。
そんな彼女の個別シナリオは今作のグランドルートでもあり、パルフェという作品自体が里伽子のために書かれた作品であると言っても過言ではない程。
いままでのシナリオに隠された伏線も大きく絡んでいるので詳細を語ることはしないが、彼女にまつわる真相を知ったとき、『パルフェ』という作品の根底にあったドタバタラブコメディという明るいイメージをひっくり返すようなどんでん返しが仕掛けられている。
里伽子の抱えている、愛しているからこそ切なく悲しい想いが、胸が締め付けられるような展開が、丁寧な心理描写と共に表現されたこのシナリオは時を経ても色褪せる事なく、プレイヤーに感動を与えてくれる。


[主人公]高村 仁
真面目で優しい性格をしている青年で、両親や兄を亡くしている為か家族を何よりも大事にする。
ファミーユの家事で落ち込んでいた恵麻の為に、ファミーユを復活させるために奔走し、紆余曲折があってブリックモール店の店長となった。
天然で八方美人な所があり、そうしたところをファミーユの面々に詰られることも多い。
ファミーユでは軽食を担当しているものの味は総じて平均的。但し、義姉である恵麻のお菓子作りを昔から手伝っていた事もあって、卵に関する料理やお菓子作りのみは天才的だったりする。


【推奨攻略順:明日香→かすり→由飛→玲愛→恵麻→里伽子】
基本的に上記の順番が最も綺麗と言われているがある程度は順不同。
このゲームをプレイする上で守るべきは里伽子√を最後に回す事のみで、彼女のシナリオはBAD or NOMAL→TRUEという形事となるっている


CG
同じ原画家ねこにゃんさんの手によって、シャープで硬さを感じる原作の絵からより柔らかさを感じる絵に変貌をとげ、より広くに受け入れやすい絵になったように思う
絵の雰囲気自体は変わったものの、構図などは原作を忠実に再現されており、そのあたりが気になっていた人にとっては朗報ともいえる。
逆にシナリオと同様で無印になかったシーンの追加などはないので、そのあたりは注意。


音楽
音楽に一切の追加項目は無かったため未評価。
ただKOTOKOさんの歌う主題歌「Leaf ticket」が変わらず名曲である事、そして今作のBGMが一気に
雰囲気を変えてしまう力があった事だけは再び明記しておきたい。


お勧め度
上記まででも語っているので繰り返しになるものの、原作である『パルフェ~ショコラsecond brew~』のCG部分だけを作り直したリメイク作品でシナリオや音楽、各ヒロインの声はそのままかつ、追加要素(PS2版等)は無いので注意。
その為プレイ済みの人にとってはどうしても魅力が少ないので、そのあたりは素直に手を出さないのもありだろう。
むしろ個人的にお勧めし起きたいのは未プレイの人にとってであり、かなり昔の作品であるため手を出すのを躊躇してしまう人も多いはずだが、今作でそうした不安は払しょくされたといえるだろう。
音楽やCGは勿論、なによりシナリオに関しては今の作品に負けず劣らず、むしろ凌駕してしまう程の良作であるため、未プレイの方に強くお勧めしたい作品となっている。


総合評価
パルフェ自体の作品評価は最高と言っても良く、もう一段上の評価にするかどうか迷ったほど。ただリメイク作品としての評価をするなら話が変わってしまうので注意。


【ぶっちゃけコーナー】
前作のショコラに加えて、今作、そして「この青空に約束を―」と合わせてショコラシリーズと呼ばれているらしく、全部まぁ好きな作品なわけですが、今回で久しぶりにプレイ。
そして凄くこの作品が好きになっていた事に気が付いた。
最初…つまり十数年前にプレイした時は正直「昼ドラっぽい」って印象だったんだけど、謝らねばなるまいな。
というか、それ自体は変わらないのかもしれない、昼ドラも愛されてるからあの展開なんだろうね。
特に里伽子√はもちろん恵麻√とか、細かい心理描写の動きやら心のすれ違いによる切ない展開とか、WA2の片鱗が見えるなーって思ったわ。
他の√は爽快感すら感じるカラリと晴れた空のようなシナリオなんだけれど、先に名前を挙げたこの二つ…まぁとくに里伽子のシナリオはかなり心にずっしりと繰る作品だよな。
プレイ後にずっと心に何か残り続けるというか、こういう感想を書く作業でもしていないと消化しきれないものがあるような気がする。
シナリオに関しては上記まででかなり語ってるからそれ以上は語れない、あまりやり過ぎるとネタバレになりそうだし、プレイして判断してほしいかな。

この作品については正直褒めるところしかないのだけれど
リメイクとしては正直手抜きなのかなぁ…CGはものすごく頑張ってくれて、これ以上ないのだと思うけれど、声優系はやっぱり難しかったのかなぁ…。
せめてPS2系のシナリオとかは追加してほしかった気もしなくない。
ただ元が良すぎるシナリオだからあまり大きく変えると、元ある部分を崩しかねないし、そのあたりは難しいと頃なんだろうなぁ。
ともあれ、今回の評価は「パルフェ」を再度評価したという事で一つ理解しておいてもらいたい。