タイトル : ココロのカタチとイロとオト
ブランド : HULOTTE ROI


シナリオ : ★★☆☆☆ [2/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★☆☆☆ [2/5]
総合評価 : ★★☆☆☆ [2/5]
(総プレイ時間 : 2h)

シナリオ

そして、僕の心はもう一度……
きらびやかなイロとオトに包まれた――


人の心を色や音として認識できる主人公『月森 志季』。
その能力故に人付き合いを拒んでいた彼が初めて出会った心の見えない少女『星名 晴音』。
彼女との出会いによって彼の景色は大きく変えてゆく。

HULOTTEから発表された新ブランド「HULOTTE ROI」の処女作として制作された今作、シナリオとしては多少特殊な設定があるものの、主軸となっているのは主人公の『月森 志季』とメインヒロイン『星名 晴音』との恋を描いた学園物である。

ボリュームとしては2時間ほどの作品となっており、特徴的な部分といえば冒頭部分からすでに二人が付き合った所からスタートしている所だろう。
作中では告白するまでのシーンは回想を含めて殆どなく、序盤から中盤にかけては初々しくもラブラブな二人の様子がかなりスローテンポで描かれている。
美麗な絵や可愛いキャラクターと合わせて、HULOTTEらしい萌えゲーを楽しむことができる部分といえるだろう。
一方で、ガラリと雰囲気を変えて作品のメインコンテンツとなる「ココロのカタチ」をテーマにした部分となるのが中盤から後半。
見通せない晴音の心やそれを不安視する自分の心に対して疑心暗鬼になってゆくようなシーンの他、晴音の親友でもある『空木 和彩』との複雑な三角関係など触れていたりと、前半とは一転したシリアスな描写が目立つ。
この部分に関してはメッセージ性こそあるものの前半との対比が酷く大きく、プレイヤーの気持ちが着いて行かないだろう部分も多々あった。

シナリオの総評として、作品として最も大切な「起承転結」がゴチャゴチャになっており、展開ぶつ切りのチグハグになっているように感じる。
2時間という短いシナリオの中で主張性のある物語としてまとめ上げたかったのか、キャラクターの可愛さを前面に押したかったのか、その本質的な部分がブレていたために、読んでいるこちらも混乱しまうような作品になっているように感じた。


【推奨攻略順:選択肢無】
作中に選択肢は無く、1本道のシナリオとなっている。


CG
原画担当は「Hulotte」でもよくメイン原画を担当されている池上茜さん。
しっかりとした線に濃い塗の絵で
立ち絵はもちろん、イベントCGの種類も豊富で、時折バランスの気になる絵があるものの、総じて高品質な絵といえる。
Hシーン自体も6シーン程収録されている。


音楽
BGM7曲、Vo曲1曲(主題歌)
多少数の少なさが気になるBGM、全体的にはピアノを主体とした柔らかな曲が多い中、夏の日常シーンをイメージさせてくれる「夏空の飛行機雲」が個人的にお気に入り。
Vo曲は安定のDucaさんでタイトルをそのまま楽曲名とした「ココロのカタチとイロとオト」で、ゆったりと歌い上げられていた。


お勧め度
HULOTTEから発表された新ブランド「HULOTTE ROI」の第1作目となった今作。
値段帯がミドル~ロープライス作品の作品という事で、初めての人にとっても手に取りやすい価格となっている。
もちろんHULOTTE関係者が作成しているため、CGを中心に全体的に安定した作品ではあるものの、純粋な萌えゲーというわけでもなくシナリオ部分には課題も残っていたこともある。
今作のヒロインが好き等の確たる購入根拠が無いのであれば、純粋にお勧めはしにくい作品となっていたため、評価は抑え目になっている。


総合評価
CG部分を中心に評価ができる一方で肝心のシナリオ部分に今一歩足りないところが見受けられ、今後を激励する意味でこの評価となっている。


【ぶっちゃけコーナー】
全体的に見てやっぱり足を引っ張っていたのはシナリオ。
この作品を純粋に読んでいて、晴音の「可愛い」をただ享受するだけだった前半と作品としての主張をしている後半の流れの勢いが違い過ぎる。

物語として言いたい事は勿論わかる、わかるけれど見せ方を間違えたと表現するのが正しいだろう。
そもそもの話として、序盤の受け身すぎる主人公に苛立ちを覚えたりしてたくらいなのに、この展開では主人公の弱さを描きたいのか、それとも「ココロ」が読める難しさを描きたいのか、主張がブレてしまう。
今までの経験があるとはいえ、やっぱり主人公にはここぞと言う所では頑張ってほしいものだし、ココロが読めるという能力の難しさは昨今の作品でも多く触れられている。
そうした中でこの作品だから伝えられるメッセージがあったはずなのに、そのどれもを取り入れようとして、結果中途半端なものが出来上がっている。
この辺は告白シーンが無かったりと言うのも関わっているのかもしれない。
考えてみると作品として芯となる部分が飛ばされていたのも痛い所で、シナリオボリュームの制限とか合ったのかもしれないけれど、あくまで「恋愛物」を描くなら、その関係が大きく変わったシーンが無いと、登場キャラクターの心がうまくつかめない。
そういう意味では親友の和彩の方が良く描けていたくらいだった。
ボリューム不足、という言葉に逃げるのは卑怯かもしれないけれど、この作品で伝えるべきテーマを書くにはミドルプライス作品では足りなかったのかもしれない。

あと少し気になったのはメインでもある心の声の演出について。
ある意味でこの作品の象徴的な部分ではあるのだが、その演出に関しては古典的でストレート、ともすれば違和感を感じるシーンもあり、ただでさえゆっくりな物語のテンポをさらに落としてたように感じた。
この辺りにはもう少し工夫があっても良かったのでは、と個人的には思う。

振り返ってみるとシナリオ部分についてはかなり酷評した。
ただそれくらいに素地となるシナリオ設定とかは魅力的で、描くものがしっかりとしていれば、もしかすると化けていた作品かもしれない、そういう期待感があったからこそ、湧き出てくる想いの数々がプレイしながら頭に浮かんだ。

ブランドとしてはまだ1作目、これからまだまだ成長の余地がある作品だと思うので、これからの飛躍にぜひ期待したい。