タイトル : シルヴァリオ ラグナロク
ブランド : light


シナリオ : ★★★★☆ [4/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 21.5h)

キャラクター・シナリオ
lightの燃えゲーである『シルヴァリオシリーズ』――『シルヴァリオ ヴェンデッタ』、『シルヴァリオ トリニティ』に続く最終章の今作。
舞台はトリニティから数年後のカンタベリー聖教皇国。

物語は『神祖』と呼ばれるカンタベリー聖教皇国を統べる裏のボス、故郷を滅ぼされた主人公たちの復讐劇となっている。
それ以上の詳しいシナリオに関してはネタバレもあるため大きくは触れられないが、典型的な燃えゲーシナリオらしく戦闘シーンが中心で勢い重視のシナリオとなっている。
特に今作においてはシリーズ最大ともいえる敵の存在に対し、主人公陣営は『希望<ヒカリ>狂い』として、覚醒に次ぐ覚醒行うことで場面をひっくり返すような超常現象を起こすことが日常茶飯事となっており、そういった前提もあり、今作はシリーズ中で最も壮大で最も想像のつかない内容になっているといえる。
しかしながら、最終章である事もあってか、前作までのキャラクターこそ出てこないものの、端々に関連するキーワードや謎だった事象の真相なども描かれ、伏線回収とまでは言い難いものの、そういった作品的繋がりに関してはしっかりと堪能できる作品となっていた。


少し残念な点として、主軸にある『神祖滅殺』の流れ以外の部分に関しては非常に薄く、特に各個別√における各ヒロインとの恋愛シーンなどもオマケ程度になっていることに加え、各ヒロインシナリオに関してもTRUE扱いとなっているミサキ√以外は比較的、中途半端な終わり方になってしまっている。
物語の構造上仕方がない事でもあるが、少しさびしい所であり、こうした点は物語自体に深く入り込めない要因の一つにもなっていた。
特に各ヒロインに対して大きな想いを抱けないシーンが多く、せっかくの世界観やキャラクターを活かしきれていない印象も強い。

ただそうした状況の中で、燦然と輝く脇役の存在達がこの作品の最大の魅力といえる。
この作品の最大の魅力はやはり熱いバトルシーンだろう。
特に戦う前や戦っている最中のやり取りは現実的ではないものの、こういったジャンルには欠かせないシーンといえるのだが、そうした最大のポイントを語る上で欠かせないのがこの人、
ジェイス・ザ・オーバードライブである。
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徒手空拳で戦う熱き鋼の漢であり、主人公とは別のもう一人の神殺しとして描かれた軍人。
作中において彼は主人公をも超える希望<ヒカリ>の殉教者として描かれつつも、それでいてかの英雄とは違った魅力あふれる戦いをする人物として描かれている。
彼の魅力となる戦闘シーンは勿論カッコよいのだが、何よりも彼の語る言葉の端々からは、その熱き猛りと共に確かな未来への想いを感じるシーンが多い。
そうしたシーンは総じて思わず涙をにじませてしまう程に、痺れる程カッコよく作品を大いに盛り上げてくれていた。
脇役ながらも主人公張りの活躍を見せる彼は、この作品だからこそ生まれたキャラクターとも言え、物語を進めていく中で多くの人が魅了されていくだろうことは予想に難くない。

ミサキ√を主軸とした今作のシナリオは勿論満足いくものに仕上がってたといえるが、その中で彼をはじめとした主人公やヒロイン以外のキャラクターの魅力があふれるシーンがあった事がこの作品の評価を1段も2段も押し上げていたことを最後に書き加えておきたい。


共通√【 ★★★☆☆ 】  6h
最初に主人公陣営であったラグナ、ミサキ、セシルの3人と、アンジェリカやジェイス達の陣営との出会いのシーンやその初陣となるルーファス戦など序盤は比較的勢いのあるシーンが多い。
その為、状況としては非常に絶望的ではあるものの雰囲気自体は明るいのが特徴的で、設定等がおおむね把握でき、戦闘シーンが多くなってきたあたりからの盛り上がりも悪くない。
しかし中盤から後半にかけては、特に神祖たちの隔絶した強さと悪辣を描いたシーンが多くなっており、状況的にも追い込まれるシーンが多い。
絶対的な神を殺そうとする無謀な挑戦、それこそが本当の『神殺し』であるとわかるまでがある意味プロローグともいえるだろう。


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ミサキ・クジョウ√【 ★★★★☆ 】  5h
アンタルヤ商業連合国の傭兵であり、ラグナと運命を共にする家族であり相棒。
人懐っこく無邪気な彼女はまさに天真爛漫、どんな相手であっても壁を作ることなく接することができる凛とした少女。
ラグナと同様に故郷を滅ぼされた事に対する復讐の念は強く『神祖滅殺』を掲げて戦場を駆けるが、一方で”その先”を見据える事も重要だと考えている。
そのため、復讐に暴走しがちなラグナやセシルに歯止めをかけるような言動もあり、二人にとっての日常の象徴にもなっている。

セシル・アンジェリカを攻略後にロックが解放されるミサキの個別√は、当然ながら作のTRUE√ともいえる内容に。
他の√で曖昧だったラグナやミサキについて等が基本的にすべて明かされる他、もちろんバトルに関しては今作における最大級の『神祖』との全面戦争が描かれており、前シリーズの事情などを絡めたその内容は正しくグランドエンドに相応しい。
ここで描かれるバトルに関しては、燃えゲーによくありがちなインフレにインフレを重ねたものなので、特筆すべきことはあまりなく、そのた設定に関連する内容についてもネタバレを考えると語ることはできない。
しかし、シーンとしてやはりここでも光っていたのはジェイスとリチャードだろう。
ジェイスに関しては他の部分でその魅力を多く語っているので割愛するが、リチャードもまた語りつくせぬ魅力ある登場人物である。
この√に限らず、主人公であるラグナを『非日常の強い主人公』と称するなら、リチャードは『日常の主人公』といえる立ち位置にある存在としており、そんな彼らしい『強さ』を鮮烈に描いたバトルシーンは彼ならではといえる。
なにより、彼の複雑な心情は今作に深みを与えている要素でもあり、そういう意味では欠かせないキャラクターの一人となっていた。


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セシル・リベラーティ√【 ★★★☆☆ 】  5h
アンタルヤ商業連合国の十氏族『リベラーティ海運業』のお嬢様。
ラグナとミサキをサポートする雇用主でもあるが、一族の宿願である神祖滅殺のために自身も戦場に立つ生粋の復讐者。
可愛い見た目に反して計算高く、非常に肝の据わった性格をしており、以前は復讐にすべてを捧げていた。
しかし、その先を見据えたラグナやミサキに影響され、そうした部分も変わってきており、特に彼らの前では素直な反応を見せることも多い。


個別√ではセシルがリベラーティ家の呪縛を語ると共に、その運命を踏まえて主人公がセシイルの想いにこたえる事となる。
以前から好意を隠すことがなかったセシルの熱い想いがあふれるシーンは、恋愛描写が少ないこの作品においても比較的多めに描かれていたといえるだろう。
しかしながら、それとは別にこの√における最大の見せ場は中盤、シュウVSオーバードライブ、ラグナVSリチャードという二つの戦いの同時展開であった。
この二つはどちらも今作中でも屈指のバトルシーンであり、ともすれば神祖やセシルといった本丸を飲み込むほどで、この作品のこの設定だからこその熱いやり取り、そこにある男たちの熱い想い、戦いの中だからこそ描ける絆といった燃えゲーならではの魅力をいかんなく発揮する。
特筆すべきは「ジェイス・ザ・オーバードライブ」という存在であり、このシナリオにおいてその輝きは主人公をも凌ぎ、特にシリーズをプレイしている人にとってはたまらない設定などもあるので、楽しみにしてほしい所。


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アンジェリカ・フォン・アクトレイテ√【 ★★★☆☆ 】  5h
カンタベリー聖教皇国の粛清機関『聖座信仰監視局』の執行官で、ラグナたちと同盟を組む反逆者。
美しい見た目に幼さを感じる容姿、上品さの中に微量の毒を感じる口調という、ミステリアスな雰囲気の少女。
立場上の関係もあって、冷たい印象を受けることが多いが、友人のパトリシアとは気の置けない仲であり、強引で暴走しがちな彼女に振り回されることも多く、ぞんざいに扱ってはいるものの、同時にとても大切に思っている。

個別シナリオではアクトレイテ家の呪縛からの解放を描くが、あくまでそれが主のテーマというわけではなく、大筋の流れの中で同時に解決されるという印象が強い。
恋愛シーンに関してもあまり描写はなく、基本的には危機的状況に陥った中の展開という部分が主立っている。
ただこのシナリオではアンジェリカの親友であるパトリシアや一人の“神殺し”であるジェイスについても多く書かれているシナリオであり、そういった意味での名シーンは多い。


[ 主人公 ]ラグナ・ニーズホッグ
アンタルヤ商業連合国の傭兵にして、終焉吼竜<ニーズホッグ>異名を持つ星辰奏者<エスペラント>。
各地の戦争を渡り歩いたその風貌から誤解されがちだが、義理堅く心優しい常識人。
それゆえに、四年前に故郷を壊滅させたグレンファルトを憎み、相棒であるミサキと共に必ず討ち果たさんと誓っている。


【推奨攻略順:アンジェリカ→セシル→ミサキ 】
アンジェリカとセシルを攻略することでミサキ√のロックが解除されるため、全社二人に関しては好きな順番で攻略しても良いだろう。


CG
線が堅く濃い塗りの絵。
ヒロインが3人ではあるものの各キャラのイベントCGに関してはそこまで多くなく、戦闘イベントCGを中心としている他、SD絵も多数存在している。
またCGの他にショートムービーなども使用して戦闘シーンの演出をしている点も魅力の一つだが、前作同様その表現自体は割と簡素なので、その点に強い期待を寄せるべきではない。


音楽
BGM36曲(inst含む)、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
BGMに関しては作品イメージもあってか、荘厳なイメージの物やバトルシーン用の雰囲気が重い物などが中心になっている。
Vo曲はやはりOPの「神殺し -Ragnarok-」が印象的で、light作品らしいストレートに燃える楽曲となっている。


お勧め度
『シルヴァリオ ヴェンデッタ』、『シルヴァリオ トリニティ』に続くシルヴァリオシリーズ最終章となる今作。
作中では前作キャラクターこそ出てこないものの、それと匂わせる描写は勿論、この世界観特有のキーワードなどもが惜しげもなく使われている。
当方のように1作目をプレイしておらず、トリニティからの人間や、あるいはこの作品単体であってもある程度楽しめるようにはなっていたが、はり十二分に作品の世界観を堪能するためには基本的には前2作のプレイが必須であり、とくにプレイ前には再履修等の必要があるといえるだろう。


総合評価
音楽・CGのバランスは良く、シナリオも燃えゲーらしい安定した作品といえ、シリーズ最終章としては十分に良くできた作品となっていてこの評価。


【ぶっちゃけコーナー】
ちょっと上でも触れていますが、実はトリニティ(2作目)しかやったことが無くて、ヴェンデッタ(1作目)をプレイしていないんですよね。
全くプレイしていない人よりはある程度分かる部分も多いのですが、やっぱりわからないところも結構あったりして、そういう時はWikiで調べたりして入るものの、やっぱり1作目やっておくんだったと後悔はしている…。
そもそも2作目の内容ですら忘れてる部分多かったからなぁ…。
プレイしていないのはこちらが悪いのだけれど、せっかくの世界観なのだしTipsくらいは実装してもいいのかも? とは思いました。

あとシステム面で付け加えるなら、全体的に動作がもっさりしている事。
他のゲームではあまりこうはならないので、やはりこのゲーム特有なのだとは思う。
シーンジャンプとかいろいろやりやすくはなっているのだけれど、そのあたりはまだまだ発展途上なのかな。

戦闘描写の物足りなさは相変わらず、やっぱりもう少し昔の方が…って気持ちが少しある。
あとシナリオに関しては割と勢い重視だからね、あまり語ることがないというか、ある意味ではシチュエーションや設定ありきであり、7~8割は戦闘描写で、戦闘中のやり取りこそがこの作品…というか燃えゲーの真骨頂なのだと思う。
そういう意味では結構楽しめる作品だったかなぁ…。
最終的には主人公やヒロインより、ジェイスやリチャードといったサブキャラの方が光っていた作品ってのは結構な人が同意するんじゃないかなぁ…。
状況が状況だから仕方がないけれど、各ヒロインと主人公との恋愛描写とかがかなりあいまいだからね、そのあたりの印象が薄くなってしまうのは仕方がないのかもしれない。
ただ、そこにもしも今作のサブキャラのように深みを持たせることができたのなら評価が変わってきたのかもしれない。
この辺りはどこを重視するかが難しい問題にはなりそうだけどね。