タイトル : 神様のような君へ
ブランド : CUBE


シナリオ : ★★★★☆ [4/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★★☆ [4/5]
(総プレイ時間 : 11h弱)

キャラクター・シナリオ
ある日、ハッキングが得意な主人公が日本の中枢を担うA――C-AIにハッキング行為を行い、C-AIに対して"とある命令"を下したことから物語が始まる。

近未来を舞台としたSF作品である今作、冒頭から主人公がハッキングを行っていたりと作品舞台と合わせて電脳世界の話もテーマとして深くかかわっている。
シナリオ自体は3人のヒロインとそれぞれに付随したサブヒロインシナリオの合計6から構成されており、それぞれ世界観がしっかりしていた印象が強い。
なかでもヒロインの一人であるツクヨミの存在は突出しており、その他のヒロインの設定なども巻き込んだ大きな展開は、この作品における最大の見どころの一つだろう。
勿論、そのほかのシナリオにおいてもこの物語だからこそ描ける内容がテーマに沿うような形で作られている。

上記で述べたとおり個別√が存在するのは6人(サブヒロインを含めて)であるが、おいてダレる部分はわかりやすく説明しつつ、多くのシーンをカットすることで物語の総量は比較的コンパクトな分量に収まっている。
キャラクターの可愛さを見せるべき部分ではそこを、ギャグシーンならギャグを、そして物語を締めてくれるシリアスシーンや緊迫したサスペンスシーン、驚きの伏線回収など、魅せたい所でしっかりと見せて、要所要所での山と谷がしっかりとしているため、自然と物語にのめりこんでいくこととなる。
物語自体の面白さもあってのことではあるが、集中が途切れることなく終盤まで時間を忘れてプレイに熱中できた理由はここにあるだろう。

一方で、物語のボリュームが足りないという部分は依然として問題。
どうしても展開に次ぐ展開へと、心休まる時間が余りないために、じっくりとキャラクター自体へ深く立ち入るスペースがない。
その為に、要所にあるシーンでイマイチ感情移入しにくいなど、読みやすさがあった反面、与えてくれている感動の大きさがしぼんでしまっていた感覚はある。
この辺りは個人差によるものも大きいが、やはり良いキャラのシーンはたくさんプレイしたいというのは共通の認識といってよいだろう。

上記で少し触れたが、各ルートのシナリオについてもう少しだけ補足しておくと、それぞれの物語は複数のライターが担当しているためか、テイスト自体は違った雰囲気のものとなっている。
しかしながら、下地にある大きな部分ではしっかりとつながっており、それでいて一つ一つの物語がそれだけでグランド√を作ることができるのではないかと思う程に展開力に富んだ内容となっていた。
またこの作品にはいくつかの、BADENDが用意されており、その精神攻撃性の高さなども見所の一つといえるだろう。

この作品の世界観を支えているという意味で、空間を演出する音楽や、何よりも美麗なCGなどに目を奪われがちではあるが、シナリオとしての完成度はこうした部分を見ても高く評価できるだろう。


共通√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
ツクヨミを中心とした各ヒロイン達の出会いと、それにまつわるイベントが描かれている部分となっており、比較的すぐに各ヒロイン√へと分岐する。

上記でも説明したが、シナリオがそれぞれのメインヒロインのシナリオに分離する形となっているため、その前提となる共通部分の描写は非常に少ない。
それもあって評価自体は普通程度となっているものの、雰囲気十分なSF感と今後の展望を思わせるドキドキ感があり、また短く纏まったシナリオがテンポよく展開していくため、話の長さ以上に物語が動いていくこととなり、世界観にどんどんと引き込まれていく。
こうした要素もあって、物語の導入部分としては十二分に評価できるだろう。


神様のような君へ (1)
ツクヨミ√【 ★★★★☆ 】  2h
主人公がC-AIにハッキングしたことにより製造されたロボットで、人間離れした身体能力と規格外の処理能力を持つ。
その外観は主人公の趣味嗜好をかなえた女の子の形となっており、触っても分からないほど精巧に作られている。
ハッキングの際に与えられた主人公の命令である「大好き」を伝えるため、様々な手を講じるものの、その判断基準がネットであるため、突拍子もない行動をすることも。

今作のセンターヒロインであるツクヨミの個別シナリオ。
前半は特にツクヨミとの恋愛シーンがたっぷりと用意されており、ツクヨミと主人公が人とロボットという壁を越えて愛し合ってゆく様子を描かれている。
そして中盤から後半にかけてがこのシナリオの本領ともいえる部分となっており、SFの世界観をフルに使った息もつかせぬ展開の連続、バトルものの作品もかくやといった緊迫感、そして予想を超える結末にと、今作の舞台設定をいかんなく詰め込んだ内容となっていた。
その中でも多くのヒロインを絡めた展開などが見所の一つとして挙げられるが、一方で他のヒロイン√のネタバレも一部含まれてしまっているので、攻略順等には配慮が必要だろう。


神様のような君へ (5)
黒鳳 玲音√【 ★★★☆☆ 】  1h
生徒会長を務める一つ年上の優等生。
美人な見た目は勿論、成績優秀で分け隔てなく接する愛想の良さも兼ね備えた完璧ともいえる存在。
主人公とは住む世界が全く違う玲音だったが、彼女のある『目的』のために協力を要請してくるようになる。

サブヒロインである玲音の個別シナリオはツクヨミ√から分岐。
彼女の秘密を知ったことで、共通部分では見られなかった玲音の真の姿を堪能できる内容となっており、その妖艶ともいえる雰囲気は他のヒロインにはない魅力がある。
また詳細は伏せるものの、他の√よりもより主人公の特技であるハッキングの話に触れる内容にもなっており、ハラハラとするサスペンスシーンと合わせ、読んでいて純粋に面白かったシナリオでもあり、短さはあるものの、サブヒロイン√とは思えないほど内容のギュッとつまった内容となっている。


神様のような君へ (3)
ラナ・リデル=ハート√【 ★★★☆☆ 】  2h
いつも『シャーロック・ホームズ』のコスプレをしているイギリス人の3年生。
天真爛漫で明るい少女だが、類稀なる洞察力を持ち、依頼されて探偵のような活動をすることも多い。
幼少期は日本に住んでいたが、一端イギリスに帰国した後、最近になって再び日本にやってきて、両親のいない家で姉と二人暮らしをしている。

個別シナリオの序盤から中盤にかけてはラナとの恋愛シーンもそこそこに、近未来設定を活かしたサスペンス要素たっぷりのシナリオがメインで描かれている。
物語としては山に当たる部分であり、ラナの頭脳と主人公の特技が上手く合わさり、謎の真相に迫ってゆく過程はワクワクしながら読むことができる。
一方後半は物語的に谷となる部分となっており、深くは語らないがBAD√然り、非常にヘビーな内容も含まれた展開となっていた。
切ないシーンなども多い中、苦境に立たされた時の主人公の行動がすごく良く光っており、そうした苦難を超えた後のエンディングだからこその感動がある内容となっていた。


神様のような君へ (6)
ソフィア・リデル=ハート√(+ラナ&ソフィア√)【 ★★★☆☆ 】  1h
ヒロインであるラナの姉。
イギリス人でスタイルが良く明るく包容力もあるが、仕事もAIの研究をしていたりと頭脳も明晰なのだが、一方でマイペースな一面もあり、その行動で妹であるラナを振り回すことも多い。

個別シナリオとしてはラナ√の後半部分から分岐する形となっており、またそのさらに先にある選択肢で分岐する「ソフィア√」と「ラナ&ソフィア√」の違いもほとんどない。
シナリオの内容についてはラナ√のネタバレにもつながるためあまり触れられないが、そのシナリオの関係上、ソフィアとのシーンはどうしても暗い雰囲気になっていて、終わり方に関しても、一応は一件落着となっているものの、どうしても後味が悪くなっている。


神様のような君へ (2)
朝倉 霧香√【 ★★★★★  2h
主人公の1歳年下の後輩。
自分に自信が持てずに、他人を信用できないため警戒心が強く、他人を寄せ付けない雰囲気を感じさせるためかいつも一人で過ごしており、主人公とはとある一件で知り合いとなった。
歌とダンスがとても上手く、それを活かした活動をしているそうだが…。

個別√は前半、霧香の活動をテーマにした物語となっており、一人だった少女が主人公と出会うことで、新たな一歩を踏み出す様子を描く。
いつもは自信なさげな彼女だが、音楽やダンスにかける気持ちや、その活動の姿には美しさを感じるシーンも。
一転して中盤から後半は、物語の様相が一気に変わる。
詳細はネタバレのために伏せるものの、叙述トリックや伏線回収をつかった展開自体の面白さは勿論、終盤は感動できるシーンも詰まっており、非常に秀逸な√となっている。


神様のような君へ (4)
神無月 愛彩梨√【 ★★★★☆ 】  1.5h
今作のサブヒロイン。
主人公より一つ年下で霧香のクラスメイト。
バーチャルアイドル「神無愛莉」として、ネット上でも顔などを公開して活動をしており、その明るい性格と少し残念な所が人気でファンも多い。

シナリオとしては霧香√より派生しており、短いながらも緩急のある展開になっていて、特に愛彩梨の感情が発露するシーンにおいては、思わず感動してしまうシーンなどもあり、彼女のアイドルとしての夢とプライドがしっかりと描かれた内容となっていた。
また、愛彩梨のひたむきに努力を続ける姿に魅力を感じる一方、霧香の行動がとても光っているシーンもあり、そういった点でも見所がある内容となっている。


[ 主人公 ]城前 塊斗
ハッキングが得意な少年。
目の前に謎があると解かずにはいられず、そのために法を破ることもいとわず、その腕前は世界最高レベルのプロテクトをもつC-AIのセキュリティを破るほど。
他人にはそうした部分が理解してもらえず、多くは一人で過ごしているが、ハッキングした先での破壊や盗難などは行わないという、自分なりの矜持があったりと、


【推奨攻略順:愛彩梨→霧香→ソフィア→ラナ→玲音→ツクヨミ】
攻略順にロックはないので好きな順番で攻略は可能だが、最低限ツクヨミは最後に回した方が良いだろう。
そのほかのキャラクターに関しても、とりあえず各ヒロイン√から分岐するサブヒロイン√を先にプレイすることを心掛けておくと良い。


CG
しっかりとした線に濃い塗で、色鮮やかな印象を受ける。
この作品を手にした人なら誰しもがカントクさんの絵であることを意識しているはずであり、立ち絵やイベントCGについての品質においては言わずもがなトップクラスといえるだろう。
特にキャラクターを可愛く書くのは勿論なのだが、それを見せる上で背景にあたる部分の色使いや光の演出などにもこだわっており、そのレベルの高さがうかがえる。


音楽
BGM26曲、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
全体的に落ち着いたBGMが多い中で、意外にもSFっぽさのある物はあまりないものの、暗めの雰囲気を演出するものなども目立つ。
個人的には「記憶」の優しいメロディーが非常にお気に入り。
OPとEDはどちらもDucaさんが担当しているが、個人的にはEDの「AI」がお気に入り。
ゆったりとしたイントロから強いリズムで歌いあげられたサビ部分は勿論、後半のハミングなど、聞いていてじんと心に染み渡る名曲となっている。


お勧め度
なんと言ってもセールスポイントの一つは「カントク絵」であるという事。
またそれに付随して背景を担当されているのが、わいっしゅさんであり、その二つが組み合わされた時の画面内の色鮮やかさ、圧倒的存在感に関しては申し分ないといえる。
またそうした部分に隠れがちな音楽面やSF作品として読み応えたっぷりのシナリオも負けず劣らずお勧めしたいポイントに入っている。
玄人から初心者まで広く楽しめる作品の一つとして挙げられるだろう。


総合評価
全体的な完成度が非常に高く、絵はもちろんのこと、シナリオに関しても高く評価しており、安心してこの評価をつけている。


【ぶっちゃけコーナー】
絵に関してはもう言う事ない。
それくらい凄かった。

音楽は…意外と印象が薄い部分もある。
別に悪いわけじゃないんだけど、ここぞという時のシーンにBGMの破壊力って試されているんだと思うけれど、そういう意味ではこの作品にこれっていうBGMはなかったかも。
楽曲全体のレベルは高い気がするだけに残念かも。

シナリオ読む分にはすごく面白いけど、小説的な面白さというべきか、率直に言うと思った以上に泣けない作品ではあった。
勿論上記にある音楽の影響はやっぱりでかい、それでも道中のシーンで結構感情移入していただけに、個人的にもっと泣けるのかな、と思っていた。
けれど、そもそもの作品テイストが泣きゲーではないのかも? と思ったりもして。
霧香√然り、泣ける場面もあるにはあったから一概には言えないのだけれど、そのあたりはライターによる違いといえるかも。
まぁ物語が短くて不足感はちょっとあるけれど、普通に読んでいて面白いと思えたし、近未来SF設定を活かしたシナリオの完成度は高かったと思う。