タイトル : アイカギ2
ブランド : あざらしそふと


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 2h)

キャラクター・シナリオ
新学期がスタートし順調な滑り出しをしていた主人公、そんな彼がとあるきっかけから、自堕落でオタク趣味の幼馴染をお世話することになる。
勉強が大好きな完璧主人公とオタク趣味の残念美少女の凸凹コンビによるドタバタのラブコメ同棲生活を描いた作品。

主人公の名前のみ変更可能となっている今作。
アイカギシリーズとしては第三段ではあるが、その他シチュエーションに似た所がある以外は作品として繋がりなどはなく(一部背景などは使いまわされているが)、単体として考えてよい作品となっている。

今作もロープライス作品ということで、シナリオ自体は比較的短いものの、メリハリのしっかりした物語であったため、時間を忘れて最後まで楽しくプレイできた。

例のごとく「同棲」という事で、物語で綴られる世界観はヒロインである綾乃との閉じた世界観で描かれていて、そうした観点からも評価を語る上で、彼女について語ることは欠せない。
特に今作では綾乃の性格がとても良かったことが作品の質を一段階あげていたといえる。

幼馴染で、かつオタクな趣味を持つ美少女という事で、本人はいわゆる『やればできる子』として描かれている綾乃。
最初こそ自分勝手で強引な性格、そしてマイペースな行動にあきれてしまいそうなシーンも多いものの、ポンコツさの中に見え隠れする可愛さや健気さ、そしてなんといってもそのコミカルなキャラクターと反応に終始笑わせてもらった。
またその性格が声を当てている遥そらさんと非常にマッチしていたことも、影響としては無視できないだろう。

もちろん、要素としての「オタク趣味」というのも彼女を表現するうえでは欠かせない。
オタクな彼女を持つ彼女だからこその日常シーンやイベントは他のヒロインではなかなか表現できないものがあり、『同棲』という一つのテーマで作られている今作に、もう一つ違う色を付けてくれている要素となっている。

シナリオとは勅瀬的に関係のない部分ではあるものの、この作品に関しては彼女のそういうキャラクター性があってこその部分もあり、好印象部分の一つとして挙げておきたかった。

作品としては序盤、綾乃とのドタバタな日常に笑わされつつ、成績の向上という事で勉学シーンなど学園要素もしっかりと入っている。
この辺りに関してはどちらかというと、視点転換などを用いて主人公よりもヒロインである綾乃の心情を描いたシーンなどが目立つ。
だからこそ普段のだらしない彼女の部分と、主人公を見て影響され、そしてその心を変えていく健気なシーンに強いギャップを感じ心惹かれる場面もあり、そうした心に芽生える恋心をしっかりと描かれいたのは好印象だった。

一転、後半シーンでは綾乃の影響を強く受けていく主人公の様子が描かれていて、影響し合う二人の様子がうまく表現されていた。
もちろんこうしたシーン合間にはイチャラブシーンもたくさん含まれておりそうしたシーンも重要な作品要素の一つといえるのだが、個人的にはそうしたシーンに強く心動かされていたことが多い。

総括として、今作はイチャラブ系の萌えゲーではあるものの、その中にある押しと引き、つまりはメリハリがしっかりとあった作品だったように思える。
そうした表現こそが綾乃魅力が引き上げており、この作品とそしてヒロインである綾乃にハートをぎゅっと掴まれた理由なのだと思う。

【推奨攻略順 : 無し 】
選択肢はあるもののシナリオに影響はせず、物語は1本道。


CG
しっかりした線と濃い塗の絵。
とても質感が艶やかで質の良い絵は全17枚+SD絵の3枚(Hシーンは7シーン)で半数以上がHシーン用のものとなっている。
個人的に印象的だったのは背景で、使いまわされている背景があったのは少し気になるところだが、個人的に最も注目したのはヒロインの部屋の背景。
出不精なヒロインであるため部屋を中心に話が展開するが、今回はその部屋を2方向から描いており、閉塞感を感じさせず、リアル感を増す造りになっていた。
また、各種グッズにも過去作や関連作などが含まれていたりとギミックに富んでいるところも見どころだろう。


音楽
BGM9曲、Vo曲1曲という構成。
印象的には落ち着いた雰囲気のものが多いBGM、中でも「幸せってこういうこと」はHシーンで使われるものではあるが、ピアノの旋律が心地良いものとなっている。
Vo曲は安定の大島はるな(#エロティック大島)さん。
楽曲『きっと友情』の歌詞は友情から恋に変わってゆく心情が語られており、特に本編で語られなかった主人公の心の動きを思わせているように個人的には思えた。


お勧め度
あざらしそふとの『アイカギ』シリーズという意味では3作目となるロープライス作品。
『2』となっているものの、物語としてのつながりは一切なく、この作品単体で十二分に楽しむことができる内容となっている。
テンポよくウィットにも富んだ内容は読みやすく、価格と合わせて広くお勧めしやすい作品となっている。
シリーズとして好きな人は勿論、今作が初めてでヒロインの性格やシチュエーションが好きな人にはぜひ気軽にプレイしてみてほしい作品。

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総合評価
ロープライス作品としては平均的な作品ではあったが、終始楽しんでプレイできる作品となっており、個人的には評価以上の内容が含まれていたと思っている。


【ぶっちゃけコーナー】
やっぱり作品に笑いが入っているとサクサクとプレイできる気がするし、より感情移入ができている気がする。あとはキャラクター自体の相性が良かったともいえるのだけど、アイカギシリーズの中では個人的に最も楽しめた作品だったかな。

今作で一番感じた部分はやっぱりギャップかな。
ヒロインの綾乃はすごくどうしようもない人間…まぁ、やればできるタイプの子なのかもしれないけれど、ゲーム中毒だし…。
ただ、そういう子だったのが、主人公の頑張りとかを見て、何とかしようと奮起するシーンが何度もある。
どちらかというと今回の作品ではそうした描写こそがメインのような気がして、特に作品としてはヒロインの綾乃しか出てこない作品だからこそ、彼女の行動自体が作品に大きな影響を与えていた。
序盤に主人公を巻き込んでいくマイペースな「押し」の部分と、主人公を慮ってそして恋に落ちていく「引き」の部分。
この二つがしっかりとメリハリつけて描かれていたから、最後までサクサクとプレイできたんじゃないかなと思いました。

というか主人公、勉強できるし料理できるし本当に完璧すぎじゃね? って思ってたところに後半なんですよね。
いい意味で綾乃の影響を受けていく主人公が良かったですね。
もし影響を受けないままだと、なんというか依存関係みたいなのが浮き彫りになって、病的…とまではいかないけれど、やっぱり健全じゃないような気がする。
どころが、影響し合ってる二人を見ていると「あ、お似合いだな~」って素直に思えるから不思議なものだと思う。
この辺りは本当に巧かった。

イチャラブはまぁ、安定のあざらしだからね、そこは心配してなかったけれど、ただのイチャラブじゃなくて、オタク趣味を持った女の子としてのイベントを描いていたのは新鮮だった。
個人的にはそういう趣味の子は否定的な印象を持っていたのだけれど、素直に「良いな」と思わせたのだから、やっぱりすごいと思う。
ロープライス作品で相変わらず短い作品だけど、シナリオとしてのまとまりは良く、綾乃自体の魅力を十二分に引き出せた作品なのかな、と総括的にはそう思っています。