タイトル : アイコトバ
ブランド : あざらしそふと+1


シナリオ : ★★☆☆☆ [2/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★☆☆☆ [2/5]
総合評価 : ★★☆☆☆ [2/5]
(総プレイ時間 : 3h)

キャラクター・シナリオ
SNSアプリ『アイコトバ』を通じて知り合った運命指数99%の相手『夜空』、ネットだけのつながりだった彼女と現実に合うため待ち合わせをしていると、待ち合わせ場所にやって来たのは7年前に生き別れた妹『卯月』だった。

7年ぶりに再会した兄妹の禁断の恋をテーマにした作品。

ロープライス作品であるため、作品の長さは短めでテキスト自体もすっきりしているため読みやすい。

物語は大きく二つ、卯月に『すぐに手を出してしまう展開』と『手を出さずに我慢する展開』に分かれている。。

前者に関しては、Hシーンなどが非常に豊富で(作中では13シーンが用意されている)ある種、肉欲の日々が描かれている。
この部分に関しては彼女の視点で描かれているシーンも多く、特に卯月に関しては二つのロールが用意されていたことが特徴的。
妹としての『卯月』と赤の他人としての『夜空』、兄である主人公と接する時にその二つの立場を巧く入れ替えることで、一線を超えるハードルを下げていた。こうした表現がヒロインとしての心理描写に深みを与えていたことは言うまでもない。
全体的にも明るく卯月の可愛さなども良く表れた内容となっているが、シナリオ的な観点からみると評価は高くない。

後者の手を出さなかった場合について。
こちらに関しても大まかな流れは共通で、差分として挙げられるのは各シーンにおいて卯月の誘惑を振り切り、プラトニックな関係を突き通すシーン等である。
この展開において最も大きくそして印象的にシナリオに差が出るのは物語終盤部分。
この部分では兄妹の禁断の恋という部分について、真正面からぶつかるからこその葛藤が描かれ、特にこの部分の主人公のモノローグは熱を感じるものとなっており、そのBGM演出と合わせて作中で最も感動的で秀逸な部分といえるだろう。

作品背景としてある二人が生き別れになっていた理由など、ある程度の部分は作中でも語られているものの、どちらかというとシチュエーション付けの要素が強く、作品の内容には余り大きく絡んでこない。
そのため作品として齟齬が出ている場面などがあったことや、この辺りをテーマにすると作品としてさらに深みが出た可能性などを考えると、若干勿体ない部分でもある。

【推奨攻略順 : END1(手を出す√) → END2 (手を出さない√)】
基本的には好きな順番で良いが、物語的には上記の順番が綺麗。


CG
艶やかさを感じる濃い塗の絵。
Hシーンがある程度メインとはなっているので、一般的イベントCGはどちらかというと少な目。
立ち絵に関してはいくつか気になる物もあったが、イベントCGに関しては全体的な完成度が高い。


音楽
BGM12曲、Vo曲1曲という構成。
yuzurino*三が歌う主題歌「アイコトバ」はイントロも良いのだが、徐々にテンポアップした後に歌い上げられるサビ部分が最も気に入っている。
この曲の良さはBGMであるピアノバージョンの「アイコトバ」で顕著に感じることができ、作中で流れた時も印象に残っている。


お勧め度
ボリュームや品質等に関しては一般的なロープライス作品であり、ことさらこれをお勧めするということはない。
しかしながら、兄妹の禁断の恋をテーマにしたシナリオという意味では短いながらまとまった良作という見方もできるため、そういう部分に興味をひかれた方や、ヒロインである卯月等に興味を持った方はお勧めしたい。

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総合評価
ロープライスとしては平均的だが光るところもあり、気持ち的にはもう少し評価を挙げたかった所。


【ぶっちゃけコーナー】
正直「手を出す展開」だけならもっと低い評価だったか、もっと付け加えると「手を出さなかった展開」の終盤部分がなかったらそうなってた。
本当に短い5分10分のシーンなのだけれど、それだけで作品の印象がガラッと変わった。

あのシーンに関しては今までの流れがあるからこそ伝わってくる熱気みたいなものが文章にあったんですよね。
あとはBGMとの相性が本当に良かった。
これは何度言うんだって話だけどOPの「アイコトバ」自体がいい曲なんだけどBGMアレンジされた「アイコトバ」がすごく良い。
音楽部分の評価もこれに助けられていたかも。

ともかくとして、あのシーンを書くためのこの作品なんだろうな、と感じられるくらい良いシーンだったので、個人的にはもう少し高い評価をしても良いのだけれど、やっぱり粗が目立つ部分もあってそういった部分を鑑みるとこの評価に収まったのかも。
ロープライスということもあってどうしてもシナリオは短いけれど「禁断の恋」というテーマをブレずに描いた纏まりのある作品、というのが総括としていえる。

シナリオ部分ではあまり卯月の魅力について語れなかったので、ついでにここで。
卯月のキャラクター自体は、妹であるという事が重要なファクターではあると思うが、丁寧な言葉遣い等々、割と一般的なヒロインともいえる。
ただ、主人公に対する態度と同級生の前での態度に差があったり、シナリオ部分でも触れたが『卯月』として接する彼女と『夜空』として接する彼女にしっかりと区別がつけられていたのは好印象。
心理描写を含め、そうした部分の描写が丁寧だからこそ卯月の魅力がさらに光ることに加えて、主人公の葛藤がな鮮明に映っていた。

そういえば終盤にタイトル回収されていたけど、まぁあのあたりはさすがに言葉遊びかなぁ…って感じはする。
まぁ、主軸ではなかったからそんなもんだよね。