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タイトル : 千の刃濤、桃花染の皇姫‐花あかり‐
ブランド : August


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]

キャラクター・シナリオ
Augustの渾身の名作、前作「千の刃濤、桃花染の皇姫」から3年越しに発表された同タイトルのFD作品。

FDという特性上、共通ルートなどはなく基本的には各キャラクターのアフターシナリオで構成されているのだが、前作で登場したヒロインだけではなくサブヒロイン、キャラクターの分まで作られている。
総勢12キャラからなるシナリオではあるものの、反面各シナリオはヒロインであっても30分ほどで終わるほどの短編となっているのも特徴的な部分。

短くはあるものの、各キャラクターの魅力を端的に演出しているほか、描かれていなかったワンシーンや新たな一面などを演出することもあった。
また本編ではどうしても重く暗くなりがちな内容であったが、今作ではギャグシーンも多く、全体的に心温まるものや笑顔になれるシナリオが採用されているのも印象的といえる。

全体として前作からある和テイストの雰囲気を守りつつ、各キャラクターのアフターを作り上げるという点では十二分な役割を果たしていたといえる。

しかしながら、1篇1篇の内容が非常に薄かったのもまた事実であり、全体的に伝えたいことなどがよくわからず曖昧であった。
この作品単体としてみた場合はそこまで問題にもならないのだが、本編の完成度を考えるとどうしても期待してしまう部分もあり、同作品のFDということを鑑みるともう少し内容を掘り下げてほしかったところ。


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宮国 朱璃√【 ★★★☆☆ 】  0.3h
禍魄との戦いから2か月後、独立を勝ち取った皇国で『桃花帝』として毎日忙しく過ごしている朱璃と宗仁のつかの間の休息を描く。
シナリオとしては割と短めなのだが、どうしても緊迫感が強かった本編とは対照的に、まったりとした雰囲気で描かれており、特にボケる宗仁と突っ込む朱璃の掛け合いは面白く、ほっこりとした気持ちになれる。


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鴇田 奏海√【 ★★★☆☆ 】  0.3h
共和国の撤退後、国家元首『翡翠帝』となった奏海のその後を描く。
本編にて小此木の傀儡だった奏海が兄のことを想い、『翡翠帝』という重圧から逃れるために綴っていた日記をテーマにした物語。
滸やエルザとの絆も少し描かれているが基本的には宗仁とのふれあいが主たる部分であり、過去への決別と未来への希望を感じさせる内容となっている。


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椎葉 古杜音√【 ★★★☆☆ 】  0.3h
本編の個別アフターとなる、共和国との戦いから1年後を描く。
彼女の柔らかで朗らかな面が多く描かれているのはもちろんだが、終盤においては強い信念を感じさせる描写などもあり、短いながらも斎巫女である古杜音が思う巫女の在り方やその理想が良く伝わる内容となっている。
また古杜音のシナリオではあるものの五十鈴とエルザの登場シーンも多く、本編にはない彼女たちの不思議な関係が描かれている。


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稲生 滸√【 ★★★☆☆ 】  0.3h
本編のアフターとなる、帝宮での戦いから2年後を描いた物語。
展開自体はかなり大きいのだが、あらすじをなぞる程度で多くが省いて描かれており、全体的な分量はやはり少なめ。
中には戦闘シーンも存在はしているのだが、描写自体も簡素なものとなっている。
クリア後に追加される余談では豆腐に目がなくて意外とアイドルオタクな宗仁にほっこりできます。


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エルザ・ヴァレンタイン√【 ★★★☆☆ 】  0.3h
竜胆作戦後のお話。
皇国独立のため政治制度の民主化に取り組むエルザのワンシーンを描いたシナリオであり、特に夜鴉町の復興部分を描く。
共和国人として皇国で生きていく、エルザらしい明るさと未来へ向けて歩みを進める力強さを感じる内容となっていた。
余談を含めて槇がシナリオによく絡んでいたことも特筆しておきたい。


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来嶌 紫乃√【 ★★★☆☆ 】  0.3h
紫乃と共に皇国の未来のため、教育者としての道を目指す日々を描いたシナリオ…なのだが、本質はそこではなく、いつまでたっても素直になれない紫乃のために宗仁が一計を案じる。
すっきりとしたシナリオの中に紫乃らしさと、彼女だからこその萌えポイントが詰まった内容となっている。


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更科 睦美√【 ★★★☆☆ 】  0.3h
『竜胆作戦』後の睦美との日々を描く。
本編では語られなかった睦美にとっての「武人の女としての覚悟」、そして武人の男女の不器用な恋物語を描く。
大人の色香を感じさせるシーンはわりとHシーンに集中している気がする、酔った睦美さんは破壊力が高い。


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伊那 子柚√【 ★★★☆☆ 】  0.3h
伊那家再興のシナリオとなっており、簡単ではあるものの槙との戦闘シーンなども存在。
短いシナリオではあるものの子柚のかわいらしさが良く出た内容になっている。


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緋彌之命√【 ★★★☆☆ 】  0.5h
本編後のアフターストーリー。
朱璃の中に残り続けている緋彌之命が抱えている『未練』についてを描いたシナリオ。
時間素行なども登場するIFストーリー、二千年もの永き『使命』の果て、そこにいたのは一人の女性でした。
個人的には『余談』での緋彌之命と宗仁の掛け合いがコミカルで面白く、彼女らしさも出ていて可愛らしくもあったので好きでした。


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椎葉 千波矢√【 ★★★☆☆ 】  0.3h
はるか昔の物語。
とあるきっかけでミツルギと出会い、そして恋に落ちていく様子が非常に速いテンポで描かれている。
全体的にがおそらくIFストーリーのようになっているものの、本編ではあまり語られなかった禍魄との戦いの発端も伺えるような内容も描かれている。
いつも明るい彼女だけに中盤の展開は少し切ない。


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閑倉 五十鈴√【 ★★★☆☆ 】  0.3h
本編シナリオの後半部分からを五十鈴視点で描き、さらに√後半はIF√のような内容になっている。
先の作品でメインとしてスポットが当たらなかった脇役キャラが抱えるほのかな思いと「あったかもしれない」幸せな未来がつづられたシナリオとなっている。


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八岐 雪花√【 ★★★☆☆ 】  0.3h
朱璃が桃花帝となった後のシナリオで、<<胡ノ国>>の巫女の末裔で、現在は<<黒主大神>>を奉る社にひっそりとたたずむ巫女。
敵キャラのアフターということで、本編でも少し語られていた悲願のようなものが描かれていました。それにしても強い敵キャラが味方になると本当に心強い。


【推奨攻略順 : 朱璃→奏海→古杜音→滸→エルザ→紫乃→睦美→子柚→緋彌之命→千波矢→五十鈴→雪花 】
攻略ロック等はなく、内容に関しても全編においてほとんど関連がないため、好きな順番から攻略してよい。


CG
べっかんこうさんの安定した絵は質・量ともに言うことなし。
立ち絵の雰囲気を変えることで様々な場面で使いまわす技術は相変わらず存在しており、たしかに作品を力強く支えている。
そのほか今回は半動画のような演出も加えられており、レベルアップが最もみられる部分かもしれない


音楽
BGMに関しては新規追加っぽい曲もあるにはあるが鑑賞画面がなく不明。
Vo曲2曲(PV/ED)となっており、特に鈴湯さんの歌うED『悠遠抄』は静かな始まりに反してサビは芯にまで響くほど力強くと歌い上げられており、和テイストな部分も併せて物語を締める楽曲としても非常に良い。


お勧め度
前作「千の刃濤、桃花染の皇姫」から3年、待望のFD作品。
上記の作品のプレイはもちろん必須で、ヒロインではなかったサブキャラクター等も今作では√が作られている。反面、12キャラものシナリオを用意したためかそれぞれの内容が短くなっており、全体として薄い印象がある。
CGや演出、作品の雰囲気などは変わらず優秀ではあることは付け加えておきたい。

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総合評価
FDとしての評価なので抑え気味になっているが、物足りない部分があったのも確かでこの評価。


【ぶっちゃけコーナー】
あんまりFDで評価自体を真剣にはしないのだけど、今作はどうなんだろう。
一部では「ソシャゲにうつつを抜かして~」と言われているのですが、まぁ、そういわれても仕方がない内容といえばそうなのかも。
「前作の余剰分をただ置いただけ」みたいな内容であったのは確かだし、そう思わせてしまうくらいに本編とFDでシナリオの'濃さ'みたいなのが違う。
あと待たせてしまった期間が長いのもあるのでしょうね、「3年」という言葉を使っていますがこの作品に1年以上かけて開発するほどのものが詰まっているのかと聞かれてしまうと、さすがに否定せざるを得ないです。
そういった部分を鑑みると、評価が悪くなってしまうのも仕方がない…というより、期待を下回った結果なのかなと思います。
それでも今までの実力があるからなのか、1篇1篇はそこまで見れないものじゃないと思う…というより、一部では笑えたし、ほっこりできたし。
ただまぁ、3年もたつとさすがに設定を忘れてるから、そのあたりのフォローも欲しかったなぁ…。
とりあえず、ソシャゲのほうは頑張ってもらっても良いので、新シリーズを期待したいところですね。