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タイトル : SPIRAL!!
ブランド : Navel


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]

キャラクター・シナリオ
過去作の『SHUFFLE!』シリーズに加わった新作。
設定としては『SHUFFLE!』の物語が始まる前のシナリオとなっており、神界の姫が人間界に向かっても平気かどうか潜入調査する…という内容の物。

設定として大きく引き継いでいるのは、人間界、魔界そして神界の三世界が存在しており、少し前にそれらの世界の交友が始まったという事。
キャラクターにはストーリーや性格に関連した花言葉を持つ花の名前がついていたりと、の伝統の設定等を一部受け継いでいたりと、ひっそりとシリーズとしての伝統が息づいているものの、、シナリオに大きく影響しているものはあまりない。
各キャラ√においても上記の三世界…とくに人間界と神界の関係や神界の話などは多くでており、『SHUFFLE!』をプレイした人間にとっては世界観の補強となっている一方、まったく新しくプレイした人にとっては新鮮に読めるように工夫されている。

問題は各キャラ√のシナリオの短さだろう。
4キャラと言う人数はともかく、全体的なボリュームがミドルプライス作品に迫るほどの短さであるというのは、シナリオにおいて大きな痛手といえる。
幸いにも物語自体は難しくなく、短くよくまとまっているので読みやすい、という利点がある。
物語自体も各ルートで大きく差がついているため、飽きずに最後まで読めるのだが、それだけに各キャラについての描写や掘り下げが足りないのは確かであり、どうしても中身を薄く感じてしまう。

『SHUFFLE!』のシリーズとして物語を書く必要性などなど、気になる所はもう少しあるものの、登場したキャラクター達も魅力は十二分にあったし、シナリオも全く楽しめないわけではない。そのため、どうしても上記の点がこの作品の評価を大きく下げた部分ではないのかなと思っている。


共通√【 ★★★☆☆ 】  2h
主人公が転入性として入学する4月から潜入機関の終わりとなる6月あたりまでが描かれている。
『学園潜入物』として描かれた作品ではあるが、そうした描写はこの部分ではあまりなく、どちらかと言うと異世界の人間が人間界を新鮮な気持ちで楽しむ、、明るい学園物として描かれているシーンがメインとなっている。
シナリオ量としてはわりと短いため、各個別にいたるまでに各キャラとの絡みのシーンもあまりないのが難点といえ、特にヒロイン同士がが会話するシーンがかなり少ない。

ちなみに設定やヴィジュアルだけを見ると女装潜入もののように見えるが、基本的に女装要素はほとんどない。
(主人公が嫌がりながらも、周りにさせられるシーンはあるが)

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半田 珊瑚√【 ★★★☆☆ 】  2-3h
主人公のクラスメイト。
面倒見が良く世話好きなので転校してきた主人公を良く気にかけてくれている。
正義感の強い委員長タイプなのでクラスの中心人物になるタイプなのだが、「異種族」が苦手な事でも有名。

個別√では前半に珊瑚との甘い日々が描かれている一方で、秘密を隔して付き合う『罪悪感』が募ってゆく主人公の心情も描かれている。
しかしながら、後半からは様子が一変し、今まで謎だった珊瑚や彼女の母親についてやクロムの『潜入捜査』の理由が明らかになる中で、最後にはクロムの正体が絡んだりと、サスペンス要素アリな展開の中で、今までの伏線を回収してゆくスタイルとなっている。
もちろん彼女の抱える異種族への苦手意識がテーマとして入っているものの、全体的には今作のGRAND√のような内容になっている。


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門御 茨子√【 ★★★☆☆ 】  h
クロムと同じクラスの少女。
自他ともに認める『人間嫌い』であり、その為他人に対してもキツい言葉を使うことがあるが、基本的にはクールなキャラとして受け入れられている。
人間らしくないクロムに対しては比較的好意的に接してくれている。

彼女の個別√では、共に過ごすことで茨子の中に目覚めた「恋心」を確認するためにお試しの恋人関係になることから物語が始まってゆく。
その様子は非常に初々しく、茨子のクーデレっぽい一面はもちろんの事、クロムと過ごす日々は予想以上に様々な表情を見せてくれている。
物語の後半は彼女の『人間嫌い』についての話となっており、短めではあるものの彼女のルーツに迫るシナリオとしてまとまりも良く、読後感の良いものになっていた。


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白金 みずき√【 ★★★☆☆ 】  2-3h
天真爛漫で純粋無垢、いつも元気いっぱいな笑顔を見せてくれる女の子。
特に「魔法」が大好きで魔法研究部、通称『まほけん』に所属しており、自分の興味のある事には猪突猛進になる事も。
クロムを「魔法が使える人間」と勘違いしており、尊敬している。

個別シナリオでは、ぐいぐいと引っ張る様なみずきが積極的にアピールシーンや、恋仲になった後、その溢れんばかりの幸せな笑顔と甘いやり取りがふんだんに描かれている。
中盤からは彼女の大好きな「魔法」というのが一つの大きなテーマとして挙げられており、彼女が「魔法」を好きで、それを「人助け」に使いたいと願っているその理由、そして彼女の正体、それらが絡んだシナリオは少なからず驚きのある話となっている。


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大津 ローズ√【 ★★★☆☆ 】  2-3h
主人公と同時期に立バーベナ学園から交換留学生としてやってきた。
人族、神族や魔族といった区別、はては性別の壁をも感じさせないほどフレンドリーであり、誰とでもすぐ仲良くなれる。
どんな時も慌てず笑顔で余裕のある振る舞いをするので大人っぽくみられることも多い。

いつも微笑み、落ち着いたふんわりとしたイメージのローズ、個別√ではごく真っ当に惹かれ合った二人の甘い日々が描かれている。
全体的に平和な作品なのだが、後半の一部ではローズについての驚きの事実が判明するほか、『SHUFFLE!』ではあまりテーマにならなかった世界間のしがらみのような要素が入ったサスペンスっぽい展開となっている。


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[ 主人公 ]芦野目 クロム
神界の諜報局に所属するエージェント。
今作では人間界を調査するため人間しか通えない『学園』に潜入することとなった。
中性的な顔立ちをしており女性と見間違えられることも多いため、女装を強いられることもあるが、本人的にはあまり乗り気ではない。


【推奨攻略順 : ローズ→みずき→茨子→珊瑚 】
攻略順にロック等はないものの、珊瑚などはグランドルートに近いため最後に回したほうが楽しめるかもしれない。


CG
線が細く淡い塗りの絵。
全体的に美麗で癖も少ない絵なので広く受け入れやすい。
枚数に関してはHシーンが多めの構成なので、一般のCGが少なく感じるのは確か。
シナリオとの分量を考えるとある意味一般的ともいえる。


音楽
BGM不明、Vo曲2曲。
音楽鑑賞画面がないためBGMの数は不明、いくつかいいものはあるものの、印象的なものと言われると上げにくい。
Vo曲はOPの橋本みゆき「BLOOM」が爽やかで疾走感のある安定した良曲と言える。


お勧め度
『SHUFFLE!』シリーズではあるものの、世界観の設定のみを引き継いでいるほか、一部設定が仄めかされる程度な為、単体のプレイは十二分過ぎるほど可能。
どちらかと言うと、フルプライス作品としてのボリューム不足やシナリオの内容の方が減点する部分としては大きい。
『SHUFFLE!』をプレイしている人にとってだけ、少し見方が変わるシーンなどもあるにはあるが、"シリーズ"物としておすすめできるとは言いにくい。

Getchu.comで購入Getchu.comで購入

総合評価
キャラの可愛さやシナリオも含めて全体的に安定した作品ではある。
しかし、『これ』といえるポイントがないのも確かで、平均的なこの評価。


【ぶっちゃけコーナー】
物語は平凡に感じる人にとっては平凡かも。
この辺は個人差だけど、確かに「名作だ!」って言える内容ではなかったのは確か。
ただまぁ、『SHUFFLE!』自体もハーレム物であることを覗けば、割と普通の学園日常物だったんですよね。
この辺を悪しき風習と思うか否かなのですが、『SHUFFLE!』自体はその「普通の学園物」をテーマにした作品であり、あの物語の中に多くのヒロインがいて、それぞれが思いを抱えている…そうした思いが世界を織り上げている…みたいなところがいい所でした。
そういう観点で見ると、今作が『SHUFFLE!』シリーズである必要がったか、と聞かれると答えに困ってしまう。
3世界の設定こそ引き継いでいて、ちゃんと物語に活かしているんですが、似たような設定で物語の再現はできるので、個人的には必要性はあんまり感じてなかったり…。
本当に個人差なのかもしれないけれど、やっぱりこの作品に対して物足りなさを感じた人は多いはず。
『SHUFFLE!』の時代…黎明期に近い時代とは違って、多くの特殊な作品がある中でこの作品の魅力みたいなものを明確に表現できていればまた違った評価になるのかもしれない。
シリーズとしてさらに続けていくならば、この辺りの評価も一気に変わるかもしれないので、続編があるならばそういった意味での注目度は高そう?
そういえば、音楽鑑賞画面は普通に欲しかった…。
私が見つけれてないだけなのかな? あるんだったら教えてほしい…。