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タイトル : Tick! Tack!
ブランド : Navel


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]

キャラクター・シナリオ
主人公とネリネ、樹と麻弓がひょんなことから20年前の魔界へ転送され、若き日のフォーベシイとネリネの母親であるセージと邂逅することから物語が始まっている。

プレイシステムとしては昔ながらの行動選択式であり、魔界に転移してからの12日間、午前と午後に行動選択があり、描かれたキャラクターに纏わるそれぞれのショートシナリオが用意されている。
またミニゲーム要素として画面左上に存在する懐中時計のような「ネリネメーター」が存在しており、その行動如何によってパラメータが変化することで各EDへと分岐する形となっている。

樹と麻弓に関しては賑やかしみたいな要素が強く、全体的にネリネについて描かれた作品ではある。
しかしそれだけではなく、本編であまり語られなかった魔界についての補足や、フォーベシイを含む、ネリネに纏わる人物についても非常に良く掘り下げられている。
あくまでFD作品と言うのが全体的な印象。


共通√【 ★★★☆☆ 】
魔界にタイムスリップしてからの数日間が描かれており、この作品のメイン部分となっている。
その主な部分は12日間の行動選択によって大きく変化する物となっており、上記で語った条件に従って最終的なエンディングが決まるため、それまでの過程は選択方法によっては大きく変わってゆく。

各日に用意されているシナリオ数は割と多めではあるものの、各シーンは5分ほどと短いのが特徴的。
全体的に笑いの要素やネリネとの甘いシーン(+もちろんそれ以外もある)がメインで描かれているのだが、その設定上めずらしい切なく悲しい設定や天界なども用意されている。
しかしながら、必要以上にドロドロとした展開はなく、SHUFFLEらしく最終的には笑って追われるようなシナリオがメインとなっている。


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蒼いネリネの花を√【 ★★★☆☆ 】
いわゆる正史√。
もちろん通常のネリネとのシーンが多く描かれているのだが、特筆したいのはリコリスのシーンが用意されていた事。
内容は伏せるものの、シーンとしてはなかなかにしんみりとさせてくれるものになっている。また、そのシーンを用意したこと自体の意味合いも重く、ネリネの為のアフターとしてであれば十分な内容ともいえる。


赤いネリネの花を√【 ★★☆☆☆ 】
赤ネリネ(通称Nerine)√、BADに近いENDの一つ。
Hシーンを含む一部シーンが追加されている他、共通部分の会話も差し替えられている…が、分量としてはかなり乏しい。
赤るくハキハキしたネリネは新鮮味があるものの、その存在理由などを考えると素直に喜んでもいられない。
ねじ曲がった未来にてたどり着いた歴史であり、現状ある中でベストをつくした結果とは言えるものの、ネリネが好きであれば好きであるほどその展開はBADENDのように感じてしまうのもしかたがないと言える。


淡いネリネの花を√【 ★★☆☆☆ 】
幼い『ねりね』の√であり、BADに近いENDのもう一つ。
その幼さから、引っ込み思案のような性格になっている他、基本的なには赤ネリネと同様の展開となっている。
その為特筆できる点もあまりない。


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真っ白なアイの花√【 ★★★☆☆ 】
若きフォーベシイの婚約者であるアイ。
有名な貴族の出身で、立ち居振る舞いは優雅。非常に穏やかな性格で、のんびりとマイペースではあるものの、お茶目でイタズラ好きな一面もある。
かなり長時間お風呂に入るのが趣味であり、昼間はよく入浴しているらしい。

ネリネ以外で唯一エンディングがあるキャラクターである彼女の√は、その設定もあってどうしても切ない恋の話がメインとなっている。
そんな悲しめのシナリオから伝わるのはアイのただひたすらまでの芯の強さ。
数々の描写から伝わる、彼女の笑顔の裏に隠された気持ちが伝わってくるからこそ、アイというキャラクターの魅力がさらに高まっている。
最終的には笑顔になれるエピローグも含めて評価しておきたい。


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セージ
若き日のフォーベシイのメイドであり、後にネリネの母親となる人物。
魔王の広い別邸での仕事を一人でこなしており、忙しそうにしながらもいつも元気に駆け回る姿が良くみられている。
その仕事に対しては並々ならぬ熱意を持っている。家事を取り上げようとするフォーベシイと日夜争いを繰り広げており、得意技の「サンダーキック」で決着がつく。

正確にはセージの個別√は存在せず、選択によって出現する一連のシーンを指しており、その流れ次第ではセージとフォーベシイの恋愛模様が描かれているのだが、他にも主人公の稟がセージと親密になる流れも存在している。
セージとフォーベシイのやり取りはネリネFDとして誰もが望んだものとなっており、一方後者の展開に関しては終盤の展開において、どうしても悲しいものになっている。
ちなみに、ファンブック『RED-SIDE Another Nice Day』にてその後の展開が少し描かれており、一応救済されてはいる。


【推奨攻略順 : ネリネ(セージ回収)→赤ネリネ→幼ネリネ→アイ 】
気にするべき推奨攻略順はないので選択肢を含めて好きな順番での攻略が望ましい。
まさに自分の好きな歴史を作っていく感じである。


CG
シリーズ特有の線の硬いしっかりとした絵。
メインの原画家の一人が出ていないなどの問題もあり、登場するキャラクターも絞られているが、基本的にネリネFDと思っていれば疑問は出ない。
FDということもあって、新規追加CGとしてはHシーンのものが多い。


音楽
無印の『SHUFFLE』から新規追加であるBGM10曲、Vo曲3曲(OP/ED/挿入歌)と言う構成であり、BGMに関しては作中では新規追加曲の他、以前のシリーズで使われていたものも使用されている。
新規追加BGMの中では「Thank you.....」は非常に良い良曲でSHUFFLEの作風には似合わないものの悲しくも切ないメロディーとなっている。
OPはあの有名な空耳ソングであり、言わずもがな名曲。個人的には挿入歌である「Pieces」に関して、その使われるシーンもあわせて強く推しておきたい。


お勧め度
「SHUFFLE」に登場するネリネのFDとして作られた作品であるため単体で楽しむのは難しく、無印かessence+のプレイは必須の内容となっている。
ネリネファンにとっては、色々な彼女の一面が見られる上、彼女の母とフォーベシイのやり取りなどが追加で見られるよくできたFDとなっている。
一方で悲しい展開も少しあるのも特徴と言える。

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総合評価
FDとしての評価なのでそこまで高くはない。好きな人にとっては評価を見る必要もないだろう。


【ぶっちゃけコーナー】
典型的なFDなのであまり語れることがない。
本編でネリネが好きな人にとっては好きになるだろうし、それ以外の人間にとってはやはり興味が無くても仕方がない作品なのかも。
ただ、この作品の魅力を特筆しておくのならば、本編での補足となるリコリスのシーンがしっかりと用意されている事、そして母親のセージとフォーベシイの恋愛模様がすっきりして気持ちいい事。
なによりアイという新キャラクターの魅力について、プレイした人ならば分かると思うが、短いシナリオの中で必要な要素をしっかりと詰め込んだ伝えたい物の事がよく伝わってくる作品だったと思っている。