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タイトル : 捻くれモノの学園青春物語~俺と彼女の裏表~
ブランド : りびどーそふと


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★☆☆☆ [2/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]

キャラクター・シナリオ
タイトルの通り、捻くれた性格をした主人公が理事長である観月の命令により「青春倶楽部」を設立し、青春の日々を送ることになる物語なのだが、「シナリオライターが意識した」という話もあるほど『俺ガイル』というライトノベル作品に酷似した部分があり、特に導入部分や設定等において顕著に見られている。

この作品のシナリオを評価する際に避けて通れないトピックとなるのが「シナリオ不足」についてだろう。
今作のテーマになっている「青春」について、各ルートではヒロイン達の持つ様々な「恋愛観」をモチーフにして、それぞれ違ったアプローチで描かれている。
特に各キャラには対応するサブキャラクターなどもいて、それらを絡めた話にしている点なども大いに評価できるのだが、如何せん説得力がなかった。
その原因として挙げられるのが全体を通しても10h前後という、短い作品になってしまったという点だろう。
もちろん、ダラダラと長く書いてしまうことで物語がダレてしまうという問題は発生するが、今作においてはテーマとしている「青春」について、関連したシーンの描写が圧倒的に足りず、また各ルートにおけるヒロイン達の心の動きや、そのきっかけとなるシーンについての描写も少なかった。
結果として強引な展開に感じる部分が多く、作品に勧請し入試きれないまま終わってしまっているというのが今作の現状と言えるだろう。

もちろんこの作品にはその他にも音声やシナリオライター問題など、挙げていけばキリがないほどの修正点や問題が見つかるのだが、その中でも特にシナリオ不足が招いた影響影響は計り知れず、せっかくある魅力的なキャラクターを活かしきれていなかった。

共通部分におけるメタネタまで扱うにぎやかな雰囲気、個別で扱うテーマの深さ、ミニゲーム等を使用した演出、素敵なシナリオの下地等々、評価できる部分があるだけに惜しい気持ちが非常に強くなる作品だったと言える。

シナリオにはあまり関係ないが、今作ではミニゲームの存在にも触れておきたい。
作中にはシナリオ部分に加え、定期テストを模した一般常識のクイズゲームや『裏暴きモード』という舌戦を模したミニゲームが用意されており、各選択肢やこのミニゲーム等で失敗すると即BADENDになる。
また、おまけにはDQNを殴るミニゲームも搭載している。


共通√【 ★★★☆☆ 】  3-4h
青春倶楽部の設立から夏の合宿までを描いている。
作品の中では最もボリュームがある部分で、性格の濃いキャラクター達が会話するシーンには面白さもある。
しかし、この作品のテーマとして取り扱っている『青春』について、関連したシーンの描写が非常に薄く、そこに魅力を感じてプレイを始めた人間にとっては期待を裏切られた形となっている。


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椎名 さやか√【 ★★★☆☆ 】  1h
主人公のクラスメイト。
見た目こそ非常に美人でクールに見えるが、実際は他人とのコミュニケーションがとても苦手で今まで一人も友達ができなかった。
筆談用のスケッチブックを持参しており、どうしても会話しなくてはならない時はそれを使用して会話(?)する。

個別√では主人公がさやかの会話の練習相手になる所から物語が始まる。
さやかがコミュ症になった理由などを絡めたシナリオは素材としては非常に良い。
しかしながら短いストーリーの中にそれらを収めているため、書き込みや物語としての深さが全くなく、どうしても感動等の感情へは繋がらない。
また上記に加えて、イチャラブシーンでも唐突な場面転換の印象を受けることが多い。


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宗像 雫√【 ★★★☆☆ 】  1h
主人公のクラスメイト兼ストーカー。
幼い頃から主人公を慕っているが、愛情表現が下手でストーカーをしている。
独占欲も強く他人を信用していないので、主人公以外の人間には当たりがキツく、下手に会話をすると毒舌が飛んでくることも多い。

個別√では人間の誰もが持つ表裏についてがテーマとなっており、同時に矛盾をはらむ「青春」というものについて描いた個別√にもなっている。
テーマ自体はもちろん、同じ捻くれた存在である雫について考えることで、自分を見直す切っ掛けにするなど、展開のさせ方も良い部類なのだが、如何せんシナリオが圧倒的に短く良さを描き切れていない印象が強い。
特にヒロインである雫の二面性は短い√では書き切れないほどの魅力があっただけに、それを発揮できなかった今作は本当に残念としか言いようがない。


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瑞沢 唯√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
主人公と同じクラスになったギャル娘。
軽そうな見た目に違わずノリとテンションだけは常に高く、誰とでも仲良くなれるタイプの女の子。
ちなみに驚くほどバカであり、成績は学年最下位。

設定等を含めて完全に由比○浜結衣である…がそんな彼女の個別√では、唯の事を考え主人公が勉強を見てあげることから二人の仲が進展してゆく。
唯の急な告白などもあって恋人関係になってしまうのだが、事前の伏線もなく、主人公に一方的な好意を持つことに対して、唯というキャラクターがつかめないまま物語が進むので、前半はどうしても勢いだけの内容になっている。
しかしながら後半からは(※主人公の行動を除いて)比較的良くなっており、唯の魅力であるバカだからこその真っすぐな感情を魅せる展開となっている。
特に唯だけでなく雫についてのキャラクター性を深めている点についても個人的に評価している。


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南条 朔夜√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
1年後輩のゲーム好きな女子。
なぜか恋バナを聞くとゲロを吐いてしまう体質で、時折自分で話していても吐いている。
佐倉京子という同級生から異常なほど好かれており、よく付きまとわれている。

個別√のシナリオは朔夜の抱えるトラウマの克服を主人公が手伝うというもの。
ストーリーの流れはシンプルかつ大胆で、終盤に至るまでの起承転結もはっきりしているので他の√と比べても比較的読みやすい。
ただ分量が無く、朔夜や主人公の心が粗雑に扱われている展開も多い。後半のテーマである「本当の愛」に関係することもあるだけに、二人の抱える気持ちが恋心に変化する部分にもう少し触れて、その際の心の動きなどを丁寧に描写してほしかった。


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小湊 観月√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
学園の理事長であり主人公の親戚。
主人公の捻くれた性格を改善するために『青春娯楽部』を発足させた。
基本的には適当に対応する事が多いが、主人公の事は何かと気にしてくれている。
見た目が小さいことを少しだけ気にしている。

比較的、観月√は今作におけるまとめ的な立ち位置にあり、「青春」という観月の口癖であり、なおかつ今作の大きなテーマに絡めた内容となっている。
そこそこ盛り上がるシーンもあるのだが、主人公と一歩距離のある立場の観月だけに、恋愛描写という部分についてはどうしても強引な流れである部分が否めない。
また、この√のプレイ後に最も評価が上がるのが雫だったというのが面白い所でもある。


[ 主人公 ]夷隅 祐一郎
タイトルにもあるように、まさに捻くれた男子学生。
ナチュラルに人を見下す傾向があり、自身の自尊心は高い。
一応の常識や優しさを魅せるシーンもあるが、あっさりとそれを翻すシーンもあり、それらが個別√で発揮された際などは無条件で嫌いになれるだろう。
なおゲームパートのみ声がある。


【推奨攻略順 : さやか→唯→朔夜→雫→観月 】
ロック等はないものの観月√は他√のネタバレも含むため最後にプレイを推奨。
その他は基本的に自由。


CG
この作品の大きな魅力の一つとして挙げられる点。
質に関しては立ち絵とイベントCGでキャラの雰囲気に多少の差異を感じるものの、総じて美麗なCGがそろっている
枚数に関してはシナリオの長さに対しての量が非常に豊富で、特に個別√においてそれが顕著に現れている。
SD絵も多様されており、種類も豊富なのも魅力の一つ。。

各CGの表示で多少のミスがあるのも批評の一つとして挙げておく。


音楽
Vo曲1曲(OP兼ED)、BGM15曲という構成。
BGMに関しては本質的に音楽とは関係ないことだが、BGMの名前を「BGM34」などの数字で分けているのは少し寂しさを感じることが多く、特にBGM名表示機能などを付けているこのゲームではなおさら。
Vo曲は良曲ではあるもののボリューム不足と言わざるをえず、フルプライス作品ならやはりEDもほしかったというのが正直な感想である。


お勧め度
「青春」をテーマに掲げており、『俺ガイル』などを意識した作品ではあるものの、過剰な期待をしてのプレイは推奨しない。
シナリオとしてよい部分もあれば粗も多い、そういう発展途上の作品であることや、値段とシナリオ量のバランスを考えると素直にお勧めするには抵抗がある作品なので、素直に体験版などをプレイしてからの検討を推奨したい。


総合評価
シナリオの根本にあるものなどは決して悪くないのだが、ボリューム不足や各所の不備等も目立ち、完成度の低い作品という印象が強い。


【ぶっちゃけコーナー】
まぁやっぱ気になるのはボリューム不足だよね。
この作品の最大の魅力であるシナリオ部分の足を引っ張った最大の原因がこれで、もしこれを解決できていれば2段も3段も評価は上がってたんじゃないかな…。
もちろん現状でもよい部分はあるんだけど、素人目から見ても明らかにもっとよくできる部分があったのは確かだと思う。
キャラクターとかは特に魅力的だっただけに、やっぱり惜しい気持ちが強いなぁ…。
シナリオゲーでも、萌えゲーにある様なキャラの魅力を表現する部分で手を抜いていたら作品の魅力みたいなものは伝わりにくい。
作り手はキャラの事を良く知っていても、プレイヤーは初見であるということを忘れるとそういうことになりがちなのかもしれないな。
やっぱ時間が足りなかったのかなぁ…と思う部分があるな。
シナリオライターが途中で変わってた~とか、そういう話も出てる作品で、それは各部のミスが治されてないあたりからも、作品を制作するうえで時間不足みたいなものが伝わってくるなぁ。
まぁ、この作品だけじゃないんだけど作品を『製品』として完成させるにはどうしてもブラッシュアップの期間をしっかりと取っておく、形ができたから取りあえず出します! みたいな作品が少し多いのが近年の気になる所だな。
個人的に延期は気にしないから、しっかり完成させてから世に出してほしいなぁ…というのが正直な感想である。
もちろん、その前に会社がつぶれて出せなくなるのは問題外だが…。