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タイトル : 縁りて此の葉は紅に 
ブランド : Lump of Sugar


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]


キャラクター・シナリオ
獣耳、翼や尻尾を有する『幻夷』という種族と共存している世界でのお話。
紅葉で栄える山裾の地方都市『継椛実町』を舞台としており、季節もあってか背景やCGの紅葉の紅が非常に鮮やかな印象を受ける秋の作品となっている。

シナリオ自体は『幻夷』を活かしたものがほとんどであり、ある意味では設定を上手く使いこなした内容となっているが、質が高いわけではない。
あくまで萌えシチュにパラメーターを振っており、各ルートにおける描写や展開に驚くことというのはほぼないといってもいいだろう。
一方で、安定したシナリオの上に描かれた『萌え』の部分に関しては非常によく作られている。


共通√【 ★★★☆☆ 】  2-3h
シナリオの大筋部分、発端となる謎の幻夷であるもみじとの出会いから、彼女の正体がわかるまでの一連のシナリオが描かれている。
もちろん序盤には舞台や世界観がわかるような描写があったり、中盤にかけてはシナリオを進行させつつも各キャラクターに焦点を当てたシーンなどが挿入されている。

『幻夷』という存在や主人公の過去を絡めた伝奇的シナリオはベースシナリオとしてしっかりしている。しかしながら、全体的にはわりとゆるい文章でまとめられており、どちらかというと萌え部分を重視した物となっている。
そのためストーリーに感動する…というようなシーンはあまりないのも確か。


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木那里 もみじ√【 ★★★☆☆ 】  2-3h
主人公が出会った謎の幻夷の少女。
自身の名前と主人公が『ご主人様』であること以外すべての記憶を忘れている。
基本的には動物のように本能的に行動することが多く特に大型犬に良く例えられており、常に元気いっぱいで感情や欲望をストレートに表現する。

個別√では『ご主人とペット』という主人公と彼女の主従関係が主に描かれている。
主人公の心情の変化ともみじの気持ちの成長、そして二人の甘いやり取りが序盤から中盤にかけてじっくりと描かれている。特に印象的だったのがもみじのために主人公が彼女との距離を開けるシーンで、悲しむもみじの描写はかわいらしくもこちらまで身を割かれるような思いになったのは記憶に新しい。
物語後半は共通ルートでも明らかになった『彼女の正体』についてがメインとなっている。少しだけ不穏な空気が流れるものの、何処か癒されるシナリオは最終的に誰もが納得できそうなオチに持ってゆかれる。


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笹浦 すずな√【 ★★★☆☆ 】  2-3h
めんどくさがりで、自身の着替えすら兄に任せてしまうブラコンの怠け者妹。
隙あらば兄である主人公を誘惑しようとしており、その悪戯好きなその性格は主人公がチェシャ猫を連想するほど。
継椛町への引っ越しには反対していたが、兄と離れるのがいやで結局ついてきており、主人公に急接近しているもみじに対して対抗心を燃やしている。

個別√の序盤から中盤ははシスコンとブラコンのあまあまイチャラブルートとなっており、二人が一線を超えるまでの甘い日々が描かれている。
シナリオとして佳境になるのは物語の終盤、共通ルートで判明した主人公についての設定がテーマとして添えられており、過去から来る二人のルーツに関連した話となっている。
実妹ではあるものの、そのあたりはあまり触れられていない。


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稜未 小乃葉√【 ★★★☆☆ 】  2-3h
血が濃い幻夷のため、ロリな見た目にも関わらず年齢は200歳を超えており、幻夷の調整役として町の重鎮のような立場。
包容力が高く、主人公の事をいつも心配しておりお世話をしたがっている。

個別√において、序盤から中盤は二人の立ち位置の違いがテーマになっており、保護者として母親のように接する小乃葉に主人公が好意を示してゆく話となり、彼女が抱える悔恨も合わせたシナリオとなっている。
付き合ってからは彼女の個性でもある母性がダメ人間製造機もかくやというほど非常に良く描かれているのが印象的。
物語の後半は二人の過ごす時間の違いをテーマにしており、小乃葉の母親の足跡をからめたお話が軽めに描かれている。


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斑鳩 和羽√【 ★★★☆☆ 】  2-3h
小乃葉の家でバイトとして雇われている和装メイド。
メイドの姿をしてはいるものの、どこか自信過剰な態度や冷静な反応から、尽くすことよりも尽くされることに慣れたお嬢様の雰囲気がにじみ出ている。
しかしながら、実際はポンコツといって差し支えなく、メイドとしては必須の家事炊事洗濯のスキルはもちろん一般常識すらも危うさを見せるシーンが多い。

個別√では彼女と主人公の過去についてが主なテーマとなっているが、その先にある話は『人間』と『幻夷』という二つの種族についても絡めたものとなっている。
一つの悩みを抱えた少女が主人公との触れ合いによって前向きに物事を考えるようになる、割と王道的な展開のストーリーとなっている。


[ 主人公 ]笹浦 清司
両親の海外転勤を期に継椛町へ妹のすずなと共に引っ越してきた。
継椛町へは幼い頃も住んでいたことがあるものの、その時期の記憶を失っている。しかしながら本人はそのことについてはあまり気にしていない。
序盤からわりとシスコン気味である。


【推奨攻略順 : 和羽→小乃葉→すずな→もみじ 】
基本的にどの順番から攻略しても良く話の祖語なども少ない。


CG
特に背景の紅葉を代表とする紅葉の鮮やかさ印象的。
イベントCGについては線は細く淡い塗りの絵で、時折パースが不安定になるものの総じて美麗と言える質である。
SD絵も数枚だが存在している。


音楽
Vo曲2曲、BGM26曲という構成。
BGMでは全体的に落ち着いた和風の曲が印象的だが、特に多いのは各キャラテーマ。それぞれのキャラに2曲存在し、アレンジ(ピアノとギター)で差がついている。
Vo曲はやはり元気いっぱいなEDの『FrameOver』が印象的だろうか、作品と合わせて明るい読後感をサポートしてくれている。


お勧め度
物語の舞台が好き…という方もいるかもしれないが、やはりLamp of Sugarの萌えゲーが好き! という人にお勧めすべき作品だろう。
特にケモミミ好きにはたまらない無いようになっている。
萌え部分に特化しているため、シナリオとしては安定しているが面白味がないのは確か。

Getchu.comで購入

総合評価
作品として萌えを前面に出した作品なので評価は抑えめだが、物語の破綻等の大きな減点すべき点もないのでこの評価。


【ぶっちゃけコーナー】
特にぶっちゃける点もないと言えるのもこの作品の良さなのか。
ランプオブシュガーの作品は過去に数作だけプレイしたのだけれど、どれも萌えゲーだったしそのあたりに大きな変化はない。
(もちろん物語自体は全部違うけど)
数年を経て新作をプレイしたが、そういった意味ではシナリオに発見のような物はない。
ただやはり作品数を多く出しているだけあり安定感は確かで、この辺りは最後までストレスなく萌えゲーをプレイできたあたりに現れているのかもしれない。
これだけプレイすると少なくともキャラクターに「かわいい」という感想を抱くシーンもあるし、だからこそ萌えゲーとしてしっかりと作られている印象を受けることが多かったのかも?