タイトル : 春音アリス*グラム
ブランド : NanaWind


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★☆☆☆ [2/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]

キャラクター・シナリオ
街にある『秘密(アリスグラム)』を解き明かす、という事で、シナリオを進めていく上でぶつかる『謎』をタイトルにもある『秘密(アリスグラム)』と言い換え、それらを解くないしは解決してゆくという趣旨で作られた恋愛学園物であり、各ヒロイン√ではその舞台や学園、それに過去等についての『秘密』に触れる流れになっている。
そのため各ヒロイン√で流れが大きく変わっているのが特徴的といえる。

全体的には萌えゲーテイスト作品であり、話自体も日常シーンをふんだんに取り入れられておりゆったりと進行していく。そのためヒロイン達に魅力を感じられれば萌えゲーとしてそれ以外の方には少々飽きの出る展開が多い。
また作中では「ALIA's CARNIVAL! 」の設定でもあった「アーケン」等の設定も一部出てきており、主人公を含め主要な人物は異能を使い、各章の要所で様々な問題に立ち向かってゆくことになっており、作品としても重要な部分を担っている。
しかしながら、おおむね前半以外はそういったシーンも薄れているのが印象的。

謎が各ヒロインへまとまりなく分散されているためか、作品全体を見たときにこの作品は何の作品なのか、という印象がうすくなっており総じての感想が述べにくなっているのが正直なところ。
できればエリス√以上のまとめともなるグランド√的なものがほしかった。


共通√ 【 ★★★☆☆ 】  7-8h
全9章のうちの6章までが共通√にあたる。
1章でプロローグ、2章から6章までが各キャラクターを中心にそえたエピソードとなっており、キャラクターの背景や魅力を伝えつつ物語を展開させている。
登場キャラクターはヒロイン以外にも多く登場しており、状況としても前作の設定などが絡んできていたりとわかりにくい部分もある中で、うまく説明はできていた印象。
基本的にふわっとしたテイストの話ではあるが各章の要所では謎解きや戦闘(能力)シーンを用意するなど締めるシーンも用意されている。
しかしながら物語として多くの伏線を張っているので、多少わかりずらいところや、前作からの設定などもわりと多く出てくるので、初めてやる方には少しストレスがかかる部分もあるのはたしか。

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白羽 優理√ 【 ★★★☆☆ 】  2-3h
成稜学園の生徒会長で成績も良く、優等生を絵にかいたような女の子。
お淑やかな性格であり、困っている人を見ると助けずにはいられない優しい心の持ち主で過去に主人公もお世話になったことがある様子。

協力関係となった生徒会と新生会の架け橋となるため、主人公が生徒会に所属することなるところから彼女の個別√は始まる。
全生徒から人気のある彼女との恋人関係は意外にも真っ当で、二人で一緒にいることで自然とお互いの距離が近づき、お互いがお互いを支え合うオーソドックスな恋愛が描かれている。
ザ・ヒロイン! という感じの立ち位置・見た目ではあるものの、シナリオ自体は新生会の創立の原因となった生徒会の過去の不正事件を中心とした学園についてのものになっており、サブキャラクターの設定を含めて多くの伏線回収をする√にはなっているが作品の本筋からは外れた√となっている。


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久遠寺 一葉√ 【 ★★★☆☆ 】  2-3h
風紀執行部代表を務めるクラスメイト、「成稜の白百合」と呼ばれるほど人気がある。
主人公の幼馴染でもあるが、黄昏部と風紀執行部はライバル関係にあるため最近は疎遠になっていた。

個別√では一葉や妹の梢の負担を減らすために風紀執行部の一員となることで、物語が展開してゆくことになっている。
恋人関係になってからは何事に対しても真面目で優秀な一葉の純粋で努力家な一面や、ルールや規則に対しては融通が利かず頑固なところ、そして時折見せてしまう不器用でドジな一面など、様々な表情を見せてもらえる。
シナリオ自体に関しては学園で起こったとある騒動をきっかけとして巨悪に立ち向かってゆく話になっており、主人公の能力が覚醒したりと物語の本筋にわりと近い√にはなっている。
またこの作品では珍しい梢の切ない失恋シーンが描かれている√でもある。


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神咲 エリサ√ 【 ★★★☆☆ 】  2-3h
北欧から主人公のクラスへ転校してきたとある国のお姫様。
出自の関係もあってか世間知らずな所があり、色々なものや事に興味津々で一度気になると確かめてみないと気が済まない性格。

彼女の個別√では成稜学園で広まった七不思議を切っ掛けとして、最後には時計塔に眠る謎と戦ってゆく物になっており、いろいろな謎に対して真っすぐに向かってゆく純粋な好奇心をもつ彼女の清楚で純粋無垢なお姫様の一面を垣間見ることができる√にもなっている。
終盤ではZEROとの直接対決があったりと、ある意味この作品の本筋ともいえる内容になっているのだが、わりと尻すぼみな話になっているところも多く。
謎解き部分に関してもそこまで高度なものはない。


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凛堂 耶々√ 【 ★★★☆☆ 】  2-3h
主人公の所属する「黄昏部」の部長。
IQ184の明晰な頭脳の持ち主だがイタズラが好きで変わり者。

個別√ではとある事件を切っ掛けとして主人公や耶々の所属する「黄昏部」の設立の経緯について、二人の過去を多少絡めつつ語られる√となっている。
小悪魔的な耶々の強い信念とそして鋭い直観力という最初の印象だけではなく、寂しがり屋な一面や怖いものが苦手な可愛いところ、そして仲間との絆を大事にしている一面などを垣間見ることができるものとなっている。
√後半では祥子との確執をテーマとした話となっており、本編に絡んだ設定などは少し出てくるものの、本筋からは外れている。


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藤乃 雪√ 【 ★★★☆☆ 】  2-3h
主人公の後輩で新生会所属の初期。
ゲームとコンスープをこよなく愛する、おとなしくマイペースな女の子。

個別√では新生会に主人公が手伝いに行くことで触れ合う時間が増えるところ始まり、巧く感情が伝えられない雪が照れながらも素直に愛情を表現するかわいらしい一面が見られる√となっている。
√の内容自体は雪のあこがれている「悠久の場所」、つまり現実以外の世界という現象自体をテーマとしたものとなっているため、物語の本編とはすこし遠い話になっている。


[ 主人公 ] 瀬間 颯太郎
冷静沈着・頭脳明晰ではあるものの、言動はわりとフランクなところが多い。
序盤はなぜか自分の力を隠すような描写があったが、普通に学年主席をとっている。
過去に問題を起こしたことがあり、その関係もあって多くの生徒からは評判も良くない。また、生徒会管轄の黄昏部に所属しており、陰ながら学園をサポートする日々を過ごしている。


【推奨攻略順 : 雪→一葉→耶々→優理→エリサ 】
攻略順に特に指定はない。
作品本筋に一番近いのはエリサ√だが、基本的にどれも中途半端。


CG
線が細く淡い塗りの絵。
全体的に幼さを感じるテイストの絵ではあるものの、質は総じて高く枚数に関しても十二分と言えるだろう。
SD絵もシステム面でいろいろ登場する他、シナリオ用のCGでも10枚程度存在。

音楽
BGM48曲、Vo2曲(OP/ED)という構成。
BGMにかんしてはかなり多くの場面で使われており、一つのシーンでも空気を換えるために使われていた印象。
感動系では「永遠の恋物語」やヒロインが涙を流すシーンで必ずと言っていいほど流れる「アリスの涙」は印象的な良曲。
またプラス方面での雰囲気転換に使われていた「昏き夢想、黄金の絆」や、各要所で使われていた「悠久のアリスグラム」「終焉のアリスグラム」も聞き心地がよい。
Vo曲ではOPの「春音*ベール」、Ceuiさんの透き通るような高音で歌われたこの曲は聞けば思わずゲームに興味を持ってしまうほど力のある曲。


お勧め度
特にシリーズ作品というわけでもないが、世界観が「ALIA's CARNIVAL! 」と共通しており、本編では「アーケン」や「悠久の場所」等のワード、キャラクターや設定等も一部登場する作品となっている。
そのため初見でこの作品をプレイする方にとっては少々ストレスのたまる部分もあり、お勧め度としては低め。できるだけ前作を完了してからのプレイを推奨したい。
現在は関連作品なども多く登場している。一つずつプレイするのは、いささか大変ではあるものの、世界観がどんどん広がる感じはこのブランドならでは。下記で紹介しているセット商品の購入なども検討すると良いだろう。

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総合評価
全体的な完成度は高いのだが、シナリオを含めどうしても何がしたい作品なのかがブレている部分があり、その点を鑑みてこの評価。


【ぶっちゃけコーナー】
まぁ、何度も言うけどシナリオは本当にキャラクターに愛を感じなければ辛いといいたくなるくらい長いからな。。。
ギブアップする人も多そうだ。
そのあたりを手伝ってるのは、いろいろとご都合主義な展開が多かったり、無遠慮に出てくる前作設定かなぁ…。
無駄に知らない能力をヒロイン達がつかいまくるのはともかくとして、そのあたりの説明がかなり適当なのは、さすがに説明放棄しすぎというものだろう。。。
後気になったのはエリス√が本編に近かったという事かな、まぁ前作でいう明日葉にちかい√ともいえるんだろうけど、それにしても微妙な終わり方。
なんかしっくりこないというか「え、これで全部?」って感じがする。
FDがまたあるのかもしれないけど、やっぱ一つの作品として出しててこの纏まり方はひどいような気もしなくない。
せめて、どうして前作設定を引っ張ったのか…という理由くらいは分かるようにしてほしいわ…じゃないと、ただ単に面倒だったから世界設定を一緒にした…くらいしかわからない。
各√で感動できるところを作ってるな~ってのはなんとなくわかるし、そういう下地もあるんだけど、全体的に見てダレてるし、どうしてもそういう作品は評価しにくいよね。