タイトル : そして初恋が妹になる
ブランド : ALcot Honey Comb


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★★☆ [4/5]

キャラクター・シナリオ
攻略キャラは4キャラ。
共通ルートに比較的量はあるものの個別ルートは2-3h程度なので、全体的には平均より少し短い程度の作品となっている。

【推奨攻略順 : 遊花→寧々子→忍→翼 】
翼以外に攻略順の指定はないため自由な攻略順でよいだろう。
クリア後にExtraとしてアフター√が解放される。

CG
線が細く、とても淡い塗りの絵。
全体的に安定はしているものの、はっと驚くような絵は少なく、昨今の作品の中では評価をしにくい部類に入るのかもしれない。
個人的にはなるのだが、男性の書き方に関しては好き。

音楽
BGM29曲、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
最初に言っておくが今回の評価は完全にBGMによるもので、残念なことにOPとEDにあまり強い印象を受けなかった。
対してのBGMは宝の山といってもいいほどで「Dreams and reality」や「二人の距離」「咲き誇れ!」など、一つ一つとってみれば意外と破壊力は高くないのだが、これが今回のじっくりと書かれる繊細な心理描写などのシナリオと完全にマッチングしていた。
純粋で素朴なBGMの数々はしっかりと世界観を持っており、作品としての質を格段に上げてくれていたように思う。

お勧め度
「妹もの」というには本物の妹が存在作品ではあるものの、他の妹ものよりもよっぽど妹物らしい作品。
難しい設定等もほとんどなく、しっかりと物語が作られているので初心者から玄人まで誰であっても純粋に楽しめる作品で、泣きゲーとして久しぶりに自信をもっておすすめできる作品。

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総合評価
幼い頃、親にひどい扱いを受けた主人公は同じ境遇の忍を「妹」と偽り生きてきた。
学園の理事長の計らいもあり、学生寮に住まわせてもらい学校とバイトの繰り返しの日々だったが、とある事件からもう一人「妹」が増えることになり――。

タイトルに「妹」というキーワードが入っているものの、実妹はおらずいわゆる「偽妹」が二人出てくる作品。
主人公を含めてそれぞれの境遇には割と暗いものがあるものの、序盤はそこまで重く扱うこともなく、笑いとともに軽快なテンポでシナリオを展開する。
注意点としてはメタネタを扱うことが多いということで、「春季限定ポコ・ア・ポコ」との関連を深く感じることが多く、学園の名前やキャラクターの名前等も時折出てくるほか、理事長など関係者も登場している。(シナリオに深くかかわることはない)

全体的なシナリオの印象として緩急がはっきりしているという事、そしてサブキャラクターまでしっかりと作られていることが作品の質の向上につながっているように思える。
普段は軽く緩い学生寮の友人たちだが、しっかりと締めるところは締め、それぞれの立場から主人公やヒロインを助けてくれている。
それが如実に出てきていたのが忍√だろう。

個人的に一番評価しているのも忍√で、主人公の抱えた過去の闇を含めて、あえてほかの√ではあまり触れなかった部分にしっかりと触れ、何とかしようとするその姿にはBGMも含めて何度も涙を流してしまうシーンがあった。
主人公とは一番付き合いが長く純粋に一番「好き」だからこそ、ああいう話になったのだろうと思えるものになっている。

最終の翼√は主人公の過去のアプローチが少し違い「家族」を絡めてきていたが、主軸は忍√と一緒でここまでくると、この作品の本質が「妹」なのではなく「本当に大切な人のために出来ること」であるような気がした。
お互いがお互いを想い合う素朴でいて純粋な掛け合いや、時折挿入される他人視点を含めた繊細な心理描写はこの作品の魅力としてしまってもよいだろう。

少し残念なのは各ルートで少し話の祖語があったという事。
主人公の好きなコーヒーの種類等、細かいところは気が付いただけで2点あり、ここまでの完成度の作品だからこそ、もう少しだけ詰めてほしかったというのも正直な感想。

コンフィグに関しては十二分に使いやすい物となっている。

総括
特にシナリオとBGMの相互効果が高く、質の高い作品となっているためこの評価を付けることに迷いはなかった。妹だけではない家族を扱った作品として名作。

【ぶっちゃけコーナー】
いやぁ、忍√をやると翼が少し嫌いになりそうなくらい忍の愛がすごかった。
あの子は最後の最後まで主人公の事しか考えてなかったし、だからこそ幸せになってほしかったのに最後はああいう選択肢を選ぶんだからいじらしい。
完全にファンになったわ。。。
と言いつつ翼√はあれはあれでよかったしな、駄妹4代目襲名もしてるし。
それにしても作中はポコ・ア・ポコの出現率高かったなぁ…