タイトル : 見上げてごらん、夜空の星を
ブランド : PULLTOP


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★★ [5/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★★ [5/5]

キャラクター・シナリオ
攻略キャラは4キャラ。共通も各ルートもボリュームはたっぷりあり、全体的なシナリオ量は十分と言える。
前作「この大空に、翼をひろげて(以下ころげて)」と比べると共通は少し少ない。

【推奨攻略順 : ころな→織姫→沙夜→ひかり】
攻略順に指定はない、個人的に箱の攻略順。
だが最初にもっとも出来の良いひかり√をやるのも方法の一つ。

CG
言うまでもなく美麗なCG。
量も多く、一つ一つの質も高い。
SD絵の量が豊富なのも魅力の一つだろう。

他にかける部分がなかったのでここに併せて書かせてもらうが、とにかく星に関する演出が素晴らしい。
星々のキラメキや星座、影絵、星が望遠鏡で見えるシーンなどなど、言い尽くせないほどのシーン演出がなされており、これもゲームの魅力の一つだろう。

音楽
Vo曲2曲(OP/ED)、BGM30曲という構成。
最大の魅力はVo曲が作品の雰囲気と合っている。OPの「Winter diamond」のイントロや「Star Map」のサビといった非常に強い魅力は作品を大いに助けてくれていた。
BGMでも「Planer in the Telescope」全体的に夜空の星をイメージしたキラキラした曲が多い中、「Around the earth」や「Star Gazer」などなどの魅力的なBGMが数多く存在しており、この作品の評価したい部分の一つである。

お勧め度
天文部という青春学園ものという意味でプレイは推奨できる。
一つしてほしくないのは、前作のようなものを期待してしまうという事。
同じ空をテーマにした作品だが、ジャンルは少し別でどちらかというと恋愛に重きを置いた作品になるので、どうしても燃え上がる要素はすくない。
もちろん青春成分も一般作品と比べると大いに豊富。
また現在はFDとして2作品『見上げてごらん、夜空の星を FINE DAYS』と『見上げてごらん、夜空の星を Interstellar Focus』が販売されている。
どちらも良い作品なので、あわせてチェックしてほしい。

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総合評価
今回の作品は天文部が舞台。
主人公は昔のある出来事から「星を見ない天文部員」ということで校内でも噂になる人物。

今回の作品は過去の出来事が一つのキーとなっており、作中ではよく昔のシーンが挿入されている。それらをもとにして描かれる現在の恋愛や部活(天文に関する活動)の様子は物語の一つの見どころといってよいだろう。

今回の作品も「青春学園物」ということで、前作「この大空に、翼をひろげて」と比べられてしまうことが多い。
そもそものテーマとして空を飛ぶことを目的とした「ソアリング部」と空を見ることを目的とした「天文部」ではスケールの違いがある。
前作感じた、壮大でいてカラッとした爽快感に比べて今回の作品はどことなくこじんまりとした感想を受けてしまうだろう。
それは望遠鏡という小さなツールで広大な空を見てしまうからである。
しかしながら、今回の作品の最大の魅力はそこにあるといってもよい。
望遠鏡が受け取るのは、何十、何百、何千、何万光年と離れた光であり、そこには誰も知らない、知ることのできない神秘があり、莫大な闇があり、それらは特にみる人を混沌へと陥れ不安な気持ちにさてしまう。
しかしながら、そこに確かに存在する惑星や恒星、彗星、流星…etc、人間の目で見ることが叶わなほどのスケール。見上げた空に浮かぶ星々に想いを巡らせ、時に神話を当てはめたりして楽しむ。
そして、誰も知らない宇宙の真理を一つ一つ解き明かしていく…他の人から見ると確かに地味なのかもしれないけれど、それは何よりも壮大でいて、荘厳でいて、圧倒的なモチベーションンを引き出してくれるコンテンツと言えるだろう。

「天文」という難しい分野に関しての作品は多くあるが、ここまでしっかりと星々と向き合い、そして青春物として昇華させた作品は少ない。
今回はさらに恋愛という意味、とりわけ人間の感情に即して描かれており、非常に味わい深い作品となっている。それらの趣旨を理解して音楽をはじめ演出部門の助けも大いにあった。
全体的な調和という意味では前作にも負けていないだろう。
誰もが想像する青春学園ものではなくPULLTOPだけが描ける作品として強く評価したい。

総括
全体的なレベルの高さは言うまでもなく、込められたメッセージ性もありこの評価を付けることに迷いはない。

【ぶっちゃけコーナー】
まず驚いたのはやっぱり演出なのかも。
ひかり√後半のあれにはやられたわ…。
沙夜√も他の2√と比べると込められたストーリー性は強いけど、個人的にはひかりが好きだった。時折挿入される過去の話も好きなんだよなぁ。
泣けるシーンもきっちり仕込まれてるし、次回作という意味でも期待できる作品。
そういえば作中に恵風学園や天音さんっぽいのも出てきててから世界はいっしょなんだろうな。
一部√だったけどそういう演出も好きw