タイトル : ALIA’s CARNIVAL!
ブランド : NanaWind


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]

【冒頭】
久しぶりに桜雲に帰ってくる主人公、蓮。
だいぶ変わってしまった町並みに驚きと懐かしさを感じつつ、入学することになる学園を案内してもらっていた。
そこで唐突に始まる争いと異常現象。それになれた対応をする生徒たち。
よくわからないままに、その争いに巻き込まれ一人の少女を助けるのだが――

キャラクター・シナリオ
攻略キャラは5人で明日葉ルートに向かって他のヒロインルートが分岐していく形をとる。
共通も比較適量があり、各ルートの分量も一般的なので全体的なボリュームは平均か少し多いくらい。

【推奨攻略順 : 椎名→弓→かりん→月詠→明日葉】
攻略順に指定はないものの、基本はこの攻略順でいいはず。
物語の核心から行くなら逆順にやればよい。

CG
線は細く、濃い塗りの絵。
時折バランスの悪さを感じるCGもあるにはあるのだが、そういった少数を除けば総じてレベルは高く、質・量ともに文句をつけることはないだろう。
ただ、戦闘シーンでのエフェクト等でがんばってはいるのは感じられるのだが、やはり要ともいえる部分なのでもう少しの工夫か充実させてくれてもよかったかな、と思わなくもない。
細かいところなのだが、√によって部室の様子が変わるのは面白い。

音楽
BGM58曲、Vo2曲(OP/ED)
今回はBGMのボリュームもあり、質も総じて高かった。
凌駕あるからこそ魅力的な曲も複数あり、物語の要とも言える戦闘シーンの曲では「Winning Run」など、そしてストーリー方面では「放課後の熱量」などのカラフルな色彩を持つ物がそろっており、作品として助けられた部分は多い。
それにたいしてのVo曲は少し控えめなのが気になるところ。
一番盛り上がる戦闘シーン中に流せる挿入歌ようなものがあればよかったのかもしれない。

お勧め度
異能バトル系をメインに据えた恋愛学園物ということで一般的でありつつ、要素として独創性もある。
バトルシーンだけに絞って評価するとお勧めしにくいのだが、その他のストーリーや演出等を考えると見所は多く、特に初心者を中心には楽しみやすい作品になってるはず。
今作には続編「ALIA’s CARNIVAL! Flowering Sky」が存在している。
今作が同梱されたセット商品も販売されているので、プレイするならばそちらも一考の余地ありといえる。

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総合評価
今回の作品は「アーケン」という特殊なカードを使うことによって特殊能力を使うことができる学園が舞台。
そこで主人公を含む「アス研」がALIAという学園一の部活を目指す異能バトル物の作品である。
そのため設定上どのルートもバトル要素は不可欠となっている。

主人公は「やれやれ系」の特殊能力持ちという中二に設定で、本人の資質の高さもあってある程度の実力もある。
しかし、基本的に主人公以外の全員が何らかの特殊能力を有しているため、独壇場といえるシーンはあまり多くなく、基本的にはここぞというときに覚醒するタイプ。

物語は各ヒロインを攻略するごとに、ひとつの深い作品の”闇”のような部分を明らかにしていく形をとっており、
その集大成として描かれているのが明日香ルートと捉えてもよいだろう。

特殊能力バトルという王道的な要素に、特色的なストーリーを添加している今回の作品。
目玉となるバトルシーンの質は10点中5点というところ。
展開や勢い事態は悪くはないのだが、洗練された他のバトルものに比べるとどうしても描写として稚拙といわざるを得ない部分が多く、劣る部分が見えてしまう。

しかしながら、それ以外のストーリー部分では評価したい部分も多い。
特に序盤から中盤にかけて、序盤では物語に一気に引き込む力もあり、中盤では力強い展開力であきさせることなく、少しでも早く続きが読みたくなるような展開が多く、
また各ルートにおいても、少しずつ謎を明かしつつヒロインと協力して進んでいくシーン等々、BGMとあわせて思わず涙を浮かべてしまいそうになるシーンもあり、全体を通して涙あり、笑いありの恋愛物と努力友情勝利の部活物のテイストがうまく混ざっていたように思う。

問題だったのは集大成ともいえる明日葉ルート、エピローグ部分。
たしかに物語の根幹とも言える部分に迫り、主人公について不明だった部分も多くが明らかになった。
ただ、それらの展開がかなり駆け足で突拍子もなかったということ。
無論、論理的には納得できるのだが、ワンクッションもなく革新的な話が続けられ、唐突に終わってしまうので展開においていかれてしまう。
そもそも、この話自体が攻略ルートの後半であるエピローグ部分に持ってくるような話ではなく、全キャラ攻略後に現れるTRUEルートレベルの分量によってじっくりと展開されるが必要ある部分で、
ある意味その部分を楽しみにしてたところも多くある。
実際このような展開になってしまうと作品全体の評価が落ちることになるだろう。
いろいろな制約があるのかも知れないが、やはりストーリー部分として作品的にもかなり重要な部分であるため、そのあたりは配慮する必要があったように思う。

動作自体は基本的にまったりしているが、機能的な問題はほとんどない。

総括
ストーリーとしての稚拙さ等は目立つが、各キャラをきちんと描ききっていた事等は評価したい。ただ、最後の展開だけが評価を大きく下げており、このあたりをきちんと描けていれば数段上の評価もあった。

【ぶっちゃけコーナー】
日常シーンとかは結構好きな作品。
主人公はある種の代表的なパターンのひとつだから、気に入る人は気に入るはず?
明日葉を含めヒロインルーと部分に関しては、十分によくやっていたように思うわ。
もちろん、改善すべき点とかはたくさんあるんだけど、バトルシーンとか大変だったのはわかるし、そのあたりを考慮してみると全体的な質は最終的によかったと思う。
普通に楽しんでプレイできたし。
ただやっぱり一番最後の展開だけはいただけない。
あそこを簡単に終わらせてしまうと作品の魅力ががた落ちだし、展開はともかく後味も悪い。
その辺だけどうにかしてほしかったけど、なんだか続編が出るからそこで期待するしかないのかな。