タイトル : 流星ワールドアクター Gaslight Bullet
ブランド : Heliodor


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 15h弱)

シナリオ

最後の銃声が、夜を裂く――

2019年に発売された『流星ワールドアクター』、そして2021年の続編『流星ワールドアクター Badge&Dagger』を経て、このシリーズはDMMのブラウザゲーム『流星ワールドアクター The Strange World』(※現在はサービス終了でプレイ不可)という形で物語の裾野を広げようとしていた。ソシャゲ版では第七共和国の外という新たなフィールドへ舞台を移し、新ヒロインたちを交えたさらなる展開が用意されていた。
今回リリースされた『流星ワールドアクター Gaslight Bullet』は、そうした『The Strange World』の経緯を一度横に置き、あくまで『Badge&Dagger』の正統な続編として、本編の物語を再構築する立ち位置をとっている。

さて本作の舞台は引き続き第七共和国。
問題児の主人公「日流ルカ」は素行不良により交通課へ左遷されることとなり、刑事の最前線への復帰を目指し奮闘する彼だったが、財閥ビルの火災を機に、共和国を揺るがす激動の渦中へと再び引きずり込まれることになる――。

本作のシナリオライターは引き続き衣笠彰梧氏が担当しており、全6章(チャプター1~6)のメインルート一本で構成されている。作中の選択肢も個別ヒロイン用の差分シーンとして用意されている程度で、物語の核心には大きく絡まない。過去作のような個別分岐や階段分岐(本編からヒロインルートが分岐する形式)を採用せず、今作では10数時間以上のメインシナリオの中で、教団事件の核心を追いかける構成となった。なお、攻略後に解放されるアフターシナリオは短く、実質はHシーンがメインの構成である。

本編クリア後にタイトル画面からアクセスできる【EPILOGUE】も10分程度の短いもので、これまでの作品にあったような次回への引きは用意されていない。物語がしっかりと完結したことを感じさせる、シリーズの締めくくりにふさわしい内容となっていた。

さて、上記にあるように個別シナリオがあるわけではないものの、本作においてヒロインとなったキャラクターたちについても触れておこう。
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薄野すすきの 珠子たまこ (CV:春乃いろは)
優れた情報処理能力とハッキングスキルを持つ警察官。ペアを組んでいるヴァースが前線で動きやすいようサポートするため、普段の業務はバックアップがメイン。

1作目から登場してたが、ついに本作でヒロインに。
髪型や性格からもっさりした雰囲気が漂っているサブヒロインという感じだが、今作では二人でプールに行くシーンがあり、そこでの姿には普段とのギャップもあって、かなり新鮮に感じられた。

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大門寺だいもんじ 伊代いよ (CV:神代岬)
強力な炎の能力を使用するキーパー。その能力と捜査手腕で30歳にして警視長まで上り詰めた実力者。ルカの実力は認めつつも、その素行や常識に欠ける部分を問題視している。

2作目から登場している主人公の上司。
共通目的もあるものの立場的に反目し合うことも多く、ヒロインになる印象はなかっただけに、それだけで意外性もあり新鮮。
短い個別シナリオのなかで見せる大人の関係…みたいなのも良さだが、アフターシナリオでの一幕で一番笑わせてもらった。

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リンダ (CV:恩納海)
子供を意のままに操る強力な能力を持つキーパー。かつては窃盗団「ルイーズ」のリーダーとして教団と繋がりがあったが、現在は教団を滅ぼすべくルカに協力している。見た目は十年以上変わっておらず、ルカより年上。

2作目から登場するいわゆる合法◯リ。
元教団という難しい立場だが、今作のヒロインの中では最もルカとの好感度が高かったキャラクターだとおもっている。素直に幸せになってほしいキャラクターなので、アフターのような幸せな描写がもっともっと描かれればよかったなぁ…。
ちなみに上記で紹介したヒロインの他にも、1作目2作目のヒロインたちの登場・活躍シーンもしっかりと用意されている。中でも主人公の相棒であるクラリスに関しては、事件の捜査がメインとなっていた本作においては、登場機会も多く、もはや正妻のような立ち位置で安定感すら感じられる。もう一人はカフェ『ラブアンドピース』の看板店員の涼子。前作で主人公と関係を持っていることもあり、その仲が今作でどう発展していくのかにも注目してもらいたい。

さてさて、本作は「教団」との対決という、シリーズが当初から掲げていた最大の因縁を解決することを中心としてリソースを注ぎ込んだ作品といえるだろう。
この部分を描くためだけでも10時間を超えるボリュームが割かれているが、逆に言えば他の要素を詰め込む余裕はなかったということで、もちろん、ファンとしては全てを丁寧に描いた贅沢な結末も見てみたかった。しかし、シリーズを空中分解させず、最低限かつ最大の成果物だけを完成させて着地した今作の形は、ベストではないにせよ、今取りうる最善のベターな選択だったと捉えている。

本作の最大の収穫であり、同時に最も惜しい点は、敵キャラとして新たに登場した「八坂」の存在だ。ネタバレになるから詳細は避けるが、彼は特異な背景を持ち、ルカと鏡合わせのような対比で描かれることで、間違いなく主役を食うほどの格を見せつけた。彼というキャラクターの存在感があるからこそ、一部の設定不備があっても物語から目を離せなかったといっても過言ではない。
ただ、それゆえに彼が今回「ポッと出」であることの惜しさが際立つ。彼に至る伏線が過去作からあれば、この最終章はもっと凄まじい熱量を持ったはずで、重要なピースが最後になって初めて投下される感覚と、今まで矢面にたっていた敵キャラクターの粗雑な扱いが、本作を語る上で避けて通れない最大のジレンマといえる。

また本作で顕著に現れていた点として、ライターである衣笠氏の特色が挙げられる。
良い点としては、その圧倒的な「行間の演出」が挙げられる。全体の展開によるワクワク感を一定以上に保ちつつ、小町とのシーンで見せた視線や沈黙で心情を語る繊細な空気感は、やはり魅力的。また、シナリオ以外の演出面でも没入感を高める工夫がなされており、最終盤で主人公がパートボイスになる演出なども光っていた。

一方で、物語を「広げっぱなしにする」悪癖もある。一本道シナリオゆえに、涼子をはじめとする伏線の回収放棄や、ヒロイン掘り下げの不足といった消化不良な点は多い。個人的には個別ルートとは言わずとも、せめて2作目のような階段分岐があれば、もっと納得感のあるヒロインとの関係が築けたのでは、と思ってしまった。
さらに「教団」自体の尻すぼみな描かれ方や、ルカの成長過程に見られる展開の強引さなどではシナリオの「粗」も目立つ。
だが、ある意味でこの「広げっぱなし」こそが、このライターさんの特徴といえるのかもしれない。読者の予想を容赦なく壊してくる衝撃的な展開の数々があるからこそ、私たちは結末までクリックを止められなかった。

綺麗に畳むというよりは、必要な要素だけを削り出して完結させたということで、やはり完璧には程遠く評価としては抑え気味になっている。ただし不満は多々あれど、長年追ってきたシリーズに決着をつけてくれたその気概には、感謝しかなく、人によっては評価が1段2段と高くなっていても不思議ではない。

【推奨攻略順:珠子→伊代→リンダ→EPILOGUE】
上記にもある通り、攻略の仕様としては、本作に個別シナリオは存在せず、選択肢を選ぶことで短い個別シーンと後の展開でHシーンが挿入される形式となっており、その選択によってアフターシナリオが追加される。
また今作のヒロインだけでなく、旧ヒロインたちとの交流シーンも選択肢の差分として用意されている。興味がある人は、プレイ中に随時回収しておくと良いだろう。

CG
原画家はシリーズを通じて春夏冬ゆう氏が担当しており、今作でもその変わらぬ作風が物語を支えている。グラデーションを抑えた淡めの色使い、そして繊細な細い線で描かれるキャラクターたちは、美麗であることはもちろん、シリーズを通じたテイストの統一感がある。
本作における新規追加CGは75枚で、この他に過去で使用された20枚なども使用されていた。
Hシーンについては、珠子、伊代、リンダ、涼子の各ヒロインにつき2シーンずつ、計8シーンが用意されている。
また、CGにエフェクトなどの動きを加える演出面も際立っていた。特に能力発動シーンで見られる演出は、プレイヤーの高揚感をさらに高めてくれる仕掛けとなっていた。


音楽
Vo曲3曲(OP1/ED)とBGM65曲(inst含)が収録。
BGMの大半はこれまでのシリーズを彩ってきた馴染み深い楽曲が占めているが、それでも新規追加曲は15曲ほど存在している。特に「撃ち砕いた夜空の果て」はVo曲アレンジだと思われるが、エモーショナルで良い。
Vo曲としては1作目からシリーズの顔としてOPを担当し続けているDaisy×Daisy氏の存在が印象的。
今作のOP「蒼醒」も期待を裏切らない格好良さで、物語の幕開けを告げる盛り上がるサビは圧巻の一言。さらに、グランドエンディング曲である「Unbreakable World Actor」も、しっとりとしたバラードではなく、最後まで熱く盛り上がる楽曲として仕上がっている。
物語を締めくくる熱量の高いこの選曲は、本作のフィナーレにこれ以上ないほどふさわしい。


お勧め度
本作をプレイする際は、1作目の『流星ワールドアクター』、2作目の『流星ワールドアクター Badge&Dagger』のプレイが前提となる。振り返りシーンがないので、内容を忘れている方は再履修を強く推奨する。
なお、DMMのブラウザゲーム『流星ワールドアクター The Strange World』の内容は不要なので安心してほしい。
2作目と違いフルプライス作品ではあるものの、その価格に見合ったボリューム感がある。シリーズ最終章ということもありプレイハードルは高いが、それを覆すほどのクオリティかと問われると疑問も残るため、おすすめ度としては平均とした。
とはいえ、シリーズの結末を見届けたいファンにとっては必見の作品であることは間違いない。

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総合評価
3作品を通して描かれるシリーズの核であった「教団事件」の結末を描いた完結編。
良くも悪くもライターの特色が出たシナリオ故に当ブログの評価は伸び悩んでいるが、それでも最後に相応しい盛り上がりを見せてくれた作品というのも確かで、シリーズに対しての想いで評価が分かれる作品かも。


【ぶっちゃけコーナー】
色々と書いてきたけど、最後に少しだけ個人的な本音を。
まずは伏線について。相変わらず「投げっぱなし」な部分が多いのは、もうこのライターの様式美みたいなものだよね。
特に第七共和国以外の国については1作目と比べてほとんど触れられなかった。ここは本来、ブラウザ版で掘り下げる予定だったのかな? とか色々想像しちゃう。IPとして大きく展開する構想があったんだろうけど、結果としてタラレバの話になっちゃうのは少し切ない。
ただ、本作だけプレイする分にはその辺りの知識は一切不要だから、未プレイの人は安心していいだろう。

次に主人公のルカについてだけど、1~2作目のハードボイルドな魅力が、今作で少し「矯正」されてしまったように感じたのは僕だけだろうか。
周囲に認められる主人公像を目指したいのは理解できるけど、結果としてハードボイルドという初期設定から少し乖離してしまった気がして、その意図がちょっと汲み取りにくかったかな、と。

シリーズを通して「面白い!」と唸るシーンが数多くある一方で、一本筋の突き抜けた他作品と比べると惜しい部分もあり、正直評価がすごく難しい作品だった。
今回の評価はあくまで「平均点」って形にしたけど、僕の心の中ではもう少しプラスして評価しているし、シリーズ愛ゆえの「減点」も入っている。だから、みんなにはぜひ、数字以上に楽しんでほしいなと思っているよ。