タイトル : 花鐘カナデ*グラム Chapter:3 星泉コトナ
ブランド : NanaWind


シナリオ : ★★☆☆☆ [2/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★☆☆☆ [2/5]
総合評価 : ★★☆☆☆ [2/5]
(総プレイ時間 : 2.5h)

シナリオ

かこが奏でる悠久の調べ――、
あなたとひらく花とココロの学園物語


ALIA's CARNIVAL!』から『春音アリス*グラム』、そして本作へと続く「アーケン」と共に描かれる近未来を舞台とした、SF恋愛アドベンチャー作品。
作品としては今回初めて各ヒロインのルートを独立して順次発売する4部構成をとっており、本作はその第3作目、その他の構成は以下の通りだ。

本編に触れていく前に『春音アリス*グラム』と本作の関係について...

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『春音アリス*グラム』とはNanaWindが過去に制作し、萌えゲーアワード純愛金賞を受賞した作品であり、本作との関わりも非常に強い。そのためこの作品と合わせて下記以降ではシリーズ作品と称することもあるので注意。

『春音アリス*グラム』は、NanaWindが過去に制作し、萌えゲーアワード純愛金賞を受賞した作品だ。そのルーツは同社の『ALIA's CARNIVAL!』に遡る。同作では「アーケン」と呼ばれる未来科学による特殊能力と異能力バトルに重きが置かれていたが、『春音アリス*グラム』では「秘密アリスグラム」の解明へとその焦点が移された。

本作はその雰囲気や世界観を継承しつつ、「もっとHに、低価格で、気軽に遊べるように」というコンセプトで製作された。『春音アリス*グラム』から8年後の世界を舞台とするスピンオフ作品であり、主人公とヒロインを一新している。舞台設定こそ共通だが、一部のキャラクターを除き、新たな世代による物語が展開される構成だ。
秘密アリスグラム」の解明を物語の軸とする点は前作と同様で、全4作品を通し作中に秘められた謎に迫っていくミステリアスな構造こそ、本作の魅力と言える。

なお、各作品には付録として『春音アリス*グラム』の共通ルート(1章~6章)が収録されており、シリーズ未経験者でも最低限の世界観を補完できる仕様だ。

シナリオ構成に関しては今までの作品と同様に序章から終章までの全8章立てで、クリア後に「アナザーデイズ」が解放される仕様も同様であった。特徴的なインストール形式や、1作ごとに特定のヒロインにのみフォーカスし、使い回しの共通ルートが存在しない独立した設計等も共通しているため、詳細は『Chapter:1 小桜結』のレビューを参照してほしい。
プレイ時間についても、変わらず2.5h程度だった。
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Chapter:3 星泉コトナ(CV:月野きいろ)

年の瀬も終わる大晦日――。
主人公・後代灯と黄昏部の面々は、年末深夜に訪れた神社で、出店巡りと二年参りを楽しんでいた。そこで、かつてカリスマ生徒会長だった星泉コトナは願う。卒業まであと少し。なにか学園に足跡を遺したい……。彼女と手を組み今まで行事に無関心だった黄昏部がセイカ祭へと望む――。


今作『Chapter:3』の主役を担うのは、黄昏部へ入り浸る三年生、星泉コトナだ。
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明るく華やかで、周囲を惹きつける元カリスマ生徒会長。部員ではないにも関わらず部室に居座る奔放さを持つが、その実、目立ちたがり屋で面白いことが大好きな彼女は、部内の雰囲気を一気に明るく変えてくれる。

主人公自身も彼女のポジティブな勢いに巻き込まれたり、大胆に迫られ翻弄されたりと、良くも悪くも振り回されていたが、かつて学園を牽引した彼女が不思議なアーケンカードを手にしてどのように暴れ...未来を切り拓いていくのかが、今作の見どころとなっている。

本作も前作同様、卒業式後のエピローグを予感させるシーンから幕を開けるが、やはりシリーズ全体の伏線を提示する程度に留まっており、物語の本筋へ深く切り込むことはない。

メインライターが『春音アリス*グラム』のメインも務められていた葉月サイ氏に変わった影響化、物語のテイストは前2作から微変化している。かつてカリスマ生徒会長だったコトナが黄昏部を巻き込み「セイカ祭」へと突き進む序盤の展開は非常に印象的だ。常に周囲を先導する彼女らしく、イベントを次々と起こして物語を動かしてくれるため、展開自体に停滞感を感じさせない点は評価できる。

アーケンに関しても、前作の澄玲よりは活用されていた印象だが、やはり本作単体で見ても物語の本質的な部分には絡めきれていない。核心を握るであろう奏に焦点が当たり、物語の深部へと迫る描写こそあるものの、3作目という折り返し地点に至っても大部分は不明なまま。むしろ、十分な説明がないまま重要そうな展開だけが進んでいくシーンもあり、プレイヤーとして少々置いてけぼり感を抱く部分もあった。

後半のイチャラブ重視の展開は相変わらずだが、今作ではコトナの意外なパーソナリティが新鮮に映る。大胆な性格に似合わず、厳格な大家のお嬢様育ちであるという背景が丁寧に描かれ、彼女のリーダーシップの裏にある、卒業後の進路や立場に悩む繊細な内面を知ることで、キャラクターへの深みが増していた。

一作ごとの完成度としては、キャラの掘り下げが十分な分、シリーズ中で最も好感を持てる内容だ。しかし、メインコンテンツであるはずの「秘密アリスグラム」が置き去りなのは残念と言わざるを得ない。最終章を目前にしても、次を渇望させるような「引き」が弱い点は構造的な欠陥に感じられ、どうしても評価を抑える結果となった。

【推奨攻略順:作中に選択肢無し】
作中に選択肢はないが、攻略後に「アナザーデイズ」にアフターシナリオが2編追加されるため、忘れずに見ておくとよいだろう。


CG
原画は1作目(『Chapter:1 小桜結』)、2作目に引き続き、あゆま紗由氏がメインを担当。
グラフィックのテイストに大きな変化はなく、立ち絵や背景のクオリティも前作同様に安定している。背景素材に過去作からの流用が目立つのも相変わらずではあるが、シリーズ通しての共通仕様と言えるだろう。
イベントスチル22枚、SD絵1枚、Hシーン6シーンという内訳も前作と全く同じ構成だ。「低価格で気軽に遊べる」という本作のコンセプトを鑑みれば、十分に納得感のあるボリュームにまとめられている。

音楽
楽曲構成についても1作目(『Chapter:1 小桜結』)、2作目と全く同じであるため、本作での詳細な内容は割愛する。評価についても同様に前作に準じる形としたい。


お勧め度
前作『春音アリス*グラム』が未プレイでも、付録の共通ルートで世界観を補完でき、販売形式によってロープライスかつ気軽に楽しめる点は変わらず大きな強みだ。
ただし、物語の深部にある「秘密アリスグラム」の解明まで楽しむなら、シリーズ全作のプレイが前提となり、本作単体では物語が完結していない。
相変わらずルートの独立性は良いものの、次作への興味を惹くような引きに欠けている点は、シリーズ作品としての弱点となっていて、単体での物語の完成度が低い点から評価を抑え気味にせざるを得ない。
シリーズを追いかける覚悟があるファンや、ヒロインであるコトナが気に入り、彼女との甘い時間を純粋に楽しみたいユーザーには、手に取る価値のある一作だ。

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総合評価
キャラクターの掘り下げは良く、コトナとのイチャラブに終始して終わる構成は変わらずだが、3作目にしても依然として謎は多く、単体での物語の完成度が低い点は否めない。シリーズ物としての引きに欠けており、評価が抑えめとなっている。


【ぶっちゃけコーナー】
正直、3作目ならもうちょっと話が動くと思ってたよ。いや確かに、色々と明らかになった風のシーンはあったけれど、情報の出し方がぶつ切りすぎて先が読みづらいし、そもそも「続きを予想したい」と思わせるフックが弱いのは、これまでずっと指摘してきた通りだ。

コトナ先輩に関しては、ポテンシャルの塊みたいなキャラなだけに、彼女の有能さをアーケン絡みのトラブル解決でもっと見たかったのが本音だ(アーケンカードが弱体化しているという制限がある以上、仕方がないのかもしれないが……)。

結局、1作目から3作目までどれも似たりよったりな印象は拭えない。分割方式ゆえに「どこから遊んでもいい」作りを目指した結果、単体としての突き抜けた魅力が犠牲になっている気がしてならない。

4部作のうち3作を終えて、本筋がほとんど進展していないのは驚きを通り越して、もはや次作が少し怖くなってきた。とはいえ、最終章でこれまでの評価がすべて覆る可能性もゼロではない。シリーズを追い続けてきた身としては、毒食わば皿まで、最後まで見届けるしかないだろう