
タイトル : 魔法少女ノ魔女裁判
ブランド : Acacia
シナリオ : ★★★★☆ [4/5]
CG : ★★★ [3/3]
音楽 : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★☆ [4/5]
(総プレイ時間 : 12h)
シナリオ
ストーリー
「この中に、魔女になった少女がいる」
高校1年生になるはずの朝、エマが目を覚ますと、そこは薄暗い檻の中。
身に覚えもなく絶海の孤島に存在する牢屋敷に閉じ込められていた。
混乱するエマと、同様に捕らえられた少女たち。
そこに現れた一羽のフクロウが告げる。
「キミたちはこの世界に害をなす――【魔女】である可能性があると認定された」
「ここで囚人として生活してもらう」
当たり前だと思っていた日常が崩壊した。
エマは囚人生活の中で同じ魔女候補の少女たちと知り合っていくが、
あるとき、殺人事件が起きてしまう。
フクロウは囚人の少女たちを集めて言い放つ。
「魔女裁判を執り行う」
それは、少女たちの中から【魔女】
……すなわち処刑対象を選定していく、
あまりに残酷なゲームの開始だった――――作品公式HP抜粋
クリエイティブブランド「Acacia(アカシア)」がクラウドファンディングを行い、200万目標のところ6600万以上を達成して開発された本作。
シナリオはストーリーにもある通りのミステリー物で、主人公を含めた13人の少女が【魔女候補】として監禁されるところから始まる。古めかしい屋敷を舞台にゴシック調の服をまとった少女たちの中で次々と発生する殺人事件。繰り返される殺人の謎を解きその犯人を見つけ出しては【処刑】を行う、というものになっている。
本作に登場する13人の少女たちについてだが、彼女たちはもちろん普通の存在というわけではなく、それぞれに特殊な力を行使できる【魔法】を持っている。ただし主人公のエマだけは心当たりがない様子で、この魔法がシナリオにどう関わってくるかも作品の見所の一つである。

本作の主人公桜羽 エマ(CV:三木谷奈々)。
突如として監禁された13人の少女の一人、物語は最初彼女の視点で進んでいく。
ここで登場するキャラクター13人の一部を紹介しておく。
二階堂 ヒロ(CV:東雲はる)。主人公と唯一面識の会った人物だが、気が強くかなりエマに対してだけキツい態度を取る。原因は過去にありそうだが…。
蓮見 レイア(CV:小清水亜美)。舞台で活躍していたスター。混乱していた少女たちの先頭に立つ。
宝生 マーゴ(CV:樹冬華)。大人っぽさのあるお姉さんキャラクター、掴みどころがない。
紫藤 アリサ(CV:石井未紗)。全方位に対して当たりが強く、周囲に壁をつくっている。
城ケ崎 ノア(CV:井口裕香)。どこかぼんやりとした少女、絵を書くのが好きらしい。
他にも佐伯 ミリア(CV:高森奈津美)、夏目 アンアン(CV:葵あずさ)、橘 シェリー(CV:柊優花)、氷上 メルル(CV:山下七海)、沢渡 ココ(CV:比良坂芽衣)、遠野 ハンナ(CV:石崎紗彩)、黒部 ナノカ(CV:大熊和奏)といったキャラクターが登場する。
こういったスタイルの作品において、これだけ多くのキャラクターがいると、手抜きになってしまったりするキャラクターが発生しがちなのだが、本作ではそういったことはまったくない。
作中で不要なキャラが存在しなかった、という点は本作の大きな魅力の一つだろう。
さて本作は1本道のシナリオとなっているが、ストーリーが進むADVパートではもちろん選択肢も登場する。この選択の片方はBADルート直行になっているものが多く、短いBADENDもあれば、ある程度の分量が用意されているものもあって、そうしたエンディング数を含めると相当な数になる。
画像のように作中のシステムでは分かりやすく表示されているが、もちろん非表示にも出来る。そして本作の最大の特徴は裁判パートのシステムで、物語が進展する毎に発生する殺人事件の犯人について自身達で捜査・議論を行うこととなっており、その形式からダンガンロンパや逆転裁判を例に出される事が多い。
そのため作品は大きく3つのパートに分けられ、ストーリーが進展する一般的なADVパートに加え、事件発生後の捜査を行う捜査パート、殺人を犯した魔女を決める裁判パートの3つに分けられる。
ただし捜査パートに関しては、他のゲームにあるような捜索アクションは無く、MAP選択肢が出てきて、そこを選択すると勝手に証拠が集まる形となっている。順序等もほとんど度外視されているため、実質的にここも1本道のADVパートと捉えても良いだろう。
魔女裁判が始まると、登場する少女たちが各々自由に意見を出し合う。その中で矛盾する点や疑問があるワード(※画像中の赤文字)を選択し、ときには捜査パートで集めた証拠と合わせて真実を追求していく。
ちなみに指摘を間違えてしまっても短い会話シーンがある程度で、最初から議論のやり直しとなる。この点に関して、すべての選択肢に対し違ったセリフが用意されていることには素直に驚きで、思わず全ての反応を見たくなってしまうほどによく出来ていた。
一方でスキップのしにくさ等からシナリオが進めば進むほどに冗長に感じられたのもここで、プレイのテンポを悪くしていた。本作最大の特徴であるシステムのため、もう少しだけ操作性が良ければ言うことはなかった。
なお、右上の時間がタイムアップしてしまうとBADENDとなる。これもまた個別のEDとなり、全攻略を目指す方はそちらも閲覧の必要がある。
正しい選択を行った画面に出てくるおなじみの画面。逆転裁判でいう「待った!」のシーンだ。それぞれが趣向を凝らした事件は独自性もあり機転に富んでいた、なによりも少女達がもつ【魔法】という要素を絡めたトリックは非常によく出来ていたと言えるだろう。
一方で裁判シーンの指摘に関しては、少々無理矢理に感じてしまうところも多々あって、純粋にトリックが見抜けていても、どこをどう指摘し証拠を出せば良いのかわからなくなるシーンも少なくない。
当方はこうした作品に慣れていないので、事更にそのように感じてしまったのかもしれない。
さて裁判パートに欠かせないのが犯人となった【魔女】の【処刑】で、ADVパートのBADENDと双璧を成すダーク要素にもなっている。
裁判の後、犯人と特定された登場人物は特殊な方法で『処刑』される。また処刑に際しては自身で手を下すことを感じさせる仕組みなども組み込まれており、読よんでいて胸糞の悪さを感じさせる、つまりは作中の登場人物にとっての大きなストレスにもなっていたことも付け加えておきたい。
この処刑シーンについては上記にもある通りキャラクターの個性とも密接につながっている。特に犯行の動機について語るようなシーンでは自身の根幹となる部分に触れる描写が多くなっており、上記にあるADVパートと合わせて、数多くいるヒロインの掘り下げを行ってくれていた。
ADVパートと捜査・裁判パートを繰り返し、次第に被害者、もしくは処刑されていく少女たち。
繰り返される事件による恐怖、疑心、孤独などの負の感情が少女たちの精神を摩耗サせていく様子が克明に描かれるのだが…あくまでそれは中盤までの話。
中盤からは一気に物語が大きく動かされる。
これ以降の部分に関してはネタバレとなる要素も多く(他のレビューでは触れられていることも多いが…)、当方としては新鮮な気持ちでプレイしてほしいということで、あくまで抽象的な表現にとどめておく。
物語の大筋の展開方法は変わらないものの、とある一つの要素が変えられただけで様相が大きく変化する、一見すると焼き回しのようであって全くの別物であった。
プレイをした人ならわかるだろうが、上記でも画像として示したエマの「待った」がでた瞬間に膝を叩いたのは私だけではないだろう。
これだけではなく作品には前半と後半で対比的な構図にしたからこその良さがしっかりと詰め込まれており、最後に集約して編み上げられるストーリーに関しても見事なものだった。
注意点を上げるとするならば、内容的に多少メタ的な話が絡んでしまったことだろうか。
全体的にゴシック的な雰囲気を持つ本作は、現世とは隔絶した印象を受けていたのだが、そうした要素を入れてしまったことで主体性がブレてしまっているようにも感じた。
このあたりは好みによるところと言えるだろう。
また中盤以降の裁判パートはどうしてもだれてしまう、というのも難しい点でじっくりと推理するという事ならば気にならない点も、上記にもかいた裁判パートのシステムの影響もあって、ADVとして読み進める際にはデメリットが大きく影響しているように感じた。
いずれにしても前半と後半を通して、登場する13人の少女についてを、それぞれにしっかりと掘り下げてくれたことや、その点を踏まえてシナリオに組み込み、ミステリー作品として整形した事に関しては、手放しで褒められる。
全体的に世界観がしっかりと作り込まれた作品で、鬱ゲーとして読んだ方に関しては少し物足りなさを感じてしまう点もあるかもしれないが、少なくともミステリー作品としては十分に神秘的でありながらもダークな雰囲気を描き出していたと言えるだろう。
最終盤の展開の性急さなどの気になる点はもちろんあるものの、魔女裁判による命のかかったシーンによって登場キャラクターの心情に深く切り込無事が出来ており、短い描写でも涙を誘うようなシーンも存在していた。
当方にとってはどうしても感情移入しにくい点があったため、最高評価とはしないものの、主軸であるトリックシーンも完成度は高く、平均以上の作品としてこの評価としている。
【推奨攻略順:-】
ADV部分にも選択肢は多くあるが、その多くがBADENDに直行するもので、シナリオ自体は1本道となっている。
CG
柔らかな線と少しぺったりとしたラフっぽさもある絵。
複数の原画家が制作に携わっているが、立ち絵を含めて統一感がある。
作中で閲覧できるイベントスチルの枚数は61枚だが、実際には差分とは言えないほどに構図の違うものも多く含まれており、体感ではもう少し多く感じられ、価格帯を考えても十二分すぎる量と言えるだろう。
作品のテーマ的にも流血CGが多くなっていたのだが、とある工夫によりマイルドに表現されていたので、そういった点が気になる人も余り気にしすぎる必要はないだろう。
音楽
作中での音楽鑑賞画面はない。
ただしコンプリートオリジナルサウンドトラックも販売されており、そちらには作品で使用された全楽曲が収録されている。ここにBGMでは50曲以上存在していて、アレンジで似たメロディもあることを考慮しても膨大な数と言えるだろう。
キャラクターBGMのほか作品の雰囲気に合わせた陰鬱なものや裁判用のものなど多種多様で、一部にはコーラスが入ったものなども存在した。
Vo曲は主題歌の「LaVI-Bavellabion」の他にED曲として「bloom」や「愛の残滓」「救いを求めるヒトの詩」が用意されている。特に三木谷奈々さんの歌う「LaVI-Bavellabion」は作品のビジュアルイメージにもハマっており、印象に残っている。
お勧め度
ミステリー作品としてはもちろん文句無しでおすすめできる作品で、ロープライス作品とは思えないボリュームと完成度を誇り、2025年の名作の一つと言ってよいだろう。
作品の傾向的にダンガンロンパ等のゲームが好きな人は受け入れやすい作品といえる。
全年齢対象ということでPCゲーム版としてはSteamを中心に展開中で、近く任天堂Switch版も販売されるとのこと。また本作の続編と噂される作品の開発も示唆されており、今後の発展が気になるところだ。
下記ではコンプリートアルバムの紹介URLを添付しておく。
総合評価
ミステリ作品としてのシナリオの完成度や、作品全体に流れる雰囲気を形成するための創意工夫に溢れた作品で平均以上の評価を受けることは間違いなく、評価以上の内容だったと思ってもらって良い。
【ぶっちゃけコーナー】
クラウドファンディング達成に関してもそうだが、全年齢対象であることや全編を通して配信許可が出ていることなどが影響しているのか、多くの人が配信していたりするところからも人気がうかがえる作品で、新鮮味ある販売戦略が成功した形といえるだろう。
作品自体もゴシックな世界観がビジュアルを含めてしっかりと表現されていて、ミステリ作品らしいダークな展開にも富んでいた。メインである裁判部分に関してはシステム的には類似作品が見られたけれど、「魔女」という要素で独自性を出していたから、その当たりはほとんど気にならなかった。(私が元になった作品をあまりプレイしていないというのもあるかもしれない)
他にも細かいギミックに意匠を凝らし、登場人物たちが感じたストレスをプレイヤーにも感じさせようとする、そうした作り手の意思がひしひしと感じられる所も好印象だった。
ミステリの推理部分に関しても、手がかりや証拠から類推可能な展開が多く、十分な完成度を感じた。なかでも魔法の要素をほどyく絡めてくれていたから、驚きがありつつも非現実的になっていない。(…まぁ状況からして非現実的ではあるけれど)
誰もが犯人・被害者になりえる状況になっていたところも今作の面白いところで、そうした話をキャラクターの性格とを鑑みてパズルのように組み立てていた、という部分にはやはり驚きがあった。
ただ感動シーンでは涙を流すことはなかったのは少し不思議に感じていて、それがこの作品評価が伸び切っていない理由の一つになっている。個人的な印象ではあるが、キャラクターへの感情移入という意味ではいささかハードルのある作品だったのかな、と思う。
それはそれとして、全員個性があったし中身もしっかりと掘り下げられているから、そうしたキャラクターたちの活躍する作品ということで、読み物としての面白みが会ったことには太鼓判を推しておきたい。
キャラクターとしては、シャリーが一番印象変わった登場人物だったかな。結構見どころになるシーンが多かったのもあるけれど、一番最後の裁判で「こいつ…手強い!?」って色々な意味で感じたのは私だけではないはず。
作品としては一区切り付いているものの、未だに遺恨を残すようなエンディングでもあり、執筆現在に置いては続編「魔法少女ノ因習村」の制作が示唆されているため、本作との関連が気になるところである。
クラウドファンディング達成に関してもそうだが、全年齢対象であることや全編を通して配信許可が出ていることなどが影響しているのか、多くの人が配信していたりするところからも人気がうかがえる作品で、新鮮味ある販売戦略が成功した形といえるだろう。
作品自体もゴシックな世界観がビジュアルを含めてしっかりと表現されていて、ミステリ作品らしいダークな展開にも富んでいた。メインである裁判部分に関してはシステム的には類似作品が見られたけれど、「魔女」という要素で独自性を出していたから、その当たりはほとんど気にならなかった。(私が元になった作品をあまりプレイしていないというのもあるかもしれない)
他にも細かいギミックに意匠を凝らし、登場人物たちが感じたストレスをプレイヤーにも感じさせようとする、そうした作り手の意思がひしひしと感じられる所も好印象だった。
ミステリの推理部分に関しても、手がかりや証拠から類推可能な展開が多く、十分な完成度を感じた。なかでも魔法の要素をほどyく絡めてくれていたから、驚きがありつつも非現実的になっていない。(…まぁ状況からして非現実的ではあるけれど)
誰もが犯人・被害者になりえる状況になっていたところも今作の面白いところで、そうした話をキャラクターの性格とを鑑みてパズルのように組み立てていた、という部分にはやはり驚きがあった。
ただ感動シーンでは涙を流すことはなかったのは少し不思議に感じていて、それがこの作品評価が伸び切っていない理由の一つになっている。個人的な印象ではあるが、キャラクターへの感情移入という意味ではいささかハードルのある作品だったのかな、と思う。
それはそれとして、全員個性があったし中身もしっかりと掘り下げられているから、そうしたキャラクターたちの活躍する作品ということで、読み物としての面白みが会ったことには太鼓判を推しておきたい。
キャラクターとしては、シャリーが一番印象変わった登場人物だったかな。結構見どころになるシーンが多かったのもあるけれど、一番最後の裁判で「こいつ…手強い!?」って色々な意味で感じたのは私だけではないはず。
作品としては一区切り付いているものの、未だに遺恨を残すようなエンディングでもあり、執筆現在に置いては続編「魔法少女ノ因習村」の制作が示唆されているため、本作との関連が気になるところである。






















コメント