タイトル : おにいちゃんコンティニュー! ゆうりとしーくれっとらぶ♥
ブランド : ぱんみみそふと


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 2.5h)

シナリオ
「ほら、今日も勝負しよ!お兄ちゃん!」

主人公――白雪しらゆき 颯人はやとは、妹の結梨ゆりと二人暮らしの社会人。
仕事をこなしつつ、不在の両親に代わり兄として妹の面倒を見ながら毎日を送っている。

結梨は外では品行方正な女の子。
誰にでも優しくて人望も厚い優等生だが、家事は全部お兄ちゃん任せ。
ダラダラしながらゲームに熱中してしまう姿を見て、女の子なんだからもう少しちゃんとしてほしいと思いつつ、つい結梨を甘やかしてしまう颯人。

結梨と仲良しの友達・有栖川ありすがわ 瑠々るるも白雪家によく遊びに来て、二人の女の子に囲まれる日々。

兄として妹たちを見守るか、男として接するべきか。
結梨の挑戦を受けながら颯人の悩める日々は続く……。

イラストレーターとして活躍中のぱん氏によって企画された、同人サークル「ぱんのみみ」(ブランド名「ぱんみみそふと」)から発売された本作。ライターはにっし~氏。

シナリオはあらすじにある通り、ゲームが趣味の妹とその面倒をみる兄の主人公の恋愛を描いた作品となっている。
キャラクターの立ち位置などから、某アニメ(干物妹!う◯るちゃん)を彷彿とさせるが、話の流れは至ってシンプルで、もともと仲が良かった兄妹が次第にお互いを異性として意識し始め、恋人関係となるまでを描いている。
分量も2.5時間程となっており、ロープライス作品らしいライトに読みやすい作品となっている。

というわけで、本作のヒロインを紹介しておく。
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白雪しらゆき 結梨ゆり(CV:小波すず)
主人公の妹で、喧嘩をすることもあるが基本はブラコンで甘えたがり。
外では品行方正に振る舞っているが、実際はゲーム大好き少女で徹夜でゲームしてしまう事も。
特に兄とゲームすることは日課にするほど楽しみにしており、出来ない時は拗ねてしまう。
シナリオは大きく2つに分けられ、とりわけ兄妹としての日常期間が大きく描かれていたのが印象的だった。
ゲーム大好きでブラコンな妹と、自身を律しようとしつつも結局はシスコンな兄という組み合わせで綴られる日常シーンは何気ない物が多いが、そうしたシーンの中でも結梨の魅力はしっかりと引き出せていた。
また付き合っていないからこそ、兄の一挙手一投足に喜んだり、嫉妬したりと、自身の感情にすら振り回される結梨の姿もここでしか引き出せない素顔といえる。

後半のシーンでは無事に交際し、兄妹という関係に「恋人」という関係が加わることとなるが、兄妹での恋愛ということで―作中で過去シーン等もあまりなく、はっきりと『実妹』と描かれていた訳では無いが―近親相姦というテーマは避けられないだろう。
本作でもその部分については無視してはいなかったが、あくまで主人公と結梨が一線を超えない理由として描かれるのみで、軽く触れるにとどめており、よって禁断の恋という要素はかなり薄くなっている。
ここから描かれているのは、ラブラブな二人の様子のみで、いい意味でも悪い意味でも中身のない部分となっていたので説明は割愛させてもらう。

物語は主人公と結梨の二人がメインとなっているが、サブキャラクター達もしっかりと登場している。
screenshot_20250831_155011メインのサブキャラクターが結梨の友人、有栖川ありすがわ 瑠々るる(CV:小鳥居夕花)。
ちょっとおバカだが、ハイテンションな少女で、ギャルっぽい見た目に反しコスプレイヤーだったりする。結梨の家に遊びに来るついでに、よく主人公にも絡んでくる。
その他に白雪家で飼われているペットのケープペンギン「エルクロ」(CV:藤崎紗矢香)も登場していた。
瑠々に関しては、本作においてはサブキャラクターとして描かれるのみになっているが、しっかりと立ち絵と声が用意されており、一部イベントCGにも登場するほど。
最終盤の展開では次回作(あればだが)のヒロインもあり得るのでは? と思わせるような描写も含まれていた。

サブキャラクターに含めてよいのかわからないのだが、特別ゲストも登場している。
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うーん、可愛い(シンプル)。

イラストレーターとしてだけでなく、Youtubeでも活動しているぱんさん。本作内ではその際の姿であるVtuberの”ぱんちゃん”として登場しており、もちろんCVも担当されていた。

シナリオ全般に関して、一部シーンで矛盾したシーン展開なども見られたが、作品の大きく損なうレベルのものではなく、その他に気になる所もなかった。
急展開もなければ、大恋愛もない、実直に兄弟の恋愛を描いた萌えゲー作品と言えるだろう。
評価としては平均程度としているものの、自身の好みにあえばしっかりと楽しめる作品になっている。

【推奨攻略順:ー】
作中に選択肢はあるものの、差分テキストが表示される程度で実際には1本道の物語となっている。

CG
原画担当はもちろん ぱん氏。
柔らかいタッチで描かれる女の子たちは瑞々しく、その可愛さが全面にアピールされていた。
イベントスチルの枚数は15枚でSD絵も6枚ほど収録されており、1枚1枚のクオリティが押し並べて高く、本作の最大のアピールポイントの1つとなっている。
また立ち絵に目パチ、口パク機能付き。
ちなみに本作のHシーンは4シーンで、すべて結梨とのシーンだった。


音楽
Vo曲2曲(OP/ED)とBGM16曲(OP曲のinstを含む)が収録。
BGMに関してはロープライス作品としては数があるように感じられ、オーソドックスなラインナップだが全体的には明るめな楽曲となっていた。
またロープライスの同人作品ながらOPとED動画もしっかりと用意されており、それぞれのボーカル楽曲に関しては、ぱん氏が歌唱されている。
Youtubeでは歌ってみたなども投稿されているが、今作内でもそのかわいらしい声を聞かせてくれていて、電波っぽい楽曲との相性も良かった。


お勧め度
イラストレーターのぱんさんが主導となって制作された作品ということで、イベントCGや立ち絵などはクオリティが高く、御本人が登場しているということもあってファンの方にとっては垂涎の作品と言えるだろう。
物語部分で言えば、シナリオを重視する人にあえておすすめをする事はないものの、シンプルに可愛い妹との恋愛を描いた萌えゲーであり、結梨がキャラクターとして気に入った方に関しても楽しめる作品になっている。
同人作品らしくDLsiteやBOOTH、Melonbooksなどでの取り扱いもなされている。(公式にはSteamもあるのでいずれは全年齢版で来るのか…?)
下記ではDLsiteのURLを紹介しておく。


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総合評価
人気イラストレータ企画のゲーマーな妹との恋愛を描いた作品で、シナリオは平凡ながらも、全体的には商業レベルと言っても差し支えなく、特にCG部分を中心魅力ある作品に仕上がっていた。


【ぶっちゃけコーナー】
ぱん氏が2021年頃から手掛けていた作品ということで、サークル『ぱんのみみ』初のオリジナルADVとなった本作。詳細については知らないことも多いのだが、調べてみるとシナリオの疑問点に関しても、いろいろな制約があってのことだそう。
たしかに両親の話に一切触れられていなかったり(というより二人の過去描写が欲しかったかな)、謎のペンギンが飼われていたり、とツッコミどころは多い。
ただ、ある程度の作品をプレイしていると「まぁそんなものかな」と脳死で受け入れてしまっているのも確か。特にペンギンがいたって気にしなくなるのである。…そんな人間のレビューが役に立つかどうかは議論の余地がありそうだが。
ともあれ、シナリオに関しては、シンプルだったが故にメッセージ性等も乏しく言及できる点は少ない。存分にイチャイチャを楽しむための作品だったといえる。

さて、気になるところで言えば微々たるバグが残っていたのもそうだろう。
シナリオ部分で触れたシーンの矛盾(具体的には迎えに行ったはずの兄が家で待ってたり…?)や、純粋なUIの表示バグ等が挙げられる。
進行不可ではなかったが、ことさら全体的に洗練されてくるとこういう細かい部分が気になってしまうもので、もう少しだけブラッシュアップをお願いしたかった所。
(多分後者は追加パッチ等で治るんだと思うが)

もともと同人作品ということもあって次回作はなかなか期待しづらい(労力的に)が、出るなら瑠々のお話なのかな、と最後の方に思わせてくる展開もあった。(もしくは追加シーンで瑠々とのHシーンだけとかもあるのかもしれないが)
それにしても結梨のサブキャラ以上にキャラクターが作り込まれていたように思うし、負けないくらい魅力的なキャラクターだったので、作品ができたなら見てみたいな、と思う。