
タイトル : DeepOne -領界侵犯-
ブランド : Nameless
シナリオ : ★★★★☆ [4/5]
CG : ★★★ [3/3]
音楽 : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★★☆ [4/5]
(総プレイ時間 : 13.5h)
キャラクター・シナリオ
その想いは、愛か呪いか。
墜とし仔と呼ばれる異形の厄災が出現する「上水流」の地にて、斎野の宗主である主人公「斎野尚哉」を中心として行われる「浄化儀式」。
多くの犠牲を伴いながらも己の使命を果たすため、全てを賭して戦う尚哉のもとへやってきた蒼の魔女「佑姫カスミ」。
彼女との出会いが運命を大きく変えていく。
2018年の10月に同社から発売された「Deep One −ディープワン−」(以降は無印と表記)から年月を経て発売となった本作。
同名のタイトルとなっているが続編というわけではなく、キャラクターや一部の設定を流用して再構成した作品となっていた。また関連作品として「DeepOne 虚無と夢幻のフラグメント」(以降はとのフラと表記)も存在しており、本作ではコチラの世界観や設定もかなり流用されている。ただキャラクターを流用したと書いてはいるものの、メインヒロインであった九花が今作では一花に変わっていたりと一部キャラクターは変更されており、
端的に表現すると、無印とは”世界線”を別にした作品で無印キャラクターや伝奇的な設定や舞台を使用しつつ、とのフラの世界観や設定を基に作り上げた作品と言えるだろう。
当方はとのフラのことをよく知らないので、下記以降ではメインとの違いについて触れつつ評価していきたい。
本作は大きく5章(チャプター)に分かれており、それぞれ差があるものの2-3h程度。エンディングが2つあったものの基本1本道の物語であったため、全体分量としては12h程となっていた。またシナリオを読み進めるごとに、ストーリー内で綴りきれなかった話がショートストーリーという形で追加されていき、それらを含めて13.5ほどの分量となっていた。
※作品を全攻略後にHシーンを含めたシナリオも一部公開されているため、今作をプレイ済みでそこが未読だった方はそちらも読んでおくようにしよう。
上記にあるように主人公は変わらず斎野 尚哉で、朗らかでありつつも使命に対して実直な性格なども同じであった。
名前は誕生日やビジュアルは同じだが体重は異っている。幼い頃から宗主になるための訓練も積んでいるため、ある程度の実力もある。こうした面々のパーソナリティや舞台をはじめとした大まかな設定なども1作目と同様ではあるが、一方で武器や戦い方、敵味方といった立ち位置などの差分となる部分も存在しており、既プレイの人にとっては序盤でこうした部分のイメージの差を埋めるのに苦心するかもしれない。
無印が九花(今作における一花)がメインヒロインのシナリオであったことに対し、今作のメインはカスミということで、彼ら前へ現れる墜とし仔との戦いや、四百年の宿願を果たすために暗躍する文示宮家の問題をメインとなりつつ、防疫修道会と呼ばれる集団との戦いなども絡んできたりとストーリーの流れも大きく異なっていて、ある意味では完全に別の作品として楽しんでしまうのが最も手軽だろう。
無印とは出会い方も異なっている。序盤からなぜか主人公への好感度がかなり高いが…?まずはバトルに関してだが、コチラに関してはかなり質が良かったと言え、特にバトルシーンの演出部分には驚かされ通しだった。
一花の詠唱シーン。ベタだがこういうシーンはやはりかっこいい。続いての能力発動シーンも見どころ。
素材をうまく駆使して動画もかくやといった演出。否が応でもバトルを盛り上げてくれている。もちろん一花だけではなく全てのキャラクターにこうしたシーンが用意されていた。テキスト表示が基本オーバーレイタイプだったので、無骨なテキストが羅列されていてもある程度読みやすくはなっていたところも好印象だ。
バトル物らしく登場するキャラクター達については軒並みしっかりとバトル描写が用意され、それぞれに見どころがあり、特に敵側のキャラクターについても深堀りして描写してくれていたところは評価が高い。
ただ良い点ばかりだったわけでもなく、設定の一部には他作品の影響を受けたのであろう設定なども多々見られ、独自性という点では少し不足感が残ったのも確かだ。他にもバトルシーンに重きを置きすぎたせいで展開自体が冗長に感じられてしまうことも多く、特にラスト周辺ではそうした要素が色濃く出ている。
またバトルシーンにおいてはそこに至るまでの家庭や、バトルに関わる者の心情部分に深く踏み込み、その背景を描くという部分も重要になるのだが、本作においてはその土台となる部分が薄かったような気がしてしまった。序盤の対オトシゴ戦に関して言えば本作がその浄化儀式の途中から始まるような形になっていた事に加え、敵対する相手が人外だったが故にそういった部分が書けなかった事が災いしていたのかもしれない。中盤以降は対人戦も増えてくるのだが、いかんせんバトルの規模に反して展開は少なく、戦う理由がどうしても希薄に感じられた。
それでもバトルシーン自体はやはりかなり迫力がある。
恋愛描写に関しては残念ながら満足度が低かった。
バトルにかなり重きを置いてくれていたため、というのもあるだろうが、カスミとの純粋な恋愛描写が少なかったことも影響として少なくないだろう。
また問題は物語の構造によるところも大きく、序盤から好感度が高かった理由などは「Memory Link」と呼ばれるカスミの能力によって徐々に明かされていくこととなるが、どうしても理解が中盤~終盤にかけて集中していた。これは作品がとあるジャンルに分類されるため(問題ないと思われるが一応伏せておく)でもあるのだが、作品の土台となる部分の形成が遅くなってしまうために、感情移入がし辛くなったのではないだろうか。
結果としてカスミの心情が掴みにくくなっていたのは確かで、この問題はバトルシーンにも相互に影響を与えていたようにも思う。
しっかりと盛り上がる部分は盛り上がっていて、バトル部分だけを見ても十分に高い評価が得られる作品で近年のバトル物としては優秀。
実際に単体作品としてみた場合はもう少し評価を上げても良いと考えていたが、細かい描写部分にも粗が目立つのも確か。
また『DeepOne』という無印作品が前提にあるという点を踏まえて、今作がどういうメッセージ性を持つかという部分に関してはかなりの疑問が残っており、こうした問題点を踏まえて評価を抑え気味にもしている。
【推奨攻略順:END1→END2→TRUE】
基本的に道中は1本道の物語となっており、最終盤にのみ選択肢が出現する。エンディングも分岐するもののかなり短く、TRUEに向かうまでにもう一つのENDを見るだけなので実質全体で1本と表現できる。
CG
原画担当は無印から引き続き夏彦さん。
CG枚数は鑑賞画面で88枚となっているが、別の構図に感じられるイベントスチルが同じ差分CGと換算されていたり、他にも作中の挿絵があったり、作品のメインビジュアルなどが含まれていたりと、正式な数とは言い難い。
ただ押し並べて美麗でクオリティが高く、枚数に関してもフルプライス作品として十二分に用意されていた事だけは太鼓判が押せる。
なおHシーンは10シーン(カスミ3/沙耶3/一花2/カスミ&沙耶&一花1/フルララネル&ロザリア1)が収録、その他にバトルシーンやサイドエピソード、OPとEDの動画なども鑑賞画面で見られる。
音楽
BGM63曲が収録されており作中で視聴可能となっていた。作中では他にVo曲が5曲(OP1/挿入歌1/ED3)使用されているが、こちらは対象外となっている。
やはり驚くべきはBGMの数だろう、ここまで数があるとバリエーションも豊かなのだがその半数はバトルシーン用の物で、全体的にも硬さを感じるものが多かった印象だ。なおBGMに関してはもしかすると無印からの転用等もあるのかもしれないが、当方にはわからなかった。
Vo曲に関しては挿入歌を含めてかっこいい物もあったのだが、どうしても印象が薄い。これは個人の好みの問題かもしれない。
お勧め度
上記でも触れたように作品の前進として無印版である「Deep One −ディープワン−」が存在しているが、本作単体でも問題なくプレイできるようになっている。(むしろプレイした記憶がある方が混乱する可能性すらある)
真に楽しむためにはDeepOne 虚無と夢幻のフラグメント」もプレイしているべきなのかもしれないが、少なくとも無くても私は問題なくプレイできた。
バトルシーンを中心に全体的なクオリティも確かなため、初心者向けの燃えゲーとしてはおすすめしやすいと言えるかもしれない。
一方で無印をプレイしていた人にとっては些か評価が分かれるところもある。本作単体でみた時の完成度は確かにあるのだが、今作で前作の疑問点などはあまり解決されておらず、物語としての繋がりも乏しいということで、安易におすすめし辛いところがあった。
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総合評価
バトル関連は高評価な反面、その他のシナリオ部分にあまり加点がない。それでも全体的なクオリティはある程度あり、純粋に燃えゲーとして楽しむ分には十分な作品といえる。
【ぶっちゃけコーナー】
かなり時間が経っての続編…というか、2作目? 前作である無印がかなり叩かれていましたが、個人的に評価している部分が多かった。ただその流れでこの作品…というのが、個人的に疑問が多くある。いやホントにバトルシーンはいいんだけどね。
シリーズ物というよりは独立性が高くて、単体としてプレイする分には楽しめて、その点は評価はしたけども、やっぱりあの土地やキャラクターを流用しているなら、ある程度の関連性というか、地続きの物語であるところは描いてほしかったように思う。
ヒロインを変えたのもしっかりと意味はあるらしいのだけれど、それならそれでそこに意味をもたせる描写を入れても良かったと思ってしまう。作中ではなんか一瞬挿絵で九花→一花のCGみたいなのも見えたりしたような気がしたが、やっぱり全体的に好意的に解釈しないと成り立たないのは辛い。
この点以外にもしっくりこない点は全体的にあって、シナリオの流れもこう…勢い重視というか(まぁバトル中心だから仕方がないのかもしれないけれど)、キャラクターもある程度掘り下げてくれていたから、言うことはないはずなんだけど…うーん。なんだかんだ最後まで物語に入りきれずにいた。
後は細かいところに誤字なんかがあったり、時々キャラの音量調節が狂っていたりする(特に短い音声?)ので、やっぱりもう少し全体的にブラッシュアップはほしいところだった。
一応次回(あるのかは不明だが)は沙耶と噂されていますが…。
どうなんでしょうね…?
期待したいような少し怖いような?
かなり時間が経っての続編…というか、2作目? 前作である無印がかなり叩かれていましたが、個人的に評価している部分が多かった。ただその流れでこの作品…というのが、個人的に疑問が多くある。いやホントにバトルシーンはいいんだけどね。
シリーズ物というよりは独立性が高くて、単体としてプレイする分には楽しめて、その点は評価はしたけども、やっぱりあの土地やキャラクターを流用しているなら、ある程度の関連性というか、地続きの物語であるところは描いてほしかったように思う。
ヒロインを変えたのもしっかりと意味はあるらしいのだけれど、それならそれでそこに意味をもたせる描写を入れても良かったと思ってしまう。作中ではなんか一瞬挿絵で九花→一花のCGみたいなのも見えたりしたような気がしたが、やっぱり全体的に好意的に解釈しないと成り立たないのは辛い。
この点以外にもしっくりこない点は全体的にあって、シナリオの流れもこう…勢い重視というか(まぁバトル中心だから仕方がないのかもしれないけれど)、キャラクターもある程度掘り下げてくれていたから、言うことはないはずなんだけど…うーん。なんだかんだ最後まで物語に入りきれずにいた。
後は細かいところに誤字なんかがあったり、時々キャラの音量調節が狂っていたりする(特に短い音声?)ので、やっぱりもう少し全体的にブラッシュアップはほしいところだった。
一応次回(あるのかは不明だが)は沙耶と噂されていますが…。
どうなんでしょうね…?期待したいような少し怖いような?























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