
タイトル : アンラベル・トリガー -Prelude to War-
ブランド : Archive
シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG : ★★★ [3/3]
音楽 : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 3h弱)
キャラクター・シナリオ
過去と未来、そして戦後にして開戦前夜
本作は2024年の3月に同社から発売された「アンラベル・トリガー」(以降では本編と記述)の前日譚や後日譚といったアペンドシナリオ3篇が収録された作品である。
また続編として「アンラベル・トリガー -Cold War-」の開発も発表されており、本作ではその伏線となるような描写も多く、本作と次回作への繋ぎとしての役割も果たしてた。
※本作は単体では動作せず、プレイするにはアンラベル・トリガー本編がインストールされていることが必要となる点は注意。
本編をクリア済みの場合、本作をインストールすることでタイトル画面にある「Append」(アペンドエピソード)を選択することで3種類のエピソードを閲覧可能となる。
以下は本作ニ収録されている3篇のあらすじと感想。
本編のセンターヒロインであるミリセント・フリード・レオンハルト(CV : 明羽杏子)の後日談で、本編のミリセントルートから約10ヶ月後を描いている。
【Prelude to War】【 ★★★☆☆ 】 1h
第二次大陸戦争から10か月後。
戦後の復興も進み、世界は戦前の活気を取り戻しつつあった。カイとミリセントは束の間の甘いひと時を過ごしながらも、かつてのヴィルカール帝国が東西に分断されたことで様々な問題に直面していた。国外では東西陣営の対立、国内では帝国復権派が台頭し、新たな戦争の火種がくすぶり始めていた。戦後エピローグにして、開戦前夜プロローグを生きる彼らの未来はいかに──
他の二人のアペンドを読んだ後に読むことの出来るシナリオとなっていて、時系列としてはエステルのアペンドシナリオの更に後の出来事かと思われるが、話の内容としては大きく変わった情勢やミリセントを中心とした視点からの帝国や中立特区の様子などについて触れつつ、次回作への伏線となるような描写も多く含まれていた。
シナリオの内容としてはさしたるものではないものの、本編序盤のミリセントの拙さを回想させるシーンと共に、様々な経験で変化したミリセントの姿が色濃く描き出されていたように思う。
本編サブキャラクターであった雨織 ナトレ(CV : 神崎セリカ)の本編前日譚となるシナリオ。【Bitter Sweet Memory】【 ★★★☆☆ 】 1h弱
ミリセントと出会う2年前。
流されるように体を重ね、流されるように恋人同士となったカイとナトレ。世間一般の恋人同士とはいかなくとも、少しずつではあるが二人の関係は進展していく。だが、過去に囚われている二人は最後の一歩が踏み出せない。それは雨織ナトレにとっての甘く、苦い想い出の日々──
本編でも人気のあった(はずの)待望のナトレシナリオということで、過去に主人公と関わりがあったことが示唆されていたものの、その詳細に付いてまでは描かなかった本編の補完的な立ち位置になるシナリオだ。
物語のとしては本編の各キャラヒロイン分岐部分から始まる形となっており、ナトレもヒロインの一人かのような形式で話が描かれていたが、実際にメインとなるのは回想シーンがメインで、あらすじの通り2年前の主人公とナトレが交際にいたり、そして破局するまでを描いている。
本編ではどうしても深く掘りきれなかったナトリについて深堀りがなされていると同時に、貴重なHシーンもしっかりと用意されていた。
本編の登場人物の一人で、主人公が勤める探偵事務所の所長であるエステル・リンドバーグ(CV : 水町まい)のエピソードが、本編ミリセント√の後日談という形で描かれている。【エステル・リンドバーグの恋愛譚】【 ★★★☆☆ 】 1h弱
戦後の混乱も収まり、活動を再開したトリガー探偵事務所。
相も変わらず騒がしい中立特区を舞台に、時には穏便に、時には実力行使で依頼をこなしていく。そんな中、エステルのかつての恋人に似た女性が依頼人として現れる。この出会いからエステルは心に閉じ込めた過去と向き合うこととなってしまう。これはエステル・リンドバーグの失くした過去を乗り越え、未来へと歩む物語──
様々な思惑の中、非常に特殊な立ち位置出会ったことも関係して、本編では軽く流されている部分も多かったが、今作では恋愛遍歴を含めた過去についてはもちろん、彼女の持つレガシーに付いてなどにも触れられていた。
割と日常シーン感もある内容だが、サブキャラクターの掘り下げとしては十二分な内容だろう。
エステル√からの後日談ということもあって、主人公とエステルが関係を持つことはなく、残念ながらHシーン等はないので、その点は留意しておいてほしい。
3篇共に1時間足らずの内容となっていて、ナトレとエステルは本編の補完として登場キャラの掘り下げを行い、ミリセントのシナリオで次回作への伏線をしっかりと作った形となっている。
そういった経緯もあってかミリセントのアペンドシナリオは比較的長くなっていたように思うが、本編の流れさえ頭に入っていればサクサクと進められるだろう。
一方、複雑化する状況や登場人物に関しては把握が大変なのも確かだ。特に本編から1年以上の時を開けており、そうした問題を次回作でしっかりと解決できているかは少し心配である。
全体的な総括として、ロープライスのFDと形容するより、本編の拡張版と位置づけたほうがわかり良い作品であった。
【推奨攻略順:ナトレ→エステル→ミリセント】
最初は3種類の物語のうち、ナトレとエステルの物語しか読むことが出来ず、その両方を読むことでミリセントのアペンドエピソードのロックが解除される形式となっている。
本編からの時系列を考えても上記順番が順当だろう。
CG
本編と同じく原画は有葉さんとサイキライダーさんのタッグで、全体的に美麗と太鼓判を押せるほどにクオリティは高く安定感が感じられる。
追加となったイベントCG枚数は19枚で、ちなみにうち1枚はSD絵となっている。Hシーンは6シーン(ミリセント3/ナトレ3)となっている。
内容の長さを考えると分量も十二分だが、攻略キャラの一人であるエステルのシーンがないことに関しては注意しておくように。
立ち絵には瞬きとセリフに合わせた口パク機能も付いていた。
音楽
Vo曲2曲(OP/EDのカバー)が追加で収録。
本編で使用されていたOPとEDの「Unravel Sky」と「Various Sky」が、ミリセントのCVを担当されていた明羽杏子さんによってカバーされており、それぞれが各アペンドシナリオの最後に流されていた。
楽曲鑑賞画面に追加はなされないものの、エンディングだけを回想画面で見ることは可能となっている。
お勧め度
内容的に本編である「アンラベル・トリガー」のプレイが必須となっており、特に複雑な情勢や設定、固有名詞なども多いため内容を忘れた人は再履修をおすすめしておきたい。
また上記でも少し触れたが、プレイには本編のインストールも必須となっている。こうした条件から、プレイハードルは自ずと上がってしまう。
また内容的にも次回作への伏線的な意味合いが強く、展開自体に驚く点が少なかったので、そういった観点も含めておすすめ度はさほど高くしていない。
これからプレイする人は本編を単体でプレイするよりも、本作の同梱版(アペンドWセット)がほぼ同じ価格となっているのでそちらを推奨しておくが、続編の発売を待って全同梱版等を待つのも良いかもしれない。
| Getchu.com で購入 | Getchu.com で購入 | Getchu.com で購入 |
| 駿河屋 で購入 | 駿河屋 で購入 | 駿河屋 で購入 |
総合評価
全体的に安定感あるクオリティになっていて、特定ヒロインの掘り下げなどもしっかりと行ってくれていたが、次回作への繋ぎという部分がかなり色濃く出ていた。
評価は難しいが平均程度とした。
【ぶっちゃけコーナー】
さてさて今作はナトリとエステルに関してのFD的な要素をこめつつ、メインは予告編みたいな作品でしたね。本編の物語の終わり方を見ていて「これで終わりかな」と勝手に思っていただけに、続編の制作決定は素直に驚いた。
確かに活かしきれていない設定とかもあったし、何より作り上げた世界観が結構深くてしっかりしていたから、そうした地盤を使ってもう一度作品を作ってくれるのはありがたい限り。
本編のプレイが前提となってしまうから、どうしてもプレイハードルは上がっちゃうけれど、だからこそ生まれてくる面白さみたいなのも在ると思うし。
ただ本編から1年の時を経たということで、本編既プレイで追加部分だけやろうと思っていた人は、本編のインストールが必要だったのは少し手間に思った人もいるかも。特に私の場合はPCを入れ替えていてセーブデータが残っていなかったので、本編をもう一度やることになってしまって、そこは少し改善してほしかったかもしれない。
さてさて今作はナトリとエステルに関してのFD的な要素をこめつつ、メインは予告編みたいな作品でしたね。本編の物語の終わり方を見ていて「これで終わりかな」と勝手に思っていただけに、続編の制作決定は素直に驚いた。
確かに活かしきれていない設定とかもあったし、何より作り上げた世界観が結構深くてしっかりしていたから、そうした地盤を使ってもう一度作品を作ってくれるのはありがたい限り。
本編のプレイが前提となってしまうから、どうしてもプレイハードルは上がっちゃうけれど、だからこそ生まれてくる面白さみたいなのも在ると思うし。
ただ本編から1年の時を経たということで、本編既プレイで追加部分だけやろうと思っていた人は、本編のインストールが必要だったのは少し手間に思った人もいるかも。特に私の場合はPCを入れ替えていてセーブデータが残っていなかったので、本編をもう一度やることになってしまって、そこは少し改善してほしかったかもしれない。






















【Bitter Sweet Memory】【
【エステル・リンドバーグの恋愛譚】【 


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