
タイトル : ハミダシクリエイティブRe:Re:call
ブランド : まどそふと
シナリオ : ★★★★☆ [4/5]
CG : ★★★ [3/3]
音楽 : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★★☆ [4/5]
(総プレイ時間 : 6h弱)
シナリオ
2020年に同社から販売され大人気となった「ハミダシクリエイティブ」(以降は無印と記述)は、それぞれの形で社会から”ハミダシ”たキャラクターたちをヒロインとした作品であり、その人気を受けて2年後に発売されたFD「ハミダシクリエイティブ凸」で一旦の終りを迎えたかと思われていたが、まさかの3年越しに今作が発売された。
本作は無印から登場するも既存のヒロインから”ハミダシ”ていた「聖 莉々子」をメインヒロインとした新作となっている。

聖 莉々子(CV:夏樹柑菜)
お嬢様学校の「百合ヶ峰学園」の生徒会長を務める才女。
眉目秀麗、成績優秀で生徒会長としてのリーダーシップもあり、品のある行動をつねに心がける真面目な性格をしている。
彼女自身の有能さはもちろんなのだが、親の関係もあり絶対的な権力を持つ。
そういった事を考えずに、自分が正しいと思ったことを周りを顧みずに行動をしてしまうため、結果的に周囲へ同調圧力を敷いてしまうこともしばしば。
千玉学園生徒会にとってはラスボスにあたる。
本作ではそんな彼女の知られざる一面に迫っていくことになるが…?
本作は序盤にいくつか選択肢が出現するものの、選択肢を誤ると即BADENDの仕様となっており、基本的には莉々子√のみで構成されている。
それでもボリュームは比較的多く全体を通して6h程とロープライスながら十分な内容となっていた。
ストーリーとしては無印に新規ヒロインとして追加されたような形となっていて、無印の共通√から分岐したように作られていて、例えば冒頭では主人公が『コミまど』に参加するシーンで莉々子出会う展開となっていたり、次のシーンでは夏休みのボランティアのシーンになっていたりした。
このように無印における描写で重複した部分は割愛されているものの、一応動画を用いた2種類の振り返り+説明動画が挿入されていた。※その代わりに本作は残念ながらOPが無かったのだが…
それでも無印作品を再度履修しておくとよりよく本作を理解しやすくなるだろう。
さて無印 にてサブキャラクターとして登場した莉々子。
主人公たちにとっては苦い思い出を植え付けた張本人であり、いわゆるラスボス。作品内ではその立ち居振る舞いから「悪役令嬢」と例えられることも多かった。
もちろんハミクリシリーズをプレイしていて莉々子を本当に悪い人物だと思う人は少ないだろうが、それでもいい印象を受けた人自体は少なかったはず。
それが本作をプレイし、彼女の人となりを理解していくとその認識が一転していく。
彼女が天然で思ったことを口に出してしまうだけの、根は純情で素朴な少女であるという事、喜怒哀楽のはっきりとした少しだけムキになりやすいいじらしい女の子であるということ、そして地元を心から愛し、自分の愛したものを皆にも愛してほしいと願う心優しい女の子である事。

高飛車だった彼女がこのような可愛い一面を見せるのは、本作最大の魅力と言ってよいだろう。
こういう所は本筋部分からハミダシたヒロインらしいところなのかもしれないが、本作では彼女のこうしたいろいろな一面が堪能できる作品になっている。
他にも、莉々子中心の作品になっていた事はもちろんだが、新キャラクターなんかも登場していた。

メインではないが新キャラクターで莉々子のお付きのメイド「美倉 礼良」(CV:そらまめ。)も追加されている。
主人とは違ってフランクな性格をしていて、少しお節介焼き。
主人公さんは心のなかで「ラララ」さんと呼んでいる
ストーリー部分に関しても莉々子との関連が深いシンポジウムでの一件にもしっかりと触れられていたりと、物語の広がりを見せてくれている。
この部分は莉々子の心情部分も組んだ描き方になっているので、作品への理解度が深まると同時に彼女への感情移入度も高めてくれており、作品としてとてもよい部分担っていたように思う。
しかし何よりも評価すべきはやはり恋愛描写だろう。

無印の頃からは想像が出来なかった恋愛描写はかなり強力で、思わずニヤニヤしてしまうほどに甘酸っぱいシーンが満載となっている。
クジで生徒会長となった怠け者の主人公と、常に自分を律した模範的な生徒会長の莉々子。対比的であり、水と油のように混じり合わないかと思っていた2人だが、妙なきっかけから少しずつ距離を近づけていき、互いを理解し合いながら恋に落ちていく。
作品の大部分をそうした恋愛のステップアップ部分に割いてくれていたため、違和感を感じること無くしっかりと物語に入り込めたのも効果として大きいだろう。
彼女の魅力や可愛さを挙げると暇がないのだが、特に告白シーンの演出は個人的に気に入る部分が多かった。
もともと「テーマBGMがいいな」と感じていたのだが、告白シーンで使われたピアノアレンジのBGMが流れた瞬間に電撃が走るような思いを抱いた。
静かで、それでいて素朴に鳴り響くメロディから徐々に盛り上がる音楽は、この作品における二人の出会いから、いろいろな積み重ねで思いを通わせていくシーンを想起させてくれるようであった。
小さな事をコツコツと世話をし、最終的に大輪の花を咲かせる花のような、今作の恋愛描写には何度心動かされたかわからない。
上記では恋愛描写部分を特に高く評価しているが、まどそふと本来の魅力とも言えるキャラゲーとしての本領を発揮した作品といえよう。
無印ヒロインとの掛け合いはもちろんだが、莉々子とのウィットに富んだ掛け合いのシーンは全編を通して面白く、それが作品としての勢いにもなっていたように思う。
恋愛描写もしっかりと描いてくれていたし、シリアス(と言えるほど深刻なシーンはないのだが)シーンではしっかりと締めてくれていたため、物語としての強弱もしっかりと付けられていた。
なぜ無印にいなかったのかと思えるほどに自然に既存の物語へ溶け込ませた手法も高く評価したい。
全体を見てストーリー部分は十分に期待を超える内容となっており、高評価をつけさせていただいている。
【推奨攻略順:通常END1→通常END2→莉々子】
作中ではHシーンを除いて序盤の2回だけ選択肢が出現する。
そのどちらもが、無印の正史√へと戻る展開(本作におけるBAD√)となっており、その描写自体も少ないため、先に消化してしまうか未読でも構わないだろう。
CG
メイン原画はシリーズを通して宇都宮つみれさん。
柔らかなタッチと丸みを帯びたデザインは優しい印象を受け、過去作と同じテイストでまとめられている。
イベントCGの枚数は14枚でメインはもちろん莉々子で、その他にSD絵も2枚ほど収録されてた。
音楽
本作の音楽鑑賞画面では無印から凸まで使用されていたBGMを含めた37曲が視聴可能。※Vo曲は対象外
本作で新規追加となっていたのはVo曲1曲(ED)とBGM2曲で、数が少ないためどうしても評価は控え気味。
ただしBGMの「一輪の百合」はヒロインのキャラクター性を意識した豪奢な雰囲気になっていて、もう1曲については同BGMをピアノアレンジしたものになっているのだが、こちらは一転して素朴なメロディラインが印象的だった。
キャラクターの外側と内側を反映したようなこの組み合わせは個人的に好みで、作中での使われ方なども含めて特にピアノアレンジの方は好きだった。
EDで使用された燈華いのりさんが歌う「ロマンチックを叶えて」も、ヒロインの心情が歌詞に反映されており、作品と合わせて聞くとよいだろう。
お勧め度
ハミクリシリーズのサブヒロイン莉々子をメインにした作品ということだが、後付けのヒロインとは思えないほどに完成度の高いヒロインシナリオが完成していた。
ロープライスということで凸以上に手を出しやすい作品にもなっていたので、ハミクリシリーズを好きだった方には押し並べてオススメしておきたい作品となった。
繰り返しになるが作品としては無印の派生であるため「ハミダシクリエイティブ」のプレイは必須となるが、同じFDである「ハミダシクリエイティブ凸」に関しては特にストーリー上での干渉がなかったため、プレイの順番やその要否自体も不問となる。
ただ、無印が気に入ったのなら凸も気にいるだろうし、基本的にはハミクリシリーズとしてすべて楽しんでほしいというのが素直な感想である。
現在は無印+FDのセットなどはあるものの、3作全てを含んだセットなどは発売サれていないようなので、Re:Re:callに関してだけは単体で購入する必要がある。
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総合評価
信頼はしていたが、ストーリーを含め全体的にクオリティが高く、期待値は超えている。
プレイしていてずっと楽しかったし、何より今まで以上に莉々子が好きになれる作品になっていて、過不足のない良い作品だった。
【ぶっちゃけコーナー】
タイトルからしてヒロインの名前をもじっていたりしますが、こういう遊び心はいたるところにみられましたね。
センスが光るギャグに私自身は大いに笑わせてもらったけれども、そうでない方はずっと苦痛かもしれない? まぁ…そういう人はそもそも無印本編も受け入れにくいと思うけれど、すくなくともあのテイストがしっかりと本作にも反映されていたことは確か。
莉々子メインの話だから彼女の印象が大きく変わったし、彼女の魅力が引き出されていた事は当然と言えば当然で、そこについては十分なほどに書いたと思う。
だからここでは他のヒロインについて触れおくが、そうなった時に最初に名前が上がるのが詩桜ではないかなー、と思ったり。
無印では露悪的というか独善的というか傲慢というか………、特色あるヒロインの中でもかなりマイペースに行動していて、受け入れがたく思った人も多かったらしい。
一方で今作では、莉々子の友人という立ち位置だからか、フォローに回ってくれることが多く、莉々子の世間擦れした所や詩桜とは違った意味で周囲を気にせずに突き進んでしまう部分をカバーしてくれていた。
今回はそういった面倒見の良さみたいなものが分かりやすく表現されていて、性格もマイルドになっていたから、詩桜の魅力みたいなものにもスポットが当たりやすかったんじゃないかな、と思う。
シンポジウムの話に触れられたりと、無印ストーリーの補完としても重要な役割を果たしていたと思うが、既存ヒロインの魅力を再発見できる作品にもなっていたのは良い所と言える。
それにしても莉々子がきたのなら、ミリ先生だって十分に攻略対象になるはずなのにどうして実装されなかったんだ。
やっぱり家族枠だからなのか。それを言い出すなら妃愛がいるから大丈夫なはずだし、絶対にいつか攻略しt(ry
まどそふとさん、お待ちしております。
タイトルからしてヒロインの名前をもじっていたりしますが、こういう遊び心はいたるところにみられましたね。
センスが光るギャグに私自身は大いに笑わせてもらったけれども、そうでない方はずっと苦痛かもしれない? まぁ…そういう人はそもそも無印本編も受け入れにくいと思うけれど、すくなくともあのテイストがしっかりと本作にも反映されていたことは確か。
莉々子メインの話だから彼女の印象が大きく変わったし、彼女の魅力が引き出されていた事は当然と言えば当然で、そこについては十分なほどに書いたと思う。
だからここでは他のヒロインについて触れおくが、そうなった時に最初に名前が上がるのが詩桜ではないかなー、と思ったり。
無印では露悪的というか独善的というか傲慢というか………、特色あるヒロインの中でもかなりマイペースに行動していて、受け入れがたく思った人も多かったらしい。
一方で今作では、莉々子の友人という立ち位置だからか、フォローに回ってくれることが多く、莉々子の世間擦れした所や詩桜とは違った意味で周囲を気にせずに突き進んでしまう部分をカバーしてくれていた。
今回はそういった面倒見の良さみたいなものが分かりやすく表現されていて、性格もマイルドになっていたから、詩桜の魅力みたいなものにもスポットが当たりやすかったんじゃないかな、と思う。
シンポジウムの話に触れられたりと、無印ストーリーの補完としても重要な役割を果たしていたと思うが、既存ヒロインの魅力を再発見できる作品にもなっていたのは良い所と言える。
それにしても莉々子がきたのなら、ミリ先生だって十分に攻略対象になるはずなのにどうして実装されなかったんだ。
やっぱり家族枠だからなのか。それを言い出すなら妃愛がいるから大丈夫なはずだし、絶対にいつか攻略しt(ryまどそふとさん、お待ちしております。

























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