タイトル : ホーリーアンデッド 〜非モテでぼっちの死霊術士が、聖女に転生してお友達を増やします〜
ブランド : キネティックノベルス


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 3.5h)

シナリオ
株式会社ビジュアルアーツが開催する『キネティックノベル大賞』の第一回で大賞に輝いた、ばーど氏執筆の作品『聖女様はイケメンよりもアンデッドがお好き⁈ 〜 死霊術師として忌み嫌われていた男、英雄の娘に転生して〝癒しの聖女″となる 〜』のPCゲーム版が本作となる。

原作は「小説家になろう」で公開されているが名前を上記から変えて(本作と同名)書籍版で販売されており、加えて本作で全年齢対象のキネティックノベルになっている他コミカライズもなされていたりと、メディアミックスされている。

物語はアンデッド収集が好きなだけのコミュ障の死霊術士ネクロマンサーフランケルが、悪党として英雄カインと聖女フローラによって討伐されて、その最期の秘術によってカインとフローラの娘・ユリィシアに転生する所から物語が始まる。
類い希なる癒しのスキルと可憐な容姿を有するが、中身は「アンデッド大好き! 」のままというチグハグな彼女は周囲の期待を他所に、生前叶えられなかったアンデット収集への道へと邁進する、という話になっている。

一発で内容がわかってしまうタイトルの長さ然り、よくあるファンタジー世界を舞台としたなろう系作品で、聖女としてのポテンシャルに反し中身がアンデット好きな男性のままというのが特色となった無自覚無双系作品となっている。

物語は大きく、主人公の誕生編、王都動乱編、学園編の3つに分かれており、主人公であるフランケル改めユリィシアが生まれてから学園に通い2年生になるまでが描かれており、選択肢のないシナリオの分量としては3.5hほどとなっている。

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ユリィシア・アルベルト(CV:長谷川育美)
【黄泉の王】と恐れられコミュ障の死霊術師として死んだ主人公フランケルが、死の間際に起こした奇跡で転生した。
可憐な容姿に加えて、卓越した癒やしスキルの才能を併せ持つ聖女の逸材…なのだが、アンデット収集に目がなく、治癒魔法を己の魔力を伸ばすための手段としてしか考えておらず、アンデッド適性で相手を評価したりと独特の価値観を持つ。

周囲に彼女の内面は露呈しておらず(一部を除き)、周囲からは慕われているが、コミュ障である点は生まれ変わってからも変わらず、イケメンを嫌っている。

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死霊術師のからすると治癒術は無用の長物だが、行使の際に絶頂を感じてからは積極的に行う。どこまで行っても自分本位な性格

基礎にあるのがが小説だからか、主人公視点からの描写が多くなっており、そのためのモノローグも多い。また各年代の話も要所をかいつまんで描写しているため、数年分が1シーンで割愛される展開もしばしば。
そうして無駄な部分が省かれているため、サクサクと展開していくストーリーはかなり読みやすい。

全体的にはややギャグテイストよりだが、あくまでファンタジー世界における無自覚無双部分がメインで、最大の見せ場である学園編の終盤も盛り上がりはするものの、感情を揺さぶること自体はない。
あくまでストーリー展開に面白みがあるタイプの作品と言える。

この作品を好きになれるかは、主人公であるユリィシアを好きになれるかにかかっているとも言える。
多少腹黒いところもあるが、基本は全てアンデットのためで、元々の自己中心的な振る舞いが災いして悪人として君臨することになった主人公だけに、作中でも積極的に悪役として行動することはなく、さりとてダークヒーローというわけでもない。
そういう意味で考えると、タイトルにもある「友達を増やします」の文言はストーリーを誤解してしまいかねないが、あくまで彼女の目的はアンデットを収集することであり、その過程で偶然や周囲の好意的解釈や誤解の上で人間関係や環境が形成されていく。
また持ち合わせたポテンシャルや能力でゴリ押しして無双する展開などは典型的な”なろう”らしい内容といえるのだが、そこを許容できるかは人次第だろう。

もとが小説ということもあり、シナリオ部分の完成度はある程度高いと言える。
実際にプレイしてシナリオが面白いと感じられた部分はある。一方で当方の評価基準による加点要素は少なく感じられたのも確かで、いま一歩跳ねきらない作品という印象だ。
各要所における盛り上がりシーンが割とサラッと流される作品ということもあるが、そもそもシリアスシーンがかなり少ない作品なので、そういう楽しみ方をすべきではないと言えるだろう。
そのためシナリオ評価はストレスフリーに軽く読める作品としての評価となっている。

キネティックノベル…株式会社ビジュアルアーツが制作するWindows用ゲームソフトの一形態、ノベルゲーム。

【推奨攻略順:作中に選択肢はない】
1本道の物語となっている。


CG
スマートな線にシンプルな塗の絵で、イベントCG枚数は58枚となっている。
立ち絵を含めて全体的に美麗出会ったことはもちろんだが、多種多様な登場人物たちの立ち絵が用意されていたことも好印象。
短編作品としては十二分に揃えられていると行ってよいだろう。


音楽
Vo曲3曲(OP/ED/挿入歌)とBGM28曲が収録。
突出して印象に残ったものこそ無いものの、全体的に異世界・ファンタジー感のあるBGMが揃えられている。
Vo曲はタイトル画面でも流れているOP「好き好き好きが好きなだけ」が電波曲となっていて強烈な印象をうけたが、EDの「青と親友」が個人的にお気に入りで、どちらも作中でユリィシアの声を担当した長谷川育美さんが歌唱している。
OP曲に関しては作中の挿入歌として、別の人が歌唱するアレンジVerも登場するので是非本編で確認


お勧め度
本作のようなキネティックノベルを含め、原作小説にコミックなど多方面でメディアミックスされている作品であり、全年齢ということもあってプレイハードルは低い。
また内容としてもその他多くの「なろう小説」にあるようなものになっているので、年齢層が低ければ低いほど受け入れやすいと言えるのではないだろうか。
一方で作品としてはまだまだ序盤でもあり、キリの良いところで終わって入るものの、作中の様々な伏線が回収されていない。
もしも本格的なファンタジー作品や一話完結の作品を求めている人には少しオススメしにくくなっている。。
もしも作品のテイストや、原作の内容だけが気になるだけならコチラで全て確認することもできるので、ここで少し読んでみて購入を決めるのも一つの手だろう。

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総合評価
原作にある「なろう小説」をそのままADVにしたような全年齢対象の作品で、ストーリーに新鮮さと勢いがある一方で、深みを感じられる部分はあまりない。
ただしシナリオ以外の完成度はしっかりとしており、シナリオ自体もライトに楽しめる作品としての素養はあるため、そうした部分を加味してこの評価としている。


【ぶっちゃけコーナー】
異世界転生物ではなく、あくまでファンタジー物。
完全な善性のポテンシャルを持つ主人公が、善とも悪とも判別しづらいニッチな趣味を優先して行動することで結果的に物語が面白く展開していっている。
このあたりは本当に「あ~」こういう作品あるよね、ってなりながら読んでいた。
悪い意味ではなく作品ジャンルとして「なろう小説」っていうのはもう確立していると思っているので、そういう嗜好の作品だと思って楽しめるなら、この作品は十分に楽しめると思う。

ただ基軸となる設定部分だけでも全く同じまでは言い難いものの、類似した作品は数多くある。
その他にも、モンスターを倒すと出てくるカードの話とか、おしろいが毒みたいな話とか、「あ~あの作品から影響受けたんだろうな」と思うシーンは多々あって、これだけ多くの作品が出ているので被る部分は仕方がないのだけれど、それだけにこの作品のオンリーワンみたいな所を設定以外でみてみたかった、というのがある。

ただ、これはあくまでこの作品だけを読んだ感想で、実は上記で紹介した本家なろうの方はすでにこの作品は完結している。
作品の尺的にはもう1-2作出せば完結編までこぎつけるだろうということで、続編が出される可能性もあるが、そのへんの出来次第でこうした評価がひっくり返ることはままあり得る(少なくとも導入部分としては十分な出来であったことは確かなので)
少なくとも現状ではいろいろな伏線が放置されてしまっているので、続編として読んでみたいなと思う部分は確かにあるので、それだけでも十分に作品としての価値はあったのではないだろうかと思う。