
タイトル : 恋し彩る正義爛漫
ブランド : CUBE
シナリオ : ★★☆☆☆ [2/5]
CG : ★★★ [3/3]
音楽 : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★☆☆☆ [2/5]
総合評価 : ★★☆☆☆ [2/5]
(総プレイ時間 : 11h)
キャラクター・シナリオ
子どもの頃、俺はヒーローになりたかった――
進学を期に、田舎から都会へと引っ越す事となった主人公「鋼練寺 颯斗」は、偶然にも悪の組織「アークナー」と名乗る集団が引き起こしたバスジャックに遭遇する。
そこへ駆けつけた正義の使者『マロンブランシェ』なる者の登場で、その場は抗争状態となるが、ひょんなことから彼女の正体が、従姉妹の「白河 美栗」である事を知ってしまう――というのが本作の流れ。
物語の構造は共通シナリオから選択分岐によって各ヒロインへと分岐する基本的な構造を採用。
共通シナリオは3h程度で各個別ヒロイン√は役2h(桃代√は1h)のボリュームとなっている。なお本作のヒロインは5人だが、その内の「白河 桃代」に関してはそのほかのヒロインを全て選択後に攻略する事が出来る真相√となっており、全体的なボリュームは11h程となっていた。
今作はヒーロー物を扱った作品となっており、作中では上記の他に警察組織出身の『アサルトコップ』や悪の組織に属する女幹部『ブラックスノー』、果ては忍者までが登場している。さらには主人公が彼女たちの正体を知ってしまう…という、かなりカオスを極めた状況において物語が進行していくが、このカオス要素が目新しさにはなっていたものの、シナリオの長所には上手く繫げられなかった、というのが今作の結論となっている。
ここから問題を列挙していく事となるが、本作は学園生活の他、主人公が下宿する「モンパルナス白河」での私生活、そして主人公以外の面々を中心としたヒーロー(悪の組織)の活動によって物語が構成されているが、他の要素が濃すぎるためか、学園生活部分に関しては物語が進むにつれてオマケ程度になってしまっていた。
そして「モンパルナス白河」での生活はエロハプニングを中心としたイチャラブ成分が占める割合は多く、各個別ヒロイン√におけるフェティッシュなシーンはもちろん、共通√での日常の中にあるエロシーンも多く取り入れられていたのだが、ここでも行き過ぎる点が見受けられ、時折キャラクター性が崩壊しているように感じてしまう部分もあった。
肝心のヒーロー活動部分においても、この要素自体が本作に必要不可欠な設定としてしっかり練り込まれていた事や、こうしたジャンルに欠かせない”お約束”を踏襲してくれていた点は評価する一方で、各ヒロイン√の終盤においては強引に物語を終わらせていたように感じるシーンが多々あり、せっかく用意した設定や展開を活かしきれておらず、これはTRUE√で明かすための伏線を残していた、という事を加味しても無視できない程の違和感を感じさせている。
燃え上がるようなシチュエーションを整えたにもかかわらず、一気にエロやギャグテイストな展開に着地させてしまっていたりして、せっかくの伝えるべきメッセージが有耶無耶になってしまっている事もあった。
理想をいえば、ヒーロー活動を通す中でキャラクターの内面部分を掘り下げ、それと同時にその部分を女性の魅力としてリンクさせ、主人公と恋仲にする。そしてさらにその信条となる部分を問うような展開を最後に持ってくるのが理想だったのだろう。
今作でもそうした要素が全くなかったとまでは言わないが、どうしてもあと一歩踏み込むべき部分で二の足を踏んでいるように感じる展開が多く、結果として上辺だけの物語になっていた。
本作にあるヒーロー要素やエロハプニングを中心としたエロ成分、そしてギャグ要素。さらには終盤で唐突に取り入れられたSF設定など、一つの作品にかなりの設定や要素が詰め込まれている。
もしもその中で、何か一つでも貫き通すことができていれば今作の評価は大きく変わっていたかもしれないが、全体的に分散してしまった結果、他の作品と比較して突出した部分の無い、ぼんやりとした印象しか抱く事が出来ない作品になってしまっている。
最後に、もう一つだけ減点すべき点を挙げておくが、今作ではテキストの描写と絵合致しない表現がかなり多くみられた。
もちろんこれはテキスト部分だけの責任ではない。
しかしながら、エロゲという作品は音楽と絵とテキストによって成り立つコンテンツであり、その中でそれぞれが上手く相互に作用する事で単体より良い物語を形成するという事が重要だ。
その点で考えると、それぞれが上手く手を取り合う事が出来ていないという事実は、作品にとって大きな損失である。
それでなくても読んでいて世界観への没入感が著しく失われてしまうため、出来るだけ避けた方が良いと個人的に考えている。
こうした各視点からテキスト部分に高い評価をつける事ができず、平均より劣るこの評価とした。
共通√【 ★★★☆☆ 】 3h
主人公が今作に登場するヒロイン、敵役、またそれらの正体となる人々と出会う部分が描かれている。
基本は下宿先である「モンパルナス白河」を舞台としたエロハプニング満載のイチャラブコメディ物をベースにしていて、ヒーロー関連の話を裏で同時進行しており、物語の起爆剤のような形で各要所で話が挿入され、各人の関係の進展につながっていた。
状況はあまり笑えないような気もするが、主人公に対して、敵味方問わず次々に正体が明らかになってしまったりと、全体的にギャグテイストで進んでいる為、そこまでシリアスシーンもなく、サクサク読める内容にはなっている。

白河 美栗√【 ★★★☆☆ 】 2h弱
(CV : 春野美波)
久しぶりに再会した主人公の従姉妹でクラスメイト。
少し天然な所があるものの、明るい性格と可愛らしい見た目からクラス内の人気も高い女の子。
幼少期に犬に襲われそうになったところを主人公に助けられた事があり、それを切っ掛けとして主人公に対してひそかに想いを寄せている。
またその際に心境の変化もあり、現在は訳あって正義のヒロイン『マロンブランシェ』として日夜アークナーとの戦いを続けている。
序盤から主人公に対する好意を滲ませていた美栗。次々と現れる恋のライバルたちに焦りを覚え、積極的に主人公に対してアプローチをしていく、というのが個別シナリオの流れ。
行動が空回りしてしまう事もあるものの、順当に恋愛感情を深め、エロハプニングなども含めつつ進展していく二人の関係は見ていて安定感もある。
意外とむっつりな所のある美栗、というのも普段とのギャップがあってまた魅力的であった。ただ、主人公への思いの強さ自体は良く伝わる内容であったものの、彼女がどのような思いで主人公に恋愛感情を寄せる事となったのか、という感情の起点部分があまり描かれていなかったのは残念な所といえる。
後半のヒーロー関連の話題は急転直下的で、多くの謎が明かされてはいないものの、主人公と美栗の愛の強さや過去を乗り越える、といった要素が詰まった展開が短く纏められており、見ていてヒーロー物を扱う本作のセンターヒロインらしい内容になっていたといえる。

黒羽 雪朱√【 ★★☆☆☆ 】 2h弱
(CV : 百瀬百環)
主人公と同じクラスに在籍する生真面目な少女。
しっかり者で何よりも規律を重んじており、その性格もあってクラス委員に推薦された。
こうした立場故に周囲を注意する事も多く、雪朱自身がコミュ障な事も災いして、伝えたい事が上手く伝えられずにクラスメイトとは対立しがち。
一般家庭の生まれだが両親が無類のギャンブル好きで、借金を作って姿をくらましてしまっており、お金に困った末に割のいいアルバイトとして悪の組織の幹部『ブラックスノー』として活動していく事になり、仕事を遂行しなければいけない真面目な性格と常識人であるため周囲への迷惑を掛けたくないという2つの悩みに苛まれている。
個別シナリオでは雪朱の秘密を知った主人公が悩む彼女の為に手助けをしていく、という流れになっているのだが、終始にわたって美栗の存在が大きく取り上げられていた。
ヒーローと悪の女幹部という対立構造はもちろんだが、普段の生活や恋愛方面においても対立的なポジションにいる二人。こうした二人の様子を描くことで、意外と自分に自信が持てない雪朱の一面を引き出す事も出来ており、他の√では見られない雪朱が描けているという事は一つ評価点だろう。
また美栗と同じく、かなり特殊な性癖を持つむっつりだったというのも彼女を構成する要素の一つで、濃厚なイチャラブシーンはもちろんなのだが、性欲を絡めて関係が進むあたりなどはこうしたコンテンツの作品ならではだった。
後半においては広げた風呂敷を中途半端にたたんだ形になっていたのでシナリオ評価自体は高くし辛いのが難点である。

武部 ひかり√【 ★★☆☆☆ 】 2h弱
(CV : 月野きいろ)
主人公と同じ下宿先に住む学園の3年生。
幼い見た目とマイペースな性格をしていて、少し引きこもりがちな彼女は、周囲に秘密にしているがFPSゲームを中心にプレイする配信者という顔を持つ。
しかしそれだけではなく、伝説の忍者『陽炎』という正体もあったりと、いくつもの秘密を持っている。
個別シナリオでは、既にひかりの秘密を知っていた主人公が、とある切っ掛けで更なる秘密を知ってしまい、その結果として二人の仲が進展していく事となる。
物語の序盤では、見た目にそぐわぬ圧倒的な母性を見せつけてくれたひかりだが、交際後は一転して甘々に甘えてくるイチャラブシーンが連続し、強いギャップを感じる一粒で2度おいしいキャラクターとなっていた。
エロシーンやイチャラブシーンに関してはある程度評価する一方で、根本にあるシナリオに関しては酷評せざるを得ない。
倒錯的な関係に耽溺する日々もそのままに、後半ではひかりの抱えていた秘密に関わる問題を主たるテーマとして物語が進行していたが、他の√への伏線となるためか、多くの部分が秘密のままで進行してしまうので、どうにも閉まりが悪い。
またそれ以上に扱われたテーマ部分への言及がどうにも軽かった、というのが最も気になる所で、他の作品でも扱われることがある設定だけに、どう収拾をつけるかがライターの腕の見せ所だったと思うのだが、今作の展開に関しては高い評価を付けづらいものとなっている。

大利根 不二花√【 ★★★☆☆ 】 1.5h
(CV : 桃山いおん)
主人公と同じクラスメイトで、遠方から引っ越してきた学園理事長の孫娘。
素直すぎて不器用な性格やお嬢様ゆえの高飛車な性格が災いし、初めはクラスで孤立してしまっていたが、主人公の助言や美栗らの協力もあり徐々に馴染むようになっていく。
そんな彼女の裏の顔は、警視庁警備部に所属する変身ヒロイン『アサルトコップ』で、一般市民を守る為に活動しており、迷惑行為を行っているとしてマロンブランシェも補導対象だが、アークナーという共通の敵に対して、共闘する機会も多い。
個別シナリオでは自身の力不足を感じた不二花が、アサルトコップの正体を知る主人公に協力を要請するという流れになっている。
序盤は純粋すぎるがゆえに恋愛経験どころか、そうした感情すら持っていなかった不二花だったが、共有する時間が長くなる事で、頼りにしている主人公に対して恋する感情を発露させていく過程を描く。また、こうした描写と共に性知識が皆無であった不二花が美栗からの指南(?)を受ける様子が描かれていた。
このような、どこかギャグテイストな恋愛描写だが、ふとした瞬間にこうした不二花に対して可愛らしさを感じるシーンがあったのも確かで、そういう意味では魅力を引き出せていたのではないだろうか。
後半はヒーロー物に欠かせない、正義と悪、そしてそれらを扱う力の話がテーマとなっていたが、あくまで軽く触れられる程度となっている。
テンプレなお嬢様キャラクターという面白さはもちろんだが、不二花自身が両親を亡くしており、そうした部分が主人公との共通点となっていたりと素材はかなり面白いキャラなのだが、同時に扱いにくいヒロインでもあった。
それ故に、このシナリオで十全に彼女を活かせていたとは言い難い。

白河 桃代√【 ★★★☆☆ 】 1h
(CV : くすはらゆい)
白河美栗の姉で、主人公が下宿する「モンパルナス白河」の大家代理を請け負う颯斗の従姉。
常にまったりとマイペースな彼女だが、若き天才発明家兼科学者として数々の発明品や特許を生み出している。
普段は掴み所のない人物だが、実験に対する熱量はすさまじく、それ故に自身の研究の実験の為と称して周囲を巻き込むことが多い。
今作のヒーロー側における博士的な立ち位置にいる桃代。
そんな彼女の個別シナリオは本作における最終√となっており、今までに出現した様々な伏線や謎の真相が明かされていた。
序盤から次々と明らかになる真実に加えて、全体を総括する内容としての展開や、他の√にはなかったSF要素など、1hというボリュームの短さ故か、大きく動く展開が目白押しとなっている。
そうした物語の発展の方法には面白さを感じた一方で、物語の締め方に関しては他の√と同じく多少強引な所も見受けられる。
同時に本来語るべき桃代との恋愛描写や彼女の感情部分などが、おざなりだったので桃代√としての要素も薄くなってしまっていたのは少し残念な所であった。
[主人公]鋼練寺 颯斗
新しい学園に進学するにあたり、親戚である白河家が営む下宿「モンパルナス白河」に居候する事となった青年。
幼い頃に父親を亡くし、近年になって母親を亡くしている。
昔はヒーローに憧れる程に強い正義感を持っていたが、幼い頃に野良犬と対峙した際の事がトラウマとなっており、勇気を出せずにいる。
また自身の事をコミュ障と自覚しており、他人と接する際はおどおどしてしまい、特に経験のない女性に対してはそうした傾向が顕著になる。
できるだけ紳士的に振る舞おうと努力しているものの、青年ゆえにエロい事には強い興味を抱いており、時折誘惑に負けてしまう事も。
【推奨攻略順:美栗→不二花→ひかり→雪朱→桃代】
桃代√のみ、全キャラ攻略後というロックが掛かっている。それ以外のヒロインに関しては好きな順番で攻略してよいだろう。
CG
柔らかい線に淡めの塗り。
イベントCGの枚数は83枚(美栗20/不二花18/ひかり19/雪朱18/桃代7/その他1)でHシーンは21シーン(美栗4/不二花6/ひかり5/雪朱4/桃代2)となっている。
二人の原画家が携わっている為、立ち絵やイベントCGにおいて、同一人物でも印象が変わってしまう事も多々あった他、一部CGに違和感があったのは確か。
総じての印象はさほど悪くないのだが、個人的にはバトルシーンもある本作とこの絵柄の相性があまり良く感じられなかった。
音楽
Vo曲2曲(OP/ED)でそれらのInstを含んだBGMは26曲という構成。
日常シーン用の者から戦闘シーン、そして各ヒロインテーマまで幅広くが安定的に用意されていたのだが、意外に「エッチ2・運命を感じながら」がお気に入り。
なんというかCUBEらしさを感じられて、Ducaさんの歌が入ってもおかしくなさそうなBGMなんですよね。
Vo曲は正真正銘Ducaさんが歌う「トリセツ」が良く、やっぱり物語の最後に彼女の歌が入っていると、シナリオがどうであっても、なんとなくしっかり終わった気になるのは良い。
お勧め度
B級ヒーロー物に加え、エロハプニングを含めたギャグ展開、終盤ではSF展開と色々詰め込まれた作品。
上記でも少し触れたが、それぞれは集客力のある要素なのだが、それぞれに熱量が分散しすぎているせいで、最終的に掴み所の無いぼやけた作品となっている。
メインに据えられたのがヒーロー物という、珍しさをジャンル補正として考慮もしたいが、お勧め度は平均よりワンランク下だと思ってもらって問題ない。
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総合評価
シナリオ部分の決定的な力不足に加え、そこに関連した全体的な連携不足。シチュエーション的珍しさのみに頼りきった全体的なまとまりの感じられない作品、という事でこの評価とした。
【ぶっちゃけコーナー】
ヒーロー物として思い出すなら、過去のエロゲ作品でも(別会社ではあるものの)ALcot制作の『中の人などいない! トーキョー・ヒーロー・プロジェクト』があるなぁ。
あんまり他の作品を例に出すのもどうかとは思うけれど、かの作品は一般的に言われるキャラゲー的部分をかなりとがらせた作品で、登場する女の子の可愛さをとにかく引き出す事に注力した作品だったように思う。
今作も素地は悪くなかったんだよなぁ…。元悪役同士の戦いとか構図だけはめっちゃ熱い展開もあるんだけど、やっぱり物語の締め方がイマイチだった。
あとは今作で攻略ヒロインにならなかったもう一人の悪の女幹部「プロフェッサープラム」も、子悪党感が出ていて良かったんだけど、結局噛ませ役程度にしか使われてなかったからなぁ。
各個別ヒロイン√においてもそうだったんだけど、こうした登場キャラクターの感情部分をかなり深堀していけば、この作品にしかできない心理描写みたいなのが描けたんじゃないかな、と思う。
そういう意味ではかなり惜しい作品だったともいえるのかな。
ヒーロー物として思い出すなら、過去のエロゲ作品でも(別会社ではあるものの)ALcot制作の『中の人などいない! トーキョー・ヒーロー・プロジェクト』があるなぁ。
あんまり他の作品を例に出すのもどうかとは思うけれど、かの作品は一般的に言われるキャラゲー的部分をかなりとがらせた作品で、登場する女の子の可愛さをとにかく引き出す事に注力した作品だったように思う。
今作も素地は悪くなかったんだよなぁ…。元悪役同士の戦いとか構図だけはめっちゃ熱い展開もあるんだけど、やっぱり物語の締め方がイマイチだった。
あとは今作で攻略ヒロインにならなかったもう一人の悪の女幹部「プロフェッサープラム」も、子悪党感が出ていて良かったんだけど、結局噛ませ役程度にしか使われてなかったからなぁ。
各個別ヒロイン√においてもそうだったんだけど、こうした登場キャラクターの感情部分をかなり深堀していけば、この作品にしかできない心理描写みたいなのが描けたんじゃないかな、と思う。
そういう意味ではかなり惜しい作品だったともいえるのかな。
























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