
2016年に発売された数々の作品の中から個人的にお勧めしたい作品をランキング形式でご紹介します。
当方がプレイした2016年発売の作品リストはこちら
第1位 銀色、遥か
tone work's (2016-08-26)
冬が巡る。また君と、巡り合う。
中学生編、学園編、アフター編の合計3編を通し、5人のヒロイン達との出会いから結婚までの10年間を描いた恋愛学園物。
中学生編における素朴で無垢な恋愛描写から、学園編における甘い恋人としての日々、そして未来を目指して共に歩みを進めていくアフター編、と約10年間の月日の間に、時に複雑に絡み合う主人公やヒロインの心の動きをしっかりと描き出した作品となっている。
物語自体をダラダラと続ける事無く、主だったイベントをピックアップする事で、一人のヒロインとの話の中でも、テンポよく物語を展開させている。
要点を絞って緻密に描くからこそ、自然と感情移入し、物語が進む毎に登場人物たちと共に一喜一憂する。その体験は「物語を読む」というエンターテイメントにおける核心的魅力と言ってよく、過去作を含めて恋愛学園物というジャンルを突き詰めていったtone work'sが考えついた、その到達点の一つと呼んでも過言ではない。
人と人が関わり、そして恋に落ちていくその様子を描いた本作は、ひとつの人生が詰め込まれた作品といえる。
各ヒロインシナリオがバラエティに富んだ極上の物である事はもちろんなのだが、それを彩る音楽関係も強い作品のアピールポイントとなっている。
本作に収録された12曲ものVo曲はその一つ一つが珠玉であり、このレベルの物を多数用意しているあたりはtone work'sならではといえるだろう。
ADVというこのジャンルが、シナリオ・音楽・CGの全てが欠かせない総合芸術であるという事を再認識させてくれた学園物の金字塔であり、神作であるとして2016年に発売されたお勧め作品の、堂々たる1位として紹介させていただいた。
第2位 ノラと皇女と野良猫ハート
HARUKAZE (2016-02-26)
桜の下で出会った、冥界の皇女との出会いをきっかけに、猫になってしまった主人公のドタバタな日常を描いた学園ラブコメ作品。
テンポの良い展開に、終止笑わせてくれるシナリオ、締める所は締めて感動させてくれるストーリーと、唯一無二な特色しかないヒロイン達の魅力、豪華な楽曲による演出と美麗なCG...。
どこをとっても隙のない、ブランド「HARUKAZE」を代表する名作であり火付け役となった作品。その完成度と人気の影響もあって以後「ノラとと」シリーズとして、続編の「ノラと皇女と野良猫ハート2」まで発売されている。
物語部分については、基本路線であるギャグゲーという部分を忠実に守るが故に、シリアスシーンでもそこまで落ちる事はないものの、感動させるべき部分ではしっかりとさせてくれており、どこをとっても物語の押しと引きが絶妙な物語であった。
登場するヒロイン達との掛け合いも面白く、その中でヒロイン達の魅力を引き出す巧みの技を見せてくれている。また各ヒロイン√で、話の雰囲気がでガラリ変わるのも特色で、この新鮮味のある展開と日常シーンにふんだんに取り入れられたギャグシーンにより、本作をプレイしていても、「飽きる」という感情を抱くことはないだろう。
(むしろ時間を忘れてプレイしてしまうため、一般的な作品よりも短く感じてしまうほど)
全体的にハイクオリティで、どれを取っても一級だが、特にギャグゲーとしては1、2を争う名作中の名作として、この順位で紹介している。
第3位 凍京NECRO
NitroPlus (2016-01-29)
2119年、氷河期を迎え全てが凍り付いた「凍京」を舞台に、使者をよみがえらせる「ネクロマンサー」及び生ける屍「リビングデッド」と、それらを狩る生死者追跡者の戦いを描いた燃えゲー作品。
ニトロプラス15周年を記念して制作された本作は、その本領ともいえる燃えゲー作品として、設定からストーリーまでが良く練られ、丁寧に作り上げられた名作と言えよう。
血と硝煙、銃を使った近接戦闘等、息をつかせぬ展開など、圧倒的衝撃と迫力あるバトル描写はただひたすらに熱く、挙げればきりがない程に燃えゲーには欠かせない要素が詰め込まれている。
また、このバトルシーンにおいては動画がかなり多用されており、私個人としてもここまでの数が用意されたADVを他に知らないほどであった。その他にも男性ボーカルを活かしたVo曲による挿入歌などでもシーンが盛り上げられており、ただでさえ盤石な戦闘シーンだが、それが何十にも強化されている。
また、その戦いの背景にあるストーリー部分の質もかなり良く、戦うに至るまでの過程やその中で明らかになっていく真実には何度も驚かされる事になるだろう。
特に終盤のTRUE√に関しては近未来設定を活かしたSF的要素が絡められており、他の作品に出せない独自の世界観を活かした物語が作り上げられていた。
その人気故か、以前はスマホゲーム展開もなされていたのだが、現在はサービスが終了している。
その性質上、グロシーンも多い作品なので、好き嫌いが出る部分はあるだろうが、設定やバトル物が好きな方を中心に、ぜひプレイしてほしい名作中の名作としてこの順位で紹介させてもらっている。
第4位 アマツツミ
Purple software (2016-07-29)
”言霊”という特殊な力を持つ主人公が、何者かの啓二を受けて人里に繰り出す所から本作の物語は始まっていく。
伝奇的要素を含む特殊な設定が盛り込まれた作品となっているが、本作はその部分を非常に巧くシナリオに取り込み、刺激的かつ新鮮味ある物語を作り上げてくれていた。
序盤は疑似家族を形成する様子やヒロイン達の可愛さに目が奪われがちなのだが、「言葉」や「生と死」といったテーマを盛り込み、時にメッセージ性の強いシーンも用意されている。ともすれば人を選びそうな作品に思えるのだが、物語自体の面白さがそれを感じさせず、むしろ人を惹きつける強力なアピールポイントへと消化している。
特に終盤のシナリオは演出と合わせて強く心を揺さぶる事も多く、本作のTRUE√に関しては涙なしでは見られないほどのクオリティとなっていた。
また演出に欠かせないBGMや楽曲面が優秀であった事はもちろんなのだが、他にも克さんを中心とした美麗なCGや、フェチ度の高いHCGも本作の魅力の一つとして挙げられる。
直接の関係はないものの、同社作の関連作品「アオイトリ」とも親和性の高い作品なので、本作と合わせて紹介しておきたい。
全体的な質が高く、歴代のPurple software作品の中でも記憶に強く残る名作の一つと言ってよく、堂々のこの順位としている。
第5位 千の刃濤、桃花染の皇姫
AUGUST (2016-09-23)
共和国に占領された皇国で、隠遁生活をしていた皇国の帝の一人娘「朱璃」が、超常の力を有する「武人」の協力を得て、国の再興を目指す過程を描いた物語。
オーガストらしい圧倒的な世界観を土台とした和風テイストな舞台に、センターヒロインである朱璃√を中心とした骨太で読み応えのあるシナリオが最大の見所の本作。
今までの過去作とは違い、バトル色が強い作品となっていた所も特徴で、立ち絵やカット絵を駆使し、動画と見紛うばかりのエフェクト効果を用いることで、動画さながらの迫力あるシーンを演出してくれている。
描写自体は完璧と言い難いものの、その弱点を補って余りある恩恵が上記の要素にはあり、本作の魅力の一つとして挙げておきたい。
また長尺のストーリー部分も感動させてくれており、特に桃の花を想起させる鮮やかな物語の中に、それでも一抹の寂しさのある物語は「侘び寂び」を感じさせてくれている。
キャラの造形やストーリー、なにより世界観を含めた完成度の高さは言わずもがなで、堂々のこの順位とした。
なおFDとして『千の刃濤、桃花染の皇姫‐花あかり‐』も存在しているので、今作と合わせて紹介しておく。
第6位 あけいろ怪奇譚
シルキーズプラスWASABI (2016-03-25)
学園七不思議をテーマとしたホラーサスペンス作品。
同社制作『なないろリンカネーション』と設定等を共有したシリーズ作品ともなっているものの、続編としての要素が薄いため、こちらで紹介している。
七不思議の謎を追うサスペンス要素がとにかく面白い作品で、物語の序盤から一気に読者を独自の世界観に引き込んでくれる。さらに時に読者を凍り付かせるようなホラーシーンも存在していて、これが良いスパイスとなって、物語を盛り上げてくれていた。
もちろん、ストーリー部分にはしっとりと感動させてくれる要素も盛り込まれていて、全体を通してのバランスの良い名作といえるだろう。
上記で挙げた同シリーズ作品をプレイしていない人でも楽しめる作りになっている事はもちろん、プレイしている人ならさらに楽しめる部分があった所もポイント。同じく同シリーズ作品として『きまぐれテンプテーション』も存在している(こちらも直接関係ないが今作の後日談となる)ので、そちらも合わせてチェックしてほしい。
シリーズを通して面白く完成度の高い作品であり、今作はそのシリーズを代表する作品としての側面もあるため、この順位としている。
第7位 ISLAND
FrontWing (2016-04-28)
『グリザイアシリーズ』に続き2018年にアニメ化を果たした、FrontWing発の時間遡行系SF作品。
序盤は記憶をなくした主人公として、右も左もわからぬままに物語を進めていく事になるが、状況を把握する毎に新たな謎が生まれていき、気が付けば物語に引き込まれている。こうした伏線は後半でしっかりと回収されており、その度に読者を驚かせてくれていた。
エンディングとして各種ヒロイン√はあるものの、大筋で見ると1本道で構成された物語は完成度も高く、上記要素と合わせてとても丁寧に作り上げられた話である事が伺える。
また作中においては、この作品の肝ともいえるタイムトラベルに関する理論について、物理学を絡めて解説されている。
早めのテンポで進展していく物語の中で、こうした説明が挿入されている為、どうしてもこのジャンルの作品に慣れていない人にとっては少し読み辛く感じるかもしれないが、その分がっつりと楽しみたい人にとっては、他にない魅力となっている。
ストーリー部分も非常に秀逸で、BGMで「この感情は使命」と合わせて演出されるシーンなどは感涙必須であった。
記憶に強く残る名作として、この順位で紹介させてもらっている。
第8位 シンソウノイズ ~受信探偵の事件簿~
Azurite (2016-12-22)
心が読める主人公がとある事件をきっかけに探偵として数々の事件を解決していく事になるSF推理サスペンスをメインとした青春学園物。
主人公の能力を始めとしたSF作品らしい特殊能力も登場する異色の推理物なのだが、純粋な推理物としてみた場合に、この作品を超える作品は多いだろう。しかしながら、ストーリーを含めたエンターテイメント的視点で見ると、比類なき作品といえる。
特に主人公の読心能力は、時にキャラクター達の深層部分にまで踏み込むことで、通常の作品では表現しずらい心情を詳らかにしており、作品の更なる深みをもたらしてくれていた。
この作品の注目ポイントの一つが主人公なのだが、彼の成長を見守る事自体が一つのコンテンツにもなっており、彼が好きになれるかが、作品評価の分水嶺と言ってしまっても過言ではない。
他にもゲームシステムを駆使した各種の演出は「ADV」というゲームジャンルをとても巧く活用しており、既存の作品との明確な差別化を行い、今作の魅力を大きく押し上げてくれていた。
ジャンル的に好き嫌いの出そうな要素もあるものの、純粋な推理物のワクワク感や楽しみを読者に伝えてくれている良作として、この順位としている。
第9位 ワガママハイスペック
まどそふと (2016-04-28)
「ワガママ」で「ハイスペック」なヒロイン達に振り回される、学園ラブコメを主体としたキャラゲーの名作。
高評価点としては、登場する4人のヒロインに共通した特徴を持たせてテーマを形作るキャラゲーという形式で、それぞれを唯一無二のキャラクターとして作り上げ、彼女たちの魅力を表現した事が1つ目で、もう一つは日常シーンにおける軽快な掛け合いやギャグシーンによる笑いで心をつかみ、しっかりと世界観の中に読者を引っ張り込んだ事だろう。
また、キャラクターの魅力だけで展開をゴリ押しせず、ストーリー部分にもしっかりと見所を作っており、オーソドックスな展開ながらも、そこに至るまでのシーンとのギャップも上手く使いこなすことで、効果的に物語を演出し、思わず感動するほどのシーンも用意してくれている。
短いながらもアニメ化を果たした事からもその人気が伺えるが、その人気に違わぬクオリティの作品に仕上げられていた。
現在では続編として「ワガママハイスペックOC」も発売されており、こちらも非常にお勧めなので、未プレイの方には本編と合わせてワガハイの世界を存分に堪能してほしい。
第10位 千恋*万花
ゆずソフト (2016-07-29)
PC版からswitch版など発売媒体を広げ、近年ではその販売数が話題になった作品。
舞台や設定などが和テイストに纏められた、ゆずソフトらしさのしっかりと出た恋愛学園物で、最大の魅力であるキャラクター達についてだが、その容姿や設定などが可愛い事づくしなのはもちろん、その子の魅力を十全に引き出す描写力には相変わらず舌を巻いてしまう。
各個人でお気に入りになるキャラクターは違うだろうが、メインからサブに至るまで、それぞれ違うベクトルを持つキャラクター達の特徴やその内面部分までもがしっかりと作り込まれていた事は賞賛するほかない。
また、今作についてはシナリオ部分も見所が多く、特にセンターヒロインである芳乃√だけではなく、レナ√を始めとしたいくつかのポイントで、しっかりと泣き所も用意されており、個人的に評価が高くなっている。
ギャグを交えた日常シーンも楽しく、今作で萌えゲー・キャラゲーとしての地位をさらに確固たるものにしたといえる。
その他ノミネート作品
・そして初恋が妹になる
・LieF ~親愛なるあなたへ~
・空のつくりかた -under the same sky, over the rainbow-
・まいてつ
・オトメ*ドメイン
・カノジョ*ステップ
・生命のスペア I was born for you
・仄暗き時の果てより
・キミトユメミシ
・あきゆめくくる
番外編
2016年の作品ですがシリーズ物等の初見プレイには向かない物や、リメイク作品という事で上記対象外となった名作もご紹介!
それぞれに根強いファンがいる作品なので、ぜひ興味を持った方には関連作品と合わせてプレイしてほしいです。
恋する乙女と守護の楯 ~薔薇の聖母~
AXL (2016-02-26)
同社制作の「恋する乙女と守護の楯」の続編となる作品。
今作もお嬢様学校を舞台に、女装をしながらターゲットを守護する主人公のお話で、本編をプレイしている人ならば同様に楽しめる作品としてお勧めできる。
これまでの経緯についてはある程度の説明がなされるため、頑張れば本作のみで楽しむこともできるものの、やはり十全に楽しむならば本編からクリアすべきだろう。
なお現在は「恋する乙女と守護の楯 Re-boot The SHIELD-9」という形で本編がリメイクされているので、併せてチェックしておいてほしい。
乙女理論とその後の周辺 -Belle Epoque-
Navel (2016-05-27)
同社作の「乙女理論とその周辺」のFDで、「つり乙シリーズ」に属する作品。
本編のメインヒロイン3人のアフターシナリオに、サブキャラクターであったブリュエットのアナザーシナリオが収録されている。
各キャラクターの軽快な掛け合いは健在で、FDとなった事で制約がなくなり、さらにテンポの良いシナリオとなっていた。
また、本編ではスポットの当たりにくいサブキャラクターにも、しっかりと焦点を当ててくれているので、ファンにとっては十二分に楽しめる作品といえる。
見上げてごらん、夜空の星を FINE DAYS
PULLTOP (2016-05-27)
紺野アスタ氏によって描かれる天文学部をテーマにした青春学園物「見上げてごらん、夜空の星を」のファンディスク作品で、本編ヒロイン4人に加え、サブヒロインの2人の合計6人分※のシナリオを楽しむことができる。
FDであっても本編に負けず劣らずの心動かされるシナリオが収録されていて、特に主人公達の担任であった美晴のシナリオについては、ストーリー自体が良い事はもちろんなのだが、本編の魅力を一段と引き上げてくれていた。
当方が思い描く理想的なFD作品の一つなので、本編と合わせてぜひ「よぞらら」の世界に没頭してほしい。
※特に人気の高かったサブヒロイン「山田 陽南」のシナリオが追加されるパッチが公開されていたが、現在はDL期間を過ぎているため入手不可。
FLOWERS -Le volume sur automne-
Innocent Grey (2016-05-27)
Innocent Greyの代表作である百合ゲー「FLOWERSシリーズ」の3作目。
季節が秋に移り変わり、主人公も前作の"えりか"から"譲葉"へとバトンタッチしている。
「オズの魔法使い」をモチーフにしたストーリーはシリーズの中でも際立って出来が良く、特に恋愛描写を中心に、登場人物たちの秘める想いが錯綜する様子が非常に細やかに描かれていた。
また、作中で流れる「虹色の魔法(二重唱Ver)」はこうした感情の動きともリンクした歌詞になっており、こちらも秀逸の一言に尽きる。
作品を積み重ねるシリーズ物だから描く事ができる世界観の魅力を遺憾なく発揮した作品である。





















コメント
コメント一覧 (2)
更新されるの楽しみにしてます。
これは2023年のまとめ記事もこれから来るフラグですよね?笑
管理人の感性でどんな作品入ってくるのか楽しみに待ってます!
tatutatu1001
が
しました