タイトル : アインシュタインより愛を込めて APOLLOCRISIS
ブランド : GLOVETY


シナリオ : ★★★★☆ [4/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 4h)

シナリオ
前作「アインシュタインより愛を込めて」のアペンドシナリオを収録した作品であり、中途半端に終わってしまった前作の内容を踏まえてか、完結編となる今作は無料で配布されている。

制作陣はほとんど変わらず、シナリオを担当したのももちろん新島夕さん、前作でのGRAND√における「小笠原諸島で過ごしたひと夏の冒険」と呼ぶにはいささか壮絶すぎた出来事から1年後がこのお話のスタートラインとなっている。

目の前から居なくなったロミとこれからの未来に想いを馳せながら、漫然と日常を過ごす主人公。
そんな彼の元へ「久寿 苗蒔」なる謎の人物からのコンタクトがあり、それと時期を同じくして再び姿を現したのはいなくなったはずのロミだった。
再会の喜びも束の間、主人公はそんな彼女の助言を受け再び「科学特捜部」を立ち上げる事となる。

こうした流れもあって本作における前半部分は「科学特捜部」としての活動となっており、前作の共通ルートと同様、前作ヒロイン達との懐かしいやり取りが描かれていた。
ここで登場するキャラクターの多くは、今作の根幹部分に関わっていない事もあり、主人公が巻き込まれる”非日常”がメインとなっている本作において、短い間ではあったものの、”日常”の象徴的な部分として対照的に描かれていたように感じる。
そして後半、前作からの続きという事で、ロミの抱えていた秘密を踏まえて、中途半端になっていた数々の伏線の回収が行われており、これをもって「アインシュタインより愛を込めて」という作品自体の結末を描き切ってくれた、と感じた人も多いはず。
一方でそうした部分に関して、本編の批判を受けて後付けした印象を拭い去れない部分もある。加えて作品をすべて終えても、前作における一部記述等で謎が残っている部分もあり、どこまでが伏線で何処までが雰囲気造りのためのブラフだったのかは判然としない。
そうした点から純粋に評価できるかは、人によって分かれてしまうだろうが、それでも前作から引き継いだ雰囲気を損なう事なく、テーマをしっかりと見据えて物語を完結させたという点や、物語自体は少し走り気味ではあったものの、その品質自体は悪くなかった事に関して個人的に高く評価している。
テキストと雰囲気は良い一方で、物語の盛り上がりにおける戦闘描写が拙かったり、キャラクターの内面の描写が省かれ気味だったりと、ダメなところも目立つ今作だったが、作りっぱなしで放置せずに前作では披露しきれなかった多くの設定や展開を表現しようとする、今作をアペンドという形でも生み出した、そのチャレンジ精神自体は高く評価すべきだろう。

未完成に感じられた前作も今作と合わせることで受ける印象が大きく変わる。
非現実的なフィクションに翻弄され平穏を奪われ続けた少年がそれでも、と声を上げ不条理な世界の中で愛する人へ手を伸ばす―「街に明かりを灯す」とロミが繰り返し口にした、人との繋がりの大切さを唱えた中で主人公が出す答えがいかなるものだったのか、それをしっかりと示してくれるような作品に仕上がっていた。


【推奨攻略順:なし】
作中に選択肢は存在するものの、シナリオを進める中で全部選択することになる実質1本道の物語。

CG
前作に引き続き繊細な線に色鮮やかな塗りの絵。
新規CGは12枚存在し、そのうち通常シーン用は7枚、Hシーン用は5枚(回想3枠)となっている。
価格(無料)やシナリオの分量を考えると十二分すぎる程だろう。


音楽
作中では前作の物も継続して使用されているが、今作から新規追加となったBGMは5曲。数は少ないものの無料であったことを考慮すれば十二分な量といえるだろう。
何より担当されているのが水月陵さんということで、その質は言うまでもなく良質。
Vo曲はOPに使用されているLunaさんの歌う「アインシュタインより愛を込めて」、前作の


お勧め度
無料で単体のプレイが可能であるものの、シナリオは完全に続きとして作られているため、前作のプレイが大前提にあると言ってよく、また作中には振り返りシーン等も全くないため、既にプレイ済みの人は復習してから攻略に臨むことを推奨する。
今作をもって「アインシュタインより愛を込めて」は完結すると言っても過言ではないほど、多くの謎や伏線が回収される内容となっており、低くなった期待値を少なからず回復できる作品として、前作をプレイ済みの人には続けてのプレイを推奨したい。


総合評価
無料作品とは思えない程シナリオについては評価しているが、ある意味で前作で”入れるべきものが入っていなかった”という経緯などを考えると、手放しで評価できず、作品単体として考えると良い部分と悪い部分が綯交ぜになっているという事もありこの評価とした。


【ぶっちゃけコーナー】
今作をプレイすることで前作の評価が大きく覆るってのは悔しいけれどあると思う。
というか、現に少しだけ評価を上向きに変えたしなぁ…それくらいアペンド自体の質は悪くなかったんだよねぇ。
最初からこれを本編に入れておいてくれ、とは本当に何度も思ったけれど。

もちろん今作のアペンドで完璧だったかと言われると、まともにサイエンスSFとして捉えた場合にかなり都合の良い展開が多すぎたり、そもそも文章的に表現しきれていない部分も多かったりと、いささか疑問の余地も残っている。
ただ、上記にもあるように、中途半端だと多くの人が思った作品に対して、完結編として多くの人が納得する様な展開を見せてくれたこと、それを無料で配布したこと自体は大いに評価できるのではないだろうか。
まぁ、一方で作品として前作が完結していなかったことを公式的に認めたと考えることもできるのだけれど…。
そう考えてしまうと何故、前作と合わせて販売しなかったのか(未完成状態で販売してしまったのか)という事だけが悔やまれてしまう。
まぁ、過ぎた事を考えても仕方がないのだが。

何はともあれ、今となっては懐かしいキャラクター達のシーンもしっかりあるし、新キャラクターも追加され、より深く「アインシュタインより愛を込めて」の世界にある謎に踏み込んだ今作。
前作をプレイするなら今作も連続でプレイが必須な作品に仕上がっていたことは言うまでもないだろう。