タイトル : 俺の恋天使がポンコツすぎてコワ~い。
ブランド : Hulotte


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 10h)

キャラクター・シナリオ
ある日、道を歩いていた主人公の前に落ちていた1冊のノート。
『ラブノート』と書かれたそれを拾った主人公の前に現れた、恋天使を名乗る謎の存在「ラブミエール」。
そんな彼女から『90日以内に運命の花嫁を見付けないと、性機能を消失することになる』という事を告げられ、強制的に恋愛成就に向けて奔走する事になる――。

メインヒロイン5人、サブヒロイン一人、キャラクターの可愛さを前面に押し出した萌えが主体の作品で、基本的には学園恋愛物に分類される今作。
シナリオ自体は全体的にテンポよく、ヒロイン数は多いもののそれぞれのボリューム自体は控えめなので、サクサクと進められる作品となっていた。

そんな今作において特殊な存在として今作のキーとなっているのが『ラブミエール』と彼女によってもたらされた『ラブノート』だろう。

変わらない日常の中で突如として表れた怪しい存在である『ラブミエール』。
ポンコツながらも天真爛漫で、いつも一生懸命に恋愛成就に向けて行動してくれており、そんな彼女をずっと見ていたからこそ、いつの間にか温かい気持ちを抱くようになる存在となっていくのだが、そんな彼女に対して終盤でどういう思いを抱くか、その描き方の差が各√のテイストの差にもつながっていたように思い、同時に彼女の気持ちをどう汲み取るかで今作の評価も変化するのではないだろうか。

そしてもう一つ、某マンガの”死のノート”を彷彿とさせる、天使であるラブミエールよりもたらされた『ラブノート』。
名前を書くと運命度(好感度)が分かり、その上げ方を示唆してくれる便利な道具だが、今作では毎夜『ラブノート』を使用し各ヒロインを選択することで、各個別のシナリオへと分岐するという、仕組みの一つとして組み込まれ、最終的にはそれが各ルートへの分岐フラグにも使用される、といった役割を担っていた。
加えて、作中において普段なら二の足を踏むような選択や行動を後押ししてくれているシーンが多く、恋愛作品の中で発生しがちな躊躇や戸惑いといった停滞において、物語を展開させる起爆剤として、とても上手な使い方をされていたように思う。

深い部分に関してはぶっちゃけコーナーで少しネタバレしつつも触れているのだが、つまるところ、ストーリーに関してはあくまで萌えに注力するというスタンスを貫きつつも、その内容自体にも見どころがあったという事に対して、高く評価をしている。


共通√【 ★★★☆☆ 】  2h
天使であるエイルとの出会いから、バイト先で行われた全ヒロインが集合した歓迎会までが共通部分にあたる。
イベントとしては主に前半の状況説明から、一部ヒロインの登場イベントくらいとなっていて、上記でも少し触れたように、割と序盤から選択肢出現して各ヒロインシナリオへ分岐している為、その部分を除いた純粋な共通部分として考えるとボリュームは比較的短めとなっている。
そのため、選択によっては殆ど絡まないヒロインが存在してしまっているのは少し残念な所といえるかもしれない。


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恋見 エイル√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
主人公の元へ突如やって来たポンコツ天使。
恋愛成就の為にサポートを申し出た、この物語の発端となった謎多き存在。
常にテンションが高く、自身の欲求に素直で、考えなしに勢いで行動しがち。それゆえにミスが目立ち、ひやひやとさせられることも多いが、そんな所が放っておけないという所は彼女ならではの愛らしさだろう。
今後の活動のためと言いつつ、私欲交じりで主人公の学校へ転校してきたため、主人公のクラスメイトとなっている。

個別シナリオでは、冗談のつもりでラブノートにエイルの名前を書き続けた主人公がだんだんと彼女自身の魅力にひかれてゆくという流れに。
無邪気な笑顔はこちらに元気を与えてくれ、どんなことにも全力で楽しみ、ストレートな好意を示してくれる彼女の姿からは、主人公でなくても多くの人を魅了する力が感じられるはず。
初々しくも元気いっぱいのエイルとの恋、二人が付き合うまでのそうしたシーンは比較的に比重多くとられているが、もう一つエイルが「恋天使」という立場である事を絡めたシナリオが後半に用意されている。
既出だったいくつかの謎や物語の根幹に関わるような新たな設定なども明かされてはいるものの、他の√と干渉が無いのは一つの魅力だろう。
展開自体も予想できる範囲内の物ではあったものの、主軸となるストーリーが良かったことや、丁寧に描かれている事もあって感情を動かされるシーンもあったほど。
ただエピローグにおける展開が割とサラッとしているので、情感深く感じ入っていた人にとっては少し肩透かしな展開に感じてしまうかもしれず、少々残念に感じた所でもある。


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乾 依鈴√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
主人公の隣の家に住む、幼馴染みの少女。
明るく真っすぐで純粋な女の子。
陸上に所属していて、今は夏の大会に向けて練習を頑張っている。
主人公が陸上部に所属していた頃は一緒に練習するほど仲が良かったが、ケガを理由に主人公が陸上部をやめてからは疎遠になっていた。

幼馴染という事もあってか、序盤から運命度も高く相性の良い依鈴。
そんな彼女の個別シナリオでは、二人の共通の過去である陸上や主人公の怪我を発端とした二人の気持ちのすれ違いをメインに、依鈴の悩みや主人公の頑張りなど等身大の恋愛描写が描かれている。
オーソドックス展開ではあるものの、それゆえに二人の感情の動きが分かりやすく、各シーンが安定感のある内容となっていた。


20211018003608<西篠 琳果√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
成績優秀、容姿端麗の優等生で、西篠財閥のお嬢様。
幼い頃は身体が弱く入退院を繰り返しており、それが原因で成績を落としていたので、主人公たちと同じ学園に通う事になった。
教室ではいつも熱心に勉強をしており、どこか人を寄せ付けない雰囲気があるが、どうやら彼女は大きな秘密を抱えている様で…。

設定では隠されているものの、「カリン」という名前で秘密裏に動画配信を行っているという、昨今流行りのVtuberをテーマとしたヒロインである。
知り合いから友達そして恋人へと、すこしだけ関係の発展が駆け足になってはいたものの、琳果と大きな秘密を共有する中で、彼女の抱く希望を知り、そして現れた障害に対して彼女との未来のために頑張る主人公というのはオーソドックスで安定感のある内容になっていた。
琳果自体も魅力的なヒロインだったのだが、個人的には、物語の序盤においてカリンのガチファンである主人公のテンションがおかしくなって、ポンコツであるはずのエイルから突っ込みが入るという、立場の逆転が面白くてギャグの楽しめる話にもなっていた。


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佐久真 詩√【 ★★★★☆ 】  1.5h
同じ屋根の下に住む、主人公の義理の妹。
両親がいない家で実質二人暮らしだが、一つ年下ながらも家では料理を担当してくれており、朝夕はもちろん主人公のお弁当も作っている。
基本的には素直で良い子なのだが、兄の事を心から信頼していて尽くすあまり、その想いが勢いあまって他の女性に敵愾心を抱くことも。

義理とはいえ長年兄妹として育った二人、個別シナリオでは『ラブノート』の力でそんな二人が意識し合う―というよりも詩の想いを知る事に。
控え目そうな見た目とは裏腹にいったん覚悟を決めると押して押して押しまくる、攻めの恋愛描写が印象的で、兄には見せない二面性があったりとコミカルな魅力も持つ詩でした。
主人公を好きになった経緯などもストレートながら良い物だったのだが、何よりも終盤のエイルとの関係やそのシーンが素晴しく、捻りが無いだけに素直に心に響く内容となって、思わず涙してしまったほど。個人的にシナリオとても気に入った部分でもあった。


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峰越 琴雛√【 ★★★☆☆ 】  1h
紡たちのクラス担任で国語を教える若い女性教師。
ドジな所はあるものの真面目で、熱意をもって生徒たちと接しており、そのおかげか生徒たちからの人気も高い。
非常に美人ではあるものの浮いた話はなく、その原因は彼女が教師を志した事と関連しているらしく…。

エイル√で大まかな彼女の過去が明かされ、彼女のシナリオが攻略可能となるのだが、生徒と教師という関係もあって、初期運命度はヒロイン達の中でもかなり低くなっている。
そして何よりも彼女の抱えている「事情」が最も大きなハードルとして存在しており、琴雛√においてもそれが終始メインテーマとなっていた。
個別シナリオにおける琴雛はとにかく包容力が強く描かれていたのだが、そんな彼女の持つ弱さのような部分がそうしたテーマと合わせて描かれていたのも特筆すべきポイントだろう。
今作の根幹的な部分と関わっており、内容的にも濃かったのだが、他のヒロイン達と比べてもボリュームが短めで、内容に反して物語の起伏が無く折角の盛り上がりシーンもサラッと流されていた印象がある。


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幸咲 来瑠√【 ★★★☆☆ 】  0.5h
読書好きで引っ込み思案な女の子。
主人公の妹である詩とは同級生でもあり親友で、バイト先では後輩として一緒に働いている。
察しが良いため、主人公が巻き込まれた事情を知り、ポンコツなエイルに代わって恋愛に悩める主人公を手助けしてくれることとなった。

サブヒロインシナリオという事で、自身が書く小説の為に恋のサポートを行っていた来瑠自身がだんだんと恋に落ちてゆく様子が描かれているが、物語はかなり短め。
とにかく小動物系で可愛い来瑠の魅力が詰まった話にはなっている。
エピローグで明かされるが、本作における恋愛のアンチテーゼのような要素を含んだ物語として、こういう話が存在していること自体に面白みを感じたことも追記しておきたい。


[主人公]佐久真 紡
恋天使のエイルと出会い、ラブノートの所有者となる事で、運命の人を探すことになる青年。
一年生の頃は陸上部に所属していたが、怪我を理由に引退して現在は帰宅部として、暇になった時間はファミレス『フェアリーテイル』でアルバイトをしている。


【推奨攻略順:琳果→依鈴→詩→来瑠→(まそら→)エイル→琴雛】
琴雛√のみエイル攻略後に解放される。
基本的にどの順番でも問題は無いだろうが、内容的にエイルや詩のシナリオは後半に回した方が読後感が良いはず。
また来瑠√は詩と琴雛√はエイルと比較的関係が深いためセットでの攻略が望ましい。


CG
線は細く淡い塗りで柔らかく、可愛い印象を受ける万人受けする絵。
立ち絵・イベントCG共に質は総じて高く、今作の売りの一つとしてもちろん挙げられるだろう。
枚数に関しても十分量あり、各キャラのHシーンは5シーン(来瑠、琴雛は2シーン)程。


音楽
BGM24曲、Vo曲2曲(OP/ED)
全体的に満遍なくそろっているBGMに加えて各ヒロインテーマなども存在しているのだが、中でも「運命度100の導」や「取り戻せない四季」など、グッと気持ちを掴んでくれる楽曲も存在しており、全体的に好みであった。
今作のセンターヒロインであるエイルのCVを担当したはちみつこさんの歌うOP「Love note」は初々しい恋を歌った楽曲。可愛らしいAメロBメロから、のびのびと歌われたサビ部分が素晴らしい。
Ducaさんの歌うED曲「Blessing day」も一押しで、両曲とも作品と合わせて聞いてほしい。


お勧め度
今まであった「ヤバい」シリーズに加えられるかは不明であるものの、Hulotteの持ち味であるビジュアルとシナリオの両方から描き出す萌えは衰え無し。
全体的にかなり安定しており、ユーザーが求めているものを100%返してくれる作品といえるだろう。
個人的には今回の作品は、シチュエーションを含めてストーリーが好みであったこともあり、そうしたところも高めに評価している。


総合評価
絵や音楽、可愛さを前面に押し出したキャラクター達だけでも魅力だが、加えてストーリーにも見どころがあり、総じての評価は低めではあるものの、評価以上に好まれるであろう作品であることは言うまでもない。


【ぶっちゃけコーナー】
全体的なストーリーの流れがかなり好きなんだけど、そのストーリーをみた時に一番好みだったのが詩√かな。
シナリオの内容的にもラブミエール、つまりエイルをどう表現するかによって物語の印象が変わるのだけれど、今作で一番効果的に彼女を使えていたのが詩√だったかなぁ。
どの√においても彼女との別離の瞬間は必ず訪れる、このシチュエーションが個人的に好みなんだけど、そうしたなかでそのシーンをどのように演出するか、そこに持っていくまでの流れも含めて重要だと思う。
詩√に関しては最初に高感度が低かったエイルと、主人公を落としに行く中で友情が育まれていき…という前提がしっかりと存在していたので、シーン自体もかなり盛り上がっていたのではないかな、と感じた。
下地となるストーリーがすごく良かったので、他のシナリオも(特にエイル√や琴雛√は)描き方次第ではかなり化ける内容だったと思う。
ただし、萌えを第一にした作品では、そうした内容も浮いてしまう危険性を考えれば、一概にそういった物語にしてよいかも悩みどころなのかもしれない。

そういえば、あまり作品では触れられないけれど、某男キャラクターをもう少し動かしてほしかったなーというのがある。
恋の起爆剤に使われるのかなと言われると、そうでもなく、だだいらないキャラかと言われるとすごく良い人だから、なんかもう少しストーリーに絡めてあげてほしかったなぁ。
どうしても立場的に舞台裏になっちゃうとは思うけれど、上記に挙げたシーンでも無関係じゃないと思うし、もう少しうまい使い方はあったのかなぁと思う。