スピカの忘れ物

ゲームレビューとちょびっと小説を公開している、鍵っ子ゲーマーのブログです。 泣きゲーやシナリオゲーが大好物!



タイトル : 恋神 ‐ラブカミ‐
ブランド : PULLTOP


シナリオ : ★★★★☆ [4/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★★ [5/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★★☆ [4/5]
(総プレイ時間 : 13h)

キャラクター・シナリオ
全国各地で神様が一斉に出現し混乱する中、最高神・アマテラスによって提唱された「カミサマ教育法」を元に神様が人間と一緒に教育を受けることとなる。今作はそうした世界の中でカミサマ教育特区となった神早坂を舞台に、神様によって巻き起こされるトラブルでドタバタの学園生活を描いたハートフルコメディ作品となっている。

作品自体は「和」をテーマに、現代を舞台としつつも、しっかりと日本神話の話を絡めた新旧の融合を実現した話となっていた。

シナリオは各章に分けて描かれており、序章から1章と2章が共通√となっており、各ヒロイン√として3章から10章までが用意されている。
各章の中では合間にアイキャッチが挿入されている他に、各章の間にもSD絵を使用した次回予告がショートストーリーの形で挿入され、加えてストーリ―の中では「教えて神様」という次回予告同様にSD絵によるショートストーリーを交えて設定を解説するTIPS機能も存在している。
この「教えて神様」の機能に関しては後半に行くにつれて存在感が薄くなっていたが、ともかく、こうした特性もあり各ストーリーは多少ぶつ切りになっており、いくつかの話から一つの物語が編み上げられている印象が強かった。

上記にもある通りドタバタラブコメディを主体としている中盤まではともかく、時代的な変遷もあるのか恋愛シーンに関してはどうしてもキャラクター自体の押しが弱く感じ、中だるみと感じられるシーンもある。
一方で終盤に向けての準備として考えるならば十二分。
中盤から終盤にかけてのシリアスシーンから、主人公の熱意と努力で逆転してハッピーエンドを迎えるという形はどのヒロイン√でも同じ流れで、王道でそれゆえに鉄板なので外れが無い。
終盤の怒涛の演出もシナリオと合致していて、単体のヒロインを主体としつつも他のキャラクター達の出番が用意された絆を感じる展開は、手に汗握るようなシーンも相まって高揚感があった。

賑やかな日常シーンや心温まるようなハートフルストーリーに彩られた今作、ヒロインはもちろん何より主人公を好きになれる作品であり、最後には爽快感を得られるシナリオに仕上げられている。


共通√【 ★★★★☆ 】  2.5h
プロローグとなる序章に加え、1章と2章の合計3章から成っており、主に『神様』という存在が現世に現れた後の混乱や、学園生活を営む中で発生するトラブルをメインに描かれている。
多少特殊な設定ではあるものの、全体的にはラブコメ風に纏められたシーンがテンポよく展開してゆくのが持ち味である。
序章は舞台となる世界の説明や各ヒロインとの出会いが中心となっているが、1章以降は『神様』と『人間』の友和というテーマを中心に、各ヒロインとのイベントを交えつつも登場する全キャラクターを絡めた賑やかな物語として作り上げられている。
加えて、そうした中で垣間見える主人公の善性も見ていて気持ちが良く、ストーリーの盛り上がりにも大きく寄与していた。

20210522141840
月詠 ウサギ√【 ★★★★☆ 】  2.5h
主人公の家に居候する元気いっぱいなへっぽこ神様。
明るい性格で日々を自由奔放に過ごす女の子なのだが、実は最高神アマテラスの妹神。
しかしながら能力は弱く、何かと主人公の事を助けてくれようとはするものの、能力不足故に空回りしてしまう事が多く、やさぐれてしまう事も。
主人公の妹である『みこと』とは会ってすぐに意気投合し、無二の親友となっている。
過去に主人公と会った事が有るらしいが、何故かその事にはあまり触れようとしない。

個別ではカミサマ委員としてを活動する主人公とツクヨミの様子が主体となって描かれている。
一緒に過ごす中で発露するツクヨミの恋心と彼女自身の持つコンプレックスを絡めたシナリオとなっており、素直になれないツクヨミとそれに対し真っすぐ向き合おうとする主人公の熱い姿勢が印象的。
後半は『ツクヨミノミコト』としての話を絡めた展開に、話のスケールも今作ではもっとも大きい。ツクヨミはもちろん彼女以外の登場人物も活躍する展開となっててい、盛り上がりは中々の物で、シーン演出の勢いもあって、思わずぐっと来てしまうことも。


20210522142800

佐久沙 いつき√【 ★★★★☆ 】  2.5h
主人公の姉を自称する幼馴染。
八重垣神社の巫女であるためか昔からカミサマが見えていたのだが、その影響もあってカミサマの事を嫌っている。
弟扱いしている主人公とは同い年でクラスメイトでもあるのだが、元々面倒見の良い性格をしていて何かと世話を焼きたがっている。それは人間に限らず苦手な神様であっても何だかんだと言いつつ助けてしまう。

本作のヒロインにおいて唯一の人間であるいつき。
個別シナリオの序盤から中盤にかけては、いつきの家に居候しているスサノオのスセリにまつわる事件が中心となっていて、そうしたイベントを切っ掛けとして素直になれずにいたいつきの心や意識し合う二人の様子を描く。
後半ではそうした部分を伏線としたさまざまな絆やいつきの過去についてがメインに。
物語としては中だるみを少し感じてしまうが、後半における展開は王道となっていて、予想していても思わず涙しそうになるほどで、心が暖められる良い内容となっていた。


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豊草 イナリ√【 ★★★☆☆ 】  2.5h
豊穣の神、狐耳と尻尾を持つ稲荷神。
学園にはとある夢を叶えるためにやってきたが、そのまま流れで園芸部に所属することとなった。
明るく陽気な性格をしており基本的には自由奔放なのだが、情が厚く頼られることが好きなため、面倒見の良いタイプ。
高天原のセックスシンボルを自称しているものの、初心で恥ずかしがり屋でもあるため、そちらの方面の知識は全くない。

個別シナリオでは、とある目的の為に神様たちのトラブルシューターとして活動していたイナリとカミサマ委員として活動する主人公たちの行動が合致することで、お互いを意識し合う事となる。
イナリ自身の初心な恋愛観がメインとなっており、特に彼女と付き合うまでのドタバタはラブコメ物の定番といえ、恥ずかしがるイナリの姿はそれまでの快活な姿とのギャップもあって、魅力は一層高まっていたといえる。
また作中では恋のライバルとして主人公のクラスメイトであり、イナリの所属する園芸部部長「米持 ひなた」の登場シーンも多く、特に盛り上がるラストシーンにおいてはその内容は勿論のこと、彼女を絡めた展開も見所で、ヒロイン以外の広がりを感じさせたという点でも高く評価している。


20210522153113
富士宮 サクヤ√【 ★★★★☆ 】  2.5h
花を操る可憐な女の子、木花咲耶姫。
その美麗な見た目と気品ある喋り方とは対照的にプライドが高く、特に人間に対しては見下すような発言をすることも多い。
常に人と距離を保つような振る舞いを見せているものの、姉である岩長姫には心を許しており、いつも一緒にいる。

個別シナリオでは以前開催されたお祭りに参加できなかったアマテラスから、気まぐれで再度お祭りを開催することを命じられることから物語が始まる。
序盤から中盤あたりは同じ時間を過ごすごとに仲良くなる二人の様子や、とある事情により素直になれないサクヤ、それを乗り越えようとする主人公の奮闘が描かれている。
ツンデレと言っても良いサクヤがデレたときは、振り切っていて可愛さもあるのだが、個人的に推したいのはやはりクライマックスに至るまでの後半部分。
後半では前半の伏線を踏まえつつ、がっつりと本来ある神話の話を絡めた展開になっているのだが、そのテーマや裏にある神話を交えたストーリーは純粋に素晴らしい物といえる。
展開自体はやはり王道ではあるのだが、主人公の熱意が伝わるシーンは切れ味も鋭く、暖かく心動かされるシーンに仕上がっていた。
ネタバレになるため注意が必要だが、この√で取り扱われた「木花咲耶姫」と「岩長姫」に纏わる神話自体が本当に素晴らしいので、攻略後にぜひどこかのサイト等で一読してほしい。



[主人公]北里 颯太
少しお調子者だけれど土壇場になると気風が良い性格の持ち主。
基本的にはお人好しで面倒見が良いので、困っている人は放っておけず、そのため多くのトラブルを抱えることもあり、そういったところは苦労人ともいえるだろう。
一度決めたら一直線のまっすぐで明るく正しいのその気質は皆から好かれており、特に神からも良い幸魂が集まると評されている。


【推奨攻略順:イナリ→いつき→サクヤ→ツクヨミ】
攻略順に指定やロック等はないためどの順番で攻略しても良いだろう。


CG



音楽
BGM25曲、Vo曲3曲(OP/ED/挿入歌)という構成。
楽曲数が比較的豊富なBGMではあるが、作品風景に合わせて全体的に和風テイストに纏められた楽曲が多く、「ゆずれないもの」や「日は昇り、月は満ちて―」などは特に秀逸。
Vo曲は原田ひとみさんの「春調-はるいろ-」や茶太さんの歌うED「彩-にじいろ-」も好きなのだが、中でも最も良かったのはRitaさんの歌う挿入歌「二藍-あいいろ-」。
力強くカッコいいイントロと力強い声で歌い上げられる純粋な恋。和テイストの楽曲は作風ともあっており、最高としか表現できない。


お勧め度
2010年発売の作品という事で、ゲームのアスペクト比が4:3であることをはじめ、どうしても古さを感じてしまう部分はある。
シナリオに関してもそこまで深いロジックなどはないものの、後半における挿入歌の使い方は効果的であり、しっかりと盛り上がってはいた。
各要素に興味を持った方は勿論だが、物語として純粋にハッピーエンドが好きな人は楽しめる作品となっているため、そうした人にお勧めしやすい。またスピンオフ作品もでているのだが、そうした作品をプレイする予定がある方にはぜひ原作となる此方のプレイは推奨しておきたい。


総合評価
絵や音楽に関しては時代相応、シナリオは序盤から中盤にかけての中だるみはあるが、終盤の盛り上がりは見事で、結果的に温かみのある笑顔を生む佳作へと仕上げられている。


【ぶっちゃけコーナー】
本作品からの派生としてスピンオフの「LoveKamiシリーズ」がとして下記
・『Love Kami -Trouble Goddess-』
・『Love Kami -Trouble Goddess-』
・『Love Kami -Pureness Harem-』
が発売されている。
上記作品は海外先行としてSteamからの配信となっているが(タイトルは別)、今回セットのカタチでシリーズの抱き合わせ販売もなされており、今作はそれに付属する特典の作品にもなっている。

今作をプレイしなくても上記作品のプレイには問題ないそうだが、それでも多くの名作を送ってくれたPULLTOP作品という事もあって興味をもってプレイしてみた。

だからこそ期待感はそこまでなかったのだが、結論から言うと思わぬ掘り出し物という印象。
上記のストーリー感想部分にも書いたが、ラブコメ部分に関しては正直印象が薄い。
それでも端々から感じられる心温まる人と神のやり取り、そしてなにより好感持てる主人公が描かれている影響は大きく、時折心動かされるようなシーンもあった。
なにより後半の盛り上がりは流石という他なく、攻略ヒロインのうち半数以上で思わず泣かされてしまう程。
正直、挿入歌を始めとした演出頼りであった事は否めず、音楽の力強さを感じる作品であったと言い換えることもできる。
ただこうした演出はもちろん、心温まる優しい話などは個人的に好きな部類に入り、地盤にあるテーマや各ヒロイン√における雰囲気づくりなどにも確かに評価すべき部分はある。
各種にマイナス要素もあるので、もろ手を挙げて賞賛こそできないものの、個人的にはもう少し評価を高くしても良いのではないかと思ったほどに悩んだ作品であった。

ゲームを始めたばかりの人よりは昔の作品が好きな人にプレイしてほしい気がする。



タイトル : 海と雪のシアンブルー
ブランド : CUBE


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 10h)

キャラクター・シナリオ
進学を期に上京することとなった主人公の『青野 志音』。
そんな彼が無事に推薦での合格を果たした後、余裕ができた事で周囲を改めて見直すことがこの物語のトリガーとなっている。

作品自体は雪降る田舎町を舞台とした物語となっており、秋から卒業までの限られた時間を過ごす主人公のモラトリアム期をテーマとしていて、主人公の何気ない日常とそこから変化する環境の中で身近な所にある大切なものを見つめなおす過程が描かれている。

物語の序盤には急に義妹ができたり、クラスメイトと卒業アルバム委員として活動したり、騒がしい後輩に絡まれたり、担当教諭の意外な一面を垣間見たり、保健室登校の女生徒に絡んだり、とイベントに富んではいるものの、全体を通してみると主人公の何気ない日常がボリュームをもって描かれており、優しく心を包み込むようなささやかで満ち足りた時間を味わうことができる。

そうした部分に関しては非常に雰囲気良く描かれており、今作の魅力の一つとして挙げられるのだが、一方で物語としてのイベントの少なさは目立っていて、作品の傾向もあってかストーリー展開に大きな山や谷が無い。
故に各シナリオにおいては心理描写の部分が重要になってくるのだが、そうした心情の変化が十二分に表現できているとは言い難く、出来ているシーンであっても後記に述べるようなマイナス部分の影響もあり評価はしがたい。
そのためどうしてもキャラクターの可愛さの様な部分のみが前面になってしまっていて、多くの人にとってはシナリオの内容について薄かったという印象を持たれてしまうだろう

上記にあるマイナス部分の話なのだが、物語で特に気になったのはストーリーの流れを切ってしまっている事が多い所だろう。
実は今作自体は全体的に雰囲気が良く、光るシーンも多い。特に「卒業」という大きな起点もあるため、センチメンタルな雰囲気を出す事が出来ていたのだが、折角物語として盛り上がるシーンであったとしても、十分にそのシーンを描写せずいきなり場面転換してしまって事があり、結果としてせっかく高まった感情が置いて行かれるシーンが多々あった。
こうした構成はテンポが良くなる効果があるものの、今作との相性は悪いと言え、折角の流れが非常にもったいなく感じるシーンが1つや2つではなくあったため、物語としてはどうしても評価が下がっていてしまっている。

全体的には良く雰囲気づくりがなされており、テーマとしても深く追求していけばなにがしかの表現はできたであろう着眼点だったがために、どうしてももったいなく感じる所も多く控え目なこの評価となっている。

共通√【 ★★★☆☆ 】  2.5h
秋の終わりごろから冬休みあたりまでを描いている。
序盤では親の再婚によって妹となった「七」との、ぎこちない日々の始まりをゆっくりと描き、そして中盤から終盤にかけては、上京する主人公が一歩立ち止まって周囲を意識し始めたことで、初めて意識することとなった目の前にある人達との物語が紡がれている。

新しい出会いや既存の人物との関係が進展する部分などがメインとして描かれているが、総じて大きなシリアスシーンも無く、その全編がまったりと表現されている。
各シーンが多少ぶつ切りになっているため、テンポが悪いあたりでそう感じるのかもしれないが、比較的ボリュームはありイベントシーン自体の数自体も豊富で、展開自体はしっかりとしている。
また情緒的な部分―特に揺れ動く主人公の心情的な部分に関しては、折に触れてじっくり向き合って描かれている印象が強く、そうした部分から全体的に良い雰囲気を醸し出していた。


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青野 七√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
主人公の母親が再婚したことにより、義妹となった女の子。
物語の序盤は色々と主人公に対して思う所があり、遠慮をしていたがとある切っ掛けから心を開くようになってくれている。
幼い頃から亡くした母親の代わりに家事を担っており、特に料理は得意としているが、そうした真面目でしっかりとした一面がある一方で、極度の方向音痴だったりと弱点も存在する。
学園に編入後は編入前の学園と同様に美術部に所属し、一人で黙々と作業をしている。

個別シナリオではもちろん二人の「兄妹」という関係が最初のテーマになっている。
序盤において家族へと急な関係の変化に戸惑いを感じていたからこそ、現在ある暖かな家族としての絆に尊さを感じ、お互いに惹かれ合っていても身動きができない二人、そんな彼らのもどかしくも切ない感情がしっかりと表現されている。
ただし義妹との恋という部分に関しては、その部分について触れられたのみで、後半は一転して七の部活動についてがメインとなっていて、町を離れる主人公との有限の時間の中でさらに仲を深めてゆく様子が描かれていた。
シナリオの前後で多少の繋がりも感じられたものの、全体的にみると各テーマへ浅く触れられている印象をうける内容となっていた。


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清木 琴羽√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
1年生の秋頃に転入してきた主人公のクラスメイト。
いままでも転校を繰り返していたためか、人当たりが良く、どんな人とも分け隔てなく接するため友達も多い。加えて穏やかで優しい性格も災いしてか、用事を押し付けられることも多く、そうしたところが主人公には損して見えてしまう。
放送委員会に所属しており、そこで流す音楽には少しこだわりがある。

個別シナリオでは卒業アルバム委員として放課後に一緒に過ごす事が多くなる事から、ふたりの距離が近くなってゆく。
自分を卑下する傾向のある琴羽だからこそ、恋愛に関してはどうしても積極的になりにくくはあるが、各イベントを期に少しずつ関係を進展させてゆく様子は学園物の王道ともいえる。
とくに付き合うに至るまでの展開は今までの伏線もしっかりと絡めたものになっており、この√の中では最大の見せ場ともいえるだろう。もちろん付き合ってからも、委員としての仕事はもちろん、琴羽の勉強に付き合う形で一緒に過ごす日々が少しのイベント共に綴られていた。
概ねオーソドックスな内容ではあるものの、だからこそ琴羽の成長にファクターが当てられた内容だったともいえる。


20210515223756
菜畑 いなば√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
主人公の後輩で、七の同級生かつ親友。
いつも明るく、元気なムービーメーカーな彼女は友人も多く、そんな彼女だからこそ、もともと本好き同士で知り合いでもあった主人公は、七の面倒を見るようにお願いしたが、結局二人の気が合ったのか親友同士にまでなっていた。
押し花が趣味だったりと、性格とは裏腹な面も多いのだが、周囲にはなぜかそれを隠そうとしている。

主人公になついてくる元気系後輩キャラであるいなば。
序盤から主人公への好意もわかりやすく伝わるヒロインの一人なのだが、そんな彼女にも何故か一歩踏み込ませない壁を感じる部分があった。個別シナリオではそんな彼女の持つ「秘密」に踏み込んでゆくことで彼女の内面が描き出されている。
様々なしがらみゆえに、性格と行動にどこかギャップのあった「いなば」の変化、こうした部分を主人公の上京と合わせて、一つの「卒業」という形で表現されていた。
物語では親友である「七」との関係についても触れられていたのだが、意外だったのは、いなばの家庭部分には踏み込まなかったところだろうか、そのあたりがスルーされていたのは少し残念。


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萩野 夢√【 ★★★★☆ 】  1.5h
保健室登校をしている主人公のクラスメイト。
何事にも無気力で気分屋だけれど、世間知らずでチョロい所もある。気を許した相手には距離感が近くなることもあり、そんなところが猫っぽいと七には評されていた。
人間嫌いでかつ重度のコミュ症を発症させており、そのため趣味の写真でも風景や動物ばかりを撮っている。

卒業アルバムに夢の写真を載せるため奔走する主人公、そんな姿を見て満更でもなさそうな夢。
二人が恋人になるまでに積み重ねた時間は多少特殊ではあるものの、主人公に信頼を寄せる夢にはどうしようもないほど庇護欲がわいてしまい、それこそが彼女の魅力の一端ともいえる。
なにより物語を進めることで、純粋が故に繊細で傷つきやすい夢の内面に気づくことができ、だからこそその後の目覚ましい成長は微笑ましく、心温まるシーンも多い。
作中においては、夢がふとした瞬間に魅せた涙にぐっと来てしまって、気が付くとこちらの涙腺もやられてしまっていた。
折角の流れを切ってしまっている事もあって残念に感じる事もあったが、それでも作中のプレイ前後で評価が一番変わったキャラであり、今作で最も評価しているシナリオの一つとして挙げられる。


20210515232938
松木 衣良√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
主人公のクラス担任で、数学を教える教諭。
感情表現が乏しく、また彼女自身の信念により、生徒とは一線を引いた態度をとってしまうことから、一見すると事務的に見えるが、本当は誰よりも生徒の事を大切に想っている。
主人公がアルバイトをしているコンビニの近くに住んでおり、残業後にはよくお酒を買ってゆく常連でもある。

堅物と言っても過言ではない衣良、そんな彼女との教師と生徒という禁断の恋が描かれているのだが、関係こそハードルにはなっていたが、意外とすんなりと描かれている。
どちらかというと、恋愛描写よりも共通ルートからあった衣良の教師としてのスタンスについてが終始テーマとなっていた。
主人公と交わることで、お互いに良い影響を与え合う、そうした部分が良く出た卒業式シーンでは衣良の変化というものも如実に感じられる。
読後感もすっきりとした良い話にまとめられており、総じての印象は良い話といえる。


[主人公]青野 志音
口数は少ないが、真面目で誠実な青年。
物語の序盤では急に妹ができたりと環境の変化も多く、加えて上京するために推薦入試を受けていたが、見事合格した後は群青の勧めもあり、自身の周囲を再度見つめなおす為に、卒業アルバム委員に立候補する。
上京は昔からの夢であり、資金を貯めるためにコンビニでアルバイトをしている。


【推奨攻略順:七→いなば→琴羽→衣良→夢】
攻略順に特に指定はないため、好きなキャラからの攻略で良いだろう。
上記は個人的に好きなシナリオが一番後ろにくるような順番で並べている。


CG
繊細な線で淡目の塗りの絵。
総じて美麗なのだが、息をのむほど完成度が高い絵がある一方で、絵のバランスに違和感を感じることもあり、そのあたりの落差は激しい。


音楽
BGM23曲、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
聞いた瞬間にこれはと思う程、質の高さを感じたのはタイトルで流れるBGM「はじまり」で、今作の雰囲気をよく作り上げてくれている。他にも「卒業」などはストレートに感情を揺さぶってくれていた。
Vo曲はスタイリッシュでカッコよいイントロが印象的なDucaさんの歌うOP「Ordinary day」がお勧めです。


お勧め度
CUBE作品という事で美麗な絵なんかはいつも通りなのだが、シナリオ部分は若干弱めで、その内容自体というよりはキャラや雰囲気重視の作品でもあり、全体的には静かな作品となっている。
そのため、上記で挙げたような要素に興味がある方にはお勧めしやすいが、一方で物語に大きな変化やシリアスシーンを求める人には、すこし物足りない作品ともいえるだろう。


総合評価
全体的には平均的なのだが、如何せん尖っているところが少なく、印象に残りにくい作品にもなっていたためこの評価。


【ぶっちゃけコーナー】
ヒロインは全部で5人。
複数ライターという事もあってか、それぞれのシナリオで結構味が違っていて、そういう意味では飽きが来ない作品であった。
けれど、ストーリー部分の評価でもあるように、流れのぶつ切りが気になったというのと、あともう少し心理描写部分は他人視点を利用してもいいのかもと思った。
それを利用しているシナリオもあるにはあったので、そのあたりは全体的にシナリオのすり合わせみたいなものが必要だったのかなと思う。
総じて演出した雰囲気は悪くなかったのだけれどね。

キャラクターという意味では魅力的な人が結構登場していて、ヒロインの中では特に衣良先生なんかはぐっと来た人も多いのでは。
こういうキャラは表現するのが難しいけれど、今作では堅物で事務的という味を出しつつも可愛さが両立で来ていたのがすごいですね。
サブキャラクターではやっぱり群青の存在が異質だったかな。
昔の憧れた初恋の人って結構重めの存在だったけど、今作ではうまく物語の起点に使われていたりと、作品展開に一役買ってたのも良かったですね。
後半になるにつれて少しずつ印象が薄くなってゆくのだけが少し悲しい所ですが、まぁ仕方がないですよね。



タイトル : コイ×ミツ ~八重練紗祈と赤い糸の王子様~
ブランド : とるてそふと


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 4.5h)

シナリオ
とるてそふとから発売される「コイ×ミツ」シリーズ三部作

・コイ×ミツ ~八重練紗祈と赤い糸の王子様~
・コイ×ミツ ~千葉静玖とサボテンの手紙~
・コイ×ミツ ~絹織双鳩とお菓子の国の約束~

の1作目となる今作、ヒロインとなっているのはタイトルにもある『八重練 紗祈』で、強面な主人公とギャルっぽいクラスメイト紗祈との恋愛を描く。

販売形式こそロープライスによくあるの単一ヒロイン物となっているのだが、今後の作品に搭載もされるであろう共通ルート部分(体験版部分)と個別√が明確に分かれていたりと、、どちらかというと単一の作品を分割したようなシナリオ構成となっている。
その内容自体は公式に『ミツのようにアマいコイをするためのAVG』とあるように、キャラクターの魅力を前面に押しつつ、恋人同士の甘い時間をメインに添えており、二人が付き合うまでは甘酸っぱく、そして付き合ってからはひたすらに甘い日常が描かれている。

学園物におけるクラスメイト同士の恋という事もあって、主軸の展開がオーソドックスではあるが、そのぶん主人公たちの心情を重視して描いており、そうした感情を物語の起伏と合わせて作られている為、各シーンにおける感情移入もしやすくなっていたように思う。

加えて特筆すべきは特に主人公の良さだろう。
強面な故に様々な苦難を強いられた過去がある故に、多くの場面で諦めてしまう主人公、そんな彼がヒロインの為に必死に行動する姿には、どうしてか感じ入る部分があり、単純ではあるけれども、たびたびこちらの心を動かされるシーンもあった。
ヒロインだけではなく、主人公も好きになれる作品というのは貴重でありキャラゲーとしての重要な要素ともいえるだろう。

恋愛学園物としての要素に加えて、キャラゲーとしてのシナリオへ引き込む力もある今作、販売形式として今後のために残された伏線などもあるため、一概に評価賀しずらい部分はあるものの、単体としてみた時のシナリオは評価以上のものがあると思ってよいだろう。


共通√【 ★★★★☆ 】  2h
シリーズの三作品に共通して搭載されているためか、シリーズ自体の導入として作られており、
特定の作品のみをプレイする場合においても極力障害が出ないような仕様となっている所はシナリオの特徴ともいえるだろう。

内容としては主人公とコイ×ミツシリーズのヒロインである紗祈、静玖、双鳩らが『スイーツら部』を設立させるまでのエピソードが盛り込まれている。
共通と銘打たれているものの、各ヒロインとのエピソードもしっかりと存在しており、特に紗祈と静玖に関しては主人公に対して恋に落ちる気持ちの変遷がしっかりと描かれていた。
残る双鳩に関してはイベントシーンも少なく、先の二人に比べると分量が劣っており、ミステリアスな印象を受けた。
恋愛作品に最も重要であろうヒロイン達の可愛さを前面に押し出しつつも、物語自体の魅力もしっかりと伝わるような展開となっており、特に部を設立するまでの流れに関しては、展開の「山」と「谷」がハッキリとしており、
展開の中では主人公の魅力を感じられるようなシーンもあったりと、恋愛物の導入としては見本の様であった。


八重練 紗祈√【 ★★★☆☆ 】  2.5h
ギャルっぽい見た目をしている主人公のクラスメイト。
フランスの血が入ったハーフであるため、その容姿はかなり日本人離れしていて、その見た目から、恋愛マスターとして学園中の女子から頼りにされている。
実際に相談を持ち掛けると見事一刀両断してくれるのだが、実際の恋愛経験は全くなく、相談の答えも専ら愛読する恋愛少女漫画からの知識を借りている。

ヒロインのモノローグという形で共通ルートを振り返って始まる個別シナリオ、紗祈自身が見た目にコンプレックスを持ち、また少女漫画が好きだったりと共通点の多い二人の距離が急激に近くなってゆく所から物語が始まる。
似た価値観を持つ二人が意識し合う初々しい姿は甘酸っぱく、そして経験不足もあって素直に好きと言えずにお互い悩んだり、一瞬のふれあいが嬉しくて、だからこそ嫌われるのが怖くて行動に映れなかったり、辛い、苦しい、それ以上にドキドキする、ジェットコースターみたいに乱高下する気持ちが良く表現されており、恋愛物のオーソドックスかつ王道な部分が収められている。
だからこそ、後半のバカップルな姿も素直に心に受け止めることができ、ヒロインである紗祈の可愛さには勿論、二人の幸せな未来へ向かう姿に此方まで幸せを感じるのだろう。


[主人公]桐生 千尋
顔の彫が深いためか生活が困難なほど怖く見える容姿をしており、その見た目から人からは敬遠されることも多い。
しかしながら、外見に似合わずお菓子作りを趣味としており、加えて少女漫画好きでロマンチストな一面があったりもする。
基本的に根は良い青年なので、人が良すぎて損することも多い。
作中では特別に同好会という形で、細々とお菓子作りをしていたが…。


【推奨攻略順:選択肢無】
作中に選択肢は無く1本道となっている。


CG
繊細で柔らかさもある絵で、中でも立ち絵はコミカルな表情もあったりと表現の幅も広く美麗。
CGに関しては共通ルートも含まれている為、紗祈以外のキャラクターCGも数枚含まれており、この部分はおそらく今後の作品でも共通となる部分といえるだろう。
なお個別シナリオにおけるHシーンは6シーン用意されていた。


音楽
BGM?曲、Vo曲1曲(主題歌)という構成。
音楽鑑賞画面が無いため、各種正確な情報は不明となっている。ただしBGMの曲数はそう多くないような気もする。
Vo曲は安田みずほさんの歌う「It's All Right ~Brand New Ver.~」が主題歌として使用されており、明るく爽やかなロック調の曲となっている。


お勧め度
コイ×ミツシリーズとして発売された3作の1作目。
単一の短いシナリオというよりは、共通ルート+各個別シナリオという形を持っている為、今作のみのプレイでも問題ない仕様になっており、一部伏線等は残されたままだが、物語自体はしっかりと完結をしている。
紗祈のキャラクター的魅力が前面に出ており、加えて主人公も好印象であったりと、キャラゲーとしても楽しむことができる作品となっていた。またシナリオもオーソドックスではあるものの、それゆえに安定した内容となっているため、様々な人にとって楽しめる作品になっている。
但し、今後まとまった形で販売される可能性も高いため、そういった購入方法を望む場合は、プレイを我慢したほうが良いのかもしれない。


総合評価
販売形式の特殊さはあるものの、シナリオや絵の質は確かであり、単体としてみた時の完成度が高く、今後のシリーズ作品への期待も高まる作品となっていた。
評定以上に個人的には評価している。


【ぶっちゃけコーナー】
ロープライスゲーというよりは昨今多くなった分割商法の一つと考えたほうが良いのかもしれない。
おそらく、今後も体験版部分でもある共通ルートと、この作品にある個別√の様な部分をあと2回販売する形になるのだろう。
もちろんすべてを購入することで入手可能なアペンドストーリーがあったりと、仕組みが色々考えられているものの、やっぱりそのうちすべてが入ったセットみたいなものが売られるんじゃないかなと思ってしまう。
それで手が伸びない人もいるのは仕方が無いのかもなぁ。

プレイした人の正直な感想としては、想った以上に楽しめたというべきかな。
ロープライスという事でハードル自体が低かったのは確かにあるものの、共通ルートまでの流れでも結構心動かされるシーンもあったり、紗祈√(√1個しかないけれど)に関しても、「お、いいな」と思えるシーンは結構あった。
恋愛シーンもしっかりと作られている印象を受けてたし、萌えゲーとしてだけでなくキャラゲーとして楽しめたのは、ロープライス作品だと久しぶりかもしれない。

それだけになぜこの販売方法…? と思わなくもない。
デメリットは無いかもしれないが、逆に物語としての利点は殆どないからなぁ…ああ、でも単一ヒロインを攻略したい人にっては節約になってもいいのかもしれない。
そういう事を考えると、やっぱり賛否両論で難しい所ではある。

後地味にキャストインタビューとかあるのも嬉しかったかな、何故か動画鑑賞だけがあって、音楽鑑賞無いのはつらいけれど
総括としてはシナリオは結構楽しめましたよ、という事だけ再度伝えておきたい。



タイトル : 9-nine- 新章
ブランド : ぱれっと


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 1.5h)

ぱれっとから発売された

・9-nine- ここのつここのかここのいろ
・9-nine- そらいろそらうたそらのおと
・9-nine- はるいろはるこいはるのかぜ
・9-nine- ゆきいろゆきはなゆきのあと

の9-nine-シリーズ4編の続編にあたる今作。

上記全編を含めた全年齢版と追加部分にあたる新章のみの販売が行われている。
シナリオと直接関係していないが、その仕様詳細などが違うため、詳細は下記画像や上部画像から公式HPを確認するとよいだろう。
20210118221745
ぱれっと公式HPより

シナリオ
上記でも説明した通り「9-nine-シリーズ」の続編として制作された今作。
シナリオとしては「9-nine- ゆきいろゆきはなゆきのあと」の終盤でも匂わされていた”最後の枝”での物語に加え、各ヒロインのエピローグシナリオが描かれている。

物語としては既に終結した作品であることや、分量としても230kb程度と公言されている為、展開としてもそこまで大きなものになってはいない。
中には今まで説明されなかった設定が語られることもあり、各種能力において不明だった点の説明などが主な物ではあるが、特にとある人物がなぜ現在のようになってしまったのか、その一端を担ったであろうエピソードなども語られており、本編であまり触れられなかったこともあり、作品を理解する上でも重要な要素であったといえるだろう。

触れるとネタバレになってしまうシーンも多いため、深く言及はしないが続編と銘打たれているため過大な期待をしてしまいがちだが、もう一度あの世界に浸るためのFDだと考えればその内容や分量にも納得がいくものとなっていた。


【推奨攻略順:なし】
仕様上選択肢は存在するものの、物語は1本道。


CG
細い線に淡い塗り、柔らかさの伝わってくる、安定の和泉つばす先生の絵。
追加されたCGは7つほどで、SD絵も3つほど追加されており、全年齢版でもあるためHシーンは存在しない。
数が少ないと思うか、1500のFDならこれで十分と思うか、それは人それぞれだろうが、個人的には十分量が用意されているように思う。


音楽
BGMとしての追加曲について、詳細は確認していないものの、おそらくされておらず、また全年齢版にはOP「InFINITE Line」が存在しているものの、単品である今作には存在せず、ED曲の「InFINITE Line ~Grand ver.~」のみが追加の対象になる。
楽曲としては素晴らしいものの、上記の部分のようなややこしい事情もあり評価を平均的なものとしている。


お勧め度
「9-nine-」シリーズをプレイしたことがない人にとっては『新章』のみのプレイはもちろん推奨できない。ただし、シリーズ自体の完成度はかなり高いため、これを期に『全年齢版』の購入を個人的には推奨しておきたい。
そのため今までの4作をすべて個別に購入してきた人のみが、今作の「新章」単体での購入対象になるだが、上記でも説明したように販売方法にかなり問題があるため、本来必要ではない『全年齢版』の購入を考えざるをえないケースもある。
単体としての完成度も平均的ではあるため、評価としてはこの程度となっている。


総合評価
シリーズ物のFDという考え方で見れば及第点の作品といえ、この評価となっている。


【ぶっちゃけコーナー】
作品としては新章単体ならFD作品だなーという印象以外には特になくて、天との掛け合いが増えたのは個人的に楽しかったし良かった所として挙げられるけど、物語としてはやっぱり終わってしまってるからなぁ、前作に含めてても問題ないくらいの量だったし。

やっぱりほかでも話題になっていたけれど、販売方法が気になるかな。
今まで作品が全部そろうまで買うのを待ってた人にとっては、Hシーンが無いというデメリットはあるけれど全部入った全年齢版を買うのが良いんだろうね。
一方で、今までの1作ずつ買ってた人はこの新章のみの購入が良いのだろう、解像度は少し低いしOP見れないし、立ち絵鑑賞やらキャストインタビューやら、なんかいろいろついてないけれどね。
ではエロシーンも欲しいし、他の全部も欲しいしってなると、今回の全年齢版と各4作品を買わなきゃいけない。
…まぁエロシーン云々に関しては、色々としょうがないにしても、販売方法としては人の購買意欲を変に利用したあんまり品が無い売り方のように思えるよなぁ。
無駄に出費してしまう人もいれば、逆に人によっては熱が冷めてしまうだろうし…これで賛否両論になってしまうのは仕方がない気がする。

まぁ、気にする人は気になるんだろうけれど、今後はこういう形で売られなきゃいいなーと思うのが正直な所。



タイトル : ゆびさきコネクション
ブランド : HOOKSOFT


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 7.5h)

キャラクター・シナリオ

ゆびさきからはじまる――

主人公となるのは社会人数年目の好青年。
日々の生活にも慣れた頃、無趣味で女性との接点も殆どなかった主人公が、そんな生活に終止符を打つため、会社の先輩や周囲の後押しもあり、少しだけ積極性を持つよう心がける所から物語が始まってゆく。

本作のコンセプトとしてはタイトルにもある通り「ゆびさき」、SNSによる繋がりを軸に変わってゆく主人公の生活にファクターを当てている。
学生ではなく社会人だからこそ、特定の場所でしか交わりが無いヒロインたちが攻略対象となっており、そうした物語の性質上、他のヒロインと絡まないなどの特性も生まれていた。だからこそそのやり取りはSNSを通じて―というコンセプトが発生した流れも、その趣旨も非の打ち所がないものとなっている。
しかしながら、肝心のSNS部分に関しては、メールのようなコミニケションツールの一つとしてしか使用されておらず、コンセプトを活かしきっているかといわれると甚だ疑問で、公式HPにも大きく魅力として紹介されているが、あまりそうした魅力を感じなかったのがプレイした正直な感想であり、今作のシナリオ評価の足を引っ張っていた部分でもあった。

コンセプトとは別に今作の特色として挙げられる点もある。
共通ルートは存在しているものの、本当の共通といえるのはプロローグ部分までであり、それ以外の共通部分は選択肢によって各ヒロインシナリオへと分岐してゆく事となるのだが、そのために他のヒロインと干渉することが全くなく、ある意味では二人の世界観のみで描かれた作品となっていた。
ゆえに一人のヒロインを掘り下げて描けていたのだが、一方でこうした作品は世界観が狭いがゆえに展開に制限が掛かりがちで、閉塞感を発生させがちだ。ただし各ヒロイン√ではそれぞれにヒロインの親友となるようなポジションのキャラクターが用意されていたりと、そうした部分の対策が取られていたのは好印象。
なによりHOOKSOFTの魅力(というよりライターさんの魅力)である日常シーンの存在が大きい。
ギャグを絡めたテンポの良い会話シーンはどのヒロインであっても、形を変えて存在しており、その豊富なキャッチボールは見ていても飽きない。
その為、最後まで上記にあるような閉塞感を感じるシーンもあまりなくエンディングまでプレイできるようになっていた。

日常シーン自体に飽きが来ないように作られているものの、各ヒロイン√での話は大雑把に言えば幸せになるためのステップアップがメイン。そのため話の中には殆どシリアスシーンがなく、起伏のない物語のように感じられる。
しかしながら、ただ幸せな日々を描くのではなく、それぞれのヒロインによって変わる幸せの形を意識させるようなシナリオ展開となっていた。
相手との幸せのために自分や相手が変わり、そのために努力する、それに向けて邁進していく二人の様子がボリュームをもってしっかりと描かれているため、各ルートでの雰囲気が全く変わっているのが興味深い所ともいえるだろう。

日常シーンは魅力的でヒロインと幸せになる過程を描いた明るい作品としてはよくできているのだが、如何せん全体的なパンチの弱さがあり、加えてコンセプトであるSNS部分を巧く生かしきれていなかった事、そのあたりを鑑みるとどうしても高い評価にはしにくくなっている。


共通√【 ★★☆☆☆ 】  1.5h
物語の序盤ではバーテンダーである伊織との出会いと、学生時代の後輩である夏歩との再会部分のみが描かれており、その他のヒロインは登場しない。
またOP以降は選択によって各ヒロインシナリオが描かれているため、共通としての部分は非常に少なく、評価自体はし辛い。
ただし、概ねの流れとして恋愛下手だった主人公が一念発起し、周囲や自身の意識の変化によって少しずつレベルアップしていく様子を描く。



20210506014850
桜坂 悠月√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
喫茶店でアルバイトしている女学生。
笑顔が明るくノリのよい性格をしており、誰にでも分け隔てなく接することができるのだが、周囲に男性が余りおらず、そんな中で出会った主人公とは会ってすぐに打ち解けてゆく。
ファッションを始め、ゲームや料理などの趣味が多く、その費用捻出のために複数のバイトを掛け持ちしている。

プロローグでは登場しなかった悠月とは彼女のバイトする喫茶店で出会う。
個別シナリオではそんな二人がやがて付き合うようになり、そして幸せとなるまでのステップアップが順当に描かれている。
ノリがよい悠月とのかけあいシーンは、お互いにボケて突っ込んでと会話のテンポも良く、対等に想い合う様子が表現されていた。
また恋愛部分については、年下相手の恋愛という事もあって、多少暴走しがちな所がある悠月をフォローする形で主人公が立ちまわるシーンも多い。
物語の後半では悠月と主人公以外の意外な関係の発展もあったりと、意外性も多少ある内容となっていた。


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双葉 夏歩√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
主人公の元後輩で主人公にオシャレを教えてくれるギャル。
背伸びをしたい年頃なのか「オトナな女性」に憧れており、主人公をてのひらで転がすためからかうことも多く、そうしたところが小悪魔っぽくも見え、少し自己中心的な行動はするけれど、きちんと相手のことも思いやれるいい子。

一時は疎遠になっていたものの、夏歩ポジティブな性格や積極性、さらには元々が後輩という事もあってか、比較的序盤から距離感の近い関係となっている。
そんな彼女との日々は、多くのシーンにおいても夏歩が主体となって主人公を振り回しており、彼女の若さやエネルギッシュな部分が前面に出ていた。
一方で恋愛に関してはかなり純情で、特に彼女視点から恋に落ちる様子などが描かれていることもあって、そのギャップにより可愛さを感じる事ができる。


20210509022103
秋月 美琴√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
主人公の隣の部屋に住むキャリアウーマン。
対外的な部分は完璧にふるまっている為、その美人な見た目もあわせて仕事の出来るOLといった雰囲気を醸し出しているが、その分自宅ではとことんラフに過ごすというギャップも。
かなりの日本酒好きなのだが、女性の一人暮らしで飲んでいる事を話すのが恥ずかしいため、特に親しい相手以外には秘密にしている。

悠月と同様にプロローグでは出番のなかった美琴との物語は、隣人の恋という日常の延長線上からの出会いをスタートとしている。
お互いに仕事をしているという関係もあり、他のシナリオよりも対等な関係を築いている印象が強く、お互いに自然に接する楽な関係が描かれていた。
また物語の後半では美琴の結婚観についても触れられており、特にヒロインと付き合った後、結婚に向けて行動する姿などもボリュームをもって描かれている。


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橘 伊織√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
大人の余裕を感じさせるバーテンダー。
バーを経営しており、その頼れそうな雰囲気も相まってバーテンダーとして日々多くの人の相談に乗っていたりもする。
かくゆう主人公も恋愛について相談に乗ってもらっていたりするのだが、そんな主人公をからかって遊ぶお茶目な一面も。

お酒好きという点では美琴と被る部分もあるが、伊織√では仕事に絡んでいる事もあってより本格的であり、なによりバーという大人の社交場であるバーの魅力やそこで提供されているアルコールについての魅力を感じられる内容にもなっている。
バーを舞台にしている為か大人っぽくオシャレなものが多かったのだが、特に描写として多かったのは時間の合わない二人が同棲のために活動するシーンだろう。
こうした生活の変化も結婚へ至る過程には欠かせない要素であり、また実際の恋愛方面に関しても恋愛初心者な伊織ではあるものの、年上らしくしっかりとリードをしてくれている。
こうした大人っぽい雰囲気が少しハスキーなCVの葵時緒さんとの声の相性も良かったといえるだろう。


[主人公]水無瀬 悠真
社会人としての経験はまだ浅いものの、やっと日々の生活に慣れてきたノリのよい好青年。
そうした生活を生き抜くのに必死になり過ぎたせいで、これといった趣味も無く、もちろん女の子との接点も無いため、日々を怠惰に過ごしていた。


【推奨攻略順:悠月→夏歩→美琴→伊織】
共通ルートを含めてヒロイン同士の接点は全くなく、シナリオとしての順序も存在しないため、好きな順番での攻略で良いだろう。


CG
柔らかく細い線にしっかりとした色彩を感じる塗。
CGに関しては全体的に質も高く、また枚数も十二分そろっている。
Hシーンは各キャラ6シーン存在しており、また各シーンにおけるアンダーヘアの有無を設定出来たりと、そういう部分にも今までより力が入れられている印象を受けた。
SD絵も数枚ながら存在しており、加えて立ち絵には目パチ機能付き。


音楽
BGM25曲、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
全体的にバランスよくそろえられているのだが、印象的なのはOP「サニスコープ」。
曲調自体は段々とテンポが上がってゆく明るい楽曲なのだが、特にこれのBGMアレンジが豊富で、各キャラようにまでアレンジされている所が印象深い。
そのどれも完成度が高いのだが、個人的にはアコースティックギターアレンジが気に入っている。


お勧め度
主人公が社会人という事で学園物とは一味違ったテイストとなっている今作。
特に主人公とヒロインが付き合った後の描写にも力が入れられており、そこを一つのゴールとするわけではなく、同棲や結婚などお互いの幸せに向け、未来への道のりを歩む様子がしっかりと描かれた作品となっている。
物語としては起伏が少ないものの、日常シーンにおける会話のテンポは常に軽快であるため、広くプレイしやすい作品には仕上がっているだろう。


総合評価
全体的にHOOKSOFTらしい笑いも恋愛もしっかりと描いた作品になっている一方で、コンセプト部分に問題があったりと不足点もありこの評価。


【ぶっちゃけコーナー】
シナリオ評価の部分でも書いたけれど、やっぱりコンセプトに関しては疑問を感じざるを得ない。
まぁ、ランダムで会話内容が変わるあたりは面白いな、とおもうのだけれど、正直それ以外は今までの作品にもツールとしてのメールが存在していたからなぁ…。
もう少しシナリオ部分に大きく関わる何かの役割をはたしていれば問題視しなかったのかもしれない。
公式にある説名ではもう少し違った仕様にみえるのだけれど、そのあたりは制作してて変わっちゃったのかな、いずれにせよ別にそれで物語が面白くなくなっているわけではないので、あくまで宣伝方法の問題ともいえる。

この作品で一番「良いな」と思ったのはやっぱり日常シーンなんだよね。
ギャグシーンが面白かったのはもちろんだけど、それ以外の幸せへ段階をもって向かってゆく姿が良かったなぁ。
もちろん恋愛物としての山場、告白シーンやエンディング部分も魅力だったんだけれど、好きな人と過ごす日々、それ自体が宝石のような物なんだな、って伝わってくる内容だった気がする。
純粋に「誰かと結婚したい」ってこちらに思わせるような内容を、それも各ヒロイン√で形を変えてしっかりと描いてくれていた。

コンセプトはともかくとして、作品自体はすごくオーソドックスでありつつ、しっかりとした魅力もある作品なので、今までの作品のファンの人にとっても、初心者にとっても楽しみやすい作品になっている気がするな。



タイトル : 幼馴染のいる暮らし
ブランド : あざらしそふと


シナリオ : ★★☆☆☆ [2/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 2h弱)

シナリオ
かわいい幼馴染に見も心も癒される毎日がコンセプトの今作。
ヒロインとなるのは主人公の事が大好きな全肯定系幼馴染ヒロインの「桜沢 舞雪」であり、物語では舞雪と主人公が初めて別々のクラスになった事を契機に関係が進展してゆくところから始まる。

ロープラという事で作品のシナリオは短いものの、設定は至極単純でオーソドックスなため、余分な説明などは殆どなく、その分集中して二人の蜜月が描かれている。
幼い頃から主人公の事が大好きで、ぎゅっとするのが大好きな、見た目も雰囲気も柔らかな印象を受けるヒロインの舞雪、そんな彼女と過ごす日々は最初から甘さ全開。甘くないシーンを探す方が難しいほどで、オーソドックスな展開からちょっとアブノーマルなものまでイチャラブをこれでもかと詰め込まれていた。

萌えゲーであり純愛作品に分類される本作ではあるが、Hシーンもコンセプトの一つとなっており、作中では合計8シーン程が用意されていて、シチュエーションも様々なのでシナリオ以外の部分に注力されている事が感じられる。

また同社から出ている製品『メイドさんのいる暮らし』と世界観が共通(制作陣も企画やCGは同じ)しており、本作中においてもヒロインであったイヴや主人公、その他サブキャラクターも登場している。
予想以上に展開に絡んでいた為、良い点と悪い点はあるものの、プレイ済みの人にとっては楽しめる部分ともいえるだろう。

ただし、シナリオとしてはコンセプトを一貫し、イチャラブを描いた作品であるために、物語の起伏というものが殆どなく終わってしまっている。
そうした作品であるのだから仕方がないとはいえ、読み応えという意味ではあまり良くなく、評価を抑えてしまっているのはこの辺りが原因となっている。


【推奨攻略順:選択肢無し】
1つだけ選択肢があるものの、展開は変わらない。


CG
細い線で描かれ、はっきりとした鮮やかな塗の絵。
イベントCGは22枚、そのうちHCGにあたるのは約半数(Hシーン自体はは10シーン)。
あざらし特有の4:3サイズではあるものの総じて質は良く、枚数もシナリオ分量的には十二分といえるだろう。
前作と舞台が同じという事もあって、ヒロインであったイヴ等の立ち絵や一部の背景も引き続き登場している。


音楽
BGMo12曲、Vo曲1曲という構成。
個人的に気に入っているBGMは「薄暮」で、イントロが綺麗で印象に良く残っていた。また前作で使われていたBGMがあるかは不明だが、多くは新規だと思われる。
Vo曲も前回から引き続きのCooRieさんで「セツナイロ」で、幼馴染の等身大の恋をテーマとした歌詞は今作との相性もぴったりといえるだろう。


お勧め度
タイトル通り幼馴染との甘い恋愛をテーマとした作品。
普遍的なテーマでイチャラブがメインとなっているので、ターゲット層は多いものの、逆にこれというアピールポイントが余りないのは痛い所。
事前プレイが必要なほどではないものの『メイドさんのいる暮らし』と関係したシーンも多いため、そのあたりに興味を持った方にとっては一考の余地があるかもしれない。
また、あざらしそふとらしく全体的な質の高さは確かで、この設定のシナリオが好きなら十分楽しめる内容にはなっている。


総合評価
全体的な質の高さと普遍的なテーマ、という2点を鑑みると、平均的な萌えゲーと評することができ、この評価になっている。


【ぶっちゃけコーナー】
コンセプトを一貫して実現し続けたイチャラブ甘々な作品ということで、それ以上のコメントが無いんだよね。
『メイドさんのいる暮らし』もそうだけれど、シチュエーションかヒロインを気に入れば、多分全部好きになれるだろうし、逆にそうでもないのなら好きになる要素は少ない。
それくらい一点特化した作品なのはロープラらしいと言えば、ロープラらしいし、その他の品質に関してはブランド「あざらしそふと」としての安定した良い所が出ていたかな。

シナリオについて一つ言うのならイヴやその他の面々の登場に関して。
出す必要性を感じないとまではいわないが、、ここまで登場してしまうと、過去作をプレイしていないと、どうなのだろう…と思ってしまった。(少なくとも今作のヒロインの指針に関わっていたし)
かといってシリーズ物といえるかと言われると、それほどでもないしなぁ…。
個人的にはプレイしていたからあまり気にならなかったのだけれど、そのあたりのさじ加減は難しい。



タイトル : ユキイロサイン
ブランド : Wonder Fool


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★★ [5/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★★ [5/5]
(総プレイ時間 : 10h)


キャラクター・シナリオ
日本有数の豪雪地帯『南逢瀬町』そこに住む主人公の「羽染 宗冬」と幼馴染兼親戚の「勿来 美玖」と「薄 広中」の元へやって来たロシアからの留学生スヴェトラーナ・グルチェンコ(通称スヴェ)とその3か月後に転校してきた高萩 香子。
冬の田舎町を舞台に3人から5人へ、少しずつ変化してゆく日常と心温まるふれあいを描く。

企画・シナリオを担当したのは、戯画の『アオナツライン』を手がけた冬野どんぶくさん。
夏の青春作品の次に生み出されたのは寒い冬、雪が降りしきるのんびりとした田舎の町を舞台としたシナリオであり、『等身大の群像劇』をコンセプトに描く。

攻略ヒロインは3人と少なめであり、共通を含めたすべての分量を鑑みても、多少控え目なボリュームといえるだろう。しかしながら詰まっている時間は濃密であり、最初から最後まで時間を忘れてプレイし終えてしまうほどの魅力がある。

田舎を舞台としている事だけあって、幼馴染の3人に二人が加わった日常シーンは賑やかだけれども素朴で、のんびりとしていて、どこまでもありふれた日々が表現されていた。
そんな今作における最大の魅力は「人」であり、南逢瀬町に住む人々がしっかりとこの物語に根差し、自由に動き回っている姿には躍動感すら感じる。
今作が主人公やヒロイン達だけではなくそこで息づく人々を感じさせる物語であったことは間違いない。
田舎の良い点でもあり悪い点でもある人と人の距離の近さが―よく言えば「絆」であり悪く言えば「しがらみ」が―、この物語に大きな影響を与えていた事は言うまでもない。
特に共通やスヴェ√ではそうした周囲の温かさが顕著に物語に現れており、寒い冬が舞台になっているからこそ、そうした人と人の繋がりにある暖かさが、一層際立っていたように思う。
もう一つ浮かび上がってくるのが今作のヒロイン達の魅力だろう。
天真爛漫だけれど小心者なスヴェを筆頭に、苦労性で自己評価の低い香子、そして何より美玖というキャラクター、違いはあれど人に優しさをもって接しようとする、そんな暖かな心の持ち主たちだ。
加えてこのキャラクターならこう思うだろう、とこちらに想像させうるほどしっかりと内面の描写がなされており、だからこそ自然と感情移入をしてしまう。
こうした部分は物語の端々で寄与が大きく、その心を想い涙が溢れてしまうシーンは1か所や2か所では足りず、今作に欠かせないシナリオの大きな魅力として挙げる事もできるだろう。

コンセプトでもある群像劇という部分についても見事に表現されている。
共通ルートはもちろんなのだが、各ヒロイン√においても主人公以外からの視点での描写が多く用いられており、加えて二人だけの狭い世界の物語にすることなく、皆の中に生きる一人として展開してゆく、という物語を一貫したスタンスで描いていた。
攻略ヒロインとしてスポットは当たっており、恋人としての主人公も登場しているものの、あくまでそれは物語の構成としてだけであり、そこにいる人たちが協力して問題を乗り越えていく。
そうした姿にこそ尊さを感じてしまうのは、それがありふれたものでありながら、周りから消えてしまった事だからかもしれない。
作品をプレイして振り返ると、もちろん恋愛物としての側面もあるが大きくは青春物として考えるべき作品なのだろう。

奇跡のように巡り合い、平穏な日常で培われる絆、暗く影を落とすような不和まで、等身大の物語であると同時にそこに生きる人にとっては掛け替えのない物語という事を何度も感じさせられ、だからこそそれを垣間見た私たちの心にもほんのりとした温かさのある光を灯してくれるのだろう。


共通√【 ★★★★☆ 】  2.5h
スヴェの留学直後も描かれているが、本筋としてはそこから3か月後の香子の転校を起点とし、学園生活を送る4人が親しくなり、町おこしイベントを成功させるまでを描く。

印象的な最序盤の描写とは裏腹に、雪国らしく静かにゆったりと物語が始まり、誰が主人公に沿えるという事ではなく、様々な視点から物語を群像劇の様に、学園生活のワンシーンを切り取るような形で描き出していた。
内容としてはタイトルにもある「サイン」についても言及されており、加えて一つのシーンにおける心理描写が丁寧かつ分かりやすくなっていたため、キャラクター同士の掛け合いが楽しく感じられると同時に、そのふれあいが心を温めてくれているように感じるシーンも多くあった。


20210502180457
勿来 美玖√【 ★★★★☆ 】  2.5h
宗冬や広中の幼馴染であり親戚。
自分の信念をしっかりと持ち、基本的に言葉を飾らない。加えて自分の素の姿を見せるのが得意ではなく、照れ隠しのためにきつい言葉を発してしまう事も多いため、冷たい印象を受けることも多い。
しかしながら実際には面倒見が良く、ホームステイしてきたスヴェとは相性が良かったためか、実質保護者のような役回りになっている。

幼馴染で親戚という近い距離の二人の恋愛は、共通ルートから仄めかされていたように、過去の話が深く関わってくる。
過去の失敗あるからこそ絡まる感情、ドロドロとした複雑な想いの中であがき続ける主人公と美玖の様子は見ているこちらも、思わず胸を詰まらせてしまうほどであり、そうした部分を見事に表現しきった手腕は流石という他ない。だからこそなのかもしれないが、告白シーン綺麗さという意味では比類なきものがあり、美玖自身の持つ凄みのある美しさのようなものが際立っていた。
後半では美玖との話だけではなく、幼馴染としてのシナリオが描かれており、『青春』を包括的なテーマとした今作に相応しい、青臭くもどこまでも澄み渡る青空のような爽快感のある内容となっていた。


20210502180438
高萩 香子√【 ★★★★☆ 】  2.5h
南逢瀬町に転校してきた大人しい性格の下級生。
小さな頃は南逢瀬町に住んでおり、他の3人とも仲が良かったのだが、完全に忘れられるという不幸な体験をしたものの、そのまま仲良くなることができた。
スキーの才能に溢れているものの、その性格からか自分に自信が持てず、苦労性の常識人と他の3人からは評されている。

個別シナリオでは主人公に相談することで自分とスキーの向き合い方を考えるようにり、自身の事を深く理解してくれると同時に、同類のような親近感を主人公に持ったことから距離が縮まってゆく。
香子のスキーについての問題も無関係ではないものの、二人のシナリオの盛り上がりは中盤、特に恋愛描写において力が入れられている。
テーマとしたのは似た者同士の恋愛であり、気持ちのすれ違いによって、未来や夢に悩む二人を描いている。
同じ目線で未来へと歩んでゆく難しさ、誰かを想うがゆえに自分の思うがままに行動することの大切さ、香子√にあったのは等身大の恋愛を真正面から描いたシナリオともいえるだろう。


20210502180430
スヴェトラーナ・グルチェンコ√【 ★★★★★  2.5h
姉妹都市のあるロシアからやってきた天真爛漫な留学生で美玖の家にホームステイしている。
初対面の相手には憶病な小心者だが慣れてくると強引なほど積極的になる、調子に乗りやすくて子供っぽいけれど、表裏のない優しく思いやりのある女の子。
アイスホッケーに関しては天才的な実力がある。

コミカルだけれど人を引き付ける魅力に富んだスヴェ。そんな彼女のシナリオにおける恋愛描写は序盤から中盤にかけて、降り積もる雪のように重ねてゆく日々の中で恋が発露した瞬間が見事に描かれており、中でも告白シーンは作中屈指の青春シーンであり、青春ゲー好きにとっては至高の場面と言っても良いだろう。
物語の後半は彼女の留学してきた理由等が絡められている。町の皆を愛しそして町の皆から愛されたスヴェという一人の少女の切なる叫びには胸を締め付けられ、そして彼女を取り巻く人々の温かさを感じられる内容となってた。プレイして涙を流したシーンは一つや二つではなく、特にクライマックスシーンは嗚咽を漏らしてしまったほどで、至極の出来と言ってよい。


[主人公]羽染 宗冬
アイスホッケー部に所属する青年。
温和な性格もあってか友人たちのまとめ役となる事が多いが、意外と血の気が多い部分も。
友人である美玖や広中とは幼馴染のあり親戚でもある。


【推奨攻略順:香子→スヴェ→美玖】
個別√に攻略指定等は無く、物語同士も干渉しないため好きな順番での攻略で良いだろう。
物語の読後感をよくするという意味では美玖√を最後に回すという事で上記の順番を個人的に推奨しておく。


CG
アオナツラインに続き原画を担当されたのはうみこさん。
柔らかな印象を受けるタッチで描かれたCGは淡い塗で仕上げられている。
枚数に関してもヒロインが少ない分、一人に対する分量はしっかりと取られており、1枚1枚の完成度も高いためこの分野に関して言える事は何もない。


音楽
BGM20曲、Vo曲4曲(OP1/ED3)という構成。
粒ぞろいという言葉がはじめに浮かぶBGM、数がそこまで多くないため満遍なくそろえられているイメージではあるが、どれも高品質で、特にキーとなる楽曲については舞台である冬をイメージさせるような透明感のあるものが多い。なかでも『Ride a white swan』と『記憶より』は特筆すべきレベルに至っている。
Vo曲はどれも素晴らしいのだが、個人的にはスヴェEDで流れた『BEST PLOT』がスヴェらしい勢いのある楽曲になっていて好み。また全体的に湿っぽくなりがちだった終盤で一気に雰囲気を好転させる起爆剤としての印象も強く、作品との親和性も高かった。


お勧め度
戯画から発売されている「アオナツライン」と原画や企画・シナリオライターが同じ作品ということもあり、かの作品のような質の良い青春ゲーに仕上がっており、雪の田舎町を舞台とした心温まるシナリオは、プレイする人の心を魅了してくれる。
シナリオを重視する人はもちろんの事、この作品に少しでも興味を持った人にはプレイを強く推奨したい作品である。


総合評価
絵・音楽・シナリオ、そのどれをとっても高品質にまとまった青春ゲーであり、2021年を代表する作品になろう事は予想に難くなく、この評価とした。


【ぶっちゃけコーナー】
ストレートにいうと『アオナツライン』に一歩届かずといったところ。流石に期待感はあったんだけれど、さすがにかの作品ほどではないというのが正直な感想だったりする。…まぁあれは別格よな。
それでも十分、年間ランキングチャートのトップに食い込める作品なんだと思う。

あんまり他の作品と比較するのはヨロシクないけれど、と前置きしつつ分かりやすさの為に、がっつり比べていこう。

作中ではタイトルにある「サイン」という言葉を『兆し』と解釈し、物語が動く切っ掛けとしてのモチーフとしていたりと、この辺りもなんだか共通点を感じる今作。
絵や音楽、なんならシナリオも全体的に拮抗している部分が多かったのだけれど、何がそんな違いを生んでいるのか。
アオナツラインという作品は分かりやすい青春ゲーであり、シチュエーションも泣かせるシーンの勢いも、ストレートで強い。
私自身がそういう作品に弱いのがあるので評価が高くなりやすいんですよね。
一方この作品は、そこの部分に関して弱かったのですが、物語として読んでいくとすごく納得できるというか、全体の完成度というべきなのか、とくにシナリオの完成度や構成的綺麗さみたいなものが向上していた気がする。
恋愛ゲームという性質上、ヒロインと主人公の1対1のシナリオになりがちなんだけれど、この作品はあくまでも「南逢瀬町」という大きな単位で物語が仕上げられていた。
公式では今作を群像劇と表現していたが、確かに主人公の宗冬という視点から物語を切り取って恋愛ゲームという側面を見せていただけで、それぞれの物語がそこにあるだけなんですよね。
そういう意味ではコンセプトをしっかりと表現できていたのだと思し、それを極めていたのが美玖√だったかな、本当に何度も言うけど物語の展開が理路整然としていて綺麗。
スヴェ√はアオナツライン寄りの泣きシーンもありつつ、上記部分も満たしていて、個人的好みに近かったんだよな。

本当はもっと語りたい事もあるんですよね、香子のどうしようもなく感情移入してしまう考え方とか、常時可愛くて魅力的なスヴェの心からの叫びの切なさとか、美玖の綺麗で儚いほどに一途な想いとか、、、ただあまり語るとそれこそネタバレになるしなぁ。
ともかくプレイし終えていえるのは南逢瀬町の一人になった気がするってのが、この作品を表現する上で一番良いのかもしれない。
んー振り返って思うけれど、やっぱり名作だなぁ、としみじみ思う。



タイトル : 我が姫君に栄冠を
ブランド : みなとそふと


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 18.5h)

キャラクター・シナリオ
企画・シナリオはタカヒロさん、原画はwagiさんという、みなとそふとの安定したコンビで送るは異色のファンタジー作品。

舞台となるのはハイクーン大陸、北にはグランスター帝国、南にタリオ連邦、西の島が天魔が棲むランケイジ。偶然にも、それぞれの勢力で若い女性が統治者となった「姫君の世紀」、嫁を探すために冒険に出た主人公の話となっている。

物語は3人のヒロインについて、大きく帝国編、連邦編、天魔族編の3つに分けて描かれており、またそれぞれに付随する形でかなり短いもののサブヒロインのシナリオも存在する。
帝国編をクリアすることで連邦編が、連邦編をクリアすることで天魔族のいるランケイジの話が読める形になっており、物語を進めるごとにハイクーン大陸の核となる部分へ近づく作りとなっている。
上記のように分岐数が少ないが一つ一つのボリュームは普通の作品の半分ほどがあり、総じて見た時のボリュームは十二分になっている。ただ後記にあるようにサブヒロインのシナリオがかなり短いため、あくまで3人のヒロインについての作品だと考えるとよいだろう。

異世界が舞台の作品という事もあって、今作には『天眷』という特殊能力や様々な魔獣、『大禍時』といった独自の設定が多く組み込まれている。
そうした部分についての解説は旅の初心者である主人公が覚えるという形で説明されている事に加え、そもそもが勢いが中心の作品でもあり、深く気にしなくてよいシーンが多い。また各用語はTIPSにて詳しく説明もなされており、プレイを一時中断しないと(TOP画面に戻らないと)閲覧ができないという問題はあるものの、十分に気を配られているといえるだろう。

舞台の異色さはあるものの、豊富なキャラクターが登場する賑やかな雰囲気やサクサクと進む会話の中心の描写によりテンポよく進む展開、繰り広げられる会話自体もキャッチボールが弾んでドンドン読み進んでいけるタカヒロ作品らしい良さが出ており、懐かしさを感じる部分でもあるだろう。
特にキャラクターに関してはヒロインやサブヒロインを除いても数十キャラ登場しており、それぞれにしっかりとしたキャラ付けがなされている。
そうしたキャラクター達が帝国編では敵に、天魔族編では味方に、とシナリオによって立場や状況が大きく変わり、それによって接し方が変わり見えてくる部分も変わってくる。
展開されてゆく物語の中でキャラクター同士の掛け合いで物語を形作ってゆく、そうした部分こそがこの作品の良さでありタカヒロシナリオの真骨頂ともいえる部分だろう。

一方で戦闘描写には難もあり、相変わらず雑でエフェクトや勢いに任せてしまっている部分があった。バトルシーンがメインの作品ではないため、そのあたりを気にするかは人次第ではあるものの、魅力の一つとして生かしきれないのは少し残念と言える。

またファンタジーが舞台の作品という事もあってなのか、それぞれのシナリオ自体の評価は決して高くない。
それはやはりシナリオ自体の緩急はあるものの、そこに深さが無いのが原因の一つとも考えられるが、テンポよく物語が進むゆえにシリアスシーンも長く続かず、また「結局は何とかなるであろう」という雰囲気もあるために、絶望感も深くなかったのかもしれない。
ただこうした点を挙げたとしても、長い目で見た時のシナリオは悪くなく、そうした理由の一つが主人公の天眷である『ミンジャラ』の存在だった。
ミンジャラ自体については主人公の説明欄にもあるように、旅の出発地点で出会う人造神なのだが、彼の人格の変化というのが、終盤において心動かされるシーンの原動力となっており、作品最大の山場となっていて、個人的には予想だにしなかった今作の魅力の一つとなっていた。
キャラクターを魅せるタカヒロシナリオとの相性とも良く、だからこそ今作の総集編ともいえるシナリオだった事を除いたとしても天魔族編の評価は今作の中で一つとびぬけた形となっている。

良い点と悪い点、玉石混淆ともいえるシナリオながら、舞台の新鮮さと雰囲気の懐かしさもあり、作品自体は終始楽しめるものになっていたように思え、平均評定ではあるもののそれ以上に評価している。


共通√【 ★★★☆☆ 】  7.5h
共通部分ではあるもののシナリオは序盤で大きく「帝国編」「連邦編」「天魔族編」に分岐しており、それぞれで大きく違った展開となっており、その後に各キャラクター分岐が出現する仕様となっているため、全体に対して共通ルートが占める割合は非常に大きいといえる。
また攻略順自体も帝国→連邦→天魔族といった順番で固定されており、帝国編では敵だったキャラクターが、別のシナリオでは味方や攻略ヒロインになったりと、登場キャラクターの人物関係の変化が大きくなることも特徴の一つだろう。

舞台がファンタジー物という事ではあるものの、主人公は田舎から出てきた世間知らずという設定でもあるため、世界設定の説明の多くが分かりやすく、かつ自然になされているのは理想的といえる。
ただ設定の深い説明などはTIPSに頼っているので、問題は無いのだが、プレイ中にそれらが読みにくい(タイトル画面に戻る必要がある)などの課題もあり、作品理解のためにはシステム的にもうすこし助けてほしかった所もある。

また作品の特徴として、サクサクと展開していく物語の中で、序盤から終盤に至るまで多くのキャラクターが一気に登場し、場を賑やかに盛り上げてくれているのだが、反面、それぞれの人物描写などが希薄というデメリットもあった。


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ノア・グランスター√【 ★★★☆☆ 】  3h
グランスター帝国42代皇帝。
政治の方はからっきしだが剣の腕は歴代最強であり、それが彼女自身の自信にも表れている。
カリスマ性があり、立場の垣根を越え誰とでも仲良くする陽気で人なつっこい性格をしているが、反面、悪気はないものの、時々皇族としてのマウントをとってしまう事も。

作品では最初に攻略することになる今作のメインヒロインの一人。
物語では皇帝であるノアに気に入られ、彼女を公私ともに助けてゆく事になるのだが、グランスター一族に纏わる様々な思惑や果ては戦争等と刻々と変化してゆく状況に絡めとられる二人を描く。
ノア自体はリーダーシップのある少し猪突猛進な姉といった感じで、タカヒロシナリオとしては非常にオーソドックスなキャラクターだったといえる。
素直クールともいうべきか、いい感じに主人公とも純真な所が共通しており、終始純粋な気持ちで二人の恋愛が見られるのは良い所だろう。
しいて言うならば、物語の展開や多くのキャラクターを動かすことに終始していたため、ノアとの描写が乏しく、彼女の内面にあまり踏み込めていないような気がしたのが、ノア自身とても魅力的なキャラクターだっただけに残念と言える。


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ウルシュラ、エスクド、フォル√【 ★★☆☆☆ 】  0.5h
それぞれ帝国編にて出会うサブヒロイン達であり、ノア攻略後に攻略可能となる。
しかしながら全編合わせて30分ほどのシナリオしかなく、内容がかなり希薄なものとなっている。
どのヒロインも共通ルートから登場しており、それぞれにしっかりとした魅力があるので、分量が乏しい事は残念の一言に尽きる。


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エリン√【 ★★★☆☆ 】  3h
タリオ連邦の元首代理。
プライドが高く出不精なエルフ族の女性ではあるものの、変わり種のエリンは急逝した元首の代理として積極的に各地を回っている。
一見するとクールで美人、外交力も高くビジネスライクにも見えるが、話してみると親しみやすい性格をしており、特に無類の酒好きという事もあってお酒を交えるとそうした側面が強く出てくる。
ざっくばらんで適当なようで見えて意外と努力家であり、日々選挙活動で忙しくしている。

連邦へ向かう事にした主人公が「コルミージョ」に所属することになり、エリンの選挙活動を手伝う、というのが連邦編における展開であり、選挙戦を勝ち抜くために連邦の各地を回っては諸問題を解決すると同時に、その背景にある”とある陰謀”と対峙してゆくことになる。
エリンと個別シーンはどうしても少なく評価自体は高くし辛いのだが、エリンやコルミージョの面々と共に眺める連邦の景色は帝国編で想像していた物とかなりかけ離れており、ある意味ではファンタジー要素のより強い内容になっている。
エリン自体が主人公をからかうことで楽しむお姉さんといった感じであるのだが、恋愛描写に関してもそうしたキャラクター性がよく前面に出ており、だからこそ逆に主人公が押すようになってからの初々しい反応も破壊力が高かった。


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ヨークシャ、ガルデニャ、レイズ、シュカ√【 ★★☆☆☆ 】  0.5h
帝国編では序盤に完全なかませ役として登場したコルミージョ、エリンの私兵部隊である彼女たちも連邦編ではサブヒロインとして大活躍をしている。
シナリオ自体は帝国編のサブヒロインズと同様、エリン√からの分岐という形になっており、各√ではエリンとの出会いが語られていたりもするものの、とても短い内容となっている。
個人的に好きなシュカなどはもう少しシナリオを読んでみたかった所。


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クロネ√【 ★★★★☆ 】  3h
ランケイジに住む天魔族の猛者たちを束ねる絶対王者、天魔王。
力は絶大であるものの天魔族としては経験が浅く、好奇心旺盛で純粋なゆえに本能に赴くがままに行動することが多い。反面、天魔族に多くあるように戦いや祭りが大好きで、戦いとなると命を軽く扱事も。

例のごとくクロネとのシーンはかなり短めなのだが、なんにしても『ランケイジ』という今まで多くが謎だった場所が舞台となる話だけあり、作品へ引き込む力はしっかりとある。
シナリオ自体も帝国編、連邦編をクリアすることで到達できるルートであるため、主人公の隠された設定やミンジャラについてや、この作品の世界設定に及ぶような伏線回収もあり、今作における総集編のような内容になっていた。
中盤からの総勢50にも上るキャラクターの描写は壮観であり、また終盤においては意外なシーンで思わずホロリと来てしまう、緩急のしっかりとしたシナリオに仕上がっていたといえる。


20210430235010
エビータ√【 ★★☆☆☆ 】  0.5h
聖域で捨てられていた所をピガロに拾われ、主人公と共に育てられた。
兄妹のように育った主人公の事を「兄ぃ」と呼び慕っており、離れることが考えられないために今回旅に出る主人公と共についていく事にした。
料理が得意であり、いつかは自分の料理で一旗揚る事を目指している。

ランケイジに存在しないサブヒロインの代わりという形で攻略可能な義妹キャラ。
一緒にお風呂に入ったりとお互いに性を気にしない程に密接に繋がりを感じられるキャラクターではあるものの、例のごとくサブヒロインという事でシナリオは短い。
ただ描写自体は今までのシナリオでもかなりの分量があるといえ、これまでのシナリオにおいても意外性の高いキャラクターであったが、彼女自身のシナリオでも意外な設定が明かされることとなる。


[主人公]シャオン・ベルナルド
捨て子だったが、大天眷であるピガロに拾われ、妹のエビータと共に霊域で育った。
山育ちであるため世間を知らない純粋であると同時に、世界に強い興味を抱いており、見分と嫁を探すために旅に出る事になった。
その出発前に古の人造神『ミンジャラ』と契約をすることで、常人ではありえない天眷を二つ持つことになった。
その天眷の威力はすさまじいものの、3日のインターバルで3分しか使えないという制限もある。


【推奨攻略順:ノア→帝国サブヒロイン→エリン→連邦サブヒロイン→クロエ→エビータ】
最初は帝国編であるノア√が固定となっており、その後連邦、ランケージと順次攻略できるようなり、また各メインエピソードをクリアすることでサブヒロインも攻略可能となる。
サブヒロイン√もかなり短いので、回収できるときに回収してしまうのが良いだろう。


CG
原画はカワギシケイタロウ(wagi)さん。
しっかりとした線に、少しだけのっぺりとした濃い塗の絵。
一般的に見ていても受け入れやすいシンプルなCGが多く、テイストも昔の作品とあまり変わっていないため、以前の作品の画風が好きな人にも受けが良いだろう。
CGは勿論なのだが、数多くのキャラクターが登場する今作、多くのキャラクターに立ち絵が付いていた事も賞賛するべきだろう。


音楽
BGM40曲、Vo曲4曲(OP1/ED3)という構成。
とても多くの楽曲が今作を支えてくれており、それぞれ風習も雰囲気も違う3ヵ国の旅を演出してくれている。
その中でも印象に残るBGMといえば、優しい曲調の「我が友」が随一。BGM自体も良いのだが何よりもそのタイトルがダメ押しである。
Vo曲はメインヒロインの3人に個別のEDがあったりと意外に豊富なのだがどうしても印象が薄く、個人的に推したいのはAirotsさんの歌うOP「FORWARD!」。
イントロはタイトル画面でも流れていたが、「これから冒険が始まる」という物語の動きだしを感じさせてくれる。

お勧め度
タカヒロ×wagiという安定した作品という事もあり、期待している人も多いのだが、それゆえに求められるものも多かった。色々と懐かしい部分もあるにはあるが、過去作品と比べると一つ物足りない作品になっていた事は確かで、ファンである人にとっては中々素直にお勧めしづらい。
一方でファンタジー物が好きな人、勢いある作品が好きな人にとってはストレスなく楽しめる作品としてお勧めしやすい作品に仕上がっている。
前提知識なしでプレイすることを推奨したい作品といえるだろう。


総合評価
それぞれの分野で良い所と悪い所があるため、全体的な評価としては平均となっているものの、その評価以上に中身の出来はよいといえる。


【ぶっちゃけコーナー】
原画とのペアで考えるとやっぱり真剣恋シリーズが頭に浮かぶが、ファンタジー作品ということで、最初の方はハードルみたいなものがあった。
だけれどもプレイしてみるとサクサク進められて、特にタカヒロ作品は今まで何作かプレイしていたからかもしれないけれど、プレイしていて「ああ、この雰囲気は~」とか「ああこのテンポは~」みたいなシーンが結構あった。
エフェクトというか音で戦闘シーンを勢いのまま何とかしてしまうあたりも、悪習というべきかなんというべきか…しかしまぁ、だからこそ他の部分に焦点が当たってよかったのかもしれないな。
特に今回はかなり登場キャラクターも豊富で、それが3つの勢力でしっかりと分けて立ち回っていたから、キャラクターに深みが出ていたように思う。
でもこれって、メインシナリオライターではなく企画として参加していた「辻堂さんの純愛ロード」にも結構似た構図があったし、そういう意味では今までの作品をファンタジーで焼き回ししたという感じなのかもしれない。

なんにせよ懐かしさが良い点に働いたところもあれば、逆に「あの作品はもっと…!」みたいな感じで過去の名作たちと比べられて、ハードルが上がったせいでどうしても今作の点数が必要以上に下がってしまった気もしてしまう。
それはやっぱりライターの色が強いから起きた現象だとは思うのだけれどね。
個人的に最後のミンジャラのシーンで結構ぐっときてしまって、評価を高くしたい気持ちなんだけれども、ファンタジー作品ならもっと…と求める気持ちもあって、その中間をとって平均評価にしてしまった感じかも。
だからもう一つ上の評価でもよかったかもなーと想いながらずっと感想を書いていました。



タイトル : 源平繚乱絵巻 -GIKEI-
ブランド : インレ


シナリオ : ★★★★☆ [4/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★☆ [4/5]
(総プレイ時間 : 23h弱)

シナリオ
修学旅行中に突如として失踪してしまった義妹の楼子、彼女を探していた主人公と幼馴染の紫都香は突如1174年にタイムスリップしてしまう。とある事情から平家に囚われた楼子と再会するため、それぞれ『義経』と『静御前』として平家を倒さなくてはならなくなる――という今作のシナリオ。

テーマは『源平合戦』――特に源義経を主軸とした歴史物であり、同時にタイムスリップ物でもある。
史実では男だった多くの登場人物が女性に変更されていたりと、歴史物をエロゲーというコンテンツに落とし込むための策が講じられているあたりは、過去のインレ作品と同様といえる。
またシナリオは全3章構成で、1章では史実を、2章が歴史改変、そして3章にオリジナルの物語が展開されるなど、章の数など違いこそあるものの、こうした大きなシナリオ展開自体も過去作と似ているところといえるだろう。
類似点は他にもあり、歴史物だからこそ登場するキャラクターの豊富さや、合間に挿入される逸話やマメ知識などがかなり豊富である事、複雑な歴史的事実がかなりわかりやすく解説されている事、登場するキャラクターの多くが主人公に好意をもつハーレム要素もある作品である事など、枚挙にいとまがない。
そして何より他の作品を圧倒するボリュームは圧巻で、特に1章の部分は主人公である『義経』の出生から最期までがノーカットで描かれている為、作品の半分以上を占めていた。

そんなインレ作品で毎度手放しで褒めたいのは、史実にある歴史的シーンを魅力的に書き切るという事であり、何より重要なバトルシーンや切ない別れの場面は今作でにおいてもいくつかあり、それぞれに時に熱く、時に涙をにじませるような名シーンであったといえる。
また既にある歴史という物語の中にプラスアルファの形でキャラクター達を配置、物語を展開させてゆくその手法も賞賛すべきだろう。
歴史書を中心として史実にあった事や伝承、創作として描かれていた部分、この作品での設定等、それぞれを巧く一つの物語に編み上げシナリオを綺麗に展開させてゆく、これを成功させる難易度が高いことは想像に難くない。

作品シナリオ自体に魅力あることは勿論、歴史というものに対峙した時の姿勢も個人的に好みであり、特に1章の史実に対して、2章の北行伝説編では様々な観点から物語の考察が行われており、その過程で歴史が生き物であるという事、日々の新たな発見で変化してゆく事実や解釈次第で色々な見方があり、それ自体を楽しむことが肝要だという事を教えてくれている。
この辺りはインレ作品としての色が濃く出た部分でもあり、今作の魅力の一つといえるのではないだろうか。

一方で、今までの作品と大きく違う所を挙げるならばヒロインについてで、今作はタイトル画面からもわかる通り源平を意識してか幼馴染の『御桶代 紫都香』と義妹の『叶納 楼子』というダブルヒロイン物となっており、加えて今までの作品が主人公一人のタイムスリップだったことに対し、今作ではこの二人のヒロインとタイムスリップをすることとなっており、そのあたりが作品全体の雰囲気にも大きく影響していたといえる。
今までの作品と比較すると一人のキャラクターについては深く関わるようになったのだが、一方で攻略ヒロインが少ないためにHシーン等も少なく、また物語としての展開も少し小さめとなっていて、魅力的なシーンも数が少なくなっていた。この辺りが影響していたといえるかは不明だが、少なくとも好みの差が出そうな設定であった事は確かだろう。

源平合戦というテーマの難しさもあってか、良い点も悪い点もあった今作、一つ僥倖だった事として挙げられるのは平安後期という作品舞台だろう。
今までのインレ作品における最大の弱点がファンタジー要素の強い物語の後半だったのだが、今作は約850年前という事もあって科学技術の発達が乏しく、そのため登場人物の多くが信心深く超常的な存在や現象とのの親和性が高いという事、そうした逸話が多く残っている事もあって、ファンタジー要素の強い3章の違和感が比較的少なく、手放しで褒められる内容であったとはいえないのだが、それでも個人的には終盤の物語の流れを自然に感じた。

作品を通して義経を通して見る源平合戦の物凄さや歴史の面白さを再度教えてくれた今作。
特に義経とその周辺の人物とのかかわり方が最後まで印象に残っていて、どんな絶望的な状況であっても仲間がいる、その絆の強さで前に進むことができる。
そうした心強さを感じるシナリオは不備もあったものの、振り返ってみるとインレらしいシナリオにまとまっていたといえる。


源平合戦編(正史編)√【 ★★★★☆ 】  13h
主人公がとある理由によって過去に飛ばされ、大きな流れに巻き込まれるように『源 義経』として生涯を終えるまでを描いたシナリオ。
正史編とあるようにその流れ自体は史実にあった源平合戦を大まかになぞるような形で描かれており、そのためこの√でヒロインとなっているのも義経の愛妾であった静御前―紫都香であり、今作におけるもう一人のヒロインである楼子の描写は少なくなっている。
もちろん主人公たちがやって来たことによって一部の設定などは好意的解釈がなされたりもしているが、それでも源平合戦における義経の動きやそれに付随する戦い、彼の周りにいた人物に纏わるエピソードなど、見所となるシーンがギュッとつまっている。
テーマとなっている源氏と平氏の戦い自体がとても長いものであり、この√ではその部分が殆どカットされることなく描かれている、そのためシナリオの分量としてはそれだけで一作品と言っても良いほどになっているが、熱く盛り上がるシーンや手に汗握る場面が随所に盛り込まれているだけあり、終盤まで時間を忘れてプレイできるほど魅力にあふれている。
特に義経に付き従っていた4人の郎党に纏わるシナリオは熱く切ない想いが感じられ、プレイ中に目頭が熱くなったのも1度や2度ではない。
中でも弁慶は義経と同程度にネームバリューがあるだけあって、登場シーンも多い。また命と命のやり取りが多く、どうしてもシリアスになりがちな歴史物において、主人公と紫都香の甘酸っぱいラブコメシーンは数少ない癒しだったといえる。

何分昔の話であるため虚実が含まれているだろうが、一応として史実にあった「源平合戦」を端から端まで体感でき、読み手は自然とその内容を勉強することになるのだが、一方シナリオとしては訳もわからず飛ばされた過去において、その運命に翻弄される主人公というという基本格子は終始変わらず、多くの伏線や謎が残ったままの内容にもなっている。
そうした部分は悲しさやもどかしさを感じさせ、多くの読み手は読後は飢餓感に苛まれるだろうが、作品の”導入”の掴みとしては最大の効果を発揮したといえるかもしれない。


北行伝説編(義兄編)√【 ★★★☆☆ 】  4h弱
正史編における続きとして、なぜか主人公だけがループしてしまったという設定の元、今度は史実にはない動きをすることで歴史改変を行ってゆく事となる。
そうした過程で、義経に多く残る北行伝説を基軸に多少アレンジを加えた展開が描かれており、義兄編のタイトル通り本作のダブルヒロインの一人である廊御方―義妹の楼子をヒロインとして描くシナリオとなっていた。

北行伝説は現代までに残る伝説として多くのエピソードがある一方で、『伝説』との名前にもある通り、歴史的に確定的になるほどの大きなシーン展開が存在しないため、どうしても控え目な物語進行が中心となっている。
なかには戦闘描写等もあるものの、これもやはり大きな戦いにはなっていないため、そのあたりも正史編と比較すると控え目となっていた。
その中で光ったのはヒロインである楼子が持つ驚くべき程の歴史の知識について。
正史編では曖昧なまま義経の人生を辿っていたが、今回は確かな知識の元で歴史を改変しつつ北行伝説をなぞらえて行動してゆく、そうした中で楼子からは多くの歴史的な解説や解釈の余地が説明されており、『歴史』というものを知る事自体の楽しさが味わえる内容になっている。
正史編でもそういった要素はあったものの、この辺りの要素の強さは義兄編には及ばないだろう。

終盤、作品全体としては『転』ともいえるような場面で唐突に終わりを迎えてしまう義兄編、正史編以上に続きを渇望させるような”引き”の展開によって、自然と次のシナリオの期待度も高くなっていた。


偽義編√【 ★★★★☆ 】  6h
義兄編の続きとなる物語で、正史では史実を、義兄編では歴史改変を、それぞれ描いてきたが、この章では一転してオリジナルの展開が主軸のファンタジー要素がたっぷりの展開となっている。
このシナリオで今作の長い話に決着がつく形となっており、今までの物語における伏線回収などもなされている。
オリジナルの話が主体となってはいるものの、一部には史実を元にした設定が用いられており、そのあたりを巧く結び付けて描く手法は見事といえるだろう。
それでも一部のシーンにおけるキャラの行動動機の甘さや設定の矛盾点(というよりも説明不十分な部分)なども散見され、全体的に完成した作品だったからこそ、そのあたりの粗が目立つように感じてしまったのは残念。

物語の結末としてファンタジー要素が多く入った展開という事もあって、例のごとく好き嫌いが出そうな内容になっていることは否定できない。
ただ、物語自体の読後感はやはり良く、総じて振り返ったときに心に残る内容に仕上がっていたのは確かであるといえる。


[主人公]叶納 世志常
源氏にゆかりのある叶納神社の息子。
過去に体操選手として活躍していたたが、とある理由により引退した。その経験があるためか身のこなしがとてもに身軽で、いまだに復帰を望む声もある。
女性経験が無く恋愛感情に関しても鈍感だが、性欲はしっかりとあり、そうしたシーンにおいては心の中で、くだらない下ネタが漏れている事も多い。


【推奨攻略順:正史編→義兄編→偽義編】
作中に選択肢は無く、物語を読むと次のチャプターが解放されていく形となっているため、物語は実質1本道となっている。


CG
固い線に濃い塗の絵。
立ち絵を巧みに使い、本当に動いて見えるように演出する技術は健在だが、前半部分に注力されており、後半ではそうしたシーンが乏しいのは残念な所。
戦闘シーンやそれに類する流血シーンがあるので注意が必要で、主人公の世志常のCGが多いのも特徴的な部分といえる。
なおSD絵も1枚だけ存在している。


音楽
BGM25曲(vo曲アレンジ含)、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
時代風景に合わせた和風なものが多く、他にも戦闘シーン用の物なども目立つBGMなのだが、個人的に推しておきたいのは「星空」で、不安な中でもふとした瞬間に見上げる星空の大きさに包まれるような安心感を想起させてくれる。
Vo曲はいとうかなこさんの歌う英語歌詞のEDも良いのだが、やはりOPの「千の花火」は格別でOPとしては勿論なのだが特定のシーンにおいて、このイントロが流れた瞬間、テンションが跳ね上がる。


お勧め度
インレの代名詞ともいえる歴史物であり、今作は源平合戦をテーマにした作品で、そうした要素に惹かれる人には安定してお勧めできる。
過去作との繋がりもほとんどないため、単体でプレイできるのも魅力だろう。
また歴史が苦手な人にとっても手に取りやすいように作られており、今作は勿論、同社の過去作品と合わせて推しておきたい。


総合評価
歴史・時間遡行物としてシナリオの質は十分高く、音楽やCG、演出といった各部分のレベルも軒並み高い一方で粗の目立つ部分もあり、すこしこの評価に。


【ぶっちゃけコーナー】
ダブルヒロインにしたのは、ヒロインも源平にしたかったのかな、色々な意味で対比にしたかったとか…とりあえずまぁダブルヒロインってのがかなり意外だった…というか、今までの作品と一番大きく違う差を感じた所だったなぁ。
考え直してみても、この辺りが物語に大きく影響を与えた気がしていてならない。
今までの作品て、キャラクターからかなり「魂」みたいなものを感じるシーンが多くて、そういうシーンに何度も心動かされていたんだよなぁ、この作品も確かにいいシーンも結構あったんだけど、それが1章に集中しすぎてて、酷い言い方ではあるけれど、それって結局は歴史的に面白い物語を再度書いてるから成り立っているだけなのでは…? と思わなくもない。
オリジナルのヒロインや主人公の事情、感情に注力して描かれていた分、歴史上の人物部分の描写が薄くなっていたのが残念って感じかな。
ただ、よく考えると、850年くらい前の話だから色々あやふやで、それくらい資料が少ないんだろうな…だから書きにくいってのもあったのかも。
そう考えると源平合戦っていうテーマ自体の難しさが生んだ問題と言えるのかもしれない。
ただそれでも全体的な物語としてみると綺麗に描かれていたようには思えるけれど。

それにしてもよくもまぁ、これだけスポットが当てられる登場人物を歴史から出してくるなぁ…次から次へと伝説がある人物を巧く組み合わせて物語が作れる、ってのは素直にやっぱりすごいと思った。

あとテーマが源平合戦という事もあって、登場人物の多くが源氏や平氏なわけだが、どうしても文字なんかも似ていて「名前ややこしいなぁ」と思うシーンは多かったな。
展開とかは結構分かりやすく解説されてたんだけど、やっぱり似た名前の人物が色々行動しているとどうしてもわかりにくくて、そのあたりはどうしても最後の方まで解消されなくて、何度か読みなおしたこともあったくらい。
本当にどうしようもない事なんだけどね。

今後もインレは歴史物を作っていくんだろうけれど、この路線でここまで前線で戦える作品ていうのはそれだけで唯一無二だと思うからどんどん頑張ってほしいなぁ。



タイトル : パルフェリメイク
ブランド : 戯画


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   :       [-/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★★ [5/5]
(総プレイ時間 : 11h)

2005年に戯画から発売された『パルフェ~ショコラsecond brew~』(以下原作)のリメイク作品。
原作からの変更点としては、立ち絵やイベントCGがすべて刷新されているのみであり、その他シナリオにPS2版部分の追加も無く、音楽や各ヒロインの声に関しても原作からそのまま流用されている。

そういう意味ではリメイクとしての評価をすべきなのかもしれないが、更新点が少なすぎるため、評価が難しく、そのため今回は純粋な作品評価というよりは再評価という形でレビューをしている。

↑当初の攻略時の感想も文字を変えずにそのまま置いているので、参考の一助となればよい。(評定のみは変更済み)


キャラクター・シナリオ
戯画作品の中でも指折りの名作として語られることがあるパルフェ、それは時代を経ても変わらず、むしろ内容をより深く理解できるようになったため、今回再度プレイしてさらに評価が上がったわけだが、そんな今作のシナリオを担当したのは丸戸史明さん。
今なお、多くの名作を世に生み出している巨匠であるが、今作は特に丸戸シナリオの良さが詰まった名作中の名作といえるだろう。

パルフェ自体は同会社、同ライターが制作した『ショコラ ~maid cafe "curio"~』の世界観を引き継いで描かれた作品であり、今作でも舞台となったのは喫茶店である。
物語の始まりでは、本店が焼けすべてがゼロとなった状態で、とある話が舞い込んだことから主人公が奔走し、新規開店するショッピングモールのブリックモールで新生『ファミーユ』を立ち上げる所からとなっている。

喫茶店を舞台としたラブコメ風味の作品、というのが里伽子√をプレイするまで、基本的に多くのプレイヤーが抱く感想だろう。
特にキャラクターのカトレア―花鳥玲愛―、シナリオの里伽子との呼び声も高い今作において、「ツンデレクイーン」の名前をほしいままにするカトレアの存在は象徴的といえる。
もちろんそれぞれ個別シナリオにはハートフルで心温まるシナリオがあるのだが、何より魅力的なキャラクターを描くという事の難しさは語るまでも無いだろう。
そうした中で、重くなりがちなシリアス展開を混ぜつつ、巧なセリフ表現や小さな行動描写でたまらなく愛しさを掻き立てる、その手腕は見事という他なく、これこそ萌えの元祖といっても過言ではないのだろうか。

そして何より、シナリオについて触れるのならば今作と里伽子の存在は切っても切れないだろう。
主人公の事を想っているようで、近寄ろうとすると見せる拒絶、その二律背反の複雑なキャラクターというのが初見での印象だったのだが、その理由も斯くやあらん。
今まであったラブコメ展開を一気にひっくり返すような真相や、全ルートを跨いで伏線を描き、その集大成として描く感動巨編のシナリオはその構成からして秀逸という他ない。
純粋な悪役が存在せず、皆が誰かの幸せを考えながら行動している中、小さな偶然と心の機微の差でボタンの掛け違いが起こってしまう。
だからこそ運命を呪う他ない切ない展開、根底にあるシナリオロジックを解説するだけでは表現しえない、本当に愛するからこそ、切なく胸を苛むような物語こそ丸戸シナリオの真骨頂ともいえる。

また悲劇的な物語でありながら、その締め方をありがちな奇跡という手法ではなく、ひたむきな努力で乗り越えていく姿にも魅力を感じざるを得ない。
泥臭く生きていくからこそ、手に入れた未来は何よりも輝かしく、そうした過程描かれているからこそ今作をプレイして最大のカタルシスを得る事ができるのではないだろうか。

プレイしていると当時は理解できなかった部分や憶えている所が次々に蘇り、色々な感情に包まれる、深く人の心に残り続けるような歴史に残るゲームであり、今なお色褪せず輝き続けている不朽の名作であることを再確認できた。


共通√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
今となっては珍しいMAP選択によるシナリオ分岐を採用しており、その選択如何によって攻略ヒロインが変化する方式となっている。
物語が始まる10月から年末まではそうした部分が占めている為、純粋な共通ルートといえる部分はオープニング付近までと少なくなっている。
分量的にここ単体での評価が難しく、加えて当方としては1度プレイした内容であるため、懐かしい気持ちが先行してしまうが、おそらく未プレイの人がプレイしても、日常シーンやギャグシーンが豊富な中で時折はいるシリアスなシーンで全体的にキュッと締められており、読者を世界に引き込む力は確かで、展開のテンポが良いのでストレスなく読むことができる。


20210414172819
風美 由飛√【 ★★★★☆ 】  1.5h
ブリックモール店に開店した新生ファミーユの新人店員。
なんとなくで行動する感覚派の天然少女で、物怖じせずに行動する所は魅力なのだが、適当な性格が災いしてか、ミスオーダーや食器を割ったりと店員としては役立たず。
良く周囲を呆れさせ、怒らせているのだが、最終的には持ち前のカリスマ性と笑顔でごまかされることが多い。

今作のセンターヒロインであり、主人公と由飛が出会ったからこそ、ファミーユの運命が大きく変わったと言っても過言ではない。
そんな彼女とのシナリオは序盤、恋愛シーンをメインに描かれた展開を一言で纏めるなら「甘酸っぱい」という言葉が相応しく、自身の感情に無頓着だった由飛らしい展開は、その後に描かれる甘い日々と合わせてまるで喫茶店で出てくる甘いデザートの様でした。
そして彼女の個別√において本領ともいえるのは後半、由飛の性格からは想像がつかない程に壮絶なシナリオはやはり衝撃的で、だからこそ終盤の展開には思わず涙が浮かんでしまうシーンも多い。
由飛自身もなのだが、同時に玲愛や主人公の魅力が詰まったシナリオでもあるため、そのあたりも高く評価したい。


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花鳥 玲愛√【 ★★★☆☆ 】  1h
ファミーユのライバル店であるキュリオ3号店のチーフウェイトレス。
意地っ張りで高飛車、いつも強気で自分にも他人にも厳しく、どんなことでも全力で取り組もうとする真面目な性格をしている。
そんな彼女にとって何もかもが中途半端なファミーユはどうしても気になるようで、店長である主人公とは作中でも何度もぶつかっているものの、同時にアドバイスを与えてくれることも。
また本名から『カトレア』という愛称で呼ばれることが多いが、本人は嫌がっている。

パルフェにおける一番人気のキャラクターと言っても過言ではない、ツンデレの代表との呼び声も高い玲愛。
そんな彼女シナリオは一部において由飛√と流れが共通となっており、その関係もあってかボリューム自体は短い。しかしながら、玲愛と主人公の恋愛にのみ焦点を置いた内容となっているため、不足感は感じにくく、なにより一つ一つが丁寧に描かれたセリフや描写は精緻の一言に尽きる。
溢れてしまった愛しさ、それゆえに行動は唐突で本能的、だからこそ本心でお互いを欲していることが分かってしまうなど、玲愛の愛がストレートに伝わるシナリオはただひたすらに甘い。
甘さの中にちょっぴりビターな部分があるチョコレートのようなシナリオは、由飛や里伽子の動きなどにも見どころがあり、全体的に見ても綺麗に纏まった良質なシナリオだったといえる。


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雪乃 明日香√【 ★★★★☆ 】  1.5h
ファミーユでフロア担当として働く高校2年生のアルバイト。
店内では最年少ということもあり店でもマスコット的存在として愛されいる、素直で可愛い女の子。
しかし本店があったころからアルバイトとして働いていたため経験は豊富で、またその傍らで主人公には家庭教師をしてもらっていたため、店では「てんちょ」家庭教師の時は「せんせ」と呼び慕ってくれるほどに主人公との距離は近く、時には他の女性にヤキモチを焼く子供っぽい所も見せてくれる。
一方で無邪気ながらも小悪魔のような面も持ち合わせており、そんな明日香に主人公は翻弄されることが常となっている。

ファミーユ復活に際し、最初に主人公に手を差し伸べた少女であり、
事あるごとに”琴線に触れる”可愛い女の子。
特筆すべき秀逸なエピソードのうちの一つは文化祭についてで、個別√突入前に描かれており、結果的に主人公の株が上がるシーンであるものの、その経緯などを鑑みると、明日香の献身的ともいえる真っすぐな愛情が垣間見えるエピソードとなっていた。
もう一つはやはり終盤のシーンで、その爆発力たるや、展開や流れが分かっていても思わず涙が出てしまう程に感動的で、明るく爽快感もある内容になっていた。
店員として、生徒として、恋人として、そして、、、シナリオが進む毎に変わる関係性、見せてくれる表情の変化は明日香自身の成長と合わせても魅力的でした。


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涼波 かすり√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
ファミーユでキッチンを担当するノリの良い女の子。
人手不足の際にはフロア担当したりとマルチに働いてくれるかすり。
実家は有名な老舗和菓子屋であり、以前はお菓子修行のために家で同然でファミーユで働いてい居たのだが、本店が出火した際に田舎に連れ戻されていたところ、主人公に迎えに来た事で再びファミーユで働くこととなった。

今作では主人公の悪友としての立ち位置が強いかすりは、主人公に対しても好意をもってはいるものの、あくまで友人として動く事が多く、主人公を中心として巻き起こるラブコメに対し、その絶妙なボケやツッコミで、さらに油を注ぐように本作をにぎやかに彩ってくれたキャラクターといえる。
彼女自身の個別シナリオについても、男女のすれ違いなど少し大人っぽい要素もありつつ、基本的にはドタバタとしたコメディ色が強い内容となっていて、特に終盤には驚きの展開があることもあって、終始楽しく読むことができる。


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杉澤 恵麻√【 ★★★★★  2h
主人公の義姉でファミーユのパティシエであり総店長。
寝起きが悪かったりとかなりマイペースな性格で、重度のブラコンでもあるため主人公の事を人目も憚らずに溺愛している。
主人公の兄と入籍後すぐに夫を亡くし、昔からの趣味であるお菓子作りが高じて夫と開店する予定だった喫茶店が軌道に乗った後に焼失するなど、不幸の連続を体験している。

ネタバレを考えると一切の詳細を語る事ができないものの、個別√に入るまでにも紆余曲折があり精神をゴリゴリと削られ、里伽子と切っても切り離せない恵麻とのお話は序盤から終盤に至るまで一片たりとも無駄な部分がない。
完成されたシナリオというのはこういうものではないだろうか、と思わせるほどに特筆すべき点を挙げるほうが逆に難しいのだが、ともあれシナリオのメインテーマになっていたのは二人関係。
『禁断の関係』と文字にするのは簡単だが、その関係に落ち着くまでには長い苦難と苦悩が待ち受けており、このシナリオではそうした部分の一端を味わうことができる。
様々に変化してゆく登場人物たちの気持ちが、時に荒々しく時に訥々と綴られており、そうした色々な感情が渦巻く中、切なさが、悲しさが、飢餓感が甘い背徳感で満たされていく。
恋愛物にありがちな狭い世界観のシナリオでとどめる事なく、広い世界観で明るく描こうとするからこその選択は、辛さも確かにあったのだけれど、それを乗り越えて見える未来の姿には雨上がりの空のような気持ちよさを感じることができた。


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夏海 里伽子√【 EX  2h
主人公と同じ大学に通う同級生で、焼失前のファミーユではフロアチーフを務めていた女の子。
愛想がないため客からの人気はイマイチだったが、その明晰な頭脳を使いファミーユの店の雰囲気をガラリと変えたり主人公や恵麻に足りない経営戦略部分の多くを担い、人気店へと導いていた。
新装開店したファミーユには就職活動のため唯一参加していない。

情に流されるとロクなことにならない」が口癖になのに、主人公が困っていると「しょうがないなぁ、仁は」と言って助け、全てを包み込んでくれる聖母のような存在であり、ファミーユにとっても裏参謀のような頼もしいキャラクターの里伽子。
そんな彼女の個別シナリオは今作のグランドルートでもあり、パルフェという作品自体が里伽子のために書かれた作品であると言っても過言ではない程。
いままでのシナリオに隠された伏線も大きく絡んでいるので詳細を語ることはしないが、彼女にまつわる真相を知ったとき、『パルフェ』という作品の根底にあったドタバタラブコメディという明るいイメージをひっくり返すようなどんでん返しが仕掛けられている。
里伽子の抱えている、愛しているからこそ切なく悲しい想いが、胸が締め付けられるような展開が、丁寧な心理描写と共に表現されたこのシナリオは時を経ても色褪せる事なく、プレイヤーに感動を与えてくれる。


[主人公]高村 仁
真面目で優しい性格をしている青年で、両親や兄を亡くしている為か家族を何よりも大事にする。
ファミーユの家事で落ち込んでいた恵麻の為に、ファミーユを復活させるために奔走し、紆余曲折があってブリックモール店の店長となった。
天然で八方美人な所があり、そうしたところをファミーユの面々に詰られることも多い。
ファミーユでは軽食を担当しているものの味は総じて平均的。但し、義姉である恵麻のお菓子作りを昔から手伝っていた事もあって、卵に関する料理やお菓子作りのみは天才的だったりする。


【推奨攻略順:明日香→かすり→由飛→玲愛→恵麻→里伽子】
基本的に上記の順番が最も綺麗と言われているがある程度は順不同。
このゲームをプレイする上で守るべきは里伽子√を最後に回す事のみで、彼女のシナリオはBAD or NOMAL→TRUEという形事となるっている


CG
同じ原画家ねこにゃんさんの手によって、シャープで硬さを感じる原作の絵からより柔らかさを感じる絵に変貌をとげ、より広くに受け入れやすい絵になったように思う
絵の雰囲気自体は変わったものの、構図などは原作を忠実に再現されており、そのあたりが気になっていた人にとっては朗報ともいえる。
逆にシナリオと同様で無印になかったシーンの追加などはないので、そのあたりは注意。


音楽
音楽に一切の追加項目は無かったため未評価。
ただKOTOKOさんの歌う主題歌「Leaf ticket」が変わらず名曲である事、そして今作のBGMが一気に
雰囲気を変えてしまう力があった事だけは再び明記しておきたい。


お勧め度
上記まででも語っているので繰り返しになるものの、原作である『パルフェ~ショコラsecond brew~』のCG部分だけを作り直したリメイク作品でシナリオや音楽、各ヒロインの声はそのままかつ、追加要素(PS2版等)は無いので注意。
その為プレイ済みの人にとってはどうしても魅力が少ないので、そのあたりは素直に手を出さないのもありだろう。
むしろ個人的にお勧めし起きたいのは未プレイの人にとってであり、かなり昔の作品であるため手を出すのを躊躇してしまう人も多いはずだが、今作でそうした不安は払しょくされたといえるだろう。
音楽やCGは勿論、なによりシナリオに関しては今の作品に負けず劣らず、むしろ凌駕してしまう程の良作であるため、未プレイの方に強くお勧めしたい作品となっている。


総合評価
パルフェ自体の作品評価は最高と言っても良く、もう一段上の評価にするかどうか迷ったほど。ただリメイク作品としての評価をするなら話が変わってしまうので注意。


【ぶっちゃけコーナー】
前作のショコラに加えて、今作、そして「この青空に約束を―」と合わせてショコラシリーズと呼ばれているらしく、全部まぁ好きな作品なわけですが、今回で久しぶりにプレイ。
そして凄くこの作品が好きになっていた事に気が付いた。
最初…つまり十数年前にプレイした時は正直「昼ドラっぽい」って印象だったんだけど、謝らねばなるまいな。
というか、それ自体は変わらないのかもしれない、昼ドラも愛されてるからあの展開なんだろうね。
特に里伽子√はもちろん恵麻√とか、細かい心理描写の動きやら心のすれ違いによる切ない展開とか、WA2の片鱗が見えるなーって思ったわ。
他の√は爽快感すら感じるカラリと晴れた空のようなシナリオなんだけれど、先に名前を挙げたこの二つ…まぁとくに里伽子のシナリオはかなり心にずっしりと繰る作品だよな。
プレイ後にずっと心に何か残り続けるというか、こういう感想を書く作業でもしていないと消化しきれないものがあるような気がする。
シナリオに関しては上記まででかなり語ってるからそれ以上は語れない、あまりやり過ぎるとネタバレになりそうだし、プレイして判断してほしいかな。

この作品については正直褒めるところしかないのだけれど
リメイクとしては正直手抜きなのかなぁ…CGはものすごく頑張ってくれて、これ以上ないのだと思うけれど、声優系はやっぱり難しかったのかなぁ…。
せめてPS2系のシナリオとかは追加してほしかった気もしなくない。
ただ元が良すぎるシナリオだからあまり大きく変えると、元ある部分を崩しかねないし、そのあたりは難しいと頃なんだろうなぁ。
ともあれ、今回の評価は「パルフェ」を再度評価したという事で一つ理解しておいてもらいたい。



タイトル : 日向千尋は仕事が続かない
ブランド : スミレ


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★☆ [4/5]
(総プレイ時間 : 1.5h)

シナリオ
社会人3年目で忙しく毎日を過ごす主人公が、ある日に出合った高校時代のクラスメイト『日向 千尋』、そんな彼女ととある切っ掛けから身体の関係を持ってしまう所から物語は始まる。

今作はロープライスの単独ヒロイン物という事で、ヒロインである『日向 千尋』との社会人同士の恋愛を描いた作品となっている。
ヒロインについての魅力はぜひプレイして体感してほしいので詳細は割愛するが、序盤に感じるであろうサバサバとした明るい雰囲気とは裏腹に、色々と抱えている女性でもあり、作中ではそうした彼女の心情にも触れてゆくことになる。

今作でシナリオを担当されるのはSMEEでも有名な早瀬ゆうさん。
そのキレ味あるギャグは健在で、今作でも事あるごとに短くも笑えるシーンが入っている。特に主人公と千尋の掛け合いにおけるツッコミとレスポンスの勢いは魅力で、つまらなくなりがちな日常シーンのよいスパイスとなりつつ、そうしたシーン自体が二人の間にある、対等で自然な距離感を表現してくれていた。

シナリオで特筆したいのは中盤から。
中だるみを防ぐためか分量削減のためか不明だが、経過する時間の中でショートシーンをダイジェストで挿入する手法をとっており、結果的にそれがテンポよく物語を展開させてくれていた。
そのためボリューム自体は多くないものの、久しぶりに再会した知り合いから、友達以上恋人未満、そして恋人へと、変化してゆく二人の関係がしっかりと綴られている。

また作品においてメインとなる恋愛描写に関しては秀逸の一言。
特に付き合うまでの描写は個人的にも好みで、恋愛における押し引きが絶妙に表現されていた。
甘えてくるかと思えば突き放される、何を言考えているか分からない千尋に振り回され、いつしか彼女の事だけを考えている、そうして誰しもが気づかず内にガッシリとハートをつかまれる、そんな現実にある恋愛の心の動きがここにしっかりと表現されていた。
社会人の恋愛という前提はあるものの、高校時代のクラスメイトという事もあって、所々に回想シーンがあり、学生時代の淡い想い出を巧く混ぜ込んでいく事で、没入感を高めてくれていた事も魅力の一つといえるだろう。

息苦しさすら感じる社会生活、そんな中で一息つけるお互いの関係や過ごす時間がいつの間にか「癒し」に変わっていく、この過程が表現されている事がこの作品における最大の魅力と言っても良く、この設定でなければ魅せることができないアピールポイントともいえるだろう。
加えて今作は主人公も魅力にあふれており、千尋を理解しているからこその行動には、千尋でなくとも心を動かされるだろう。
作中の最大の見せ場シーンでも、千尋に感情移入したこと以上に、主人公に泣かされたといっても過言ではない程で、今作において欠かせない要素の一つといえる。

ロープライスという事もあって短い物語ではあるが、起承転結といった大きな枠組みや、シーン自体のメリハリが全体的にしっかりとした作品であり、演出もできる限りのことをしてくれていた。
その為、重要なシーンにおける没入感は普通の作品の域になく、思わず感動して涙を流すシーンもあった。
心に残るメッセージ性もしっかりとある、名作と言って差し支えない内容だったといえる。


CG
細いがしっかりとした線にテカリのある塗りの絵。
作中のHシーンは6つでHCGは比較的豊富、一般CGもある程度用意されているので、値段帯やシナリオの分量を考えても十分量といえる。
立ち絵には目パチ機能付き。


音楽
BGM10曲、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
全体的に落ち着くようなテイストでまとまったBGMはタイトルにも統一性があり好みなのだが、なかでも「イマとムカシと未来のキミと」はOPアレンジBGMであり、もともとの質の高さも相まって非常によいBGMとなっていた。
Vo曲はOPもEDも綺良雪さんが担当しており、特にOPの「ステディホリック」はサビの跳ねるようなリズムがとても心地よい名曲。
正確には音楽ではなく演出部分にあたるが、作中でよく「無音」が使われていたのも印象的で、物語への没入感を高めてくれていたことも含めて高く評価したい部分である。


お勧め度
社会人同士の恋愛を描いた作品であり、最初はヒロインのサバサバした感じなど、人によってはそういう部分に忌避感を感じるかもしれないが、プレイし終わってわかる、紛う方なき純愛ストーリーとなっている。
短さという欠点はあるものの、逆にそこはプレイしやすい分量とも言い換えることができ、なおかつ笑いも豊富な日常シーンなどと合わせて、誰しもがライトに楽しみやすい内容でありながら、その中にある物語自体は秀逸で、広くお勧めしたい作品となっていた。


総合評価
シナリオ部分に文句をつけるところが無く、そのほか音楽にCGと全体的に高いレベルでまとまっており、ロープラ作品としてなら十二分以上に魅力のある作品に仕上がっている。


【ぶっちゃけコーナー】
SMEEのあの恋愛を描く人が社会人の恋愛をがっつり書くとこうなるのか…!
メクラバで大分見えてたけど、数段レベル上がってね!? ってのが素直な感想というか衝撃というか、もう隅から隅までこのシナリオ好きなんだよな、そのあたりはもう語ったから割愛するけれどもね。

シナリオに押し引きがあったのは確かだけれど、演出にも「無音状態」を巧く使っていたり、そういった意味で、今回の感想では全体的にメリハリがあるって表現した。
そういう「溜め」の場所があるから、重要シーンでの破壊力がぐんと上がってる気がするんだよな。
あと音楽でいうとOPはリズムも良いんだけど、攻略してから聞くと歌詞も良い。
EDも好きなんだけれど、やっぱり千尋の心が赤裸々に描かれた歌詞を聞きつつ作品をリフレインしながらこのOPを聞くと感じ入る物があるわ。

まぁ割と正直に書いた感想がおおいから、繰り返しになっちゃうね。
やっぱりロープライスということもあってシナリオの短さだけはきになっちゃうけれど、逆に言うと挙げられる欠点がそれくらいしかないって事で、それはやっぱりすごい事かも。
多くの人にプレイしてほしいな、って素直に思えるくらい魅力あふれる作品だったから、設定とかで忌避感が出るくらいなら、勇気を出して試しにプレイしてほしいくらいにはお勧めしておきたい。



タイトル : 恋愛×ロワイアル 乃々香&蓮菜&由奈 ミニアフターストーリー
ブランド : ASa Project

シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   :       [-/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 2h弱)

シナリオ
タイトルからもわかる通り、同社作『恋愛×ロワイアル』(以下、本編と記述)のFD作品となっている。
今作では本編においてヒロインであった主人公の妹である『小町 乃々香』、主人公を慕うアイドル『天ケ峰 蓮菜』に加えて、サブヒロインであった主人公の元カノである『輝 由奈』の合計3篇が詰まった内容となっている。

本編同様にギャグシーンが中心となっており、そのため笑いながらサクサクとプレイできるのが魅力で、シナリオの分量自体が短い事もあって、それぞれのシナリオは30分ほどで読み終える事ができる程。

各シナリオでは本編アフターからの日々が描かれており、それぞれに大分違った特色ある内容となっているのだが、特徴的な事としてはFDといえども特定のヒロインだけではなく、全登場キャラ同士の絡みが多めに用意されていた事だろう。
そのため、作中では攻略ヒロインとの二人だけの狭い世界観になる事が無く、幅広い展開が可能となっており、この点に関しては笑いという1点を突き通す今作において、良い方向に働いていたように思う。
また本編では主人公との恋愛シーンや物語自体を展開させて、ある程度恋愛バトルに決着をつける形で話のオチを付けなければなかったが、FDである今作ではそういう枷が無くなっており、タブー無しで自由にギャグシーンを連発している。
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる…ではないものの、その多くのギャグシーンのおかげで、プレイしている人なら、どこかでクスリと笑える内容になっていたといえる。

シナリオ総括として、ボリューム不足感がある作品ではあるものの、笑いという部分に重点を置いたアサプロ作品においては十分に及第点といえる作品だったといえる。


【推奨攻略順:乃々香→蓮菜→由奈】
選択肢は冒頭に各シナリオ選択があるのみで、好きなキャラキャラからの攻略で良いだろう。


CG
はっきりとした線にすこし濃いめ塗りの絵。
CGは11種類で全てがHシーン用の物となっており、今作のヒロインだけではなく3P用のCGもいくつかあるため、そのあたりでは需要もありそう。


音楽
BGM28曲、Vo曲3曲(OP/ED/挿入歌)という構成で本編と同様なので評価対象にせず。
新規追加曲が無いのは残念な所。


お勧め度
FD作品であるため本編となる『恋愛×ロワイアル』のプレイは必須となっており、また同作が好きになった人がプレイするための作品。
良くも悪くも中身はギャグばかりの作品なので、そこだけ留意の事。
また今回採用されなかったキャラは数か月後に2作目のFDが発売されるため、そこで一気にプレイするのも良いだろう。


総合評価
FDとしては多少ボリューム不足感を感じるものの、ギャグゲーとしての質はよく、そういう意味ではアサプロの安定した作品の一つといえ、この評価。


【ぶっちゃけコーナー】
シナリオ評価にも書いたけれど、展開させなきゃいけないという枷がないからか、全部のキャラが自由に動いている。
もちろん主軸となるのは攻略キャラとのお話ではあるものの、今回対象じゃないキャラクターもしっかり登場しているのはうれしかったなぁ。
笑いという意味ではそういうキャラの方が、破壊力あったくらいだし。
あと蓮菜と由奈なんかのシナリオはそれぞれの√で結構出番があったりと、そのあたりもキャラクター特性がしっかり出たシナリオだったといえるかも。
だけれどもギャグゲーの宿命というべきか、内容は殆どからっぽの作品ではあるので、そのあたりを忘れることなく、純粋に各キャラのアフターが気になる人や、笑うためだけにプレイしてほしい所かな。