スピカの忘れ物

ゲームレビューとちょびっと小説を公開している、鍵っ子ゲーマーのブログです。 泣きゲーやシナリオゲーが大好物!



タイトル : リリウム・ウェディングプラン
ブランド : Barista Lab


シナリオ : ★★☆☆☆ [2/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★☆☆☆ [2/5]
お勧め度 : ★★☆☆☆ [2/5]
総合評価 : ★★☆☆☆ [2/5]
(総プレイ時間 : 1.5h)

シナリオ
往復五時間の通学を短縮するため、祖父母の家に暮らすことになった主人公の虎太郎。そこで出会ったのは幼い頃に結婚をする約束をしたというリリウムと名乗る女神だった。

大分突拍子もない設定の今作、ヒロインとなるのはタイトルにもある幼い頃の主人公を想い続けた女神『リリウム』。
出会った当初から「あなたの妻」を自称するだけあり、出会った当初から主人公に対する好感度は最高潮であり、その奉仕精神はダメ人間製造機と言っても過言ではない。
今作ではそんな彼女と、和菓子屋の跡取りで真面目な青年『虎太郎』が一緒に暮らすようになるシーンから始まっている。

低価格帯の作品という事もあり、物語は非常に短くシンプル。
内容についても、物語冒頭こそリリウムのことを忘れていたがゆえに「なぜ好いてくれているのか」や、女神である事に関して虎太郎がリリウムに対して疑念を抱くシーンもあったものの、それ以外は順調に愛を深めてゆく様子が描かれ、リリウムに奉仕され癒されるイチャラブな日々がメインとなっていた。

シチュエーション特化の萌えゲー作品ということもあって、それ以外の部分の変化球がないため 物語としての面白みはないものの、それゆえに作品の第一印象に好印象を抱いた人にとっては、内容に裏切られる心配はないといえる。


【推奨攻略順:選択肢無】
作中に選択肢は存在しない。

CG
繊細な線に淡めな塗の絵。
CG20枚、SDCG4枚、H回想枠6個という構成で、一般イベントCGに分類されるのは4種類であり、それ以外はHシーン用の物に該当する。
多少バランスの気になるCGもあるものの、価格帯を考慮すれば一般的な量と質だったといえる。


音楽
BGM8曲という構成で、全体的に優しく明るい曲調の物がメインとなっている。
個人的にはやはりタイトル名を冠するテーマBGM「ハッピーリリウムウェディング~あなたにたくさん恋しました!」が好みだったのだが、OPは勿論、Vo曲自体が存在しないのは流石に寂しい所である。


お勧め度
ブランド『Barista Lab』としては2作目で、1作目と変わらずシチュエーション特化のミドルプライス萌えゲーで、シナリオの短さからも類推できるがヒロインである女神リリウムに奉仕され、イチャラブするだけのゲームである。
予想以上でも以下でもない内容で、ヒロインのリリウムを気に入ることができれば好きになれる作品であるが、逆にシチュエーションやリリウムに対して何ら感情を抱かないのであれば、プレイは推奨できない。


総合評価
価格を考慮し、シチュエーション特化の作品としてみても、シンプル過ぎるためか今一歩物足りないものを感じ、この評価となっている。


【ぶっちゃけコーナー】
ブランドとしては2作目だけれど、シチュエーションを変えただけで、作品の本質的な部分に全く変化が無かったかな。
そういう意味では前作が気に入った人にとってはプレイしやすい作品といえるし、今作が気に入ったのなら、前作をプレイしても楽しめるだろう。

ただそれは逆も然りで、内容に深みを求めたりする人にとってはプレイしてすぐに忘れてしまうような内容であったことは確か。

ブランドとしてこういう作品を作るという方向性はわかったのだけれど、前作よりも日常シーンでちょっと笑える設定があったりと、そのあたりに変化はあって、なんかそういう特色みたいなものも増えていくといいのになぁとは思ったかな。



タイトル : 竜姫ぐーたらいふ2
ブランド : Whirlpool


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 2h)

シナリオ
同社作『竜姫ぐーたらいふ』と『竜姫ぐーたらいふLOVE+PLUS』の続編となる今作。突如として地球に襲来したドラゴンに人類が脅かされてしまったものの、主人公が拾ったドラゴンがお姫様であったことを切っ掛けに、紆余曲折の末一時保留となった前作から数週間後のお話となっている。

つかの間の平和を得たように思えたが、今作では下記の二人のヒロイン――『海』『水』派閥のドラゴンの王たちが独断で地球に降下し、海を占拠してしまった事から物語は始まる。


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『海』派閥を束ねる王であり、海竜族最強の虹竜『イリス』。
今作で新規追加されたヒロインの一人。
海を汚す者に対して怒りを抱いているため、人間を敵視している。
ドラゴンとしては年齢が若く、基本的には明るい性格をしていて頭もあまり良くないため、勢いで行動することも多い。

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『海』派閥の王で、無敵にして最硬の鎧竜『サンゴ』。
イリスと同様に今作の新規追加となったヒロインの一人。
アニメとゲームが大好きダウナーな引きこもりで、『海』の派閥とは盟友関係であることもあってか、イリスの事を王と認めると同時に姉のように慕っている。
なお、ドラ美も『水』の派閥だったりする。


そんな二人が加わってさらに賑やかになってゆく夏の日々が今作のメインに。
主人公をかけてバトルをしたり、バーベキューをしたり、花火をしたり、スイカ割りをしたりと、夏を満喫できる内容となっている。

2時間という短いシナリオではあるものの、起承転結はしっかりとしているので読みやすく、新規キャラであるイリスやサンゴは、これまでのキャラになかった魅力がしっかりと表現されていた。
加えて前作から登場しているキャラクター達もより個性に拍車が掛かっており、ハルは相変わらず自由で可愛らしいし、鈴夏は不憫ではあるものの、ますます女房感が増してきており、チョロ可愛い所も健在だ。

シリーズ作品として雰囲気を踏襲しつつも、新規ヒロインの追加で新鮮味が増しつつ、さらにカオスになってゆく日常の中、萌えゲーとして最も重要な事といえる「キャラクターの魅力」を限界まで出すことを忘れずに作品が作られている事を感じるこができる作品だったといえる。

[主人公] 宮本 武
1作目以降はハルと二人でのぐーたらいふを満喫している。
前作までにハルに加えて幼馴染の鈴夏とも関係をもってしまっており、今作でもさらに…という経緯があるためか、基本的に深く考えるタイプではないものの、そうしたことに対して思う所はあるよう。

【推奨攻略順:-】
作中では選択肢がありシナリオ分岐するものの、本筋の話は1本道。


CG
今までのシリーズ作品と同様で柔らかい線質に濃い塗りの絵。
新ヒロイン達のCGがメインとなっており、Hシーンに関しては3シーンずつとなっている。また旧ヒロインもそれぞれ日常シーンとHシーン用の物がしっかりと用意されていたことも追記しておこう。
加えてSD絵も5枚用意されている。


音楽
BGM23曲、Vo曲1曲(主題歌)という構成。
Vo曲に関しては変わらないものの、BGMは数曲ほど増えている様子。
最初からロープライスとしては十二分な量がそろえられていたため、そこまで不満点はないものの、やはり主題歌くらいは各作品で新規に作ってほしいというのが正直な感想だろう。


お勧め度
前作までの回想も作中にあるものの、シリーズ作品であって内容も続いている為『竜姫ぐーたらいふ』と『竜姫ぐーたらいふLOVE+PLUS』のプレイは必須といえるだろう。
そうしたハードルを設けた上で上記の2作品が気に入った人にとっては、今作も変わらずに楽しめる作品であることには太鼓判を押しておきたい。
多少ハーレム要素が強くなっているという事が、変化として挙げられるものの、それでも本作において大切な部分がブレておらず、1作目と同様に笑いながらキャラを愛でてプレイできる質の良い萌えゲーだったとお勧めできる。


総合評価
平均的な評価としているものの、ロープライスとしては十二分に良作といえる作品に仕上がっており、シリーズ作品全体で推すことができる。


【ぶっちゃけコーナー】
PLUSでは続編を作らないんじゃないかなーって思ってたんだけど、見事に予想が外れましたね。
ただ既存のヒロインだけじゃ話が膨らまないから、新規キャラを追加するんだろうって予想は当たってたといえるのかも。
その際に最も危惧していたのが、既存の物語の雰囲気を壊してしまわないのか、だったけれど、そのあたりに関しては今作は上手くやっていたように思う。
新規ヒロイン達がメインではあったものの、あくまで作中ではハルや鈴夏との掛け合いがメインになっていたのが良かったのかもなぁ。
ただ今作は正直、新規ヒロイン達の登場シーンまで、といった要素が強かったので、今後の展開として距離が近くなったヒロイン4人との日常をどうやって描いていくかが見ものかもしれない。
まぁ、そのあたりは猫忍シリーズで上手く練習で来ているから問題ないと思うけれど…その路線で行くならば、どんどんヒロインも増えていくのだろうか。
ただヒロインが増えすぎると1キャラの要素が薄くなっていくのが悲しい所で、話としても広がり過ぎてて風呂敷をたたむのが大変というのがある。
ことロープライスで作られた作品だから、話の展開を長くできないという欠点もあるしなぁ…そのあたりは猫忍でもしっかりとエンディングを迎えられていないし、これからの課題の一つとなっていくのかも。

なんにせよ作品としては日常も笑えて、キャラクターも可愛い、安定したロープラゲーって感じで楽しめた。



タイトル : コイ×ミツ ~絹織双鳩とお菓子の国の約束~
ブランド : とるてそふと


シナリオ : ★★★★☆ [4/5]
CG   : ★★★☆☆ [3/3]
音楽   :       [-/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★★☆ [4/5]
(総プレイ時間 : 2h)

キャラクター・シナリオ
とるてそふと制作「コイ×ミツ」シリーズ三部作の最終章、ヒロインとなっているのは秘密も多い学園のアイドルで先輩の「絹織 双鳩」。
本作では攻略キャラの双鳩はもちろんの事だが、今作の切っ掛けとなる過去の出来事も掘り下げられており、千尋のルーツに迫った部分の描写も多い作品となっていた。

なお例のごとく、共通部分に関しては1作目や2作目と同じであるため、コイ×ミツ ~八重練紗祈と赤い糸の王子様~の感想を参照するとよい。
下記では主に本作の追加部分となる双鳩√についてを触れておくこととする。


共通√【 ★★★★☆ 】  2h
前作同様、シリーズに共通して搭載される体験版部分であり、これがあるために今作からのプレイでも問題ない仕様となっている。
1作目と同じ内容となっていて追加も全くないため、内容の詳細は上記URLを参照の事。


絹織 双鳩√【 ★★★★★  2h
主人公が通う学園の一つ上の学年の先輩。
売れっ子モデルとして忙しい日々を過ごしており、学園でも次々と告白されては断る事から「不沈艦の女王」の名がつけられるほどの人気を博している。
一方で、主人公の前ではイタズラ好きな小悪魔としての面を多く見せており、主人公を困らせては楽しむ悪癖がある。

他のヒロインと同様に、共通ルートを振り返りつつ彼女の心情などが綴られた冒頭シーンから始まるのだが、今まで彼女自身が心情を素直に明かすことが余りなかったため、他のヒロインと大きく印象が違って感じられる。
序盤から比較的とんとん拍子に関係が進んでいくのは意外ではあったものの、恋愛描写に関しては他のヒロインと同様に甘い蜜のような時間が詰め込まれている。

比較的比重が多く撮られていたのは物語の後半。
双鳩と主人公が歩む未来をテーマに描かれており、今シリーズのきっかけとなる出来事を始め、多くの秘密を抱えた双葉についてもその多くが明かされることとなる。
特にクライマックスシーンにおいて、自身の心情を吐露する双鳩には思わず涙が出てしまったほどで、非常に良くできた内容であった。

結果として察しの良い人ならばある程度の全体像は想像できるレベルに収まったシナリオではあるものの、今までのヒロインを巻き込んだ展開は恋愛主体の萌えゲーとは思えない程に読みごたえがあり、シリーズの集大成としては十分だったといえる。

また、シナリオ自体とは少し別の部分になるのだが、個人的に「上手だな」と思って印象に残った事として、主人公が双鳩をお菓子であるバニラに例えた事が挙げられる。
甘いようで実際には苦く、それでいてお菓子には欠かせない、こうした部分がモデルを務める容姿端麗な双鳩の見た目と、それとは裏腹に彼女が抱えていた複雑な心情、そしてそれを乗り越えて描かれる甘いシーンとが巧く取り上げて対比がとられているように感じた。

[主人公]桐生 千尋
1作目と同様、上記感想URLを参照の事。

【推奨攻略順:作中に選択肢は無い】


CG
シリーズ共通で繊細で柔らかさもある絵。
ただ双鳩のCGに関しては一部バランスが気になるものなどが散見される。
その他立ち絵等は1作目や2作目と同様で、個別シナリオにおけるHシーン数(6シーン)も同数が用意されていた。


音楽
BGM?曲、Vo曲1曲という構成。
2作目に続き音楽鑑賞画面はないため正確な構成は不明となっており、2作目に続き今作でも新たな楽曲は確認できないため、評価には加えていない。


お勧め度
コイミツシリーズを1作目から順にプレイしていった人にとっては、外すことのできない作品に仕上がっている。
逆に例のごとく共通√も同梱なので今作からのプレイも可能だが、シリーズにおける伏線回収がなされる性質上、他のシリーズ作品をプレイする可能性があるのなら、そちらからのプレイを推奨したい。


総合評価
ロープラシリーズとして作られた今作、コンパクトにまとまりつつも恋愛描写だけでなく、そこに至るまでの過程やその後の想いの変化までを綴る、シリーズの集大成としても及第点を満たす作品に仕上がっていた。


【ぶっちゃけコーナー】
シナリオの展開自体はかなり予想しやすいけど、それでも心動かされるシーンがあったのが今作。
前半部分でイチャラブを消化しつつ、双鳩への好感度が十分に高まった中で後半のシナリオへ向かう、物語の作り方がシンプルながらも美しい。
後半で今までのヒロイン達もしっかりと展開に絡んでくるのもよかったなぁ。ああいうシーンが積み重なっていたから、クライマックスシーンへの期待も高まっていったし、それに答えたクライマックスの出来だったと思う。

作中で主人公が語るコース料理でドルチェだけでは完成しない様に、ただのイチャラブ作品に終始するんじゃなくて、その過程やその後の日々まで含めて「甘く」演出したのがすごく良かった。
その辺まで意識して作られていたのは華は謎だけどね、個人的に分割商法という事で気になる部分もあったけれど、選択的にヒロインを選ぶことで値段が抑えられ、それでいてしっかりと物語を楽しむことができる作品になっていたのじゃないかな、と思う。

他のシリーズ作品をプレイした人にも、出来れば双鳩がヒロインである今作をプレイしてほしい所だけれど、ある意味他の2キャラだけプレイしていれば、それはそれでシリーズへの印象も変わったものになるのかも。
そう考えるとそれはそれで面白いとも言えなくはない。



タイトル : あまいろショコラータ2
ブランド : きゃべつそふと


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 6h)


↑1作目

キャラクター・シナリオ
同社制作の前作『あまいろショコラータ』のナンバリングタイトルとなった今作。
前作の続編として、夕渚町におけるお菓子に囲まれた甘い日々が再び紡がれており、特にクリスマスイベント後の日々を描いた作品となっている。

依然ミドルプライス帯ではあるが前作より多少値が張るものの、ヒロインは前作において非攻略対象であった『御園 苺華』や『舞羽 ナナ』に、新規ヒロインである『百々瀬 かぐや』を加えた3人となって、文章量自体も2倍近くに増えている。
また舞台についても夕渚町を中心としていいるが、前作の中心であった喫茶店『セタリア』から、選択肢次第で人気ケーキ店『スイートテイル』や開店したばかりの甘味処『もちづき』に変化する仕様となっていた。

作風はしっかりと前作からの踏襲がなされており、独自の『獣人』というケモミミ少女たちが登場する設定を上手く使い、ビジュアルと合わせてキャラクターの可愛さを前面に押し出してくれている。
特に前作ではシナリオによく登場するも非攻略キャラクターであった苺華やナナといった、前作のヒロインたちに負けず劣らず魅力的であったキャラクターに深く踏み込んで描かれている部分も多く、作品として前作プレイ済み者のみ対象作品というハードルを設けていると同時に、前作をプレイした人なら思わずプレイしたくなるような内容となっている。
新規ヒロインであるかぐやを合わせて紡がれる、あの作品の『その後』の物語としては全体的に完成度の高い作品に仕上がっていた。
なおもちろん作中では前作のヒロインである千絵莉やみくりといったキャラクター達も十分登場しており、アフターストーリーとして楽しむ分には何も問題ないだろう。

前作もそうだったのだが、キャラクターの可愛さをみせるという主軸を徹頭徹尾ブレさせない作品であるため、合う人にとっては終始楽しめる作品となっていて、今作は続編という事もあり、そうした傾向がより強くなっている。
またシナリオを重視する人などにとっては、そもそも手に取らないようなタイプであるために、そういった意味でも住み分けができる作品と評することもできるだろう。


共通√【 ★★★☆☆ 】  2.5h
前作におけるクリスマスのイベントの後から物語が始まっており、共通分岐となるバレンタイン付近まで、基本的には1作目と同様に柔らかくゆったりとした時間が流れる。

序盤こそ喫茶店で働くという日常はあまり変わらないものの、中盤以降は新ヒロインである『百々瀬 かぐや』との出会いを皮切りに、新しく夕渚町にオープンすることとなった甘味処『もちづき』に関するイベントと絡めて、今作のヒロイン達との日常が多めに描かれている。


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御園 苺華√【 ★★★★☆ 】  1.5h
控え目な性格の「トイプードル」の獣人。
母親は『スイートテイル』等の店舗を複数を経営している他、夕渚町に住む獣人たちの管理人をしており、その娘として各店舗の従業員として働くなど仕事の一部を手伝っている。
主人公の住む寮の管理人でもあり、獣人の秘密を知った主人公を監視する立場にあるものの、おっとりとした彼女自身の性格もあって、特段意識することなく過ごしている。

個別シナリオはバレンタインに向けて過ごすことが多くなった二人が意識し合うシーンが分量をもって描かれており、特に恋愛部分においては獣人と人間という関係以上に、お互いの立場の違いについて深く踏み込んで描かれている。
『苺華』が抱えている事についてとそれによる葛藤のシーン、そして今までの生活を経て主人公の導き出した決断、今作において異質ではあったものの、だからこそ真に迫る物があり、心動かされるシーンも多かった。
一転して後半は共通ルートからも小出しになっていた彼女自身の性癖を絡めた甘いイチャラブシーンが詰め込まれており、共通では見られなかった苺華との倒錯的な日々が堪能できる内容となっている。

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舞羽 ナナ√【 ★★★☆☆ 】  1h
元気で活発なアメリカンショートヘアの獣人で寮の住人。
誰とでも気さくでフランクに接してくれており、主人公とも友人のような関係を築いており、休日にはよくゲームをして過ごすことも。
スタイルが良くかなり美人なのだが、本人はどこ吹く風。むしろ可愛いと言われるのが嫌いで、カッコいいと評される事を好み、そう思われるように行動している。

個別シナリオでは『スイートテイル』で働くことに決めた主人公が、バレンタインフェアや『もちづき』とのコラボで奮闘するナナをサポートするという流れになっている。
徐々にパティシエとして活躍し始めるナナを描く一方で、恋愛描写については自分の感情に素直になれないナナと、そうした感情に疎い主人公の様子がメインで描かれている。
本人は否定するものの、段々と主人公を意識するようになってゆくナナの姿は愛らしく、1作目にてナナを気に入っていた人にとっては、とても嬉しい内容になっていたといえる。


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百々瀬 かぐや√【 ★★★☆☆ 】  1h
前作では登場せず今作にて新ヒロインとして登場した、引っ込み思案なホーランドロップの獣人。
甘味処『もちづき』2号店の店長で、姉でもある『みつき』と共に夕渚町へやって来きており、主人公と同じ寮に入寮することに。
男性が苦手であったため接客が得意ではなかったが、姉の為に懸命に努力しており、主人公の協力もあって多少は改善している。

個別シナリオでは、『もちづき』にてアルバイトをする事になった主人公に対し、『兄』と慕う気持ち以外の好意が募るように大きくなってくる、そんな彼女がバレンタインを目標に気持ちを伝えるため健気に主人公にアプローチをかける姿が描かれている。
控え目で臆病なかぐやが頑張る姿はただ純粋に可愛く、今作の持ち味が良く出た内容となっている。
中盤以降はかぐやとみつきの姉妹愛を感じられる内容にもなっており、同時にかぐやの成長が垣間見える、心温まるシナリオとなっていた。


ハーレム√【 ★★☆☆☆ 】  0.5h
前作のハーレム√の続編として今回は苺華とナナのHシーンをメインに描いたシナリオとなっている。
ただし、かぐやとみつきに関しては登場しないので、期待していた方は注意が必要。
なお、ハーレム√の他に誰の√にもいかないノーマルENDが2種類存在しているが、内容も薄いのであえて触れない事とする。


[主人公] 城川 柚希
前作から変わらず、とてものんびりした性格の青年。
クリスマスの後、困っているかぐやに声をかけるところから物語が始まる。
この動機として、持ち前の親切心があったことはもちろんだが、自身が夕渚町に来た時に、千絵莉に救われたことを思い返して、というのもあるらしい。


【推奨攻略順:ノーマル1・2→ナナ→かぐや→苺華→ハーレム】
ハーレム√のみ、全ルート攻略後に出現する。
それ以外のキャラは好きな順番で構わないが、個人的に完成度が高く感じられた苺華√は最後に回してほしいため、上記の順番とした。


CG
前作同様に原画・キャラクターデザインは『しらたま』先生と『梱枝りこ』先生が担当。
特に新キャラである百々瀬姉妹もしらたま先生が担当されている様で、より一層柔らかさあふれるCGが多くなっていた。
CGの枚数に関しても少し高めのミドルプライスではあるが、キャラ数も3キャラと前作より多く、1キャラに対する枚数も十二分といえるだろう。


音楽
BGM3曲、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
上記は新規追加分であり、作中では使われていない前作のVo曲2曲を合わせて、BGM18曲、Vo曲が4曲視聴可能。
特にBGMは前作の物を中心として使われているため、作品の雰囲気を壊すことなく続編として楽しむことができる。
Vo曲を担当したのはどちらもKyoKaさんで、特にEDの「虹色*Sweetie」はサビの跳ねるようなリズムが心地よい良曲となっていた。


お勧め度
前作「あまいろショコラータ」の続編ということで前作のプレイも必須となり、他のミドルプライス作品よりは値段が張るということも、一つの壁になるだろう。
一方で前作では攻略対象ではなかった苺華やナナといった魅力的なヒロインが攻略可能となった事、加えて新ヒロインも登場する等、前作の雰囲気が好きだった人にとっては垂涎の一品に仕上がっているといえる。


総合評価
萌えゲーとして前作にあった魅力を今作でも引き継ぐと同時に、作風自体をしっかりと保ちつつ描いた続編としては十分に及第点を挙げて良い作品であり、この評価としている。


【ぶっちゃけコーナー】
このゲームをプレイしていて「かわいいな」と漏れ出る様に呟いたのは1度や2度ではない。
そのあたりは本当に前作からしっかりと良さを踏襲できていたのかな、と思う。
やわらかい絵と甘いシナリオの相性がいいのだろうなぁ、コンセプトともしっかりと合致していると思うし、「2」という事で少し心配していたけど、続編としてなら十分良作の範疇だと思う。

あとプレイしていて、キャラクターを可愛いな―と思うシーンがあったのは前作と同じだったのだけれど、それ以上に比喩や表現が良いって思う描写が結構あった。
苺華√とかぐや√はそれが顕著で、中でも苺華√はそのシナリオの重さもあって、思わず感動してしまうシーンもあったほどで、萌えだけではない魅力を見られたのは意外であり、僥倖だった。
ライターを変えたのかもしれないが、なんににしても文章レベルは確実に上がっているように感じた部分である。



タイトル : LOOPERS
ブランド : Key


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★★ [5/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★★ [5/5]
(総プレイ時間 : 2.5h)

シナリオ

本当の宝物を探しに行こう

Keyが制作する全年齢対象のキネティックノベル

GPSを使った宝探しゲームに熱中する主人公・タイラは夏休みのある日、今日という一日を無限にループする運命に囚われてしまう。そこで出会った同じ“ルーパー”の少年少女たちと力を合わせて、永遠に続く牢獄から抜け出そうとするが――。

シナリオを担当したのは竜騎士07さん。
今作は世に多くあるループ物というジャンルに対して「宝探し」というテーマを加えたロープライス作品なのだが、これが見事に合致したといってよいだろう。

プレイ当初からヒシヒシと感じられる「LOOPERS」という独特の世界観の中、描かれる展開はループ物という事もあって衝撃も大きい。そんな中で序盤のスピード感のある展開にグングンと世界観に引き込まれてゆく。
ロープライスという作品の尺を考えたためなのか、物語設定の複雑さに対し説明を極力省きサクサクと読める様になっていたのも功を奏していた。
作中では序盤から伏線のような描写がいくつか登場するものの、作品の雰囲気の一つに紛れ込んでいる上、その内容自体が比較的分かりやすい物だったため、読む障害とならなかったのも大きな要因といえるだろう。

物語を進める中で感じる“ルーパー”の面々の魅力も今作に欠かせない魅力の一つだろう。
ルーパーの中核であるミアやサイモン、中盤でメインとなるヒルダやレオナ、そして何より今作の主人公でもあるタイラのキャラクターは、描写こそ少なかったもののともすれば絶望感溢れる「LOOPERS」の世界で輝く希望となっている。
だからこそ中盤や後半では思わず感情移入をして涙を流してしまうシーンも一つや二つではなく、短い物語の中に、これだけ濃密な時間を描けた事には脱帽するほかない。

物語としては読みやすくある一方で科学SF作品としては穴も多く、作品ボリュームも足りないため掘り下げる部分が少なかったのも確かだろう。
がっつりとシナリオを楽しみたい人にとっては今一つ乗り切れいない作品になってしまうかもしれないが、一方でライトに作品を読み切ってしまいたい人にとっては十二分に楽しい時間を過ごせるシナリオだったといえる。

最期に今作の魅力をもう一つだけ挙げておくと、この作品に欠かせない「宝探し」というテーマに対して、ループ物の親和性が予想以上に良かった点だろう。
ループする隔絶された日々を送ったからこそ感じる、過去から未来へと続く時間の大切さ。その流れを宝探しの過程になぞらえ、見つけた…あるいは見つけようとしている宝物に対して想いを込める。作品を終えた時に来る独特の読後感と一欠けらの疑念と共に、そのメッセージ性はプレイ後もしっかりと心に残る物となっていた。


キネティックノベル…株式会社ビジュアルアーツが制作するWindows用ゲームソフトの一形態、ノベルゲーム。

【推奨攻略順:選択肢無し】
本作に選択肢は無く、1本道のシナリオとなっている。


CG
原画担当は望月けいさん。
シンプルな線と色数の少ない塗りで形作られた近代的なイラストのテイストで纏められている。
立ち絵と背景、もちろんイベントCGも統一感があり、「LOOPERS」の強烈な世界観を形作る上で効果的な役割を担っていた。


音楽
BGM23曲、Vo曲3曲(OP/ED/挿入歌)という構成。
ミドルプライス作品の楽曲数としては十二分なほどだが、関わった人員が折戸伸治さんやどんまるさん等々、確かな実力がある方々によって作られたBGMのレベルの高さは言うまでもないだろう。
特にVo曲のアレンジBGMはそれぞれに違う特色を持っていて、各重要なシーンにおいて素晴らしい演出を行ってくれていた。
Vo曲はスタイリッシュなOPの「千夜一夜VORTEX」もとっても好きなのだが、作品を終えて聞いたときの「君との宝探し」の破壊力も劣らず魅力的で、個人的に一押ししておきたい。


お勧め度
Keyというブランドで竜騎士07が手掛けたループ物ということで、多くの人にとっては様々な思いが錯綜するだろうが、個人的にお勧めしやすい作品という印象。
ループ物でこのイラストという事で多少取っ付きにくさがあるのだが、物語自体が短いためにシナリオ掘り下げが少なくなっていて、作品全体としてはマイルドになっていた。
加えて全年齢でロープライスという事もハードルを下げてくれており、多くの人に広く楽しめる作品になっていたように思う。


総合評価
シナリオ・CG・音楽の親和性も良く、ロープライスで実現しにくいループ物というジャンルの作品を、この完成度で作り出せたことには素直に賞賛出来る。


【ぶっちゃけコーナー】
今回はかなり評価としては割れそうな作品なのかな、ってのが最初の印象。
個人的には中利好印象だったんですけど、その理由はすごく簡単で、素直に泣けるシーンがいくつもあったから。
あと後半では燃え上がるシーンも結構あったり、LOOPERSという作品だからこそ演出できるシーンが沢山散りばめられていたからなんですよね。
今作って結構暗めの作品だと思うのですが、それでもそういうイメージが余りなかったのって、タイラという軸がぶれないカッコイイ主人公がいたからなんだろうなぁ。
こうした魅力的な登場人物がいたのが一点、そして対するヒロインのミアの魅力もありました。
彼女はまぁ色々あるキャラクターですが、それでもタイラと過ごして恋に落ちてゆく様子は、それという表現が無いにもかかわらず、こちらにもしっかりと伝わって来ていたのがすごく好み。
他の登場キャラクターもかなり魅力的なのだけれど、やっぱり尺不足で書き切れていなかったのは正直な所だろうなぁ…。
特に後半ではこうした部分が大きく響いていて、そのあたりで置いて行かれた人もいるのかもしれないなぁ…。
ただ掘り下げていけばいくらでもありそうなキャラばかりだったので、印象は変わったのかもしれないけれど、読みやすさという点では現状の状態がベストだったのだと思っている、というのもループ物という時点で結構読みづらい作品なのに、今回はそうした忌避感を感じそうな部分が廃されていた、というのを個人的な評価の一つにしているから。

そしてラストの展開…あれはは好みが分かれそうね…。
私個人も「え、結局どうなの!? え!?」ってなったけれど、それこそがこの作品の魅力なのかもしれないし「宝探し」というテーマにも合致しているかもしれない。
まぁ、どんな結末だったのかは語れないので、ぜひプレイして確かめてほしいし、時間を使って確かめる価値がある作品だったと思う。

3 (1)

2020年に発売された数々の作品の中から個人的にお勧めしたい作品をランキング形式でご紹介します。

第1位 Summer Pockets REFLECTION BLUE
Key (2020-06-26)

2018年にKeyから発売された『Summer Pockets』に登場するサブヒロイン『水織 静久』『野村 美希』『うみ』に、新規ヒロインとして『神山 識』のシナリオを追加した作品。
追加シナリオに関しては既存の物語と繋がりもあり、純粋に感動させられる質の高さもあって至極の出来といっても良い。
加えて既存ルートにも加筆修正部分がなされており、それによってさらに一段上の感動をもたらしてくれていた。
シナリオ以外にもBGMやVo曲にも追加があり、未プレイの人は言うまでも無く、無印プレイ済みの人でも新たな気分で作品を楽しむことができる。
2018年のランキングにて1位にも選出した事や販売形式を鑑みると、「この順位は…」と抵抗感もあるが、私Keyファンだという事を除いたとしても、与えてくれた感動は確かであり、今一度この作品をプレイし、いつまでも輝き続ける”あの夏休み”を思い出してほしい、そうした強い想いが自然と溢れるからこそ、2020年でお勧めの1位作品とした。


第2位 白昼夢の青写真
Laplacian (2020-09-25)

多くの科学系ADVを世に送ってきたLaplacianがついに作り上げた不朽の名作。
現在、過去、未来―それぞれの舞台、それぞれの設定で綴られた『CASE1』『CASE2』『CASE3』の3篇の物語。それらが集大成ともいえる『CASE0』で収束され一つの物語を編み上げられるまでの過程は正に芸術作品の域。
圧倒的世界観の中で綴られた物語の完成度の高さ、シナリオの感動的な部分はもちろん、エロゲーというコンテンツを最大限に生かしたシナリオ構成、それら最大限に生かすための巧みな表現技法など、シナリオ部分においての評価点を挙げれば枚挙にいとまがないほど。
それ以外にも美麗なCGや素敵なVo曲の数々、メインヒロイン(CV神代岬さん)の熱演等、どの要素をもってしても名作…神作といっても過言ではなく、この作品をもって数ある科学SFADVの歴史に名を刻むレベルになったと、自信をもってお勧めすることができる。
なお直接的な記述はないがLaplacianの過去の作品とも繋がりが垣間見え、シナリオの遊びとしても面白みがあり、全体を通して企画・シナリオを担当した緒乃ワサビ氏の思い入れや気合が伝わってくる作品にもなっていた。


第3位 まいてつ Last Run!!
Lose (2020-10-30)

2016年に発売された『まいてつ』に追加する形で、各ヒロインアフターや新規シナリオなどが盛り込まれた作品である。
既存の「まいてつ」のシナリオも十分に素晴らしかったのだが、その部分をさらにブラッシュアップし、『鉄道』という大きなテーマの中で再び紡がれる事となった物語は、確かな感動をプレイヤーに与えてくれていた。
特にハチロクアフター√において新規追加となったキャラクター「オリヴィ」に纏わる話は秀逸の一言であり、シーン演出も含めて突出している。
他のシーンについても『鉄道』というテーマを主軸に置きつつ、それぞれに発生する困難に際して露わになるキャラクターの内面を表現することで、より深くそれぞれの魅力を引き出していた。
そこには恋愛描写はもちろんだが、それに限らない心理描写が丁寧になされており、だからこそ一つ一つの話が琴線に触れるような物語に仕上がっていたように思う。
既存の作品にアフターシナリオを追加した作品形式ではあるものの、他に多数の追加曲を加えていたりと不足感が出ない作りとなっていた。
辿り着けなかった終着駅への道筋、未来へ続くレールを描いたシナリオは、「まいてつ」という作品だからこそたどり着けた境地であり、前作に引き続き「鉄道」というコンテンツに対しての情熱を感じる名作に仕上がっている。


第4位 ATRI -My Dear Moments-
ANIPLEX.EXE (2020-06-19)

紺野アスタさんが手掛ける科学SFADVの短編物。
海面上昇した地球を舞台とする、主人公とヒューマノイド「アトリ」のお話となっており、導入部ではアトリのコミカルなキャラクターに惹かれ、物語を進めるうちに『ATRI』に渦巻く深い世界観にどっぷりとつかっていく事となる。
短編物ゆえに分量自体は少ないが、1本道のシナリオに紡がれた物語には、時に笑わせられ、時にハラハラさせられ、時に驚かされ、そして幾度も泣かされてしまった。
圧倒的な世界観や巧妙な伏線など、この作品のシナリオについての魅力は数多く存在するのだが、何よりも物語の芯にある暖かなメッセージに強い輝きを感じ、それこそがプレイ後の心地よい良い読後感を生み出し、時間を経ても心に残る物語になっていたのではないかと思う。
美麗なCGや楽曲についても、フルプライス作品に勝るとも劣らない魅力があり、シナリオだけで見ても短編作品としては群を抜いているため、この順位とした。


第5位 さくらの雲*スカアレットの恋
きゃべつそふと (2020-09-25)

大正時代へタイムスリップしてしまった主人公が「所長」と名乗る女性に巻き込まれ、数々の怪事件と対峙することとなる、大正時代を舞台とした推理&タイムスリップ物。
シナリオライターである冬茜トムさんの手掛けた傑作「アメイジング・グレイス」と同じタイムスリップ物ということもあって否応にも期待感が高かったのだが、その期待に今作は見事答えてくれた形となっている。
周回を重ねるごとに大きく変化してする物語と、その内容からタイムスリップの謎に迫りつつ、最終的には背後に渦巻く巨大な陰謀と対峙する事となる。
周回を前提に作られたシナリオはADVの良さを上手く引き出しており、目まぐるしく変わる展開は終始プレイヤーの心を掴んで離さない。
何より冬茜トムさんといえば巧みな叙述トリックによる後半の爆発力。
今作でもそれは健在であり、素直にプレイしていた人なら二度、三度と世界観をひっくり返したような驚きに包まれる事だろう。
個人的には科学SF物として評価し辛い部分があり順位を下げてしまってはいるが、作品の端々から感じられる大正ロマンと合わせて綴られた物語には色褪せる事のない魅力がつまっており、推理物としてもタイムスリップ物としても評価できる作品となっていた。


第6位 マルコと銀河竜 ~MARCO&GALAXY DRAGON~
TOKYOTOON (2020-02-28)

『ノラと皇女と野良猫ハート』のスタッフが手掛けた全年齢対象の短編作品。
今作でなによりも特徴的かつ衝撃的だったのはカートゥーンアニメーションを取り入れた表現技法だろう。
物語の序盤にもあるカートゥーン調のアニメは今作の至る所で挿入されており、その一つ一つが作品の中軸を担っていた。。
今までのADV作品の固定概念を大きく崩すような演出は、プレイしていて新鮮な気持ちを与えてくれており、世界観に没頭する入口を作ってくれていたのだが、その独特の世界観の中で展開されたシナリオもまた魅力の一つとして挙げられる。
『早いテンポ』という表現には収まらない程にサクサクと切り替わる場面には、ともすれば読み手を置いていくようなシーンもあるほど。
ギャグシーンだけではなくメインのシナリオ展開においても、激動という表現がふさわしいほどの展開が続く今作は、読み手であるこちらを終始圧倒し続けてくれており、気が付けば自身が『マルコと銀河竜』の世界観に浸っていた事に気が付く。
短編ゆえのシナリオの短さはあるものの、それぞれの突出した表現や規格外の物語の中であっても、しっかりと感動できるシーンが用意されており、そうした全体的な印象の深さと完成度の高さからこの評価となっている。
百の言葉よりも一回のプレイでその世界観を堪能してほしい作品であった。


第7位 アマカノ2
あざらしそふと (2020-04-24)

あざらしそふとが送る「アマカノシリーズ」の5作目にして、恋愛学園物の金字塔。
普遍的なジャンルにある『恋愛』にファクターを当てることで丁寧に描き出されるヒロイン達の魅力はその表現に多くの手法を持つ「あざらしそふと」ならではといえる。
可愛い、綺麗、魅力的―表現は色々あるものの、恋に落ちて目が離せなくなるような『女の子』との恋愛をストレートに描いた今作は秋の紅葉が冬景色へと変わる季節の中で、告白シーンやその後の蜜月を通し、新しい所を発見して、さらに想いを深めてゆく、恋から愛へ変化する感情を一連の流れとして、作品に落とし込めることは容易ではないだろう。
肌と肌を寄せ合う事で感じられる互いの体温とその存在の大切さ、濃密に描かれた恋人との蜜月は冬の寒いイメージを塗り替える程で、やがて来る春へと思いを馳せながら過ごす日々は心温めてくれる。
シリーズ物ではあるものの、今作を単体として楽しむことができるハードルの低さや『恋愛ゲーム』というジャンルにおいての完成度の高さで他を圧倒していた。
このランキングの順位には個人的な趣味が強く出ており、感動できる作品が上位に来るのだが、その中で「感動」を主体としていない今作がこの順位にいる事の意味は大きいのだと感じてほしい。


第8位 紅月ゆれる恋あかり
CRYSTALiA (2020-12-25)

「近未来×和」をテーマとした『刃道』を通して青春を描く学園物。
舞台を同じくした同社作の「めくいろ」や「めくらべ」とならぶシリーズ作品で、設定や舞台こそ引き継いでいるものの、内容や雰囲気には大きな違いもあったのだが、そこでまず最初に挙げられるのが1本道となったシナリオ構造だろう。
他の作品に多くあるような個別√を排することで、各キャラへの描写量自体は減ったものの、一つの物語としての流れの中身を充実させることができており、結果的により物語へと引き込むことに成功している。
また戦闘描写自体には特筆すべき所がないものの、そこに至るまでの過程やシーンそのものの見せ方がとても秀逸であった。
中でもバトルシーンにおいて描き出される彼女たちの心理描写には何度も心を奪われてしまう程で、一瞬の煌めきの中に交差する想いと想いがぶつかり合うような戦闘描写はシリーズ中で最も熱い。
シリーズを通して作り上げられた世界観の中で描かれる『刃道』というスポーツの魅力を絡めて、王道の青春学園バトル物に昇華できていた。


第9位 ハミダシクリエイティブ
まどそふと (2020-09-25)

それぞれの形で社会から『ハミダシ』たヒロインがそれぞれ『クリエイター』という特殊な立ち位置にいる恋愛学園物。
今作の魅力はなんといってもヒロイン自体の魅力。
キャラゲーと評されるだけにとどまらない、濃いヒロイン達が集まったときの軽快な掛け合いは彼女たちの魅力を引き出すだけでなく、ギャグシーンとしても秀逸だった。
またそれぞれのキャラクターの可愛さを表現するだけでなく、日常シーンではテンポの良い笑いで流れに弾みをつけたり、シリアス場面ではしっかりと物語に起伏を付けたりと、シナリオ部分においても手抜きが無かったのも好ポイント。
広く多くの人が楽しめる形である『キャラクターの魅力』という部分を前面に押し出し、「萌え」の可能性を感じさせてくれた今作、キャラクター自体の魅力もあってか、特定のヒロインはVtuberとして活躍を続けていたり、音声作品が発売されていたりと、作品以外への展開力からも今作の魅力が伝わってくる。


第10位 神様のしっぽ ~干支神さまたちの恩返し~
DESSERT Soft (2020-01-31)

干支神を題材にした心温まる物語。
サブヒロインを含めると13人を超える攻略対象キャラの多さが魅力の一つとなっている。
バラエティーに富んだメンバーによるパロディの豊富なギャグシーンを中心としつつも、今作のテーマでもある『絆』を描いたシーンの数々は随所にちりばめられており、何度も心を動かされ、涙した場面も一つや二つではない。
一方で階段分岐を使用したシナリオ構造上、各ルートは少し薄めになってしまっており、問題点も多い。
手放しで褒められるほどに秀でた作品ではないものの、切なくそれでいて心温まるストーリーは個人的に是非お勧めしたく、この順位での紹介となった。


番外編


2020年作品ながらもシリーズ物や続編などで初見プレイに向かず、上記対象外となったなかでの名作もご紹介!
それぞれに根強いファンがが獲得できるほど作品が素晴らしいので、ぜひ興味を持った方には1作目からプレイしてほしい所です。


天ノ少女
Innocent Grey (2020-12-25)

第一作目となる『殻ノ少女』から幾年の時を経て発売へ至った、シリーズ三部作の最終章となる完結編。
本格推理小説もかくやといった緻密なトリックと、その裏にある深く暗い心理描写によって形作られた世界観は誰しもを虜にする。
軒並み高評価だったシリーズ作品がある中で、「殻ノ少女事件」に端を欲する一連の事件に終わりが見られる最後の作品として期待値がかなり高い作品ではあったが、それを物ともせず綺麗な幕引きとなっていた。
シリーズ作品の最終章ということで、単体で楽しむことが難しいため番外になっていたが、そうした縛りがなければ、上記ランキングのTOP5に食い込むであろう作品である。


9-nine- ゆきいろゆきはなゆきのあと
ぱれっと (2020-04-24)

9-nine-シリーズ4部作の最終章であり「結城 希亜」がヒロインとなったシナリオ。
攻略対象になる事で、今まで見えなかったヒロインの可愛さが見られるようになる事に加え、ADV形式を活かしたタイムループ物としての物語の面白さが詰まった内容となっており、他にも作中に登場する異能を使ったバトルシーンもたっぷりと描かれている。
続く予想外の展開と迫りくる絶望、果てしない困難に対峙する主人公の姿には誰しもが涙し、心震わされる。
シリーズで最高潮の盛り上がりを見せた名作にはちがいないが、こちらも単体での評価は難しく番外編として掲載した。


月の彼方で逢いましょう SweetSummerRainbow
tone work's (2020-05-29)

『月の彼方で逢いましょう』の続編で、ヒロイン「佐倉 雨音」とのアフターストーリーを描いた作品。
『月虹の先にある、幸せの物語』と銘打たれた今作は、スクール編のアフターとアフター編のアフターの2部構成となっており、本編にあったSF的な系譜は引き継ぎつつ、『家族』というテーマについて描かれている。
過去、現在、そして未来へと続く時間の中で、日常のその先にある幸せを描き出し、本編以上の感動を与えてくれていた。
前作のプレイは必須だが、本編にあった雨音√は今作をもって本当のエンディングを迎える、という事をぜひ知っておいてもらいたく番外編に掲載した。


pieces/揺り籠のカナリア
Whirlpool (2020-05-29)

同社作『pieces/渡り鳥のソムニウム』のFD作品。
各ヒロインのアフター√が描かれている他、新規ヒロイン昇格として「伊集院 貴美香」の個別ルートも用意されており、続編として各キャラクターをさらに掘り下げることで、Whirlpoolの強みともいえるエロと萌えを伸ばした作品であるといえる。
また本作に収録されているOmnium√に関しては、センターヒロインである結愛との関連も深く、本編のTRUE√の補完にもなっている事もあって、「pieces」という作品を真に完結させるために必要不可欠な内容にもなっていた。
強気のフルプライス設定に見合う内容ではあったのだが、前提としてFDであり、本編のプレイが前提となった作品であるため、番外編入りとなったいえる。



タイトル : イチャ×2スタディ
ブランド : ま~まれぇど


シナリオ : ☆☆☆☆ [1/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   :       [-/5]
お勧め度 : ★★☆☆☆ [2/5]
総合評価 : ★★☆☆☆ [2/5]
(総プレイ時間 : 1h弱)


↑本編の感想URLです。

キャラクター・シナリオ
本作は同社作の「スタディ§ステディ」(以下本編と表記)のFDである。

4人いたヒロインのうちの一人、学園の先輩「御前崎 悠羽」とのアフターストーリーとなっている。
時に一緒に勉強をしたり、癒しの耳かきをしたり、かと思えば温泉旅行へ行ったりと、本編の後もイチャラブな日々を過ごす主人公と悠羽が描かれている。

攻略時間からもお察しかもしれないが、シナリオの分量は非常に少なく、Hシーンが主体として作られた作品となっている。
その為どうしても悠羽とのイチャラブの日々は少なくなっており、二人のアフターシナリオと位置付けるには難しい側面があった。
また悠羽の性格自体も本編からよりHシーンに向けて過激になっており、ともすれば本編であったイメージを損なう危険性も孕んでいたため、シナリオとして評価するのは難しい。


【推奨攻略順:選択肢無し】
作中に選択肢は登場しない。


CG
繊細な線とテカリの感じる絵は健在で、もちろんe-moteを導入してヌルヌル動く立ち絵も継続。
悠羽自体には様々な立ち絵が存在し今作でも追加があった一方で、アフターということやシナリオ自体も短く、作中で確認できるものは限られている。
CGに関してHシーン用の物が6枚用意されており、Hシーン自体は3シーン(それぞれを前後で分けているため鑑賞では6シーン)存在している。
一般のイベントCGは3枚と多少寂しいものの、この辺りはしょうがないだろう。


音楽
BGMは本編の物を使いまわしているように思われるが、鑑賞画面が無いため正確には不明。
Vo曲は本編からの流用で1曲存在しているものの、今作で新規追加等はない。


お勧め度
FDというとこもあって、本編「スタディ§ステディ」のプレイは推奨され、中でも御前崎 悠羽が気に入った人に向けた作品となっている。
ただし作中はHシーンが連続する中身のない内容となっている為、「スタディ§ステディ」のどこを気に入ったかにもよるが、本編にあったイチャラブを期待している人にとっては、落胆せざるをえない作品となっているが、一方でHシーン目的で購入するならばコスパに目をつぶれば悪くなかったともいえる。
個人的にではあるものの、悠羽の存在が好きであれば好きであるほど気に入りにくくなる要素があるように感じられ、以上の経緯を鑑みるとかなり人を選ぶ作品の様に思える。


総合評価
萌えよりエロに比重をかなり重くした作品であり、シナリオや音楽に関しては評価できるところも少なく、低めのこの評価となっている。


【ぶっちゃけコーナー】
悠羽のアフターが作られること自体少し驚きなんだけれど、それくらい人気だったんだなぁ。
ただ、その人気に対してこの作品が正解だったのはか分からない。
イチャイチャというよりはHシーンばっかりの作品だったし、シナリオ部分だけ読むのが正しいプレイの仕方じゃないのはわかるけれども、Hシーンを抜いたときのプレイ時間が30分にも満たないのは本当に驚き。
これではFDと言えどもコスパが悪いなーって感想を抱く人がいても仕方が無いと思う。

あと本編ではいろいろと仕組みに工夫を凝らしてて、段々と好意が高まっていく過程が表現されていたん。だからこそ、濃密なイチャラブやHシーンにも感情移入が出来ていたんだとおもうけれど、今作は一気にそうしたシーンへ放り込まれてしまうので、いきなりジェットコースターに乗せられている感じなんだよなぁ。
もちろんちょっとした工夫とかはあるんだけどね、本当にちょっとしたもの過ぎて、印象に残らない程度の物だったしなぁ…。

もう少しこの作品だから見られる悠羽の新しい側面とか、今後の二人を感じさせるような日常シーンがあれば評価も変わったのかもしれない。
エロ中心だったということよりも、上記の点からFDとしての内容不足で少し低めの評価にしています。



タイトル : アイカギ3
ブランド : あざらしそふと


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 1.5h)

シナリオ
あざらしそふとが制作するロープラ恋愛物「アイカギ」シリーズの4作目。
ナンバリングタイトルとなっているものの、今までのアイカギシリーズ作品と同様にシナリオとしての繋がりはなく、「アイカギ」というワンポイントが共通の下地としてシナリオに練り込まれている。

今作のヒロインは年下の幼馴染である「早乙女 愛」。
今まで疎遠な間柄だったが受験期に1週間ほど家庭教師をし、受験の為に主人公の部屋へ下宿した際に合鍵を渡したことがこの物語の切っ掛けとなっている。
本編では愛の学園入学後、放課後になるとなぜか主人公の家に入り込み、寛ぐ愛からアイカギを返してもらうため、様々なゲームに挑戦するという日常シーンがメインとなっている。

年下でありギャルっぽい見た目の愛は真面目な主人公と趣味も趣向も違うが、合鍵をかけた様々な勝負が一種のコミュニケーションツールのようになっており、勝負に関しては色々と弱い主人公をからかう愛、といった手のひらの上で転がされる展開が多くなっている。
しかしながら、行動の端々から愛の恋愛感情が伝わるシーンもあり、そういった意味では甘いイチャラブシーンが終始続いていたといえるだろう。

物語が進み付き合いだした後もその蜜月は途切れることなく続き、今までの愛とは違った包み込むような温かさを見せるシーンなどもあり、より親密になった事で魅せてくれる愛の表情というものも増える。

物語自体は萌えゲー主体のイチャラブ系の話であり、シナリオ自体も比較的短めなので、評価は如何に愛の可愛さを書き切れるか、といったところにファクターが当たるが、そうした意味では十分に書き込みがなされていたように思う。
気軽に付き合える相手でありながら確かな深い愛情を感じる愛の存在は、共に過ごしてゆく相手に望まれる多くを満たしており、たくさんの人にとって理想を詰め込んだ存在ともいえるだろう。

【推奨攻略順:】
作中に選択肢は存在せず、1本道の物語となっている。


CG
しっかりした線と濃い塗の絵。
肉感をたっぷりとを感じる艶やかな絵は「アイカギ2」と同様に全17種あり、そのうちHシーンは6シーン分で10枚が用意されていた。


音楽
BGM10曲、Vo曲1曲(主題歌)という構成。
全体的にはゆったりとした楽曲が多く、意外にも料理が得意なアイや数学な得意な主人公、それぞれを意識した楽曲タイトルなんかがあったのは面白い所。
yozuca*さんが歌うVo曲の「アイノカギ」はカッコイイイントロが印象的で、タイトルのダブルミーニングも作品とあっていてよい。


お勧め度
あざらしそふとの『アイカギ』シリーズでは4作目。
今までのシリーズ作品同様、前作の「アイカギ2」とはシナリオ的な繋がりが一切ないため、今作のみのプレイでも全く問題ない。
基本的にはイチャラブ物のロープラであることを理解していれば、損した気分になることは無いだろうが、ヒロインのキャラクターが終盤までブレないところが特徴として挙げられ、初見でアイというヒロインが好きになれたのなら、物語の終盤まで楽しむことができるだろう。


総合評価
抜きんでた所こそないものの、ロープラの萌えゲーとしては非常に安定した作品であり、平均をしっかりと満たした作品といえるだろう。


【ぶっちゃけコーナー】
あざらしそふとの作る萌えゲーはすごく安定しているなぁ、というのがストレートな感想。
これはいい意味も悪い意味も含んでいて、落胆することも無いのだけれど、予想を超えることが無い。
まぁ、シナリオゲーというわけではなく、あくまでキャラの可愛さを愛でる萌えゲーなのでそれで問題ないんだけどね。
だからキャラクターを可愛く書くという事に関しては、イラストに関しても、シナリオに関しても全力を注いでいるように感じられる。
そこに変な小手先の小細工がある訳ではなく、費用を抑えつつ、ライトに多くの人に楽しんでもらえる萌えゲーとして戦おうとするからこそ、このロープライスという販売方法を選んでいるのかもしれない。
作品の感想というよりは、萌えゲーとロープラの相性みたいな話になってしまった。



タイトル : 恋愛×ロワイアル まり&汐音&蒼 ミニアフターストーリー
ブランド : ASa Project

シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   :       [-/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 2h弱)

シナリオ
同社ASa Projectの『恋愛×ロワイアル』(以下、本編と記述)に続き発売された1作目のFD『恋愛×ロワイアル 乃々香&蓮菜&由奈 ミニアフターストーリー』。
そこで取り扱われなかった残りのヒロイン達のストーリーを詰め込んだのがFD作品2作目となる今作。

シナリオは本編のヒロインである主人公の幼馴染『花丸 まり』と生徒会長の『梁染 汐音』の合計2編のアフターを描いており、中でも汐音編においては彼女のメイド『伊従 蒼』が今作で見事ヒロインに昇格しており、そんな二人が攻略対象となった少し特殊なシナリオとなっている。

ASa Projectといえばギャグシーンだが、そのセンスに関しては相変わらず安定感がある。
本編にあった枷がなくなり、自由に展開できるようになったことでギャグの表現の幅が広がっている事は1作目のFDと同様、キャラクターも攻略対象となっているヒロイン達が中心とはなっているものの、他のヒロインや脇役キャラクターなども豊富に登場しており、どこまで行っても開けた世界観に基づいて描かれている。
そうしたところは展開の豊富さが勝負のカギとなるギャグゲーにとって必要不可欠な要素ともいえ、好感を持てるところであり、賑やかな作品の雰囲気づくりにも一役買っていた。

FDを分割したシナリオであるため、どうしてもプレイ時間は短くなっているので評価を高くしにくいが、ギャグゲーとしてはすっきりとした作品として受け入れやすくなっている。


【推奨攻略順:まり→汐音&蒼】
冒頭の選択肢でシナリオを選択可能なので、好きなキャラからの攻略で良いだろう。


CG
はっきりとした線にすこし濃いめ塗りの絵。
1作目のFDと同様にCGは11種類で全てがHシーン用の物となっており、汐音と蒼のHシーンがそれぞれにあるため、1キャラの枚数に関しては少ないが、その代わりに3P用のCGがある。


音楽
BGM28曲、Vo曲3曲(OP/ED/挿入歌)という構成。
ここも本編やFDと同様に変化なしで評価対象にせず。


お勧め度
本編である『恋愛×ロワイアル』の1作目のFDに続き、残りのヒロイン分のシナリオが詰め込まれた2作目のFD。
もちろんFD作品であるため本編のプレイは必須だが、1作目のFDとの関連はないため、今作でヒロインに昇格した蒼などの特定のヒロインが気になる方は、そのFDを飛ばして今作をプレイするのもありだろう。
基本的には変わらずギャグゲーなので、その点は留意すべきだろう。
今作で基本的にこの『恋愛×ロワイアル』の話自体は終わり(のはず)なので、一気にプレイしたかった人にとってもプレイするきっかけになるといえるだろう。


総合評価
FDを分割した作品であるためボリューム不足感はあるが、ギャグゲーとしての質は依然として落ちておらず、アサプロの安定した作品の一つということでこの評価となっている。


【ぶっちゃけコーナー】
今回は(個人的にも)人気のあった蒼がヒロインに昇格するという事で、注目もあった作品。
本編でも少し触れられたシーンはあったけれど、今回もギャグシーンを絡めつつ蒼にファクターを当てたシーンは結構あったので、ファンにとってはうれしい作品になっていたかも。

後はやっぱりギャグシーンだね。どんなに笑わないでおこうと思っていても、不意を突かれて笑ってしまうのがアサプロのゲームだと思うわ。

FDを分割して売る商法はやっぱりあまり好きではないのだけれど、それで価格が抑えられていて、気になるキャラクターだけプレイできると考えれば、得している人はいるのかなぁと思う。
個人的にはもっと自信をもって全部セットにしてしまっても良い気がするんだけどなぁ。



タイトル : コイ×ミツ ~千葉静玖とサボテンの手紙~
ブランド : とるてそふと


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★☆☆ [3/3]
音楽   :       [-/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 2h)

キャラクター・シナリオ
とるてそふとから発売される「コイ×ミツ」シリーズ三部作の2作目。
ヒロインとなっているのはタイトルにもある「千葉 静玖」で、強面な主人公と物静かな従妹との恋愛を描く。

共通部分に関しては1作目と同じであるため、コイ×ミツ ~八重練紗祈と赤い糸の王子様~の感想を参照されたし。
その他の静玖√についてを下記で触れておくこととする。


共通√【 ★★★★☆ 】  2h
前作同様、シリーズに共通して搭載される体験版部分であり、これがあるために今作からのプレイでも問題ない仕様となっている。
1作目と同じ内容となっていて追加も全くないため、内容の詳細は上記URLを参照の事。


千葉 静玖√【 ★★★☆☆ 】  2h
主人公の一つ下の従妹で図書委員の女の子。
何を考えているのか分からないことが多く、天然な行動をすることもあって、周囲からは不思議ちゃんと思われている。
物静かな性格をしていて、大人しい事もあってか、草食系男子からの人気が非常に高く、告白されることも多いらしい。
実はかなりのゲーマーで、のめり込んでしまうと永遠とプレイを続けてしまう程で、特にFPSやPVP系のゲームを好んで行っている。

1作目と同様、個別シナリオに入ると静玖視点で共通部分の出来事を振り変える事になるのだが、感情の読みにくかった静玖だけに、こうした描写は感情移入にも大きく影響している。

物語は恋人関係になるまでの序盤、なってからのイチャラブ中心の中盤、そしてクライマックスシーンの終盤へと大きく分けられるのだが、その中で一貫して作品のテーマのように感じられたのは「恋愛に付随する負の感情」についてだった。
特に序盤において、静玖が初めて感じた主人公への恋愛感情に戸惑うシーンは、上記の要素を巧く絡めて描かれている。だからこそ普段からは想像ができない程に深い静玖の葛藤や苦悩、悲しみが描かれている部分などはとてもレベルが高く感じられた。
こうしたシリアスシーンがあったからこそ、中盤以降においてストレートに感情を表現してくれてる静玖の可愛さもより一層磨かれていたように思う。

もちろん終盤も見所が多く、静玖が吐き続けた一つの嘘をテーマに静玖の内面にまで迫った展開は切なくも暖かい展開となっていた。
ここではしっかりとタイトル回収がなされている事もなのだが、同時に前作の伏線回収をするとともに、シリーズとして次作への繋ぎをしたことも評価に加えておきたい。

静玖というキャラクターの魅力をしっかりと引き出しつつ、シナリオ自体も楽しめる。
1作目をプレイしてしまっていると共通部分が実質存在していないため、全体的にシナリオは短く感じるものの、それでも全体的なレベルの高さを感じられる内容であった。


[主人公]桐生 千尋
1作目と同様、上記感想URLを参照の事。

【推奨攻略順:作中に選択肢は無い】


CG
変わらず繊細で柔らかさもある絵。
立ち絵等は1作目の物と同様となっていて、個別シナリオにおけるHシーン数(6シーン)も同数が用意されていた。


音楽
BGM?曲、Vo曲1曲という構成。
相変わらず音楽鑑賞画面はないため、正確な構成は不明。
ただ今作で新たに追加された楽曲はVo曲を含めて確認できないため、今回は評価していない。
感想の詳細は1作目と同様、上記シナリオ評価部分にある感想URL等を参照の事。


お勧め度
コイミツシリーズの2作目という事で、共通ルートと静玖√が含まれた今作。
短いシナリオの中でも1作目の伏線を回収しつつ、3作目の繋ぎともいえる役割をしっかりと果たしてくれていた。
また上記のような作品の性質上、今作からのプレイでも問題ないため、静玖というヒロイン自体が気になった方はこの作品を単体でのプレイも推奨しやすい。
一方で1作目から継続でプレイしている人にとっては、音楽やシナリオ等で重複する部分も多く、うまみが少し減っているのが気になる所。


総合評価
販売形式の特殊さはより如実にはなったが、シナリオ自体の完成度は悪くなく、扱われていたテーマも良かった。
シリーズへの期待感も依然として高く、ロープラゲーとしては評価以上に評価したい。


【ぶっちゃけコーナー】
静玖√ではあるものの、1作目のヒロインである紗祈の登場シーンが多かったのは個人的に嬉しい所。
前作ではヒロインに加えて主人公の良い所が前面に出てたけど、今作では紗祈がそれだったかもしれないなぁ…。
もちろん終盤の主人公もなかなかいいんだけどね、恋愛マスターとなった紗祈さんはギャグ的にはもちろん、その心情を考えると結構切ないし、彼女のアドバイスが物語の起点となってくれていたり、作品にとっては良い存在だったように思う。
純粋に最初から最後まで恋愛シーンを楽しみつつ、サクサクプレイできたのは本当にいい事よね。

ただシナリオが良かった半面、ただ追加楽曲も無いとなると、やっぱり分割商法感がより強くなってしまうよなぁ。
そこら辺のロープラと比べてもシナリオは良かったので、ストレートに悪い作品ではないのだけれどね。
上記にも書いたのだが継続してプレイしている人にとっては、どうしても新規要素が少なくて十二分に楽しめたのかは謎なのだが(特に1作目と比べると見劣りするような気がする)、このヒロインだけを攻略したかった人にはとてもありがたいんだろうなぁ。
まぁこの作品に関しては継続プレイする人の方が多いからそれ以上触れても仕方が無いのだけれど、今作だけプレイした人にとっては前作の伏線と今作の伏線の存在はどうなんだろうなぁと思った。



タイトル : LoveKami -Pureness Harem-
ブランド : PULLTOP


シナリオ : ★★☆☆☆ [2/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★☆☆☆ [2/5]
お勧め度 : ★★☆☆☆ [2/5]
総合評価 : ★★☆☆☆ [2/5]
(総プレイ時間 : 2h)

キャラクター・シナリオ
原作である「恋神」のスピンオフ作品「LoveKami」シリーズの3部作の3作目。
1作目、2作目より後―原作にあったカミサマ降臨から6年後の世界を舞台としており、守森神社で暮らしていた主人公の元へタタリガミである「雨津 ユカリ」がやってきたことが物語の発端となっている。※なお今作から登場した概念である「タタリガミ」については、2作目にあった「アラガミ」とも違った概念となっている。

シリーズ物ではあるものの、今までの作品と同様に原作にある「カミサマたちが急に現世に現れた」という設定のみを流用しており、それ以外のシナリオについては前作までの繋がりも無いため、単体として楽しむことができるようになっている。
ただ、シナリオに繋がりこそないものの、そのほかの作風や分量などは今までの作品にあった部分を踏襲している。

また今回はヒロインの立場に違いはあるものの、それぞれ迫害されたカミサマたちであることは共通しており、そういう意味では全体的に統一感のある内容となっていたのだが、反面、シナリオの分量が少ない事もあってか、どのヒロインであっても迫害され忌み嫌われていた過去をもつ彼女たちを受け入れる、という流れがさほど変わらず、物語としては展開の幅が無かった。

シリーズ物として多くの部分で今までの作品に類似する点が見られている一方で、今までの作品と大久喜変わっていたのが、タイトルにもある通りハーレム要素だろう。
今作では当初から3柱のヒロイン達から好意を向けられており、主人公自体もその全員を受け入れる選択をとることとなる。
しかしながら、作中では複数の女性と関係を持つことはなく(過去にそうした描写があるキャラは居るものの)、真にハーレム作品といえる程ではないことには留意すべきだろう。


共通√【 ★★☆☆ 】  0.5h
前半は世界観の説明をしつつ、タタリガミであるユカリが守森へやってきてからの数日が、後半では守森で行われるお祭りを皆で盛り上げる様子が描かれている。
物語の発端となっている事もあって、ユカリの行動の一つ一つが物語の起爆剤となっている。
短いシナリオなので評価自体が難しいが、ヤンデレ風味なユカリの魅力が前面に出ている一方でシオンやカエデといった元々のカミサマ達とのシーンは比較的少なくなっていて、魅力を引き出しきれていなかったのは残念。

20210604011945
雨津 ユカリ√【 ★★☆☆☆ 】  0.5h
守森に現れたヤンデレのタタリガミ。
元々は都会で暮らしていたが、タタリガミ故の迫害から心を傷つけられ守森にやって来た。
普段はおっとりとしているが、タタリに対処できる主人公に運命的な物を感じており、押しかけ女房のように『嫁』を自称している。
その異常な執着心ゆえに、嫉妬すると黒いオーラ(タタリ)が漏れてしまうことも。

個別シナリオではユカリの持つ「タタリガミ」としての性質を主軸とした内容となっていて、ヤンデレなユカリとの恋愛が楽しめる展開に。
滅茶苦茶な性格をしているユカリだが、タタリガミだったが故に悲しい過去をもつ、そんな彼女をありのまま受け入れる、主人公のそうした懐の広さも感じられる内容となっていました。


20210604014436
未園 シオン√【 ★★☆☆☆ 】  0.5h
ユカリの少し前に守森へやって来た貧乏神。
多少短慮な部分はあるが、明るく前向きな性格をしている。
面倒くさがり屋なので、お金が絡まない限りは何かをすることはないのだが、地元ではマスコット的な扱いを受けて人気があったりもする。
突然やって来た、ユカリに対抗して『妾』を自称し始める。

個別シナリオでは、守森のお年寄りから好かれているシオンが、恩返しの為に行動するという内容に。
タタリガミではないものの、貧乏神として忌み嫌われていたシオンが、やっとの思いで得た安息地の守森、そこで明るく自由にに過ごしているように見えたシオンが抱いていた想いが吐露されていたりと、シオンの内面にまで踏み込んだ展開となっていた。


20210604013830
静森 カエデ√【 ★★☆☆☆ 】  0.5h
街を守護する元タタリガミの祭神。
昔は守森市のタタリガミだったが、彰と出会い恋をしたことによりその性質がなくなり、今では祭神として祭られている。
落ち着いた雰囲気をしていて、皆の姉役になることも多いが、エッチなことは不得手でユカリの積極性をうらやましく思っている。
ユカリに対抗して『妻』を自称している。

個別√では3柱の妻の一人となったことでより積極的になってゆくカエデの姿が見られる。
カエデに関してはタタリガミ時代に積極的な様子であったりと、過去の出来事などにも触れられているのだが、Hシーン以外の回想シーンが殆どないため、キャラクターの広がりが余りなかったのは残念な所。


[主人公]真瀬 彰
人当たりがよく、しっかり者の青年。
長期出張中の両親に代わり守森神社の中宮祠を管理する青年。
彰自身が良い幸魂を持つことに加え、守森神社に仕える主人公一族がタタリに対して抵抗があるため、タタリガミの受け入れていたりもする。


【推奨攻略順:ユカリ→シオン→カエデ】
攻略順に指定はないため好きなキャラからの攻略で良いだろう。


CG
前作同様に柔らかな線に濃い塗という大衆的な絵で、e-moteも導入されている。
CGの枚数もシナリオの長さと比較すると豊富と言え、SD絵も6枚存在していたり、Hシーンも各キャラ2回などと言う所も一緒である。


音楽
BGM10曲、Vo曲1曲(主題歌)という構成でBGMの多くは前作からの使いまわしという事で、新規追加はおそらくない。
Vo曲はNovaureliaさんの歌う「カタコイ(片恋)」、なかなか合いの手が特殊な楽曲ではあるものの、曲自体はとてもよく、和テイストな作品とも親和性が良かったといえる。


お勧め度
「LoveKamiシリーズ」の3作目。
今までのLoveKamiシリーズから世界観は引き継がれているものの、作中に過去のキャラが登場することもなく、作品として完全に独立している為、今作からのプレイでも問題はない。
細かい設定などは勿論違うものの、大きい枠で考えるなら1作目、2作目と同様の作品といえ、過去作が好きだった方は安心してプレイできるだろう。


総合評価
良くも悪くもLoveKamiシリーズとしては安定した作品であり、驚きも落胆も無かったためこの評価となっている。


【ぶっちゃけコーナー】
全3作品をプレイし終えて、原作である「恋神」と比べるとやっぱり「LoveKami」シリーズは全体的なインパクトが弱いなと思った。

カミサマ降臨を基盤とした物語という点はよかったし、3作目はそれを利用して作った物語ではあったのだけれど、結局メッセージ性がすごく弱くて何を言いたい作品なのかを受け取ることができなかった。
この辺りは私の読解力不足なのかもしれないけれど。

全体的にみると音楽や絵などの平均的な力はあったので、作品としては問題なかったといえる。
ただ萌えゲーとしてなのか、シナリオとしてなのか、エロとしてなのか、作品としてどこを推しているのかが分からなかったので上手く楽しめなかったし、どこかに特化してないからこそ、平均的な作品として埋没してしまったのかもしれない。

やっぱりヒロインの数を増やしてしまった事で、一つのシナリオが短すぎるのも問題だよなぁ…せめてエロシーンが多ければ、純粋なるエロゲーとしても評価できたのだが。
ロープライスという事もあるにはあるが、似たような作品は単一ヒロインで書き切ってしまったりしているので、どうしても一つ一つの物語の印象が弱い。
ある意味そうしたところが特徴ともいえるのかもしれないが、結果的に「LoveKami」シリーズであるという部分でしか紹介できないんだよなぁ。
だからこそ評価としては抑え目になっているかも。

とにもかくにも原作である「恋神」と今作を含めたスピンオフ作品「LoveKami」シリーズ3作品がセットになったものなどもあるので、興味がある場合はプレイしてもいいのかもしれない。
個人的には原作のみを推しておきたい。



タイトル : LoveKami -Trouble Goddess-
ブランド : PULLTOP


シナリオ : ★★☆☆☆ [2/5]
CG   : ★★   [2/3]
音楽   : ★★☆☆☆ [2/5]
お勧め度 : ★★☆☆☆ [2/5]
総合評価 : ★★☆☆☆ [2/5]
(総プレイ時間 : h)

キャラクター・シナリオ
「恋神 ‐ラブカミ‐」のスピンオフ作品「Lovekamiシリーズ」の2作目。
1作目である「LoveKami -Sweet♥Stars-」の数年後を描いた作品ではあるものの、舞台や登場人物に全く関連はなく、完全に独立した話となっている。

物語は主人公が行き倒れていたアラガミのアカネを拾った事を発端として、土地神のイノリなども登場し、最終的には主人公や舞花の住む椿木荘の存続をかけてアカネを更生するという話になっている。

ロープライスという事もあって全体的にかなり短い作品になっており、サクサクとシナリオは進むのだが、一方で3人のヒロインそれぞれのシナリオはしっかりと分けられている為、全体的に描写不足は目立つ。
特に顕著だったのはアカネが更生を目指す過程でアイドルを目指す描写だろう。
その部分に関しては短いシナリオの中でも多少の分量をもって描かれていたのだが、一部√ではそうした設定が途中から捨て置かれてしまっていたり、書かれているにしてもとにかく設定としての流れで描写されている印象が強く、全体的に情熱に欠けており薄っぺらい。このあたり1作目と同様ともいえる。

上記のような事情もあって、親しくなって付き合う、という一連のパターンが各ヒロインで描かれている以外は、内容のあまりないシナリオに仕上がっていた。
ライトに楽しむ人にとってはいい作品…と言いたいのだが、いかんせんキャラクターの書き込み部分も甘く、萌えゲー・キャラゲーとして楽しむことも難しい。
結論として主体性のないシナリオになっており、厳しめの評価になっている。


共通√【 ★★☆☆☆ 】  0.5h
主人公がアカネを拾う冒頭シーンから、更生の為に「アイドル」を目指す様子が描かれている。
物語の序盤という事もあって話の中心にいるのは主にアカネであり、他のイノリや舞花といったヒロインにはあまり触れられていないまま、共通部分が終わってしまう。
ただ、いかんせん短く特にこれといったイベントシーンが描かれているわけではないので、評価こそ難しいものの、可もなく不可もない導入と言い換えることもできる。


20210531014907
椿姫 アカネ√【 ★★☆☆☆ 】  0.5h
主人公の住む椿木荘の屋敷神。
我儘で怒りっぽく、今までは思うがままに過ごしていたが、結果として行き倒れてしまい、そんな所を主人公に拾われ椿木荘に居候する事となった
アカネ自身は電気に干渉する力を持つ屋敷神なのだが、同時にアラガミであるがゆえに力を制御することができず、感情が暴走してしまうと周囲を停電させてしまう。

個別シナリオでは、アカネの「アラガミ」としてのアイデンティティをテーマにした内容になっている。
短くはあるものの唯我独尊のアカネが、主人公の優しさに触れて変化してゆく様子が比較的丁寧に描かれており、そういう意味では共通ルートにはないアカネの魅力があるといえるだろう。
ただ前作の繋がりや共通ルートからの流れで、本格的にアイドルを目指すアカネの様子が描かれる…と思っていただけに、その部分は一切捨て置かれていたのは意外という他ない。


20210531011539
神木 イノリ√【 ★★☆☆☆ 】  0.5h
アラガミであるアカネを更生させるために派遣されたお淑やかな土地神。
少し天然でドジな所もあるが、基本はおっとりと柔和で落ち着いた性格をした大和撫子であり、天候を操る力を持っている。
めったには怒らないのだが、一度怒らせてしまうと性格が豹変し口が悪くなってしまうという一面も。

個別√ではアカネの更生の為に二人が協力する、という形から恋人関係に発展してゆく様子が簡単に描かれており、後半ではイノリの土地神としてのアイデンティティをテーマとした話に。
全体的に予想できる範囲内であったり、描写として薄いものが多いので評価はし辛い。また共通からあったアカネについても特段描写がなく、物語の尺もあってか捨て置かれてしまっていたのは残念な所。


20210531011213
功刀 舞花√【 ★★☆☆☆ 】  0.5h
主人公の幼馴染のイマドキ風ツンデレギャル。
見た目に反して責任感は強く、親から引き継いだ椿木荘も立派に管理人として務めており、他にも料理が得意だったりと家庭的な部分も完璧にこなすことができる。
基本的にはサバサバとしているのだが、椿木荘を大切に想っていることを素直に伝えることができなかったりと、ツンデレの様な一面も。

個別シナリオでは前半部分で、幼馴染としての二人の恋が描かれており、後半ではアカネの更生問題とも絡めつつ、主人公と舞花にとっての椿木荘についてに言及している。
恋愛シーンに関してはかなりオーソドックス、だからこそもう少し舞花の気持ちを彼女視点を用いたりしていれば、評価も変わったかもしれない。
後半で扱われているテーマや導き出された答えにも十二分に光るものがあるのだが、シナリオの短さゆえに全体的に軽くなってしまったのは残念な所。


[主人公]鳴海 将
面倒見が良い青年で、見ず知らずのアカネが行き倒れていた際も迷わず介抱する優しさを持つ。
幼い頃から椿木荘で幼馴染の舞花と共に育っており、そうした想い出があるからこそ、今回の椿木荘の取り壊しに関しても心を砕いている。


【推奨攻略順:アカネ→イノリ→舞花】
特に攻略順に指定はないので、好きなキャラからの攻略で良い。


CG
柔らかな線に濃い塗という大衆的な絵。
シナリオの短さに対して用意されている枚数自体が豊富で、全体的に質感も安定しているのは評価できるところだろう。
また前作から続いて立ち絵にはe-moteが導入されていて、SD絵も6枚存在している。


音楽
BGM10曲、Vo曲1曲(OP)という構成。

前作では原作である「恋神」の楽曲を多く使用していたが、今作では完全に一新されている。
BGMは数が少なくあるが、全体的に落ち着いた曲の物が多い。
Vo曲は東雲りあさんの歌うOP「虹色のものがたり」のみとなっていて、曲調も完全な電波曲なので好き嫌いは出るだろう。


お勧め度
「Lovekamiシリーズ」の2作目であり、1作目はもちろん原作とも世界観を同じにしているものの、作中に登場することなどはなく、作品として完全に独立している為、今作からのプレイでも問題はない。
設定以外は全体的に特徴に欠けるロープラゲーなので押すべきところは迷いどころなのだが、1作目を気に入った人に関してはそのままプレイしても気分を害さずプレイできるだろう。
逆に1作目にマイナスの感情を抱いた方に関してはプレイをお勧めしにくいのが現状。


総合評価
全体的には良く纏まった作品なのだが、設定を引き継いだこと以外でこれといった特徴がなく、シリーズの続き物という事も加味して、平均以下のこの評価となっている。


【ぶっちゃけコーナー】
まぁ1作目同様に微妙という他ない。

厳しいようだけど、どのシナリオもプレイしてワクワクすることもなければ、心動かされることもなく、短いから気が付いたら話が終わってしまっている。
1作目を引きずっているのか、意識しているのか、曖昧に引きずったアイドル要素は加点要素からも程遠いんだよな…まぁそれはともかくとして。
「恋神」の設定を使うという点に関しては1作目よりも上手くできていた気がする。
ただ、それも比較的というくらいで、やっぱり内容としての薄さはある。

こうなるとキャラクターの魅力で勝負しておきたいところなのだが、これまた空振りというか、キャラクター自体は勿論悪くないのだけれど、作りこみがあまり感じられない。
二面性があるイノリのブチギレシーンもインパクトが薄いんだよなぁ…なんでかはわからないけれど。
神様って清濁二つの要素があったりするから表現としては面白いな、とおもうのだけれどそうした部分に触れることなく「ただこう言うキャラなので」みたいな感じで描かれてるのがなぁ…。
完全な大和撫子キャラが口調きつくなるってのはインパクトあるとは思うけれど。。。
アカネのアラガミとしての部分も、1度「恋神」のスセリを見ていると、なんだか中途半端だし、そもそもあのあたりと整合性も取れていない気がする。

色々と厳しい作品だったな、と久しぶりに厳しめの評価。