スピカの忘れ物

ゲームレビューとちょびっと小説を公開している、鍵っ子ゲーマーのブログです。 泣きゲーやシナリオゲーが大好物!



タイトル : うちの主は妖怪の常識を知らない
ブランド : あざらしそふと+1


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 3h強)

キャラクター・シナリオ

天邪鬼なお嬢様と小悪魔な先輩メイド
あなたが恋に落ちるのはどっち?


妖怪が一般に認知されている世界を舞台に、水無月家に仕える青年執事―近衛 頼斗を主人公として描かれた作品で、主人公が使える屋敷の一人娘である天邪鬼なお嬢様『水無月 あいる』と小悪魔な所がある先輩メイド『丹羽 風薫』のダブルヒロイン物となっている。
それぞれのヒロインシナリオが1時間ほど存在しており、共通と含めると3時間ほどの物語という事で、ミドルプライス作品としての分量は一般程度といえるだろう。

シナリオ自体には妖怪と人間の共存を目指して作られた『妖怪六法』など、独自の設定もあるものの、舞台設定の一つとして生かされている他に強く影響を感じるシーンは少ない。
テキストもすっきりとしており、サクサクと進められるので、そうした意味でのストレスが無い一方でシナリオとしてはどうしても薄く感じることも多く、基本的には萌えゲーを主体として作られたミドルプライス作品という印象が強い。

ヒロインとのシーンについては下記で詳しく語るが、このふたりのシナリオについて言及すべきは後半の展開だろう。
とある設定のせいで同じ展開になってしまう事自体はやむを得ないとしても、このシリアス展開自体がどうしても前半の流れから大きく外れてしまっている。
こうした要素が物語を深めるために必要なのは確かなのだが、はたして今作の趣旨として必要だったのか、甚だ疑問ではある。
また展開の描写自体も矛盾できる点、甘い点が多く、そうしたことを得意とした人間が描いたシーンのようには思えず、全体的にちぐはぐで強引な流れであったような印象が残った。
もちろんこうした描写が好き好きである事は言うまでもないが、個人的には今作の評価を下げた原因の一端を担っているとおもっている。


共通√【 ★★☆☆☆ 】  1h
数日の日常を送る中で、作中に登場する各キャラの紹介シーンや舞台設定についてが短く描かれている。
特にヒロインとのイベントがあるわけではなく、今作において登場する『妖怪』について説明されている他は特筆すべき点もない。


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水無月 あいる√【 ★★★☆☆ 】  1h
水無月家当主の一人娘で天邪鬼なお嬢様。
人前では凛としたお嬢様なのだが、時折毒舌が出たりすることや、種族の天邪鬼である事が災いしてか、素直に感情を示すことが苦手で、後々自分の言動を後悔することも。
幼い頃から仕えてくれている風薫や主人公の事を特に気に入っている。

個別シナリオでは主人公があいるの護衛を続ける選択をとり、二人で過ごす時間が増えてゆく事となる。共通ルートからもそうであったが、個別√ではより一層にあいるのコロコロと変わる感情がとても分かりやすく表現されており、それがコミカルでいて初々しい彼女の可愛い魅力となっている。
背伸びをしたい年頃であるあいるが素直になれない自分と戦いながらも主人公と距離を近づけてゆく様子が最大の見どころといえ、特に種族としての本質に振り回されていた以前から、素直に気持ちを伝えるという、愛情表現とあいる自身の成長を巧く兼ね合わせていた。


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丹羽 風薫√【 ★★☆☆☆ 】  1h
スタイル抜群の頼れるお姉さん的存在。
あいるの生まれる前から屋敷に仕えており、主人公にとっても先輩のメイドである。
種族は西洋妖怪であるサキュバスであり、時折主人公やあいるをからかってしまう事も多い。

個別√では、とあるきっかけによって主人公を意識し始めた風薫が主人公に猛列にアタックする様子がメインで描かれている。
しかしながら、サキュバスという部分から性を前面に出す方向ではなく、あくまでプラトニックに関係を近づけていたのは印象的で、その代わりにエロシーンに関しては後半にギュッと詰め込まれていた。


[主人公] 近衛 頼斗
水無月家の執事をしている青年。
あいるが生まれた頃から屋敷に仕えており、自身を拾ってくれた主に対しての忠誠心も大きい。
日々世話をしているあいるに対しては親のように、昔の自分に仕事を教えてくれた風薫に対しては姉のように慕っている。


【推奨攻略順:風薫→あいる】
攻略順にロックなどはないため好きな順番で攻略するとよいだろう。


CG
細目の戦に光沢のある塗の絵。
全体的に丁寧であり完成度としては十分だろう、枚数もダブルヒロインということもあって、あいると風薫のCGやシーン数はほぼ同等で十分といえるだろう。
SD絵も少ないが存在している。


音楽
BGM13曲、Vo曲0曲という構成。
BGMに関しては無難なものが集められているというイメージではあるものの、ピアノ曲をメインとしており、時折ヴァイオリンを使用して高貴な貴族を演出したりと、その場に合わせたものが作られている印象はある。
Vo曲が存在せず、そこは少しさびしい所。


お勧め度
妖怪が出てきたりと独自性のある設定ではあるもののシナリオとして特筆すべき点はあまりない。
逆に障害となる部分も少ないので、あざらしそふとの熱狂的なファンの他、登場ヒロインに一目ぼれした愛でたい方、シチュエーションが気に入った方にプレイをお勧めしておきたい。


総合評価
シナリオ部分の減点を除けば全体的には可もなく不可もないミドルプライスという印象の作品であり、その中で平均としてこの評価にしている。


【ぶっちゃけコーナー】
シナリオ部分の減点が多めに書かれているものの、主題をシナリオに置いていないので、そのあたりの指摘は微妙な所かなぁ…。
ただ、純粋に萌えゲーとして楽しんでいた人間ならばやはり最後の部分はいらないだろうし、逆にシナリオ部分の厚さを求めて最後の展開に期待した人間にとっては肩透かしで、誰にもいい事が無かった気がするんだよなぁ…。

それはさておき、キャラクターについて。
個人的には風薫よりもあいるの方が好きだったかなぁ…というか、今作は彼女のために作られている印象も強いし。
個別√部分にも書いたのだけれど、天邪鬼って部分がしっかりとツンデレとして描かれていて、そのあたりがかなり安定感ある描き方だったのと、その中でどんどん距離を近づけたい心と、素直になれない心の動きがとてもよく描かれていて、そういう部分が初々しかった。
設定こそ特殊であるものの、ツンデレとしてみると原始的で王道的。
だからこそ多くの人にも刺さる内容になっているんじゃないかな、と個人的には思うし、ツンデレ好きな人にはプレイしてみてほしいかもしれない。
ただ、各所のアピールポイントが少し弱いので、ミドルプライスとして大目に見てくれるのかそのあたりが悩みどころ。



タイトル : 嫁探しが捗りすぎてヤバい。
ブランド : Hulotte


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 10h弱)

キャラクター・シナリオ

ずっとそばにいてほしい人、探しませんか。

神の末裔である主人公「葦原 大輝」がある日夢に見た「将来結婚の約束をした嫁」、そんな存在を探すため彼は大きな町の学園に編入することになり、正体がバレない様に嫁探しを続ける――という作品。
シナリオ自体は、ヒロイン5人にサブヒロイン2人、さらにハーレム√を加えた合計8本のシナリオから成る。
一つ一つの話は短めではあるものの攻略ヒロイン数の多さから、全体的なボリュームは十分といえるだろう。
また展開自体も比較的テンポが良く、サクサクと物語を進める事ができるのが魅力の一つ。
加えて萌えゲーとして流石はHULOTTEと言うべきだろうか、短めのシナリオかつ多種多様なヒロインが登場する中でもしっかりと、それぞれの魅力が引き出されているように感じた。
この部分だけで十二分にファンにとっては楽しめる作品だったといえるだろう。

くわえて今作において、やはり注目すべきは主人公の設定としてある「神の末裔」について。
これがあるからこそ、今作のモチーフには日本神話があり、実際に多くの個別シナリオの後半においてはそうした設定が深く絡んでくることとなっていた。
そのため今作はファンタジー・伝奇的要素のある作品となっていたのだが、作品自体の主軸はそこにはなく、あくまでハーレム風味な萌えゲー作品だったといえる。

登場するヒロインの差別化がなされている事はもちろんだが、それぞれの魅力を活かしたシーンの数々、そしてそんな彼女達と送るラブラブな日々がたっぷりと描かれていた。
加えてキャラクターの数自体が多いのも魅力の一つとして挙げられ、多様化が進むプレイヤーの好みに対して、誰かが刺さるような作りとなっていたように思う。

一方、一つ一つの話にはそこまでの書き込みが無く、特に上記に書いたような神様関連の設定を絡めた展開においては、起伏こそあるものの物語自体の短さからかどうしても薄さを感じてしまう結果となってしまっていた。
そのためシナリオ重視の人にとっては味気なく感じてしまい、反対に純粋にキャラクターの可愛さを楽しみたい人にとっては不純物となってしまっている様に思える。
作品としては他との差別化にもなっている部分だけに、一概にマイナスだったとはいいがたいものの、展開が読めてしまうのは勿体なく、もう一押しが欲しかったのも確か。

特殊な要素もあるものの、萌えゲーとしては平均的な作品といえ、全体的に安定感のあるシナリオになっているというのがシナリオの総括ともいえる。


共通√【 ★★★☆☆ 】  2h
嫁探しをしに来た主人公が学園で八神三姉妹を含めたヒロイン達とで出会い、そして日常に溶け込むまでが描かれている。
基本的にはハーレムよりの作品であり、他の多くの作品にあるように初見となるそれぞれのキャラクターの可愛い所が見られるような作りとなっている。


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八神 甘夏√【 ★★★☆☆ 】  1h
主人公のクラスメイトで、嫁候補である八神三姉妹の次女。
美人で成績もよく、親切で誰にでも優しく接する才色兼備な女の子。
実は以前に主人公の故郷に来た事が有るため幼馴染でもあるのだが、お互いにそのころの記憶があやふやになっている。
恋愛に関しては初心な所もあり、ストレートな主人公の行動にドキドキすることも多い。

立ち位置的にはセンターヒロインであり、シナリオ構造的にも最初にクリアすることになるヒロインである甘夏。
だからこそ彼女のシナリオは、当初から主人公の目的であった『嫁探し』部分をメインテーマとして、特殊な設定部分も絡めた導入としての役割も強い内容となっている。
恋愛描写に関してもストレートに描かれている印象が強く、クラスメイトとして、家族として距離が近くなってゆく二人の様子は初々しく、誰しもが想像するような「これぞヒロイン」というイメージをそのままに描いてくれている。


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八神 瀬里香√【 ★★★★☆ 】  1h
主人公の嫁候補である八神三姉妹の三女。
控え目な性格で引っ込み思案な女の子で、そんな彼女に対して誠実に話しかけてくる主人公を最初は警戒していたものの、徐々に兄のように慕うようになる。
動植物の世話が大好きで、放課後になると学園で飼われている動物たちの面倒をみている。

妹としての庇護欲を感じさせる彼女だが、主人公と付き合ってからは積極的な面を見せてくれるようになるなどの変化も良く描けている。
さらに後半では主人公の過去も関わる展開となっており、瀬里香だけでなく八神三姉妹の全員をも巻き込んだそのシナリオでは、「選ぶ事」の裏にある「選ばなかった事」がしっかりと描かれており、無数の「哀しみ」があるからこそ今の幸せの尊さを感じられる内容となっている。


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八神 美穂乃√【 ★★★☆☆ 】  1h
主人公の嫁候補である八神三姉妹の長女。
頭が良くて運動もできる、それでいて家庭的で料理が得意という何でもできるお姉ちゃん。それゆえに学園でも頼られることが多く、学園生徒のファンも多く存在している。
突然家にやって来た主人公に対しては理想のタイプのように感じており、からかい半分に自分なりの方法でアピールすることも多い。

何事にも積極的な彼女だからこそトントン拍子に関係が進み、その恋愛描写は蜜月といっても良いほど前半から中盤にかけてギュッと詰め込まれている。
後半部分の一部においては不安に揺れる心などが描かれているものの、基本的には姉としての包容力の強さを見せてくれるシーンが多くなっており、何よりも美穂乃自身の明るくこれからも二人で添い遂げてゆく愛の強さを感じられる内容となっていた。


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高宮 菜々華√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
美穂乃と同じクラスに所属する謎多き先輩。
クールでミステリアスを自称しており、実際に男性と話をしなかったりと、多くの生徒からはそう思われているものの、付き合ってみるとポンコツで耳年増な女の子だったりもする。
主人公を揶揄って遊ぶことが多いが、迫られると弱いという弱点も。

どの√でも謎が多く、つかみどころのない菜々華。
そんな彼女との恋愛描写はとにかく菜々華の可愛さが爆発する。
所々クセのあるキャラクターとCV沢澤 砂羽さんの相性も良く、可愛いポイントが次々と見つけられる内容となっている。
彼女自身の他にも、主人公の妹である希里乃の存在感が良く描かれたシナリオにもなっている。ただし、もう少し展開を大きくできそうなキャラクターだっただけに、物語に山が無く比較的ストレートに終わってしまったのは惜しい所でもある。


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葦原 希里乃√【 ★★★☆☆ 】  2h
同じ神々の血を引く主人公の妹。
しっかり者で、主人公よりも適正があるため様々な「神通力」を使いこなしており、時折主人公の頭の中を覗いてはツッコミを入れたりしている。
今回の嫁探しの発端にもなっているものの、実は兄を好いているため内心は複雑な気分であり、時折連絡をしてはヤキモチを焼くことも

他のヒロインをクリアすることで攻略可能になる希里乃√は、他の√の展開とは大きく違い、嫁探しに行った主人公に我慢できずに着いて行ってしまうというシナリオ展開に。
今までもヤキモチを焼いている姿などが可愛く、隠してはいるもののストレートに好意が伝わってくるキャラクターであり、実妹であるというポイントを加味すると、破壊力は高いと言わざるを得ない。
また今作の『嫁探し』というメイン設定に深く踏み込んだそのシナリオの内容も、八神三姉妹や菜々華等が関わっており、その真相を鑑みるとGrand√といっても良いような内容となっていた。


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玉野 唯√【 ★★★☆☆ 】  0.5h
主人公と同じクラスの明るく元気な女の子。
放課後や昼休みは学園に併設されている喫茶店「カレワラ」で従業として働いており、メイド服を着用してお客様に奉仕している。

個別√ではカレワラの従業員が不足する事態となってしまい、そのヘルプとして主人公が手伝うという物語の導入になっている。
サブヒロインという事もあって話自体は短いものの、彼女の憧れる美穂乃とのエピソードなども盛り込まれ、いつも明るい唯の笑顔が「周囲を笑顔にする」というアピールポイントをしっかりと抑えられた話となっていた。


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新堂 明佳√【 ★★★☆☆ 】  0.5h
小さくてかわいい主人公のクラスの担任。
背が低く幼い容姿をしているもののれっきとした数学教師で、多少頼りない所があっても、生徒に対する姿勢は真面目で、熱意をもって教職を全うしている。

サブヒロインである明佳の個別√では、成績が低迷中の主人公が、個別で指導をしてもらう代わりに彼女の苦手なマラソンの指導をするというお話に。
短い話ではあるものの、その中では終始、自身の苦手を克服する様子と共に、先生として懸命に頑張る明佳が描かれており、小さな見た目からは想像できない程の包容力を擁する彼女の魅力が伝わってくるものとなっている。


ハーレム√【 ★★★☆☆ 】  0.5h
全編をプレイ後に出現し、内容としては多くの作品にあるようなIF√となっている。
シナリオというシナリオが殆どないのだが、一応今作の設定のモチーフとなった部分が明かされており、そういった意味では作品の補完的な内容ともいえる。


[主人公] 葦原 大輝
性格はとてもポジティブかつ真面目で誠実。
人里離れた村で育ったためか、とても純粋で思ったことがすぐ口に出る事が多く、結果として女性に対しての誉め言葉が多くなっており、天然ジゴロと化している。
「神通力」として人間離れした身体能力を発揮することができるが、正体を隠すためにめったに力を使う事はない。


【推奨攻略順:甘夏→美穂乃→瀬里香→菜々華→希里乃→唯→明佳→ハーレム】
初回は甘夏、その次に美穂乃か瀬里香、その後に菜々華…と、全てではないものの最期のハーレム√まで各ルートをクリアするごとに次の√が解放される形になっている。
どの√もさほど作品評価に関わるネタバレもないので、上記の順番を通常通り守っていれば好きな順番で良いだろう。


CG
線は細く淡い塗りで柔らかく、可愛い印象を受ける絵。
ヒロイン数が多いものの、それぞれの絵がしっかりと用意されており、ボリュームは十二分。
絵の質自体も安定しており、時代を感じさせないほどの完成度といってよいだろう。


音楽
BGM25曲、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
各ヒロインテーマなどを含めて、全体的に優しく穏やかな曲が多いのだが中でも日常シーンに使われた「初夏の夏」は一つ一つの音が小気味良く、体の中で跳ねるように響く渡ってゆく感覚があり、個人的に好みの物。
Vo曲は安定のDucaさんで、OP「約束」は今作に相応しい明るい楽曲となっており、聞いているだけで明るい気持ちになる、ハッピーエンドに流れるinstVerと含めて評価しておきたい。


お勧め度
「妹のおかげでモテすぎてヤバい。」や「神頼みしすぎて俺の未来がヤバい。」と合わせて「ヤバいシリーズ」などとも呼ばれる今作。
シナリオ自体は伝奇的要素も少し入っているものの、メインコンテンツとなっているのは萌え主体の学園恋愛もの。
シナリオ自体に過度な期待をしなければ、キャラクターの可愛さなどは安定しておりHulotteのファンならば楽しめる作品といえるだろう。


総合評価
設定に独自性があって全体的にも安定的な作品ではあるものの、もう一押しの面白さが足りないところもあり、結果として平均的という評価になっている。


【ぶっちゃけコーナー】
かなり個人的な意見なのだけれど、Hulotteの作品って少しずつ私好みになっていっている。
つまりはシナリオに注力されて行っているという事なのだけれど、この作品はそういう意味では中期に作成されていて、独自の設定があったりと(そもそもHulotteはただの萌えゲーじゃなく、そういった類の作品をよく作るけれど)面白みのある作品となっている。
一方で展開が読めてしまったりと、中身の薄さ自体が気になってくるというのもあって、難しい所。
ただ素直に全員可愛いと思えるヒロイン達だったし、そういうキャラとの恋愛描写がしっかり描かれているのは、さすがだろう。
恋愛描写では「振られるシーン」がしっかりと描かれているのも今作の好みな所でもちろん個人的に好きという所も大きく、取り上げられたシーンとしては短いし、特段破壊力もないのだけれど、そうしたシーンが存在するだけで深みが増しているような気がする。
そのあたりは瀬里香√がかなり顕著だった気がする。
だからこそヒロインはともかくとして、彼女の√自体はかなり好きな方だった。



タイトル : 天ノ少女
ブランド : Innocent Grey


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★★★ [5/5]
(総プレイ時間 : 15h)

キャラクター・シナリオ

そして、星は巡る――

2008年に発売された『殻ノ少女』をエピソードIとして合計三部作の予定で世に送り出された『殻ノ少女シリーズ』、2013年に続く2作目『虚ノ少女』が、そこからさらに7年以上の時を経て発売となった最終章の今作。

もちろん続編となるため内容は『虚ノ少女』の続きとなっており、天恵会の一連の事件が一応の解決を迎えたその後を描いている。
その為、舞台や登場人物等は一貫して踏襲されており、今までの作品と同様に探偵としていくつかの事件の謎を追うことになる。
一部シーンでは2作目のように真崎視点で進むこともあるものの、基本的には『殻ノ少女』と同様に主人公である時坂玲人視点で物語が進むことや、他にも、時折差し込まれるMAP選択によるシナリオ分岐や、殺害現場の証拠集め、推理失敗によるBAD分岐なども健在。

シナリオ自体はエンディングはBADも含めて14種類からなり、1週目では一連の事件についてを、2週目では大筋をなぞりつつもいくつかの違う展開を経てGRAND/TRUE ENDとして各真相などが語られ、3週目ではそれぞれの週で語られなかった視点で物語が綴られる、という周回前提のシナリオとなっている。
攻略時間自体も14時間(1週目だけで7時間)程度と大ボリュームである事に加え、推理小説もかくやといったほど、内容も充実している。

今作でメインとなる事件についてやその後の流れに関してはネタバレになるため多くを語ることはできないが、事件自体の規模は今までの物と比べるとそこまで大きくない。
もちろん事件自体が独立している事、そしてそれらの事件が今までの事件と絡んでいる事は確かなのだが、今作においては事件自体よりもむしろ、それぞれの抱える偏執にスポットを当てさせるような展開になることが多い。
それは主人公だけではなく周囲の人々も対象であり、全てのエンディングを通して今作の発端となった「殻ノ少女事件」に巻き込まれた人たちの人生を描き切ってくれていたように思う。

また今作では『天罰』と言うのが今作の一つのキーワードとして挙げられるが、それに関連して作中の各章にダンテの神曲における天国篇にをモチーフにしたタイトルがつけられているなど―当方の知識ではすべてをはかり知る事は不可能だが―テキストの表面部分だけでは分からない箇所にまでメッセージ性が込められており、推理物らしくクリアした後にわかる伏線なども多い。
分かりやすいものではOP等も挙げられるが、いずれにしても作品の細部に至るまで作りこまれた作品であることが伺える。
そうした要素が集まって『殻ノ少女』シリーズの雰囲気が作り上げられており、完成度の高さにより一層の磨きがかかっているといえるだろう。


【推奨攻略順:Unsolved case→Grand END→TRUE END】
基本的に作品を2周することが前提となっており、上記の順番自体がロックとして存在している。
そのほかにENDが11種類存在しているため、最後か合間に取得していくとよいだろう。


CG
原画を担当されたのはイノグレではおなじみの杉菜水姫さん。
美麗な絵から殺人現場におけるグロテスクな絵まで、その繊細な絵は『殻ノ少女シリーズ』の根幹部分を担っているといっても良く、その完成度は言うまでもなく最高レベル。
またキャラクターの絵以外にもカットインCGなども豊富で、そのあたりも今作において没入感を高めるために一役買ってくれていた。
なお続編という事で登場キャラクターや舞台等は同じだが、作品自体や作中でも年代が経ている事もあってその多くが刷新されている。


音楽
BGM40曲、Vo曲6曲という構成。
Vo曲ではGrandED曲「輪廻の糸」はその歌詞はもちろん、静かな曲調の中の中にどこまでも響き渡るような、霜月はるかさんの透き通るような声質との相性も良い。
そして何と言っても、シリーズを通してプレイした人ならば誰しもが感慨を抱くであろう、TRUEED曲として用意された楽曲も推しておきたい。


お勧め度
シリーズ作品の最終章という事で、単体で楽しむことは不可能に近く、殻ノ少女シリーズ―殻ノ少女、虚ノ少女―のプレイは必須となる。
また作中では振り返り等が殆どなく、加えて作品自体の発売も期間が開いており、それぞれの事件も要素として深く関わっては来るので、内容を忘れている人にとっては復習なども行う事が必須となる。
そういう意味でハードルが非常に高い作品であり、評価を一つ下げているものの、このシリーズが好きな人、ひいてはイノグレ作品のファンにとって名作である事は変わりない。


総合評価
シナリオ・CG・音楽が組み合わさって圧倒的な世界観を作り出した作品であり、続編という事を鑑みても全体的に高いレベルでまとまった名作といえ、この評価。


【ぶっちゃけコーナー】
作品自体への評価自体はかなり高く、その内容は上記までに十分書いたので、それ以外のマイナス要素について。
作品としての完成度が高い部分が多い一方で、勿論マイナス要素もある。
特にプレイに関してはシステムがかなり旧世代であることが目立ち、演出の為もあるのだろうが全体的に動作がもっさりしている印象が強く、他にもテキストジャンプ等が無いのも辛く、選択を間違えると酷い事になっていたりもする。
私自身はそうしたプレイはしていないのだが、主人公の音声を切ると訳の分からないシーンができてしまったりと、ユーザービリティの低さが目立つところもあり、作品自体の評価には大きく加えてないものの、プレイのしやすさ自体も十分な要素の一つといえるので、そのあたりはやはり改善してほしかった所。

以下はシリーズ完結に関してのコメント。

この作品でついに終わりという事で、ずっと待っていたような、終わることが怖かったような不思議な気持ちであった。
TRUEENDを迎えた時、どんな気持ちになるのかは想像もできていなかったのだが、あの”曲”を聞いた瞬間に不思議と涙が止まらなくなってしまった、それが感動だったのか、喜び、安堵、それとも悲しみだったのか。
他にも泣いたシーンは一応あるのだが、やはり泣きゲーに分類するのは難しい、というより自身でもなぜ涙が出たのかが説明できない。

今作で登場人物のそれぞれの偏執の果てに待ち受ける展開が何なのか、それ自体はぜひプレイをして確かめてほしいが、多くの好評の声は散見される。
それ自体は10年以上前に『殻ノ少女』という作品をプレイした瞬間に、プレイヤーが持った『エンディング』への偏執が解れた証といえるのではないだろうか。



タイトル : 紅月ゆれる恋あかり
ブランド : CRYSTALiA


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★★☆ [4/5]
(総プレイ時間 : 9.75h)

キャラクター・シナリオ

刃煌めく瞬間、少女たちは全力で駆け抜ける―

もはや同一シリーズというべきなのかもしれないが、CRYSTALiAの代表作「絆きらめく恋いろは」(以下めくいろ)や、「白刃きらめく恋しらべ」(以下めくらべ)に続く新作。

舞台となるのは1作目である「めくいろ」から十数年前の叢雲学園。
続編というわけではないので単体として楽しめるように作られているものの、オリガミを使った和風テイストな近未来バトル物という設定が同じである事はもちろん、一部サブキャラクターなども登場しているので同社作品をプレイしておくとより楽しめるだろう。
また特殊な作品設定や用語が登場するが、前作までと同様にTIPSによって作中での説明を省き、ファンにとってはストレスフリーに、かつ初見でも理解しやすい作りとなっている。

そんな今作を下記のヒロイン達が盛り上げてくれている。
zo05
【風嶺 雪月花】
武芸科1年特甲級<篁組>の生徒で、風嶺の分家筋に生まれた双子の妹。
余り頭が良くないものの明るく素直な女の子。
刃道が大好きで、双子の姉である蛍雪を風嶺の当主にするため、朱雀院を倒すことを目標に掲げている。

zo02
【朱雀院 紅葉】
武芸科1年特甲級<篁組>の生徒で朱雀院宗家4姉妹の長女。
頭脳派で戦術家でありながら武芸の一流、生活態度も真面目で誰にでも丁寧に接する優等生。
本来はできる限り楽をしたい面倒くさがり屋なのだが、朱雀院の面目の為に自分を偽って生活をしている。

zo03
【九鬼 旭】
主人公の親友「九鬼隆久」の妹で、小さい頃から主人公を慕っている。
性格は真面目でお淑やかなのだが、その反面に主人公の敵となる人に対しては笑顔で脅しをするなど、毒を隠し持っている。
主人公が村雲学園にやって来たことで、それまでの担任教師を脅して<篁組>の生徒となった。

zo08
【十部 梨々夢】
武芸科1年特甲級<篁組>の生徒で、オシャレとおしゃべりが大好きな女の子。
誰でも気さくに話しかける明るい子だが、とても自立心が強く、自分の世界観がが何かに縛られることをとても嫌っている。
自分の世界に必要が無いと思っている勉強のような地味な事が不得手。
「めくいろ」の前の話という事で今まで話にしか登場していなかった朱雀院の長姉がヒロインになっていたり、「めくらべ」登場した風祭の分家の出身者がいたり、そのほかにもいろいろと設定が濃く、なおかつ魅力的な女の子がそろっている。

同じ舞台に同じ設定と、大きな要素を踏襲しつつ、大きく変わったシナリオ部分。そこでまず最初に挙げられるのがシナリオ構造だろう。
全体的なボリュームはそのままに、前作までの√分岐方式から選択肢のない1本道のシナリオへ、より一つの流れの中身を充実させる方向へと転換させた。
ある意味ではすべてが共通ルートともいえる今作だが、その中で何よりも重要視して描かれていたのは『刃道』を通して描く青春だった。

『刃道』というスポーツを通して今作で描かれた、力と力をそして意志と意志をぶつけ合う熱い試合の数々は、思わず手に汗握る試合の中で、思わず涙してしまうシーンもあるほど。
戦闘描写そのものは特筆すべきところが無いものの、そこに行くまでの過程やシーンそのものの見せ方はとても秀逸で、バトルを取り巻く人々の感情を含めて描き出したことに関しては見事という他ない。
特に今作においては風嶺と朱雀院の関係が…というより、紅葉と雪月花の関係がとてもよく、最後の最後まで熱く燃え、時に泣かされる内容となっていた。
こうした青春学園物の王道ともいえるバトルを通しての相互理解は読んでいて気持ちよさもある。

また今作では主人公が教師と言う所も大きく違う所だろう。
戦闘に参加しないのは同様ではあるものの、同じ目線でサポートしていた今までの作品とは違い、一歩引いた位置でヒロイン達の成長を見守っている。だからこそ、バトルシーンにおける彼女たちの心理描写がより鮮明に浮かび上がっているように思えた。
特に今作では「演武祭」での試合のシーンがメインであることは確かだが、そこを目標に努力するの日々もしっかりと描かれている。
上記にあるような煌めくようなバトルシーンも、こうした部分で描かれた日々を過ごす中で変化していく関係や培われてゆく絆があってこそ。

一瞬の煌めきの中に交差する想いと想い、だからこそ生まれる絆。
『努力』『友情』『勝利』とまではいわないものの、類似要素がギュッと詰まった今作は、設定こそ異質ではあるものの、その中身は紛う方なき王道の青春学園バトル物といえるだろう。

作中では特定のヒロインと付き合う事はなく終了することになるのだが、Hシーン自体は攻略後にオマケとして、それぞれ30分ほどのHシーンが詰め込まれたアフターシナリオの形で解放される。他にもIFシチュエーションにおけるHシーンがサブヒロインの物を含めて用意されている。
個人的に好みな作りであることはもちろんだが、今作の作風を鑑みてもシナリオとHシーンを分離して作った事を高く評価したい。


[主人公] 村垣 伊織
陸自天呪特化群<武蔵>に所属するオリガミを扱う強襲兵だが、今回は”お使い”として叢雲学園の<篁組>副担任として派遣されている。
性格は生真面目だが、茶目っ気もある明るく朗らかな人柄で、成長過程を見守るのが好き。


【推奨攻略順:本編に選択肢無し】
本編は1本道のシナリオとなっており、攻略後にアフターエピソードのカタチで各キャラとのシーンが描かれている。


CG
今までの作品同様に瑞々しさと鮮やかな色使いが印象的な絵で、質も安定している。
戦闘シーンを中心に、主人公やサブキャラクターのものも含めて、枚数は十分に用意されており、SD絵も数枚存在している。


音楽
BGM31曲、Vo曲3曲(OP/ED/挿入歌)という構成。
やはりと言うべきか、今までの作品と同様に和テイストなバトルBGMが多く存在しており、使いまわしていると錯覚するほどに印象を寄せていた事には驚くしかないのだが、その中でも異色を放っていたのが「宙斬涙跡」。
流れただけで空気感を変える名曲として推しておきたい。他にも「星霜流水」などの良曲もそろっており、シナリオと合わせて「ゆれあか」の世界観を支えていた。
Vo曲はやはりNo:Rさんの歌うOP「紅ノ刃」が好きだった、和風に熱く歌い上げられたこの楽曲と作品の雰囲気の相性は言うまでもなく唯一無二の関係といえるだろう。


お勧め度
CRYSTALiAの今までの作品同様、叢雲学園を舞台としたオリガミを使ったスポーツ『刃道』をテーマにした作品。
シリーズのように続いている作品であるため、「めくいろ」等をプレイしておくとより楽しめるのはもちろんだが、作中にはTIPSなども用意されており、この作品からのプレイでも特に問題はない。
今まであった和風×近未来なバトル物という大枠を引き継ぎつつも、テーマや雰囲気等を大きく変化させ、今まで以上に青春バトル物として楽しむことができるようになっている。
一方で「絆きらめく恋いろは」にあったいくつかの要素―伝奇的部分やオリガミの詳細、何よりキャラクター萌え部分は抑えられている。
そのため今までの作品とは系統が別であり、「前作が好きだから今作も」と簡単にはお勧めしにくい点もあり、上記を考慮したうえでなおプレイを推奨したい作品。


総合評価
世界観を下支えする安定感あるBGMと美麗なCGはもちろんだが、大きく様相を変えたシナリオ部分を特に高く評価しておりこの評価している。


【ぶっちゃけコーナー】
作中には都や椿が登場していて、本編とはちがった小さな彼女たちの可愛さも宣伝しておきたいんだけど、やっぱり触れるのはシナリオ部分についてにしておこう。

いやぁ「めくいろ」や「めくらべ」を想像してプレイした人なら、2種類の反応に分かれるはず。
「こういうのを求めてなかった…!」というマイナスな反応と「待ってました!」というプラスの反応。
私はもちろん後者の人間なのだが、それは「めくいろ」や「めくらべ」に何を求めていたかが違うんだろうね。
正直、今作はHシーンも弱めだしキャラ萌えっていう意味では凄く薄いし、今まであったような命にかかわるような伝奇的な要素もなくなって、ただのスポーツバトル物となっている。
そういうのを求めていた人には、正直お勧めできないし、だからこそ各部分の評価が少しだけ下がっている。

ただ個人的にはこの変更がかなりうれしくて、今後もこの方向でいってほしい。
今まであったいくつかの要素を切り落としたからこそ、残ったのはストレートな王道ストーリーであり、シナリオが進む毎に変化してゆく人間関係や心の在りようなんかはとても青春物らしくて、今までの作品とは比べ物にならないくらい良く描けていたと思う。
だからこそ、クライマックスといえるバトルシーンでは熱く燃えながら、思わず涙するシーンもあったし、泣いたという意味ではバトルシーン以外でもグッとくるところも結構あった。
物語としては尻上がりに面白くなってゆく作品だったから、最後までじっくりと楽しんでほしい。
そして次の物語にも期待したい(たぶんFDができそうですが)



タイトル : 星空鉄道とシロの旅
ブランド : しらたまこ


シナリオ : ★★★★☆ [4/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★☆ [4/5]
(総プレイ時間 : 5.5h)

シナリオ

この旅は、 彼女のなかに なにを残していくのだろう――。

冴えないアニメーターの主人公『鐘城 暁』がある夏の日に飛び乗った夜汽車の旅。
夜風に吹かれ心地よい一人旅の中で出会った可愛い車掌さんと、気のいい仲間たち、そして猫耳をはやした不思議な女の子『ノワール』だった。

今作のメイン原画を担当されている「しらたま」さんの企画により制作された同人作品、シナリオを担当されたのはさかき傘さんという事で、ストーリーは偶然乗り合わせた客と行く先もわからぬまま汽車の旅を楽しむという内容になっている。
ビジュアルにもある夜汽車のイメージから宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を彷彿とさせるような内容となっており、作りこまれた世界観は舞台となる汽車での幻想的な旅の中にながれる、ゆったりとした時間を楽しむことができる作品であった。

謎の猫耳少女がいたり子供が車掌をしていたり、設定には多くの謎を含んでいるものの、序盤から中盤にかけては旅行を楽しむ様子がメインに描写され、女の子―特にノワールの一挙手一投足がとても可愛いく描かれており、柔らかな女の子として描き出されたヴィジュアルと合わせて破壊力が非常に高い。
こうした部分が作品のアピールポイントとして紹介できる一方で、ゆったりとした場面が作品の7割近くを占めており、加えて同人作品という事もあってかシステム回りが必要最小限で、各エフェクト等がクリックで飛ばせなかったりと、動作自体がもっさりしている事もあって、中だるみ状態になっていたのも確かだ。
また所々に伏線などもあり、察しの良い人ならば物語の大筋も予想できてしまうことも、そうしたマイナス部分へ寄与してしまっていた。
この部分を純粋に楽しめるかどうかで、この作品の評価が大きく変わってくるのは確かだろう。

上記のような懸念点はあるものの、終盤にかけての流れは秀逸の一言。
特に、この作品に込められたテーマやメッセージ性といったものの良さが顕著であり、それを伝えるための物語の動かし方や重要なシーンにおける演出など、この部分に関しての良さを挙げれば暇がないほど。
ほんわかした雰囲気から一転して、誰しもが涙を浮かべてしまう程に切なく、心を締め付けるように悲しい、それでいてどこか暖かい物語に仕上がっている。
先ほどは半ば酷評に近かった前半部分に関しても、その幻想的で童話的な流れと後半において描かれる真実との対比としてみると、物語をより一層色鮮やかに浮かび上がらせてくれている。

星の中を進む夜汽車のように、煌びやかな宝石の中を進む一筋の希望の物語として、読んだ人の心に残るシナリオとなっており、その読後感の良さと合わせて高く評価をしたい。


【推奨攻略順:- 】
作中に選択肢はあるもののシナリオ分岐はしないため、好きなものを選ぶとよい。


CG
今作の企画でもあるメイン原画担当のしらたまさんによる絵。
幼く白く柔らかい女の子の質感、そのこだわりぬいたそのイメージへの熱意がこちらまで伝わってくるようなCGたちは1枚1枚が至極の域で、枚数自体は平均的であるものの、その質に関しては類を見ないレベルとなっている。
また背景はわいっしゅさん担当という事で、ヴィジュアルを通して今作を支える綺麗な世界観をより強固な物へとしてくれていた。


音楽
BGM?曲、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
鑑賞画面が無いため曲名は不明なものの、その数に関しては10曲前後というところ。
Vo曲は保科めぐみさんの歌うOPの「スタートリップ」がとても繊細で、星空の中を旅する旅客列車を想起させてくれた。


お勧め度
有名な原画家が企画した作品という事で、まずはその原画部分に関してはその熱量を感じられる内容になっている事を保証できる。
加えてのシナリオの完成度も高く、また内容としても広く受け入れやすいものとして、有名メーカーが作成したものではないものの、全年齢でミドルプライスというハードルの低さも鑑みてこの評価にしている。


総合評価
幻想的な雰囲気を持った作品として全体的に完成度の高い作品であり、特に絵とシナリオの完成度に関しては群を抜いている。


【ぶっちゃけコーナー】
しらたまさんの可愛い絵というだけで強いアピールポイントととなる作品であるが、そこにさかき傘さんという強い助っ人が加わった。
ハードルとしてはかなり高いものがあったので、正直中盤の中だるみに関しては結構しんどい部分もあった…けれど、そんな評価をひっくり返してくれるほど終盤の展開が良かったんですよね。

序盤から中盤にかけては本当にキャラを愛でることが中心になっているものの、それ以外にも色々な伏線があったから、展開に関してはある程度想像つく人もいただろう。
私個人でも中盤の後ろの方でぼんやりと形ができていたくらいなのだが、それであっても後半は泣けた。テーマや主張といったものが良い内容である事はもちろんなのだが、それくらいストレートに作品にいつの間にかのめり込んでいたのだと思う。
この作品は背景にわいっしゅさんを迎えていたりと、作品の雰囲気を形作る事に関しては低価格帯という事を忘れるくらいに力を入れてくれている。
そうした甲斐もあって一緒に旅をすることでノワールの事が、そして一緒に乗り込んだ乗客の一人一人が好きになっていって、だからこそ終盤の展開では涙が溢れてしまっていた。

ネタバレもあるため内容自体には詳しく踏み込むことはしないけれど、純粋に前半は女の子の可愛さと作品の世界観を楽しんで、後半にこの物語が伝えたかったことを体中で感じてほしい。



タイトル : ココロのカタチとイロとオト
ブランド : HULOTTE ROI


シナリオ : ★★☆☆☆ [2/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★☆☆☆ [2/5]
総合評価 : ★★☆☆☆ [2/5]
(総プレイ時間 : 2h)

シナリオ

そして、僕の心はもう一度……
きらびやかなイロとオトに包まれた――


人の心を色や音として認識できる主人公『月森 志季』。
その能力故に人付き合いを拒んでいた彼が初めて出会った心の見えない少女『星名 晴音』。
彼女との出会いによって彼の景色は大きく変えてゆく。

HULOTTEから発表された新ブランド「HULOTTE ROI」の処女作として制作された今作、シナリオとしては多少特殊な設定があるものの、主軸となっているのは主人公の『月森 志季』とメインヒロイン『星名 晴音』との恋を描いた学園物である。

ボリュームとしては2時間ほどの作品となっており、特徴的な部分といえば冒頭部分からすでに二人が付き合った所からスタートしている所だろう。
作中では告白するまでのシーンは回想を含めて殆どなく、序盤から中盤にかけては初々しくもラブラブな二人の様子がかなりスローテンポで描かれている。
美麗な絵や可愛いキャラクターと合わせて、HULOTTEらしい萌えゲーを楽しむことができる部分といえるだろう。
一方で、ガラリと雰囲気を変えて作品のメインコンテンツとなる「ココロのカタチ」をテーマにした部分となるのが中盤から後半。
見通せない晴音の心やそれを不安視する自分の心に対して疑心暗鬼になってゆくようなシーンの他、晴音の親友でもある『空木 和彩』との複雑な三角関係など触れていたりと、前半とは一転したシリアスな描写が目立つ。
この部分に関してはメッセージ性こそあるものの前半との対比が酷く大きく、プレイヤーの気持ちが着いて行かないだろう部分も多々あった。

シナリオの総評として、作品として最も大切な「起承転結」がゴチャゴチャになっており、展開ぶつ切りのチグハグになっているように感じる。
2時間という短いシナリオの中で主張性のある物語としてまとめ上げたかったのか、キャラクターの可愛さを前面に押したかったのか、その本質的な部分がブレていたために、読んでいるこちらも混乱しまうような作品になっているように感じた。


【推奨攻略順:選択肢無】
作中に選択肢は無く、1本道のシナリオとなっている。


CG
原画担当は「Hulotte」でもよくメイン原画を担当されている池上茜さん。
しっかりとした線に濃い塗の絵で
立ち絵はもちろん、イベントCGの種類も豊富で、時折バランスの気になる絵があるものの、総じて高品質な絵といえる。
Hシーン自体も6シーン程収録されている。


音楽
BGM7曲、Vo曲1曲(主題歌)
多少数の少なさが気になるBGM、全体的にはピアノを主体とした柔らかな曲が多い中、夏の日常シーンをイメージさせてくれる「夏空の飛行機雲」が個人的にお気に入り。
Vo曲は安定のDucaさんでタイトルをそのまま楽曲名とした「ココロのカタチとイロとオト」で、ゆったりと歌い上げられていた。


お勧め度
HULOTTEから発表された新ブランド「HULOTTE ROI」の第1作目となった今作。
値段帯がミドル~ロープライス作品の作品という事で、初めての人にとっても手に取りやすい価格となっている。
もちろんHULOTTE関係者が作成しているため、CGを中心に全体的に安定した作品ではあるものの、純粋な萌えゲーというわけでもなくシナリオ部分には課題も残っていたこともある。
今作のヒロインが好き等の確たる購入根拠が無いのであれば、純粋にお勧めはしにくい作品となっていたため、評価は抑え目になっている。


総合評価
CG部分を中心に評価ができる一方で肝心のシナリオ部分に今一歩足りないところが見受けられ、今後を激励する意味でこの評価となっている。


【ぶっちゃけコーナー】
全体的に見てやっぱり足を引っ張っていたのはシナリオ。
この作品を純粋に読んでいて、晴音の「可愛い」をただ享受するだけだった前半と作品としての主張をしている後半の流れの勢いが違い過ぎる。

物語として言いたい事は勿論わかる、わかるけれど見せ方を間違えたと表現するのが正しいだろう。
そもそもの話として、序盤の受け身すぎる主人公に苛立ちを覚えたりしてたくらいなのに、この展開では主人公の弱さを描きたいのか、それとも「ココロ」が読める難しさを描きたいのか、主張がブレてしまう。
今までの経験があるとはいえ、やっぱり主人公にはここぞと言う所では頑張ってほしいものだし、ココロが読めるという能力の難しさは昨今の作品でも多く触れられている。
そうした中でこの作品だから伝えられるメッセージがあったはずなのに、そのどれもを取り入れようとして、結果中途半端なものが出来上がっている。
この辺は告白シーンが無かったりと言うのも関わっているのかもしれない。
考えてみると作品として芯となる部分が飛ばされていたのも痛い所で、シナリオボリュームの制限とか合ったのかもしれないけれど、あくまで「恋愛物」を描くなら、その関係が大きく変わったシーンが無いと、登場キャラクターの心がうまくつかめない。
そういう意味では親友の和彩の方が良く描けていたくらいだった。
ボリューム不足、という言葉に逃げるのは卑怯かもしれないけれど、この作品で伝えるべきテーマを書くにはミドルプライス作品では足りなかったのかもしれない。

あと少し気になったのはメインでもある心の声の演出について。
ある意味でこの作品の象徴的な部分ではあるのだが、その演出に関しては古典的でストレート、ともすれば違和感を感じるシーンもあり、ただでさえゆっくりな物語のテンポをさらに落としてたように感じた。
この辺りにはもう少し工夫があっても良かったのでは、と個人的には思う。

振り返ってみるとシナリオ部分についてはかなり酷評した。
ただそれくらいに素地となるシナリオ設定とかは魅力的で、描くものがしっかりとしていれば、もしかすると化けていた作品かもしれない、そういう期待感があったからこそ、湧き出てくる想いの数々がプレイしながら頭に浮かんだ。

ブランドとしてはまだ1作目、これからまだまだ成長の余地がある作品だと思うので、これからの飛躍にぜひ期待したい。



タイトル : 竜姫ぐーたらいふLOVE+PLUS
ブランド : Whirlpool


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   :       [-/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 1h)

シナリオ
Whirlpool制作「竜姫ぐーたらいふ」のFDとなる今作。

シナリオ部分では前作においてヒロインだったハルや鈴夏に加え、サブキャラクターであった「ドラ美」がヒロインとして昇格し、個別√が用意されている。
内容としては本編のアフターシナリオという事で描かれており、長さがそれぞれ20分+Hシーンで構成されている。
それぞれの個別においてワンエピソードを描いた短いものではあるものの、前作にもあったキャラクターを前面に押し出すテキストと小気味良いギャグシーンは健在でサクサク読める。
加えて本編では描けなかった彼女たちの内面にも少しだけ踏み込んだ作品となっていた。
特にヒロイン昇格がかなったドラ美は前作においても登場シーンが少なく、悪役キャラクターとしてだけではない深みがさらに出ていたように思う。

ロープライス作品の中でもさらに値段が抑え目にされているので、そういった部分を考えるとシナリオのボリューム不足に関しては目をつぶるしかないだろう。

【推奨攻略順:ドラ美→鈴夏→ハル】
本編シナリオを開始するとすぐに3人のシナリオ選択となっており、ロック等もないため好きな順番からの攻略でよい。


CG
前作同様に柔らかい線質で濃い塗りの絵。
各ヒロインにCG数は2枚(+差分)用意されており、それぞれが1Hシーン分となっていた。
加えてSD絵も各キャラに1枚用意されている。


音楽
前作から新規追加曲は無しであるため評価していない。


お勧め度
「竜姫ぐーたらいふ」のFDということで、作中では前作のあらすじ説明などはあるものの、基本的には前作をプレイすることが基本となっている。
ボリュームがかなり少ないものの、値段も相応に低いので前作の雰囲気が気に入った人にとっては手に取りやすい内容となっていた。
特にドラ美とのシーン自体は前作においても短く貴重なので、彼女のファンにとっては垂涎の内容ともいえ、そういった魅力を感じる方にはお勧めしやすい作品となっている。


総合評価
低価格のFD作品としては妥当な内容だったといえ、平均程度の評価とした。


【ぶっちゃけコーナー】
Whirlpoolは今までもこうした短い萌えゲーを早いペースで制作してきている。
そうした経験もあってか、今作も短さはあるものの安定した作品に仕上がっていたように思う、というより短すぎてそれくらいしか言えることが無い。

今作はFDとして作成されているが、話の設定を考えるとこの続きもさらに作れそうな感じではある、むしろ今作においても何も解決していないので、何か話の続きが無いと気持ち悪い。
ただ、猫忍えくすはーとみたいに「2」を作るなどをするかは微妙な所だろう。
というのも、キャラクターをあまり登場させすぎると既存の面白さを壊してしまいそうだし、かといって登場させないとこれ以上話が広がらない、傍から見るとそんなジレンマのような状態に陥っているように思う。
もちろん、このような状態であっても続編を作る事自体は無謀ではないので、そうした中でどうやって物語を繫げてゆくのか、そうした部分が個人的にこの作品シリーズにおいて最も気になっているところだ。



タイトル : アイベヤ2
ブランド : あざらしそふと


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 2h弱)

シナリオ

部屋が繋がったら、何かが変わるかな…?


両親の転勤を期に一緒に住むことになった幼馴染の『御空 朔』。
そんな彼女と一つの部屋の中、手作りのドアで仕切っただけの所で生活する、文字通り”アイベヤ”状態から始まるラブストーリー。

あざらしそふとのロープライス作品で「アイベヤ」シリーズの2作目となる今作。
上記の通りシリーズの2作目ではあるもののシナリオとしての繋がりは特になく、主人公の『鴇崎 洋一』とその幼馴染である『御空 朔』のラブストーリーが描かれている。

初夏から文化祭開催の秋口までを描く今作、設定としては前作同様に幼馴染物ではあるが、勢いで交際することになる前作とは違い、今作ではしっかりと恋人になるまでの過程が描かれている。
学園物の定番といえるテスト勉強を切っ掛けとしてお互いを意識し合ったり、はたまた海に遊びに行ったりと、そこに描かれているのは等身大の恋愛。
特に朔視点の描写なども多用されており、恋する少女の心模様なども良く描写されていたように思え、初々しく酸っぱい恋愛を楽しむことができる。

徹頭徹尾で描かれていたのはストレートな学園物で、登場人物が絞られているからこそ朔の良さをしっかりと味わえるような作りとなっていた。
その二人が少しずつ近づくように、お互いの部屋の状況―アイベヤ状態―も変化してゆく、そうしたリンクも面白さの一つとして挙げられるだろう。

付き合った後の後半において焦点が当てられたのが朔の成長。
あれほど引っ込み思案だった彼女が主人公の隣に立てるようにと成長する姿は描写が少し足りないものの、感じ入る物もあり良かった所だろう。
また、ここにきて豊富となるHシーンも作品の魅力としては欠かせず、普段の態度からは信じられない朔の姿などはギャップもあって魅力的だった。

こうした中で、一方で少し残念なのが一部で誤字が目立っていた事と、テキストと絵の整合性が取れていない部分があった事だろう。
このあたりは連携が取れていないせいなのか、それとも予算のせいなのかは不明だが、なんにせよ明確に修正できる部分であり、なおかつ感情移入を阻害するという意味では見逃せない部分であった。

褒めるところは多いものの、シナリオとしては癒しや可愛さ重視で薄く、ロープラ作品らしいともいえる。

【推奨攻略順:選択肢無】
作中に選択肢は存在するものの、基本的には1本道の物語。


CG
細い線に濃い塗の絵。
前作同様「おりょう」氏の瑞々しさのある質感の良い絵は全体的に質も安定している。
ボリュームもほぼ変わらず、イベントCGの枚数は17枚+差分で、そのうち10枚がHCGとなっている(Hシーンだけ少なくなり5シーン)。
他にもSD絵が三枚ほど存在している。


音楽
BGM14曲、Vo曲1曲(主題歌)
ヒロインである朔の気持ちに寄り添ったようなBGMが多く、時折面白くはあるものの全体としては柔らかな雰囲気が漂うものとなっている。。
Vo曲は主題歌としてRin'caさんの歌う「fringe」が使用されており、BGMと同様に優しく包み込んでくれるようなメロディも素敵なのだが、一番良かったのは歌詞。
朔の想いを綴った甘く切ない歌詞を、クリア後にぜひもう一度しっかりと聞いてほしい。


お勧め度
あざらしそふとのロープラ作品であり「アイベヤ」シリーズの2作目。
アイベヤシリーズが好きな人にとっては、変わらぬ魅力ある作品なのでお勧めしやすい。
シナリオ自体も独立しているため、今作に興味がわいた人もこの作品からのプレイで問題ないという点においては、間口の広い作品といえるだろう。
シナリオの薄さはあるものの、シチュエーションの強さ、絵の綺麗さ、エロシーンの良さ等々は変わらずあるので、そうした部分に興味を示した人にはお勧めしておきたい。


総合評価
ロープラとしては全体的に安定した作品ではあるものの、前作と同様にシナリオとしての薄さなどの問題はあり、どうしてもこの評価になってしまう。


【ぶっちゃけコーナー】
「アイベヤ」シリーズとして設定だけではなく前作の良さも踏襲しつつ、それでもロープラらしい萌えゲー・エロゲーという枠からは抜け出てはいない。
ストーリーとしてはかなりストレート勝負に来ていて、その部分はすごく良かった。
特に学園恋愛ものをストレートに各作品は昨今少なくなったように思っているので、逆に新鮮だったくらい、やっぱり王道的な良さを感じる。
あとは個人的にだけれどメカクレ少女な朔がすごく好きだったし、プレイした後はもっと魅力を感じてて、声優の恋羽もこさんの声質とキャラクターがすごくあってて、可愛さが引き出されていたように思った。

ロープラとしてここまでやってれば十分かなと思う一方で、朔の心や成長にここまでフォーカスを合わせてくれたなら、もう一歩シナリオを踏み込んだものにできたんじゃないかなと思う所も多い。
ただそうなるとシナリオの分量が足りなくなるし、そう思うとロープラじゃなくなるんだろうなーとか考えるとやっぱり、うまく行かない。

ただやっぱり、そういう部分にもう少し言及できていたら、ラストシーンの印象もまた変わってきたのかなと思わなくもない。
シリーズとして何時もラストシーンが綺麗なので、そういう事を思ってしまいました。



タイトル : 徒花異譚
ブランド : ANIPLEX.EXE


シナリオ : ★★★★☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★★★ [3/5]
総合評価 : ★★★★☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 4h)

キャラクター

これは、咲かぬ“はな”の物語――。

どことも知れない暗い森の中で目覚めた少女『白姫』、そんな彼女を突如として現れた怪物が襲うものの、筆を刀のように操る謎の少年『黒筆』に救われる―。

新ブランド『ANIPLEX.EXE』から発表された新作2本のうち、Liar-soft制作の和風ファンタジー作品。
記憶を失った抜け殻のような少女『白姫』の視点から語られる今作、内容としてはいくつかのキーワードが抜けてしまった御伽草子を元に戻すために『黒筆』と共に旅するというお話となっている。

白姫―つまり女性が語り手となっている事に加えて、独特の味を出しているテキストで綴られた今作、特に情景描写部分に関しては豊富な語彙で表現され、人によってはそこにテンポの悪さや表現の固さを感じ、読みにくく思えるかもしれない。
物語のボリュームがロープライスからミドルプライスレベルという事で短くはあるものの、そうしたテキストが人を選ぶものとなっていた一方で、肌に合えばその風景が目に浮かぶような感覚を覚え、一気に世界に引き込まれていく事になる。

シナリオが「絵草子の中を旅する」という和風ファンタジー風の設定となっているが、作品の中に”他の作品”を使用しようするという設定自体は珍しいものではない。
今作において登場する御伽草子も多くの人が既知であるため、そうした「物語」に対して、どういった新しい視点を提供できるのかが大切になるのだが、今作のにもそうした魅力があるのは確かのだが、むしろ本質はそこになく、登場する物語を別の要素と巧く絡めることで他にはない独自色を出していたように感じた。

加えて今作の『選択肢』についても話しておきたい。
今作は√分岐がなく一筋の物語から成り立っており、その選択次第で後半の展開が大きく変化してゆくことになる。
選択肢によって変化するノベルゲームの原点を見失わず、ただの分岐やBADENDの為のフラグとせずに、その選択自体にしっかりを意味を持たせつつ物語を展開させてゆく様は一周回って新鮮で、今作のメッセージ性との相性も良かった。
またその選択次第では攻略後に『絵草子』として各御伽草子などが収録されていく。
基本的には物語で体験した物なのだが、一部物語はプレイ後に読み返す価値もあり、こうしたところも楽しみの一つだろう。

シナリオ部分と合わせて特筆しておきたいのがビジュアルの独創性。
大石竜子さんの筆の様なタッチで描かれた各CGは確かに一癖あるものの、通常の絵では描き出せない彩と雰囲気を作り出し、まるでこれ自体が絵草子のような印象をうけるほどで、御伽草子をモチーフとした今作との相性も良かった。
こうした絵がテキストともしっかりとリンクさせて作りだされており、両方が高め合うことで片方だけでは描き出せない世界観を表現していた。
これはこのコンテンツだからこそであり、最も評価している部分の一つである。

『夢』のような徒花郷で綴られる絵草子と密接にリンクしていく『現』、二つの物語によって編み上げられる物語がいかなものになっていくのか、ぜひプレイして楽しんでほしい。


【推奨攻略順:(夢)END→BAD→TRUEEND】
攻略順にロック等はないので好きな順番で攻略可能。
上記の順番かもしくはTRUEを一番最初に攻略しても、物語として綺麗なので良いだろう。


CG
服の模様なんかは切り絵の様で、輪郭線等は筆のような流れるタッチで、と独特の手法と描き方によって成り立つ絵。
絵は端的に言って綺麗で、特に色彩にかんしては一般的な物よりもより鮮やかに感じた。
イベントCG―というより単に「絵」と言い表した方が良いだろうか―の種類は値段を考えると平均的か少し多い程度。しかしながら差分という意味では量が多く、変化が大きい物なども多いため、体感の枚数はそれ以上に感じるだろう。


音楽
BGM15曲、Vo曲1曲(主題歌)という構成。
作品に合わせてか、全体的に和風の曲が多い今回の楽曲たち、BGMでは大団円という雰囲気が感じられる「花嵐」などが個人的にお気に入りで、他の楽曲もシナリオや雰囲気を下支えしていた縁の下の力持ちといえる存在だろう。
OPはRitaさんの「徒花夢現」で、メロディとしてはやはりサビ部分が印象的で、登場する一つ一つの歌詞に力がある。
Ritaさんだからこそ歌いこなせる楽曲だといえ、プレイ後に印象が変化するその歌詞と合わせて楽しんでほしい。

もう一つ、小さい所だが今作の効果音についても付け加えておく。
もちろん多くの作品と同様に効果音も適宜つけられているのだが、その場その場に合った効果音を選ぶのは本当に難しい。
今作では要所要所において、それがより良くできていたように思いBGMと同じように作品を下支えした立役者として評価しておきたい。


お勧め度
全年齢かつロープライス作品という事でハードルも低く、シナリオも皆が良く知る御伽草子をモチーフとしていて間口が広い。なおかつそこにぎゅと詰まったテーマ、プレイする人を魅了する世界観はミドルプライスどころかフルプライス作品にも負けていない。
万人に広くお勧めしやすい作品であることは言うまでもないが、中でも特にシナリオ重視で物語を選んでいる方や、今までこういったジャンルをプレイしておらず、小説に音楽や絵があるとどう変わるのかを知りたいという初心者に対して、より一層お勧めしたい作品に仕上がっている。


総合評価
独創性に優れた和風ファンタジー作品として高く評価しており、特にシナリオと絵を活かした世界観の作り方を評価している。


【ぶっちゃけコーナー】
アニプレックスの新ブランド「ANIPLEX.EXE」から発表された2本の新作のうちの1本。
『フロントウイング』と『枕』の制作、サイエンスフィクション物である『ATRI』となっているのだが、今作は(個人的印象だが)クセの強い作品の多い『Liar-soft』制作の純和風テイストに仕上げられていたファンタジー作品。

値段の低さや全年齢という間口の広さは確かにあるけれど、上記の「ATRI」と比較すると、その作風はやはり人を選ぶといってよいだろう。
ただ、唯一無二の独創性という意味では比べるまでもないだろう。

繰り返しになるが、プレイして思っていたのはメッセージ性の強さと分かりやすさ。
ページをめくって物語が進むように、クリックして物語が進み、目に入る絵によって一気に心を持ってゆく。
古くからある絵草子というコンテンツを利用してそれを表現したことはもちろん、全体を通して古くからあるコンテンツを今目の前にあるノベルゲームとつなげるという事を成し遂げたという事に関しても、やっぱり評価してよい部分だろう。

”泣き”を重要視する当方にとっては『ATRI』に軍配が上がるものの、今作は良くも悪くもライアーソフト節が全開で、そのとっつきにくさとは裏腹に人を引き込む力があった。
あまり評価自体は気にせず、素直に気になったり、切っ掛けがあったら、新しい分野を切り開くためにもプレイしてみてほしい作品といえる。



タイトル : Honey*Honey*Honey!
ブランド : おうちじかん


シナリオ : ★★☆☆☆ [2/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★☆☆☆ [2/5]
総合評価 : ★★☆☆☆ [2/5]
(総プレイ時間 : 3h弱)

キャラクター・シナリオ
「男女接近法」が施行された世界を舞台に、過去の経験から女の子と触れ合うのが苦手になった主人公とどうしても接近したがるヒロイン3人とで作られた学園ラブコメ作品。

公式のストーリー説明にあるような「男女接近法」というバックボーン自体はあまり作品に関係なく、どちらかというと学園における男女の付き合いを制限する「恋愛監査部」を中心となったシナリオとなっている。

全体的にギャグテイストに纏まった今作、テキストによる説明は簡素で読みやすく、シーン展開のテンポも良い。
特にギャグシーンは出来が良く、例えばアリカの設定を活かした展開はこの作品だからこそといえ、中でも秀逸だったのがみゆき√。
CVの南十字いっせいさんの熱演もあって、かなり面白いキャラクターに仕上がったみゆきの魅力がいかんなく発揮されたシナリオは、この作品のテーマからは外れているものの、今作中では最大の評価をしている。

一方でやはり気になるのは全体的なボリューム。
共通ルートでは状況説明とヒロイン達との出会い/再開が描かれている程度で、かなり早期に個別√に入る事となっており、個別の感想に関しては下記の通りとなっているものの、それぞれの攻略時間は0.5h程度とロープライス作品並みのボリュームになっている。
フルプライスではないと言え、かなりシナリオが絞られているように感じ、この作品の良い所が上手く生かしきれていない原因の一端を担っている。
ただし各個別√はもちろん攻略後にそれぞれ3つのHシーンが追加される等、Hシーンに関しては比較的充実しており、その部分を含めるならばもう少しボリュームはあるともいえるだろう。

全体的に原石のように光る部分がある一方で、ボリューム不足という大きな失点が全体の足を大きく引っ張っている作品というのが個人的な感想で、シナリオ部分に関してはそういうところが顕著に表れているように思う。


共通√【 ★★★☆☆ 】  0.75h
主人公が転校してきてからの数日、「恋愛監査部」やそれに対抗する反対勢力などの存在と少し触れあう部分までを描いている。
「男女接近法」が存在するという特殊な日常と言うのはもちろんだが、学園自体もかなり特殊であり、そうした部分の描写はある。
ただし、ボリューム自体の短さもあってか、そうした部分の説明は大きく割愛されており、どちらかというとヒロイン達とのやり取りが中心ととなっており、勢い重視の内容であることが伺える。


20201220162157
√遠野 つかさ【 ★★☆☆☆ 】  0.5h
主人公の幼馴染で恋愛監査部に所属するクラスメイト。
とても真面目な性格をしているものの、自身の恋愛経験がないために、些細な男女の触れ合いであっても妄想が暴走してしまう事が多い。
久しぶりに再会した主人公に対して、恋愛監査部に入部するように促し、協力してもらおうとしている。

つかさの所属する「恋愛監査部」に興味を持ったことから個別√へと分岐。
妄想が爆発するつかさはいつもの事として、一緒に勉強をしたりとオーソドックスな学園物らしく中を深めてゆく二人が描かれている。
その後の展開に関しても比較的先読みが可能な展開となっており、ギャグも抑えられているため物語としては終始起伏の少ない内容となっている。
その分つかさ自体の魅力は伝わりやすく、共通ではわからなかった彼女の一面が見られたりするところは評価できるだろう。


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近森 アリカ√【 ★★★☆☆ 】  0.5h
すぐにくっ付いてくるギャルっぽい後輩。
男女の付き合いは自然であるべきという考えのもと、男女接近法に反対している。
偶然ではあるものの、初対面の主人公に胸をもまれたことから、主人公も自分と同じ側だと認識し、学園でもお構いなしに密着してくるようになった。

勢い任せな勧誘に、アリカの活動が気になった所からアリカ√へと分岐し、彼氏のいないアリカがダブルデートに誘われ、反対派の旗頭としてのメンツのため、主人公を偽彼氏としてデートするという展開から一気に仲が進展してゆく。
そのため序盤から中盤にかけては、くっ付きたいアリカと平穏な生活を望む主人公の対立も目立っていたが、後半においてはそうした部分をしっかりと解消しつつ、全体を賑やかでギャグテイストに纏めていた。
キャラ同士の掛け合いの面白さというよりは、状況を活かしたネタが多くあったのが印象的。


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三峰 みゆき √【 ★★★☆☆ 】  0.5h
優しくてしっかり者の美人教師。
普段は穏やかで学生たちからも人気なのだが、主人公の事となると気持ちがあふれ出てポンコツとなってしまう事が多い。
主人公の幼い頃に近所に住んでおり、留守がちな主人公の両親に変わり面倒を見ていた事もあってか、そのころから舜に対して異常なまでの好意を向けている。

学園での平穏を求めたはずが、辿りつくのは教師との禁断の恋。
みゆき√の魅力は何と言ってもヒロインの魅力あるギャップであり、共通から既に漏れ出ていた主人公への気持ちは、ギャグ要素として個別√にて最大の真価を発揮する。
主人公を好きすぎる変態、みゆき先生のテンションの乱高下とそれに冷静にツッコム主人公のシーンは見ていて飽きず、ギャグシーンとしての質がとても高い。
加えて声優さんの熱演という一助もあって、短いながらインパクトある内容に仕上がっていた。


[主人公]折原 舜
今まで転校を繰り返していたが、最近になって幼少期に住んでいた町に再び戻ってきた。
小さな頃の経験から、女の子と接近することに忌避感を感じており、今回入学した学園の決まりに関して驚きはあったものの、都合が良いと考えている。


【推奨攻略順:つかさ→アリカ→みゆき】
シナリオ的にはどのキャラクターを先に攻略しても良い。


CG
別ブランドではあるが「ノラと皇女と野良猫ハート」等でも有名な大空樹さんの絵。
しっかりとした線に濃い塗の絵はどれも質が高く、作品ボリューム自体が控えめだが、Hシーンも18シーンと豊富に用意されており、CG枚数も十分量といえるだろう。
SD絵も何枚か存在している。


音楽
BGM16曲(inst含)、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
全体的に印象が薄いBGMだったのだが、振り返ってみると「距離」などはすごく丁寧なピアノ曲となっていて、使いどころが良ければ涙腺にきそうでした。
Vo曲はあまり聞いたことがないが、岬さんという方が歌ったOP「恋×蜜Distance」はサビが素敵で、作品を意識した歌詞と合わせて聞いてみてほしい。


お勧め度
今作の魅力は絵、充実したHシーン、軽快なギャグシーンの3点が挙げられる。
それぞれ上記までに書いた部分が多いので割愛するが、少なくともギャグ系が好きな方はお勧めしやすい。
一方でシナリオ自体はかなり薄く、その点には注意が必要という事もあってこの評価となっている。


総合評価
絵はもちろんの事、シナリオについてもギャグシーンの良さなど評価できる点はあるものの、やはりボリューム不足が大きく評価を下げており、この評価となっている。


【ぶっちゃけコーナー】
結構厳しめな意見が上記でも多いが、やはりこの値段帯でここまでのボリューム不足はまずい。
個人的に読むのが早い方ではあるが、それでも短すぎるというのが正直な意見で、別作品の名前自体は挙げないものの、ともすれば千円くらいの作品でももう少しボリュームがあったりするだけに、やはり評価は微妙なものとなってしまう。

シナリオについてもやっぱり微妙。
特にセンターヒロインっぽいつかさ√において、その設定を巧く生かしきれていなかった印象が強い。
バックボーンとして「男女接近法」なんかがあるものの、そうした部分が生かされているシーンをあまり感じず、それだけでなくとも、つかさの両親や主人公の過去など、もっと触れることで面白そうになる要素が沢山あるだけに勿体ない。
そこに触れないなら、いっそ全編をギャグ一辺倒にしてもよいのに、そこにも振り切っていないものだから、全体的にぼんやりとしたどっちつかずな印象になってしまっていた。
シナリオ中のギャグはもちろん、パッチを利用したギャグ等、センスはあるだけにこうした部分も勿体ない。

いい絵や充実したHシーンが今作の魅力として挙げられる一方で、取れるはずだった評価を大きく撮り逃している部分があるのも確かで、惜しい所が多い作品だった。
最初の作品という事で今後にも期待したい。



タイトル : 水蓮と紫苑
ブランド : hibiki works


シナリオ : ★★☆☆☆ [2/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★☆☆☆ [2/5]
お勧め度 : ★★☆☆☆ [2/5]
総合評価 : ★★☆☆☆ [2/5]
(総プレイ時間 : 2h)

キャラクター・シナリオ
水無瀬島という離島に住む親戚の姉妹、幼い頃に親交を深めていた彼女たちに久しぶりに主人公が合いに行くというお話。

楽園のような時間を過ごすというコンセプトのもと作られており、物語としては抜きゲーと言っていいほどシンプルで、状況と設定のみがただある程度。
ヒロインの好感度も初期からある程度MAXであるため、徐々に親交を深める描写等はなく、そのコンセプト通り、各個別√においても大部分がHシーンで占められいて、二人のヒロインとの濃密な時間が過ごせる作りになっている。

ミドルプライス作品という事やHシーンが中心の作品という事もあって、その部分を除いてしまうと全体的なボリュームは少な目になってしまうが、登場人が二人ということもあって、それぞれの描写はしっかりとしており、選択肢によっては姉妹同時でのシーンがあったりと、そういった方面でのサービスに関しては十二分といえる。

hibiki works作品といえば、のシステムである『ラブリーコール』システムは今作にも導入。
各名前の愛称はもちろん、『お兄ちゃん』、『旦那様』などの不特定多数用の名前もあるので、好みに合わせて変えられる。
この部分の進歩はかなり良く、セリフの中に比較的自然に入れられているので、感情移入という意味でも一役買っていたように思える。
しかしながら、作品としてはHシーンが先行しすぎており、日常シーン等の描写不足が起因して、キャラクター自体に愛着を持つことが難しい作りになっている。
せっかくのシステムなので、そうした部分にももう少し力を入れれば評価がまた少し変わっただろうと考えている。


共通√【 ★★☆☆☆ 】  0.5h
主人公が島を訪れ、若弥姉妹と再会した数日間が描かれる。
シナリオ部分に関してはほぼ設定が語られた程度となっており、そのほかは濃い色香を匂わせる姉妹とのやりとりが描かれている。

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若弥 水蓮√【 ★★☆☆☆ 】  0.75h
天使のように嫋やかで、妖艶な若弥姉妹の姉。
普段は家事をこなしつつ、両親から引き継いだコテージを切り盛りしており、ほんわかとマイペースなようでいて、人を甘やかす事や喜ばす事に関しては強引な所もあり、その絶大なまでの包容力は正にダメ人間製造機と言っても過言ではない。
美貌はもちろん仕事や家事なども完璧で、機械が苦手な事以外に欠点という欠点が見当たらない完璧超人でもある。

水連の持つ魔力ともいうべき母性に絡めとられる個別√。
自身のリビドーを隠しきれない主人公に対し、我慢すらさせない様にと積極的に接してくる水連との日々は正に愛欲の日々と言っても過言ではない。
後半は少しだけ主人公が医師を目指す切っ掛けとなった過去エピソードなども語られているものの、そのあたりは薄め。


水蓮と紫苑 (1)
若弥 紫苑√【 ★★★☆☆ 】  0.75h
クールで他人を寄せ付けない若弥姉妹の妹。
学園では風紀委員に所属していたりと真面目な性格をしていて、しっかり者で几帳面。
しかしながら臆病で不器用な所もあり、素直になれずに主人公に対してツンとした態度をとってしまっている。
規格外の姉に比べられがちだが本人もいたって優秀で、コテージのアルバイトで稼いだお金でデジタル一眼レフを買い、「まるみえくん」と名づけ溺愛している。

とあるきっかけによって二人の間に秘密ができたことから、開いていた距離が近づいてゆく。
主人公の事が大好きだけれど、素直に気持ちを伝えることができない、そうした中で主人公が姉である水蓮へ向ける感情を気にしていたりと、
個別√において明示的に表現されている部分は少ないものの、紫苑の繊細な心の動きがそこかしこから感じられる部分が魅力的で、シナリオ的に評価しているところである。


[主人公] 設定変更可能
医者を志す医大生。
大学が忙しくなる最後の夏休みを利用して、勉強続きだった日々をリフレッシュするため、幼い頃によく訪れていた母方の親戚が住む水無瀬島へ訪問することにした。


【推奨攻略順:水蓮→紫苑】
攻略順に特に指定はないが、個人的に紫苑の心をより分かりやすくするために蒸気順番を推奨したい。


CG
繊細な線にしっかりと下塗り。
唯々月たすく先生の高品質な絵は妖艶でありながら美麗で、この部分をピックアップして紹介できるほどに今作のアピールポイントとしては強い。
枚数自体はミドルプライスという事もあって少な目だが、24のHシーンが存在し重複しているものがないといえばその凄まじさが伝わるだろう。


音楽
BGM17曲、Vo曲0曲。
絵に対して少し残念なのがこの部分で、やはりVo曲が無いのは悲しい所。
BGMに関しては穏やかで落ち着いたものが多く、その中でも「紡ぎ結ぶ」などの綺麗な曲もあって、聞き心地の良い楽曲が多い印象だった。


お勧め度
イラスト買いや抜きゲーとして買うなら満足できるだろう作品。
ラブリーコールなどのシステムはあるものの、肝心のシナリオに関しては殆どオマケ程度なので、そのあたりを期待して買うには注意が必要。
その為お勧め度も低めとなっている。


総合評価
Hシーンに特化したシナリオ、突出した絵の素晴らしさ、システム方面の充実など、安定した部分がある一方でシナリオ重視で鑑みた時にはどうしても抑え目の評価となる。


【ぶっちゃけコーナー】
ざっくりいうと抜きゲー。
もう少しhibiki_worksのシナリオってあった気がするのだけれど、今作はかなりそういった方面の描写が中心になってしまっていた。
そういう作品なら良いのだけれど、上記にも書いた通りせっかくの「ラブリーコール」システムとかが使いこなせていない気がした。
そういえば以前プレイした「ラブリーコール」システム搭載のゲームに比べると、別録のために発生する違和感はかなり抑えられていました。
ただ、個人的にもう一つ付け加えてほしいのは呼び方をそれぞれのヒロインで設定する機能。
今回の作品だと一つの呼び方が水蓮と紫苑の両方に適応されてしまい、それぞれ「これが良い」と思った呼び方が違うセットであるときに強制的に変更されてしまうので、そこは改善を願いたいところ。

シナリオについて少しだけ補足しておくと、物語を1回やるだけでは結構分かりにくい作品になっている。
水蓮や紫苑が抱えていた想いをしっかりと把握してプレイすると「いいな」って思えるシーンもあったりして、そういう部分があるからただの抜きゲーとくくってしまうにはもったいないのかな、って思うところもあった。
結構いろいろな思いを抱えていて、そういうのを”わかりやすく”隠している紫苑√は比較的楽しめたかも、ただ水蓮の方も結構いろいろあるみたいで、そのあたりもう少し書き方が違えば評価がぐんと上がってたのかも。
どこを作品によって見せたいかは違ってくるだろうから、シナリオ的観点を中心に見た時に私はそう思うというおはなしでした。



タイトル : 響野さん家はエロゲ屋さん!
ブランド : Sonora


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 8h)

キャラクター・シナリオ
主人公の幼馴染の女の子の家が突如エロゲー屋さんにリニューアルしてしまい、そんなお店を手伝うという設定の今作。

萌えゲーというよりは特殊な舞台・設定を活かしたキャラゲーとしての側面が強い作品で、テキストはすっきりとしていて読みやすい。
シナリオはサブヒロイン一人を加えた5本の物語から成り、全体で8h程度とフルプライスとしては少し短く感じる分量となっている。なかでも各ルートの短さは顕著であり、そのためなのか設定こそ特殊であるものの展開に遊びがなく、よく言えば安定的、悪く言えば平凡な内容になってしまっていた。

今作のポイントといえるのは設定からもわかる通り特に「エロゲー」というコンテンツ自体をテーマにした作品であるという事で、なかでも印象的だったのはシナリオ中に出てくる数々のエロゲーに纏わるお話。
エロゲショップならではの裏話や流通に纏わる豆知識など、ニッチなコンテンツにおけるそれらの話題は初心者の人にとっては新鮮でありつつ、玄人の人ならだれでも頷いてしまう’あるある’という感覚を引きだせていたように思う。
こうした部分は特に共通ルートや個別ルート自体がエロゲーに関係していた紡√やゆかり√で際立っており、今作のアピールとなる点だろう。

もう一つ特殊な点として、『CUFFS』系のブランドである『CUBE』、『MintCUBE』、『Sphere』のそれぞれの作品の話やブランド自体についても良く触れられていた事が挙げられる。
特に『Sonora』の過去作である『同じクラスのアイドルさん。』や『僕の未来は、恋と課金と。』については世界観を同じにしており、今作中においても何人かのキャラクターが登場していたが、これらの作品でも同様に触れられていたらしい。
エロゲー屋という設定を抜きにしても、そうした状況であるため、これ自体は『Sonora』というブランド自体の傾向ともいえるだろう。


共通√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
主人公が響野商店で働くことになり、仕事を通して三姉妹と交流を深めてゆく様子が描かれている。
学園要素の部分は控えめで、メインとなっているのはエロゲーショップという特殊な設定を活かした日常シーンとなっていた。
展開こそあまり大きくないものの、軽快なギャグで雰囲気は明るく、ゆかりによってもたらされるエロゲーの各知識は共感を覚えると共に興味深い部分でもあり、ある意味で今作の雰囲気を形作っている部分となっている。


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響野 紡√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
一番しっかり者な響野家三姉妹の次女。
実家がエロゲーショップになった事に納得はしていないものの、真面目な性格であるために積極的に行動しており、主に経営面で切り盛りしている。
主人公とは同じクラスで幼馴染でもあったが、思春期を過ぎてからは接点が少なくなってしまっていた。

エロゲーをプレイしたことがなかった紡と共に、エロゲーに対しての見識を深めてゆく流れから個別√に入ってゆく事に。
しっかり者の彼女が恋人だけに魅せる素顔にドキドキさせられるのはもちろんなのだが、後半において実家であるエロゲーショップと絡めた展開にも面白みがあり、短いものの十分楽しめる内容に。
疎遠になった幼馴染という要素とエロゲー屋であるという設定を活かした物語展開はとてもスタンダードで、今作の看板的シナリオと言っても良い内容になっていました。


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響野 ゆかり√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
響野家三姉妹の長女で、重度の自堕落系エロゲーヲタク。
実家をエロゲーショップに改装することを提案した張本人であり、集中さえすればその夢を現実にするほどの行動力と熱意を発揮する。しかしながら面倒な部分を妹の紡に丸投げしていたりと、本能的に行動することも多い。
それだけエロゲーに対しての愛は本物で、普段の会話の中にも下ネタが飛び出してくるほど。

響野商店においては店長として店を切り盛りしつつ、夢のような環境で働くゆかり。
そんな彼女の個別√でもエロゲーに夢中で、リアルな恋愛には見向きもしていなかったものの、妹たちに焚きつけられ、主人公のことを意識し始めてからは展開も早く、他の√では見られない色々な姿を見る事ができる。
特に自由奔放な子供っぽい一面が多い彼女だけに、ふとした瞬間に見せる年上らしい振る舞いにはぐっと来ることもあり魅力的。
シナリオもエロゲーに絡めた彼女らしい内容に仕上げられており、この作品の設定をもっともよく活かした内容だったといえるだろう。


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響野 結衣√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
響野家三姉妹の末っ子。
オシャレが大好きで背伸びしたいお年頃であるためか、子ども扱いする姉たちに対しては反発気味だが、それ自体が甘えの裏返しでもある。
エッチな物が苦手で、家が元の商店に戻ることを願っている。

個別√では結衣が隠していたとある『夢』を応援することになるシナリオに。
その活動はこの√の一つの要素としてあるものの、それ自体に対しては関しては必要以上に深く触れる事はなく、どちらかというと結衣の精神面について描かれていた印象が強い。
序盤から終盤にかけて、主人公の協力はもちろんのこと三姉妹の絆もあって、しっかりと精神面が成長していく結衣の様子が描き出されている。
恋愛方面も非常に充実しており、共通ルートでのツンツンとした態度から、付き合いだした後の主人公を兄のように慕う姿は、ギャップもあって破壊力が抜群でした。


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速水 静乃√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
主人公や紡と同じクラスでで風紀委員を務める女の子。
剣道や茶道、書道まで嗜む正真正銘の大和撫子だが、自分の立ち位置を自虐ネタにするなどユーモラスな部分も持ち合わせており、時折主人公なども揶揄われている。

個別√では彼女のとある趣味に関連したシナリオに。
雰囲気的にエロゲーショップやそれに類する界隈に関連しなさそうなキャラではあるものの、シナリオの方向はがっつりとその方面になっている。
前作『同じクラスのアイドルさん。』に登場するヒロイン「三嶋朱莉」との関係も深いので、プレイしておくとより楽しめる内容になっていた。


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保美 葉子√【 ★★★☆☆ 】  0.5h
流通企業「Alton」新人社員で、響野商店の新しい担当となった女性。
エッチなことが苦手で、ゆかりからの率直な表現に毎回頬を赤らめてしまうことも多い。

今作唯一のサブヒロインということで、シナリオ自体は各ヒロインの好感度を規定値まで満たさなかった場合に分岐することとなる。
社会人としても未熟な葉子が気持ち的には頑張りながらも、経験不足の為に空回りする様子が描かれており、そうした彼女を支える主人公といった構図となっている。
尺的な問題もあったのか、関係が始まるのはかなり強引ではあったものの、頑張り屋な彼女が主人公に対して甘える様子はやはりかわいく、そういう意味ではサブヒロインとしての役割を果たしていたといえる。


[主人公]蔵馬 蓮
いわゆる鈍感系主人公。
昔は響野商店の近くに住んでいたため響野三姉妹とは幼馴染であり、特に次女・紡とはクラスメイトでもある。
実家が営むコンビニの人手不足もあって最近は距離ができてしまっていたが、ひょんなことから響野商店がリニューアルしたことを知り、その手伝いを始めることとなった。


【推奨攻略順:静乃→葉子→結衣→ゆかり→紡】
上記は当方の攻略順を載せているものの、特にシナリオ制限等もないため、好きな攻略順からでよいだろう。


CG
線のしっかりとした濃い塗の絵。
量に関しては十分量と言え、SD絵もいくつか存在している。
質に関しては全体的に高レベルではあるものの、特にその瞬間を切り取ったイベントCGは特に印象的で、時折見入ってしまう程の物も存在している。
立ち絵等でた作品からの登場キャラクターがいくつかいるのも特徴的な部分といえるだろう。


音楽
BGM23曲、Vo曲3曲(OP&ED+他)という構成。
マルチに取りそろえられたBGMは、日常シーン用はもちろん各ヒロインのテーマソングやHシーン用など、各BGMのタイトルからもその使用目的が分かりやすい。
Vo曲ではOPやEDといった曲も良かったのだが、一番印象的なのは店内BGMとして流れる”エロゲソング”として作られた「Holy moments!!」で、しっかりと作られた勢いあるイントロが素敵なインパクトのある電波曲となっていた。


お勧め度
設定自体に特殊な部分はあるものの、それ以外は安定した作品といえ、広く手に取りやすい作品となっている。
一方、そうした部分以外に特筆すべき部分が余りなく、各ルートのボリューム不足などもあって、シナリオを重視した人には純粋にお勧めしにくい所も。
同ブランド作品と世界観が共通しているという事で、展開自体に大きく絡むことはないものの、前作、前々作からの登場人物なども多く登場しており、この作品からのプレイでも問題はないが、そうした作品を既にプレイしている人にとっては楽しめる要素の一つとなっているだろう。


総合評価
エロゲー屋が舞台という設定は新鮮で全体的にも安定した作品として評価する一方、それ以外特徴が少ない作品であるため、控え目なこの評価となっている。


【ぶっちゃけコーナー】
シナリオに関しては少し厳しめに評価している。
エロゲー屋を舞台とする設定には面白みがあるのは確かで、この作品ならではの話があったりと、そういう意味では共通ルートあたりが楽しめていたと思う。
だからこそなのかもしれないが、どうしても個別√の主張の弱さが目立つ。
各キャラクター自体の押しがそこまで強くなく、ヒロイン単体の魅力で作品を盛り上げられるほどではなかったように思え、実際に作品として萌えゲーとしての要素は薄い。
キャラゲーといわれればそうなのだが、それでも今一歩足りないところが目立っていたように思え、加えてのボリュームの問題があって、付き合うまでや付き合ってからの描写が少なすぎた事も、こうした部分をさらに増長させていたように思う。

『エロゲーショップが舞台』という設定に頼り過ぎた、というとさすがに言い過ぎなのかもしれないが、それでもそれ以外の部分の魅力がもう少し欲しかったな、というのがシナリオ重視で見た時の素直な感想だった。