タイトル : 恋する乙女と守護の楯 Re-boot The SHIELD-9
ブランド : 戯画


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 12h)


キャラクター・シナリオ

山田妙子、再臨――

AXLの名作『恋する乙女と守護の楯』(以降は無印と表記する)をリメイクした今作。
タイトルにもある通り完全な新作ではなく、シナリオについては全体を現代に合わせて修正しつつ、一部のシナリオを追加したものとなっている。
違う会社からの発売となっているものの、勿論シナリオの担当は変わらず「長谷川藍」さんであり、加筆修正部分に関しても世界観を損なうことなく作り上げている。

主なシナリオ追加部分となっているのは有里・設子√であり、前半は無印版の流れをそのままに、後半はアフターストーリーのような形で、終息したかに思えたその後の展開を描く。
両者ともに多くのファンがいるヒロインであるために(とくに設子は)、多くのシーンが追加されたことに喜びを禁じえなかったのは私だけではないだろう。

こうした追加部分に限らず、総じて王道展開を主軸とした作品である今作。
物語の先という意味では読みやすい作品になっており、そういう意味では意外性のない作品内容である。しかしながら、反対に王道だからこその安定感のある内容であり、女学園に侵入するというシチュエーションや、主人公である『シールド9』の変わらぬカッコよさ、手に汗握るバトルなど、一つ一つのシーンが丁寧に作られている。
そうした部分には昔に作られた作品とは思えないほどに、時間が経った今でも十二分に楽しめる魅力が詰まっており、勧善懲悪のすっきりとした読後感も併せてAXL作品ならではの作品的魅力を発揮していた。


共通√【 ★★★☆☆ 】  3h
上記でもあるように一部加筆修正がなされているものの、シナリオの大筋自体は作品の元となっている無印版と同じになっている。

設定こそ当時は斬新ではあったが、時がたった今ではそこまで突飛なものではない。
展開自体もAXL作品らしく、基本的には王道展開を主軸としており、予想できてしまうのだが、それでもなお強く引き付けられる内容となっているのは確か。
主人公が女装を嫌がりながらも徐々に慣れていくシーンや、修二自身の活躍によって周囲の信頼を勝ち得てゆく様子、そしてお嬢様である彼女たちとの触れ合いなど、それぞれの描写が端的に描かれており、サクサクと展開する物語と合わせてストレスなく読むことができる。


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春日崎 雪乃√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
全女学生憧れの撫子会会長。
見た目は勿論立ち居振る舞いを含め、淑女として様々な分野にも秀でており、そんな自信が満ち溢れているからこそ、高飛車で高圧的なところも。
しかしながら、一般生徒に対しては面倒見が良く、会長としての責任感も強い娘。
田舎から出てきた(と思い込んでいる)主人公を立派な淑女にすることが自身の使命だと考えており、何かと指導してくれる。

個別√に関しては無印のシナリオと概ね同じとなっている。
彼女に関しては女装がバレるまでの雰囲気が非常に良く、女学園ならではの百合百合しい雰囲気が漂うシーンが多く、またそうしたシーンでの雪乃の戸惑いなども、彼女の可愛さを後押ししてくれていた。
一方、女装がバレてからは彼女の他人を想う心、その優しさがとても前面に出されており、そうしたギャップも彼女の魅力の一つとなっていた。


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椿原 蓮√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
主人公と同じクラスで撫子会の副会長。
運動神経が良く、ボーイッシュな見た目と合わせて学園の男役としても人気が高い。
性格は良くも悪くも真っすぐで、曲がった事が大嫌い。
面倒見も良く、田舎出身(と思い込んでいる)の主人公に対しても何かと世話してくれようとしてくれる。

個別√の展開は無印と流れは変わらない。
ガンガンと引っ張ってくれる勢いのある性格がストーリーにも表れており、ほかの撫子会メンバーにはない明るさのある内容が良い。
一方で主人公の正体に気が付いてからの初々しい反応や、主人公のために行動しようとするいじらしさ、そしてやる気が空回りする蓮の様子は可愛らしく、このギャップこそ彼女の最大の魅力ともいえる。


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新城 鞠奈√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
撫子会に所属する学院のマスコット的存在の1年生。
小さく愛らしい容姿とは裏腹に、小悪魔のように周囲をからかうことが多く、特に田舎者と思い込んでいる妙子に対しては色々とイタズラを仕掛けてくる。
理事長の孫娘であるためかやりたい放題である一方、その中には誰かに構ってもらいたいという気持ちが滲んでいる。

共通ルート同様、大まかな展開に関しては無印と同様の流れになっている。
鞠奈の性格も関係して、百合のような雰囲気や女装バレのシーンなどなど女装物ならではの展開はあまりないのだが、彼女の抱えている寂しさをテーマとしたシナリオは安定感のあるものであった。
またラストシーンの戦闘はそこにに至るまで展開がとてもよく、想い出補正を除いたとしても評価しておきたい。
勧善懲悪を主としたすっきりとした読後感からもAXLらしい内容だったといえる。


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穂村 有里√【 ★★★☆☆ 】  2h
主人公とは別の組織に所属するエージェント。
雪乃や蓮をガードする主人公とは違ってクラスメイト全員を守護しており、戦闘能力自体は高くないものの情報収集能力がとびぬけて高い。
主人公の正体についても事前に入手しており、主人公も最初こそ警戒したが、その人懐っこい性格も手伝って護衛のために一緒に行動することも多くなってゆく。

個別シナリオの前半部分に関しては無印と同じとなっているものの、共通ルートと同様に各種描写が増えている。
そのため以前よりも一層、主人公の「相棒」としての一面が協調されており、彼女の抱えるコンプレックスも合わせて、有里の内面をしっかりと描いていた。
後半は完全な新規エピソードとしてもう一波乱を描いており、とくに彼女の強みである情報戦を使った展開が用意されているなど、主人公は勿論、有里も大活躍する内容となっている。


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真田 設子√【 ★★★☆☆ 】  2h
主人公のクラスメイトで世間知らずなお嬢様。
物腰が柔らかで清楚、学業も主席であったりと優秀であることに加えて、悪意からも程遠いほど心優しい女学生。
新入りの主人公に対してもとても丁寧に接してくれており、そんな設子に対して、女性が苦手な主人公も唯一のオアシスと感じているほど。

彼女に関しては色々なネタバレがあるため詳細は伏せるが、有里同様に前半部分に関しては無印と概ね同じ内容になっているものの、後半は新規追加部分となっている。
その内容や展開自体は王道であり、特筆すべき点はないものの、設子自体がとても人気のあるヒロインであり、彼女と主人公のアフターにあたるこのシナリオはファン垂涎の内容といえるだろう。


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[ 主人公 ]山田 妙子(如月 修史)
コールサインは『シールド9』。
要人の護衛などを行う組織『アイギス』所属するエージェント。
育ての親である課長の命令を受け、雪乃・蓮の2名の護衛を行うため、女装をしてセント・テレジア学院に潜入することとなった。
小さな体躯からは想像もつかないほどの運動神経の持ち主で、今までも多くの命を守ってきたが、女性と接するのがとても苦手であり、加えて女装自体が初めてであるため物語序盤では戸惑うことも多い。
しかしながら、『護る』という事に関してはプライドを持っており、今日も嫌がりながらも女装をして彼女たちを陰から守り続ける。


【推奨攻略順:鞠奈→蓮→雪乃→有里→設子】
有里√は雪乃√クリアが条件、設子に関しては鞠奈、蓮、雪乃の誰かをクリアすることが条件となっている。
基本的に前者3人の攻略順は自由だが、上記十番が安定といえる。


CG
固い線、濃い塗のしっかりとした質感のある絵の雰囲気はそのままに
4:3から16:9への画面比率の変更によって、無印にて800×600だったイベントCGは、全て新規作成のフルHD(1920×1080)へ、また原画を流用することなくCGだけでなく立ち絵まで作り直されている。
その仕様上、無印での印象的なCGなどがなくなっているものもあるのは残念だが、それでもこの作品の絵を雰囲気を損なうことなく作り直したことには賞賛の二文字しかない。
もちろんSD絵も数多く存在している。


音楽
BGM23曲、Vo曲5曲(OP3/ED5)という構成。
BGMの多くは無印から流用しているため語るべきことはあまりないが、Vo曲に関してはOPで『あの曲』を採用するなど、しっかりと抑える部分は抑えつつ、新規楽曲を起用して新しい雰囲気を感じさせる作りになっている。
伝えたい事は色々あるのだが、やはりテーマ曲である「shield nine」は不朽の名曲といえる。


お勧め度
シナリオ部分だけを見ると無印版と大きく違うのは有里√と設子√のみであり、その内容に関してもアフターストーリーのような要素が強い。
そういう部分に興味のない人にとってはあまり手を出す価値がない作品であるのは確か。
しかしながら、多くの部分がリメイクという言葉通りにしっかりと作り直されており、その完成度の高さは思わず始めてプレイした時を思い出すほど。
あの名作を振り返るという意味でも再びプレイしたくなった無印版のファンの人にとっては十二分に楽しめる作品ではないだろうか。


総合評価
リメイクという事もあって評価には悩むところではあるものの、無印版の評価も鑑みて平均程度のものに。
しかしながらAXLらしさを考えると妥当の評価ともいえる。


【ぶっちゃけコーナー】
リメイク作品というちょっと珍しいジャンルの作品。
シナリオという部分に関しては『恋楯』の雰囲気を壊さずに巧く付け足した感じ。
有里の相棒感が出てたのがすごく良かったし、無印プレイしている人にとっては設子もすごく印象的なキャラクターだから、個別√が長くなって彼女たちの内面がより覗けるようになったのはすごく良い事だと思う。
とくに設子に関しては、主人公の光と闇みたいな関係もあったりして、作品に欠かせない山田妙子(如月修史)の内面を深めていくという意味でも重要だったと思う。
一方でそれ以外に関しては本当に小さな修正が多い感じなので、過度な期待はしないほうがいいかも。
どちらかというとCG関係に期待する感じの作品なのかな。
一部CGが無くて悲しいといったり、立ち絵に違和感があるという人もいるけれど、総じて美麗といえるし、SD絵もしっかりあったし、やっぱり全部作り直されてるのはすごいし、純粋に嬉しい。
楽曲に関してもBGMを変えなかったのは賛否ありそうだけど、それでもVo曲をここまで追加したのも頑張ってると思う。
やっぱり無印ファンなら楽しめる内容になってたんじゃないかな。

作品とは直接関係ないけど『AXL』という会社の前向きで読後感のすっきりとした作品群がすごく好きだったんだけど、こういう形で作品が出ていく事だったり、色々な状況だったりを鑑みると、やっぱり存続が厳しいのかなぁ…と思ったりもする。