タイトル : マルコと銀河竜
ブランド : TOKYOTOON


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★★ [5/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★★ [5/5]
(総プレイ時間 : 4h)

キャラクター・シナリオ
「ノラと皇女と野良猫ハート」のスタッフが作った全年齢対象作品。

宇宙で盗賊をして過ごしていた孤児で記憶喪失のマルコと相棒で銀河竜のアルコ。ある日、マルコの母親の手掛かりを得た二人はマルコの故郷である地球に向かう事にするが…。

突拍子もない設定から始まる怒涛のカートゥーンアニメーション。
その異様さと長尺さに驚きが収まらない中、物語は『早いテンポ』と表現するだけでは生ぬるいくらいに激動の展開を続ける。
破天荒なキャラクター達のやり取りはある意味コメディであり、この辺りに関しては序盤から終盤まで一貫して変わらないテイストとして描かれていた。

そうした部分にどうしても最初は忌避感に似た物語に『置いて行かれる』感覚のようなものを感じていたのだが、いっそ荒唐無稽ともいえるストーリーは躍動感に溢れており、本当にいつの間にか『マルコと銀河竜』の世界にのめりこんでいる自分がいた。
他の作品にあるような感情移入ではなく、純粋に目の前で目まぐるしく変わっていく状況やさらに面白くなっていく展開を楽しめるようになっていた。
それ自体が、一種の錯覚なのかとおもわせるほど、確立した世界観は他の作品にないものといえるだろう、同時に世界観に引き込む力がそれほどまでに強力だったともいえる。

シナリオ自体は3-4くらいの非常に短いもので、作品全体の欠点をどうしても上げろと言われれば、そのボリュームの乏しさを挙げるしかないが、それでも起伏の非常にはっきりとした作品は始まりから終わりまで、ほかの作品異常に濃密な時間を過ごせるだろう。
そうした意味では、テキストのボリュームなんて言う尺度を持ち出すのも、この作品に対しての侮辱なのかもしれない。

最も驚くべきことは、上記にあるような序盤の展開から、しっかりと終盤においては泣ける展開に持っていけているという事。
物語自体に引き込まれていたのだから、もちろん感情を揺さぶる力は、他の往年の名作にも負けないほどで、私個人も後半のシーンでは嗚咽を漏らすほど泣いていた。
とくに、シナリオとは似つかないしっとりと歌い上げられた挿入歌とテキストの相性は抜群で、そうした要素が感動へとつながっているのは間違いないのだろう。
ただ、そうしたシナリオの魅力自体が作品の価値の一つにしかならないほど、多くの要素が詰まった作品となっている。

カートゥーンアニメを使用した長尺シーンや立ち絵がほとんど使われないほどに用意されたイベントCG、お腹を抱えて笑えるギャグシーン、どっしりとしたシリアスシーン、そしてそのシリアスシーンをけ飛ばす様に挿入されるギャグシーン、物語としての主張性…etc。

この作品の良さを挙げると暇がないほどで、全年齢対象という事を考慮せず、ADVというコンテンツで考えた際にこれほどまでに型破りな作品があったのか、と思う程意外性に富んだ作品であった。

【推奨攻略順 : なし 】
作中には選択肢が1回出てくるのみで、分岐等はない。


CG
CGは線のしっかりとした濃い塗で艶やかな印象を受けるものなのだが、驚くべきはその数だろう。
各キャラの立ち絵なども用意はされているのだが、シーンのほぼすべてにイベントCGが用意されており、一部崩されているものもあるが、そのどれもが誰もが納得するであろうレベルで高品質であった。
始めてこの項目でSランク以上の評価をつけたいと思ったほどであり、シナリオの短さも相まって、その数に恐れすら感じたほど。
また作中で使われているカートゥーンアニメーションもクセがあるものの、総じて数分程度の長尺なものが約10本も用意されているという…ある種の狂気である。


音楽
BGM57曲、Vo曲6曲(OP1/ED1/挿入歌4)という構成。
 作中では同じ曲を殆ど流してないのではと疑ってしまう程に用意されたBGMにはただただ驚くばかり。『マルコと銀河竜』のような優しい曲のものから、『復活の舞』などほかのゲームでは聞くことがないだろう曲まで、本当に幅広くそろえられている印象が強い。

 Vo曲で一番評価したいのはやはりOP「飢餓と宝玉」だろう。
同じリズムを繰り返し刻む特徴的なAメロとBメロから一気に駆け上がるサビは何度聞いてもクセになる良曲で、今作のOPにも非常に合っていた。
その他にも挿入歌として使われていた「蒼い星」についても高い評価をつけている。
とても穏やかに始まる曲なのだが、とてもきれいな高音で歌い上げられたサビは作中で何度も涙を誘い、破天荒ともいえる作品の中で一際輝く星のようであった。
そのほかの曲も良曲揃いなので、ぜひ作品と一緒にサウンドトラックなどで楽しんでほしい。


お勧め度
「ノラと皇女と野良猫ハート」のスタッフが作った全年齢対象作品。
音楽やCG、そしてテキスト、そのどれを取ってみても、一言では言い表すことのできない良さがあり、この作品で得られる感動や経験は決して他の作品をプレイしても得ることはできないだろう。
そんな感想が過言でないほど他の作品にない魅力がギュッと詰まった作品であり、ギャグゲーとしてもシナリオゲーとしても非常にお勧めしたい。


総合評価
カートゥーンアニメを駆使した動画、大量のCG、高品質の楽曲、型破りなシナリオがそろった、ADVというコンテンツの常識を覆す名作であり、この評価は固い。


【ぶっちゃけコーナー】
やっぱ野良トトスタッフが関わっているだけあって、楽曲は勿論、絵の雰囲気とかテキストや展開のクセ、後は作品全体のノリとか随所にそうした残り香のようなものを感じるな。
キャラクターのテイストなんかも似た所あるし。
ただ、やっぱりそれ以上に作品として大きな違いがあるから「野良トトの再来!」みたいにはなってないから安心してほしい。

というか、カートゥーンアニメーションってすごい所に目を付けたなぁ…。
最初はやっぱり違和感があったけど、後半からは普通に見れるようになったし…なにより、カートゥーンとはいえども、あれだけの量のアニメーション作るのがすごい。
凄いって意味ではCGの枚数もだよな…このイベントCGの使い方自体はLoseの会社が似たようなことやってたけど、枚数だけ見るとそれ以上じゃないかなと思うわ。

物語自体は3-4時間と短いんだけど、上記の二つだけを客観的にみるとやっぱり、一般的なフルプラ作品以上の価値があると思っていいんじゃないかな。
シナリオ自体もかなり楽しめるし、個人的にはやっぱり最後ボロボロに泣いたからね…嗚咽漏らして泣くことは少ないから、口が裂けてもつまらないとか言えないわ。

特色がすごい作品だから、ほかの作品みたいに埋没して忘れられることもないだろうし、プレイ中は他の作品では味わえない特別な時間を過ごせると、私自身は保証できる。