タイトル : DRACU-RIOT!
ブランド : ゆずソフト


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★☆ [4/5]

(総プレイ時間 : 19h)

キャラクター・シナリオ
特別区、海上都市『アクア・エデン』を舞台とした夜の住人『吸血鬼』たちをテーマとした作品。

ヒロイン4キャラに加え、サブヒロイン1キャラの合計5本のシナリオから成る作品で、各ルートも3h(サブヒロインであるニコラ√はメインヒロインの半分程度)と各キャラ攻略後にHシーンが中心となったアフターストーリーが開放されるなど、十二分なボリュームで描かれている。

作品の設定は特殊であるものの、キャラゲーの良さでもある会話中心の展開によってテンポよく話が進んでいくため読みにくさのようなものはない。
また引力のあるシーンの数々によって『DRACU-RIOT!』世界観にどんどんと引き込まれてゆく。
主人公が吸血鬼という特異な設定は非常に新鮮味のある描写につながっており、特にメインの活動時間が夜になるというのは他の作品にもない面白い所だろう。
目覚めるのは夕方であり、朝ご飯が夕ご飯に変わっていたりと、通常のゲームとはちがう世界観であることが視覚的にも行動的にも伝わり、そのほかの設定に至るまで常に新鮮な気持ちでプレイできていた。

ゆずソフトといえばキャラゲーを連想するが、今作で登場するヒロインたちもまた、一癖も二癖もある魅力を秘めており、加えてこの作品の舞台だからこそのシーン演出によって引き出される彼女たちの一面は『キャラゲー』としての価値をより一層深めてくれていた。

キャラゲーとしての良さは各ヒロイン単体の魅力だけではなく、ヒロイン同士(今作であれば寮生同士)のやり取りにも表れており、特に顕著であったのは共通ルート。
ヒロインと主人公のやり取りだけでは表現しきれない彼女たちの色々な表情が、各キャラ視点での描写なども効果的に使用して描かれており、ギャグのふんだんに入った会話は雰囲気としても賑やかに演出されている。

一方、各個別√では仲間たちの絆をよりに深く感じられるシーンが多かったのも印象的で、特に今作では各個別のシナリオの作りこみがなされており、シナリオ単体で見たとしても十二分に満足できるであろう内容が詰まっている。
そうした展開の中で描かれる主人公やヒロイン達との絆には一際大きな輝気を感じられる。
どうしても暗くなりがちな後半のシーンにおいてもギャグを入れ、物語の内容としてはとても苦しい状況下にあっても、ヒロインや主人公たちの明るさが損な割れていないため、そうした部分を合わせて、全体的に明るく、それでいてメリハリのある内容に仕上がっている。


共通√【 ★★★★☆ 】  3.5h
主人公が『アクア・エデン』にやってきてからの約1か月が描かれている。

主人公やヒロイン達が学生という事もあり学園生活もある程度描かれているものの、共通ルートにおいて描写のメインとなっているのは各ヒロインがそろう寮での描写や、学園後の仕事である風紀班での出来事。
また、話の展開自体は比較的ゆっくりなのだが、特に複数のヒロインや登場人物が絡むシーンなどが多く、賑やかな会話はプレイしている人を飽きさせない。
それでいて過度に笑いに走り過ぎずに、主軸で進行するシナリオ部分はしっかりと読み込めるような内容となっている。



矢来 美羽√【 ★★★★☆ 】  3.5h
主人公が吸血鬼になる発端となった吸血鬼の少女。
気が強く意地っ張りな所があり、自身を大人に見せるためにわざと下ネタを口にするが、その照れを隠すことができずに赤面してしまう。
行く当てのなかった主人公を住んでいる寮に招待した他、学園後の仕事では『風紀班』の先輩として主人公の世話をするなど、意外と面倒見の良い部分も。

個別√では美羽のツンデレ可愛い部分がいかんなく発揮された恋愛描写がたっぷりと描かれており、攻めても攻められても魅力的な美羽の良さがふんだんに詰まった内容となっている。
一方、シナリオ自体は共通ルートでも扱われていたとある事件を発端とする内容になっており、その物語は『海上都市』をも巻き込んだ大きなものとなっている。
特に終盤においては人と吸血鬼の絆を感じさせるようなシーンもあり、思わず涙しそうになるほどで、美羽と主人公の二人の姿が明るい未来への展望を感じさせる内容は「ドラクリオット」という作品との親和性が非常に高い内容となっている。

作品自体はもちろん、各キャラクターのさわりのような部分に触れている内容にもなっているのだが、その核心自体はあまり描かれていないのも特徴といえる。



エリナ・オレゴヴナ・アヴェーン√【 ★★★★☆ 】  3.5h
主人公と同じ寮から学園に通うロシア出身の吸血鬼。
学園が終わった後はカジノで働いており、バニー姿でディーラーとして主人公にゲームを教えてくれるシーンも。
エロい事には興味津々で、恥じらいなくそうした話題を口にしては周囲を慌てさせることも多い。

元祖『にひひ』笑いの下ネタが大好きの面白い女の子であるエリナ。
個別シナリオは彼女のとある『秘密』をテーマにした内容となっているのだが、√序盤でその『秘密』を打ち明けてもらってからは彼女の雰囲気が一転、自身に発露した恋心に悶えつつも主人公に甘えようとするエリナが最高に可愛く描かれている。
中盤においても、エリナの主人公を思うからこその行動もあって、確かな愛情を感じるとともに、その行動の裏にある感情の切なさに感動するだろう。
序盤から中盤にかけて主に描かれている恋愛描写から一転、後半からは一気に物語が動いていき、臨場感たっぷりのその描写や相変わらず格好いい主人公の行動など、最後まで見所がたっぷりの内容となっている。



布良 梓√【 ★★★★☆ 】  3.5h
明るく元気で面倒見の良い、寮長も務める小さな先輩。
見た目が小さい事を気にしているのか、子供扱いされることを嫌い、お姉さんぶることも多い。
寮では唯一の人間であるものの、持ち前の面倒見の良さで周囲のまとめ役として働き、暴走する住人達のストッパーになることも多い。
美羽と同様『特区管理事務局』の『風紀班』に所属しており、銃を手にして戦いに参加している。

個別√では『人間』と『吸血鬼』という種族を超えた愛をテーマにしたシナリオであることは勿論、タイトル回収などを含む、比較的大きな作品的ネタバレが含まれた内容となっている。

前半は主に恋愛描写が多くなっており、その雰囲気は初々しいものとなっていて、見ているこちらまでもどかしい気持ちになるシーンもある。
だからこそ、中盤に見せる梓のエロさが顕著に感じられる良い内容であった。
中盤から後半にかけてはこの√の本領ともいえる部分で、とある事件を発端とした『狩人』『吸血鬼』『風紀班』という各々の関係を描いた一連のストーリーは非常に読みごたえもあり、時に涙しそうになるほど深い話も。
そうした中で主人公が梓を「この子は『大丈夫』を組み立てるのがうまい」と表現する部分があったのだが、これが個人的に高評価で、梓の魅力を言外の部分まで表現する巧みなもので、だからこそ梓の「大丈夫」という言葉には騒乱の中であってもひときわ輝くような力があるように感じる。
しかし、そんな中で見せる梓のエロさが顕著に表れていた。



稲叢 莉音√【 ★★★★☆ 】  3.5h
主人公と同じ寮に住む後輩となる吸血鬼。
心優しく、その奉仕精神の強さから困っている人がいたら助けたいとよく考えており、寮の家事などの一切を担っている家庭的な女の子。
純真無垢で性的知識が驚くほど無く、同じ寮に住むエリナにからかわれて、とんでもないことを口にすることも。
学園が終わった後は喫茶店で働いている。

個別√はこの作品の総集編かTRUE√とでもいうべき物となっており、各シナリオのネタバレが満載であるほか、主人公や莉音の過去と絡めた『DRACU-RIOT!』という作品の骨子に迫る内容となっている。
シナリオとしては完成度の高い各ルートの中でも群を抜いて高く、物語を単体として見たとしても十二分に評価できる内容となっており、特に終盤のシーンに関しては主人公と莉音の気持ちがしっかりと伝わるものとなっており、感動できる。
シナリオに加えて、莉音についてもしっかりと描写されており、特に性的知識が無い事という設定はギャグにもエロにも生かされており、莉音の魅力がさらに深まっていた。



ニコラ・ケフェウス√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
主人公と同じ寮に住む欧州出身の吸血鬼。
中二病を患っていて、自身をイメージの吸血鬼に近づけるため、普段からマントを羽織り、カラーコンタクトでオッドアイを装っている。
隠しているわけではないのだが、実は男装をしているだけの女の子。
一人称はボクであることや、あえて自身の性別を説明していないため、周囲からは誤解されることも多い。

個別シナリオは彼女のお家騒動を絡めた比較的短いシナリオ。
どちらかというとメインとなるのは恋愛描写であり、自信に芽生えた恋心に気付いたニコラの初々しい可愛い反応と周囲のからかいとが、程よくドタバタラブコメ風味に仕上ゲラれた内容となっている。


[ 主人公 ] 六連 佑斗
童貞の一般的な男の子。
ある日、友人である倉端直太の誘いに乗って『アクア・エデン』にやってきたが、そこで事件に巻き込まれた結果、吸血鬼になってしまった。
突然自信を取り巻く状況が大きく変わったものの、吸血鬼になったこと自体は前向きにとらえようとしている。
鈍感だけれども、他人の気持ちを考えようとする優しさを持つ。
人を助けるときにも考えるよりもまず体が動くタイプ
生粋の童貞で今まで女の子との接点もなかったが、恥ずかしげもなく素直に女の子を褒めたりと天然ジゴロの才能がある。
数年前に病気で入院していたため、留年した結果周囲より年齢が高くなっている。


【推奨攻略順 : 美羽→ニコラ→エリナ→梓→莉音 】
基本的に攻略順は上記が主流(※ニコラ以外)
特に他の√のネタバレ等を気にするなら、梓や莉音を終盤に回した方が良いだろう。


CG
線が細く濃い塗で、柔らかさを感じる線質で、特にイベントCGでは全体的な女の子としての柔らかさを前面に押し出しつつ、顔などのパーツにはシャープな印象も受けるメリハリのある絵。
SD絵も豊富に用意されており、枚数も質も十二分という他ない。
中でも豊富な立ち絵をふんだんに使いキャラクターの感情を表現する手法についてはキャラゲーであるゆずソフトの作風との相性も良く、高評価をつけておきたい。


音楽
BGM35曲(inst、アレンジ含)、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
OPの「Secret」はあまりにも有名な(個人的)名曲であるためお勧めなのだが、同時にピアノアレンジバージョンもBGM部門として推しておきたい。
あの勢いのあるOP曲がピアノバージョンとなるだけで、ここまでシナリオエピローグと合致する、しっとりとした名曲となるとは、アレンジの深さを感じる。


お勧め度
夜に生きる『吸血鬼』をテーマとした特殊な設定の作品。
ゆずソフトならではのキャラゲーの良さはつぶさずに、シナリオ部分にも面白みを持たせた内容となっており、各ルートでは非常に凝った内容の物語が描かれている。
現行のゆずソフトファンは勿論、それ以外の人にとっても幅広く勧めやすい内容となっており、時間が経った今であってもなお、十分感動し、そしてキャラクターの可愛さを楽しむことができる、ゆずソフトの代表的な一作といえる。


総合評価
キャラゲーとしてだけでなくシナリオゲーとしての完成度も高く、自身をもってこの評価をつけることができる。


【ぶっちゃけコーナー】
個人的にゆずソフトでは一番のシナリオの完成度が高かったというのが、プレイ後の印象。
というかそれくらいに一つ一つの個別シナリオの話の質が良かった。
勿論これ以降に発売された作品が嫌いというわけではなく、個人的な好みと合致したというのもあるのだろうけど、それにしても一つ一つの話の作りこみの深さがすごかった。
というかここまで作りこまれた話なのに、攻略順固定が無い事に驚く…。
最初に莉音√やった人とかは中々に楽しみが削られてそうだ…。
まぁそれでも別に楽しめないという事はなくて、やっぱりそのあたりキャラゲーとしての良さが出ている部分なのかも。
読み込んでいけばシナリオとしての良さも感じられるし、一挙両得の作品ともいえる。

そういえば、シナリオ部分に書こうかと思ったのだけれど、この辺りはすごく好みの差が出そうなのでこちらに本音として書くのだけれど、今作で欠かせない重要な登場人物として「主人公」の存在がある。
とりあえず今作の主人公はずっとカッコいい。
イヤミのないカッコよさだから、やっぱプレイしていて好きになる。
ヒロインを可愛い! って叫んだ回数も多かったけど、主人公に対して格好いい!って思ったシーンも同じくらいあった気がする。
特に各個別後半はそれが顕著でした。
この辺りは本当に差が出そうだけど、個人的に今作の主人公は好きだったし、好きだったからこそこんなにも物語を楽しめたんじゃないかな、って思う部分もある。