タイトル : E×E
ブランド : ゆずソフト


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]

(総プレイ時間 : 17h)

キャラクター・シナリオ

『魂<コード>を、解読せよ――』

10年前に八坂総合病院で起こった事故で母親を亡くした主人公はごくごく普通の生活をおくっていたが、そんなある日に、死んだ母に似た女性を見かけるのだが――。
ありえない邂逅、危機的な状況を契機として非日常に足を踏み入れた主人公は無力で弱かった自分との決別のために、ただ漫然と歩み続ける生活から、自身で選択し生きていくいばらの道を選ぶこととなる。

ゆずソフトの学園バトルADV。
作品の重要なキーワードとして『魂』が挙げられるが、どちらかというと作品の背景に持ち入れられた重要な要素の一つであり、作品自体のテーマとしては『生き方』や『どう生きるか』といったものが扱われている。

シナリオ構成自体はメインヒロインの3√と、人数自体が少なめではあるものの1キャラに対する文章量が多いことに加え、サブヒロインで2√、その他にBADENDなども存在しており、分量としては十二分な量になってるといえるだろう。

バトル物という事で戦闘描写――特に能力を活かした異能バトル描写がふんだんに取り入れられている。
しかしながら描写自体は比較的簡素であり、戦闘シーンやその展開に手に汗握るシーンなどはあまりないといえる。
どちらかというと、この作品の魅力はそうしたバトルの背景にある登場人物同士のやり取りや心情描写、そして背景にある設定などだろう。
特に同一の舞台・背景設定を用いながらも、各ヒロインで大きくシナリオの流れを変えつつ、起伏のある展開を作り上げてた事に関してはこの作品の評価すべき点の一つとして挙げても良いだろう。

一方で、作品のテイストとして重めの雰囲気であることや、物語の設定、主人公の性格等、この作品がバトル作品として成り立つのに必要不可欠な要素がゆずソフトに本来ある良さ、キャラクターの魅力を引き出し作品を盛り上げていく、そうした部分とぶつかり合ってしまっており、結局どっちつかずの作品になっているのもまた事実である。

読み物としては十分にボリュームもあり、作品の展開も楽しめるのだが、どうしても作中はテンポの悪さや重さといったものが、読み下すのにエネルギーを消費させる。
反面そうした部分は作品に深みを与えていたりもするので、一概に悪い点として挙げることもできず、こうした部分もやはり作品の歯車がかみ合わなかった部分なのだろう。


共通√【 ★★★☆☆ 】  3h
物語の序盤として、普通の学生として生活してした主人公が、身の回りに起こる小さな事件をきっかけとして少しずつ非日常の世界に転がり落ちていく部分が描かれている。

始まり部分のシナリオという事もあって、各キャラクターの登場シーンや舞台背景部分の他、主人公が過ごす平凡な日常シーンがメイン部分を占めていて、バトル描写等はこの時点ではさほど描かれていない。
特に舞台となっているのが学園生活という事もあって、悠や夏希、そしてサブヒロインの円などが印象に残りやすい作りとなっている。
また非日常部分に関しても、10年前の事件を契機としていることなどは明らかだが、それに関連したシナリオの伏線なども描かれている。


ee (2)
野宮 悠√【 ★★★☆☆ 】  4h
主人公のクラスに転校してきた女の子。
誰にでも笑顔で接する優等生なのだが実はは人嫌いで気難しい女の子。
主にクラスメイトの前では猫をかぶっているが、自身の本性がばれている主人公の前では悪態などを着く事も多い。
基本的に優秀ではあるものの、自活能力があまりなかったり、方向音痴であったりと抜けている部分も目立つ。

いわゆるツンデレキャラの悠、そんな彼女の個別√では一部主人公の過去を絡めつつも主軸としては悠の境遇を絡めたシナリオ展開となっており、その内容はとても切ないものとなっていた。
序盤は誰にも心を開く事のなく、強い言葉の裏にある弱さのような物が感じられ、震えながらも一人で立とうとする気丈な所にこそ強い魅力があった。
しかし主人公からの想いや様々な経験を経て成長していく悠がしっかりと描かれており、前半とは違った形での魅力を感じられるのもこのキャラクターの魅力の一つといえるだろう。


ee (1)
籠 夏希√【 ★★★☆☆ 】  4h
主人公のクラスメイト。
とても影の薄い少女で、よく一人で本を読んで過ごしている。
見た目から無口のように見えるが、話しかければキチンと会話をしてくれるうえ、茶目っ気を見せてくれることも
セクハラしようとしてきた寿士を自身の考えた必殺技で撃退するなど、底知れない一面も。

√の前半から後半に至るまで、がっつりと学園バトル物テイストで描かれた内容となっており、戦闘描写などがふんだんに取り入れられており、キャラクター自体に関しての描写や恋愛要素は割と最低限の印象が強い。
なかには主人公の修行シーンなどがあるほか、後半では夏希自身の問題は勿論、主人公の持つ性質や過去などを絡めた内容であり、各種謎だった部分などの多くも明かされるシナリオとなっている。


ee (4)
貴船 未緒√【 ★★★☆☆ 】  4h
とある組織に所属する魔術師で、戦闘中は日本刀武器として戦うお姉さん。
基本的に豪快な性格で、あまり羞恥心がないのか主人公がいても風呂上がりに裸で過ごしたりする描写も。
一般人である主人公を巻き込まないように、あえて冷たく突き放すような態度で接することが多い。

個別√は特に前半部分における話のウェイトが重く、10年前の事件を切っ掛けとした未緒の過去、そして彼女自身の生き方についてが綴られている。
常にカッコよく生きているように見える未緒の本質的な弱さを見た時の主人公との一幕は『未緒』というキャラクターの魅力を語るうえで欠かせないシーンともなっている。
 そんな彼女との恋愛描写に関しては、カッコよさからくる『憧れ』が『愛情』に変わっていく様子が前半から後半にかけて描かれているものの、全体的に淡泊で特にそうした部分がメインとなっている√後半部分に関しては分量自体も比較的短めとなっている。
しかしながら、彼女自身の最大の魅力であるその生き方のカッコよさのようなものは、ラストシーンに凝縮されており、彼女自身の考え方を知っているからこそ、痺れるような物語の終わり方をしていた。


ee (1)
上御霊 円√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
主人公と同じクラスの女の子。
主人公とは幼い頃から仲が良く、教室でも気軽にしゃべっていたり、一緒に帰ったりする仲である。
明るく心優しい子で友人も多く、人から頼み事をされると断れない性格。彼女の真面目な性格も手伝って、特に教師からは手伝いをお願いされることも多い。

個別√は他のヒロインとは一線を隔しており、異能やバトルといったこの作品の要素が一切出てこない恋愛学園物となっている。
サブヒロイン√という事もあってシナリオ自体は短いものの、他の√がその他の要素に多くの部分が占められていることに対して、この√では恋愛部分が主題におかれているため、円の魅力や彼女とのデートシーン等は十二分に描かれている。


日向 紅葉√【 ★★★☆☆ 】  0.2h
多くが謎に包まれた少女。
可愛らしい見た目とは裏腹に、飄々とした態度で人を翻弄する。

シナリオ自体は夏希√から分岐のBADEND。
選択肢を間違えるとたどり着く内容となっており、中身があんまりない。
紅葉自体は作品にとって非常に重要なキャラであり、伏線なども多く抱えた存在ではあるが、その立場故にその魅力が本当に輝くのは他の√の中でだろう。


ee (3)
白峰 沙耶√【 ★★★☆☆ 】  0.5h
主人公と一緒にクラス年上のお姉さん。
孤児である沙耶は身寄りがなく、両親を亡くした主人公と同じく身寄りが無かった真姫奈と引き取って、3人で暮らし始めた。
性格は穏やかで優しく、それでいて間違ったことをすればきちんと叱る母性愛に溢れた女性で、血のつながりはないものの主人公にとっては姉のような存在である。

個別√のシナリオは基本的に夏希のエンディング以外はほぼ同じ内容となっている。
特筆すべきは、後半のシーンにおいて沙耶と主人公の友人である寿士の活躍の場が用意されているという事だろう。
沙耶の魅力を伝えるという意味ではどうしても短く感じてしまうが、寿士に関しては彼があまり見せない一面を垣間見ることができる展開となっており、非常に印象的であった。


[ 主人公 ] 伏見 籐矢
早くに父親を、10年前の事件では母親を失っており、身寄りを亡くしてからは沙耶や真姫奈らと一緒にマンションで生活をしている。
沙耶からは必要ないといわれているが、生活を助けるため病院でアルバイトをしており、学園生活が終わった後はバイトを過ごしていることが多い。
趣味などがあまりなく、余った時間は家で沙耶や真姫奈と過ごす事が主となっている。


【推奨攻略順:悠→円→紅葉(BAD)→沙耶→夏希→未緒 】
円√のみ、メインヒロイン3人のうちの誰かを攻略した後に攻略可能。
基本的に順番は自由だが、沙耶と紅葉√は夏希√の派生に存在しているのでセットで攻略するとよいだろう。


CG
時代的な関係もあり4:3のサイズ比で解像度も低め。
しかしながら時代を感じさせない繊細な線と丁寧な塗は質が高く、また枚数に関してもヒロインが3人ではあるものの、1キャラに対する枚数が多く、サブヒロインの物やその他のものなどを含めると十二分な量といえるだろう。


音楽
BGM25曲、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
全体的に戦闘用のものなのバトル作品ならではのBGMがそろっている今作だが、不思議と「Sorrowful voice」や「Leaf alone」のような悲しめのシーンで使われたものが印象に強く残っている。
Vo曲では霜月はるかさんの歌うED「true drop」も魅力的だったが、やはり榊原ゆいさんのOP「Trust in me」を押しておきたい。
バトル物の雰囲気にもあった、この作品のテーマ曲ともいえる良曲。


お勧め度
ゆずソフトの比較的初期の作品であり、キャラゲー・萌えゲー中心の過去作の中では珍しく異能バトルがメインとなった作品である。
バトル描写自体が簡素であることや、今までの雰囲気と大きく変わっている作品であるため、賛否が分かれる作品ではある。
その為強くお勧めする事はないものの、「ゆずソフト」というブランドの流れを知るうえでは大切なピースの一つであることだけは付け加えておく。


総合評価
バトルものとしては若干お粗末ではあるものの、その背景設定や心情描写などは読みごたえもあり、加えて安定のキャラクター描写等が魅力となった作品ではある。
以上の事を鑑みて、平均的な評価とした。


【ぶっちゃけコーナー】
めずらしいゆずソフトの戦闘物。
戦闘シーンに関しては上にも書いてある通り、あまり良い物ではなかった。
まぁ、いまのゆずソフトを見ているとわかるけれど、やっぱりこの会社の魅力はこういう作品ではあまり魅力を発揮しきれないのかも。

バトル物とかになると、どうしても恋愛シーンとかはおまけみたいになってしまうし、日常シーン自体がほとんどなくなってしまい、キャラクター自体の魅力を直接感じられるシーンがあまりない気がする。
もちろんすべては見せ方次第なのだろうけれど。

あとはやっぱり10年以上前の作品という事で、やっぱり昔の作品にある雰囲気というか、BGMのメロディにしろシナリオ重厚さにしろ、そういう匂いみたいなものは感じる。
特にシナリオに関してはバトルものという事を排してみても、やっぱり重い感じがして、それが今回はいい所と悪い所がぶつかったみたいになってたのが残念ではあったけど、見せ方次第では良い所にもなっていたし、この辺は相性なのかな。
周囲の評価を気にするわけではないけれど、酷評する人も多い作品だし、バトル物を作らなくなったのはそういう意味でも正解だったのかも。
個人的にはそこまで悪くはなかったのですけどね。

最後に絵に関してだけ。
サイズ比の問題はあるけれどやっぱり綺麗な感じがする。
特にヒロインの一部イベントCGは今のイベントCGに通ずるものがあって、質が高いなと感じるものが何点かあった。同時に、やっぱり時代だなぁ…と思うものもあるのは確か。