タイトル : 喫茶ステラと死神の蝶
ブランド : ゆずソフト


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★★ [5/5]
(総プレイ時間 : 19.5h)

キャラクター・シナリオ
ある日事故に巻き込まれて死んでしまった主人公、そんな彼が目を覚ました後に訪れたのは『同じ一日』と死神と名乗る一人の少女だった。

死神との出会いに端を発する、喫茶店『ステラ』を手伝う日々を描いた作品。

作品の舞台となるのはもちろん喫茶店、各種特殊な設定等もあるものの物語序盤で主だった部分を占めているのは『ステラ』の開店に向けて奔走する描写でとなっている。
各種キャラクターとの出会いは勿論、ヒロイン達を中心としたイベントシーン等、一本の話の中で各話をその都度挿入することで緩急がついており、話のテンポが良く感じるように作られていた。
また、シーンとシーンとの繋ぎもしっかりと展開が気になるように作られており、加えて一つずつ行動を積み重ねていくことで前進していく、そうした主人公の努力が少しずつ実り認められていく描写などもあり、共通ルート部分に関しては手が止まることなくサクサクと最後までプレイできるだろう。

この作品の最大の魅力ともいえるのが、各種萌え要素が詰まったヒロインたち。
サブヒロインを含め5人が攻略可能となっているが、そのいずれも破壊力絶大の魅力を有した存在であり、その真価は各ヒロイン√で最大限発揮され、とろける程甘く初恋のように甘酸っぱい各恋愛描写によって描かれている。
ズバぬけて高いキャラクター性だが、もちろんその魅力に頼り切ったシナリオというだけではなく、各ヒロイン√におけるシナリオも十二分に作りこまれていた。
特に栞那ルートなどは思わず涙したシーンもあるほどで、このほかにも心温まるエピソードなども描かれており、この作品の世界観や雰囲気を形作る上で重要な役割を果たしていたといえる。

今回の作品で登場するヒロインは、主人公の通う大学の同級生でもあるナツメやパティシエの涼音、死神の栞那等など、その性質から学園物とは遠い人物であるが、そんな中で愛衣や幼馴染の希といった学園組のおかげで、学園物の雰囲気も少し味わえた所も、良かった所として挙げておきたい。

各ヒロインで担当ライターが違う件について。
この作品を魅力的なキャラクターを活かしたキャラゲーと言い切る事は簡単だが、それらを下地に破綻させることなく各キャラクターをイキイキと動かすのは難しい。
一部ではどうしてもご都合主義のように感じられる展開など、強引なものも見られたものの、総じて作品の世界観を壊すことなく、まとまった一つの作品として出来上がっていることから鑑みると、ライター間の違和感という意味ではあまりないといえるだろう。
もちろん、各ルートのシナリオでテイストが大きく変わるものもあるが、作品の多様性という意味でも認めることができる反中であり、そうした部分は今回に関してはプラスに働いていたのではないかと思う。
総じての感想はやはり完成度が高いという一言に尽きる。


共通√【 ★★★★☆ 】  4h
主人公が遭遇する不思議な一日の体験、そこに端を発する栞那やナツメ、そして喫茶店『ステラ』との出会いの物語。
メイン部分となるのは『ステラ』の開店に向けて頑張るシーンとなっており、各キャラとの出会いやイベントは勿論、その活動を通して主人公が成長していく様子などがメインとして描かれている。
物語の起伏自体はそこまで大きくないものの、シナリオに緩急がありサクサクと読めることは勿論、ヒロインとのイベントなども満載で、内容量に反して最後まで飽きずに読み切れるほど楽しめる内容となっている。

登場キャラクターの性格などを頭に入れつつ、この世界観自体への理解を深め、それでいて ヒロインに興味を持たせる内容になっている。
言葉で書くと簡単に表すことができるものの、細かい描写などまでしっかりと作り上げた作品だからこそできることであり、そのベース部分の実力の高さに舌を巻く。

また共通部分後半部分にかけては開店後のエピソードも含まれており、特にとある家族をテーマにした内容はそれ自体がある程度感動的な話になっていることに加え、共通ルートを通して成長してきた主人公を再確認できる内容にもなっている。


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明月 栞那√【 ★★★★★  3.5h
100年以上現世で暮らしている死神の女の子。
からかい好きで下ネタなどで主人公をいじって来るものの、自身にその矛先が向くと照れてしまう純情な一面も。
様々な事情を抱えた主人公やナツメを助けるため、死神としての仕事を行いつつ、ケットシーであるミカドと共に喫茶店『ステラ』を開店する手伝いをしてくれている。

個別√前半部分は栞那の役割でもある「死神」についてがテーマとなっており、彼女の抱えている秘密が明らかになると同時に、主人公自身についても一歩踏み込んで語られる内容となっている。
この部分の描写に関しては、お互いが想い合う心がとても切なく描かれており、思わず涙するシーンも何度かあるほど。
後半に関しては「愛すること、そして結婚して子供を生み、家庭を持つこと」この当たり前のような幸せを積み上げていく難しさ、尊さを伝えるような内容となっている。
エピローグまでを合わせて胸がいっぱいになる様なシーンは完成度も高く、扱われているテーマと合わせて作中で最も良い出来だったと個人的に思う。


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四季 ナツメ√【 ★★★★☆ 】  3.5h
喫茶『ステラ』の開店を目指す、同じ大学に通う女の子。
人付き合いがあまり好きではないため、大学でも特定の人間と仲良くすることがなく、感情を表現するのが苦手であるため、周囲からはクールだと思われている。
しかしながら、そういった冷たそうな印象とは逆に、話すようになってからは付き合いやすく話しやすい。また義理堅い一面や、意外と純情な一面も見せてくれる。

いろいろなフェチの要素がギュッと詰まった、魅力的すぎるキャラクター。
冷たくツンツンとした表情が特徴的で、だからこそ照れた時の破壊力は絶大ともいえる。
個別シナリオではそうしたナツメとの仲が少しずつ深まってゆく過程がしっかりと描かれており、彼女のトレードマークともいえる罵倒や蔑みの中にも愛が含まれて良く様子は筆舌に尽くしがたい。
また、そうした触れ合いから笑って悩んで照れる普通の女の子らしいナツメの素の部分にも触れることができ、彼女自身の魅力がグッっと上がる内容となっている。
物語の後半からはシナリオの舞台ともなっている喫茶店「ステラ」開店の理由と合わせ、彼女が心の奥に秘めていた諦観をテーマとしなシナリオになっており、ナツメの切ない心が切実に伝わってくる内容となっている。
そうした中で描かれる今までの物語のつながりなどを感じさせる物語は、心温まる展開となっており、思わずホロリと来るシーンも。
またこの√では主人公の言動もカッコよかったことを追記しておきたい。


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墨染 希√【 ★★★☆☆ 】  3h
明るく素直な年下の幼馴染。
実家が神社を営んでおり、その手伝いのために時折巫女として働くこともある。
年齢こそ違うものの主人公との付き合いは長く、毎朝起こしにに来てくれたりと家族のような関係を築いている。

個別シナリオでは前半、お互いを異性として意識し、そして恋する気持ちに気づくまでの不器用な恋の過程がしっかりと描かれている。
中盤から後半は彼女のとある『体質』も絡め、希の実家が営む神社を舞台に繰り広げられる『赤い蝶』をテーマにしたシナリオとなっている。
その内容自体がとても心温まるテーマとなっており、全体的なまとまりも良い√だったといえる。


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火打谷 愛衣√【 ★★★★☆ 】  3.5h
元気で活発な女学院に通う女の子。
もともと水泳部であったため日焼けした肌をしており、本人も色が戻らないことを気にしている。
バイト経験はないものの自然と周囲を笑顔にできるため接客などを得意としている。

個別√では前半、主人公との甘酸っぱい恋愛がこれでもかというほどしっかりと描写されている。
特に恋愛に疎い愛衣が、その感情について考え照れるシーンに関してはいうまでもなく可愛らしく、またそれを煽る涼音に対するリアクションの相性もあり、それらの魅力が筆舌に尽くしがたいものとなっている。
他にもアナザービューを使用した感情描写などを利用して、付き合う前の甘酸っぱく、どこかくすぐったくなるような初々しい恋愛の様子が描き出し、愛衣自身の魅力をより強く伝えてくれていた。

シナリオ後半は、この作品のテーマともなっている『蝶』についてを彼女の体質や過去と絡めた内容になっている。
内容に関してはネタバレになるため多くの部分を伏せることになるが、その一つの物語を通して主人公と愛衣とのたしかな絆を確認することができ、またより深くなっていく様子が読み取れるようになっている。
勿論付き合ってからも、上記の部分と同時並行で甘く甘い日々はつづられており、主人公が好きすぎる愛衣の可愛らしさ、初めての恋愛ではっちゃけながらも愛衣を気遣う主人公との微笑ましいやり取りなど、悶えてしまうほど愛衣の魅力が詰まった内容となっていた。

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汐山 涼音√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
主人公の友人である宏人の姉で、喫茶ステラでパティシエとして働く小さなお姉さん。
見た目の幼さとは逆に仕事に妥協せずはっきりと物事をいうタイプ。
サバサバとした性格も併せて、物言いのキツイ時もあり誤解されがちだが、自分のお菓子で人を笑顔にすることが最大の喜び。

今まで仕事一筋で頑張ってきた涼音、そんな彼女に対して大人としてのあこがれを抱く主人公という形で物語は進む。
とにかく主人公の天然ぶりに振り回される涼音が可愛いシナリオとなっており、そこから伺える涼音の初心な女の子としての一面がギャップを生み、涼音の可愛さをより引き立てられている。
シナリオ自体も涼音の作るお菓子のように甘く優しいものとなっている。


[ 主人公 ] 高嶺 昴晴
一星大学の3年生。
陰キャであることを気にしているが、それゆえにまじめに勉強をしていたため大学の1,2年のころに必要な単位のおおむねを取得しており、現在は必要最低限の授業に出ている状況となっている。
各種飲食店のバイト経験などから全般的にスキルが高いが、ステラでは涼音の補助もあわせてキッチンを担当している。
童〇ムーブなる、チキンな行動をとってしまうことも多いが、一度決めたことはキチンとやり切るタイプで、とっさの機転が利き、行動力自体も高い。


【推奨攻略順:愛衣→ノーマル→涼音→希→ナツメ→栞那 】
涼音に関してはそのほかの√を攻略後にロックが解除される、そのほかで特に攻略順に指定はないものの、内容的に栞那を後ろには回しておきたいところ。


CG
線が細く淡めの色使いで繊細。
立ち絵・イベントCGの全体的な品質は高く、その他UIに関しても作りこみを感じる。
特に会話中にコロコロと変わる立ち絵は、e-mote等には及ばないものの、それでも躍動感を感じるものとなっている。
SD絵も可愛く量数も多めに存在している。



音楽
Vo曲(OP1/ED5)、BGM47曲(アレンジ等含)
BGMに関しては1つのメロディがある曲をアレンジしているものが多くみられるものの、それを鑑みても大リュームといって差し支えない分量。
静かで悲しい旋律なども目立つが、個人的には「心地いい日常(QuietVer.)」が、タイトル通りゆったりとしつつも心温まる曲となっており、お気に入り。
Vo曲は各キャラEDソングなども勿論良いのだが、モダンな雰囲気を感じる米倉千尋さんの歌うOP「Smiling-Swinging!!」がリズムも良く印象的。


お勧め度
ゆずソフトならではの魅力的なヒロイン達によるにぎやかな日常シーン、そしてそのヒロイン達との甘酸っぱい恋愛シーンは素人から玄人まで広く愛されるものに。
今作はキャラゲーとしてはだけではなく、それぞれが抱えている事情をテーマにした各ヒロイン√部分シナリオ部分もきちんと作られているのでシナリオゲーとしても想像以上に楽しむことができる作品となっていた。


総合評価
全体的な完成度が高く、キャラゲーとしての部分が大きく加点しているが、加えてシナリオ部分でも頑張っている部分があり、高めのこの評価となった。


【ぶっちゃけコーナー】
まぁ、ご都合主義っぽさがあるのは確か。
ただそれでも泣けたんだからいいんじゃないの? ってのが個人的な感想だな。
まぁ、本当にぶっちゃけると…って感じではあるけれど。

まぁ、やっぱかわいいは正義を地で行く会社は強い。
というかそういう魅力的な部分を抑えて前に出すのも作品の魅力の一つとして数えるなら、今回はそれに加えてシナリオも良かったという2点分の評価が加わってる。
特に今回のテーマは個人的な相性もあって好きな展開が多かったので加点されている部分は個人的に多いのかも。
少なくとも、キャラクターに関してダメって声は聞かないし、ゆずソフト好きなら楽しめる作品なんじゃないかなと思う。

話は変わってキャラのお話。
まぁ、この辺りの話は個人差があるので、ある程度聞き流してほしい所ですが…この作品の最大の魅力でもある部分。
個人的なトップはやはりナツメだろうか。
ゆずソフトのジト目…蔑み・罵倒芸にも磨きがかかってきたが、ここにきてここまでビジュアル的にも性格的にも破壊力の高いキャラを生んでくるとは…。
勿論ほかのキャラクターも魅力的でした。
愛衣との初々しい恋愛の描写は何度も悶える程で、鉄板の幼馴染枠である希は主人公の最高の理解者だし、栞那の「にしし」笑いはグッっと着た人も多いはず。
サブヒロインである涼音であってさえも、合法ロリで包容力があるとかね…もうね…。
こういうキャラを巧く動かして、しかもシナリオが結構読める作品(個人的には泣けた)って時点で結構高い点数を挙げていいんじゃない? ってのが今回の評価の大きな理由かな。

そして最後に主人公のお話。
今作の主人公は個人的にもかなり相性が良かったのか、結構受け入れやすかった。
まぁ、もともとの性格と行動が合致しないところがあったり、都合よく動かされてるシーンは結構あったのだけれど、彼の芯にある信念みたいなものがすごく好き。
この辺りはネタバレになるため詳細は省くが、栞那√以外でもそのあたりがもう少し表現できている√があれば、もう一段評価を挙げてたのかもしれない。