レイルロアの略奪者


タイトル : レイルロアの略奪者
ブランド : 3rdEye


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★★ [5/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★★ [5/5]
(総プレイ時間 : 18h)

キャラクター・シナリオ
現在から百年以上先の未来、人類が異能を備えた世界でのお話。
今作はそんな世界にある大きな都市レイルロアを舞台に繰り広げられる異能バトル作品となっている。

作品自体は全八章からなる1本道のシナリオ構成で、全ルート攻略後には各ヒロインの短いエピローグシナリオも閲覧可能となる。
各章のボリュームは多く、扱っているテーマも相まって、非常に読み応えのある骨太な燃えゲー作品となっている。
勿論その中核をなすのはもちろん異能バトルシーンなのだが、その描写に関しては比較的簡素。
演出方法として地の文をあまり用いずに、声とエフェクトCGを中心にしたシーンなども目立ち、そうした演出がどこか表現への拙さなどを感じさせる事もある。
しかしながら、そうした演出の完成度には目を見張るものもあり、この世界への没入感を高めるのに十二分な効果を上げていたといえる。

以降は物語自体についても語っていくが、個人的に未プレイの方には真っ新の状態でこの作品を楽しんでほしいので、各キャラクターや細かい展開についての描写は控える。
曖昧な表現が多くはなるがご容赦願いたい。

シナリオは序盤から中盤にかけて、登場するキャラクター達の関係性や立場がコロコロと変わり、翻弄されながら読み進めることになる。
しかしながら、その場その場での決着がしっかりとしており、次章への絶妙な繋ぎ、そして何よりも物語の芯にある部分をストレートに描く作品であるため、読み飽きることなく進めていくことができる。
また、そうしたシーンの中で時折見せる深さのようなものが、終盤における物語の展開にも多大な影響を与えている。
一つ一つのシーンの積み重ねによって描かれる絆、それぞれの立場で描かれるキャラクターたちの魅力がここまで輝いたのはそう言った背景があるからだろう。

上記において戦闘シーンが主な部分と記述したが、今作においてはその戦闘に至るまでのシーンについても特に重要視されている。
そのために今までの作品と比較しても過去回想シーンや、その導入までのシーン描写が多くなっている。
そうした部分が物語展開のテンポにストップをかけていたのは事実だが、その反面、物語自体に深みが生まれ、各シーンにおいての感情移入などにも一役を買っていた。
そうした影響もあってか、短いながらもサッパリとした泣きシーンなどでも破壊力は高く、伝えたいテーマについても心に深く響くようになっている。

登場キャラクタの一人一人がそれぞれがそれぞれの立場で悩みながら進んでいき、物語の中で成長する姿を描いた今作。
間違い、悩み、後悔し、それでも輝く未来へ向けて邁進してゆく、燃えゲーらしい熱さを感じる展開の中には、そうしたひたむきな感情が潜んでいる。
この作品自体にとっても大きなテーマの一つといえる部分であり、まるで各々が生きているかのように感じられるそれらの描写はこの作品だからこその魅力といえるだろう。
そうした部分も含めて高く評価しておきたい。

【推奨攻略順:1本道】
攻略順は特にない、攻略後のヒロインエピローグに関しては好きな順番で良いだろう。
個人的には(イースラ→フィ→ミリアリス→ティルト)を推奨したい。


CG
全体的に硬く濃い塗の絵で、全体的にしっかりとした印象を受ける絵。
CGを立ち絵のように使い、様々な効果や背景と組み合わせることで、非常に幅広いシーン(主に戦闘シーン)に対応させている。
もちろん絵を単体で見た場合の完成度も比較的高いのだが、上記のような理由もあって1枚絵としてのイベントCGは少なめとなっている。
なお直接的なものは少ないが、一部流血シーンなどもあるのでもちろん注意してほしい。


音楽
BGM47曲、Vo曲3曲(OP2/ED1)という構成。
戦闘シーンなど作品の雰囲気に合わせたBGMが多い一方、日常シーンを彩る落ち着いた曲なども多く「都市レイルロア」などは、落ち着きとは少し違うものの、都市の風を感じるようなテイストとなっておりお勧めしたい。
Vo曲については、燃えるOPも良かったのだが、なんといっても評価したいのはEDの「セレストブルー」だろう。
花近さんの透明感のある声で歌い上げられたこの曲はサビにおける破壊力がとてもに高く、物語としての読後感を清涼感溢れるものにしてくれていた。
単体としても非常に良い曲なのだが、シナリオと合わせて聞きたい曲でもある。


お勧め度
3rdeyeの過去作と同様、読み応えのある燃えゲーとしてお勧めしやすい作品となっている。
今までの作品にもあったように異能バトルがメインとはなっているものの、今作に関しては各キャラの心理描写についても比較的良く描かれおり、そういう意味では今までとは少し違った印象を受けるかもしれない。
そうした部分での好き嫌いが出る可能性はあるものの、シナリオについてだけでも十二分に読み応えがあり、音楽やCG等の完成度の高さも含め、安定した高品質な作品と紹介できるだろう。


総合評価
各シーンの描写の完成度や演出による努力、シナリオ自体の展開の面白さ、テーマ性や読後感の良さなどを鑑みても高評価をつけてよい作品といえるだろう。


【ぶっちゃけコーナー】
やっぱり3rdEyeの燃えゲーには外れがない。
前作とかと同様に、というか今作はダブル主人公なんだけど、ともすれば群像劇かと思うくらいにそれぞれのキャラクターの話が展開していくから、「男=主人公」みたいな固定概念がなくて、この作品の中ではどのキャラクターも等しく主人公のように感じることが多かったな。

後は世界観の綺麗さとか、登場キャラクターが無駄なく使われていたり、急展開に次ぐ急展開、その中でも丁寧に描かれる物語。
また、後半でも話を破綻させずにどんどんとスケールを大きくしていくあたりも、今までの作品異常に良さを感じる部分だったかも。
語りたいことは多いのだけれど、「良い作品だった」とまとめてしまって、あとはやってみてほしいかも。
過去作が好きだったなら気に入るとは思う。

あと、EDのセレストブルーとシナリオの相性も良かったなぁ、本編で流れるシーンは結構泣かされてたし…。
この作品はボロボロ泣くというよりは、気が付くと目が熱くなって、思わず泣いてしまう感じなんですよね。
それも嫌な感じがせず、やっぱり清涼感があるというか…この辺りはプレイしてぜひ楽しんでほしいかも。
泣くまではいかなくても、やっぱりすっきりできる感じがする。
この読後感の良さみたいなものはは3rdeyeの燃えゲーの共通点でもあるのかも。