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タイトル : ボクはともだち。 ~I am not sweetheart.~
ブランド : はとのす式製作所


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★★ [5/5]

キャラクター・シナリオ
今作でスポットを当てられたのは『友達』である『友近 達也』である。
彼はとある『ルール』に縛られており、おバカでお調子者のキャラを演じつつ人知れず『主人公』と『ヒロイン』を助ける日々を過ごしていました。
そんな彼の基に『お助けキャラクター』と名乗る少女が表れて――。

と言う、このエロゲーというコンテンツ自体をネタとした問題作。
後に『抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?』で2019年に旋風を巻き起こしたその前身ともいえる作品である。

いつもは注目されることのない主人公の『友達』という概念にファクターを当て、その理不尽さを浮き彫りにした異質な作品。
物語の序盤は気になる伏線等も多くある反面、同人色の強いパロディ系のアクのあるギャグなども多く、どちらかと言うと読みにくいものになっている。
しかしながら物語が進む後半、特に各個別に入ってからの内容は秀逸の一言に尽きるほど完成度が高くなっている。
この物語の設定を上手く活かした展開であることはもちろん、各個別でしっかりと主張すべきことを変え、展開も大きく変わってきており、そのなかで共通ルートなどで示されていた伏線を回収していく様はやはり評価すべきだろう。
そしてそれ以上に伏線という物語の技巧的な部分をも飲み込む、展開自体の面白さこそがこの作品の魅力の真骨頂と言えるだろう。

もちろん同人作品ならではの至らぬところがあるのは確かなのだが、それを鑑みてもことシナリオにおいては命√での泣きシーン、真√(GRAND√)において判明する物語の真相など、質的な意味で一般的な作品を凌駕する部分があることは言うまでもないだろう。
プレイをしている中で『友達』である達也と共に喜び、悲しみ、感動し、そして考えさせられる…気が付けば人を引き込んでいく力のあるシナリオであったように思う。

そしてある意味このコンテンツ自体に対してのアンチテーゼを想起させる感じるシーンの数々から、この物語を通して伝えたい事と言うのが真っすぐに伝わる作品でもあり、そういった意味においても個人的に高く、高く評価しておきたい。


共通√【 ★★★☆☆ 】  3h
達也の『友達』としての活動を描くためにバレンタインデーの一日をクローズアップし、そこからの展開として命との出会いとその数週間を描いている。
数々のイベントの中で『友達』という役割についてや、達也の縛られている数々のこの世界における『ルール』、そして一部の伏線が描かれている部分となっている。

この『世界の不条理』に対して達也が想う不平・不満が散りばめられた独白シーン(や地の文)がメインとなっているため、展開自体は非常に乏しい。
また日常におけるギャグについては、他の作品についてのパロディ等を交えた部分が多く、特にヒロインである『比嘉 那波』との会話などにおいてそれらが顕著であると言える。


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楠本 命√【 ★★★★★  4h
掃除ロッカーから現れた自称『お助けキャラクター』。
感情表現が表情にあまり出ず、何を考えているのかわからない事が多い。
何処からともなく表れる不思議な少女であるが、人目を引くような美少女であり、達也の『主人公になりたい』という望みをかなえることを至上の命題としている。

個別√についてはネタバレになるためあまり語れないが、それでも今までの『命』と言う存在をみてきた人たちにとって、後半は非常に物語に入り込めるような内容となっており、個人的にも涙無しでは見られないシーンが多くあった。
同時に、深まってゆく『神様』や『ルール』といったこの世界特融の謎についての描写もあり、他の√の内容に纏わる一部ネタバレや次の真√への伏線となる様な記述もあるため、3つの個別√としては一番最後に回すほうが良いだろう。


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風路 隣子√【 ★★★★☆ 】  4h
新聞部に所属する情報屋。
非常に気が強く、特に達也に対してはそれが顕著で口を開けば毒舌が飛び出す。
達也の『友達』としての活動を知る唯一の人物であり、それもあって協力してもらうこともあるが、隣子自信はその活動を良く思っていない。

個別√では『自由意思』がテーマとなっており、やっぱり内容としては重めなのですが、その裏では甘酸っぱい青春のシーンも描かれており、特に告白に至るまでの勢いあるシーンは必見。
深く考えさせられるテーマやある一方、設定を上手く活かした思春期特有の恋愛模様の表現は非常に巧く対比が取れていて、お見事という他ない。


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比嘉 那波√【 ★★★☆☆ 】  3h
いつも元気でじゃれついてくる大型犬のような、巨乳の後輩。
『主人公』である彰に頻繁にアタックしてしるのだが、その『友達』である達也に対してもフランクに接してくれている。
どんなネタにも反応し会話のテンポも良いため、達也との会話では勢いでいろいろな方向へ流れてゆくことが多い。

個別√では『責任』がテーマとなった少々重め&難しめの内容。
神様や『友達』について何か秘密を知っている素振りを見せているだけに、物語は達也に課せられた『ルール』が絡む展開となっており、シナリオが変わってゆくごとに刻々と変わってゆく状況、そして那波の様子がしっかりと描かれており、とても質量のある物語となっている。


真√【 ★★★★☆ 】  3h
『神様』や『ルール』といった存在が本当に存在するのか、そして街で噂になっている『金髪の美少女の幽霊』の存在、それらが巻き起こす物語の結末とは。
展開自体は今までのルートの総復習も兼ねられており、それらを合わせて…という、いわゆるグランドルート的な内容となっており、物語の舞台裏を含め、すべての伏線が改修される√となっている。
ネタバレになる為、内容を語ることはできないが、


アフター√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
正式には別作品『ボクはともだち。ファンディスク~閑話、それから~』の内容となっているのだが、短いためここに追記。
パッチのようにあてることができ、本作から選択することでジャンプすることができる。

本編のアフター等のショートシナリオ5篇とバイノーラル録音されたシーンのあるショートシナリオ3篇で構成されている。
各個別√の『それから』が軽い話題と共に描かれている他、真√の補完などもあったりと、余韻を味わうのに最適なお話となっている。


[ 友達 ]友近 達也
今作のストーリーテラー。
達也はあくまで主人公ではなく”友達”。
曰く「ヒロインにはモテず」「幼馴染グループの中に一人存在し」「主人公たちが結ばれる手伝いをしなければならない」というルールに縛られている。
その為普段はバカで考えなしな性格を演じている。


【推奨攻略順 : 那波→隣子→命→真√ 】
真√のみ、他の3キャラを攻略後に出現(要パッチ)。
基本的には上記の順番での攻略が望ましい。


CG
線が細く、のっぺりとした淡い塗りで簡素な印象を受ける。
枚数自体が多くないのだが、同人作品とは思えないほど全体的に安定しており、プレイする際に気になることはないだろう。


音楽
BGM17曲、Vo曲3曲と言う構成。
全体的に時代を感じさせるようなシンプルな曲調のものが多い。
しかしその中でも『あなたは静かに語り』など、作中で何度も涙を流したシーンにも使用された良曲もあり評価している。
Vo曲についてはやはりOPの『You're not sweetheart. ~キミのともだち!~』が印象的で、作品とは違った明るさのある曲なのだが、その歌詞などはプレイ後に聞いてみると感慨深いものもある。
また、セリフには長さによってなのか音量にブレがあり、聞き取りにくい所や大きすぎるところがある。


お勧め度
値段とボリューム、そして品質を考えた時のコストパフォーマンスは最高と言ってもよい。
設定からは考えられないほど深い内容となっており、考えさせられるシーンが数多くある上、きちんと泣きシーンもあるので、多くの人に楽しんでほしい。
その性質上メタネタ作品である上、その他のギャグに関してもパロディネタ等が多いため、そういったものが苦手な人は避けるべきであろう。


総合評価
シナリオに関しては一般的な作品を凌いでおり、その完成度も相まってこの評価。


【ぶっちゃけコーナー】
作品の評価に関しては割と上記で正直に語ったんだけど、再度伝えておくとすると個人的には命√が一番泣けたし一番好き。
この作品のシナリオがいいのは言うまでもないんだけど、キャラクターが一人ひとりしっかり作られていて、凄く好きなんですよね…。
だからこそ、主人公――ではなく、友達である達也に共感したりしながらのめり込んでいってしまうのかも。
とても主張性の強い作品なので、好みは分かれるところなのかも。
扱っているテーマがテーマだしね…、ただやっぱりシナリオ重視の人間ならやってほしい作品だと思ってしまったかなぁ。
あとコスパがすごくいいんですよね…、そのへんは同人作品だからこそなのかも。
逆に質が低い部分もあって一長一短であることは確かだけれども、少なくともシナリオを重視するなら損はしないはず。
そう言えば時々語ってたかもだけど、2019年に嵐を巻き起こした問題作「抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?」――通称・ぬきたし、とほぼ作っているスタッフが一緒なんですよね。
まぁ、素直に考えれば同人メーカーである「はとのす式製作所」が作ったブランドが「Qruppo」なんでしょうけど、そのあたりは調べても出てこなかったし確定ではないんですよね。
まぁ、そのあたりは表現の難しい所と言うことで「!?」つかったりして、ぼかしておきます。