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タイトル : 和香様の座する世界
ブランド : みなとカーニバル


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]

キャラクター・シナリオ
身寄りのない主人公、彼が世話になっていた祖父が死んだ事により身を寄せることとなった新天地『海鳴神社』で、古き神『ワカ』と出会うことになる――。

シナリオ自体は全六編、BADENDが多数あるものの分岐があまりなく、ミドルプライス作品には思えないほどのボリュームかつ、骨太な内容となっている。

テーマとなっているのは日本神話、伝奇的な内容が深く関わった作品となっており、物語序盤から終盤に至るまで専門知識が多く含まれた内容となっている。
作中で説明などがある為、事前知識こそいらないものの、シナリオの本筋とは別部分で理解に時間のかかる部分があるのは確か。
シナリオに深く関わらない部分に関しては読み流してしまっても問題はないので、そう考えると全体的にサクサク読めることは読める。
全体的に勢いのある展開なのでそういうことも考えると、読みやすさと言う意味では平均的な作品ともいえる。

物語の前半は伏線などが多く、和香様たちのギャグシーンもあるものの抑えめになっていた印象が強いが数自体は多い。
その上、展開自体は非常に早く、テンポも良いため飽きることはないだろう。

物語の後半からは、日本伝奇的な要素がさらに深まる一方、みなとカーニバルらしいライトかつ勢い重視のバトルシーンも多くなっている。
しかしながらあくまでメインは『伝奇』部分となっている。
とくに最終編ではそのあたりの描写が中心となっており、勢いで読み流して楽しめる文章ではなく、あくまで『読ませる』内容となっている。

キャラクターの魅力やシナリオ設定などに頼り切ることなく、シナリオの展開によって作られた今作はしっかりとその内容が作られているので読み物としての質は高い。
一方で今までの「みなとカーニバル」作品としての魅力の部分とぶつかっているような気がする所も多く、そのあたりで好みが分かれそうな内容となっている。


【推奨攻略順 : - 】
選択肢はあるものの√分岐はなく、基本的には1本道の物語。
BADENDが多数存在している。


CG
硬い線に濃い塗りの絵。
以前の同会社の製品より柔らかくなったイメージはあるが、雰囲気はそのままで質も安定している。枚数に関しては一見すると多く見えるのだが、キャラクター分岐がない事を鑑みると抑え気味ともいえる。


音楽
BGM19曲、Vo曲2曲(OP/ED)と言う構成。
BGMに関しては全体的に和の雰囲気で統一されており、その他バトルシーン用の物が多い印象を受けるのだが、Hシーンで使用される「いつの世も変わらぬ愛の営み」について穏やかな曲調となっており、その曲調もあって個人的に気に入っている。
和ロックとでも形容すべきOP『奇奇怪怪wonderland』は勢いがあり良曲といえる。


お勧め度
日本神話や伝奇系の話が好きな人にはお勧めしたい。
ただ、ライターが変わった影響なのか細部には今までのみなとカーニバルっぽいテイストもあるにはあるのだが、全体的には新しい雰囲気の作品なので、そのあたりに注意は必要。

Getchu.comで購入

総合評価
全体的に巧くまとまったシナリオであり、日本神話をテーマにした作品としては頭一つ飛び抜けている、がそれ以外の面で平均的だったので抑えめ評価。


【ぶっちゃけコーナー】
今作の舞台は「葉倉」(モデルは鎌倉)となっており、湘南とも非常に近い。
キャラクターこそ出てこないものの、背景などは多く登場している。
世界観が共通かは不明だが、そういった今までの作品のテイストみたいなものは、細部の部分であれば感じられているんですが、全体的な作風は別物と思ったほうがよさそう。
『ワンパンマン』という作品がマンガにあるのだけれど、作品の趣旨的にそういう作品の系統の匂いがした、…だから何ってわけではないし、凄く似ているわけじゃないんだけど、作品をイメージするときには結構それが分かりやすいのかも。
展開とかそのあたりに関して、一概に駄作とも言い切れないんだけど、名作と言うには物足りない…と言うのが正直な感想。
やっぱりその辺は好みと言うしかないのかも。
個人的に日本伝奇物は嫌いじゃないんだけど、それ以外の要素が薄すぎたのもの確かのかも?
泣きシーンとかもあるにはあるっぽいんだけど、そのあたりがサラリと流されているのも悲しい所。
やっぱりそういう部分はしっかりと抑えて雰囲気出してほしいなぁ…と言うのが個人的な好みなので、全体的に抑えめな評価になってしまったのかもしれない。