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タイトル : 初情スプリンクル
ブランド : Whirlpool


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]

キャラクター・シナリオ
魔族の遺伝子を継ぐ『魔女』がひっそりと息づく世界、ひょんなことから主人公の持つ「催淫」の力が目覚めてしまうことから物語が始まってゆく。
発端となった羽月の一族から盗まれた「秘宝」を中心に繰り広げられるストーリー。

舞台となる世界には「魔法」という要素が入っているものの、基本的には各ヒロインを魅力的演出することに注力した作品となっている。

日常シーンにおいてはギャグシーンと萌えシーンがバランス良く描かれており、その中で分かりやすいシナリオ進行になっているのでサクサクと読める。
各個別ではヒロインの魅力をより深く伝えるようなシチュエーションを演出している。この点についてはヒロインの数が4人と少なく差別化ができているため、それぞれが違った方向性の魅力発揮できているように感じた。

本筋のシナリオにおいても各ルートで大きく展開が変わるものになっており、さすがにシナリオ重視の作品には及ばないものの、それでも飽きさせることのない内容になっている。
結果的にどのルートでも違った楽しみ方ができる事がこの作品の大きな強みになっていると言えるだろう。

特に今作では、主人公の持つ「催淫」の能力などを物語の機転として活用しているシーンがよく目立ち、ヒロインが持つ魅力を伝えるシーンを描くことはもちろん、シナリオの展開をつなげるためにも使われており、ただの萌えゲーに一つ要素を加えた新鮮な内容になっていたように思う。

さすがに今まで多くの萌えゲー作品を作っただけあり、全体的な評価としてそのシナリオ構成には抜群の安定性があるように感じた作品であった。


共通√【 ★★★☆☆ 】  4-5h
回想シーンと共に始まる今作は序盤、オーソドックスな学園物としてのスタートする。
しかし『冥堂羽月』という魔法世界の住人との出会いにより、物語が一気に学園物から変遷する――かと思いきや、その後に描かれるシナリオも変わらずの学園ラブコメ物となっている。

基本的には自己中心的な羽月に振り回されるようにして物語が展開されており、それに主人公たちやヒロイン達が巻き込まれる形となっている。
しかしながら、魔法関連の話を切っ掛けにはしているものの、不思議と話の中心は学園でのイベントになることが多く、そういったシーンではヒロイン同士の掛け合いなどが良くみられるものとなっている。

もちろん「魔法」関連の話題が出てくることはあり、特に主人公の持つ「色欲」に関連したイベントでは各ヒロインとの話がそれぞれ描かれており、個別√に入るまでに各キャラとある程度の進展をするのは特徴的と言える。


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冥堂 羽月√【 ★★★☆☆ 】  2-3h
突如主人公を襲った少女だが、その正体は『高慢』系統に属する魔女。
自身の家から盗まれた秘宝を取り戻すという魔法の世界のお話に主人公たちを巻き込んでゆくことになる。
「傲慢」で女王みたいに振る舞うが、山奥で育ったため世間知らずでヌケているところがあったり、押しにも弱かったりと憎めないことが多い。

個別√では冥堂家の秘宝捜索がメインとなってくるのだが、どちらかというと恋愛描写に比重が置かれている。
特に序盤から中盤に至るまでは特にツンデレの部分が多くみられており、羽月の傲慢さに振り回されながらも、垣間見える初々しい反応が可愛さを引き立てていた。
そして何よりも主人公との会話のテンポが良く、ツンツンしているのにどこか甘えている――そんな「ツンデレ×甘えんぼ」の不思議な化学反応が魅せる雰囲気を上手く後半のシナリオ自体に絡めており、最終的には冥堂家を巻き込んだ大きな展開へとつなげている。


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花房 小春√【 ★★★☆☆ 】  2-3h
学園の生徒会長も務める3年生。
おっとりとはしているが成績優秀でスポーツ万能の完璧人間。しかし、幼い頃からの付き合いである主人公にだけは甘すぎるほど甘く、何でも世話をしようとする一面をみせる。
主人公曰く落ち込むと意外と後を引くタイプらしい。

小春の個別√にかんしては終始「甘い」の一言に尽きる内容となっている。
「色欲」で暴走しがちな主人公のすべてを受け入れる姉らしい包容力の広さはもちろん、どんな状況でも味方であり、常に全力で甘やかし、そして好意を寄せてくれる――エロさと可愛さと包容力の高さという彼女の持つ全ての魅力でプレイヤーを夢中にさせる、そんな甘く蕩けるようなシナリオ展開の連続になっている。
後半はもちろん盛り上がる展開もあるのだが、それ以上に主人公と小春の想い合う姿を違った展開で見られるシーンもあり、そうした面が一番印象的だった。


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日向 みお√【 ★★★☆☆ 】  2-3h
主人公のクラスメイトで陸上部に所属している女の子。
元気で明るく誰とでも仲良くなれるタイプの子で、小さな見た目や純粋なその反応からクラスや陸上部ではマスコット扱いを受けて親しまれている。
実は魔法少女アニメが大好きなのだが、皆にはそれを隠している。

個別の前半では、みおが主人公を意識し始めるというオーソドックスな恋愛シーンがメインとして描かれており、みおの初々しい反応はもちろん可愛く魅力的。それ以外に彼女の所属する陸上部からのからかいなど学園物ならではのシナリオとなっている。
後半はみおの母親の事情なども絡めた魔法がテーマの話となっており、今作の設定を下地にみおの抱える「魔法少女」への憧れを活かした意外な展開も見どころだろう。


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百々咲 雫√【 ★★★☆☆ 】  2-3h
主人公も所属するラーメン同好会兼弁論部の代表であり、学園の1年生。
基本的に無口なコミュ症で人と群れることを嫌っているが、春に主人公と出会いラーメンの素晴らしさを知ってからはラーメンに関しては並々ならぬ情熱を注いでおり、主人公の事も何気なく気にかけてくれるようになっている。

個別√では雫の持つ魔法の特徴が大きくシナリオに絡んでくる内容となっている。
人が誰しも持つ感情をテーマにしたシナリオは普遍的であるものの物語の設定と絡めて特色ある内容にしていて印象的だった。
もちろん甘い恋愛シーンに関しても非常に多く用意されており、クーデレっぽい雫が主人公との日々を経てどんどん甘えるようになってくるその過程もしっかりと描かれている。


刑部 奏√【 ★★★☆☆ 】  1h
中世的な顔立ちをした主人公の家に居候する遠い親戚。
基本的に付き合いは良いのだが、主人公の投げるシモネタは嫌っている。
実は生徒会の副会長であり、主人公と小春の事をあきれた目で見ていることが多い。

1キャラ攻略後に出現する短めのサブルート。
この子についてはネタバレになりそうなのだが、プレイ中の雰囲気と個別√がある時点で、ある程度オーソドックスな設定があることがわかるキャラ。
内容も魔法が意外にも深く絡められており、サブキャラのルートとはいえ他の√と変わらず楽しめる内容になっている。
イチャラブシーンやデレシーンがかなり短いのだけが難点。


[ 主人公 ]神島 宗太
学院の2年生。
好意に気づかない鈍感系主人公なのだが、相応の優しさを持ち合わせる他、自身の欲求に対して素直に行動しており、ナンパ等を行っていたこともある。
そんな本能的すぎる行動のため学園の女子からは吐くほど嫌われているが、基本的に悪い奴ではなく、友達は多いらしい。


【推奨攻略順 : 雫→奏→みお→小春→羽月 】
奏√のみロックが掛かっており、1キャラは攻略する必要がある。
基本的に好きな順番での攻略でよいだろう。


CG
柔らかい線質に、濃い塗りの絵。
キャラクターの可愛さを前面に押し出すための物であり、総じての質は高い。
枚数に関しては一般的といえるが、特に日常シーンで使われるSD絵の量が多く目を引くものがあった。
また立ち絵では一部キャラに耳がピクピク動くものがあったりと細かい所にまでこだわっているものも存在。


音楽
Vo曲2曲(OP/ED)、BGM28曲という構成。
BGMはどこかに偏ることなく満遍なく揃えられており、各シーンでの雰囲気をしっかりと支えてくれていたように思う。
Vo曲としてはやはりOPの「magic drive!」がギターイントロが印象的。またサビの疾走感が良く、OP動画と合わせた相性が非常に良く感じた。


お勧め度
生粋の萌えゲー会社であるWhirlpoolの萌えゲー作品だけあり、キャラクターを魅力的に演出する事、またそういったシーンを作る事にかけては安定性がある。
ある意味、キャラクターの可愛さに全振りした作品なのだが、シナリオ自体も決して捨てた物ではなく、最後まで楽しんでプレイできる程度の内容はある。

Getchu.comで購入

総合評価
良くも悪くもWhirlpoolの萌えゲー(キャラゲー)作品でありこの評価。


【ぶっちゃけコーナー】
萌えゲーはキャラクターが可愛いのが最低条件ではある。
ただまぁ、この会社の作品は本当に萌えゲーを作ることにこだわりがあるんだろうな、一口に魅力的なキャラクターと言っても千差万別で、今まで多くの魅力的なキャラクターが生み出された中で、さらに新鮮で興味を引く可愛いヒロインを作る、っていうのは言うほど簡単じゃないと思う。
その中でシナリオもしっかり作って…ってのはまぁ、難しいんだろうな。
そういう意味では、ある程度の部分を削って、キャラを魅せることに全力を尽くしたこの作品は評価してもいいんじゃないだろうか。
ぶっちゃけて言うと、この会社の作品をシナリオ目的で買う人はいないだろうから、ある意味正道の答えだと思うしなぁ。
そういえば、今作は「初恋」×「発情」って、テーマで書かれていたらしいが、前者は割と多くのゲームに当てはまるからな、やっぱ後者の方が印象が強かったな。