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タイトル : Deep One
ブランド : Nameless


シナリオ : ★★★★☆ [4/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★★☆ [4/5]

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キャラクター・シナリオ
新ブランドである「idless」から発表された新本格バトルビジュアルノベル(公式)であり、現代の日本を舞台に繰り広げられるバトルシーンを中心とした燃えゲー系の作品で、設定に一部、伝奇的な要素も多く含まれて要るのが特徴といえる。

シナリオはプロローグを除いた約十数日分の話となっており、一日を一章として区切ったそれぞれの章はバラつきがあるものの1h程度の分量となっている。
また、選択肢によっていくつかの差分シーンや10以上のBADENDはあるものの、基本的に1本道のシナリオであり、全体を通しても15h程度の作品となっている。

もう一つ挙げられるシナリオの特長が続編の存在である。
今作は「DeepOne」シリーズの1作目にあたり、作品の最後では続編の存在が予告される。その為、今作にて物語は一つの終わりを迎えるものの、エンディングシーン自体はあまりはっきりと描かれておらず、、作中における多くの設定や謎は残ったままになっている。
続編の存在は事前に公表が全くなく、多くの批判を受けた一端を担っている。

作品のメインである戦闘及びその他のシーンについて。
描写自体は特筆することもなく、ただ戦闘自体の展開やその方法においてはすこし稚拙に感じる部分があったのも確かであり、またそういったシーンを中心に他作品を彷彿させる部分――主に型月シリーズ――がある。
そうした文章は総じて装飾華美に感じゴテゴテとクセのある文章のため、非常に読みづらい印象が強く残っている。正直、この辺りに関しては正直個人差にもよるだろうが、現に気になる人は多い様子であった。

その他にも
・テキスト量の割に進展しない物語(物語自体の薄さ)、
・詰め込み過ぎたせいで分かりにくくなってしまった物語の背景、
・重要な登場人物の心理描写不足、
・伏線の意識しすぎで謎を孕んだまま行われるバトルやそこに付随する難解なシーンの数々…等々、その中で行われるバトルシーンは演出こそ美麗なものの、内容はさして驚くべき事もなく、プレイヤーが物語においていかれる、と言う現象が多くある。
また、個人的にはあまり評価に加味していないが、Hシーンが4つと少なかった事も批判の対象となっている。

一流と言っても過言ではないBGMやCGを駆使した演出に加え、しっかりとした世界観の中でのバトルやそれらを解説するTIPS、一部の感動的なシナリオなど、確かにいいところがあった反面悪かった部分も目立っている作品ではある。


【推奨攻略順 : 分岐なし 】
作中で選択肢は出現するがすべてBADEND分岐であり、物語自体は1本道、


CG
線がしっかりとしており、近代的な塗りは立ち絵やイベントCGのどちらも総じて美麗。
何よりイベントCGを使用した戦闘シーンは、画面効果やエフェクトなどを駆使した演出が非常に豊富であり、目を見張るほどの出来。
シナリオの長さもあって枚数自体はそこまで多くはないのだが、いくつかの使いまわしCGに関しても気にならないほど。
作品の中でもっとも評価されるべき項目の一つ。


音楽
BGM83曲、Vo曲3曲(OP/ED/挿入歌)
何よりも驚くべきはこの膨大なBGMの量だろう。
日常シーンから戦闘シーンまで、作中におけるほぼすべてのシーンの背景音楽を網羅しており、作品の雰囲気作りを担っている。
また曲に関しても評価が高く、作品と切り離してみた時に1曲1曲の質が非常に高く、総じて音楽分野に関しても作品の中でもっとも評価されるべき項目の一つといえる。


お勧め度
『新本格』等との宣伝もあり、期待値が上昇しすぎたがゆえに多くの人から批判を受けた。
宣伝の方法に問題があったかは置いとくとして、作品自体は少し読みにくさのある燃えゲーということで、戦闘シーンにおける作り込みも悪くなく、シナリオも十二分に読めるため全体的な質は悪くない。
玄人にとっては(特に型月シリーズをやった人)、さすがに残り香を感じすぎてしまうためお勧めしにくいが、こういった作品をあまりプレイしたい初心者にこそお勧めできる作品となっている。
特に今は値段も下がりロープライス作品と並んでいるため、そういう意味でもお手頃な作品となっている。(2018/12/4 現在)

Getchu.comで購入

総合評価
事前知識なくプレイした場合、全体的な質は安定しておりこの評価でよい。


【ぶっちゃけコーナー】
新作であったはずのフルプライス作品が1カ月足らずでロープライス作品に並ぶ値段になってしまう、思わず投げ売りしてしまうほど酷評をよんだ作品で、それらの原因の主たるものが、
「続編がある今作は未完であい物語が薄い」
「誇大広告によって上がってしまったハードル」
「Hシーンが少ない」
の3つといえる。
それぞれ人によって受け取る印象は違うものの、特に広告により無駄に上がってしまったハードルというのが最も影響が大きいように思う。
贔屓目や事前情報をなしに見ると、今作は佳作。
決して神作や名作ではなく「よくできた作品」という評価にとどまっているという事。
だからこそ、初心者や燃えゲーをあまりしない人、酷評を聞いてからプレイした人にとってはいい作品にも思えるし、逆に公式の宣伝を信じた人にとっては裏切られたように思うのだろう。
実際プレイしていて気になったところは結構ある。
パクリとオマージュの違い云々はもちろん、殆どは上記で書いてしまっているけど、特に文章が読みにくい事、は個人的につらい部分が多く、戦闘シーンにおける描写や展開に驚くこともなかった。
なにより、過去の名作たちには必ずあったはずの「熱く滾るような名シーン」というのがどうしてもこの作品の中には見いだせなかった。
それらの原因はやっぱり登場キャラクター達によるものなのかもしれない。
ここでバトル物にあるべきものを語るつもりはないものの、設定を詰め込み過ぎたと書いているのはそのあたりの事を考慮してのこと。
紆余曲折ある作品だけに、次回作がどうなるのか見ものでもある。