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タイトル : 処女はお姉さまに恋してる
ブランド : キャラメルBOX


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ☆☆   [1/3]
音楽   : ★★★★★ [5/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★★★ [5/5]


キャラクター・シナリオ
祖父の遺言により「聖應女学院」というお嬢様学校に通うことになってしまった主人公。
幼馴染のまりやの協力を経て何とか生活しているうちに、いつの間にか学園の代表である「エルダーシスター」になってしまうことになって――というシナリオ導入。

シナリオの完成度に関しては言うまでもなく高レベル。
やはり目を見張るのはこの特殊すぎる設定と、学園自体の設定の作りこみ、そして登場する多くのキャラクターだろう。
わりと重めな設定であるにもかかわらず、それらを破綻させずも一連の話を作っており。その中で展開もしっかりしているというのは驚きである。
特に登場するキャラクターのそれぞれが抱える想いやストーリーをしっかりと描いており、その世界観にしっかりと根付く「生きたキャラクター」として動かしている。
そうしたことを感じられる作品は今の世の中でも貴重であり、それが一つの世界観のなかでしっかりと表現しきれていることには驚きしかない。

泣きシーンに関してもBGMやVo曲挿入歌などを活かしてしっかりと演出しており、現代の作人に慣れた人間がプレイしても思わず涙してしまうシーンなどもいくつかあり、やはりレベルの高さを再認識させられる。

全キャラ攻略後にあるおまけシナリオでは、本編で紹介しきれなかった人々の舞台裏が描かれている他、とあるシナリオではかなり自由にやっている印象があり、個人的にメタネタで笑うシーンなどもあっておすすめである。


共通√【 ★★★☆☆ 】  4-5h
瑞穂が学園に入学する6月頃から、卒業式までを大きく描いており、その合間に各キャラクターの個別√が少しずつ入る形になっている。
また攻略しているキャラクターによっては共通ルートの細部が変わる内容となっている。

基本的には学園イベント(特にこの学院独自の物)や女装をテーマにしている内容が多く、舞台を活かした展開の豊富さやボリュームははもちろん、特殊な環境であるにもかかわらずに不自然な点を感じさせずに物語を展開る、女性の園という幻想を守りつつも、時にはコミカルな笑いと時にはシリアスなシーンで物語に緩急をつけていることや、数多く登場するユニークなキャラクターも自然と覚えられるような描き方になっている部分、それらは十二分な評価に値する。


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御門 まりや√【 ★★★☆☆ 】  2h
瑞穂の幼馴染であり、女装をさせた張本人の一人で瑞穂と同じ学園寮に住んでいるため、瑞穂の危険な学園生活をサポートしている。
元陸上部でもあり、元気でボーイッシュな性格。基本的にサバサバしているが学院の中ではある程度お淑やかな振りをしている。
ちなみに由佳里の(学園上における)姉でもある。

個別√では『幼馴染』という特別な距離感にあるまりやと瑞穂の二人をテーマにしており、近すぎた二人の距離感を恋愛という形に昇華させるためのシナリオとなっている。
自身を置いてどんどん変わってゆく瑞穂に対して、想いをめぐらせるまりやの姿はいつもとは違った、女性らしい一面を見せてくれている。
瑞穂とまりやへの罰、そして彼女が最終的に導き出した答えは、やっぱり彼女らしいさっぱりとした結末となっている。


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上岡 由佳里√【 ★★★★☆ 】  2h
瑞穂と同じ寮から学園に通っている1年生で、まりやの"妹"として世話をしているほか、彼女も陸上部に所属している。
自分自身は女の子らしい部分が無いことにコンプレックスを持っているが、料理が得意。

共通ルートの合間に入る由佳里との日々は陸上部の問題などが発生しつつもにぎやかで穏やかなシーンとして描かれている。しかしながらそんな由佳里が勇気を出して『瑞穂』に告白をしようとしたときにおこる悲しい事件から物語が一気に様相を変えてゆく。
一人の少女の心を傷つけてしまう。
必然ともいえる結末は容易に想像のつく展開ではあるものの、その中で描かれている一人一人の心理描写は秀逸であり、事件が起きた際の瑞穂を取り巻く周りの反応がすごく良い。
特にヒロインではない一子に関連したシーンや、彼女と由佳里との絆などは代表的。


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高島 いち子√【 ★★★★☆ 】  1h
学院の生徒であったが、在学中に病死して幽霊となり、時を経て瑞穂の住む部屋に現れた。また、瑞穂の母親である幸穂とも縁がある。
基本的に難しいことは考えない明るい性格で、特に好きなことになると暴走しがち。一方でシーンによってはロマンチストで一途な面をみせることも。

個別√と言えるものはほとんどなく、一部共通ルートになし崩し的なHシーンがいくつかある事、そして終盤の展開が用意されていることくらいだろう。
キャラクター的には由佳里を初めとしたその他の√で特に活躍しており、どのルートでも瑞穂のよき理解者でありつつ、女の子たちのサポートにもあたる健気な所が見どころ。
特に彼女が『幽霊』となっていることについて悩むシーンの数々は秀逸と言える。


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厳島 貴子√【 ★★★☆☆ 】  2h
聖應女学院の生徒会長であり、瑞穂が転校するまではエルダーに最も近かった女生徒であり、エルダーとして選出された瑞穂とは対立しがち。
真面目で規律に厳しく融通が利かない一面が目立ち、まりやからなどは冷血漢と評されるが、中盤から後半にかけてはいわゆるツンデレキャラに属する。
なお、実家の厳島グループは瑞穂の鏑木家とは敵対関係にあたる。

共通でいわゆる「ツン」部分を見せていた貴子だが、文化祭の一見から「デレ」成分が前面に出たシーンが多い。
そのため個別√においても、瑞穂にすこし言い寄られただけで失神してしまう『乙女』な貴子が詰まった内容になっている。
イチャラブストーリーを中軸としつつも割と今作の中では真っ当な学園物の内容となっている√、
彼女たちの実家の話などが少し薄くなっていたのが残念なところ。


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周防院 奏√【 ★★★★☆ 】  2h
学院の1年生であり、寮で瑞穂の”妹”ととなった大きなリボンをした少女。
基本的には引っ込み思案であがり症であわてるとドジな所などもあるが、その小さくてかわいい姿は上級生から好かれやすい。
演劇部に所属するほか、実は努力家な一面があり、勉強に関してもトップクラスの成績。

奏√では概ね貴子√の展開をを辿る事となる。そのため貴子と奏の関係が物語に絡んでくるほか、貴子自身の印象も大きく変えられるシナリオとなっており、瑞穂との出会いで成長した貴子はこの√でこそもっとも強く感じられるだろう。
また、いくつかの名シーンがあるのも奏√の特徴で、真実を知った奏が「それでも」と瑞穂との思い出をリフレインするシーンは特に秀逸。
年下である奏が抱く瑞穂への純真な想いを全体的にシナリオの設定を活かして描いている。


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十条 紫苑√【 ★★★★☆ 】  2h
旧華族の一人娘で、前年のエルダー・シスターだったが、病による長期入院で瑞穂たちと同学年となった。
ミステリアスな印象やお嬢様然としつつも隙を見せない立ち居振る舞いから、貴子とは違う意味で人を寄せ付けない雰囲気ある。しかしながら本人は周りとの交流を望んでおり、それを実現させてくれた瑞穂には感謝しており、瑞穂が男性だという事にいち早く気付くも、周囲に漏らさず協力を申し出てくれた。

個別√は彼女の境遇についてがメイン。
全キャラの中で最もイチャイチャしているシーンが少ないキャラクターであるが、この√では彼女の今までの謎の行動(仕草)や考えがわかる√となっており、今までのような完全性が薄れ、いい意味で紫苑の人間らしい部分が描かれているのが印象的。
物語後半では彼女の心を動かすシーンも特徴的で、古典的な流れにある王道的な感動的は『聖應女学院』としての集大成のような展開と言える。


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[ 主人公 ]宮小路 瑞穂
本名は『鏑木 瑞穂』であり、国内有数の『鏑木グループ』の嫡子。
もともとは進学校に通っていたが、祖父の遺言により女子校である聖應女学院に女装して通うこととなった。
幼い頃から勉強・礼儀作法・武術に至るまでを高いレベルで身に着けているものの、元来の気弱な性格が出てしまっており、幼馴染であるまりやなどには押し切られてしまう事も多い。
ちなみに、立ち絵と声が存在。(ゲームのバージョンによる?)


【推奨攻略順 : まりや→由佳里→一子→貴子→奏→紫苑 】
攻略順は上記を推奨。
基本的にはどの順番でも問題なさそうなのだが、紫苑や奏は後ろのほうが良いかも。
また展開的に似た貴子と奏√はセットが良いだろう。


CG
枚数に関しては割と多めなのだが、質に関しては時代的なものもありどうしても完成度は低いと言わざるを得ない。
しかしながらSD絵はグラフィッカーの名前がついた『ヨダ絵』と呼ばれ、多くの人に親しまれている。


音楽
Vo曲3曲(OP/ED/挿入歌)、BGM18曲。
強いメロディで奏でられるBGMはどうしても時代感を感じるが、だからこそ感動できるシーンでのメッセージ性は随一。その中でもBGM『確かな想い』はOPのmusicboxVerと並ぶ名BGMといえる。
Vo曲はどれもすばらしく、各シーンで使用された『いとしいきもち』なども候補にあがるが、ここやはりYURIAさんの歌うOP『You make my day!』を推したい。
インストやサビで使われるメロディは時代を経てもいまだに輝きに溢れており、まだまだ愛されるものであり、歌詞と共に合わせて聞きたい名曲である。


お勧め度
女装物、とみに女学園という形をとった作品の始祖ともいえる作品。
この後に人気が出た設定であり、この作品自体も3部作となった。
なによりその設定に負けないほどの中身の詰まったシナリオは魅力以外の何物でもなく、時間がたった今プレイしても、その展開は十二分に楽しめるものとなっている。
もちろん、CG部分や音楽などで忌避感を覚える人もいるだろうが、設定が好きだという人には機会があればプレイを推奨したい。


総合評価
過去の名作と言われる作品に違いはなく、時代がたった今でも十二分に楽しめる内容となっている。


【ぶっちゃけコーナー】
結局何度も同じことを言っているんだけど、女装学園物の最初ともいえる(調べたら本当に最初ってわけではなさそう?)作品。
まぁ、色々ありそうだけど、この作品が契機になったというのは間違いない。
それくらいしっかりと作りこまれている作品なんだよなぁ…。
正直、絵とかは結構忌避感を感じるし、BGMとかも結構古いんだよね…いやまぁ、古い作品だから仕方がないんだけど、Vo曲とかはすごい良くて思わず流れて泣くシーンなんかも多かった。
特に一子の話は結構悲しいのが多いんだよな。
彼女自身の√の話というよりはやっぱ共通ルートでの一子の話が結構泣けるんだよな…誰ともフラグを起てなかったら最終的に一子√にいってたりして、そのあたりの話を聞くとまた涙が出そうになる。
どうしても主人公中心になる、こういうゲームでは珍しいと思うんだけど、主人公である瑞穂以外の関係ってのもこの作品で追うべきものの一つ。
まりやと由佳里、由佳里と一子、貴子と奏、紫苑と貴子、そのあたりに注目して作品を見てると、結構受けるものも違うんだよね…。
もちろん、今名前を上げなかったサブキャラクターにも結構ストーリーがあるし、ボリューム以上の内容がそこにはあると思う。
そのあたりを上手く描いているあたりはやっぱりうまいんだろうね。