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タイトル : キュリオディーラー
ブランド : AXL


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]


キャラクター・シナリオ
塔の街『ラージャスタン』、天まで高く聳える正体不明塔の中にはダンジョンが広がる。
そんな街を舞台とした冒険者とそれを相手に商売する古物商達のお話。

物語の設定自体は昨今のマンガやライトノベルにもなどに類似している部分もあり、割とわかりやすい物となっている。
特殊な部分を挙げるならば、一つは主人公がいわゆる『商人』である事。
そしてもう一つが元熟練者である経験を活かして、初心者であるパーティーメンバーをリーダーとして育成していく点だろう。
ただ、そのどちらについても物語の内容にこそ寄与しているものの、その後(個別√)に驚くような設定や展開というものが待っているわけでもなく、ただ都合のよい舞台においての少し特殊なロールを用意しただけ…という印象が強い。
また、物語の中核にある『塔』についても、リナリアの√で多少明かされるものの、真の謎の解明にには至っておらず、不完全燃焼。

物語自体の読みやすさ、そして作品全体の雰囲気はさすがAXLというほかない。上記のとおり予想を超えるものこそないものの、安定した運びの展開は作品をある程度の品質まで持ってきてくれているし、完成度自体は高い。
舞台にあったキャラクターの動かし方というのもまた見事で、違和感のあるキャラクターがあまりなく、各登場人物の色分けもしっかり行われている点は高評価を付けられる。


共通√【 ★★★☆☆ 】  3-4h
塔嫌いだった主人公が新しくパーティを組み、20層の『アッパーヤード』に到達するまでが描かれている。
冒険譚でいえば序盤ともいえ、メインで描かれているのは仲間たちが心身共に成長する姿となっており、またそれをサポートしている主人公の心の変化も同時に描写されている。

「塔嫌い」という部分が軽い流れで変わり非常に軽く扱われたこと、そしてアッパーヤードに向けての旅(戦闘シーン)にあまり緊張感がない事が大きな障害となり評価としては低めとなっている。
また状況説明や戦闘シーンに作文量が多く、各キャラの魅力がまだまだ伝わりにくいという点も評価には大きく影響している。


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リナリア・ヴィーナ√【 ★★★☆☆ 】  h
ある日ラージャスタンへやってきた新米冒険者。
自分たちを置いて行った父を追って町にきており、背中には父の遺品でもある大きな大剣を背負っている。
父のこともあって冒険者には良い感情を持っておらず警戒心が強いが、一旦親しい間柄になると持ち前の穏やかで優しい一面が見られる。

個別√では恋を知らないリナリアが主人公からの告白を切っ掛けに少しずつ意識し始めるという王道の甘酸っぱい恋愛シーンが展開され、リナリアの初々しくもかわいらしい反応が南濃出来る内容になっている。
後半においては彼女の本来の目的でもある『父親の死の真相』を調べるために、塔のさらに上層を目指してゆく話となり、塔の攻略シーンやモンスター・ガーディアンとの戦闘シーンが他の√より多めになっている他、塔の謎についても少しだけ迫っている。


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カリン・サリンダ・ラージャスタン√【 ★★★☆☆ 】  h
ラージャスタンの王様の娘で主人公の幼馴染。
カリンはお嬢様らしく振舞おうとしているが、まだまだ庶民的な雰囲気が強く、自分が姫だと気が付いたのも10歳の頃だったらしい。
賢く感情豊かではあるものの不器用なところも目立ち、主人公を騎士にしようとしているが、すげなく断られては涙目になっている。

個別√ではカリンにお見合い話が持ち上がることで一気に二人の仲が進展する事となる。付き合ってからも変わらず、不器用だけれども真っすぐな好意を示してくれるカリンには王道的な良さがある。
物語後半では王国を巻き込んだ大騒動が発生。
戦闘シーンも多く用意されており、カリンや主人公だけではなく、ラージャスタンに住む冒険者たちの雄姿を見られる話となっている。


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ミラビリス・タウス√【 ★★★☆☆ 】  2-3h
幼い頃に両親を亡くした天涯孤独の少女。
祖父に引き取られてからは主人公の営む店の手伝いをしている妹みたいな存在。
家事炊事はもちろんの事、店の経理も担当しており、感情に乏しそうな印象を受けるが、主人公に対しては祖父に主人公の世話を頼まれていることもあって手厳しい対応をとることもある。

個別√では『ラージャスタンで一番の古物商』を目指すというシナリオになっており、恋愛描写に関しては、ミラビリスが抑えていた主人公への愛を自覚することで悩み、その感情を素直に受け入れること変化する二人の関係を描いている。
後半では何故か嫌がらせを受け始める主人公のお店、その問題に二人で協力して立ち向かっていく話となっている。
しかしながら、問題の中心にいながらも蚊帳の外にいるような印象を受けるシーンが多くあり、感情移入をしにくかったのが正直な感想。


[ 主人公 ] ローワン・シタール
冒険者の国ラージャスタンで冒険者を相手に取引を行う『古物商』を営んでいる。
両親は幼い頃に塔に上ったまま帰らず、古物商を営む祖父を師として育てられていた。
最年少で塔の上層を踏破した凄腕の冒険者ではあったが、とある事情から「塔嫌い」になり、祖父の店を引き継いでミラビリスと共に商いをしている。


【推奨攻略順 : ノーマル(ネメシア&バーベナ)→ミラビリス→カリン→リナリア 】
攻略順に関しては特にロックは無く、√順による重大なネタバレモないため好きな順番に攻略するとよいだろう。


CG
線が濃く、濃い塗りの絵。
質に関して特筆すべき点はなく、攻略キャラが3人ということで1キャラに対する枚数が通常程度なので全体的な分量が少し不足しているように感じる。
SD絵が豊富に存在しているのも良い点だろう。


音楽
BGM27曲、Vo曲4曲(OP1/ED3)という構成。
舞台のラージャスタンや塔等のイメージさせる曲はもちろん、物語における各シーン用の物が多数そろえられたBGMは盤石。
Vo曲に関してはいつもOPが気に入るのだが、今作はそうでもなくどちらかというと各ED用の3曲のED曲を推しておきたい。


お勧め度
AXL×ファンタジー舞台の作品。
設定自体はどこかで見たことある様なものである上。展開を含めて全体的に普通の作品レベルなので強いてお勧めする点がないのは痛い。
優しい世界観が特徴的なAXLだったが今作では比較的に残酷(と言っても狩りがメインだが…)なシーンも多く、人の死も割と描かれているのも特徴的。

Getchu.comで購入

総合評価
悪くはないものの、全体的に安定志向なのか平均的な作品でありこの評価。


【ぶっちゃけコーナー】
異世界を舞台としたAXL作品ということもあって期待は結構していたのだけれど、個人的には少し残念な内容だったかも。
決して悪い作品だったわけでもないし、いつものAXLの元気いっぱいな雰囲気はあったんだけれど、個人的にはもう少し踏み込んだ内容にしてほしかったかも。
さすがに書きなれているだけあって全体的に無駄の無い作品になっているのだけれど、その代わりに遊びがなく期待を上回るような展開が全くない。
結果として無難な作品になってしまっているなーという感想。
設定自体がいろいろな媒体で使われてるし…(どこのS●O…ってなったわ)何か目的があってこの設定にしたのかな? っておも乗っていたのだけれど、どのルートも無難な流れだった。
時折驚く設定や展開があったのだけれど、どうも矛盾をはらむ(こういう作品は仕方がないけれども)ばかりで、都合のよい設定が多くみられたのも気になる所。
結局のところこの作品においての「伝えたい事」というのを上手に伝えきれていないのが原因なのかもしれない。