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タイトル : アオイトリ
ブランド : Purple software


シナリオ : ★★★★☆ [4/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★★☆ [4/5]


キャラクター・シナリオ
それは祈りが紡ぐ、命の物語

山の中の女学園、その中のたった一人の男子生徒である白鳥律を主人公とした作品。
登場キャラに吸血鬼がいたり、悪魔がいたり、主人公自身も実は悪の救世主だったりとフィクション要素のある作品であり、作中には宗教関係の話やシェイクスピア、『アオイトリ』なんかを意識したシーンやセリフも登場する。

シナリオとしてはあかり√をゴールとしたシナリオ構成となっており、終盤のための伏線が多数仕込まれており、そのため内容自体は少し難しめのものとなっている。
扱っているテーマも『生と死』であったりと暗く重い内容ではあるのだが、それでもしっかりと物語自体に引き込む力はあるので最後まで無理せずにプレイできるのも特徴的。
しっかりと描かれた背景や雰囲気のあるBGM、良くタイミングを知っている演出、そして作りこまれたシナリオはこの作品を生み出すため土台を支えてくれており、コンスタントに良作を生み出せるキーポイントになっていると言えるだろう。
特にあかり√はシナリオ的にも演出的にも非常によく作りこまれており、伏線の回収だけではなくその内容にもぜひ注目していただきたい内容になっている。
泣ける、というのとはまた別のベクトルの読み込める作品になっている。
また『アマツツミ』や『クロノクロック』といった他のパープル作品ともつながっているところがいくつか示唆されており、そのあたりも歴代のパープル作品をプレイしてきた人にとってはニクイ演出と言えるだろう。


共通√【 ★★★★☆ 】  2-3h
シナリオでいう「始まりの3日間」+「共通ルート」部分にあたり、体験版第二弾ですべて体験できる範囲になっているため、気になったのなら気軽にプレイできる。
特にメインと言えるのは「始まりの3日間」、それだけでも十二分に舞台に、キャラクターに、そして物語に、引き込まれてしまうだろう内容になっている。
ある意味全てにおいてこういった種類のシナリオになっていることが多く、概ね全体的に暗めの進行で終盤に山場がある。


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メアリー・ハーカー√【 ★★★☆☆ 】  3h
生きることをあきらめていた『100歳の吸血鬼』。
常に前向きで何事にも興味を持ち、誰とでも仲良くなれるそんな明るい吸血鬼。
子供っぽい容姿や行動が多い反面、一瞬見せる大人な態度や不安定な精神は言うまでもなく彼女のチャームポイントと言える。そのしぐさ、発言、行動、どれをとっても主人公がいつも呟いてしまうほど可愛さが詰め込まれた存在である…が、それゆえに良く弄られてしまう立場の娘。

個別√は主人公とメアリーの人間性についてのお話。
他の√に比べるとシナリオの起伏は少なめではあるものの、とにかくお互いを意識し始めてから…癒し始める前からも含めて、いろいろな顔を見せてくれるメアリーがかわいい√
明るく優しく、それでいて笑えるくらいにおっちょこちょいなところもあって、それでいて時に切なく悲しい一面のあるメアリーを堪能していただきたい。


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黒崎 小夜√【 ★★★☆☆ 】  3h
主人公の生き別れた双子の妹であり『悪魔の切り札』。
冒頭では他人の心を許すことが無く誰にでも毒を吐いていたが、ただ一人の家族である主人公にはある程度心を許していた。
物語中盤から後半は主人公の周りにも比較的心を許しており、主人公だけではなく特にMっ気をくすぐるあかりやメアリーなどが被害にあっている。
個別√は『悪魔の想定したシナリオ』に添ったものとなっており、主人公や小夜の母親についても触れられている。

いつもはシニカルな発言や態度が多い反面、攻められると弱い所や強い態度の下にある本音が見えるシーンなどはいわゆるツンデレキャラの魅力そのもの。
いつも振り回されるけども、その芯にある深い愛を感じられる√となっている。


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赤錆 理沙√【 ★★★☆☆ 】  3h
産休により交代で配属された歴史担当の教師。
主人公のクラスメイトである天才「赤錆 美果子」の姉でもあり、学園のOG。
過去の主人公ともかかわりがあり、今の主人公の性格を作り上げた原因でもある人物。
理沙√となっているものの、美果子の登場シーンも多くなっており、二人についてがシナリオの中心となっている。

パープルでは珍しい先生キャラだが、新任教師ということもあり立場という意味では学生の感覚に近い…が本人は年齢を気にするシーンが多く、そのあたりも可愛い所。
立派な先生でありたいという想いとは裏腹に、自分の感情や美果子、律などに翻弄され、結局は誘惑に流されて行ってしまう…そんな理沙の姿が好きな人にとってはたまらない√になっている。


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海野 あかり√【 ★★★★☆ 】  4-5h
主人公の通う学園の1年生で、友人に誘われて夜の『天使』に会いに来ていた。
部活では水泳の高跳びを行っており、本人曰く『堕ちる』のが好きらしく、主人公を含め多くのキャラクターから『危うい性格』と評されており、それゆえに目が離せない存在。
登場キャラクターでは数少ない敬虔な信徒であり、又読書家でもある為いろいろな引用を用いてしゃべる事も多い。そして主人公の屋敷ではなぜかメイド服を着せられており、本人も割と気に入っているらしい。

全ルート攻略後に『あかりシナリオ』としてTOPに表示されるようになることや、また公式HPでも書かれている事からもわかるが、彼女の√こそが本編でありTRUE√。様々な主人公の物語もこの√のために存在していたといっても過言ではない。
彼女の√では彼女の内面がよく描かれており、表層的な魅力ではなく内面的な部分について知ることができるほか、他のヒロインの魅力を再確認できる√にもなっている。


[ 主人公 ] 白鳥 律
神父であり学生であり、闇の救世主。
その境遇ゆえに幼い頃から学園を出ていないため世間知らずな所が多く、またデリカシーの無い発言や行動も多い。
そのことで弄られることも多いが、逆に女の子を虐めるのが好きな隠れSでもある。
数多くの女の子を救ってきたが、その方法がその方法なだけあって、少々歪んでいるところも多いが、普通にエロに関しては興味がある様子。


【推奨攻略順 : 理沙→メアリー→小夜→あかり 】
あかり√のみロックがある、小夜√も比較的本編の内容に迫った物になっているのでこの順番が当たり障りがなさそう。


CG
線がしっかりとした塗りの濃い絵で艶やか。
特にイベントCGに関しては以前からもある通り非常に力を入れているのがわかり、その分質も量もしっかりとしている。
ただし、赤錆姉妹にかんしては質が少し劣っている印象が強い。
背景の一部を動かす…という特殊な技法も依然として存在しており、水面や暖炉の火など、細部の部分ではあるものの、作品への没入感を高める助けになっていた。
またSD絵も数少ないものの存在している。


音楽
BGM34曲(inst除)、Vo曲3曲(OP/ED/挿入歌)という構成。
大量のBGMはどれも一つ一つが魅力的で紹介しきれないのだが、各要所で使われた「THEME-朝日の向こう側へ-」は舞台転換という意味でも影響力の高い曲。他に「追いかけるほど遠く』などの少し切なくも美しい旋律の曲も特筆しておきたい。
Vo曲ではなんといっても橋本みゆきさんの歌うOP「アオイトリ」だろう。
暗さを妖しさを感じるAメロ部分の印象とがらっとかわるように歌い上げられたサビ部分の素晴らしさはぜひ聞いて感じてみてほしい所。
また挿入歌に使われている「二人だけのカーテンコール」の歌詞についてもあかり視点から見てみると、また違った印象を受けるだろう。


お勧め度
扱っているテーマが重めだったり、宗教話なんかも少し登場したり、背後にあるシナリオの設定が少し難しめなところもあるため、ストーリー重視の方にはお勧めしたい作品。
逆に頭を空っぽにして楽しみたい~という人にはメアリー√以外はあまり楽しめないかもしれない。
それでも美麗CGや多彩なBGMなど魅力となるポイントはたくさんあるため、プレイして公開することは少ないだろう作品と言える。
物語的な繋がりはないものの、同社制作の関連作品「アマツツミ」とのセット販売もされているので、併せて紹介しておく。

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総合評価
最高とまでは言えないにしても、十二分な良作であり、高い品質を持った作品として全体的な評価とすることができる。


【ぶっちゃけコーナー】
上の方でも語ったけど、作中でアマツツミの言霊を操る一族や終盤ではクロノクロックについても少しだけ触れられた作品なんだけど、それ以外にもシナリオ的に『アマツツミ』の対比としている~みたいな話もあるんだけど、テーマ対比という事らしいな。
まぁ、ネタバレ的な内容はあまりいえないんだけど、アマツツミを楽しめた人は普通にアオイトリも楽しめるとは思う。
アマツツミがほたるを主軸に据えた作品なら、アオイトリはあかりを主軸に添えた作品で、その両者どちらも心に秘めた思いは…ってかんがえると、たしかにいろいろ感慨深いのかも。
特に後半ではあかりの印象もだいぶ変わったしなぁ。
TRUE√やってて、色々な伏線が判明したりしてそのあたりもびっくりだったんだけど、やっぱりあかりの内面的な部分の発見のほうが驚いたのかも?
そのあたりはプレイして貰わないと分からないとは思うけど…。
全体的にちょっと暗い作品だよな、というのは否定しない。
ああ、あと何より、メアリーが可愛いよね。
うん、可愛いよメアリー。
何がいいとかは言いにくいんだけど、夕飯のことを「おゆはん」っていったり、仕草の一つ一つだったり反応だったり…いや、かわいいわぁ(ぉぃ
あかり√では若干空気になっちゃったのがちょっとかわいそうなのよ。
それでもかわいいからいいんだけどね(ぉぃ