タイトル : ハロー・レディ!
ブランド : 暁WORKS


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★★ [5/5]


キャラクター・シナリオ
攻略キャラは4キャラで、BADルートも含めるとEND数は11にもなる。
共通も比較的長いのだが個別も十分な量があり、全体的なボリュームはかなりのもの。

【推奨攻略順 : 珠緒→空子→エル→朔】
攻略順がほぼ決まっている、最初の二人のみ自由だがこの順番が望ましい。

CG
いつもながら塗が濃く、線の硬い独特の絵。
枚数が多く、質も良い。
どちらかと言うと複数のキャラが映っているイベントCGが多く、また戦闘シーン用の物も多いため、流血CG等も一部存在している。
SD絵も少ないながら存在している。

音楽
BGM30曲(OPinst含)、Vo曲3曲(OP/ED/挿入歌)という大ボリューム。
BGMでは「ノーブル」等の高貴な曲や戦闘用の物も目立つ。
どれも作品に合わせた良曲なのだが、特にOPとそのinstである「Soul Release」は要所要所でよい働きをした良曲。
それでもいま一つ足りなかった部分があるような気がするのは事実。

お勧め度
シナリオは燃えゲーよりの作品だが、泣きゲー好きの人にも勧めたい1品。
主人公を含め各キャラの個性もかなりありつつ、そこに絡めたシナリオ全体の完成度も高いので、初心者から玄人まで多くの人に好かれる作品と言えるだろう。
PSVitaに移植された際の追加シナリオ当を含めた完全版が「ハロー・レディ! -Superior Dynamis-」として発売されているので、下記ではそちらを案内しておく。

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総合評価
【物語について】
「ハロー」と呼ばれる特殊能力が人知れず存在しており、その能力者たちを集めた学園を舞台とした作品。

主人公はかなり癖のある、尊大な態度の人物。
声アリなのも特徴的で、何よりかなりの万能主人公。
無論、心の部分もかなりの深みがあるのだが、表面的な部分だけの話をしても、ただ憎めないボケ部分が多くある。
作品中の笑いを多くとっていたのも主人公とヒロインたちとの絡みだった。

最初こそ癖のある硬い文章に辟易とするかもしれないが、キャラやテンポの良い笑いにつられて飽きることなくどんどん進める事が出来、設定自体も序盤は難しくないので、スイスイ勧めることができる。
そして、話を続けていくごとにどんどん世界に引き込まれて行くことになる。

先ほども言ったように、かなり文章の語彙が豊富である種の勉強になるほど。
作中には「ハムレット」や「リア王」などシェイクスピア等の過去の文学作品の一節なども登場してくる。そのすべてを理解するにはかなりの知識が必要となってしまう。
全ての言葉の意味や文学作品を知っていればさらに楽しめることは間違いないものの、全く知らなくても楽しめるようになっているため、その点は心配がいらない。
ただシナリオ重視の作品ではあるため、ある程度の読み込みは必須となってしまう。
個人的には言葉の使い方に関して、すごくこだわりを感じてしまった。
漢字の一つ一つ、言葉の一つ一つの意味を吟味して使われているので、特にはおおげさな舞台上のセリフのようにも思えるが、それでも非常に耳触りがよく、心に残る言葉や考え方が多く登場していた。
こういった部分から学べることは多いだろう。

今回の作品は設定がかなり深いので、各ルート間に齟齬がでやすいのが物語のネックなのだが、今回に限っては各ルート間の補正も見事になされていたといえ、それぞれの話が別の形での決着をきちんとつけているのは見事というほかない。
それでありながら、ルートを勧めるごとに新事実がどんどん明らかになって、最後の最後まで予想のつかない展開となっていた。
燃えゲーにありがちな「大きくしすぎ」という物語の展開にもならず、ある程度しっかりと地に足の付けた展開のさせ方にも好感が持てる。

また、泣きシーンもしっかりと準備されておりBGM「Soul Release」のPianoVerはそのシーンでかなりの活躍を見せてくれていた。
燃えつつ、しっかりと泣かせて、そして考えさせられ、また燃えて。
物語の起伏があり、誰しもが楽しんで、泣いて、喜んで――そう思える、そういった心を動かす作品になっていた。

コンフィグに関しては十分と言えるだろう。

総括
シナリオとして全体の完成度はなく、現状の物語としては満点の出来であるといってよい。
ただ、まだ伸ばせる所があるだろうというのも事実。

【ぶっちゃけコーナー】
まだまだみたいシーンがたくさんある、主人公の過去編とか気になるわ…。
相変わらずの詠唱もいいね、初めてじゃないかな…英語使ってるのは。
アニメ無くなったのは残念だけど。
好きな会社の作品だったから期待はしていたのだが、それ以上の出来だったといってよい。
正直、この作品のテーマは?と聞かれたらすごい悩む。
どれもこれも正しいような事がするし、どれも足りないような気がする。
一つの言葉じゃ説明しきれない内容だった。
「何を成すか」そして「何のために成すか」、自分の理想の為にどうあるべきか、自分の正義と世界の正義が違った時どうすべきか、「人として生きる」というのはどういうことなのか、本当にいろいろな事を考えさせられた作品。
プレイ中もだが読後感もよく、いい作品に出合ったと素直に思う。