スピカの忘れ物

ゲームレビューとちょびっと小説を公開している、鍵っ子ゲーマーのブログです。 泣きゲーやシナリオゲーが大好物!

26fe2e48.png
タイトル : アマカノ ~SecondSeason~
ブランド : あざらしそふと


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]


キャラクター・シナリオ
アマカノシリーズの第2作目となる今作、前作の「アマカノ」(以下無印)から1年後の夜間瀬町を舞台とした作品となっており、作中には懐かしいキャラクターの姿も見受けられる。
しかしながら、今作では基本的に前作とは別の物語ということで、新規の主人公とヒロイン4人との恋愛を描いた正統派学園物となっている。

とはいえ、同じ町同じ季節で描かれる恋愛学園物ということで、前作とコンセプトもほぼ同じ物となっていることもあり、「何処まで前作の焼きまわしになるか」というのが一抹の不安としてあった。
けれど前作の流れや良い雰囲気はしっかりと受け継ぎつつ、また違った形での恋愛を感じさせる内容になっており、古く良い部分と新鮮に感じる部分が程よく融和していたように思う。

特に4人との恋愛描写については、やはり緻密な心理描写が光っており、そこに加えて前作主人公よりもより明るくそして積極的な主人公が良い効果を生んでいたのではないだろうか。

相変わらず、というといい方は悪くなるが、シナリオ自体は決して突飛なものはなく、どこまで行っても王道的な内容となっている。
しかしながら、その中で「ハッ」と思わせるようなシーンや演出があるのは確かで、また一つ一つのシーンやセリフにも「そう」と思わせるような説得力があるのはこの作品の一つの魅力といえるだろう。

そして何よりも、新しいヒロインたちの魅力が前作のヒロインたちにも負けず輝き、そしてプレイする人の心をギュッと掴んでくれるほど可愛いく、そして共に過ごす日々に癒されることこそがこの作品の最大の魅力といえるだろう。


共通√【 S 】  2h
前半に関しては、主人公の転校から各キャラと少し親しくなるショートストーリーを交えて描かれており、後半はウィンスポ(冬の運動会のような物)などのイベントなどを挿入しつつ、前作同様に冬休みまでの大筋の流れが描かれている。

選択肢も前作同様のMAP選択として表れており、その選択によって各個別のシナリオが見られる形となっている。
そしてこれも前作と同じ形となっているが、親密度を高めることで「告白をする」ことができ、またその選択をしないことで、ヒロインから「告白をされる」ことも選べるようになっている。


00949633.png
一ノ瀬 穂波√【 S 】  2.5h
主人公と同日に転校してきた年下の後輩。
とある理由から駅で一人でいる所を主人公に話しかけられて知り合いになった。
真面目な委員長タイプの女の子で最初こそ警戒されていたものの、彼女の抱える悩みを解決する、その手助けをしてくれた主人公の事を認めてくれるように。
しかしながら自身の感情に素直になれず、まだまだツンツンしてしまうことも多い。

真面目で美人、料理上手で成績優秀、そんな大人っぽい所がある一方で誰よりも子供っぽくて寂しがり屋な彼女。
個別√ではそんな穂波との恋愛シーンが、彼女が抱える様々な葛藤をエッセンスとして描かれており、特に各キャラの心理描写をとても丁寧に描写している影響もあってか、一つ一つのシーンが印象的だった。
このルートでは特に、主人公の行動もカッコ良くそのあたりも注目してみてほしい所。
そして、デレた穂波が凶悪なまでに可愛かったことは言うまでもない。


9cdf2dd7.png
沓野 奏√【 S 】  2.5h
祖父母の営む旅館『縁喜』に住む車椅子の少女。
一見すると清楚での物静かに見えるが、話してみると明るく悪戯好きな小悪魔の一面も。
迷惑にならないよう隠れて歩くリハビリの練習をしていたが、主人公に見つかって一緒に練習する中で兄のように慕ってくれるようになる。

妹のように素直に慕ってくれる奏、付き合ってからはさらにその甘さが強くなる一方、各シーンにおいてハンデを抱える彼女の心情が浮き彫りになる。
自身の境遇にも負けず、前向きに頑張る姿を健気でかわいく描いている。だからこそ、自身の抱える問題に対して、主人公に迷惑をかけてしまうことを気に掛ける、そうした状況を悲観的に描きすぎず、前向きな奏と優しく寄り添うような主人公の姿がしっかりと表れていたように思う。
あと、とあるシーンの寝言で自分の名前をつぶやかれたときに好きよりもさらに熱い思いがこみ上げてくるのはわかり身が深すぎる。


41b35a61.png
高社 雪静√【 S 】  2.5h
前作ヒロインの『沙雪』の妹で、引っ込み思案な女の子。
本が大好きで図書委員として図書館に入り浸っていることから周囲からは「図書館の座敷童」と呼ばれることも。
他人と接するのがとても苦手で、加えて口下手なためコミュニケーションの手段として筆談をすることもある。

理由は違えど姉と同様に人と接することなく、閉じた世界にいたが主人公との出会いを契機に、そんな世界が広がってゆく様子が描かれている。
優しくてマイペース、慣れるまでは話しかけられるとオドオドとしていて恥ずかしがる様子が可愛らしかったが、付き合ってからは様相を変えて艶やかな一面も見られたりと新鮮。
また、ずっと変わらずに休日に二人でまったりと過ごす雰囲気がすごく良く、筆舌に尽くしがたい彼女の魅力の一つと言えるだろう。


36f5c9a3.png
硯川・e・涙香√【 S 】  2.5h
学生会長を務める気さくで面倒見のいい一つ年上の先輩。
銀髪碧眼のクールな風貌は初対面の人を驚かせはするものの、学生会では多くのイベントを企画していたりと多くの生徒からの評価も高いカリスマ性の持ち主。
しかしそんな彼女にも秘密があるらしく、とある事件を切っ掛けに学生会の活動である「ウィンスポ」を手伝うことになった主人公はそんな涙香の抱えていた秘密を共有することになるのだが…。

多くの時間を過ごすうちに距離が近くなってゆく様子がしっかりと描かれた涙香√。
話の主軸となっているのはもちろん彼女が抱えるその秘密で、そうした内容と絡めて学生会でのイベント運営の日々を描いたシナリオとなっている。
先輩としての頼れる姿は勿論なのだが、秘密を共有した後、付き合うまでは分からなかった涙香のへっぽこで可愛い所が見られるのは最大の魅力。
彼女の中にある二面性がお互いの出会いにより変化していき、多くのイベントを経る事で成長した姿が描かれた物語となっていました。


[ 主人公 ]志賀 浩輔 ※名前変更可能
新たな生活をするため一人暮らしを考えていたが、親の勧めもあって家族ぐるみで付き合いのあった知り合いの住む『縁喜』という旅館にお世話になることに。
隣の市からやってきており、雪自体は鳴れているものの、夜間瀬町ほどの豪雪地帯に住んだことはない。
新しい生活についても非常に前向きに考えており、楽しんで過ごすことを第一としている。


【推奨攻略順 : 涙香→雪静→奏→穂波 】
特に順番が前後することによって発生するネタバレなどもなく、攻略順に特に指定はない。好きなキャラクターから攻略していくとよいだろう。


CG
線がしっかりとして堅い印象があり、濃い塗りのテカりを感じる絵。
絵のサイズ比は4:3なので、どうしても現在の16:9仕様のモニターでは左右に帯ができてしまうが、総じて質はよい。
特に印象的なシーンにおけるものは見惚れる物もあり、高評価ではある。
立ち絵にはもちろんE-moteが導入され、立ち絵の口や目が動く仕様になっている。


音楽
BGM23曲(inst含む)、Vo曲2曲(OP/ED)+1曲(挿入歌、前作アレンジ)という構成。
前作のBGMが大半を占めているものの、各キャラのテーマBGMを含め数曲が新曲のBGMとして追加されている。
Vo曲はまっすぐにこの作品の恋愛を歌ったOP「雪の街 キミと」も好きなのですが、やはりEDの「2人のシンフォニー」が大好きで、大島はるなさんの情緒あふれるサビは何度聞いても飽きない名曲です。


お勧め度
シリーズの第2作目、前作の「アマカノ」とも関連が深い作品ではあり一部登場人物なども出てくるものの、今作におけるヒロインや主人公はもちろん新規キャラであり、単体でプレイも可能。
オーソドックスな学園物を描いた作品で、展開こそ新しいものはないものの、一つ一つの描写がとても丁寧に描かれており、前作の雰囲気がしっかりと踏襲されている。
そうした部分が好きだった方におすすめできる内容となっており、できれば前作からの流れでプレイしてほしい。


総合評価
シナリオには平均的な作品といえるが、一部光るシーンなどもあり、その上コンセプトとしてまとまりもある。
評価は低めだが、見出すことができるのなら、それ以上に価値はある作品。


(ぶっちゃけコーナー)
割とシナリオ部分でぶっちゃけているので、このコーナーの存在意義がなくなりつつあるのだが、今作のあれこれについて触れておく。

まず、シリーズの2作目ということではあるものの、2019年現在4作あるアマカノシリーズにおいて、時系列でいうとこの作品は3つ目となる。

アマカノ(1作目)→アマカノ+(3作目)→アマカノSS(2作目)→アマカノSS+(4作目)

各作品の攻略順がこれでいいのか、それとも発売日順にすべきかは悩みどころだが、個人的には上記を押しておきたい。
というのも、各作品で非常に独立性が高いということと、「+」系の作品はFDの要素がどうしても強く、そう考えたときに各作品にあったFDをすぐ後にやったほうが、読み手としてもわかりやすいのではないかな、と思ったからである。
現にプレイしていても、「アマカノ+」を「アマカノ」の後にプレイすると、各シーンでの細かいやり取りなんかが確認しなくてもよくわかるから…なのだが。
この辺りは連続してプレイしていないとわかりにくいかもしれない。

何度も繰り返しになるが、萌えゲー作品に非常に近い中で、シナリオとしては目を見張るような部分はほとんどない。
しかしながら、細かいシーン演出や心理描写によってプレイヤーの心をしっかりとつかむことのできる作品でもあり、だからこそ根強いファンも多い。
そうして成り立っている作品で、あるがために重要視すべき点を鑑みると上記のような順番を踏むのが良いのかなと思ったのである。

まぁ、プレイ順変えたからと言ってそこまで大きく感想が変わるわけではないとは思うが。

付け加えてこの作品の特徴的な所として、各ヒロインの個別√に入ると、それぞれ対応した前作のヒロインと主人公の関係にについて少しだけ触れられている。
前作からプレイしている人にはたまらない前作からのつながりを感じるシーンでもあり、とあるシーンでは、その存在を恋のカンフル剤として使用していたりと面白い使われ方もしていた。
新規のためには切り捨てたい前作ということもあって、扱い的には難しいところだが、前作へのリスペクトを感じさせつつも、シナリオに関連させてきており、うまく使えていたように思う。

1a08603f.png

タイトル : アマカノ+
ブランド : あざらしそふと


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]


キャラクター・シナリオ
アマカノシリーズの3作目であり、第一作目である「アマカノ」(以下無印)の続編となっている。
シナリオは各キャラ大きく二編――夏編と未来編――に分かれており、夏編では本編直後の夏の季節を描いたシナリオとなっており、舞台も夜間瀬町からとある観光地へと移り、二人の甘い旅行の様子を夏祭りを初めとした夏の風物詩と絡めて描かれている。
未来編では各キャラによって描かれている時期が違うものの、総じてそれぞれの物語においてヒロインと主人公がどのような顛末を迎えるのかを描いた物語となっており、無印から長く続く物語の本当の終わりを描く。

シナリオの趣旨的に大きな問題や、何か感動的な流れがあるわけではないのだが、全体的により甘く作られたシーン数々は勿論濃密で、関係をさらに進展させて描いたシナリオにおいてその掛け合いから二人の絆を強く感じるシーンがあるのが特徴で、前作をプレイしているというアフターシナリオ(ファンディスク的立ち位置)である今作だからこそ、細かいキャラの描写や充実したHシーンなどが実現可能となっている。
無印からの流れがあるからこそのシーンの数々、一歩ずつ進んでいく二人の関係がしっかりと描写されているからこそ、感じ入る部分も多くあり、そうした部分がこの作品の最大の魅力ともいえるだろう。


f5823f50.png
高社 紗雪√【 ★★★☆☆ 】  2h
無印にて無事に結ばれそして試練を乗り越えて「夫婦」となった二人。
他の√とは違って既に一つの節目ともいえる関係になって、幸せを分かち合う二人の姿にしっかりとした絆を感じるシーンが多くなっている。
特に紗雪に関しては、大和撫子な部分はそのままに、より正妻感が強いキャラクターへと昇華しており、その中には嫋やかさを感じる部分もある。
加えて今回のシナリオでは「母」としての一面が見られるシーンも多く用意されており、巫女として、恋人として、そして夫婦としての側面だけではない魅力を感じることが出来る。


d680b10c.png
上林 聖√【 ★★★☆☆ 】  2h
学生と学生、社会人と学生、社会人と社会人…とそれぞれに形を変えてゆく恋人関係とお互いの気持ちを描いたアフターシナリオ。
全体的に落ち着いた雰囲気の物語となっており、特に前半はゆったりとした石川県観光を満喫できる内容になっていました。
また、無印では見られなかったお酒を嗜む聖の姿も事あるごとに散見され、大人だからこその艶やかさのようなものが聖にはとてもあっていた。
後半の盛り上がりであるプロポーズシーンも実直ではあるが、シチュエーションもあってとても印象的なものになっていた。
改めて彼女に恋に落ちることが出来るシナリオです。


097364f3.png
星川 こはる√【 ★★★☆☆ 】  2h
和菓子屋の元気印の看板娘という前作の快活な印象はそのままに、先輩と後輩の関係から恋人に…そして夫婦へと変わってゆく関係。
和菓子屋の従業員として働く主人公と和菓子屋の一人娘として専門学校へ通うこはる。二人のその後の様子をショートストーリーとしてある程度の時間の流れと共に描いている。
本編で描けないアフター編たる「プラス」ならではの物語に、こはるらしさがギュッとつまっていました。


【推奨攻略順 : こはる→聖→紗雪 】
最初からシナリオを始めると、各キャラの1周目は「夏編」、2週目は「未来編」としてそれぞれの時間軸を描いたシナリオとなっている。
基本的に好きなキャラから、「夏編」と「未来編」を連続で詠むような形で進めるとよい。


CG
線がしっかりとして堅い印象があり、濃い塗りのテカりを感じる絵。
絵のサイズが4:3なので、どうしても現在の16:9仕様のモニターでは左右に帯ができてしまうものの総じて質はよく、特に印象的なシーンにおけるものは見惚れる物も。
立ち絵にはもちろんE-moteが導入され、立ち絵の口や目が動く仕様になっている。


音楽
BGM18曲、Vo曲2曲(OP/ED)と言う構成。
新規追加曲は勿論、従来のBGMも多く使用されている。
全体的に落ち着いた楽曲が多いが、BGMを含めた楽曲の中で特に顕著なのがVo曲…特にEDである「幸福のドレス」だろう。
大島はるなさんの歌うこの楽曲は、タイトルからもわかる通り作品に合わせた内容の歌詞となっており、バラード調の曲がとても味わい深く良曲と言える。


お勧め度
3人との「その後」を描くFD風味ある今作、加えて壁紙や各キャラのシステムボイス等色々なコンテンツが含まれた作品となっていて、前作「アマカノ」(※無印)をプレイして、あの作品の世界観が気に入った方ならプレイの推奨はしやすい。
この作品単体で楽しむことや無印をプレイせず「アマカノSS」のプレイ後にこの作品をプレイするのはお勧めできないので、注意は必要。


総合評価
基軸は無印版のアフターシナリオで構成されており、FDとしては割と一般的な評価であるためこの評価。


【ぶっちゃけコーナー】
ファンディスク的な作品なので、シナリオ自体は割とイチャラブ…と言いたい感じなのだけれど、より濃密な感じで前作が恋を描いたと言えるなら、今作はより深い「愛」を描くような作品だった。
ただまぁ、展開的にはただ二人がラブラブになってて、結婚したりキャラによってはその先の活動を少し描いたアフターの延長的な内容になっている。
そのあたりは期待しすぎない方が良い。

この作品のいいところは展開的な盛り上がりと言うよりは、終始恋愛シーンに重きを置いたところ。
それは勿論事件が起きたり、ってことではなくて、二人の関係が一歩ずつ進んでいく様子をしっかりと描き切っている所。
そういう節目のシーンはイベントCGやBGMを使ってちゃんと演出できているから、各シーンがすごく綺麗だし印象的に記憶に残るんだと思う。

あとその他に「プラス」な内容としてミニゲームがあったり、それをクリアすると壁紙やらボイスと蚊がもらえたりする。
個人的に遊び込めていないが、この辺りもFD的要素のあるこの作品ならではのセールスポイントとなっているのだろうな。

a691190f.png

タイトル : アマカノ ~Perfect Edition~
ブランド : あざらしそふと


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]

キャラクター・シナリオ
11月末、一面雪に覆われた街「夜間瀬町」に祖父母の手伝いの為にやってきた主人公、漫然と生活をしていた彼は新天地で3人のヒロイン達と出会う。

田舎の雪国を舞台とした正道恋愛学園物。
何か大きな事件があるわけじゃない学園生活を過ごす中で、主人公とヒロインたちとの仲が深まることで少しずつ変わっていく関係や日常を描く。

終始オーソドックスな展開であるシナリオはある程度予想できるものではあるが、それだけに恋愛シーンにおいて、キャラクターの魅力が特に協調されている。
また恋愛描写におけるヒロイン視点の描写がとても多く用いられていることも特徴的で、主人公の心理描写は勿論ヒロイン達の心の動きもしっかり把握しつつ、じっくりと心温まる恋愛模様を楽しむことが出来ることもこの作品の魅力の一つだろう。

特徴的な事として付け加えるのならば、共通シナリオでMAP選択肢(ほぼキャラ選択だが)があるが、選択肢によってそれぞれのショートシナリオを読むことが出来ると同時に好感度が上昇する。
好感度如何によって個別√に分岐する他に、選択肢によっては「主人公が告白する」か「ヒロインから告白される」かシナリオ分岐する仕様となっている。
物語としては大きな流れの変化こそものの、甘いシーンを多く楽しむか、友人以上恋人未満の関係を楽しむか、そういった細かいシーン差が用意されていることも明確に他の作品と違うところだろう。


共通√【 ★★★☆☆ 】  1h
主人公の転校から3人のヒロインとの出会い、そしてその後の1カ月ほどの学園生活等が描かれた部分。
3人のヒロイン達と関係を同時に関係を深めていく序盤、に対して中盤から後半は各選択肢によるヒロイン個別のシナリオが多くを占めている。
寮に下宿している事や、雪国に初めてやって来た…と言う描写も主に序盤においてのみ注力して描かれており、その他ヒロインが関わらないような生活描写に関してはノーマルかつ簡素に描かれており特色は薄い。


f08341db.png
高社 紗雪√【 ★★★☆☆ 】  3h
主人公のクラスメイト。
まじめで嫋やかという大和撫子と体現した少女で、街で有名な高社の一人娘であるために、皆からは『巫女姫』と呼ばれて特別扱いされていた。
しかしながら本人は皆と仲良くしたいと思っており、他人と上手く話せないことを気にしている。
かなりの綺麗好きで、神社は勿論、学園の雪かき清掃もボランティアで出席している。

純情で一途な紗雪との恋愛描写はまさに歩くような速度の進展、じっくりと描かれる恋愛描写だからこそ深まってゆく絆がしっかり感じられ、、進展してゆく関係によって変わってゆく「あなたさま」から「だんなさま」という呼び方の変化なども併せて非常にツボを押さえた内容に。
紗雪と共に生きていくために、そうして課された試練を乗り越えることで本物の夫婦としての姿を二人で作り上げていく姿が描かれていた。


b25b22aa.png
上林 聖√【 ★★★☆☆ 】  3h
主人公と同じ寮にすむ一つ年上の先輩。
オッドアイでミステリアスな雰囲気が漂い、クールで大人っぽい紗雪は学園内でも話題の美人。しかしながら家ではお茶を飲んでダラダラとするのが好きなマイペースな少女。
女性経験の少ない主人公をからかうお茶目な一面あるが、何かを相談すると真剣に向き合ってくれる心優しいお姉さん。

いつも飄々として小悪魔のように主人公を翻弄する聖、同時にまったりとマイペースな雰囲気のある彼女とのシーンは微睡のように落ち着くものが多い。
反面、そんな彼女が「変わってゆく」主人公と「変わらない」自分に対して抱くを想いなどをモチーフとしつつ、増していく愛情と同時に溢れる寂しさをテーマとした恋愛描写が印象的。
特に本心では誰も近寄らせないようにしているが、誰よりも寂しがり屋な彼女の心理描写は切なく、同時に初々しいものとなっている。


d7eb554c.png
星川 こはる√【 ★★★☆☆ 】  3h
甘味処『こはるびより』の看板娘で一つ年下のわんこ系後輩。
いつでも元気いっぱいで誰とでもすぐに仲良くなれる性格をしており、特に仲のいい相手には抱き着いてしまう癖もある。
成績は悪いのだが、直感で作る和菓子の味は絶品。

個別√で描かれるのは和菓子のように甘い日々が描かれており、主人公は先輩として、こはるは後輩として、それぞれの立場からお互いを思いやり少しずつ愛を深めていく様子が密に描かれている。
無邪気な彼女が抱き着いてきたり、ペロペロと甘えてくる仕草が可愛いのは勿論、時には嫉妬したり、主人公の気持ちに不安になったりと、表情のコロコロ変わる感情豊かな部分が描かれており、明るくて天真爛漫だけではない魅力が伝わる内容となっていた。


[ 主人公 ] 須賀川 勇希※自由変更可能
祖父たちの手伝いのために雪国である夜間瀬町にやってきた。
困っている人がいると思わず手を貸してしまうほど底抜けな善人ではあるが、以前住んでいた町では漫然と生きていた。
今回の転校を期に『何か』が変わればよいと期待している。

【推奨攻略順 : こはる→聖→紗雪 】
攻略順にロック等はなく、好きなキャラからの攻略が望ましいだろう。


CG
線がしっかりとして堅い印象があり、濃い塗りのテカりを感じる絵。
イベントCG等は発売時期もあり4:3サイズであるものの質自体は高く、ヒロインが3キャラと言うこともあり、1キャラに対する枚数も十二分な量が用意されている。
またPEにはE-moteが導入されており、立ち絵の口が動く仕様になっている。


音楽
BG16M曲(inst等含む)、Vo曲2曲(OP/ED)と言う構成。
BGMはなんといっても「あたたかな雪」が非常に秀逸で、しんしんと降り積もる雪に感じられる包み込むような温かさがピアノの繊細な旋律で表現されている。
Vo曲ではOP、Ducaさんの歌う「snow crystal」は雪国を舞台としている作品の雰囲気に合う落ち着いたまったりとした雰囲気のものとなっている。


お勧め度
シリーズとしては合計4作品が出ている王道の恋愛学園物で、甘い恋愛描写を基軸としヒロインの可愛さを前面にアピールするシナリオとなっている。
定石に忠実なシナリオであるため驚きの展開こそないものの、それだけに安心してみていられる内容となっており、まったりと落ち着いてみていることが出来て癒される。
田舎の雪国を舞台にしていて、そのシチュが好きな方にとってもおすすめしやすい。



総合評価
全体的に安定的な作品となっているが、逆に特筆すべき点もなくこの評価に。


【ぶっちゃけコーナー】
シリーズの第1作目、発売されたのがだいぶ前と言うこともあって絵の比率などに時代を感じる部分はあるものの、後に発売されたPerfectEdition(PE版)においてe-moteが導入され、既に購入した人であればいつでも公式からアップデートできる仕様となっている。
※コンプリート版なら最初から適応済み

作品自体は正直なんの変哲もない、雪国を舞台とした学園物。
やっぱり恋愛シーンに重きを置いていて、だからこそ主人公とヒロインのつたない恋愛模様を描いた分量が(もちろんHシーンも)多い気がする。
なにより展開的にはそこまで大きくないだけに、密に描かれている印象が強いのかも。

まぁ、どちらかというと萌えゲーに分類される作品なのかもしれないが、主軸がぶれない恋愛物としては古き良き学園物として挙げてもいいのかも。
「可愛い!」って思うよりは、「ああ、こんな恋愛いいなぁ…」ってじんわりと癒されるシーンが多かったし。

e9d32abb.png
タイトル : 猫忍えくすはーと 3
ブランド : Whirlpool


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]


キャラクター・シナリオ
未来予知ができる妹を信仰する閉鎖的な故郷を変えるため、心躍らせながら新天地へとやってきた主人公、そんな彼の前に現れたのは、置いてきたはずの妹、瑠璃とそのお付きである幼馴染の鏡花だった。

あっぷりけではおなじみの桐月&オダワラハコネのコンビによるSF伝奇物で、また今作は2008年に発売された同会社の作品『コンチェルトノート』の続編という側面もあり、舞台もその作品の数年後という設定になっている。
作中ではコンチェルトノートのヒロインであった莉都なども出て来ており、後述の要素なども併せ、物語と密接にかかわる部分も多くプレイしていないとわかりにくい描写などもあるものの、説明は十分にされるためプレイ自体は必須ではない。

物語自体はセンターヒロインである瑠璃√に向けて各ヒロイン√が分岐していく、いわゆる階段分岐型の作品となっており、さらに大きく前半と後半、そして真相編となる瑠璃√から成る。
また条件を満たしたり、各キャラのENDを迎えると「Fragment」という形でショートストーリーが挿入される。
基本的には各キャラのHシーンを含めたアフターシナリオが中心となっているが、一部シナリオは物語の真相につながる描写であったり、本編で語られにくいキャラクターの魅力を描いた部分もあるため、クリア中に表示されたものはその都度プレイするとよいだろう。
またクリア後には特典として莉都視点の物語も描かれていることも追記しておく。
※詳しくは下記の莉都√欄参考。

前半に関しては、舞台の状況説明や主人公を含む登場キャラの説明に加えて、後半に向けての伏線などが多く仕込まれた内容になっている。
そうした中にサブヒロイン√が3本ほど用意されているものの、全体的に勢い重視に近い、無理やりシーンを挿入したような違和感を受ける内容となっている。
後半はヒロインたちのシナリオをメインとしつつ、同時に物語自体への真相に迫っていく内容となっており、上記のような不自然さこそないものの、瑠璃√へのつなぎということもあってか、全体的に簡素な印象を受ける。

そうした悪い点があった反面、作中で特に顕著に感じたのは瑠璃の「未来予知」という特殊能力の使い方だろう。
「未来がわかる」という強力な力を持った状態による安心感から一転、その状況を超えられている不可解な謎や巻き起こる多くの事件、そうした状況が伝奇物のシナリオと組み合わされ、エキサイティングに描かれ、そうした展開の数々からは確かな展開力の巧さが感じられる。
またこの能力自体の危うさなどもシナリオのテーマの一つとして挙げられており、瑠璃の心情と共に語られるそうしたシーンもこの作品の評価点の一つといえるだろう。

実質的グランド√ともいえるのが、最終版の瑠璃√。
詳しいことはネタバレになるため伏せるが、物語の真相部分ということもあり、展開自体への驚きや物語自体の完成度を伺わせる内容になっている。
ただ同時に、内部にある真相部分の説明に関しては、詳しく書きたいがゆえに書き手が暴走しているような印象をけることも多かった。
多数の誤字脱字は勿論、説明方法が婉曲的すぎたり分かりにくいものであったりと、整理ができておらずゴチャゴチャとしていた。
この辺りをすっきりさせてくれていると非常に読後感も良かったのだが、物語のある意味根本的部分でテンポが非常に悪くなっていたので、全体的な評価がどうしても振るわない結果となっている。


共通√【 ★★★☆☆ 】  3h
各ヒロイン√へと分岐する階段分岐作品であり、前半では美加、綾、香苗のサブヒロイン√が、後半では透子、未来、鏡花のメインヒロイン√が段階的に攻略可能となり、それらの√を攻略することで、物語の真相が明かされる瑠璃√に進むことが可能。
そういった事情もありシナリオとしては最序盤以外は各ヒロイン√に分類しても良いような部分もあり、そういう意味では内容が薄い。

上記にもあるが、今作では後半部分が物語の真相編として内容としても展開としてもメインとなっている。
そのため他の部分では、伏線中心の展開と展開をつなぐ部分となってしまっており、特に共通ルートに関してはそうした部分が占める割合も多い。
そうした理由もあって、この部分の魅力が相対的に低く見えてしまう。


aee0cc77.jpg
八重垣 瑠璃√【 ★★★☆☆ 】  3.5h
主人公の妹。
生まれつき視力がない左目を使い未来を見ることができるが、その代償として大きく体力を消費してしまう。
八重垣の家系は代々そうした未来予知の能力者を輩出しており、瑠璃は次代の後継者として村の皆から尊敬と畏怖を集めている。

個別√ではもちろん今作のメインとなる部分に深く触れられた内容となっており、多くの真相も明かされることとなる。
また中盤から後半にかけての物語の転調はすさまじくドラマチックで、瑠璃の切ない願いや兄の決意、そうした二人の絆を感じさせる物語の運び方はこの作品最大の見どころといえるだろう。
シナリオ自体には関係ないものの、普段は凛とした態度で、その出自からか一般人とは一線を画す雰囲気を感じさせる瑠璃ですが、そんな彼女が溜め込んだ思いを兄の前だけでは発露させる、そうしたシーンにも可愛さが詰まっていました。


58a1836d.jpg
稲田 鏡花√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
主人公の幼馴染で妹の瑠璃に仕えるメイド。
代々『八重垣』の侍従を務めた家に生まれ、幼い頃からそう育てられたため、本人も八重垣に仕えることは使命だと感じている。
特に瑠璃に関しては従者という認識が強く「姫様」として敬っているものの、主人公と二人きりの時などは職務を離れ幼馴染としての一面を見せてくれる。

二人きりの時にポロリと出るお幼馴染としての側面がとてもかわいい鏡花、個別√では深まる伝奇部分と共にそんな彼女の侍従としての思いのようなものが伝わってくる内容にもなっている。
例のごとく恋愛部分は非常に短く、割と勢いで付き合ってしまうところが残念。


02f7aa01.jpg
初芝 未来√【 ★★★☆☆ 】  1h
いつも柔らかな笑顔でおっとりとした学園の先輩。
主人公たちが暮らすことになる寮の寮長を務める他、姉の香苗が学園の先生である影響もあってか学園の生徒会長にもなっている。
しかしながら、本人にとっては人に指示する立場にいることは本位ではなく、生徒会活動がない日はもっぱら趣味のオカルト研究会の活動として廃墟巡りなどを敢行している。

個別√では、物語前半部分で取り扱われていた問題をテーマに多くの真相などが明かされるシナリオとなっている。
恋愛描写は例によって少ないが、未来に関してはその優しさによって主人公を受け止めてくれるような母性感じるシーンが多くあるのは特徴といえるだろう。


072538b5.jpg
西ノ宮 透子√【 ★★★☆☆ 】  1h
新天地で主人公たちを迎えてくれた遠い親戚のクールな先輩。
口数が少なく何を考えているのかわからないところがあり知り合いも少ないが、本人も一人が好きで気にはしていない。
また動物が好きで良く面倒を見ていたり、親しい人間にも思いやりを持って行動したりと、一部の人からは良く慕われている。
彼女の実家である『西ノ宮家』は主人公たちの母親とも繋がりがあり、彼女がいたからこそ今回の入学も認められた背景がある。

物語としては中盤に差し掛かり、さらに多くの謎と少しの真実にぶつかりつつも真相に向けてひた走る部分がメインとなっている。
しかし透子との恋愛描写に関してはかなり短く、Hシーンも「fragment」として追加の3シーンがあるものの、全体的におまけのような印象を受けるものとなっていた。


e06c941a.jpg
西条 美加√【 ★★★☆☆ 】  1h
ヒロインである初芝未来の友人で明るい性格の先輩。
オカルト研究会には所属しないものの、未来に付き合って活動を一緒に行っていたりもする。

未来に会うために寮に顔を出していた彼女。
サブヒロインではあるものの作品前半では彼女にまつわる事件を中心に展開しており、個別√前半部分はそうした部分をメインに描きつつ、一応の決着と共に少しの疑問としこりを残す展開となっていました。
個別後半は重い雰囲気を払しょくする恋愛シーンがメインとなっており、普段のサッパリとした雰囲気から一転、恋愛シーンでは初々しく照れる様子も多く、そうしたギャップが非常に魅力的な子でした。


69451b58.jpg
中野 綾√【 ★★★☆☆ 】  0.5h
主人公たちと同じクラスの女生徒。
いつも友達に囲まれているような社交的な性格をしている。
主人公たちにもとてもやさしく接してくれるが、それは町で男に絡まれているところを主人公に助けられた、という切っ掛けだけではなく、彼女自身の性質によるものも大きい。

個別√ではやはり物語の真相の多くは謎のままでなんとなくハッピーエンドになっており、綾自体のシナリオに関しては、綾が幼少から抱えていた悩みを描いたものとなっている。
しかしながら、短くシナリオとして特筆すべき点は少ない。


97ceaa51.jpg
初芝 香苗√【 ★★★☆☆ 】  0.5h
学園で主人公たちの担任となる女性。
実はメインヒロイン、初芝未来の姉であり、寮生活をしている妹とは違って近くにある実家で生活をしている。
マイペースな妹とは違って、しっかり者の姉という感じで、学園の先生として頼りになるシーンも割と多く描かれていた印象。

個別シナリオはシナリオ的な構造もあり、多くの謎を残したまま展開していくこととなっており、ボリューム自体も短め。
魅力的な年上キャラとして、もう少し堪能したかった所ですが、サブヒロインということなので仕方がない所でしょう。


7bee7811.jpg
莉都√【 ★★★☆☆ 】  3h
同会社の作品「コンチェルトノート」のヒロイン。
正確には彼女の√は存在せず、全ルート攻略後にfragmentにて出現するシナリオにて、彼女の視点から見た今作を描く。
ボリュームは比較的多く、数々の描写から残っていた小さな謎やコンチェルトノートの「その後」の世界などがしっかりと描かれている。


[ 主人公 ]八重垣 悟
瑠璃の双子の兄。
本来は生まれる際に八重垣の巫女である瑠璃の『生贄』となって生まれてこないはずだったが、片腕のみが『生贄』として捧げられ本人は無事に生まれてきた。
その為に瑠璃の能力も不完全なものとなり、そうした背景もあり故郷では本家でありながら迫害に近い扱いを受けていた。
そうした逆光の中に生まれても他人を恨むことをほとんどせず、自身の努力にて回りを変えていこうとするポジティブな考え方の持ち主。
生まれつき無い片腕の代わりに高機能な義手をもち、それを操ることで時に常人以上の運動能力を発揮することもできる。


【推奨攻略順 : 香苗→綾→美加→透子→未来→鏡花→瑠璃→莉都 】
階段分岐作品であるため、下記のような大まかな攻略順がある。
(美加、綾、香苗)→(透子、未来、鏡花)→瑠璃→莉都。


CG
しっかりとした線質に淡い塗の絵。
全体的にふんわりとした印象を受ける絵で、時折バランスに気になるところはあるものの総じて美麗といえる。
枚数に関しても十二分に用意されており、センターヒロインである瑠璃を筆頭に特にメインヒロイン4人のCGの枚数が特に多くなっている。
SD絵も多数存在している。


音楽
BGM25曲、Vo曲3曲という構成。
伝奇物作品ということもあって、BGMの多くはそうした雰囲気に合わせた暗め・緊迫感のあるものが目立つ。
その中でも瑠璃のキャラクター的にハイソな雰囲気を感じる『瑠璃色の空』などを代表とする静かな曲もいい味を出している。
Vo曲では「Valuable eyes」が作中の演出もあって個人的な評価が高い。
多くはネタバレになるため語らないこととする。


お勧め度
あっぷりけの伝奇物をテーマにした作品。
前半部分こそ勢いに欠けるが、瑠璃の特殊能力『未来予知』を活かしたシナリオの展開はなかなかに巧く、また後半からの展開の盛り上がりが良い作品となっている。
反面、誤字脱字や不必要に難解な言い回しなどを含めて、読み下しにくい部分もあることや設定等に全体的な粗さが目立つ部分も。
また、今までの記述でもあったが同会社の作品「コンチェルトノート」に関しては非常に深くかかわる作品となっている。
プレイしていなくても作品を楽しむことは十分にできるが、できれば先にプレイを推奨しておきたい。


総合評価
伝奇物としては安定しており、特に展開自体に見どころが多くあるものの、同時に粗が目立つ部分もあり、評価としては非常に抑えめとなっている。


【ぶっちゃけコーナー】
展開自体は褒めていたりするのだけれど、全体的に評価が低い説明をしておきたい。
もちろん、作品自体に結構な驚きはあったんだが、伝奇物としては安定した内容で、そうした部分にすごい驚きがあったわけではないということ。
また上記でも少し語っているが、理論説明部分が非常に『ダレ』ていた。
この辺りは書き手が頭の中で作っているものを綺麗に出力できていないのが原因なのだと思うが、やっぱ璃それは表現者として問題といわざるを得ないだろう。
作品の最大の魅力ともなる部分なので、厳しめの評価となってしまっている。
また、物語の形として階段分岐は好きなんだけど、瑠璃以外のヒロイン達がかわいそうに感じるくらい粗雑に扱われていた。
各キャラの感想なんかを書くことがあるんだけど、本当に描くことを迷ってしまうくらいおまけに感じる恋愛描写。
fragmentを利用した手抜きのHシーン…ここまでヒロイン増やすのつらかったなら、最初から作らないほうが完成度が高くなるのでは? と思ってしまう。
あとは個人的にクロスコンチェルトとコンチェルトノートの繋がりについても、アフターを舞台にしているだけでそこまで密接でなかった事に残念さを感じている。
出てきたこと自体に嬉しさや懐かしさがあるのだけれど、そこからの発展がなかったのは悲しい所。

e77739cf.png
タイトル : 猫忍えくすはーと2(LOVE +PLUS)
ブランド : Whirlpool


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]

キャラクター・シナリオ

『えくすはーと2』に関しては、彩羽編で少しだけ紹介されていた『律』と『マヤ』が登場するシナリオに『猫忍えくすはーと2 LOVE +PLUS』では本編後の何気ない日常を描いている。

どちらもシナリオは短く簡単に読み下せる内容となっており、何よりもキャラクターの可愛さ、魅力を表現することに重きを置いているシナリオとなっている。
シナリオ自体が短いことに加えてイチャラブコメディと言うこともあって、最後まで飽きずにプレイすることが可能。


本編【 ★★★☆☆ 】  2.2h
前作からの続編となる部分となっており、新キャラとして『律』と『マヤ』を加えて、さらに賑やかになる日常を描く。
シナリオ自体は相変わらず短いものの、テンポの速い展開で飽きさせず、またキャラクターを魅せる部分はしっかりと抑えられている。

特にキャラクターが増えたからこそ描ける新しい面…嫉妬したり喧嘩したりと、前作での甘え中心の描写から一転、たくさんの顔を見せてくれるようになっており、同じテイストのシナリオの中でも一つ新鮮な印象を与えていた。

26428781.png
LOVE +PLUS【 ★★★☆☆ 】  2h
本編後のいつもの日常を描く。
詳細は下記。

・ゆら√
嫉妬したゆらの暴走劇、よくある日常シーンにある主人公のツッコミが小気味良い。
初めて猫忍を正確に使役する主人公が見られる貴重なシナリオでもある。

・たま√
『たま』が魔法少女に憧れることに端を発する一連の騒動を描く。
いつものドタバタとした日常の中にある『たま』のマイペースな様子が良く描かれており、シナリオとしても『人助け』をテーマに心が少し暖かくなるようなものとなっている。

・律√
真面目な律が普段の生活に申し訳なさを感じて頑張るお話。
頑張るけれど空回りしてしまう、それでも諦めない健気な律の姿はやっぱり可愛いく、ゆらと似たベクトルの子ですが、しっかりと違った魅力もある猫忍。

・マヤ√
子猫を拾ってきてしまったマヤ。
皆からの反対の中、半蔵と名前を付けて『忍猫』として育成することになるのだが――一匹の子猫と一匹の猫忍の織りなすハートフルストーリー。
子猫を育てることで成長していくマヤ自身も描く展開はまさに王道で、心温まるストーリーとなっていた。


[ 主人公 ]北上 春希
突然押しかけて来た『ゆら』と『たま』達との生活にも慣れ、彩羽の指示を聞きながら生活を続けている。
基本的に全員笑顔でいてほしい平和主義者で、仲が悪い二人であっても何とか仲よくしてほしいと願っている。
それ故に優柔不断な態度をとってしまうことも。


【推奨攻略順 : 本編→LOVE +PLUS(ゆら→たま→律→マヤ) 】
本編を先に終わらせてしまえば後は好きな順番でよい。


CG
前作同様の大衆的に受けやすい絵。
CGは全体的に質が安定しており、立ち絵に関しては過去作のものを使いまわしているものの、一部新規服装などが追加されている。
ピクピクと動く耳ももちろん健在、SD絵も数枚存在。


音楽
Vo曲1曲、BGM?曲(鑑賞モードがなかったため不明)
薬師るりさんが歌う主題歌 「catch your heart」はポップで明るい曲となっており、作品自体の雰囲気にもあっていてよい。


お勧め度
前作からより賑やかさを増したシリーズ物の2作目。
猫忍と過ごす癒しの甘いイチャラブ成分はそのままに、よりたくさんのキャラクターとの賑やかな日常が描かれており、前作が気に入った方ならプレイ推奨。
簡単だがあらすじ説明等もされるためこの作品かラ始めることも可能だが、、前作(なち編、彩羽編を含む)をプレイしていた方が楽しめるため、プレイを推奨しておきたい。


総合評価
ロープラ独自の短さはあるものの、それゆえに主題がはっきりしており纏まった印象を受ける作品。ただ、萌えゲーなのでこの評価にはなっている。


【ぶっちゃけコーナー】
猫忍達と過ごすトタバタラブコメライフがこれでもかと詰まった内容だった。
本当に一つ一つの動作が可愛いんだよなぁ…それが癒しに繋がってるってのがプレイしていて幸せな事なんだと思う。
あまり他の作品ではここまでっていうのはないからなぁ…。
猫好きだからこそ、ってのもあるのかもしれないけど。
それに関連してキャラクターが猫の擬人化(亜人)なわけだが、その行動ですごく”猫っぽさ”を表現しているのが凄い。
『たま』と『ゆら』がすごく顕著だけど、じゃれ合ったりケンカしたり、すぐにご飯に寄ってきたり気分屋だったり…。
猫好きにとってはこういう一つ一つの行動が堪らなく可愛いんだよな…。そのあたり『律』や『マヤ』が加わった事で表現の幅が広がっている印象も受けましたね。
後に地上に関して、結構慣れてきたんだと思うけれど、だからこその春樹の突込みいいな。
ともすれば全員ボケがちなんだけど、主人公の冷静なツッコミは結構この作品で面白い部分の一つだと思う。
シナリオと言えば驚かされたのが、LOVE +PLUSでのマヤシナリオ。
いやまぁ、展開は割と王道だったのだけれど、マヤ√でまさか泣かされるとは…。
動物物は弱いんですよね…そういうわけで、やっぱり動物好きな人にはプレイすることで得られる恩恵がでかい作品なのかも。

ae739232.png
タイトル : 猫忍えくすはーと(+PLUS なち編 彩羽編)
ブランド : Whirlpool


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]



キャラクター・シナリオ
「猫忍えくすはーと」シリーズは現在3作(2019年8月現在)
無印、そして追加販売されたなち編、彩羽編からなる作品。

人に近い容姿と獣をルーツとする異能の力を持つ『亜人』、そうした者たちはかつて『忍者』として時の権力者に仕えてきた…そして天下泰平となった現代に、古き盟約に従ってやってきた猫耳忍者の『ゆら』と『たま』。
一人と二匹の猫耳忍者が織りなすハートフルで、たまにバトルな日々を描いた作品。

3作分がまとまった内容となっているが、全体を通しても短い。
シナリオも割と簡単なものになっているためサクサク読めるはず、キャラクターを魅せるための物語となっているので、内容に過度な期待は禁物。


猫忍えくすはーと(無印)【 ★★★☆☆ 】  2h弱
『ゆら』と『たま』との出会い、そして二人との絆が結ばれるまでを描く。
基本軸はトタバタコメディ風味のシナリオとなっており、キャラクターの可愛さによる癒しやHシーンを重視したものとなっている。

作品自体の短さもあるものの、シナリオ自体もテンポよく展開していくため、飽きはこないだろう。
メインである二人のHシーンはもちろん多く、それだけに二人の絆が深まることを感じられる内容になっていることに加え、次回に向けての繋ぎとなるような部分で終わっている。

5eabb3dc.png
猫忍えくすはーと+PLUS なち編【 ★★☆☆☆ 】  0.5h、
『ゆら』と『たま』の姉である『なち』…主君が違う姉妹たちがケンカをしてしまう一幕が描かれている。
シナリオ自体は無印の続編となっており冒頭部分には本当に簡単な回想シーンも。
『ゆら』と『たま』にはない大人っぽさと、自分の気持ちに素直になれないツンデレなところはやっぱり可愛いお話でした。

82534cdd.png 猫忍えくすはーと+PLUS 彩羽編【 S- 】  0.5h
主人公のクラスメイトであり、『忍者』によって構成される組織に所属する女の子。

とある『忍者』に狙われた主人公を守るため、少しの間だけ一緒に過ごす日々を描いており、シナリオとしては無印の続きとなっていて、回想シーンも存在。
このシリーズで唯一の人間であり、常にクールな対応の彩羽が主人公との掛け合いで見せる反応は非常に初心で可愛い。
展開的には割と急な所があるものの、次回作(2)への繋ぎもある内容となっている。


[ 主人公 ]北上 春希
突然押しかけて来た『ゆら』と『たま』に対して、最初こそ拒否感があったものの、持ち前のやさしさと気の弱さで押し切られるように主従関係となっていて、その後は順調に仲を深めていき、かけがえのない存在となっている。
天然ボケしたかなりの平和主義者で、『なち』や彩羽にはあきれられているほどなのだが、大切なものの為なら勇気を出して行動することもできる。


【推奨攻略順 : 無印→なち→彩羽 】
各作品にシナリオ的分岐はほとんどない。
なち、彩羽のシナリオは無印

CG
細い線に淡い塗りで大衆的に受けやすい絵。
CGに関しては全部を合わせて一般的なロープライスの分量程度となっているものの、全体的に質は安定している。
特に立ち絵はピクピクと耳動く仕様になっており、可愛い。
SD絵も数枚存在。


音楽
Vo曲1曲、BGM?曲(鑑賞モードがなかったため不明)
薬師るりさんが歌う主題歌「la la for you」はテンションが上がる様な明るく勢いのある曲で、特にサビ部分は


お勧め度
3まで出ているロープラ系作品で、萌えゲー(及びキャラゲー)に分類される。
イチャイチャメインでシナリオ自体は薄いが、猫耳の忍者が出てくるということで、ネコミミ好きーな人にとっては垂涎の作品となっており、癒されたい人にお勧めできる。
分割商法作品ということで、抵抗がある方はもちろんプレイを推奨しないが、2019年現在はシリーズすべての作品がまとめられたものもあるので、そういうのを利用するのも手。


総合評価
典型的な萌えゲーでありエロゲー作品。
値段なりの粗もある一方で、他にはない強みがある作品でもあり平均の評価としている。

【ぶっちゃけコーナー】
萌えゲーだからね、ぶっちゃけも何もないんだけど。
やっぱりシナリオは短いなぁ…イチャラブシーンはもう少しほしいな~と思ってしまうけど、やっぱフルプライスと比べてるからかもしれない。
描写に関してもそうだけど、シナリオ展開も驚くほどないのには驚いた。
展開自体はしているんだけど、物語が進んでいない感じだろうか…? そのあたりさえ押さえてくれてれば、あとは猫の可愛さと女の子の可愛さが生む相乗効果を感じ取るだけともいえる。

c798f2e3.jpg
タイトル : 月の彼方で逢いましょう
ブランド : tone work's


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : EX!!    [-/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★★ [5/5]

キャラクター・シナリオ
『エンデュミオン』というスマホによって届けられた、かつての自分に向ける届くはずのないメッセージ、決して交わる事の無かったはずの二つの時間が交わることで、あの日に止まってしまった物語が再び動き出す。

2年生の夏を舞台としたスクール編と8年後の就職後を描いたアフター編、2つの時間軸を中心に描かれる総勢4人のヒロイン(3人のサブヒロインはアフター編のみ登場)の大ボリュームストーリー。

今作はタイトルにもあるように、各シナリオにおいて「月」が大きなテーマとして共有されており、各ルートで違ったアプロ―チをもって表現されている。
この辺りは流石という他ないのだが、一連の物語をもって『月の彼方で逢いましょう』で表現したかった世界観というのがすごく伝わってくる物になっていた。

スクール編では王道の学園恋愛物を主軸として甘酸っぱい初恋を描く。
青春を象徴するような学生だからこその行動やその心理描写が丁寧に表現されていて、時に切なく、時に全力でうれしさを感じられる内容となっている。
一方、一部の√においてはアフター編の伏線となるような描写もあり、アフター編への繋ぎを巧く行っていたように思う。

アフター編は各ルートにおいて非常にテイストが違うため一概に評すのは難しい。
その為に以下の批評は特定の√の批評となってしまうが、それでも恐れずに表現するのならば挑戦的な内容だったと言える。

今作で印象的なのは、作品の主軸と言っても過言ではない灯華√。
スクール編からの伏線を使用した物語展開は新鮮で、特に『エンデュミオン』というスマホを介して時間を超えたやり取りを行うという設定を使用した、時間系SFシナリオは一連の流れをもってとても美しく仕上がっていた。
日常の中にある非日常、誘惑の中にある危険性、そうした対比描写も作品に一段と深い世界観を与えており、作品自体の雰囲気作りの一端も担っているといえる。

今作で最大瞬間風速を記録したうぐいす√、彼女のシナリオに関してはネタバレをしたくないので詳しく語ることはしないが、魁さんの手腕が光った傑作ともいえる。
特に後半のうぐいすと主人公の心理描写はつらく、切なく、だからこそ切実で心を強く揺さぶる内容となっていて、感動させる演出と合わせて脱帽するほかなく、この作品の評価を大きく押し上げる要因となっている。
終盤の展開に多くの人が賛否を寄せるものの、設定を巧く使いきる展開であることや、主人公の心情を考えてみると、個人的にはこの終わり方が良かったのだと解釈している。

SF作品として完成度を押し上げたのが雨音のシナリオとなっている。
多くのシナリオで設定に大きく関わる『エンデュミオン』について、すべての伏線が改修されることは勿論、『家族』をテーマにした物語は心を温めてくれる内容となっていて、読後感を非常に良くしている。
多くの√で謎だった部分も回収されており、SF作品にとって矛盾が発生した時のデメリットが大きいことを鑑みると、√間での齟齬を無くすという意味で、大きく一役を買った内容ともいる。

各ルートにおいて『月』の捉え方や『エンデュミオン』といった設定の使い方がまったく違うところも面白い所、そうした√間のテイストの違いはある意味で複数ライターの弊害ともいえるのだが、決定的な破綻のようなものは無かったため、個人的にはあまり気にならない。
ただ全体としてのまとまりがあまりなく、だからこそ感想についてもどこかの√について語る他ない…というのが率直な印象でもある。

「こういう作品を作りたかった」という熱意が伝わる物語で、SF要素を加えたからこそのアンバランスになった所はあるが、今までの学園物では表現しきれなかっい、二つの時間軸を中心に展開した物語、過去と現在の対比やリンクして進む物語の描写はこの会社の作品ならではといえ、全体的な完成度の高さもうかがえる部分にもなっている。


共通√【 ★★★☆☆ 】  4h
前半となるスクール編と、後半となる就職後を描いたアフター編からなる。

スクール編は王道の学園物が主軸となっており、各ヒロインとの出会いは勿論、特に前半部分は不思議な転校生、灯華との日々をメインとして描かれている。
後半に関しては選択肢によって内容が大きく変わるため、各ルートを参照の事。

またアフター編に関しては灯華√と各サブヒロイン√はほぼ共通、それ以外のヒロイン√は全く別の内容となっている。
そのため、各√部分に追記している。

両編通してのシナリオは泣きシーンこそあまりないものの、各ルートにおける展開にも非常に密接に関わっており、その完成度は高い。


c82741f8.png
新谷 灯華√【 ★★★★☆ 】  3h
主人公の後ろの席にやってきた季節外れの転校生。
授業中はいつも寝ていたり、無断欠席や遅刻の連続もあってクラスからは浮いた存在となっており、悪い噂も絶えない。
掴み所がなく何を考えているかわからないクールな面がある一方、人との距離感が近く特にとある切っ掛けから主人公に対しては自由気ままにグイグイと引っ張ってゆく言動が目立つようになった。

スクール編で描かれるのは想像以上に切なく恋愛シーンであり、うぐいすへの尊敬と灯華への想いに揺れる主人公の心情が丁寧に描かれる。
同時に何かを秘密にしている灯華の様子も描かれており、作中においてもっとも伏線の深さを感じる部分となっている。

アフター編では8年後の社会人となった主人公が描かれている。
思い通りに行かない今の生活に息苦しさや失望を感じる日々、そんな主人公の元に一通のメールが来ることで物語は再び動き出してゆく。
『エンデュミオン』を介して送られる時を超えるメール、現在に手を伸ばしてくる『過去』の思い出と対比するように、展開してゆく『今』の物語。
過去と現在の両方から迫る事で明らかになる彼女の真実、二つの時間が密接にクロスオーバーさせられる描写は巧く組み立てられており、それらを活かしたサスペンス要素もあるSF展開はとても読み応えのある内容となっている。
シャープに感じる内容は一見すると淡泊なようで、その中に表現したい事実がギュッと詰まったシナリオとなっており、この作品自体のテーマを象徴する物語となっている。


f7bb1b83.png
日紫喜 うぐいす√【 ★★★★★  5h
主人公の所属する文藝部の部長。
創作活動はしておらず基本的に読み専門であるが、確かな知識に裏打ちされた批評は確かで、部員の書いた小説にアドバイスをすることも。
その見た目や優秀な成績、落ち着いた雰囲気から「出来る女」と勘違いされがちだが、本人は「普通」に扱ってほしいと願っている。

スクール編で描かれたうぐいすとの学園におけるは、設定からある程度思い描ける安定的な王道展開が主軸となっており、月の満ち欠けを思わせる恋愛描写と合わせて描写力の高さがうかがえる内容ともなっていた。
そしてアフター編に当たる部分では二人のその後の日々が描かれており、綴られる蜜月は月夜に照らされた時に「ホッ」とするような安心感を感じるシナリオとなっている。

『同じ景色の中、二人の速度で。』をテーマにした全体的に緩やかに進んでゆくシナリオが、後半において一気に塗り替えられる。
ネタバレを防ぐために多くは語れないが、ある意味「月」の冷たく暗い部分を感じるシナリオは文字通り魂を揺さぶる内容となっており、プレイ中には何度も涙を流し、時には嗚咽を漏らしてしまうこともあったほど心動かされるシーンが詰まっていた。
特に非常によく描けていたのが友人である二人や聖衣良、きらりの存在である。
ともすれば二人だけの世界になりがちな所をそうしたキャラクターが動くことによって開いた世界へと変てくれていた。
だからこそ、より如実にうぐいすや主人公の心情がより丁寧に、そして実直に描けてい他のではないかと思う。
終盤の物語のたたみ方についてはSF要素も入っており好き嫌いが分かれそうではあるものの、上記の内容を鑑みて高い評価をしたい。


caeaa88d.png
佐倉 雨音√【 ★★★★☆ 】  5h
外国人とのハーフで綺麗な金髪をした帰国子女の同級生。
両親が他界したため祖母の家で一人暮らしをしており、引きこもりな性格であるために人付き合いが苦手で、家でゲームばかりしている。
中二的な発言が好きで、時折意味不明な言動をするがが、成績は優秀で特にネットワークやコンピュータ関連の知識はズバ抜けている。

スクール編では人を遠ざけるクセのある雨音に対し、主人公が何かと構うことで物語が進んでいく。
特に前半から中盤にかけては、ボリュームたっぷりに二人で過ごす夏の日々が描かれており、時間を経るごとに絆を深めていく様子がしっかりと綴られている。
甘く描かれた夏の恋の物語から一転、後半は父との確執をテーマとしたサスペンス展開のあるシナリオとなっていて、伏線等を残しつつも一端の終わりを迎える。

アフター編においては雨音との結婚まで日々を描く。
さらに絆を深めた二人の蜜月が描かれる中、同時に展開していく『エンデュミオン』というスマートホンが紬ぐ『家族の愛』の物語。
思わず涙するシーンもあるなか『月虹』もテーマになった物語は美しく、それでいて心に響くような内容となっていた。
物語として、各ルートでも謎だった『エンデュミオン』の謎が紐解かれる√となっており、サイエンスフィクション作品として非常に巧く物語が畳まれていることを感じる内容となっていて、その読後感の良さも合わせて高く評価したい。


b565adfe.png
倉橋 聖衣良√【 ★★★★☆ 】  4h
主人公の遠い親戚にあたる年下の女の子。
両親が離婚して母親との二人暮しであり、母親の帰りが遅い日などに主人公のバイト先のブックカフェで一緒に過ごすことが多い。
そのため主人公の事を兄のように慕っているが、子供扱いされる事には不満を覚えている。

スクール編では聖衣良の抱えていたある悩みをテーマにしつつ、主人公への憧れが恋に変わる瞬間が描き出されており、特に子供から大人への過渡期における描写がとても良く、その展開も合わせて涙してしまうシーンもあった。
アフター編では進学の関係で押しかけてきた聖衣良との同棲生活をメインで描いており、綴られた甘い日々は聖衣良の魅力が伝わる一方で、彼女自身の成長を感じさせる部分にもなっている。
夢を追い続ける聖衣良の成長と主人公の葛藤がテーマになったシナリオではあるのだが、特に後半において展開的な盛り上がりがあまり無かったのが残念な所。


c84b5054.png
岬 栞菜√【 ★★★☆☆ 】  2h
主人公がアフター編にて担当する事になるプロの少女作家。
奥手な性格で職業柄引きこもりがちな生活を続けていることもあって世間知らずな所も。
加えて女子校育ちなため恋愛経験も一切なく、漫画にはそうした夢見がちな所が出ていたりもする。

個別√では急病で倒れた人のヘルプとして主人公が栞菜を担当することになる。
序盤は少女漫画家と新人編集者が二人三脚で漫画を作り上げていく葛藤がメインで描かれており、それとリンクするように展開していく二人の関係が見どころ。
漫画家と編集という関係を通して描かれた、学生時代のような恋愛シーンは初々しく、それでいてどこか忘れてしまったものへの憧憬の念を抱かせる物となっている。


8be28394.png
松宮 霧子√【 ★★★★☆ 】  1.5h
主人公が務める「よつば出版」の敏腕編集長。
スタイル抜群で性格も良く、仕事もできるため多くの部下からの信頼を集めているものの、仕事に熱中するあまり今年で35になり、結婚適齢期を過ぎてしまった。
客観性をもちつつ、妥協せずにやり切るというのが彼女の仕事の主義。

個別√では婚活会場にて取材目的だった主人公と親に迫られてしぶしぶ参加した霧子が偶然出会う事で物語が始まる。
偽の交際関係を半年続ける…そう約束した二人の関係が進展してゆく様子を描く。
特にこの√では霧子視点の描写が多く挿入されているのが特徴的で、年下の男性と付き合う女性の感情が丁寧に描き出されている。
簡潔シナリオにつまった社会人だからこその大人っぽい付き合いや初々しい二人の恋の様子、そして現実を考えた時の切ないシーンはそのどれもがとてもリアルに浮かび上がる。


d66c2710.png
月ヶ洞 きらり√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
大学時代にデビューした大人気の女流作家。
わがままで自由奔放、唯我独尊を地でゆくような人物であり、気難しい所もあるため担当となる人物を振り回すような言動が目立つち、男癖も悪いと業界内では噂されているが…。

個別√ではきらりの担当となった主人公が、自由気ままに振る舞う彼女に振り回されながらも、さらに彼女との出版を重ねていくことで個別√へ入ってゆくこととなる。
大人の関係が描かれたきらり√、作中では主人公の幼くも熱い行動も印象的だが、同時に作家と編集者の禁断の恋というテーマも取り入れつつ、主人公の編集者としてのやりがいに触れたシナリオとなっている。


[ 主人公 ]黒野 奏汰
学生時代は文藝部所属に所属しており、もっぱら書評等を行っていたが、実は作家を目指しており、とある話をテーマに作品を執筆し続けている。
アフター編においては、作家の夢を抱きつつも「よつば出版」で編集者となることが多い。


【推奨攻略順 : 灯華→きらり→霧子→栞菜→聖衣良→うぐいす→雨音 】
攻略ロック等はないものの、うぐいす√と雨音√は話の内容的にも後半に回すとよい。


CG
しっかりとした線に濃い塗りの立体感を感じる絵。
シナリオの分量に見合ったイベントCGの量となっており、平均以上の枚数が存在。
立ち絵に関しても同様で、キャラによってはスクール編とアフター編の2種類が存在しており、その差分数を考えると膨大な枚数と言えるだろう。
それでも質はすべて高品質のものが揃えられている。
また、SD絵は雨音のものが2枚だけ存在している。

音楽
BGM33曲、Vo曲8曲という構成。
芸術の粋と言っても過言ではないほどの完成度を感じるBGM、そのどれもが高品質であることは言うまでもないのだが、個人的に水月陵さんの作曲した「月の祝福」等を始めとしたピアノ曲はその旋律の美しさがよくわかる物となっており名曲揃い。
Vo曲に関しても正直どれが良いと選べないのだが、あえて特筆しておきたいのは「月ノ鐘」だろう。
中恵光城さんの透明感あふれる歌声とリズム良いサビ部分のメロディによって成り立つこの楽曲は、シナリオと併せた時の破壊力も合わせて高評価にしておきたい。
楽曲に関してはもはや右にも左にも出る物がなく、OSTやVCにこれほど価値がある作品もめずらしい。


お勧め度
今までのtone work'sにありがちだった学園物にSF要素を足した挑戦的作品で殆どの√において「月」というものがテーマに入った作品となっている。
過去作と同様にスクール編とアフター編からなる大ボリュームのシナリオによって作られるしっかりとした世界観は流石という他ない。
王道の流れを基軸にしつつプラスアルファの入ったシナリオと美麗なCG、そして完成度の高い楽曲という3拍子のそろった名作と言え、泣きゲーとしてもシナリオゲーとしてもお勧めできる作品になっている。


総合評価
一部挑戦的な内容であったことは確かだが、総じてみるとレベルの高いシナリオが集まっており、併せて楽曲やCGのレベルも高品質であったことからこの評価。


【ぶっちゃけコーナー】
凄く評価が難しい作品だと思う。
割と今回は上記までで思いっきり書いているからこれ以上伝えることは無くて、結局繰り返しになってしまうのだけれど、やっぱり挑戦的な内容でしたね。
王道の学園物にSF要素が入ったシナリオは他の会社なら一般的だけど、この会社の今までの方向性とは全然違う。
しかし革新には痛みを伴うものであり、だからこそ今までの学園物と大きく変えてきたところは好意的にとらえたい。
まぁあと、難しく考えないときにやっぱ泣けるんですよね。
とくにうぐいす√はやばかった…個人的に合の話が好きすぎるんだよな…感情移入してしまってたから、後半はずっと涙が止まらなかった。
正直一番最後の流れは「ええ…」みたいになった気持ちもあるんだけど、やっぱりあれはああいう終わり方でよかったんだと思う。
自分もあの立場になったらそう思うし、描写ではわかりにくいけど、本当に感情移入してみるとあのシーンはめちゃくちゃ泣けるんですよね…。
(プレイしていないと分からない感想で申し訳ない)
灯華はすごく象徴的で綺麗だった一方、SFを科学にもっていった雨音もやっぱり評価はできるのかな、泣きという意味ではそこまででもなかったけど、両方とも物語として読んでいて面白いのは確かだし。
そうなると聖衣良やサブヒロイン√がすごく違和感。
SF展開がなく主軸に絡まないから評価が難しかったのですが、単体で見た時は結構いい話…というか、聖衣良√なんかは今までの社風に合わせられた√だったしな。
そのあたりの作品的まとまりだけどうにかしたかったところだけどなぁ…こればっかりは難しい所かも。
ただやっぱり今回も「やってくれたな!」って思うくらい心に残るシナリオだったのは確かで、シナリオの感想としてはそこで占めておきたい。
あと、今回はさらに楽曲すごくないですか…!?
「月ノ鐘」とかうぐいす√と合わせて聞いたら、歌詞とメロディが涙腺破壊してくるよね…。
「月の彼方で逢いましょう」もサビの盛り上がり良すぎるし、これのピアノアレンジはめっちゃ泣かされるんんだよな。
『With Tomorrow』も全部出し切る様な夢乃ゆきさんの歌い方がめちゃくちゃ体に響く! オルゴールアレンジも最高すぎた!
BGMではどんまるさんやら水月陵さんとか好きな人めっちゃ多いし…ああ、この作品の評価にこの楽曲が大きく響いているのはもう間違いないわ。

20200317015008
タイトル : 抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?2
ブランド : Qruppo


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★★ [5/5]

キャラクター・シナリオ
衝撃的な前作「抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?」(以下、前作や1と表記)の熱狂的な人気によりファンディスクから2へと変貌を遂げ、発売に至ったのが今作である。

シナリオ前半は、前作におけるTRUE√の続編ということで主人公と今作のヒロインであるSSビックスリー(桐香、礼、郁子)たちが並行世界に飛ばされてしまうSenzuripoint: Paccoman√(以下SP√)が用意されている。
そして選択肢によって各√に分岐することになり、中軸をSP√の内容にしつつ、各キャラとのショートシーンが挿入される形でシナリオが展開され、後半は各キャラの完全個別シナリオが別に用意されている。
また、それとは完全に別の形で、前作ヒロインのアフターストーリーに加えて、主人公の妹である麻沙音√なども追加されている

相変わらず下ネタを使った笑いのシーンが日常シーンで氾濫している今作。
笑いのネタ自体も一辺倒な下ネタだけではなく、旬のyoutuber関係等のトレンドを如何なく取り入れつつ、古いゲーム(前作で使われなかったもの)のパロディネタが巧妙に仕込まれたもの等、多く登場しており前作同様かそれ以上に、笑させてくれていた。
特に前作で各キャラの性質が固まったためなのか、各キャラ同士のやり取りが洗練されテンポの良いボケとツッコミが実現されている。
なかでも設定的に今まで絡めなかったキャラも多いため、今作での掛け合いによって新しい一面を発見できるような事も多く、特殊な化学反応も起こしていたように思う。
そういったものを前作の雰囲気を引き継ぎつつ、大切にされていた雰囲気を壊さずに『新しい面』という形で描けたという事が非常に重要であり、この点に関しては単に『笑い』という点だけではなく、キャラクターの魅力を描写するという点を考えても強く関連しているように思う。
日常シーンにおいてはドスケベワードを連呼するギャグゲーとしての要素が強く出た作品ではあるが、同時にキャラゲーとしての要素が強い作品だからこそ高く評価している部分でもある。

今作のメインシナリオとなっているSP√について、テーマ自体は前作でも少し取り扱われていたマイノリティとテーマにした話となっており、続く復讐の怨嗟、その権利と正当性そして理解する努力と理解されようとする努力、そういった一連の『戦い』を描いた熱き物語の側面も持ち、前作の話が前提にあるからこそ踏み込める諸問題の解決の糸口になる様な描写がなされている。
上記の笑いのシーンからは考えられないほど深い考察性を持ったシナリオが18禁で出ること、18禁だから出来たことを考えるとその意義を強く感じる部分でもある。

また新ヒロインであるSS√について、どのキャラクターも前作で十二分に活躍をしていたが、一部設定等は仄めかされるのみで、深く言及されることはなかった。
今作ではそういった部分も十二分に描かれており、特に前作でその境遇が少し取り上げられている礼に関しては泣けるシーンも多かった。
また、敵だった彼女たちが味方になるからこそ描けるシナリオはある種のIFストーリーのような側面もあり、新しい一面が発見できるという部分だけではなく、前作のオマージュのような雰囲気もあるシナリオになっている。
勿論、そうしたシナリオの面以外でも目を見張る所があり、一部の”約束”をしっかりと守っていたり、ネタにも全力を出せるということを見せてくれていた。

各キャラのアフター√についてはFDのような側面が強く、追加された主人公の妹である麻沙音√も含めて、笑い溢れる日常の中でさらにそのキャラクターについて深く掘り下げるような描写が多かったように思う。
しかしながら文乃√や奈々瀬√のように続編だからこそ描けるシナリオもあり、総じての評価はやはり高いという他ない。

絶大な人気を博した1作目、その続編だからこそ描けるシナリオ。
各キャラの特色をさらに濃くしたシーンの連続、そして把握するのが困難なほどのパロディネタの連発と笑えるシーン。
前作でも魅力だった熱く燃え滾る様なシーンや展開、深く考えさせられるテーマ、ふとした瞬間に描かれる甘いイチャラブシーンや、心が締め付けられるような切ないシーン、そして今までの思い出があるからこそ描ける幸せなハッピーエンド、語りつくすことのできない魅力が詰まったシナリオは、まさしく伝説の作品の続編に相応しい。


Senzuripoint: Paccoman√【 ★★★★★  5h
本編アフターシナリオとしてスタートする。
とある切っ掛けで並行世界へと転移してしまった淳之介とSSメンバーの3人。そこは主人公がSSの副会長となった世界で――唐突な異世界転生に戸惑いながらも元の世界へと戻るため、4人力を合わせることにした。

強烈な印象の真メンバーを加えて、溢れんばかりの下ネタとパワーワードが奔流する日常シーンはそのままに、帰って来たあのキャラクター達との少し懐かしく、それでいて新鮮な掛け合いが本編を盛り上げる。

不安が入り乱れる前半、笑いの成分が多くサクサク読める内容である一方、中盤から後半は手に汗握る様な燃えるシーンの連続。
笑いを取り入れつつも、その中で取り扱われているテーマは1作目で触れられていた事を再度考える契機とするような、非常に深く考えさせられるものとなっている。
物語の起承転結のすべてが非常に巧く働いたシナリオとなっており、感情を強く揺さぶることを感動というのであれば、この作品のこの√は、大量の涙こそ流さなかったものの、大きく感動できる物語であると言える。
作品の屋台骨に当たる部分でもあり、その完成度の高さは高く評価している。


46772285.png
冷泉院 桐香√【 ★★★★☆ 】  3h
SS代表兼水乃月学園生徒会長。
ずば抜けた処理能力の高さで通常業務は勿論作戦立案、一騎当千の戦闘力をもって直接戦闘までこなす。
前作ではその絶対的カリスマでSSを導いた張本人であり、底知れない物がある彼女だったが、今作では同棲生活によって違った一面が見えてくる。

何をやってもどんくさく、無神経で人を怒らせる、淳之介をして「アサちゃんより何もできない」と言わしめるほどで、個別√ではそんな彼女の世話を焼くことになってゆく。
庇護欲を煽られるダメダメっぷりと、その初々しくも愛らしい反応、そして時折出るはんなりとした京都弁の化学反応はすさまじく可愛い。
キャラクターの魅力を描く一方で圧倒的な存在として描かれていた桐香のそうしたアンバランスで歪な危うさ、そして抱えている孤独、今作や前作で不明だった彼女の行動理由などが明かされるシナリオにもなっている。

また設定を活かしたギャグシーンも豊富で、特に駄目リーダー同士のやり取りに関して、周りのサポートが厚く感じるシーンが多く、ヒロインである桐香以外にもNLNSやSSの面々に満遍なくスポットが当てられており、そうした意味でもひときわ賑やかに感じる話でもあった。


1842fea0.png
糺川 礼√【 ★★★★★  3h
学園の風紀委員長でSSのナンバーツー。
この人が生み出したパワーワード、作品における半数くらいは占めているんじゃないか? と真剣に考えてしまうくらい濃いキャラクター性、何よりも面白いのに可愛いという反則級の存在。
戦闘スタイルと同様、ボケとツッコミのどちらも担当できるオールラウンドな立ち居振る舞いは前作から今作まで、様々なシーンで活躍していました。

生真面目で仲間想いでヒナミが好きで…、だからこそ笑顔の裏に多くの悲しみを抱えて、心を殺して大事な人のために生きてきた彼女。
SSの隊長として行ってきた事、その清と濁をごちゃまぜにしたような辛く悲しい物語の果てにある恋愛のお話。
語られることのなかった過去やそしてその思いが綴られたシナリオはある種このコンテンツのタブーにも真向から立ち向かっている。
この√で特に活躍するヒナミや奈々瀬の名シーンと合わせて、どこをとっても本当に泣けるものとなっていました。
心から彼女に幸せになってほしい、そう素直に想える良いお話でした。


f5babd3d.png
女部田 郁子√【 ★★★★☆ 】  3h
郁子が…可愛いだと…?(失礼

SSの一番戴隊長であり、隊内最強をほしいままにするドスケベ女、今作では以外にもツッコミという形で各部で活躍する姿が印象的だった。

そんな彼女について、1作目で語られることのなかった彼女の境遇や、その魅力がギュッと詰まったシナリオとなっている。
意外な一面として、意外と仲間を思いやり行動することが多い事や、他にも彼女の方言は新しい扉を開いていましたね。
笑って、笑って、笑って、やっぱりエロくて…一つの壮大な音声作品を思わせるような予想できない展開は最後の最後まで楽しませてくれました。

こんな語彙力でしか説明できないなんて…!
「いや、負けてないが!?」


e172f454.png
橘 麻沙音√【 ★★★☆☆ 】  2h
引きこもりで面倒臭がりで、兄に依存する引きこもりの同性愛者。
1作目から希望の多かった主人公の妹√がついに実現。

個別シナリオはSP√の後日談として物語が始まり、過去のしがらみや麻沙音自身の成長をミニテーマとした物となっている。
作中では多く見られた早口で捲し立てるようなセリフは勿論、前作では見られなかった一面も多くみることができる、麻沙音の魅力が詰まったシナリオと言える。


1ff4df7e.png
渡会 ヒナミアフター√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
天然ロリとして元気をくれる一方、大いなる母性による癒しも与えてくれるヒナミ。

そんな彼女のアフターシナリオは、魑魅魍魎がそろっているようなシナリオの中で、癒しの成分が多いためか割と展開自体はおとなしめ。
しかしながら、1作目の流れもあって礼については触れられており、2で明らかになる設定の項目も含めての描写が行われていた。

皆に愛されそして皆を愛してくれるヒナミだからこそ、平穏と幸せの象徴として


471274bc.png
畔 美岬アフター√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
どの√でもさらに進化した(悪化した)超弩級の異常者として扱われる彼女。
個別√では本編アフター後の相も変わらずド変態の美岬が存分にみられるお話となっている。
特に暴走しつづける主人公と美岬に対してツッコミするアサちゃん、という構図が完成しており、そのテンポの良さや扱っているネタの鮮度と勢い等も合わさって笑いということに関しては他の追随を許さない。
二人が綴るハチャメチャな美岬のための美岬による美岬のシナリオは「ぬきたし」という魅力ある作品の一端が垣間見える内容となっている。

…しかしまぁ、ヒロインなのにこれほど萌えシーンがないのも珍しい。


6baf4036.png
片桐 奈々瀬アフター√【 ★★★★☆ 】  2h
各ルートでは着々と「お母さん」化が進む奈々瀬。

シナリオ自体は本編の続きということで、ドスケベ法が潰れたその後の日々がNLNSやSS達の面々たちを交えて描写されている。
すっかり筋肉至上主義に染まった主人公と、完全に母親化してしまっている奈々瀬、そんな二人への周囲のツッコミが非常に面白く、日常シーンをにぎやかに盛り上げている。
一方で、イチャラブシーン自体はは甘く、幼馴染として、恋人として、相棒として、常に主人公の最高の理解者としての奈々瀬が描かれる。
誰しもが虜になった「なのだわ」の口癖だって何度も聞ける奈々瀬好きにとって垂涎の√となっていると言える。
また終盤には驚きの展開も待っており、こちらも非常に”ニクイ”演出と言えるだろう。


4f37b687.png
琴寄 文乃アフター√【 ★★★★☆ 】  2h
子犬のような可愛さと忠誠心を持つ薄幸の美少女。
前作からさらに魅力を増すことは勿論、前は見ることのできなかった彼女の色々な表情を見ることができ、特に桐花との絡みのシーンや父親である仁浦氏とのやり取りでは怒っている姿や拗ねている姿など色々と新鮮味のあるシーンも多い。

アフターシナリオ自体は本編TRUE後、さらに今作のSP√後の設定で物語が進み、まだどこか距離感がある二人に対してNLNSとSSの面々が一計を案じる。
その詳細はネタバレとなるため伏せることとするが、とにかく彼女に関しては『尊みが深い』という言葉以外に出ない…。
特に猫×文乃はヤバイ…新しい扉を開いてしまう…!

辛い日々が続いていたからこそ、この幸せな日々で上書きしてほしい…そうして幸せな姿を見ることでこちらも幸せになり、なぜか涙が出る、そんな風に自然に想えるシナリオとなっていた。

また最終版ではエピローグとしてとある未来のワンシーンが添えられている。
これを見るためにプレイしていたといっても過言ではないほど、誰もが「見たかった」シーンであり、同時に達成感を得られるものとなっていた。
そういう意味では、真に2の面目を果たすシーンでもある。


【推奨攻略順 : 郁子→礼→桐香→奈々瀬→ヒナミ→美岬→麻沙音→(その他→)文乃 】
初回の攻略では麻沙音√等が攻略できないが、それを覗けば自由に攻略可能。
また全ルートを終わらせることで文乃√の後にエピローグシーンが追加されるため確認を忘れない事。


CG
前作同様に線が細く濃い色、平面感の強いCGが印象的。
新規追加のCG枚数自体はそこまで多くないものの1枚1枚の完成度が高く、またHシーンはキャラ数の関係もあり相当数が用意されている。
その他、背景や立ち絵(新旧キャラ含)など一部が追加されている。
SD絵も数枚存在。


音楽
BGM9曲(Inst含)、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
新曲として9曲が追加されたBGMは前作の物を合わせて作品を演出している。
Vo曲に関して、EDは前作のもののアレンジを流用しており若干新鮮味に欠けるもののその質は確か。また、夢乃ゆきさんの歌うOP「BWLAUTE BEIRRD」は動画自体のクオリティも相まって前作以上に燃える名曲となっている。


お勧め度
前作の雰囲気を引き継ぎつつより一回りも二回りも大きくなって帰ってきた作品。
「FD」から「2」になった経緯を持つ作品ではあるが、その世界観を壊すことなく、予想を大きく上回る形で製品として完成している。
前作が好きだった方は問答無用で購入を薦めるのは言うまでもなく、シリーズ未プレイのかたは1からのプレイを猛烈に薦めたおきたい。
泣きゲーとしても、萌えゲーとしても、ギャグゲーとしても、燃えゲーとしてもお勧めできる名作の一つに名を連ねた。


総合評価
全体の完成度、とくに前作からの期待を背負っての「2」という作品であるということを鑑みても、十二分にその期待に応えたという事で文句なしの高評価。


【ぶっちゃけコーナー】
正直、あまりレビューになっていないというか…このシリーズ作品の1作目をやった人なら迷いなくプレイしていいってことしか言いようがない。
少なくとも、そのほか多くの作品にある様な2で失敗みたいなのはない。
(以下限界オタク化してますので省略推奨)
とにかく新キャラも含めてキャラクターが皆『良い』んだよなぁ…w
シューベルトは主人公の初めての友達として、見ていると幸せになるし、あいつのデータいつも無くて面白いし。
スス子は「ボクはトモダチ」みているから、あいつにしか見えないんだけど、スッス言うてるの可愛いし、突っ込み不足のこの世界で重要なツッコミ成分だし。
鳥は意味わからないけど面白いし、凛にもっと向かって行ってほしいし…
水引ちゃんはいろいろあるけど、やっぱりいいキャラしている。
他のキャラにはなかった色をこれでもかというほど持っているのが本当に面白い、後本当に約束守ったなスゲェな…。
県知事とかあの老人とかあの姉妹とか、敵だったり味方だったりいろいろなシーンでいろいろな立場があるけれど、今作で人間味が凄い出てて好きになれた。
郁子はドスケベなだけだと思ってたけれど、以外にも思慮深くて、あとひたすらにツッコミをこなし続けている姿が好きでした、あと方言ヤバイ。
礼先輩はこの作品で一番好きで、ヒナミ限界オタク化しているのも可愛いし、文乃とか小さい子に弱いのがすごく好きでした。
あと焦ってるシーンとか、スイッチ入るととんでもない事言い出すところとか、主人公に甘えている所とか好きすぎて困る…ふと我に返った時のツッコミおもしろいし、あと個別√めっちゃ泣けた!!
桐香はすごく印象が変わったな、絶対的な存在が強かったからあんなにポンコツ可愛いとか思わなかった、人の心わからない所を皆に責められたり、文乃から説教されて落ち込んだりするところも可愛かったな…あと方言ヤバイ。
奈々瀬は礼先輩と同じくらい好きなキャラで、主人公の相棒ポジションに完全に収まっている感じが好きすぎて困る、後前作であまり見られなかった「なのだわ」って口癖がめっちゃみられてうれしすぎて困るのだわ…。
あと完全に母親化してましたね、後個別√の最後の展開が好きすぎて泣いた。
ヒナミは元気なところ見られるのが本当に幸せ、礼先輩のこととかあるからなおさら…ママっぽさがあるのもよい、あとシモネタについていけないけど同意していたりするところ可愛すぎだろなんだよ、でも結局はそれを見ていて幸せそうな主人公と奈々瀬と礼先輩が幸せそうなのが良いあと酒飲んだ時が一番意外過ぎ。
美岬は狂気、どの√でもネタ要員。ある意味で最高の活躍をしているキャラだと思う。個人的に好きとかどうこう言えるキャラじゃなくなっている。滑っても滑ってなくても、アナル言うてたらめっちゃ面白いキャラじゃん…。
麻沙音はあの早口が凄く滑らかで驚く、今作は結構彼女自身の話みたいなところもあって、その成長みたいなものが見られたのがすごく嬉しかった。あと夢かなってよかったな!
文乃はもうね…普通に笑ってくれるだけで幸せで、普通のシーンなのに泣いてしまう…やっぱり今までの事があったからかなぁ…桐香や仁浦知事に対しての反応が可愛すぎて死ぬ、後ラストシーンは幸せすぎて尊みが深い。
(以下限界オタク化終了)
前作の雰囲気は勿論踏襲したうえで、続編だからこそ描けるキャラクターのその先の魅力、さらに強化されて戻って来たネタシーンやドスケベワードの乱打、熱く燃える展開や泣けるシーンもきちんとある…正直な話、1作目だけの単発花火かと思っていたのですが、2作目は予想をさらに超えてきてくれた。
これほどまでにキャラとシナリオが合致し高レベルの品質で出来上がった作品はなく、歴史に残るレベルのキャラゲー・ギャグゲー・シナリオゲーと言っても過言ではない。
語りたい内容はとにかくたくさんあるのですが、多分レビュー読むよりもプレイしたほうが良さがしっかりと分かるはず。

167e1170.png
タイトル : ココロネ=ペンデュラム!
ブランド : クロシェット


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]

キャラクター・シナリオ
マギアと呼ばれる異能が発現した世界、そんな人々を研究するため能力者を集めた最先端学術研究都市「しずかの海学園」をを舞台としたイチャラブ学園ラブコメ作品。

物語の主軸はマギアという異能をテーマにしており、特に共通ルートに関しては設定の説明は勿論、展開においてもそうした部分が色濃く出ていたように思う。
しかしながら、各個別においてはいくつか差があるものの、わりとイチャラブ要素がメインとなっており、基本軸にあるのはシンプルな学園物となっていた。
そのため作品自体の物語の起伏があまりなく、良くも悪くも平坦なものとなっている。

テーマとなっているマギアという異能に関して。
設定的には非常に巧く使われており、特に主人公の「他人の心を読む」という異能は普段、秘されているヒロイン達の心情を巧く描き出すためのツールとして使われていた印象が強い。
そのため、作品としても内面にフォーカスをあてた展開が多く、その中でも人と人の繋がり(とくに家族)をテーマにした内容が多かったように思う。

物語の起伏の無さと内面をしっかりと描いているということに対して、魅力的なヒロインを魅せるという意味では機能的に働いていており、キャラゲーとしての側面もある作品となっているように思える。
一方で、シナリオについてのみスポットを当ててみると、個別√間での話の相互性が取れない事があったりと、ぶらしゅアップが必要な部分もありあまり高い評価ができないのも確か。


共通√【 ★★★★☆ 】  4h
久しぶりに故郷に帰って来た主人公と澄香の出会い、そしてそこで巻きこまれる一連の事件の解決までが描かれている。
シナリオの前半はこの世界における特殊な設定の言葉(マギアやオブシディアンゲート)が出てくるものの、展開自体は割とわかりやすくテンポもよいためサクサク読める。

序盤から中盤にかけては、ヒロイン達からの好感度自体はそこまで高くないものの、各キャラクターがメインイベントと共に、主人公の心を読む能力を活かした展開で、ヒロイン達の知られざる魅力をも描いたハプニングありの学園ラブコメのシナリオとなっている。


de3ceedc.png
神代 澄香√【 ★★★☆☆ 】  2.5h
主人公のクラスメイト。
心に裏表のない純粋な心の持ち主で、学園長の娘という立場であっても奢らず、多くの人のために親身になってくれる優しい心の持ち主。
一方ドジをすることも多く、親友の千早によく心配されている。
マギアを持つ生徒とそうでない生徒の架け橋となる為「特設学生部」を作り、日夜雑用をこなしている。
彼女の持つ「セイクリッド・ロウ」は治癒魔法にあたるが、謎も多いマギアでもある。

物語の前半は澄香の願いを叶えるために「静かの海学園」で初となる学園祭――交流祭の開催に向けて行動することに。
後半にかけて明らかになる主人公の両親の足跡や事故の様相も絡み、主人公や澄香のマギアを活かしたハッピーエンドのストーリーとなっている。
何よりも『人の為』に頑張る澄香の姿は純真で、そして何よりその大きな包容力が主人公の中にある澱を溶かし、互いに恋愛を楽しむ様子が甘く輝く日々として描かれている。


53615fca.png
小町谷 菜砂√【 ★★★☆☆ 】  2.5h
主人公の妹であり1年先輩の2年生。
彼女のもつ能力「フレイム・タクト」は非常に強力かつ優秀であり、本来は最上級生が行う実技授業の監督も行っており、頼れる先輩として後輩からの信頼も厚い
もともと大のお兄ちゃん子であったが、長い事寝ていた兄に思うことがあるようで、いまは感情を素直に表せず冷たい態度をとることが多い。

個別√前半は「兄妹での禁断の恋」という部分に軽く触れつつ、学年が一つ上の「先輩」という立場と「妹」という立場の間で揺れ動き、素直に感情を表すことができない菜砂の感情が描かれている。
だからこそそうした葛藤を吹っ切り、今まで甘えられなかった分の溢れんばかりの愛情を示そうとする菜砂がとても可愛く魅力的に映っていた。
後半は甘く蕩けるような日々を過ごしながらも、二人の両親について調べてゆく、学園の未来も絡めた展開となっている。


2bb9bc24.png
帯刀 千早√【 ★★★☆☆ 】  2.5h
主人公と同じクラスの少女。
澄香の親友でもあり、ドジをする彼女のフォローをしようと常に立ち回っている。
生真面目な性格をしているものの、意外と弱点も多い。
実家が道場を営んでおり、千早自身も剣の腕前も相当なものとなっていて、彼女の持つ高速移動を可能にするマギア「ライトランス」とと合わせた時の戦闘力は高い。

シナリオ自体は一部複雑なところもあるが、ザックリ言うと彼女の特技でもある「居合」と能力である「ライトランス」を絡めたものとなっており、未来に向かってゆくような明るい展望を感じさせるシナリオとなっている。
責任感が強くいつも凛とした表情をしている千早、主人公の能力を巧く活かし彼女が秘めている想いが良く伝わる描写は非常に甘く、特に無自覚に千早を口説き落としていく主人公と妄想が暴走する千早、そんな二人の恋する様子はニヤニヤが止まりませんでした。


8c638231.png
綾森 リールゥ√【 ★★★☆☆ 】  2.5h
「エラン・ヴィタール」という猫の特性を体に付与する能力を持ち、。
楽しい事や動くことが大好きで、自由気ままに過ごす猫のような少女。
天真爛漫なように見えるが、意外と周囲に気を使うムードメーカーでもある。
お菓子が大好きな他、つむりのラボで過ごすことも多いが、日当たりの良い場所で日向ぼっこも良くしていたりも。

共通での一件で他人を助けるということにやりがいを見出したリールゥ、個別√ではそんな彼女とそれをサポートする主人公にフォーカスを当て、だんだんと心惹かれてゆく様子が描かれている。
距離が近くなることで明らかになっていくリールゥの抱える悩み、人と人との繋がりをテーマにしたシナリオが賑やかで楽しくすこしHな日々と共に綴られる。
元気で活発なリールゥの笑顔が他人をさらに元気にする笑顔の連鎖、そんな彼女の魅力が良く伝わる√となっていました。


c83615b7.png
館ノ川 つむり√【 ★★★☆☆ 】  2.5h
特別に研究室を与えられている少女。
マイペースで無気力、こたつの中でだらけていることが多いが、自身の興味がある事に対しては好奇心旺盛で実験しようとしたりと暴走することも。
能力は「アイス・エンクレーバー」という氷を操るマギアを持つ。
リールゥとは無二の親友。

個別√では、つむりの実験に主人公が付き合う事で物語が進展してゆき、二人協力することで明らかになってゆく『マギア』と『ゲート』の関係は、つむりの母や主人公の能力も絡めた内容となっている。
恋愛描写においては、研究的好奇心から恋愛へと変わる様子が充実したHシーンと共にしっかり描かれている。
無気力な印象のあるヒロインではあるものの、付き合う前も付き合ってからもグイグイくるエロ可愛い子である。


[ 主人公 ]小町谷 総司郎
マギアを得る神託の際に2年という異常に長い期間眠ってしまっており、そのため妹の菜砂よりも下の1年生として学園に通うことになった。
心を読むことができるマギアを持つが、巧くコントロールすることができず、日々副作用である頭痛に悩まされている。
基本的には前向きな考え方だが、能力に対してコンプレックスもあり消したいと願っている。
祖父祖母の家で生活していたおかげか、趣味や料理が年より臭く、そしてシスコンで無類のおっぱい好きでもある。


【推奨攻略順 : リールゥ→つむり→千早→菜砂→澄香 】
√を入れ替えることでネタバレになる事はなく、攻略順に特に指定はない。
好きな順番で攻略するとよいだろう。


CG
しっかりとした線に濃い塗りでとても煌びやかに感じる色彩に、むっちりとした肉感を感じる絵は高品質。
セリフの途中でコロコロ表情の変わる立ち絵や賑やかなエフェクトも作品の魅力の一つで枚数も十二分にあり、この絵の為に作品を購入する人にとっても満足できそうな内容になっている。


音楽
BGM25曲、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
満遍なく揃えられた印象の強いBGM、特に「朝ご飯はなんだろう?」のような日常系のBGMが非常によくできており、作中の落ち着いた雰囲気を演出する役割を担っていた。
Vo曲はどちらもAiRIさんの楽曲、個人的には特ににED「光よ、そこで見守っていて」が好きで、中盤にあるコーラス部分がとても透明感があり綺麗。


お勧め度
設定に特殊な異能力なども出てくるが、基本的にはイチャラブメインの学園ラブコメ作品で、萌えゲーとしてまたはエロゲーとしての資質が高い。
ただシナリオに関しても、平坦っぽさはあるものの、内容が薄いわけではなく、十分読める内容になっているので楽しむこともできるだろう。


総合評価
絵などの質は高いものの、シナリオとしては割と平凡で評価としては抑えめのこの評価となっている。


【ぶっちゃけコーナー】
この作品の最大の魅力はやはり絵とキャラクターなのだろう。
5キャラ各5シーン程度のHシーン等、そのあたりの描写が充実しているあたり、作品の内容と合わせてお勧めされやすい部分なのかもしれない。
シナリオに関して言及すると、個人的にはクロシェットの作品というとやっぱり特殊能力を巧く活かした展開が見どころ…というのが印象に強い。
今作でも「マギア」と呼ばれる特殊能力が出てきており、各シナリオでちゃんと活かしたシーンがあるのですが、如何せん展開的に起伏がなかったのも確か。
上記で書いた通りイチャラブメインの作品であることや、心理描写に重きを置いている作品でもあるので、そう感じてしまうのかもしれません。
ただ、そうした背景があるにせよ、もう少しヘビーな展開をいれて核心に迫った内容にしていれば…と思うキャラクターがいるのも確か。
またキャラクターによっては作品の設定に深く関わる部分に触れているものもあり、そうした部分の伏線(?)回収をきちんと行っておくことや、せめて各ルートで話を進めることですべての背景がわかるようにしておくだけでも印象が変わった気がする。
そのあたりはどこをメインに描くかという部分で変わってきそうだが、この作品のシナリオを考えると、やはりのそのあたりに深みを持たせないとどうしても浅い作品に見えてしまう。
完全に個人的な感想ではあるものの、平均的な評価になってしまったのはそのあたりが原因。

44560b2e.png
タイトル : 宿星のガールフレンド3
ブランド : mirai


シナリオ : ★★★★☆ [4/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★★☆ [4/5]

キャラクター・シナリオ
宿ガルシリーズ三部作の最終作品となる今作、メインヒロインとなるのは夕里たちの後輩である「佐竹鹿子」となっている。
シナリオについては基本的に設定のみを前作から引き継ぎ、マーヤの一件が主人公抜きで解決し、3年生となった時点からスタートする。

シリーズとして最後の作品ではあるものの、シナリオ自体は今まで同様の勢い重視の展開となっており、笑える日常シーンが中心となりつつも、例えヘビーなシーンになってもボケなどが入り全体的に明るめの内容となっている。
短くまとまった内容は非常にわかりやすく、そういった点では非常にライトに読み下せる内容となっている。

この作品の最大の魅力でもあり、シリーズ続けてのコンセプトにもなっている「1m以内」での同棲生活について。
今作のヒロインである鹿子は今までとは違い一つ年下の『後輩キャラ』、シチュエーションこそ似ているものの、その雰囲気は一味違ったものとなっている。
一見するとクールな鹿子にあった意外な一面を始め、同棲生活だからこそわかる彼女の魅力、様々な出来事を切っ掛けとして深まってゆく関係、そうした同じ時間を過ごし心を通じ合わせてゆく描写が甘く描かれている。

特に後半に関してはイチャラブ成分が非常に多くなっており、キャラゲーとしても萌えゲーとしても非常にクオリティの様作品となっている。


【推奨攻略順 : 無 】
選択肢はあるものの物語への寄与はなく、1本道。


CG
のっぺりとした全体的に丸みを感じる、淡い塗りの絵。
ロープラ作品と言うこともあり、枚数に関してはどうしても抑えめになっているもののHシーンだけでも10シーン用意されている他、各CGの質も良い。
前シリーズ同様、立ち絵には目パチ機能がついている。


音楽
BGM16曲、Vo曲2曲(OP/ED)と言う構成。
前作ではBGMが14曲であったため、新規追加のBGMは2曲。
なんといってもVo曲、犬山たまき(佃煮のりお) の歌うOP「もう一度 Take My Heart!! 」は作曲・編曲がゆゆうたさんと言うこともあって話題性もたっぷり。
一方EDの「星屑メリーゴーランド」甘い恋を歌い上げた良曲となっている。


お勧め度
話的には全シリーズと繋がっていないものの、設定等は共有されているため今までの作品(少なくとも1、2のどちらか)をプレイしておいた方が楽しめるのは言うまでもない。
しかしながら、設定を含めて過去を振り返るための選択肢なども用意されているため、単体で楽しむことも可能と言えば可能。
シリーズとしての体を崩すことなく勢いのあるシナリオに萌えゲーとしての要素もしっかりある作品で広くに勧めやすい作品となっている。


総合評価
ロープライス作品としての評価にはなるものの、短くまとまったシナリオにコンセプトのしっかりとしたテキストは読みやすく受け入れやすい内容となっている。


【ぶっちゃけコーナー】
シナリオに関しては割と上記で書いた通り。
今までのシリーズ作品が好きな人であればあまり文句も出ないだろう。
良くも悪くも勢い重視の中身の無いシナリオにはなっているが、キャラクターの可愛さを前面に出す作品なので問題ないと言える。
ギャグに関しても単発の物を多く打つということに注力しており、プレイヤーとして十二分に楽しめる内容になっていた。
あえて残念な所をあえて挙げろというのならば、シリーズ最終作と言う感じがあまりなかったところだろうか。
プレイをし終えての読後感というのはかなり普通で、シリーズの最後を感じさせるシーンや描写がなかったのは特徴的ともいえる。
シリーズ作品としての何か答えみたいなものがあれば、という視点からの感想なのだが、そもそもメインコンテンツの重点がそこにない。
ここに関してあまり重く書きすぎると萌えゲーとしてもキャラゲーとしても楽しみにくくなり、そうなると本末転倒ともいえるため、やはり蛇足的な指摘といえるだろう。

6feaa235.png
タイトル : 流星ワールドアクター
ブランド : Heliodor


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
キャラクター・シナリオ
舞台となるのは多くの人種が入り乱れる第七共和国、その多様性が日夜複雑な事件を発生させいる。
そんな国で働くダメ刑事の主人公・ルカ、そして新米刑事として配属されてきたやる気たっぷり(?)エルフ族のクラリス、そんな異色の二人が数々の事件に対面し解決に向けて奔走する物語。

設定こそ特殊だがすっきりとしたテキストは読みやすく、何よりもグイグイと世界観に引き込まれてゆくような展開の連続は流石という他ない。
特に気だるげな主人公や登場するヒロイン達の魅力も合わせ、今作の世界観に関しては非常によく作られており、こうした部分がシナリオに寄与した部分は非常に大きかった。
発生する事件と示される伏線の数々に翻弄されつつも、サクサクと進む物語。そうした一連の流れや内容は非常に洗練されている。

一方、物語の後半―特に個別√や共通√の後半においては、一部事件が未解決のままで終わる打ち切りENDのような尻切れトンボのような展開が目立つ。
前半の数々の伏線が魅力に溢れ、そうしたものを活かした後半が期待させるようなシナリオになっているだけに、後半の投げっぱなしの設定は一気に評価を落とした。
そこにはある種、続編ありきのようなシナリオの作り方にもなっており、評価を二分させる原因にもなっていると考えられる。
加えて階段分岐シナリオの御多聞に漏れず、今作において√間の誤差もひどい。特に今作では登場する多くの伏線において未解決のまま終了していることも手伝って、そうした点が非常に感じられやすくなっている。

この作品の最大の魅力ともいえるのが発生する数々の事件に対し、なんだかんだ言いながらも挑んでゆくルカの存在である。
今作の主人公は基本的に人間の屑のような設定で作られており、そのため多くの人間から蔑まれて日々を生きている。そうした人間がここぞというときに、頭脳と力の両面で活躍することで読む人へのカタルシスになっているように思える。

それらシーンを構成するうえで欠かせなかったのが頭脳面の描写だろう。
ここに関しては各シナリオにおいて回収されなかった伏線があるなどの問題点を覗けば十二分に描き切っていたと言え、だからこそある一定の評価が得られている。
戦闘シーンにおいては、今作においてメインではないためかシーン自体の数は少ないものの、活躍するシーンはしっかりと描けており、描写自体も白けさせるほどでなかった。

ただ、今作においてルカの描写が非常に拙かったのが恋愛方面について。
この辺りに関しては各個別に入ってからになるが、そのどれもが急展開ともいえる強引なものであった、その中にルカ自身の意志があまり反映されているように感じられず(少なくとも自然ではなく)違和感を抱いた人も多いはず。
この作品の評価に関わる部分として、ルカにどこまで感情移入できたか(少なくとも、心を寄り添わせることができたか)と言う部分が占めるウェイトはデカい。
ともすればオマケのように感じてしまうヒロインとのシーン、キャラクターの魅力をしっかりと描くという意味で、共通√における事件の描写だけではなく、そのあたりにもう少し注力して描かれていれば、もう少し違う作品になっていたのかもしれない。


共通√【 ★★★☆☆ 】  8h
実力はあるはずなのに過去の出来事が原因なのか、何かとサボろうとする主人公のルカ、そして真面目なようで定時になるとすぐ帰る、口煩い新人刑事のクラリス。
いくつかの謎を孕んだまま、凸凹コンビともいえる二人が様々な事件に巻き込まれてゆく様子が描かれている。

近未来のSF世界のようでありながら、荒廃的で退廃的な雰囲気も少し孕んだ独特の世界観を舞台としたシナリオは引き込む力も十分。
特に共通ルート序盤から中盤にかけての描写力は読む手が止まらなくなるほどで流石という他ない。

物語の構造事態は階段分岐シナリオとなっており、一つの事件が片付くと次の事件の話へと移っていき、クラリス√に向けて各キャラヒロイン√が途中で枝分かれするような形になっている。
そのため共通部分が一番比重の重く、そういった造りになっていることから、各話で挿入される伏線のようなワンシーンが積み重なってゆくことになる。
そうした伏線自体が多く存在しているものの、回収されるものとされないものも多く、あったところがこの部分の弱点の一つである。

またこれは性質的なものではあるが、描写としては事件を追うシーンが多く、アクションシーン等の派手なシーンは少なめなのも特徴的といえる。


b7ef278b.png
クラリス√【 ★★★☆☆ 】  2h
本名、クラリス・ツァインブルグ。
十三課に新しく配属された新米刑事、係長の采配もあってルカ付きの部下となったが、そのやる気のない姿に軽い絶望を覚えている。
やる気自体はあるが、定時を超える仕事はしたがらず、しかしながらお金にはがめついため、特別手当が出るとやる気を出す。
種族的な特徴として風の魔法を扱う事が出来、機動力と防衛力は高め、一方で純粋なエルフ族ではあるものの生まれは第七共和国であり、世間知らずな事も多い。

個別√では、とある事件を切っ掛けにルカの過去に迫る様な内容になっており、√の存在的にも今作のグランドルートに近い内容になっている。
恋愛描写に関しても今作では最も注力して描かれており、初対面の最悪の印象から恋人となるまでのシーンは割と物語と絡めてしっかりと描かれている。
ただ、多くの張り巡らされた伏線や着手した謎が途中で終わってしまっていることもあり、読後感事態があまり良くないのは確か。


9e40201c.png
メル√【 ★★★☆☆ 】  2h
暗殺者から逃げている所をルカとクラリス保護された少女。
実は別の国の王女であり、祖国で発生したクーデーターから亡命してきた人物であり、信念が強く、そのクーデターで父を始め家族の多くが殺されているものの、悲観せずに今できることを頑張っている。
保護者として常に、近衛兵であったハールソンが付き従っている。

個別√の始まり自体は食堂で発生した少額の窃盗事件など、割と設定とは無関係なところから始まるが、中盤から後半にかけてはメルとその祖国の話が中心になっており、戦闘シーンなども比較的多めになっている。
いくつかの伏線が回収されるのは勿論なのだが、同時に多くの伏線が張られた√にもなっている。
しかし、この√において解決されることはなく、基本的にサクッと終られる印象が強い。
恋愛描写において、素直にルカを慕う姿は可愛いものの、他キャラ同様割と急激なイメージがあり、特にルカに関してはあまり心が読めない行動をしているように思える。


d47c2532.png
シフォン√【 ★★★☆☆ 】  2h
本名シフォン・マクドゥーガル。
主人公の隣の部屋に引っ越してきたセグイットの少女で、例に漏れず驚異的な身体能力を持ち、武具―特に刀を扱う能力に優れている。
基本的に真面目ではあるものの、純真であるがゆえに考えなしに行動することも多く、また常に金欠気味。
今回はとある事件の容疑者にあがるのだが――。

個別√に入ってからは、とある切っ掛けで主人公の部屋に世話になることになったシフォン、彼女の種族としての特徴である寝相の悪さを解決するため、主人公は様々な策を講じることになる。
主人公の性質もあるが、二人の関係の進展方法はどうしても強引な展開となっている。
そのため両者の好意が見えにくくなっており、Hシーンこそ多いものの、恋人同士としての描写が少なくなっているのは残念な所。
また、彼女の話ではとある一つの事件が同時進行として裏で描かれており、後半の展開に深く絡んでくるのだが、比較的伏線等を投げっぱなしにした内容となっている。


79d6ff08.png
四ノ宮 小町√【 ★★★☆☆ 】  2h
四課に所属する婦警。
常に好条件のイケメンを探しており、合コンに命を懸けているようなギャルなのだが、仕事自体は正義感をもってやっている。
また皆が避ける十三課の人間―ルカとも差別することなく付き合ってくれる。
ルカの後輩ではあるものの、そう感じさせないほどライトな付き合いができる所も魅力。

個別√では小町の友人がとある事件の被害に遭ったことから、主人公共々巻き込まれてゆくことになる。
相対する謎を解き明かす事に新たに深まってゆく謎と背後に潜む大きな存在、サスペンス要素たっぷりの展開は見ている側を飽きさせない。ただ、終盤の展開には賛否がありそうであったのも確か。
恋愛描写に関してはやや粗雑で急な印象を受けるものの、同じ時間を過ごすことで徐々に信頼が深まってゆく部分も描かれており、特に後半の小町に関しては序盤とのギャップもある非常にかわいい反応を見せてくれるのが魅力だろう。


エピローグ【 S 】  数分
全ルート攻略後に選択可能。
内容としては自作の繋ぎのようなものとなっており、中身自体はあまりない
ただ雰囲気自体は悪くなく、良くも悪くもこの作品を象徴した内容。


[ 主人公 ]日流 ルカ
仕事に対しては情熱がなく不真面目、またことあるごとにサボろうとする怠け者であり、問題児が多く集まる十三課においても、さらに問題児であるアウトロー。
一方で、豊富な知性や冷静な判断を行うことができる一面もあり、そういった点を評価する人がいるのもまた事実であるものの、人間のクズに近いのも確か。
キーパーではあるものの特殊な理由があり、あまり明かしていない。


【推奨攻略順 : シフォン→小町→メル→クラリス→エピローグ 】
クラリスは他の3ヒロインを攻略後にのみプレイ可能。
階段分岐シナリオであるため、基本的には上記の順番での攻略が良い。


CG
細い線にパステルのような塗り。
彩りをあまり感じさせない絵である一方、その一枚一枚に非常に勢いを感じる絵で、その独特の描写力に関しては単体で売り物になるといってもよいほど。
枚数や質も非常に安定しており、この作品の世界観を支えた重要なキーであるといえる。
UIに関しても非常にこだわっており、もっさりとした動作による使いにくさはともかくとしておしゃれであり、こだわりを感じる。


音楽
BGM57曲(inst等を含む)、Vo曲3曲(OP1/ED2)と言う構成。
Vo曲のInstやアレンジを除いたとしてもかなりボリュームの多いBGM、広く集められているイメージが強いもののやはり個人的には『THEME OF WORLD ACTORII』のような、こうしたサスペンス物に欠かせず、それでいてメインを張れる明るいテンポの曲を推したい。
Vo曲はやはりDaisy×Daisyさんの歌うOP『蒼い月』が秀逸、特にサビから歌い上げられる勢いあるメロディは中々の物。


お勧め度
物語の前半から中盤にかけては秀逸という他ないが、シナリオを全体的に見た時の評価は各所で書いている通りに悪くなってしまう、竜頭蛇尾という言葉がしっくりとはまるシナリオ。
ある種、衣笠シナリオのある種の特徴でもあるのだが、体験版等だけで判断してしまうと痛い目を見ることもある作品であり、素直におすすめはできない。
そうした点を鑑みて、過去作等で慣れている人にプレイされるべき作品。


総合評価
全体的な完成度としては悪くないのだが、やはり終盤のシナリオ展開が足を引っ張っており、その他の秀逸な部分と合わせてこの評価となっている。


【ぶっちゃけコーナー】
今作のシナリオライターである衣笠さんのシナリオには過去作を含め、広げた風呂敷をしまいきれない傾向にある。
これは続編が出てもさらにその続編に向けたような伏線が敷かれてしまうため、途絶えることがない。
一方で独特のテンポと作りこまれた世界観による描写力に関しては他の追随を許さないほどであり、この点のみを評価した場合はランクが2-3上がるだけでは済まない。
この点に関しては多くの人が意見を一致させるところだろうが、中盤までの展開で期待させられたからこそ、終盤の展開で落胆するのである。
期待させるだけのシナリオが描けているという点においては正しく評価すべきだろう。
少なくとも、続編を期待させるほどの内容がここにはある。
楽しみ方にコツが必要であり、この辺も含めて衣笠ワールドとさすべきなのだろう。
ただ、やはり今作においての読後感と言うものも大切であり、やはり投げっぱなしになった設定の数々、尻切れトンボの展開、強引な恋愛描写等、シナリオ部分の不備を挙げれば暇がない。
続編へ続くかも、という言い訳は勿論できるものの、単体として出したのならば、単体として完成させられていなければならない。今作においてはそうした意識があまり感じられないのも確かで、評価を大きく下げている部分でもある。
評価される部分がある一方で、大きく下げる要素がある、そんな癖のある作品なので評価も二分されてしまうのだろう。
過去作等で彼の作品が好きになっている方にはプレイを推奨しても良いのかもしれないが、体験版等によって興味を持っただけなのならもう一歩踏みとどまったほうが良いだろう。
こうした評価も二作目等が作られれば覆る可能性がある。
そうした例も過去にはある為、期待して待つのも良いのかもしれない。

7acae79f.png
タイトル : 恋愛、借りちゃいました
ブランド : ASa Project


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]

キャラクター・シナリオ
それぞれの事情を抱えたヒロイン達に主人公がバイトとして『レンタル』される、そんな設定の基で描かれた今作、ヒロイン達は主人公にお金を支払う事で、時に恋人であったり、友達であったり、兄であったり、愛人であったりと…特殊な関係を築いていくこととなる。

文章自体が読みやすく、展開のテンポも早めで勢いもある、その設定と併せたキャラクター自体の面白さもあって、サクサクと読める内容になっている。

ASaProjectの最大の魅力ともいえるのが共通ルートの笑いであり、今作でもその部分の魅力は健在。
特に今までの作品以上にヒロイン同士のやり取りが豊富で、コロコロと変わる豊かな表情なども手伝い、とても賑やかな内容になっている。

また設定から派生した部分として、複雑な人間関係もこの作品の魅力の一つ。
それぞれが主人公と『仮』の関係を築いており、その結果、それぞれのキャラクターからみた主人公と他ヒロインとの関係性がすごくややこしくなっている。
ゴチャゴチャした関係の中で描かれる掛け合いは上記の賑やかな笑い部分に大きく寄与していたと言えるだろう。
複雑な人間関係だからこそ、その動かしにくい状況の中で巧く物語を転がし、破綻させずに分かりやすく描いた手法は見事という他ない。

また、今作では一部ルートにおいて『失恋』と言う部分もライトなテーマの一つとして描かれている。
各シーンでのその切なさは、共通ルートで明るく動くヒロイン達に一つ深い感情を形作っており、対比的に感じる部分もあって非常に良い影響を与えていたように思う。
個人的には物語終盤、八純か絵未そのどちらかを選ばなければいけないシーンにおいて、選ばれなかったヒロインと親友二人の対応の違いも、細かい部分ではあるものの個人的に高評価を付けたシーンとなっている。


共通√【 ★★★☆☆ 】  3h
シナリオは絵未√や八純√に向かって、階段分岐するような形になっている。
大まかに前半はレンタル人材派遣アルバイトを始めた主人公の様子と、関わる人が多くなってゆくことで、複雑になってゆく周囲の人間関係が楽しく描かれている。
特に登場人物が多い前半は笑いどころも多く、作品の根幹的な魅力の部分ともいえる。

後半は絵未√や八純√に向けた内容になっており、キャラクター同士の絡みの面白さはそのままに、ダブルヒロイン作品のような内容になっており、特に主人公の過去編や八純の恋等も描かれているため、作風が変わっている。


ca121841.png
瀬川 絵未√【 ★★★☆☆ 】  2h
主人公のクラスメイトで八純とは幼馴染。
一見すると男性経験も経験豊富にみえるがその実、ただの極度の見栄っ張りであり、咲希や桃子に彼氏がいないことを隠すため、主人公と「恋人」の契約をした。
妄想癖に加え、時折調子のってはドジることが多い。。

個別√では八純を振ることで√に突入することになる。
最初こそ主人公に反目する様子が描かれていたが、仮の恋人関係を進めていくうちに恋をしていく様子が共通ルートからの流れで描かれている。
特に付き合って素直になってからの絵未は、なんだかんだと主人公とツーカーで通じ合う良さがあり、八純とは別ベクトルの魅力があると言える。
そのシナリオの構成上、八純の存在も重要なキーになっている√である。


325e6688.png
天満 八純√【 ★★★☆☆ 】  2h
絵未や主人公と同じクラスで、性格が良く、誰からも好かれる優等生のお嬢様。
事あるごとに出る「にゅふふ」笑いが特徴的で、学園で唯一、根暗な雰囲気の主人公に話しかけてくる存在。
深夜に偶然出会った主人公にとある理由から『友達』になるように依頼する。

シナリオの構成上、共通までで十二分に色々な面を見ることができる八純、そんな彼女付き合ってから見せる新しい一面が「めんどくさ可愛い」所。
主人公への面倒なまでの絡み…けどそれがどうにも可愛く感じてしまう、そういった一筋縄ではいかない、女子としての魅力が非常によく描かれていた。
また、絵未を振ることで個別√に入ることになるため、彼女の存在もこの√では非常に重要になっており、特に絵未や主人公に振り回され、コロコロと豊かに表情を変える部分がこの√の魅力の一つと言えるだろう。


986ae901.png
泉 ちなつ&こなつ√【 ★★★☆☆ 】  2h
主人公と『兄いちゃん』として契約している双子。
褒められたすぎて欲求不満、甘えたいけれど恥ずかしくて素直になれない姉。
何を考えているのかわからない、超マイペースで自分を性的な目で見てほしい妹。

そんな変態姉妹の個別√ではちなつと主人公が付き合うところから物語が始まっていく。
ボケの妹とツッコミの姉、双子の姉妹だからこその小気味好いテンポでやり取りされるキャッチボールはもちろん下ネタ全開。
テンポは割とゆっくりなのだが、パワーワードも一つ一つの笑いは中々の物。
割と中身はなく、終始ノリと勢いと笑いだけで突き進む内容となっている。
また『真妹』として張り合う主人公の実妹、月の存在も輝くシナリオであり、特筆しておく。


217e0a19.png
空路 椿√【 ★★★☆☆ 】  2h
塾で講師をしている大人のお姉さん。
結婚を急かす親の追求から逃れるために主人公と『愛人』として契約する。
趣味はゲームで、仕事中の大人でキリッとした雰囲気とは一変、休日はもっぱらジャージを着て朝から晩までゲームをしている。

個別ルートでは比較的真面目な椿だけあり、椿の従姉である愛季も意外と登場シーンが少ないこともあって、割と狂気性や笑いは抑えめ。
ただ、他のキャラと比べて、椿との会話だけは一味違う。
自身から口説きに行くシーンも多々あり、そんな口説き文句に恋愛経験の少ない椿が戸惑う、そうした様子を楽しむ姿は好きな子を虐める普通の男の子を感じた。
普段はネジの吹っ飛んだ年下や同級生を相手にしている主人公だけに、そうしたシーンは印象的。
また、椿も言われているだけでは終わらず、きちんと主人公をドキドキさせるようなことも言って…そんな大人な会話が楽しい√。


美浜 咲希√【 ★★★☆☆ 】  0.5h
主人公と同じクラスで絵未や桃子、八純とは仲が良い。
美人でギャルっぽい見た目とぶりっ子っぽいの言動から周囲からビッチ扱いされている。
よく告白されるが、お眼鏡にかなう男はいないらしく、常に彼氏募集中。

個別√としては共通後半から派生する半分BADENDのようなギャグシナリオ。
彼女について描かれるシーンも少しあるものの、基本的にはすべて短めとなっている。


小関 桃子√【 ★★★☆☆ 】  0.5h
主人公のクラスメイト。いつも余裕があり何を考えているのか掴み所の無い女の子。
絵未や咲希とも仲が良くイジって遊ぶことも多いが、特に八純の事が好きで、使っているシャンプーの銘柄まで把握するほど。
サバサバしているが実は4人の中では一番モテる。

咲希と同じくサブヒロインで個別√としては短いのだが、キャラクターとしては割と詰め込んで作られた娘。
個人的にのラストシーンが大好きで、このシーンを知ってから彼女を見返すとまた一味違った感想になるだろう。


[ 主人公 ]新海 幸
妹の月と二人暮らしで過ごす少年。
重度のシスコンであり、妹を不自由させないために多くお金を必要としているため、結果的に損得勘定で動くことが多くなっている。しかし、本来は心優しい所もある。
また、責任感はあり任された仕事等はしっかりとこなす主義。
根が暗くあまり人と関わりたくないため、クラスでは伸ばした前髪を下ろしている。


【推奨攻略順 : 椿→ちなつ&こなつ→咲希→(BAD→)桃子→八純→絵未 】
八純と絵未√に向けて階段分岐っぽいシナリオになっているものの、どの√も完全に分離されているため、基本的には好きな順番で攻略してよいだろう。


CG
はっきりとした線に濃い塗りの絵。
割と一般的な画風ではあるものの、全体的に丁寧に描かれている印象が強く時折、見入られてしまうものも存在、枚数も十二分
SD絵は対照的に柔らかく、ふんわりとした質感の絵で数枚存在している。


音楽
BGM28曲、Vo曲2曲(OP/ED)と言う構成。
各キャラのテーマが多めのBGMの中で、特にVo曲のアレンジである「story」や「light-less」などの曲が要所要所で涙腺を刺激してくれていていた。
Vo曲はやはりOPの「君に届けるstory」が勢いもあって作風に合っていて魅力。


お勧め度
設定にこそ特殊なものはあるが、アサプロらしい笑えるシナリオが魅力。
勢いのある展開は読む人を飽きさせず、プレイに慣れていない初心者は勿論、キャラゲー好きな人など、ライトに作品を楽しみたい人にお勧めしたい作品となっている。


総合評価
全体的に安定的に作られた作品。
しかし、他作と比べて抜きんでていたかと聞かれると、この評価となる。


【ぶっちゃけコーナー】
アサプロの作品といえば笑いが最大の商品。
ここでどれくらい頑張れるかでこの会社の作品のなかでの上下が決まってくるな~と言うのがいつもの感想なのですが、今回は少し笑いとは別の要素が入っていたのも意外。
(※無論昔からそういう要素はあったのですが)
今作の全体的な印象としてはより一般的な人に向けて、描かれた内容だった気がする。
恋愛0キロメートルのような死ぬほど笑えるものは流石にないのですが、ある程度笑える内容に特徴的なキャラクターたちの賑やかな笑い。
そこにダブルヒロインの話を主軸とした全体的に整ったシナリオや、各個別√に描かれたしっかりとした内容がある。
要所要所で各キャラ視点のシーンを入れることで、キャラクターの内面もしっかりと描かれている印象もあり、そうした部分だけを見ても、笑いだけに注力せず作られた結果がしっかり出た作品なのかなと思います。
この結果がどう出るかは正直人次第といえますね…。
尖った作品と言う意味では過去作の方が好みだった気もするのですが、大衆受けと言う意味では今作の方が質も良かった気がします。
どちらにしろ、やはり好きな会社の作品なので、これからもどんどん、色々な要素を取り込みつつ素敵な作品を作り続けてほしいなと思います。