スピカの忘れ物

ゲームレビューとちょびっと小説を公開している、鍵っ子ゲーマーのブログです。 泣きゲーやシナリオゲーが大好物!



タイトル : ガールズ・ブック・メイカー ~グリムと三人のお姫さま2~
ブランド : ユメミル


シナリオ : ★★☆☆☆ [2/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   :       [-/5]
お勧め度 : ★★☆☆☆ [2/5]
総合評価 : ★★☆☆☆ [2/5]
(総プレイ時間 : 2h)


キャラクター・シナリオ
ユメミルの作品『ガールズ・ブック・メイカー -幸せのリブレット-』(以下本編と表記)のスピンオフ作品として発表されている三部作のうちの二作目となる作品であり、『ガールズ・ブック・メイカー ~グリムと三人のお姫さま1~』(以下『1』と表記)の続編。
引き続きメインとなる物語<リグレット>はグリム童話出典の『眠り姫』。
ヒロインとなっているのは、マイペースでいつも眠たげなお姫様の「いばら」であり「彼女がいつも出来ないでいた新婚生活を体験させる」というのが今作のテーマにもなっている。

作品のテイスト自体やエロシーン等の含有量などを含めて、そのほぼ全てが『1』と同様となっており、その部分に関しては特段評価は変わらない。
内容自体は3部作の2作目ではあるものの物語が大きく動くことはなく、あくまで起承転結の『承』を描いたような作品となっている。

ある種ワンパターンな物語なので読みやすい。
今までの作品と比べると内容に薄さを感じる部分もあり、ともすれば飽きられそうな内容ではあるものの物語自体が短いため、その前に終わるのも特徴の一つ。

本編クリア後には、今までと同様にいばらとの追加Hシーンが解放される他、グリムとのHシーンも解放されるが、特に後者に関しては、Hシーンの前の語りにおいて、この物語の発端ともなるような発言がなされていることもあり、完結編となる『3』に向けた繋ぎにもなっている。


【推奨攻略順 : 選択肢無 】
前作同様、クリア後にミニエピソードが出現する。
ここに関しても順番はないものの、いばら→グリムと選択しておけば分かりやすい。


CG
濃い塗りの、艶のある絵。
イベントCG11枚のうち、8枚がHCG(Hシーン自体は6シーン)という1作目同様の配分となっており、その質に関しても同様に高品質。
その他新規キャラとなるいばらの立ち絵なども追加されている。


音楽
今まで同様作中では主に本編で使われた曲が使いまわされており、今作で確認できる新曲もないため、評価していない。
せっかく良い曲がおおいので、新曲がないのは相変わらず寂しい。


お勧め度
今までの説明もなく、導入から続編としての内容が始まる他、作中にも特段の状況説明などは設けられていないため、本編はもちろん特に前作である『1』のプレイは必須といえる。
作品のテイストは前作までと同様であるため、依然としてファンにとってプレイしやすい状況ではあるものの、全体的にHシーンの比率が多めの作品となっており、内容自体は薄目である事には注意が必要。
今作をもっても、この作品単体をすぐにやる必要はないという結論はいまだ変わらない。


総合評価
前作同様にFD作品の1/3程度のボリュームしかなく、まだシナリオも完結していないため評価自体にあまり意味はない。


【ぶっちゃけコーナー】
そろそろ物語が動きそうな2作目、上記にもある通り『承』の部分が描かれており、作品の内容としても特筆すべき点が余りない。
しいて言うならば、シナリオ評価部分にも書いた”グリムの動機”というのが、今作のポイントといえるくらいだろう。
その内容に関してはプレイして確かめてほしい所だが、ある程度予想のつく内容ではある。

このシリーズ作品のファンにとっては買うのに躊躇しない作品だろうけれど、さすがに変化がなさ過ぎて不安になっている人も多いのではないかと思う。
書くいう自分もそうなのだが、これで『3』がどうなっていくのかが非常に気になるところで、今すぐやるべき作品でもないので、やはり一気にプレイしたい人は3本のセット販売を待つ方が良いのだろう。

ちなみに今回、新ヒロインとして「いばら」が出てきていたが、本編からの登場という事で『インマウスの影』の管理者<レジスタ>であるラヴクラフトが登場している。



タイトル : 月の彼方で逢いましょう SweetSummerRainbow
ブランド : tone work's


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★★ [5/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★★ [5/5]
(総プレイ時間 : 6h)

キャラクター・シナリオ
前作『月の彼方で逢いましょう』(以降、本編や前作と表記)のFDでありスピンオフ作品となる今作。
ヒロインとなるのは『佐倉 雨音』であり、本作では本編のスクール編とアフター編、それぞれのアフターを描いた作品となっている。

スクール編のアフター(SSRスクール編)ではサマースクールに参加し雨音の故郷であるサンフランシスコで過ごす二人の恋人同士の二人を、アフター編のアフター(SSRアフター編)では6年後、新しい家族として二人の娘である「つきこ」が5歳になった頃を描く。

それぞれの内容に関しては下記の個別感想を参照してもらうとして『月虹の先にある、幸せの物語』と銘打たれた今作のシナリオの全体的な部分について触れたい。
前作の雨音√はこの『月の彼方で逢いましょう』という作品の根幹にかかわるSF的要素を含むシナリオであり、そしてその多くの部分に関しては既に語りつくされているのだが、そうした前提があっての今作となる。
もちろん今作においてもSF的な系譜はしっかりと引き継がれているものの、メインとなっているのは『家族』というテーマであった。

SSRスクール編において語られた本編で触れられることのなかった雨音と両親との断片的な記憶、この部分だけを見れば、不足要素を付け加えるだけの普遍的なアフター作品として受け入れられる範疇だったがこちらの予想を大きく超えてきてくれたのがSSRアフター編である。
今ある溢れんばかりの幸せを考えると『過去改変』という禁忌を犯すこともできず、そもそもその奇跡すら終わっている現状で、登場人物である雨音や主人公はもちろん、この作品を楽しんでいる多くの人にとっても心残りとなっているあの展開についてが触れられている。
主人公の創作活動を通して物語をもう一度動くこととなる物語、変わるはずのなかった過去が変わることがあるのか、SSRスクール編をも巻き込んだその展開は、前作にも負けない感動を引き起こしてくれた。

特に今作では主人公や雨音という閉じた世界系の問題にすることなく、家族という大きい括りをさらに超え、周囲を巻き込んだ展開にしており、そうしたおかげもあり登場人物の一人ひとりが確かな繋がりをもって、一つの物語の執着に向けて動く一体感のようなものを感じる事が出来きていた。
そうした雰囲気こそがプレイヤー自身の感情移入にも作用していたといえ、この作品の評価を一段も二段も引き上げていたことは想像に難くない。

前作でも、もちろん『家族』という要素は十二分に含んだシナリオであったが、それに今作のシナリオを加える事で、より指向性のある内容となっており、両編を合わせることで真に一篇の物語となって『家族』というものの素晴らしさを再確認させてくれる、そう感じさせるほどの名作だった。

シナリオ自体は非常に短いのだが、多くが語られた後に付け加えている物語を考え、またFD作品であるという事を鑑みると、他に類を見ないほどよくできた内容であったといえる。


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SSRスクール編√【 ★★★★☆ 】  3h
本編のスクール編の後、3年生になってからの主人公と雨音を描いており、夏休みに開催されるサマースクールに参加することとなった主人公たちは雨音の故郷でもあるサンフランシスコで1か月過ごすこととなる。

基本的には一般的なアフター編作品と同様に甘い恋人同士の日々を描いている部分が強いが、同時にサマースクールの活動として映画のトレーラー制作を行う中で、再び振り返る事となる雨音の両親についても描かれている。
雨音の口から語られる過去と、その思い出に対して複雑な思いを抱く彼女、そうした様々な不安と制作活動を絡めたシナリオは、前作より更にもう一歩、雨音やその両親についてを知ることができる内容となっており、アフター編の繋がりも綺麗に描いた良いシナリオだったといえる。


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SSR アフター√【 ★★★★★  3h
本編のアフター編より6年後の1年間を描く。
エンデュミオンによってもたらされた奇跡が終わり、主人公と雨音の娘である"つきこ"を加えた3人家族の日常。
まさしく月虹による祝福を感じるような幸せな日々の中で、それでも雨音が両親への小さな後悔を抱えていることを感じる主人公。
そんな彼に6年前に執筆したあの不思議な物語の続編を手掛ける転機が訪れる。

アフター編のさらに後のシナリオということで、恋人同士の甘い日々というよりは幸せな家族のやり取りがフォーカスされており、特に娘であるつきこを中心とした生活は慌ただしさの中にそれでも溢れんばかりの幸福を感じる。
これこそが雨音の求めていた『家族の団欒』ではあるのだが、だからこそ本編や今作のSSRスクール編における一連の物語が小さなシコリとして残っていた。
そうした読者の気持ちを掬い取るようにした展開は正に秀逸の一言であり、特に主人公の手掛ける物語と主人公地震が歩む人生がリンクしていくような表現はならではといえる。
特に終盤に関しては家族の感動ストーリーという安直な表現しか見つからない自分自身を責めたいほどで、今作を合わせて真のエンディングと表現するのにふさわしい内容といえる。


【推奨攻略順:SSR(スクール)→SSR(アフター)】
選択肢はあるものの物語への影響はなく、選べるシナリオは前作のダイジェスト(スクール/アフター)と今作分(スクール編/アフター編)の合計4編となっている。
既プレイ組の人ならダイジェストをプレイしなくても良いだろう。


CG
本編同様にしっかりとした線に濃い塗りの立体感を感じる絵。
FD作品という事もあって枚数自体は、シナリオの分量に合わせてどうしても少なめになっているが、各CGの差分などは多く、質も良い。
またSD絵も数枚存在している。


音楽
追加BGM0曲(?)、Vo曲3曲(OP/ED/挿入歌)という構成。
BGMに関しては基本本編のものが使いまわされており、追加といえるものは見当たらなかった一方でVo曲はFDとは思えないほどの量が追加されている。
特に雨音のイメージソングについては、前作で曲自体は搭乗していたものの、今作では声優であるくすはらゆいさんが歌ったものが追加されており、それを合わせると4曲に。
もちろん、どれも良曲と言って良い物なのだが、その中でも特にOPの「Rainbow Days」はAメロとBメロの流れにとても躍動感がありお勧めしたい。


お勧め度
前作プレイ済みで雨音√が好きだった人は勿論、問答無用で推奨したいほどFDとしては抜きんでた内容であり、前作と今作を合わせて初めて一つの作品といっても過言ではないだろう。
また今作では前作である本編『月の彼方で逢いましょう』をプレイしていない人様に、本編のスクール編アフター編をダイジェストで見られる√も存在している。
内容として抑えるべきところがしっかりと収録されているため、ここをプレイしていれば本作をプレイするのに困らないだろう。
しかしながら他の√も素晴らしい事を含め、真に物語を楽しみたいという人はやはり前作をプレイしてからを推奨しておきたい。


総合評価
FDとしては文句をつけるところがほとんどないほど優秀な作品であり、自身をもってこの評価をつけることができる。


【ぶっちゃけコーナー】
正直、全部終わった話とおもってたくらい雨音の√って話を広げる余地がない部類だと思ってた。
むしろこのキャラやるくらいなら灯華やうぐいすの方がよっぽどかけることは多い、と個人的には思ってた。
それだけにこのヒロインでアフターを作るとは…って感じだったんだけど、本当にいい意味でド肝を抜く内容でしたね。
本編がうぐいす√の印象が強くて、タイトル回収こそあったものの雨音√の印象はやっぱり薄かった。それにあの展開については、やっぱり少しだけ心残りだったからね、それをスッキリ解消させてくれるのは素直にうれしい。
今作で掲げた『家族』というテーマ、SSRの3人家族を意識した作品なのかな、と勝手に考えていたんだけど、最後までやるとこのテーマがどれほど大きな意味をもって掲げられていたのかがわかるのも本当に良い。

そういえばサブキャラについて、先に挙げた灯華とうぐいすはやっぱり出なかったね。
いや、彼女たち出すと色々とややこしいから仕方がないけれど、それ以外の面々が全員出ていたのが本当によかったし、彼女たちを巻き込んでしっかりと展開してくれていたのも本当に嬉しい部分。
雨音√ってどうしても彼女の家族だけの話になって、どちらかというと閉じた世界系のはなしだったから、ここまで話を大きく広げてくれると、全体的な印象も変えてくれていた。
今作を合わせて、本編の評価も大きく上げていいんではないだろうか、それくらいの力を秘めた内容だったように思いました。



タイトル : 機関幕末異聞 ラストキャバリエ
ブランド : キャラメルBOX


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 13.5h)


キャラクター・シナリオ

生まれて、生きて、死ぬ。

キャラメルBOX作品ということで、今作も例にもれず女装物。
しかしながら、今回の「機関幕末異聞 ラストキャバリエ」は江戸時代末期の日本を舞台とした歴史もの――スチームパンク作品となっている。

日本の幕末期をテーマとした作品となっており、特に一部√においては概ねが史実に基づいて展開しているが、そんな中でSF要素として今作にて追加されているポイントが女性にのみ絶大な力を付与する「鬼瘴石」という物質と、それを扱うことができる「姫瘴」という存在だろう。
その出典は序盤では明らかになっていないものの、この設定はこのコンテンツに落とし込むにおいて、女性だからこそ力が出せる…ということで、史実上の重要な人物をTS化を正当化する夕の一つとして重宝されている。
また上記に加え、今作において主人公となるのは新選組の『沖田総司』をモデルとした「沖田 総紫」であることも大きな意味がある。

物語自体は彼が姉のように慕う土方や近藤のために女装をして新選組に加わるところから物語は始まるのだが、男性である総紫は近藤や土方のような「姫瘴」ではないために、実践においては一歩劣るという状況になっていた。
そんな中で佐久間象山をモデルとした修理から妖刀「乞食清光」を与えられたことにより、男の身ながら「鬼瘴石」を扱うことに成功するのだが、そうした無理が総紫の身体を蝕んだ結果として史実のような短命への道をたどることになる。
こうした史実と今作特有の設定の合致が非常に気持ちのよう部分は高く評価でき、今作のコンセプトとしての力強さと安定感を感じさせる一端となっていた。


作品の内容自体は史実を中心に据えていることもあってわかりにくい所自体が少ないが、それでも創作部分が混じったことによって分かりにくなりがちなワードを含めて、多くのTIPSなどが表示されることもあり、理解に苦しむところは少ない。
またその表現としてテキストのテイストがしっかりと和に落とし込むんでいるところも評価しておきたい。
特に今までの作品とは打って変わって、がらりと変えている部分が多く、こうした引き出しの多い表現はライター自身のしっかりとした文章力を感じることができる。


先にも書いたように作品中の展開自体は史実に基づいているため特筆すべきところが少ない。
特に幕末の動乱の中で命を落としていった人々の輝きに関しては、意識して書かれているようなシーンや表現が多く、そうした人たちを大切に思っていた龍真視点でのシーンなどでは特に顕著といえる。

一方、一部ルートにおいてオリジナルに展開する部分―スチームパンク作品である今作にとってはメイン部分にあたる部分―が非常に乏しかったのは残念な所。
作品自体は史実通りに展開する物語と、大きく歴史を改変した物語、そして「鬼瘴石」自体の謎に迫ったシナリオの三本に分かれている。
そのどれもがしっかりとした内容にはなっているものの、総じて分量が少なくなっており、同時に面白さとしてアピールできるところ少ないのが特徴となっている。

史実に近い歳√において見られる実際の流れから、象山の章で読み解く今まで殺してきた人々の想いと自分自身の信念、龍真視点で描かれる幕末の中で薄氷を踏む用にして争いを避けていく政の面白さ等々…一つ一つのシーンはしっかりとした魅力があり、それ自体は高く評価もしているのだが、総じて見た時の印象はなぜか弱く、ちぐはぐとした感じを受けて魅力をあまり感じないという結果につながっていた。



共通√【 ★★★☆☆ 】  6.5h
試衛館で過ごす日々から新選組となり、そして幕末にむけて戦場を駆けてゆく部分が描かれている。
ある意味この作品の根本ともいえる部分であり、ボリュームとしてもメインとしてとらえるにふさわしい分量となっている。
『瘴姫』等、この作品特有となる設定以外は史実通りに(解釈の違い等があれど)展開しており、特にテーマとなっている内容が新選組であることから、その展開自体は容易に想像がつく内容となっている。
展開自体に驚きがない一方で、歴史物特有の物語としての面白さが前面に出ており、特に幕末の動乱の中で命を散らした人々の尊さとその儚さが印象的。
思わず「その人たちがもし生きていたら」という想いに心馳せてしまうのは、こういった作品だからこそといえるだろう。


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坂本 龍真&岡田以庵√【 ★★★☆☆ 】  2h
土佐藩士で後に脱藩維新志士となるもう一人の主人公でもある『坂本 龍真』と、その幼馴染であり土佐勤王党の一員『岡田以庵』。

個別シナリオは順当な歴史改変物となっており、ネタバレのために展開の詳しい説明は伏せるが、「もしも坂本と岡田、そして主人公である沖田が協力していたら」という設定の下で描かれて、坂本と新選組を絡めた展開は今作の見どころの一つ。
この時代において欠かすことのできない坂本龍馬―もとい坂本龍真に関しては、今作においても特に重要視されており、ヒロインであることは勿論、もう一人の主人公のようにとらえている節があり、特にこのルートの後半においては彼女の視点で語られるシーンも多い。


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斎藤 一葉&原田 沙乃√【 ★★★☆☆ 】  0.5h
新撰組副長助謹で基本的に無口な『斎藤一葉』と新撰組隊士でありムードメーカーの『原田 沙乃』。

奇しくもこちらも『るろ剣』コンビとなる二人のシナリオは「佐久間修理&河上彦斎√」とほぼ内容を同じにしており、Hシーンがいくつかと短いエピローグシーンに変化がある程度となっている。


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佐久間 修理&河上 彦斎√【 ★★★☆☆ 】  2h
あの『るろうに剣心』のモデルになったといわれている攘夷派の志士『河上彦斎』と、博士であり開国論者の奇人『佐久間修理』。
特に修理に関しては鬼瘴石を一時的に操る「電式励起撃鉄」なるものを発明し、総紫の刀として「乞食清光」を与えた。

史実では修理が河上に暗殺されており、現に他の√(主に考や伊佐、歳√)では状況こそ違うものの、同じ流れでシナリオは展開している。
そんな中で、この√では『修理が生きていたら』という話の元で話が展開しており、その内容は大政奉還あたりまでは同じであるもののその後の流れは全く別のものになっている。
攘夷派の河上が開国論者の修理に迎合し『開国攘夷論』の下で展開していくIF√は、歴史ものならではの楽しみ方ができる内容となっている。
特に後半では鬼瘴石のルーツにも絡めた話も出てきており、シナリオとしても本筋に非常に近い内容となっていた。


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土方 歳√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
新撰組副長。
十三歳の時に鬼瘴石と和合し、近藤の元で試衛館の食客となる。
近藤の事を立派な侍にすることを夢見ており、自身を棄ててまでその野心に協力する一方、沖田のことは弟のように可愛がっており、時折暴走することも。
剣術自体は喧嘩殺法に近く、特に命を懸けた戦いにおいては鬼神のごとき活躍が見られる。

個別√ではある意味で考√のアフターともいえる内容となっており、総紫死亡後の出来事を歳の視点で描かれている。
宮古湾海戦のあたりまでは史実に基づいて描かれており、特に彰義隊に参加した沙乃の最期などがワンシーンだが描かれている。
そして、その宮古湾海戦において甲鉄を奪取出来た…というIFシナリオのまま、物語は進んでいく事となる。
短いながらも総紫との離別シーンでうるっと来る場面がある一方、後半の戦いにおいては「土方 歳」らしい熱いシーンもしっかりと用意されていた。


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近藤 伊佐√【 ★★★☆☆ 】  0.5h
新撰組局長であり、今作ではサブヒロイン。
試衛館の道場主を務め、土方などを食客として迎え入れていた他、幼かった総紫を引き取った育ての親的な存在。
総紫を年の離れた弟のように大切に思っているが、一方で貴重な戦力ととらえており、新選組立ち上げの際には女装してついてくるように命じた。
義に篤く会津に忠誠を尽くしているが、迫る時代の移り変わりとその中における武士の役割について思うところもあり、その胸中にはいろいろな思いが錯綜している。

個別シナリオは歳の個別√にワンシーンが挿入され、またエピローグシーンが変わっている以外は概ね同様の流れに。
なんと言っても見所は挿入されたワンシーンで(逆にそこくらいしか言及できる場所がないのだが)、総紫の立ち回りは誰しもが惚れ惚れするものに。
個人的には、エピローグシーンにおいて土方と力を合わせて戦うシーンも見たかった所。


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考√【 ☆☆☆☆ 】  0.5h
吉原の芸子である深雪の腹違いの妹。
姉同様、身売りをされた考は深雪の元で料理番をしており、その腕を買われ料理が苦手な新撰組の面々の代わりに料理番を務めることとなった。

ヒロインの中では唯一、史実に登場していない(おそらく)オリジナルのキャラクターであり、いわゆるサブヒロインのような立ち位置にいるヒロインとなっている。
総紫と考とのやり取りは少なく、個別部分といえるシナリオも十分な量とは言えない。そのため終盤において考√へ入るために急展開を迎えるような印象を受け、考の献身的な印象以外に印象に残る部分がなく、これ自体は評価しがたい。
しかし一方で、彼女が関わる部分意外では史実に忠実に作られており「沖田 総紫」という主人公の悲しい最期を描いたシナリオの一つとして受け止めるべき内容ともいえる。


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[ 主人公 ] 沖田 総紫(惣次郎)
天涯孤独だったところを歳に拾われており、特に世話になった伊佐と歳の事を実の姉のように慕っており、今回の新撰組結成に際しても命がけで助力すると誓っている。
しかしながら、参加するためには瘴姫―つまり女性でなければならず、やむを得ず女装をして過ごすこととなる。
瘴姫ではないものの剣の才能に関しては天才的で、天然理心流免許皆伝で十年で目録を得たほどで、男性であることや小柄な身体ゆえに膂力が足りなかった問題に関しても、佐久間により妖刀「乞食清光」を与えられたことで鬼瘴石の力を一時的に引き出すことに成功した。
しかしながら、刀によって徐々にその身体が蝕まれていくことに。


【推奨攻略順:考→歳→伊佐→龍真&庵→沙乃&一葉or修理&彦斎】
シナリオが大きく3つに分かれており、順に物語の真相へ迫っていく順番を選択するのなら、上記の順番での攻略が望ましいだろう。


CG
線の固く濃い塗の絵。
各ヒロインのCG自体の枚数は平均的か少し少ないくらいだが、全体を通してみた時の枚数は比較的豊富で、特に戦闘シーン用のものなどが目立つ印象。
作品テーマもあって、作中には流血CGなども多く登場するため、苦手な人は注意が必要。


音楽
BGM20曲、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
全体的に落ち着いた雰囲気のものが多いBGM、中でも「幻死行」は悲しいシーンでよく使われていた楽曲であったが、なかでも時代の流れの中で命を落としていった人へ想いを馳せるシーンなどで真価を発揮していた。
他にも逆転BGMとしてギターのカッコイイ「曇天斜光」など良い曲がそろっている印象。
Vo曲はやはりRitaさんの歌うOP「鳶飛戻天」がカッコよく、歌詞も凝っている。


お勧め度
作風からもわかる通り、いつものキャラメルBOX作品を求める方にはお勧めしない作品。
というのも、女装という部分に関してはほとんど前面に出ておらず、メインに据えられているのは幕末を舞台としたスチームパンク作品であるという事が言えるからである。
逆に、そういった作品が好きな人にとっては、ニッチなジャンルの中で安定した作品という事でお勧めしやすい作品となっている。


総合評価
全体的には安定した作品ではあるものの、よくできている部分がある一方で物足りない所もあり、総合的に鑑みて平均的な評価とした。


【ぶっちゃけコーナー】
まぁいい所は本当に多いのだけれど、女装させる必要があったのかは謎。
「鬼瘴石」とかの設定のからみ自体はすごく面白いんだけどなぁ…真相を知った後でもやっぱりしっくりと来ないところがあるのは確か。

後やっぱり今作で大きく評価を下げたのが個別シナリオの雑さ。
特に一部の√は結構オマケ要素強も強くて残念だったかな。
ただでさえ共通は長くて、歳√で史実の流れから少し変わった程度だったのが残念だったのに、そのほかにある√は実質二つというのはね…。
後それに加えて、個人的に「土方→近藤」の順番にプレイしたのだけれど、一部のシーンで齟齬があったりはして、やっぱり個別√間が微妙に感じたのはそのあたりもあったのかも。

まぁ面白い所はあったのだけれど、不通に女装物を期待してプレイした人にとっては少し物足りないし、スチームパンクものとしてとらえるなら、上には上がいるのも確かなので物足りなさがあるのかも。

後女装物と言えば…ですが、パートボイスがかなり残念
この辺りは予算の話も絡むんだろうけど、主人公ボイスがあるのとないのとで雰囲気が一気に変わるんだよね…。
女装物ならやっぱりコンテンツの一つとして欠かせない要素ではないのだろうか。

不満が多く見える作品のように見えるのだけれど、良い所があっただけに、悪い所が逆に目立ってしまう作品だったといえばわかりよいだろうか。


タイトル : シルヴァリオ ラグナロク
ブランド : light


シナリオ : ★★★★☆ [4/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 21.5h)

キャラクター・シナリオ
lightの燃えゲーである『シルヴァリオシリーズ』――『シルヴァリオ ヴェンデッタ』、『シルヴァリオ トリニティ』に続く最終章の今作。
舞台はトリニティから数年後のカンタベリー聖教皇国。

物語は『神祖』と呼ばれるカンタベリー聖教皇国を統べる裏のボス、故郷を滅ぼされた主人公たちの復讐劇となっている。
それ以上の詳しいシナリオに関してはネタバレもあるため大きくは触れられないが、典型的な燃えゲーシナリオらしく戦闘シーンが中心で勢い重視のシナリオとなっている。
特に今作においてはシリーズ最大ともいえる敵の存在に対し、主人公陣営は『希望<ヒカリ>狂い』として、覚醒に次ぐ覚醒行うことで場面をひっくり返すような超常現象を起こすことが日常茶飯事となっており、そういった前提もあり、今作はシリーズ中で最も壮大で最も想像のつかない内容になっているといえる。
しかしながら、最終章である事もあってか、前作までのキャラクターこそ出てこないものの、端々に関連するキーワードや謎だった事象の真相なども描かれ、伏線回収とまでは言い難いものの、そういった作品的繋がりに関してはしっかりと堪能できる作品となっていた。


少し残念な点として、主軸にある『神祖滅殺』の流れ以外の部分に関しては非常に薄く、特に各個別√における各ヒロインとの恋愛シーンなどもオマケ程度になっていることに加え、各ヒロインシナリオに関してもTRUE扱いとなっているミサキ√以外は比較的、中途半端な終わり方になってしまっている。
物語の構造上仕方がない事でもあるが、少しさびしい所であり、こうした点は物語自体に深く入り込めない要因の一つにもなっていた。
特に各ヒロインに対して大きな想いを抱けないシーンが多く、せっかくの世界観やキャラクターを活かしきれていない印象も強い。

ただそうした状況の中で、燦然と輝く脇役の存在達がこの作品の最大の魅力といえる。
この作品の最大の魅力はやはり熱いバトルシーンだろう。
特に戦う前や戦っている最中のやり取りは現実的ではないものの、こういったジャンルには欠かせないシーンといえるのだが、そうした最大のポイントを語る上で欠かせないのがこの人、
ジェイス・ザ・オーバードライブである。
20200521015055
徒手空拳で戦う熱き鋼の漢であり、主人公とは別のもう一人の神殺しとして描かれた軍人。
作中において彼は主人公をも超える希望<ヒカリ>の殉教者として描かれつつも、それでいてかの英雄とは違った魅力あふれる戦いをする人物として描かれている。
彼の魅力となる戦闘シーンは勿論カッコよいのだが、何よりも彼の語る言葉の端々からは、その熱き猛りと共に確かな未来への想いを感じるシーンが多い。
そうしたシーンは総じて思わず涙をにじませてしまう程に、痺れる程カッコよく作品を大いに盛り上げてくれていた。
脇役ながらも主人公張りの活躍を見せる彼は、この作品だからこそ生まれたキャラクターとも言え、物語を進めていく中で多くの人が魅了されていくだろうことは予想に難くない。

ミサキ√を主軸とした今作のシナリオは勿論満足いくものに仕上がってたといえるが、その中で彼をはじめとした主人公やヒロイン以外のキャラクターの魅力があふれるシーンがあった事がこの作品の評価を1段も2段も押し上げていたことを最後に書き加えておきたい。


共通√【 ★★★☆☆ 】  6h
最初に主人公陣営であったラグナ、ミサキ、セシルの3人と、アンジェリカやジェイス達の陣営との出会いのシーンやその初陣となるルーファス戦など序盤は比較的勢いのあるシーンが多い。
その為、状況としては非常に絶望的ではあるものの雰囲気自体は明るいのが特徴的で、設定等がおおむね把握でき、戦闘シーンが多くなってきたあたりからの盛り上がりも悪くない。
しかし中盤から後半にかけては、特に神祖たちの隔絶した強さと悪辣を描いたシーンが多くなっており、状況的にも追い込まれるシーンが多い。
絶対的な神を殺そうとする無謀な挑戦、それこそが本当の『神殺し』であるとわかるまでがある意味プロローグともいえるだろう。


20200523155702
ミサキ・クジョウ√【 ★★★★☆ 】  5h
アンタルヤ商業連合国の傭兵であり、ラグナと運命を共にする家族であり相棒。
人懐っこく無邪気な彼女はまさに天真爛漫、どんな相手であっても壁を作ることなく接することができる凛とした少女。
ラグナと同様に故郷を滅ぼされた事に対する復讐の念は強く『神祖滅殺』を掲げて戦場を駆けるが、一方で”その先”を見据える事も重要だと考えている。
そのため、復讐に暴走しがちなラグナやセシルに歯止めをかけるような言動もあり、二人にとっての日常の象徴にもなっている。

セシル・アンジェリカを攻略後にロックが解放されるミサキの個別√は、当然ながら作のTRUE√ともいえる内容に。
他の√で曖昧だったラグナやミサキについて等が基本的にすべて明かされる他、もちろんバトルに関しては今作における最大級の『神祖』との全面戦争が描かれており、前シリーズの事情などを絡めたその内容は正しくグランドエンドに相応しい。
ここで描かれるバトルに関しては、燃えゲーによくありがちなインフレにインフレを重ねたものなので、特筆すべきことはあまりなく、そのた設定に関連する内容についてもネタバレを考えると語ることはできない。
しかし、シーンとしてやはりここでも光っていたのはジェイスとリチャードだろう。
ジェイスに関しては他の部分でその魅力を多く語っているので割愛するが、リチャードもまた語りつくせぬ魅力ある登場人物である。
この√に限らず、主人公であるラグナを『非日常の強い主人公』と称するなら、リチャードは『日常の主人公』といえる立ち位置にある存在としており、そんな彼らしい『強さ』を鮮烈に描いたバトルシーンは彼ならではといえる。
なにより、彼の複雑な心情は今作に深みを与えている要素でもあり、そういう意味では欠かせないキャラクターの一人となっていた。


20200517160513
セシル・リベラーティ√【 ★★★☆☆ 】  5h
アンタルヤ商業連合国の十氏族『リベラーティ海運業』のお嬢様。
ラグナとミサキをサポートする雇用主でもあるが、一族の宿願である神祖滅殺のために自身も戦場に立つ生粋の復讐者。
可愛い見た目に反して計算高く、非常に肝の据わった性格をしており、以前は復讐にすべてを捧げていた。
しかし、その先を見据えたラグナやミサキに影響され、そうした部分も変わってきており、特に彼らの前では素直な反応を見せることも多い。


個別√ではセシルがリベラーティ家の呪縛を語ると共に、その運命を踏まえて主人公がセシイルの想いにこたえる事となる。
以前から好意を隠すことがなかったセシルの熱い想いがあふれるシーンは、恋愛描写が少ないこの作品においても比較的多めに描かれていたといえるだろう。
しかしながら、それとは別にこの√における最大の見せ場は中盤、シュウVSオーバードライブ、ラグナVSリチャードという二つの戦いの同時展開であった。
この二つはどちらも今作中でも屈指のバトルシーンであり、ともすれば神祖やセシルといった本丸を飲み込むほどで、この作品のこの設定だからこその熱いやり取り、そこにある男たちの熱い想い、戦いの中だからこそ描ける絆といった燃えゲーならではの魅力をいかんなく発揮する。
特筆すべきは「ジェイス・ザ・オーバードライブ」という存在であり、このシナリオにおいてその輝きは主人公をも凌ぎ、特にシリーズをプレイしている人にとってはたまらない設定などもあるので、楽しみにしてほしい所。


20200517172134
アンジェリカ・フォン・アクトレイテ√【 ★★★☆☆ 】  5h
カンタベリー聖教皇国の粛清機関『聖座信仰監視局』の執行官で、ラグナたちと同盟を組む反逆者。
美しい見た目に幼さを感じる容姿、上品さの中に微量の毒を感じる口調という、ミステリアスな雰囲気の少女。
立場上の関係もあって、冷たい印象を受けることが多いが、友人のパトリシアとは気の置けない仲であり、強引で暴走しがちな彼女に振り回されることも多く、ぞんざいに扱ってはいるものの、同時にとても大切に思っている。

個別シナリオではアクトレイテ家の呪縛からの解放を描くが、あくまでそれが主のテーマというわけではなく、大筋の流れの中で同時に解決されるという印象が強い。
恋愛シーンに関してもあまり描写はなく、基本的には危機的状況に陥った中の展開という部分が主立っている。
ただこのシナリオではアンジェリカの親友であるパトリシアや一人の“神殺し”であるジェイスについても多く書かれているシナリオであり、そういった意味での名シーンは多い。


[ 主人公 ]ラグナ・ニーズホッグ
アンタルヤ商業連合国の傭兵にして、終焉吼竜<ニーズホッグ>異名を持つ星辰奏者<エスペラント>。
各地の戦争を渡り歩いたその風貌から誤解されがちだが、義理堅く心優しい常識人。
それゆえに、四年前に故郷を壊滅させたグレンファルトを憎み、相棒であるミサキと共に必ず討ち果たさんと誓っている。


【推奨攻略順:アンジェリカ→セシル→ミサキ 】
アンジェリカとセシルを攻略することでミサキ√のロックが解除されるため、全社二人に関しては好きな順番で攻略しても良いだろう。


CG
線が堅く濃い塗りの絵。
ヒロインが3人ではあるものの各キャラのイベントCGに関してはそこまで多くなく、戦闘イベントCGを中心としている他、SD絵も多数存在している。
またCGの他にショートムービーなども使用して戦闘シーンの演出をしている点も魅力の一つだが、前作同様その表現自体は割と簡素なので、その点に強い期待を寄せるべきではない。


音楽
BGM36曲(inst含む)、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
BGMに関しては作品イメージもあってか、荘厳なイメージの物やバトルシーン用の雰囲気が重い物などが中心になっている。
Vo曲はやはりOPの「神殺し -Ragnarok-」が印象的で、light作品らしいストレートに燃える楽曲となっている。


お勧め度
『シルヴァリオ ヴェンデッタ』、『シルヴァリオ トリニティ』に続くシルヴァリオシリーズ最終章となる今作。
作中では前作キャラクターこそ出てこないものの、それと匂わせる描写は勿論、この世界観特有のキーワードなどもが惜しげもなく使われている。
当方のように1作目をプレイしておらず、トリニティからの人間や、あるいはこの作品単体であってもある程度楽しめるようにはなっていたが、はり十二分に作品の世界観を堪能するためには基本的には前2作のプレイが必須であり、とくにプレイ前には再履修等の必要があるといえるだろう。


総合評価
音楽・CGのバランスは良く、シナリオも燃えゲーらしい安定した作品といえ、シリーズ最終章としては十分に良くできた作品となっていてこの評価。


【ぶっちゃけコーナー】
ちょっと上でも触れていますが、実はトリニティ(2作目)しかやったことが無くて、ヴェンデッタ(1作目)をプレイしていないんですよね。
全くプレイしていない人よりはある程度分かる部分も多いのですが、やっぱりわからないところも結構あったりして、そういう時はWikiで調べたりして入るものの、やっぱり1作目やっておくんだったと後悔はしている…。
そもそも2作目の内容ですら忘れてる部分多かったからなぁ…。
プレイしていないのはこちらが悪いのだけれど、せっかくの世界観なのだしTipsくらいは実装してもいいのかも? とは思いました。

あとシステム面で付け加えるなら、全体的に動作がもっさりしている事。
他のゲームではあまりこうはならないので、やはりこのゲーム特有なのだとは思う。
シーンジャンプとかいろいろやりやすくはなっているのだけれど、そのあたりはまだまだ発展途上なのかな。

戦闘描写の物足りなさは相変わらず、やっぱりもう少し昔の方が…って気持ちが少しある。
あとシナリオに関しては割と勢い重視だからね、あまり語ることがないというか、ある意味ではシチュエーションや設定ありきであり、7~8割は戦闘描写で、戦闘中のやり取りこそがこの作品…というか燃えゲーの真骨頂なのだと思う。
そういう意味では結構楽しめる作品だったかなぁ…。
最終的には主人公やヒロインより、ジェイスやリチャードといったサブキャラの方が光っていた作品ってのは結構な人が同意するんじゃないかなぁ…。
状況が状況だから仕方がないけれど、各ヒロインと主人公との恋愛描写とかがかなりあいまいだからね、そのあたりの印象が薄くなってしまうのは仕方がないのかもしれない。
ただ、そこにもしも今作のサブキャラのように深みを持たせることができたのなら評価が変わってきたのかもしれない。
この辺りはどこを重視するかが難しい問題にはなりそうだけどね。


タイトル : アマカノ2
ブランド : あざらしそふと


シナリオ : ★★★★★ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★★ [5/5]
お勧め度 : ★★★★★ [5/5]
総合評価 : ★★★★★ [5/5]
(総プレイ時間 : 12h)

キャラクター・シナリオ
「アマカノ」「アマカノ ~SecondSeason~」「アマカノ+」「アマカノ ~SecondSeason~+」に続くアマカノシリーズの5作目となる今作。
舞台となるのは前シリーズをプレイしている人にとってはおなじみ、金沢をモチーフとした『白鷺市』で秋から冬にかけてを描いた王道の恋愛学園物となっている。

まず初めに前シリーズとのつながりに関して触れておきたい。
今作の舞台となる『白鷺市』や『黒瀬温泉』などの地名に関しては前シリーズでも登場した場所であり、また各ヒロイン√においては過去作のヒロインが登場するシーンがあったりすることなどから、世界観を共通としていることが分かるが、シナリオ的な繋がり自体は無く「アマカノ2」単体として楽しめる作品に仕上がっている。

シナリオの構成は今までのシリーズと同様で、共通部分においてはMAP選択によって各ヒロインとのショートイベントが発生し、毎度おなじみのヒロインの好感度を表した「アマカノグラフ」も同時に変化する仕組みになっていて、そしてその選択(数値)によって各個別ヒロイン√へ分岐する形となっている。

この作品のみに関わらずだが、アマカノシリーズにおいて徹底して描かれていたのは、王道の恋愛学園物――つまるところ「人と人が出会い恋に落ちるという」特殊な物語の起伏のない普遍的なものである。
しかし、ただそれだけの物語に古から多くの人が心惹かれていた、その理由の一端がこの作品にあるのではないだろうか。


共通部分においては、主人公とヒロインが恋に落ちる過程をメインに描いており、学園イベントなどを通して「同じ時間を過ごして親しくなる」「秘密を共有してさらに仲良くなる」「互いを意識して告白にいたる」という恋愛物における基本とも言える実直なストーリーがそこにあるのだが、そのステップの一つ一つが「アマカノ」らしくキャラクターの魅力と共に丁寧に描かれている。
特に互いが恋に落ちてゆく描写ではヒロイン視点も多く取り入れられており、お互いがどんな想いをもって惹かれ合っていくかという心の動きをしっかりと感じることができる。
だからこそ、今作における前半の山場といえる告白シーンではこちらも感情移入し、思わず泣けてしまうのだろう。
また今作も告白シーンでは挿入歌を使用した特殊な演出が行われており、特に使用された楽曲はどの√においても印象的であるが、中でも玲√に関しては格別のものといえるだろう。
詳細はプレイして確認してほしいが、直接シナリオと関連した部分ではないものの、作品を構成する大切な部分の一つとして、高く評価しておきたい。


各個別√では学園が冬休みに入っていることもあり、主人公とヒロインの二人だけの世界に入ってしまうシーンが多くなっている。
ある種の蜜月ともいえる暖かさが全体に溢れたシーンの連続、そうした中で見事なのは、同じ「恋人」という関係の中でも形がかわっていく様子をしっかりと描いていたことで、「新しい所を発見して、さらに好きになっていく」という過程を主人公と同じように重ねていける部分はこの作品ならではだろう。
深く触れるからこそ、露わになってゆくヒロイン達の想いや問題に対面し、それをお互いの協力で乗り越えていく、扱っているテーマは各ヒロインでもちろん違うが、やはりここでも描かれる大まかな流れは普遍的なものであったといえる。
それでも確かに、ここには熱く焦がれるだけの想いではなく、想うだけで心が温まるような関係が表現されており、だからこそラストシーンではどのヒロインにおいても驚くほど爆発力のあるシーンを演出で来ていたと考えている。
特にそれが顕著だった結灯√に関しては、個人的にもお勧めしておきたいポイントとして挙げておく。


最後にもう一つこの作品の魅力としてあげたい部分として、季節を活かしたシナリオ演出がある。
主に共通部分では季節を秋としており、綺麗な緋色に染まる白鷺市の風景は雅で、見ているだけでも楽しくなるのだが上記でも述べたように、この部分では登場人物たちの恋の様子が描かれており、気持ちや関係が鮮やかに変化してゆく。
加えて告白シーンを含めた重要なイベントは夕暮れ時に描かれていることが多かった。
勿論学園物なので、イベントの多くが放課後である事を考えると当然ではあるのだが、気持ちの変化と秋の紅葉、そして夕暮れのリンクはシナリオ的にも視覚的にも関係的にも全体的に『緋』のイメージで統一されているように感じた。
そして各個別√では季節がうつろい冬の季節となる。
所々に紅葉を残しながらも雪化粧をする白鷺市と共に、恋人たちの関係は恋から愛へと変わってゆく。
気温の下がる季節だからこそ、肌と肌を寄せ合う事でより感じられる互いの体温とその存在の大切さ、濃密に描かれた恋人との蜜月は冬の寒いイメージを塗り替える程で、やがて来る春へと思いを馳せながら過ごす日々は心温めてくれる。
こうした描写もあって、シナリオ的にも大詰めとなる部分である終盤のシーンではより深くお互いの心へと踏み込んでゆくこととなる。
語りつくすことのできない魅力が詰まったシナリオ構成であるが、こうした文章の綺麗さを存分に味わえるのも今作の魅力だろう。


共通√【 ★★★☆☆ 】  3h
各ヒロインとの出会いや一部イベント等、秋口から城白祭あたりまでを描いており、城白祭を節目として個別分岐する形となっている。
特に選択肢によっては「告白される展開」と「告白する展開」が用意されているところも、前シリーズと同様となっており、それぞれ主人公とヒロインの感情が揺れ動くシーンの描写は見どころの一つといってよいだろう。

共通部分における主な描写として、ちとせとの従来の日常や、押しかけて来た玲によって変わる新鮮な生活、そして隣の席にやってきた結灯とのシーンなど、それぞれのイベントシーンが用意されており、そこに加えて先に挙げた「城白祭」などを主軸とした学園物としてのシーンが描かれている。
しかしながら、そういった部分は共通としてのウェイトはあまりなく、今までの作品同様にMAP選択による個別ヒロインシナリオ部分のボリュームが大きくなっている。
その為、共通ルートにおいてはどうしても各ヒロインシナリオ部分が印象的になりがちなのだが、それでも特筆してあげておきたいのは玲との描写についてだろう。
同じ部屋で暮らす主人公と過ごし、彼の想いの温かさに触れてゆくことで、その関係を『家族』へと変えてゆく様子が描かれる。なかでも主人公を家族として認めるシーンの空気感の名状しがたい良さがあり、個人的な最大の魅力といえる。
※個人的には玲の個別√に含めても良いのではと考えていたのだが、部分的には共通ルートなのでこの部分で評価した。


20200505180623
黒姫 結灯√【 ★★★★★  3h
恋をしない女の子。

新幹線で偶然隣の席になった少女だったが、偶然が重なり、翌日に隣の席へやってきた転校生として再開することになった
よく笑う人当たりが良い優等生で、人の役に立とうと行動することが多いが、一方で主人公にとっては違和感を感じる行動も多く謎の多い部分も。

最初から好感度が非常に高い結灯だが、彼女は非常に多くの謎を抱えている。
それゆえに彼女のシナリオに関して、深く触れれば触れる程ネタバレに抵触する可能性があることを先に述べておかなければいけない。
※以下ではできるだけその部分に触れないようにしているが、プレイ予定の人は読み飛ばしても良いだろう。

共通部分からして他のヒロインとも一線を隔す結灯との物語。
幾重にも重なった偶然によって露わになってゆく彼女自身について、深く触れれば触れる程、主人公と同じように彼女についての興味が増してくる、そうしたシナリオは秀逸という他ないだろう。
主人公視点と結灯視点の両方から歩み寄るように、その「偶然」を愛によって「必然」に昇華させてゆく過程はアマカノシリーズだからこその表現といってよいだろう。
特に結灯視点の物語に関しては、彼女の気持ちを考えるととても胸が締め付けられるようなシーンも多く、思わず涙を流すことも1度ではなかった。
端的に言えば恋に落ちる過程を描いた部分ではあるのだが、今作においては最も起伏のある所と言っても良く、同時に今作…いや、このアマカノシリーズ中で最もこの作品を楽しめる所と言える。

個別シナリオに入ってからはもちろん甘いシーンで構成。
それまでの経緯もあって一挙手一投足が可愛く仕上がっており、特に彼女に関しては様々な”面”を見せてくれる部分に関しては、ほかのヒロインよりも嬉しさにおいて勝っている状況もあり、そうした部分は特に印象的だった。
また終盤では、結灯の抱えた最後の”ある問題”を主軸に「自分と他者を尊重する」という恋愛という枠を超えたテーマをシナリオに加えている。
多くの悩みを抱えている彼女だからこそ、終盤のあのシーンでの感動はすさまじい。
出会ったときに「宝物を探しに来た」と零した結灯に対する回収と合わせて、ある種のメッセージ性の強い内容にもなっていた。


20200505180726
蔦町 ちとせ√【 ★★★★☆ 】  3h
恋を知らない女の子。

隣の家に住む一つ年上の幼馴染。
主人公にとっては姉のような存在であり、ちとせ自身も主人公の事を弟のようにかわいがっている。
容姿端麗で成績も優秀、温厚で誰にでも優しく、家庭的な事も手伝って学園では絶大な人気を誇るが、主人公との距離が近すぎるため浮いた話は今まで一切なかった。
放課後は家庭科部の部長として活動している他、実家が喫茶店『緋衣亭』を営んでいるため、看板娘として手伝いをしていることも多い。

スキンスップなど、まるで付き合っているかのような姉弟として接していた二人。
個別シナリオではそんな二人が小さな切っ掛けを重ね、それまでの「家族」という枠組みではなくお互いを「異性」として意識し合うまでを描いている。
傍にいるのが当たり前だった、その何気ない大切さに気付きそして失いたくないと願う、ちとせ視点を通して描かれるそうした彼女の想いは繊細に表現されていた。
また付き合ってからの新しい関係にドキドキしながら照れるちとせなども魅力の一つで、恋愛初心者らしい初々しさのあるやり取りなど、恋人同士になったからこそ見られる新しい表情をいくつも見せてくれていた。
物語の後半は卒業するちとせの立ち位置からか「これから」という未来をテーマとした内容となっている。中でも彼女が抱える複雑な心中と合わせて描かれた主人公の行動は今作でも屈指のイケメンシーンとなっており、見所の一つといえるだろう。


20200505180953
氷見山 玲√【 ★★★★☆ 】  3h
恋に興味がない女の子。

クールな性格で主人公の従妹。
前は実家から学園に通っていたが、思いのほか距離が遠かったため、親戚である主人公の家にやってきた。
合理的なことを好み、色々なことにも興味を持ってマイペースに行動しているため、普段は一人でいる事が多い。
また趣味でピアノを嗜んでいる。

物語の前半は、マイペースで合理主義な玲の性質が前面に出た部分になっているが、そんなクールな彼女が笑うと、一転可愛らしさあふれる表情になるのも見所。
更に『恋愛』に対して興味のなかった玲が初めて抱く主人公への不合理な『感情』に戸惑う所が扱われており、その想いに触れるように一つ一つを確認し、愛情を深めてゆく様子を玲視点などを活かして丁寧な心理描写をもとに描かれていた。
特にその集大成ともいえる告白シーンはサプライズ演出も合わせて、このシナリオの最大の見どころともいえるだろう。
物語の後半はとにかく甘いシーンの連続となっていて、落ち着いた玲の言葉の一つ一つから気持ちが伝わるその描写はもちろんのこと、普段の彼女からは想像できないほどに甘えてくるシーンなど、玲の可愛さを武器としたシーンの数々は、恋人とやりたいことが全て詰め込んでいるといっても良いだろう。
シナリオテーマとして「合理性」と「浪漫」を恋愛と絡めた表現も美しく、全体的な完成度も高いものとなっていた。


[ 主人公 ]和倉 賢一(名前は自由に設定可能)
ながれ茶屋街に住む心優しい青年。
隣の家にすむ『蔦町 ちひろ』には弟同然に可愛がられており、それゆえに学園ではある意味有名で、そんな彼女の家族が営む『緋衣亭』や他の旅館でもアルバイトをしている。
他人と距離を取るのが上手く、世話焼きな性格もあって誰とでも仲良くなれる。
また自身の言葉を素直に口にする所があり、自然と歯の浮くようなセリフを口走ってしまうことも。


【推奨攻略順:玲→ちとせ→結灯】
攻略順に指定はないものの、EDでのネタバレを防ぐという意味では玲を最初にプレイしてほしい所。
個人的なお勧めとしては、ちとせと玲は「想いを伝えられる」シナリオを結灯は「想いを伝える」シナリオを楽しんでほしい。
(勿論どちらをプレイしても十分に楽しめます)

CG
しっかりと下塗りに、どこか艶やかさすら感じるCG。
ヒロインが3人という事で枚数自体は少なめになっているものの、今までのアマカノシリーズの雰囲気を踏襲しつつ、さらにレベルアップしたピロ水さんの美麗すぎるCGは、誰しもが満点をつける以外にないだろう。
SD絵も豊富に存在している他、もちろん立ち絵には前シリーズ同様に目パチ・口パク機能も付いている。


音楽
BGM22曲(inst等を含む)、Vo曲5曲(OP1/その他4曲)
Vo曲のinstなども多く純粋なBGMとしては数が若干少なめだが、全体的に落ち着いた温かみを感じる楽曲は作風とも非常にマッチしている。

Vo曲に関しては、アマカノシリーズでは常に良い楽曲を世に送りだしていたが、今作はその中でもさらに名曲揃いといってよいだろう。
特に挿入歌として扱われる「coincidence」やアイベヤで使用された「5センチ」のDucaVerなど、ある種のバラエティにも富んだ内容は、単体として聞いても十二分に楽しめるが、本作の内容と合わせた時の破壊力は筆舌に尽くしがたい。
追記として、多大なネタバレを含んでしまうため多くを語れないのだが、とある√で流れる楽曲を採用してくれたことに最大の賛辞を贈りたい。
本当に、ありがとうございます。


お勧め度
シリーズ作品ではあるものの、単体として完成している作品であるため、今作からのプレイでもさしたる問題はない。しかしながら、もちろん前シリーズをプレイしている人にとって楽しめるところもあるため、シリーズ作品のプレイは推奨もしておきたい。
作品としては恋愛学園物であるため、万人にとって受け入れやすい作品ではあるが、特に物語としての大きな山場があるわけではなく、ただ実直に恋愛の様子を描いた作品にもなっているため、合わない人にとっては退屈な作品にもなりえる。
ただ、今までの「アマカノ」をプレイしてきた人にとっては、あの雰囲気をしっかりと踏襲したうえでさらにレベルの上がった作品に仕上がっている、と自信を持ってお勧めできる作品であり、未プレイの人にとっても、魅力的なヒロインや綺麗なテキスト、丁寧な心理描写や綺麗なCGなどアピールポイントが多い作品なので、そうしたところに惹かれた人も含め、多くの人にお勧めしたい作品となっている。


総合評価
テキストだけに限らず、CGや音楽などの魅力の多い作品であり、個人的評価としてはアマカノシリーズ作品の中で最高の出来だと考えており、この評価としている。


【ぶっちゃけコーナー】
いやぁ…いい作品でしたね、と素直にそう思えるくらいいい作品でした。
特に各個別シナリオに関しては今までのアマカノシリーズの雰囲気がしっかりと残っているうえで、さらにその内容を一段も二段も深めていっているのに驚いた。
もちろん、そこにあるのは現実的な恋愛もので、不思議な力とかそういうのが一切出てこない話。
だからこそ展開にも限界があるんだけど、それでもこのヒロイン3人のシナリオで魅せてくれたという事に驚きを隠せない。
色々と言い部分は語ったけど、悪い部分が個人的には思い当たらなくて、だからいい所を加えておくと、空気感みたいなものの使い方がすごく上手になっていた。
これはもちろん、そのシーンに至るまでのテキストも重要なんだけど、BGMとかCGとかそういう演出部分の力も強いんだろうなぁ。
こういうことをできる作品は最近減ってきたので個人的に嬉しい所。
後やっぱり素直に、各ルートで泣けたってのが評価が高い理由の一つかも。
告白シーンとかで泣けるのは本当にこのシリーズ作品くらいだし。

告白シーンと言えば挿入歌の質が今回は異常でしたね…。
とくに玲であの楽曲を使うのは本当にズルイって言いたくなるレベル、いや大好きなんですけどね、ありがとうございます(何
個人的に挿入歌としては結灯のラストあたりで流れるものも好きで、やっぱりあのあたりのシーンも泣いてしまった…。

振り返ってみると、ちとせ√に触れていない印象も強いけど、彼女の√でもラスト付近の主人公とかすごくカッコいいのでお勧め。
というか、今回の主人公は全体的にカッコよくて好きでした。
やっぱり主人公が好きになれるかどうかって重要ですからね…。

さらに加えておくなら、遊びがあるのもこの作品の良い所。
特に「アマカノグラフ」に関しては今作もなかなか面白い動きをするので、個人的にはその部分も注目してほしいかな。
最初に出てきたときはそこまでだったんだけど、ここまで作りこむ…とは違うけど、作品に組み込むと、それはそれで違う面白さが出てくる部分があって新鮮でしたね。


タイトル : 9-nine- ゆきいろゆきはなゆきのあと
ブランド : ぱれっと


シナリオ : ★★★★☆ [5/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [5/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [5/5]
総合評価 : ★★★★☆ [5/5]
(総プレイ時間 : 5h)

シナリオ

「9」シリーズの4作目。

前作までの流れを踏まえての今作、攻略対象となるのはもちろん4人目のヒロインである結城 希亜。
主人公陣営のクールなリーダーとして正義を重んじた行動をする一方、自身の能力を「ジ・オーダー」と名付けたりと中二病っぽい言動にどこかコミカルさも感じるキャラクターで、人をあまり信用しないためか距離を置きがちで謎も多かった娘でもある。

今作では特に前半から中盤にかけては今までの作品とほぼ同様の流れとなっており、謎多き彼女について迫りつつ、彼女の魅力が遺憾なく感じられる内容となっている。
特にとある切っ掛けにより主人公に心を許すようになってからの彼女の可愛さは半端ではなく、甘えん坊でヤキモチ焼きという、今までのギャップを余すところなく利用したその魅力は筆舌に尽くしがたい。
今作のプレイヤーは彼女に対してのイメージを攻略中に何度も書き直すと同時に、その可愛さに何度も恋に落ちるだろう。

上記の希亜がメインとなるシナリオ部分に関しては設定的な問題もあり、どうしても急な展開になってしまう部分も目立つ。しかし今シリーズまでの下地もあってか、プレイしている側にとってテンポよく進んでゆく話自体は見ていて心地よい。
一方、彼女の内面を描くシーンに関してはしっかりと分量がとられているもののシーンとしての短さは依然として存在しており、後述のシナリオの印象の強さもあってどうしても印象が薄くなりがちなのは弱点の一つといえるだろう。

物語の後半からは、シリーズ作品のフィナーレに相当する部分となっている。
ネタバレになるため詳細は伏せるものの、今までのシリーズ作品における伏線や今作でさらに判明した事などを絡めた内容となっていて、今まで謎だった多くの部分なども判明し、異能バトルもたっぷりと描かれたシーンの数々や、泣ける場面は勿論、予想外の展開に、絶望的な展開、そしてそれら乗り越えてゆく様子には鳥肌が立つほど。
物語の終わりを迎えるまで、終わってからも心休まらない物語は、その内容の濃さから心に深く刻まれるようで、シナリオの分量としては比較的抑え目なのだが、その盛り上がりと完成度はまさしく今シリーズで最高潮ともいえるだろう。

すべてを手放しに褒められる作品ではないが、終盤の展開はその問題の全てを許せるほどのものとなっており、そういう意味では今作単体ではなく、シリーズ全体としての評価を挙げた作品となっている。


【推奨攻略順:無し】
作中ではいくつか選択肢が出現するものの、選択できるのはほぼ一つであることが多く、物語は1本道。


CG
細い線に淡い塗り、柔らかさの伝わってくる、安定の和泉つばす先生の絵。
一般的な作品と比較すると枚数自体は少ないものの1枚1枚の完成度は高く、美麗といってよいだろう。
またSD絵も数枚存在するほか、今までのシリーズと同様にHシーンがヌルヌル動いたりする。


音楽
BGM28曲、Vo曲3曲(OP/ED/挿入歌)という構成。
今作の音楽鑑賞画面で確認できるのは上記ではあるが、シリーズ作品であるために前作からの楽曲が多く含まれている。
特にBGMに関しては追加されたものが恐らく3曲程度なので、評価の大部分を占めているのは新たに追加されたVo曲についてである。
OPの「DEAR MY WAKER」は初めて聞いてもすごくカッコイイ曲なのだが、全部プレイした後でこそ輝く楽曲でもある。
もちろん挿入歌やED曲も非常に良い曲で、作品と合わせてぜひ楽しんでほしい。


お勧め度
この作品を購入しようかと思っている大半の人間は知っていると思うが、シリーズ作品という事もあり単体で楽しむようには作られていない。
また物語の性質上、振り返りシーンなどが余りないことに加えて、今までの作品の話を利用するシーンなども多いため、過去作に対する重大なネタバレを含んでいる。
プレイする前までにある程度前作までの記憶を呼び起こした上でプレイする必要もある。
おそらく前作まで買った人にとってはこの作品を買わない理由はなく、そして買ってからも後悔はしないであろう内容となっている。


総合評価
音楽や絵だけではなくシナリオも良く、全体的な完成度は高い。純粋に最後まで楽しめる作品となっており高評価をつけている。

【ぶっちゃけコーナー】
ぱれっとの「9」シリーズの4作目ということで、今作でシリーズとしてはおそらく一端の一区切りがついたみたい。
ただ、シリーズとしては続編も作れるような内容になっていたし、あの感じだとFDの形か何かで多分作られるんだろうね。※そもそもがFDの集まりみたいなボリュームだから5作目って考え方で良いのだろうけど。

何はともあれ、しっかりと終わらせたことには正直驚きを隠せないが、あれだけ広げてあった風呂敷も、気が付けばきれいにたたまれている。
勿論、戦闘描写が余り慣れてなかったり、そもそもの設定的に色々と気になる所もあるにはあったけれど、やっぱりこの物語を描いたのはすごいなぁ…と、終盤にはドキドキしながら次の展開を求めて読んでいる、それくらいに熱中してた。
絶望もあった、それを乗り越えて燃えたし、泣けるシーンもあったし、全部終わった後の読了後の脱力感も、それらすべてが確かに楽しめる作品だったという事を示していましたね。

あと、どうしてもその印象が強くて薄くなりがちな希亜、まぁ物語の形的にしょうがないんだけど、彼女は彼女で単体の作品としてほしかった気持ちもある。
後半の容量をさらに増やして、グランド√だけの作品を作るみたいな感じなのかな…。
いや、だってね、それくらい可愛かったんですよ彼女。
ギャップを凄い良い使い方してて、特に主人公に素をさらけ出してからの感じがもうね…書き手としては失格だけど、文字に掛けないくらい可愛かった。
声出たもんね…プレイしながら。

取り留めもないけど、純粋に次の作品が出るならやっぱり気になる。
最後の最後に1文で次につなげてくるあたり、1作目から魅せてたけど、このシリーズの本当に巧い所だわ。


タイトル : 神様のような君へ
ブランド : CUBE


シナリオ : ★★★★☆ [4/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★★☆ [4/5]
(総プレイ時間 : 11h弱)

キャラクター・シナリオ
ある日、ハッキングが得意な主人公が日本の中枢を担うA――C-AIにハッキング行為を行い、C-AIに対して"とある命令"を下したことから物語が始まる。

近未来を舞台としたSF作品である今作、冒頭から主人公がハッキングを行っていたりと作品舞台と合わせて電脳世界の話もテーマとして深くかかわっている。
シナリオ自体は3人のヒロインとそれぞれに付随したサブヒロインシナリオの合計6から構成されており、それぞれ世界観がしっかりしていた印象が強い。
なかでもヒロインの一人であるツクヨミの存在は突出しており、その他のヒロインの設定なども巻き込んだ大きな展開は、この作品における最大の見どころの一つだろう。
勿論、そのほかのシナリオにおいてもこの物語だからこそ描ける内容がテーマに沿うような形で作られている。

上記で述べたとおり個別√が存在するのは6人(サブヒロインを含めて)であるが、おいてダレる部分はわかりやすく説明しつつ、多くのシーンをカットすることで物語の総量は比較的コンパクトな分量に収まっている。
キャラクターの可愛さを見せるべき部分ではそこを、ギャグシーンならギャグを、そして物語を締めてくれるシリアスシーンや緊迫したサスペンスシーン、驚きの伏線回収など、魅せたい所でしっかりと見せて、要所要所での山と谷がしっかりとしているため、自然と物語にのめりこんでいくこととなる。
物語自体の面白さもあってのことではあるが、集中が途切れることなく終盤まで時間を忘れてプレイに熱中できた理由はここにあるだろう。

一方で、物語のボリュームが足りないという部分は依然として問題。
どうしても展開に次ぐ展開へと、心休まる時間が余りないために、じっくりとキャラクター自体へ深く立ち入るスペースがない。
その為に、要所にあるシーンでイマイチ感情移入しにくいなど、読みやすさがあった反面、与えてくれている感動の大きさがしぼんでしまっていた感覚はある。
この辺りは個人差によるものも大きいが、やはり良いキャラのシーンはたくさんプレイしたいというのは共通の認識といってよいだろう。

上記で少し触れたが、各ルートのシナリオについてもう少しだけ補足しておくと、それぞれの物語は複数のライターが担当しているためか、テイスト自体は違った雰囲気のものとなっている。
しかしながら、下地にある大きな部分ではしっかりとつながっており、それでいて一つ一つの物語がそれだけでグランド√を作ることができるのではないかと思う程に展開力に富んだ内容となっていた。
またこの作品にはいくつかの、BADENDが用意されており、その精神攻撃性の高さなども見所の一つといえるだろう。

この作品の世界観を支えているという意味で、空間を演出する音楽や、何よりも美麗なCGなどに目を奪われがちではあるが、シナリオとしての完成度はこうした部分を見ても高く評価できるだろう。


共通√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
ツクヨミを中心とした各ヒロイン達の出会いと、それにまつわるイベントが描かれている部分となっており、比較的すぐに各ヒロイン√へと分岐する。

上記でも説明したが、シナリオがそれぞれのメインヒロインのシナリオに分離する形となっているため、その前提となる共通部分の描写は非常に少ない。
それもあって評価自体は普通程度となっているものの、雰囲気十分なSF感と今後の展望を思わせるドキドキ感があり、また短く纏まったシナリオがテンポよく展開していくため、話の長さ以上に物語が動いていくこととなり、世界観にどんどんと引き込まれていく。
こうした要素もあって、物語の導入部分としては十二分に評価できるだろう。


神様のような君へ (1)
ツクヨミ√【 ★★★★☆ 】  2h
主人公がC-AIにハッキングしたことにより製造されたロボットで、人間離れした身体能力と規格外の処理能力を持つ。
その外観は主人公の趣味嗜好をかなえた女の子の形となっており、触っても分からないほど精巧に作られている。
ハッキングの際に与えられた主人公の命令である「大好き」を伝えるため、様々な手を講じるものの、その判断基準がネットであるため、突拍子もない行動をすることも。

今作のセンターヒロインであるツクヨミの個別シナリオ。
前半は特にツクヨミとの恋愛シーンがたっぷりと用意されており、ツクヨミと主人公が人とロボットという壁を越えて愛し合ってゆく様子を描かれている。
そして中盤から後半にかけてがこのシナリオの本領ともいえる部分となっており、SFの世界観をフルに使った息もつかせぬ展開の連続、バトルものの作品もかくやといった緊迫感、そして予想を超える結末にと、今作の舞台設定をいかんなく詰め込んだ内容となっていた。
その中でも多くのヒロインを絡めた展開などが見所の一つとして挙げられるが、一方で他のヒロイン√のネタバレも一部含まれてしまっているので、攻略順等には配慮が必要だろう。


神様のような君へ (5)
黒鳳 玲音√【 ★★★☆☆ 】  1h
生徒会長を務める一つ年上の優等生。
美人な見た目は勿論、成績優秀で分け隔てなく接する愛想の良さも兼ね備えた完璧ともいえる存在。
主人公とは住む世界が全く違う玲音だったが、彼女のある『目的』のために協力を要請してくるようになる。

サブヒロインである玲音の個別シナリオはツクヨミ√から分岐。
彼女の秘密を知ったことで、共通部分では見られなかった玲音の真の姿を堪能できる内容となっており、その妖艶ともいえる雰囲気は他のヒロインにはない魅力がある。
また詳細は伏せるものの、他の√よりもより主人公の特技であるハッキングの話に触れる内容にもなっており、ハラハラとするサスペンスシーンと合わせ、読んでいて純粋に面白かったシナリオでもあり、短さはあるものの、サブヒロイン√とは思えないほど内容のギュッとつまった内容となっている。


神様のような君へ (3)
ラナ・リデル=ハート√【 ★★★☆☆ 】  2h
いつも『シャーロック・ホームズ』のコスプレをしているイギリス人の3年生。
天真爛漫で明るい少女だが、類稀なる洞察力を持ち、依頼されて探偵のような活動をすることも多い。
幼少期は日本に住んでいたが、一端イギリスに帰国した後、最近になって再び日本にやってきて、両親のいない家で姉と二人暮らしをしている。

個別シナリオの序盤から中盤にかけてはラナとの恋愛シーンもそこそこに、近未来設定を活かしたサスペンス要素たっぷりのシナリオがメインで描かれている。
物語としては山に当たる部分であり、ラナの頭脳と主人公の特技が上手く合わさり、謎の真相に迫ってゆく過程はワクワクしながら読むことができる。
一方後半は物語的に谷となる部分となっており、深くは語らないがBAD√然り、非常にヘビーな内容も含まれた展開となっていた。
切ないシーンなども多い中、苦境に立たされた時の主人公の行動がすごく良く光っており、そうした苦難を超えた後のエンディングだからこその感動がある内容となっていた。


神様のような君へ (6)
ソフィア・リデル=ハート√(+ラナ&ソフィア√)【 ★★★☆☆ 】  1h
ヒロインであるラナの姉。
イギリス人でスタイルが良く明るく包容力もあるが、仕事もAIの研究をしていたりと頭脳も明晰なのだが、一方でマイペースな一面もあり、その行動で妹であるラナを振り回すことも多い。

個別シナリオとしてはラナ√の後半部分から分岐する形となっており、またそのさらに先にある選択肢で分岐する「ソフィア√」と「ラナ&ソフィア√」の違いもほとんどない。
シナリオの内容についてはラナ√のネタバレにもつながるためあまり触れられないが、そのシナリオの関係上、ソフィアとのシーンはどうしても暗い雰囲気になっていて、終わり方に関しても、一応は一件落着となっているものの、どうしても後味が悪くなっている。


神様のような君へ (2)
朝倉 霧香√【 ★★★★★  2h
主人公の1歳年下の後輩。
自分に自信が持てずに、他人を信用できないため警戒心が強く、他人を寄せ付けない雰囲気を感じさせるためかいつも一人で過ごしており、主人公とはとある一件で知り合いとなった。
歌とダンスがとても上手く、それを活かした活動をしているそうだが…。

個別√は前半、霧香の活動をテーマにした物語となっており、一人だった少女が主人公と出会うことで、新たな一歩を踏み出す様子を描く。
いつもは自信なさげな彼女だが、音楽やダンスにかける気持ちや、その活動の姿には美しさを感じるシーンも。
一転して中盤から後半は、物語の様相が一気に変わる。
詳細はネタバレのために伏せるものの、叙述トリックや伏線回収をつかった展開自体の面白さは勿論、終盤は感動できるシーンも詰まっており、非常に秀逸な√となっている。


神様のような君へ (4)
神無月 愛彩梨√【 ★★★★☆ 】  1.5h
今作のサブヒロイン。
主人公より一つ年下で霧香のクラスメイト。
バーチャルアイドル「神無愛莉」として、ネット上でも顔などを公開して活動をしており、その明るい性格と少し残念な所が人気でファンも多い。

シナリオとしては霧香√より派生しており、短いながらも緩急のある展開になっていて、特に愛彩梨の感情が発露するシーンにおいては、思わず感動してしまうシーンなどもあり、彼女のアイドルとしての夢とプライドがしっかりと描かれた内容となっていた。
また、愛彩梨のひたむきに努力を続ける姿に魅力を感じる一方、霧香の行動がとても光っているシーンもあり、そういった点でも見所がある内容となっている。


[ 主人公 ]城前 塊斗
ハッキングが得意な少年。
目の前に謎があると解かずにはいられず、そのために法を破ることもいとわず、その腕前は世界最高レベルのプロテクトをもつC-AIのセキュリティを破るほど。
他人にはそうした部分が理解してもらえず、多くは一人で過ごしているが、ハッキングした先での破壊や盗難などは行わないという、自分なりの矜持があったりと、


【推奨攻略順:愛彩梨→霧香→ソフィア→ラナ→玲音→ツクヨミ】
攻略順にロックはないので好きな順番で攻略は可能だが、最低限ツクヨミは最後に回した方が良いだろう。
そのほかのキャラクターに関しても、とりあえず各ヒロイン√から分岐するサブヒロイン√を先にプレイすることを心掛けておくと良い。


CG
しっかりとした線に濃い塗で、色鮮やかな印象を受ける。
この作品を手にした人なら誰しもがカントクさんの絵であることを意識しているはずであり、立ち絵やイベントCGについての品質においては言わずもがなトップクラスといえるだろう。
特にキャラクターを可愛く書くのは勿論なのだが、それを見せる上で背景にあたる部分の色使いや光の演出などにもこだわっており、そのレベルの高さがうかがえる。


音楽
BGM26曲、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
全体的に落ち着いたBGMが多い中で、意外にもSFっぽさのある物はあまりないものの、暗めの雰囲気を演出するものなども目立つ。
個人的には「記憶」の優しいメロディーが非常にお気に入り。
OPとEDはどちらもDucaさんが担当しているが、個人的にはEDの「AI」がお気に入り。
ゆったりとしたイントロから強いリズムで歌いあげられたサビ部分は勿論、後半のハミングなど、聞いていてじんと心に染み渡る名曲となっている。


お勧め度
なんと言ってもセールスポイントの一つは「カントク絵」であるという事。
またそれに付随して背景を担当されているのが、わいっしゅさんであり、その二つが組み合わされた時の画面内の色鮮やかさ、圧倒的存在感に関しては申し分ないといえる。
またそうした部分に隠れがちな音楽面やSF作品として読み応えたっぷりのシナリオも負けず劣らずお勧めしたいポイントに入っている。
玄人から初心者まで広く楽しめる作品の一つとして挙げられるだろう。


総合評価
全体的な完成度が非常に高く、絵はもちろんのこと、シナリオに関しても高く評価しており、安心してこの評価をつけている。


【ぶっちゃけコーナー】
絵に関してはもう言う事ない。
それくらい凄かった。

音楽は…意外と印象が薄い部分もある。
別に悪いわけじゃないんだけど、ここぞという時のシーンにBGMの破壊力って試されているんだと思うけれど、そういう意味ではこの作品にこれっていうBGMはなかったかも。
楽曲全体のレベルは高い気がするだけに残念かも。

シナリオ読む分にはすごく面白いけど、小説的な面白さというべきか、率直に言うと思った以上に泣けない作品ではあった。
勿論上記にある音楽の影響はやっぱりでかい、それでも道中のシーンで結構感情移入していただけに、個人的にもっと泣けるのかな、と思っていた。
けれど、そもそもの作品テイストが泣きゲーではないのかも? と思ったりもして。
霧香√然り、泣ける場面もあるにはあったから一概には言えないのだけれど、そのあたりはライターによる違いといえるかも。
まぁ物語が短くて不足感はちょっとあるけれど、普通に読んでいて面白いと思えたし、近未来SF設定を活かしたシナリオの完成度は高かったと思う。


タイトル : 宿星のガールフレンド 芙慈子編
ブランド : mirai


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 1h弱)

キャラクター・シナリオ
シリーズの4作目にあたる今作、元は『宿星のガールフレンド』シリーズが全て入った「ALLSTAR」という作品の特典としてついていたものとなっている。

今作のヒロインとなっているのは今までの作品でも登場してきていた『与那嶺 芙慈子』。
主人公のクラス担任であり、おっとりとした雰囲気の保険医。
またもう一つの顔として「きらめく星空の会」の一員としてヒロイン達をバックアップしてきた元スターズという側面もある。

シナリオの時系列としては3作目以降の話となっており、導入に関しても同シリーズ作品とほぼ同様の流れとなっている。

1m以上離れられないなどのお約束設定はそのままだが、内容自体はあくまでFDのようなコンセプトで作られた作品であることや、そもそものラスボスが倒された後の話なので、バトルシーンなどがあまりなく、基本的にはイチャラブやHシーンを中心に構成されている。
もちろん芙慈子の変身シーンなどもなくなっており(Hシーン自体はコスプレとして存在している)、作品としての盛り上がりには乏しいが、序盤において無意識に主人公を誘惑してしまうシーンがあったりと今まで少ししか見られなかった芙慈子のマイペースな一面や彼女自身の包容力など、芙慈子の魅力的な一面がたっぷりと見られるものとなっている。

作風などもしっかりと引き継げるため、サブヒロイン達の掛け合いなども楽しめるのだが、そもそもの分量自体が短く、1時間もあればすべてのシーンが見られてしまう程で、Hシーン自体も作中に3つほどしかない作品となっている。
この点に関しては、成り立ちなどを考えると仕方がないものの、やはり物足りなさを感じる人は多いはず。


【推奨攻略順:選択肢無】


CG
これまでのシリーズ同様、全体的に丸みを感じる淡い塗りの絵。
新規CGの枚数は5枚となっており、その多くがHシーン関連のものとなっている他、絵に関連した部分での追加要素はほとんどない。
正式なタイトルというわけでもないので、ある意味妥当といえる。


音楽
BGM16曲、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
BGMに関しては3と同数であったため追加曲はないといえる。
OPとEDは個別のもの(OPに関してはALLSTARの物)が新規で制作されており、それぞれ楽曲も新規のものとなっている。
特にOPの「Chu's me! trilogy!」は電波曲っぽい独特のリズムとなっており、シリーズ1作目のOPである「Magical Girl☆Conflict」に似た雰囲気のものとなっているので、気になった方はOP映像と共に楽しんでみてほしい。


お勧め度
基本的にはALLSTAR購入時についてくるため、その流れでプレイすることが多いだろう。
また、今まで個別に宿ガルシリーズを楽しんでいた方にとっては、今作ヒロインである芙慈子はもちろん、過去作ヒロインもしっかり登場するので、作品のテイストを理解しつつFD作品として楽しむ分にはお勧めしやすい。
一応過去作のフォローなども作中でされているものの、宿ガルシリーズを1度もプレイしたことがない人がこの作品だけをプレイ…というのはお勧めしない。
せめて1~3作目のどれかをプレイしてからを推奨したい。


総合評価
かなり短いFD作品であるために評価自体が難しいものの、今までの作品のテイストなどは崩さずに作られているという事で、おまけしてこの評価に。


【ぶっちゃけコーナー】
そもそもが短い作品(1~3を合わせてもやっぱり一般的な作品より短い)のFDみたいな作品なのでそりゃ短いよね。
1~3に付随した作品としての評価なので、やっぱり全体的には甘めなのかも。
上記までの部分に関して、記した誉め言葉の前にそうした前提があっての評価であったことは繰り返しておく。

ただ、1~3のセットであるALLSTARを買って、無料でついてくると考えれば十二分な質だし、久しぶりに見られるヒロインたちの元気な姿や、あまり意識しなかった芙慈子の可愛い所などなど、新しい発見のある作品でもあったかも。
シリーズとしては一応最後の作品になると考えると少しさびしい気もする。


タイトル : 俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命
ブランド : HULOTTE



シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 8h)

キャラクター・シナリオ
ある日、突然目の前に表れた大人気バーチャルネットアイドルのチトセから透明人間になれる薬をもらった主人公。
日々を楽しく過ごすことを信条としている主人公は、さっそくその薬を使って同居人の従
姉妹である亜芽のお風呂を覗きに行くが――。

不可視の薬によって露わになるヒロイン達の秘密の姿とさらに賑やかになっていく日常が綴られた学園ラブコメ作品。

作品はヒロイン5人のシナリオとクリア後のおまけであるハーレム√で構成されており、各個別√は比較的短めで全体的なボリュームは少し乏しくなっている。
しかしながら話のテンポは非常に良く、日常シーンではギャグなど多く取り入れられていることもあり、会話中心のシーンなどサクサクと読めてしまう。
一部の個別√ではシリアスなシーンなどもあるものの、雰囲気自体が前向きであるため、余り暗くなりすぎずプレイできるのも良さといえる。

また今作を語るうえで欠かせない『透明化の薬』という謎のアイテムについて。
ヒロインの一人であるチトセからもたらされたこの薬、ある意味では抜きゲーにでも出てきそうな謎の物質だが、作中においてはその薬自体にはあまり言及されていない。
薬自体の制限もあって使用方法自体が『覗き』程度にしか使えない事により、特に序盤においては「透明人間になれる」というシチュエーション自体に重きが置かれていた。

そうした設定に基づいて各ヒロインの一人Hシーンなどを描いていたり、透明化の薬を切っ掛けとしたイベント等を通して各ヒロインそれぞれの魅力を巧く見せるシーンがふんだんに取り入れられている。
ギャグ中心の賑やかな日常シーンと共に綴られる、ヒロイン達の意外な一面や可愛いポイントなどがギュッと詰まったシナリオを終始楽しめる造りとなっている。

一方、各個別のシナリオ自体については、『透明化』の薬がダイレクトに関わってくるヒロインと、ほとんど関わらず他の問題をテーマとしたヒロインに二分されているのも特色で、特に後者に関しては物語としての収拾をつけるため、シナリオの大筋がとても似てしまっていた。
こうした点について、本来ならば物語に飽きが生じてしまうのだが、展開の方向性が似てしまったのが終盤だけであることや、シナリオの短さ、テンポの良さに助けられた部分もあって、他の作品ほど問題になっていなかった印象である。

物語のグランドとなるチトセ√に関しては、思いがけない事実なども含めて楽しめる内容になっており、その他の√も併せて心温まるような内容となっている。

設定的な面白さが目立つ作品ではあるが、あくまでキャラクターの魅力を見せることに注力した萌えゲーで、どうしても不足感を感じる部分もあるにはある。
しかし、それでも他の作品にはないヒロイン達の魅力と面白さがギュッと詰まったシナリオだったといえるだろう。


共通√【 ★★★☆☆ 】  2.5h
主人公が透明化の薬「T」を入手し、そしてそれを利用して行動する主人公の日々が描かれている。
ともすればアブナイ使い方もできる薬ではあるものの、主人公もある程度の良識はあるので、思ったほどひどい事にはならないが、各ヒロインの普段は見られない『あんな所』や『こんな所』がしっかりとみられるのが特色といえる。
もちろん上記のような部分に加えて、萌えゲーらしく各キャラとのイベントシーンなどがふんだんに入った部分ともなっている。

ある意味、抜きゲーに近い設定や展開が散見されるが、そういったシーンにだけ注力しているわけではなく、あくまでキャラクターの側面の一部を描き出す事を主題に置いており、こうした設定だからこそ見る事のできるヒロイン達の魅力を描くためものだと解釈した。
※無理矢理感があるのは理解している。


20200415124443
待雪 亜芽√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
従姉妹でクラスメイトの女の子。
主人公に対しては何かとツンツンしてしまうが、好きな気持ちを隠しきれておらず、また押しに弱い所もある。
そのため貞操観念もしっかりしているのだが、主人公のエッチなイタズラ被害に遭っても謝られると何だかんだで許してしまう。

個別√では中盤、主人公や亜芽の過去についてを主軸に話を展開させつつ、後半からは今作の設定を絡めたシナリオとなっている。
他の√ではツンデレっぽさもありつつ、兄の良き理解者として描かれている亜芽だったが、個別シナリオでは一転、ツンツンした部分は依然として残しながらも、兄への愛情を前面に出した描写が多くなっている。
デレた後の可愛さについてはこれまでのギャップもあってとても破壊力が高くなっており、彼女の魅力を堪能するには十二分な内容だったといえる。


20200412154457
四葉 琥珀√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
クールビューティーなクラスメイト。
近寄りがたい雰囲気を出しているように思われがちだが、毒舌ではあるものの何だかんだと反応はしてくれる律儀でお人よし。
亜芽とは仲が良いためか主人公とも普通に会話することが多く、また臨時で生徒会書記として活動することも。
実家は旅館を営んでおり、休日などは裏方を手伝ったりしている。

ツンデレというよりは素直クールな琥珀、個別√でも大きくテンションを変えることなく、主人公と自然に関係を深めてゆく。
そんな彼女の個別√では今作の設定があまり絡まない作りとなっている。
シナリオ自体は夏休みのエピソードを中心に、主人公と琥珀という二人きりのシーンが多くなっており、加えてテーマも二人の過去にまつわる部分を描いていた。
また中盤から後半にかけては少しシリアス成分が比較的含まれており、あわせて異色の内容といえるだろう。


20200412153308
綾目 七夕莉√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
桃明学園の生徒会長を務める3年生。
体躯こそ小さいが運動神経は勿論成績もよく、常に自信満々でどんな困難を前にしても笑い飛ばすほど豪快な性格。
為政者としても突出した能力があり、そのため学園イベント等では周囲を巻き込んでいくことが多く、同じ考え方をしている主人公ともとてもに相性が良い。
七夕莉自身も主人公を気に入っているのか、その気にさせるような発言も多くしている。

個別シナリオは「とある女の子が決意した恩返し」をテーマに、七夕莉の内面についてを主軸とした内容に、巧く設定を絡めたものとなっている。
共通から主人公に対して蠱惑的な発言が多かった七夕莉だが、個別に入ってからはリミッターが外れたように、さらにその勢いを増しており、ある種の妖艶さまで感じるほどで、蕩けさせるような甘いささやきは、主人公だけではなくプレイヤーまで虜にする破壊力があった。


20200412153602
高城 冬羽√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
主人公の後輩であり、生徒会メンバーの一人。
明るく前向きで人懐っこく、主人公にも気兼ねなく話しかけてくれる女の子。
流行り物が大好きなオシャレ好きで、見た目やテンションは完全にギャルなのだが、実は育ちが良く、恋愛関連の話も苦手であったりと意外な一面も。
自信の評価を低く見積もる癖があり、そのためここぞという時に一歩踏み込む勇気が足りないことも多い。

個別√では、波長が合う主人公と同じゲームを楽しんでいるうちに、同じ時間を長く過ごすようになる、という流れ。
ネタバレになるため詳細は伏せるものの、前半から中盤にかけてのシナリオに関しては、エロ部分が少し多めの一般的な萌えゲー展開が多く、特に冬羽の後輩としての可愛さが前面に押し出された内容となっていた。
後半は冬羽の抱えている悩みと、今作の設定を巧く絡めた内容になっており、多少シリアスな雰囲気になるものの、最終的には笑って終われる内容となっている。


20200412151032
葛ノ葉 チトセ√【 ★★★☆☆ 】  2h
最近、ネットで絶大な人気を誇るバーチャルアイドル。
その動画の種類は多数に及ぶが、主に見ている人にネットの住人と思わせてしまう程にリアルな配信が売りで、打てば響くようにノリが良く、彼女のウザ可愛い所、あざとい仕草には主人公を含め多くのファンが存在している。
一方、その生身についてを知る人は一人もいないという、謎めいたところも。
そんな彼女が主人公の前に現れ、透明になる薬を渡すことから物語が動き出す。

各ルートでも一部設定は明かされているものの、今作の物語における『謎』の部分と大きくかかわるチトセ、そんな彼女の個別√はもちろん今作の集大成ともいえるグランド√に。
そのシナリオについての詳細は伏せるものの、短くも意外にしっかりしたシナリオは十二分に読んでいても楽しめるものとなっており、エピローグシーンも含めて読後感も良い物となっている。

シナリオ部分だけではなく、チトセの魅力についてもしっかりと描かれており、共通ルートでも少し見られた、主人公との掛け合いにおいて魅せるコミカルでキュートな反応等、彼女にしかない魅力が詰まった内容にもなっていた。


20200417025740
ハーレム√【 ★★★☆☆ 】  合計1h
全ルートクリア後に出現するハーレム√。
まとめてしまっているが、選択肢によって「亜芽&チトセ」「七夕莉&冬羽」「琥珀&紫緒」「紫緒」「霧」の各ルートへ分岐する。
複数プレイなどのHシーンがメインとはなっているものの、特にサブキャラである紫緒や霧に関しては、主人公とのやり取りも少なめなので貴重なシーンともいえる。


[ 主人公 ]待雪 晴季
生徒会副会長を務めるエロに正直な青年。
過去の経験からか人生を楽しむことに重きを置き、自己を顧みずに面白い事を求めており、とくにエロい事に関しては歯止めが利かない。
そのためその場限りのテンションでとんでもない行動をすることも多く、晴季のそうした行動の被害に遭うことの多い従姉妹の亜芽に叱られては謝るという事を繰り返している。


【推奨攻略順:冬羽→七夕莉→琥珀→亜芽→チトセ→ハーレム各ルート】
チトセはヒロイン4人攻略後にロック解除となっており、ヒロイン4人に関しては各ルート間でのネタバレ等もないため好きな順番で良いだろう。


CG
色鮮やかな塗が特徴のきれいな絵。
立ち絵もイベントCGも総じて美麗と言ってよいだろう。
作品の設定もあって肌色成分が多めにはなっているが、サブキャラに至るまで下着姿の立ち絵を複数用意するなど、細かいところまで作りこまれている点も含めて高評価。


音楽
BGM24曲、Vo曲2曲(OP/ED)という構成
BGMに関しては特にこれといったものはないのだが各ヒロインのテーマBGMは勿論、騒がしい物から落ち着いた雰囲気のものまで、まんべんなくそろえられている印象。
Vo曲に関しては、Ducaさんの歌うOP「Clealy」がイチオシ。
Aメロ、Bメロと段々とテンションを挙げていき、転調するように雰囲気が変わるサビ部分。この部分のリズム感がとてもよく、Ducaさんの良い所が出た楽曲といえる。


お勧め度
良くも悪くもいつものHULOTTE作品。
『透明化』という要素を使った抜きゲーのようにも思える作品だが、あくまでメインにあるのはヒロイン達の可愛さで、そこに付随するエロさも前面に出したラブコメ作品。
その他の部分に関してはもう一歩足りない部分もあるのは確かだが、シナリオ自体も決して捨てたものではく、プラスアルファのある萌えゲーとして他の作品とも違った内容には仕上がっている。


総合評価
作品のジャンルなどもあって当方の評価では平均程度となっているものの、シチュエーションや作品の雰囲気などが合えば評価以上に楽しめるだろう。


【ぶっちゃけコーナー】
ぶっちゃけて言うと、HULOTTEの萌えゲーって感じは初期のころはそこまで好きじゃなった。
ただ、前作くらいからの少しシリアス入りだしてから、凄くテキスト的に面白い部分が増えてきてて、今作のチトセ√なんかも、単体でなら普通に楽しめる内容になってた気がする。
萌えゲーでここまでの内容なら十二分なんじゃないかな。
ある意味他の作品と干渉しないって意味でも、特色ある作品になっていたのかも。
キャラクターが可愛いだけだと、やっぱりどこかでじり貧になってくる気がするしね。
あと透明化について、割と抜きゲーっぽい設定なのに、良くここまでかけたなぁ…。
まぁそれでも肌色成分多めだったけどね。
そういう要素がHULOTTEのブランド…というか作風と合致してたのも良かった所なのかも?

あとキャラクターでいうと、チトセよりも七夕莉の方がすごく好きになったなぁ…。
七夕莉の蠱惑的な性格と声優さん(綾目 七夕莉)の甘い声がすごく良い化学反応を起こしてて、何度もグッと来てしまった。
キャラクターでいうと、かなりセンターに近いけれど亜芽も可愛かったなぁ…。
ツンデレっぽい所物ですが、個別√でのデレに入ってからの破壊力も高かったし、チトセ√を代表として他の√での輝き方も良かった。
キャラクター的な魅力はすごいある作品でしたね。


タイトル : 恋する乙女と守護の楯 Re-boot The SHIELD-9
ブランド : 戯画


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★★☆ [4/5]
お勧め度 : ★★★★☆ [4/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 12h)


キャラクター・シナリオ

山田妙子、再臨――

AXLの名作『恋する乙女と守護の楯』(以降は無印と表記する)をリメイクした今作。
タイトルにもある通り完全な新作ではなく、シナリオについては全体を現代に合わせて修正しつつ、一部のシナリオを追加したものとなっている。
違う会社からの発売となっているものの、勿論シナリオの担当は変わらず「長谷川藍」さんであり、加筆修正部分に関しても世界観を損なうことなく作り上げている。

主なシナリオ追加部分となっているのは有里・設子√であり、前半は無印版の流れをそのままに、後半はアフターストーリーのような形で、終息したかに思えたその後の展開を描く。
両者ともに多くのファンがいるヒロインであるために(とくに設子は)、多くのシーンが追加されたことに喜びを禁じえなかったのは私だけではないだろう。

こうした追加部分に限らず、総じて王道展開を主軸とした作品である今作。
物語の先という意味では読みやすい作品になっており、そういう意味では意外性のない作品内容である。しかしながら、反対に王道だからこその安定感のある内容であり、女学園に侵入するというシチュエーションや、主人公である『シールド9』の変わらぬカッコよさ、手に汗握るバトルなど、一つ一つのシーンが丁寧に作られている。
そうした部分には昔に作られた作品とは思えないほどに、時間が経った今でも十二分に楽しめる魅力が詰まっており、勧善懲悪のすっきりとした読後感も併せてAXL作品ならではの作品的魅力を発揮していた。


共通√【 ★★★☆☆ 】  3h
上記でもあるように一部加筆修正がなされているものの、シナリオの大筋自体は作品の元となっている無印版と同じになっている。

設定こそ当時は斬新ではあったが、時がたった今ではそこまで突飛なものではない。
展開自体もAXL作品らしく、基本的には王道展開を主軸としており、予想できてしまうのだが、それでもなお強く引き付けられる内容となっているのは確か。
主人公が女装を嫌がりながらも徐々に慣れていくシーンや、修二自身の活躍によって周囲の信頼を勝ち得てゆく様子、そしてお嬢様である彼女たちとの触れ合いなど、それぞれの描写が端的に描かれており、サクサクと展開する物語と合わせてストレスなく読むことができる。


20200406004124
春日崎 雪乃√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
全女学生憧れの撫子会会長。
見た目は勿論立ち居振る舞いを含め、淑女として様々な分野にも秀でており、そんな自信が満ち溢れているからこそ、高飛車で高圧的なところも。
しかしながら、一般生徒に対しては面倒見が良く、会長としての責任感も強い娘。
田舎から出てきた(と思い込んでいる)主人公を立派な淑女にすることが自身の使命だと考えており、何かと指導してくれる。

個別√に関しては無印のシナリオと概ね同じとなっている。
彼女に関しては女装がバレるまでの雰囲気が非常に良く、女学園ならではの百合百合しい雰囲気が漂うシーンが多く、またそうしたシーンでの雪乃の戸惑いなども、彼女の可愛さを後押ししてくれていた。
一方、女装がバレてからは彼女の他人を想う心、その優しさがとても前面に出されており、そうしたギャップも彼女の魅力の一つとなっていた。


20200409232904
椿原 蓮√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
主人公と同じクラスで撫子会の副会長。
運動神経が良く、ボーイッシュな見た目と合わせて学園の男役としても人気が高い。
性格は良くも悪くも真っすぐで、曲がった事が大嫌い。
面倒見も良く、田舎出身(と思い込んでいる)の主人公に対しても何かと世話してくれようとしてくれる。

個別√の展開は無印と流れは変わらない。
ガンガンと引っ張ってくれる勢いのある性格がストーリーにも表れており、ほかの撫子会メンバーにはない明るさのある内容が良い。
一方で主人公の正体に気が付いてからの初々しい反応や、主人公のために行動しようとするいじらしさ、そしてやる気が空回りする蓮の様子は可愛らしく、このギャップこそ彼女の最大の魅力ともいえる。


20200406003549
新城 鞠奈√【 ★★★☆☆ 】  1.5h
撫子会に所属する学院のマスコット的存在の1年生。
小さく愛らしい容姿とは裏腹に、小悪魔のように周囲をからかうことが多く、特に田舎者と思い込んでいる妙子に対しては色々とイタズラを仕掛けてくる。
理事長の孫娘であるためかやりたい放題である一方、その中には誰かに構ってもらいたいという気持ちが滲んでいる。

共通ルート同様、大まかな展開に関しては無印と同様の流れになっている。
鞠奈の性格も関係して、百合のような雰囲気や女装バレのシーンなどなど女装物ならではの展開はあまりないのだが、彼女の抱えている寂しさをテーマとしたシナリオは安定感のあるものであった。
またラストシーンの戦闘はそこにに至るまで展開がとてもよく、想い出補正を除いたとしても評価しておきたい。
勧善懲悪を主としたすっきりとした読後感からもAXLらしい内容だったといえる。


20200411134531
穂村 有里√【 ★★★☆☆ 】  2h
主人公とは別の組織に所属するエージェント。
雪乃や蓮をガードする主人公とは違ってクラスメイト全員を守護しており、戦闘能力自体は高くないものの情報収集能力がとびぬけて高い。
主人公の正体についても事前に入手しており、主人公も最初こそ警戒したが、その人懐っこい性格も手伝って護衛のために一緒に行動することも多くなってゆく。

個別シナリオの前半部分に関しては無印と同じとなっているものの、共通ルートと同様に各種描写が増えている。
そのため以前よりも一層、主人公の「相棒」としての一面が協調されており、彼女の抱えるコンプレックスも合わせて、有里の内面をしっかりと描いていた。
後半は完全な新規エピソードとしてもう一波乱を描いており、とくに彼女の強みである情報戦を使った展開が用意されているなど、主人公は勿論、有里も大活躍する内容となっている。


20200406002534
真田 設子√【 ★★★☆☆ 】  2h
主人公のクラスメイトで世間知らずなお嬢様。
物腰が柔らかで清楚、学業も主席であったりと優秀であることに加えて、悪意からも程遠いほど心優しい女学生。
新入りの主人公に対してもとても丁寧に接してくれており、そんな設子に対して、女性が苦手な主人公も唯一のオアシスと感じているほど。

彼女に関しては色々なネタバレがあるため詳細は伏せるが、有里同様に前半部分に関しては無印と概ね同じ内容になっているものの、後半は新規追加部分となっている。
その内容や展開自体は王道であり、特筆すべき点はないものの、設子自体がとても人気のあるヒロインであり、彼女と主人公のアフターにあたるこのシナリオはファン垂涎の内容といえるだろう。


20200405200100
[ 主人公 ]山田 妙子(如月 修史)
コールサインは『シールド9』。
要人の護衛などを行う組織『アイギス』所属するエージェント。
育ての親である課長の命令を受け、雪乃・蓮の2名の護衛を行うため、女装をしてセント・テレジア学院に潜入することとなった。
小さな体躯からは想像もつかないほどの運動神経の持ち主で、今までも多くの命を守ってきたが、女性と接するのがとても苦手であり、加えて女装自体が初めてであるため物語序盤では戸惑うことも多い。
しかしながら、『護る』という事に関してはプライドを持っており、今日も嫌がりながらも女装をして彼女たちを陰から守り続ける。


【推奨攻略順:鞠奈→蓮→雪乃→有里→設子】
有里√は雪乃√クリアが条件、設子に関しては鞠奈、蓮、雪乃の誰かをクリアすることが条件となっている。
基本的に前者3人の攻略順は自由だが、上記十番が安定といえる。


CG
固い線、濃い塗のしっかりとした質感のある絵の雰囲気はそのままに
4:3から16:9への画面比率の変更によって、無印にて800×600だったイベントCGは、全て新規作成のフルHD(1920×1080)へ、また原画を流用することなくCGだけでなく立ち絵まで作り直されている。
その仕様上、無印での印象的なCGなどがなくなっているものもあるのは残念だが、それでもこの作品の絵を雰囲気を損なうことなく作り直したことには賞賛の二文字しかない。
もちろんSD絵も数多く存在している。


音楽
BGM23曲、Vo曲5曲(OP3/ED5)という構成。
BGMの多くは無印から流用しているため語るべきことはあまりないが、Vo曲に関してはOPで『あの曲』を採用するなど、しっかりと抑える部分は抑えつつ、新規楽曲を起用して新しい雰囲気を感じさせる作りになっている。
伝えたい事は色々あるのだが、やはりテーマ曲である「shield nine」は不朽の名曲といえる。


お勧め度
シナリオ部分だけを見ると無印版と大きく違うのは有里√と設子√のみであり、その内容に関してもアフターストーリーのような要素が強い。
そういう部分に興味のない人にとってはあまり手を出す価値がない作品であるのは確か。
しかしながら、多くの部分がリメイクという言葉通りにしっかりと作り直されており、その完成度の高さは思わず始めてプレイした時を思い出すほど。
あの名作を振り返るという意味でも再びプレイしたくなった無印版のファンの人にとっては十二分に楽しめる作品ではないだろうか。


総合評価
リメイクという事もあって評価には悩むところではあるものの、無印版の評価も鑑みて平均程度のものに。
しかしながらAXLらしさを考えると妥当の評価ともいえる。


【ぶっちゃけコーナー】
リメイク作品というちょっと珍しいジャンルの作品。
シナリオという部分に関しては『恋楯』の雰囲気を壊さずに巧く付け足した感じ。
有里の相棒感が出てたのがすごく良かったし、無印プレイしている人にとっては設子もすごく印象的なキャラクターだから、個別√が長くなって彼女たちの内面がより覗けるようになったのはすごく良い事だと思う。
とくに設子に関しては、主人公の光と闇みたいな関係もあったりして、作品に欠かせない山田妙子(如月修史)の内面を深めていくという意味でも重要だったと思う。
一方でそれ以外に関しては本当に小さな修正が多い感じなので、過度な期待はしないほうがいいかも。
どちらかというとCG関係に期待する感じの作品なのかな。
一部CGが無くて悲しいといったり、立ち絵に違和感があるという人もいるけれど、総じて美麗といえるし、SD絵もしっかりあったし、やっぱり全部作り直されてるのはすごいし、純粋に嬉しい。
楽曲に関してもBGMを変えなかったのは賛否ありそうだけど、それでもVo曲をここまで追加したのも頑張ってると思う。
やっぱり無印ファンなら楽しめる内容になってたんじゃないかな。

作品とは直接関係ないけど『AXL』という会社の前向きで読後感のすっきりとした作品群がすごく好きだったんだけど、こういう形で作品が出ていく事だったり、色々な状況だったりを鑑みると、やっぱり存続が厳しいのかなぁ…と思ったりもする。



タイトル : あまいろショコラータ
ブランド : きゃべつそふと


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 3.5h)

キャラクター・シナリオ
夕渚町にやってきた少年が出会ったのは猫耳や犬耳が生えた獣人、人知れず街に住まう彼女たちとのひとときを描く、喫茶店『セタリア』を舞台とした柔らかくスイートな雰囲気が持ち味の作品。

シナリオ自体はミドルプライスという事もあり比較的短い。
その中で『獣人』等の特殊な設定に関しては割とさっくりとおこなわれており、メインは喫茶店を舞台とした甘い日常シーン。
特にキャラクターの可愛いシーンを前面に押し出すような描写が多く、ヒロインとなるケモミミ少女たちの可愛い反応などが見られるのが最大のポイント。

今作ではヒロインとして二人、サブヒロインとしてさらに二人の合計4人が登場しているが、残念なことにサブヒロインに関しては攻略することができない。
シーン描写も割と少なめではあるが、魅力的なキャラクターだけに、攻略できると勘違いしないように注意は必要。

各個別シナリオに関しては各項目で語っているものの、比較的設定を活かした内容が多く、特にみくり√などは、そうした特殊な部分と彼女自身の性格を巧く絡めた内容になっていた印象が強い。

短い作品だけにシナリオに関して高い評価をすることはできないが、それでも可愛い女の子に癒される分には十二分に楽しめる文章であったといえるだろう


共通√【 ★★☆☆☆ 】  1h
主人公と獣人たちとの邂逅、そして喫茶店でアルバイトに勤しむ日々を描く。
獣人についての設定的な話に加えて、ヒロイン・サブヒロイン達とのシーンなどが詰まっている部分で、シナリオの自体の分量が少ないこともあって必要分が描かれている印象が強い。
そのため特筆すべき部分はあまりない。


あまいろショコラータ (3)
雪村 千絵莉√【 ★★★☆☆ 】  1h
セタリアで働くロシアンブルーの獣人。
とても真面目な性格で、少しでも大人っぽくなるためにアルバイトを始めたが、不器用な面も多く、それでも一生懸命にやろうと努力している。
セタリアのメンバーでは最も年下ではあるが、セタリアでは先輩として主人公やみくりに仕事を教える。

個別√では獣人において知られている『ロシアンブルーはめんどくさい』という話を、巧く千絵莉の性格と絡めてられていた。
この話では千絵莉が見せる嫉妬心等のマイナスに描かれがちな行動や感情を見事に彼女のアピールポイントの一つとして愛らしく描きあげており、唯一無二の魅力としていた。
最初は猫のように警戒心たっぷりだった彼女だからこそ、付き合った後の甘い日々の感動も一入、千絵莉の可愛さが堪能できる内容となっている。


あまいろショコラータ (2)
天宮 みくり√【 ★★★☆☆ 】  1h
獣人だけが住む里からやってきた犬の獣人。
人懐っこく天真爛漫、勉強は苦手だが好奇心は旺盛で、喫茶店のアルバイトについても慣れないことは多いものの精力的にこなしている。
里では巫女をしていたためか神様の声が聞こえるらしく、みくりが夕渚町にやってきたのもその神のお告げによるものである。

彼女の個別√は彼女の恋とその顛末が短いながらも描かれている。
特に序盤では、一緒にいたいというみくりの本能的な気持ちが、初恋へと変わる様子がしっかりと描かれており、主人公と触れ合う度に赤面するようになった彼女の反応には、また一味違った可愛さがある。
中盤では種族を超えた恋愛に関するテーマも取り上げられており、短いシナリオの中でも比較的起伏のある内容となっている。


ノーマル√【 ☆☆☆ ☆ 】  1h
クリスマスパーティーを描く。
シナリオの内容としては比較的明るいものではあるものの、ノーマルエンドらしくエンディングもなくシナリオ自体もかなり短いものとなっている。

あまいろショコラータ (4)
ハーレム√【 ☆☆☆ ☆ 】  1h
基本的には千絵莉とみくりの二人から言い寄られ、そしてHするIF√のような内容となっていて、シナリオといえる部分がほとんどないので評価出来るわけではないのだが、一定の層二は必須ともいえる夢のような内容ともいえる。


[ 主人公 ] 城川 柚希
とてもにのんびりした性格の青年。
親に一人暮らしをするように言われて夕渚町にやってきたが、なぜか「耳隠し」と呼ばれる獣人たちが身を守る(見た目を人間にする)お守りの効果が効かなかった事で、セタリアのメンバーが獣人であることを知ってしまう。
しかしながら、本人の性格からか最初は獣人たちを見ても違和感を感じる程度で、獣人であること自体は気付いていなかった。
後のシナリオでは、なぜ彼にお守りの効果がなかったか、その遠因も描かれている。


【推奨攻略順 : ノーマル→みくり→千絵莉→ハーレム 】
ハーレム√のみ全キャラ攻略後になっている。
千絵莉とミクリに関しては好きな順番で良いだろう。


CG
原画・キャラクターデザインは『しらたま』先生と『梱枝りこ』先生が担当。
繊細なタッチの柔らかい絵は甘いシナリオとの相性もよい。
CGの枚数に関してはミドルプライスという事もあって、総数こそ少ないものの1キャラに対する枚数は十二分といえるだろう。


音楽
BGM15曲、Vo曲2曲(OP/ED)
全体的に明るい曲やゆったりとした曲が多いBGM、中にはアコーディオン等の音を使用して、作品舞台である欧州風の音楽を演出していたりもする。
Vo曲ではOPの「きらめき*Chocolate」も明るくて良いのだが、恋する気持ちを星空と絡めて歌い上げたED「Wish * upon a Star」などはKyoKaさんの高音も綺麗でお勧めしておきたい。


お勧め度
喫茶店を舞台としたケモミミ娘たちとの甘い日々を描いた萌えゲー。
ある種ここまでシチュエーションや要素が絞られた作品であり、ミドルプライス作品という事も併せて、上記の要素やシチュエーションが好きな方、または豪華な原画陣のファンにのみお勧めする作品といえる。
しっかりと恋愛シーンを描いている作品ではあるので、可愛い女の子に癒されたい人などには特におすすめしやすいだろう。


総合評価
シナリオとしてはミドルプライスの萌えゲーとしては一般的ともいえる作品、絵などの付随した部分を含めてのこの評価。


【ぶっちゃけコーナー】
純粋な萌えゲーなので、シナリオ重視の観点からみるとあまり面白みはない作品。
恋愛描写に関しても、まぁ獣人という特殊な設定はあるものの、ヒロインの性格的魅力を前面に押し出した作品だし、そのあたり変な展開はない。
本当に喫茶店・ケモミミ娘・原画の3点で勝負した作品という印象が強い。
ミドルプライス作品という事を考えると、強みを絞ったこれくらいの方が、プレイする側も興味ある人しかプレイしないので良いとは思った。
少なくともプレイして印象が変わる作品ではなく、見た目通りの作品なので興味のない人はスル―推奨。
逆に萌えゲーがプレイしたい人や可愛い女の子に癒されたい人で、絵やシチュエーション、各要素等で気になった部分がある人はプレイすると楽しめるのではないだろうか。



タイトル : SugarKiss!
ブランド : はちみつそふと


シナリオ : ★★★☆☆ [3/5]
CG   : ★★★   [3/3]
音楽   : ★★★☆☆ [3/5]
お勧め度 : ★★★☆☆ [3/5]
総合評価 : ★★★☆☆ [3/5]
(総プレイ時間 : 2h)

キャラクター・シナリオ
喫煙者が減ってきた昨今、とある会社の喫煙室でいつも顔を合わせている男女が恋人同士になるまでを描いた作品。

シナリオは選択肢無の1本道で、クリア後にいくつか小話としてショートストーリーが追加される。
テキストはすっきりとしており読みやすく、シナリオ自体が2時間ほどと短いことも手伝って、読んでいてストレスを感じることはないだろう。

物語は喫煙室という特殊な空間を舞台とした社会人同士の恋愛をテーマにしており、特に今作のヒロインである小清水 雪は別部署の上司であり、仕事のできる大人の女性として描かれているシーンが多い。

一人で自立した素敵な女性である雪、そんな高嶺の花のような存在と二人きりの『喫煙室』だから仕事上の関係ともプライペードとも違った形で距離が近づいていくこととなる。

同じ時間を過ごし会話を重ねる中で、同じ趣味の話や時には二人での飲み会を通して親密になっていく様子は妙なリアルさもあって、こうしたシチュエーションが好きな人にとってはたまらない作品となっている。

一方、恋愛的要素では同性までを起承転結として描いているものの、シチュエーション特化の作品なのでその部分以外にあまり特筆すべき魅力がない。
シチュエーションにあまり興味がない人にとってはつまらない作品になってしまうだろう。


【推奨攻略順 : 選択肢ほぼなし 】
Hシーンにて選択肢は出現するもののシナリオ分岐はしない。


CG
しっかりとした塗の絵で、艶やかな印象を受ける絵。


音楽
BGM?曲、Vo曲1曲という構成。
BGMの数に関してはおそらく10曲以下だと思われるが、音楽鑑賞モードがなかったため詳細は不明。
Vo曲は大島はるな(エロティック大島)の歌う『SugarKiss!』がテーマとなっており、とてもリズムの良い曲となっている。


お勧め度
短い作品ではあるが、シチュエーション特化のシナリオは、自身が求める物と合致していれば、十二分に楽しめるだろう。
また社会人の恋愛を扱った作品自体が少ないので、そういった作品が好きな方にとってもお勧めしやすい作品。


総合評価
こだわりを感じる作品ではあるものの、シナリオの短さ等を鑑みると平均程度のこの評価となる。


【ぶっちゃけコーナー】
ハーフプライス、ミドルプライス作品によくあるシチュエーション特化の作品。
ただ、良くある萌えゲーではなく社会人同士の恋…特にタバコをテーマとした作品はとても珍しく、そういう意味では新鮮味のある作品なのかもしれない。
要素として社会人同士の大人の恋を描いている事や大人の女性(年上の女性)がヒロインであることなどが挙げられ、そうした部分に興味を持つ人がやるべき作品なのだろう。
ただそれ以外の部分に関しては、繰り返しになるけれど、何か特にいうべきことがない作品でもある。